42.乗組員3,333人の内、生存者はたったの300余名。それが史実「戦艦大和の最期」における最も明白な事実であろう。 作家山本七平が戦闘というものを「何が起こったのかなんて全く分からないまま、気がつくと周りが死体だらけだった」という現実として捉えていたように、各戦闘員はそれぞれの持ち場での役割をこなすのに精一杯で、各人が戦闘そのものを総体として捉えるのは無理な話だと言われる。大和の戦闘員の多くがその断片を抱えたまま死んでしまった現在、そのジグソーパズルを完成するのは不可能であり、大和での戦闘の実体というのは結局のところよく分かっていないというのが実際のところなのだろう。大和での戦闘に限らず、戦場で生まれたであろう多くの物語は、死者と共に失われてしまったと考えるべきなのだ。僕らは小説『男たちの大和』や吉田満の本によっていくつかの大和の物語を知ることができるが、やはりそれは断片なのだ。大和がどのようにして撃沈されたか、それはもう永遠に知ることができないのかもしれないし、彼らがどのような思いで闘い、死んでいったのか、それも結局のところ、その僅かな断片を知りえるのみなのである。 ひとりの士官が書いたルポによって大和の最期が全て記録できるとはとても思えないし、ましてや大和とは何か、などというものを総括できるわけがない。大和とは乗組員3,333人に限らず、その他多くの関係者の様々な物語の総体としてあり、その多くはもはや失われてしまったのだ。そして残ったのは神話である。それは吉田満『戦艦大和ノ最期』によって作られたものもあるだろう、また、太平洋戦争を通して日本人が拠り所とせざるを得なかった幻想がいまだに語られ続けているものもあるであろう。しかし、それはあくまで神話である。僕らは戦争というもの考えるとき、そのことを肝に銘じる必要がある。 そんなわけで映画における大和での戦闘シーンにもはや期待すべきものはないと言えようか。この映画は戦闘シーンを無理に描写するよりも、兵員、特に年少兵達に焦点を当て、彼らの青春群像として大和の物語を再構築した点がとても清々しく、これは青春映画としても出色の出来であると僕は思う。(そう、この映画は紛れもなく青春映画である) ある意味で、そういった群像にこそ、ほんとうの大和の物語、その断片の輝きがあると思うのだ。 【onomichi】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-12-02 13:55:52) |
41.表現の仕方はさておき、英霊たちの尊い御魂を思い、涙が出ました。 【ロウル】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-12-01 22:21:48) (良:2票) |
40.博識な皆様のツッコミもうなずけるのですが、私は好きです。 レンタルで借りたら一発でハマり、限定版を買っては時々見ています。 自分としては下士官や水兵が主役だったり、 炊事場や銃座という地味なポジションが メインの舞台になっていたのも新しくていいと思いました。 付属の冊子を見ると「これは反戦を声高に叫ぶ映画ではなく、 あくまで青春映画なのだ」みたいなことを書いてあってやっぱりね~と。 私は映像の作りにも(及ばずながらも)ハリウッドに真っ向から挑む! みたいな大和魂を感じました。良質な映画であることは間違いないので、 今後もこういう作品はどんどん出てきて欲しいです。 あ、ちなみに水兵たちのメイキングも見応えたっぷりでした。 【ひろほりとも】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-11-29 08:47:42) |
39.まるで銭湯のペンキ絵のような大和のCG。映画開始早々に白けるったらなかったが、映画自体の出来は、このCG以下だった。帝国軍人とは思えない、なよなよした甘ったるい演技の俳優達。お涙ちょうだいの安っぽいシーンの連続。甲板上で『おかあさ~ん!』って、ホントかよ。兵士達が命をかけて闘おうとしたのは何のためだったのか、残される家族への思いや死への恐怖を前にした彼らの思いはどうだったのか、それらが描かれることは、ついになかった。当然、日本が何故、戦わねばならなかったが、大和は何故、特攻させられたのか、それらが描かれることもない。実際に大和で闘った吉田満の『戦艦大和ノ最期』では、センチメンタルな感情など影も形もなく、精一杯、闘った男の清々しさが溢れていた。映画製作者は、こんなんで客が、『戦争は悲惨だ』とか言って涙して満足すると思ってるんだろうか。 【駆けてゆく雲】さん [DVD(邦画)] 2点(2006-11-18 09:56:09) |
38. 角川春樹制作・佐藤純弥監督というと、往年の『人間の証明』や『野生の証明』が思い出されて、いやな予感がしたが、案の定大衆うけを見込んだような、観客をなめたような駄作品でした。いいかげんにしてほしい。撮影も安っぽいし、久石譲の音楽もやたらと甘ったるい。レベルが低すぎる。こんなものを観る時間があれば、文庫の『戦艦大和ノ最期』を少しでもお読みになることをおすすめする。 【goro】さん [DVD(邦画)] 2点(2006-11-06 03:36:18) |
