13.《ネタバレ》 舞台が昭和24年とのことで、石坂金田一の事件年表に当てはめると、犬神家と病院坂の間のエピソード。
あの怪作'77年版の八つ墓村のインパクトが強すぎたから、どうしても比べてしまって、結果どうにも物足りない気持ちを抱いてしまいます。だけど、市川監督の金田一シリーズって、元々こんなじゃなかったかなぁ?
今振り返ると、何で'96年のこの当時、急にポツリと八つ墓村を一本だけ映画化したんだろ?と疑問に思いますが、公開の数年前から、漫画、ドラマ、アニメで『金田一少年の事件簿』が流行ってたんですね。悪い捉え方をすると便乗ですか。
金田一と言えば市川監督