37."戦艦大和"の名前が世に知られるようになったのはそれほど古い事ではない筈なんだけど、いまや完全に象徴化している現実がここに見えます。原作を読んでいないので、原作者の意図する所が映画でみられるのかな、と思っていたら、なんかあやふやな状態になったのかな、という気がしてならないのですが、他の人からはどう見えるんだろう?それほどこの映画はまとまりが無いというのが率直な感想です。反町とか、中村という若手の実力俳優を起用するのは良い事ではあるのだけど、十分に生かすためにはもっとドラマの方向性を考えないと制作サイドの意図した結果は得られないんじゃ無いでしょうか。良かったのは、80年代の日本の戦争映画がたくさん作られた時の様な作りがされてる事ぐらいでしょうか。でも内容的に大和の行動記録でしかなくて、人間ドラマとしてはやはり中途半端なのかなぁ、という気がします。どうせなら、もっと人間ドラマに凝り固まるか、シナリオを菊水作戦に特化した形で構成されるとか、大和だけに視点を置かずに菊水作戦に参加した他の艦の視点や、米軍の視点等から描かれた方が良かったのでは、と思わざるをえません。 【奥州亭三景】さん [DVD(邦画)] 5点(2006-11-01 09:05:53) |
36.映画を観ているという当たり前の気分に、どっぷりと浸らせてくれる作品でした。テーマも題材も決して面白いという類のものではないですが、大画面の向こうから伝わってくる熱というか、魂というか、そんな形容しがたいものに圧倒されました。TVのフレームでは、こうはいかないだろうという、そんな気持ちが上映中ずっとありました。戦艦大和という艦は、その名前、その姿、存在だけでも日本人を最も象徴しているものだと思います。ですから、画面いっぱいに表現されるだけで、様々な想いが胸に集まり、苦しくなってきます。切ない、悲しい想い。愚かではかない想い。兵器にすぎないこの艦に乗ることが誇り、これで日本を、愛する人を守るという自信。若い人が疑いもなく、こころからそう信じていた時代。でも、兵器は兵器。相手も死ぬということ。こんなとんでもない事が、今でも世界のどこかで行われているという現実。でも、映画は声を荒げてそんな事はいっていません。観るだけで、充分伝わってきます。吹っ飛ぶ体、ちぎれる足。泣き叫ぶ若者。生きている時は何人と数えられる人間が、一瞬で死に、何体と数えられる悲しい事実。若い人が桜のように爆風に散っていく。涙が出ます。生きていてすみませんでした、と10代の若者が土下座する。こんな切ないことはないです。役者さんたちの熱演、日本ではスケール感のある大和の描写、音楽。娯楽作ではないけれど、観ている者に必ず何かを残す作品だと想います。映画館で観れて本当に良かったです。 【映画小僧】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-10-23 12:06:37) |
35.ヤマトの艦砲射撃がほとんどあたらないとこがくやしい。ヤマトって図体でかいだけかよ! 【アルカポネ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-09-29 22:43:32) |
34.DVDで再び観る事になり、生まれて初めて映画を観て泣いた。「火垂るの墓」でも「ショーシャンク」でも泣かなかった自分が泣いた。同じシチュエーションの映画は数多く観てきたのに…。母親との別れや妻と子供との別れに涙を流しましたがその後は普通でした。映画館では主人公他同じような顔が揃っていて、誰が誰か理解するのに疲れていた印象がありました。しかし見る前の印象である「大和賛美」ではなかったことは結果としてよかったと思います。それにしても「戦争の異物」だの「悲劇の戦艦」だの言われている大和ですがその姿は何も考えずにみても格好いいといえるものだと思います。しかしそれは敵を駆逐するため、殺すために作られたものである事を考えると存在してはいけないものであったのではとも思えます。でも、それは存在し、多くの人の命を救うため戦ったことは事実であることを改めて実感した映画でもあります。 【次元転移装置】さん [DVD(邦画)] 5点(2006-09-19 11:47:43) |
33.焼け野原の復興は大変だったと思います。昔の人のおかげで、自分は今とても幸せに暮らしているんだなぁと思いました(大和のおかげ、とは思いませんが)。オーバーな演技が、かなり気になってもうひとつ感情移入できなかったのが残念。 【よしふみ】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-09-15 12:26:06) |
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32.思っていたほど政治的に作られてない。私でもそう思って見たくらいだったので、世間に対して相当誤解されている可能性のある作品だと思います。泣かせ所(あまりこういう表現はこの映画には使いたくないが)が幾つかあり、胸の詰まる想いが致します。でも敢えて厳しく不満を述べると、あの最後の戦いは「大和」だけではなかった。「大和」の他に軽巡洋艦、駆逐艦合わせて計10の艦艇が艦隊を組んで沖縄に出撃、そして共に闘って大和を含め半分以上が沈んでいる。これに対する描写がほんの少しもない。全くない・・・。いかに「大和」の為の映画とはいえ、あまりにも偏りすぎ。せめて闘っている大和の背景に、少しは一緒に闘った艦艇を入れてもいいのにと思った。CGを使っているのだから尚更と思ってしまった。これは史実を基にして作った作品なのだから、少しはそういう所に思いを馳せてほしかった。その点が残念に思いました。最後に音楽が久石譲にしてはなんだか単調。ほとんど印象に残らない。長渕のEDは印象には残るが、あまりいい唄ではなかった。 【はむじん】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-08-29 07:06:45) |
31.見る前は全然期待してなかったけど面白かったです。当時の過酷な運命の人たちにカツを入れられたような気がしました。それぞれの登場人物のエピソードもうまく挿入してあったような気はしたのですが、ときどき唐突感ががあって、もう少しうまくやってくれたらな、と思いました。一茂の登場、寺島しのぶとかのエピソード、博打のシーンとかです。 【かけ】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-08-27 11:22:14) |
30.最近の日本の戦争映画では良い部類に入る作品だと思う。全体的に良い感じだと思うが最後の鈴木京香のセリフはどうかと思う。あそこでまで芝居がかっていると逆になえる。 【アフロ】さん [DVD(吹替)] 7点(2006-08-21 07:29:49) |
29.ドラマ・ドキュメンタリーっぽい作りですね。ちょっと思いもよらない構成に違和感を感じてしまったんですが、たぶん「後世に伝える為に」こういった教育的な作りになっているのかな、全体的に傍観した感じで、このへんに関しては好みの分かれるところかもしれません。皆さん言われるように終盤の戦闘シーンはなかなかよく出来てます。「生きて帰ってきてごめんなさい」と頭を下げるシーンが印象的でした。ちょっと不満なのは音楽かな。この映画に久石譲をもってくるのは失敗でしたね。彼の音楽は自己主張が強いから。僕としては戦争を扱う映画にはリアリティがほしいので、もっと音楽は控えめでいいと思う。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-08-20 23:25:02) |
28.う~ん 取って付けたような、安っぽいドラマ+戦闘シーン.. CGもイマイチ.. 物語として面白味のない設定が、最大の欠点... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 3点(2006-08-18 12:29:59) |
27.ラスト15分の仲代達矢がもったいない。ラスト15分はシーン的にいらないでしょ。 【ゆきむら】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-08-16 03:42:34) |
26.戦争を体験したことのない私にとって、感情移入ができる作品ではありませんでした。ただ日本人として、過去に何があったのか知っておかなければいけないと思うし、今の日本があるのは多くの犠牲があったおかげなのだと思って見てました。生き残る方にも覚悟が必要だというその時代の風潮に悲しさを感じました。 【mako】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-08-14 18:34:02) |
25.戦争の痛みというのが、すごい伝わった。戦場に向かう兵士とそれに関わる人たちのとの別れがすごく見ていてつらかった。自分の子供が成長して、あんな風に戦場へ向かうということを想像したら耐えられない。音楽もすばらしい。 【MS】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2006-07-15 16:08:32) |
24.【男たちの映画】当時の日本男児の生きざまを見せつけられた。 この映画が公開されたのはホリエモンや村上ファンドが台頭し「金が全て」の時代だった。(時代を象徴したホリエモンは逮捕されたが・・・・・・)この世の中を見て「何か違う」と思っていた全ての人たちに『男たちの大和』を見て欲しい。 【じゃじゃまる】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-04-24 16:23:57) |
23.泣けると聞いて、映画館まで足を運んだのだが、主人公たちにあまり共感することが出来ませんでした。多くの書き込みでも指摘されているように、現在のシーンは違和感を覚えました。むしろ、東宝映画「連合艦隊」における大和の最後のほうが、胸にしむものがありました。 【ジブラルタの星】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-03-05 17:22:16) |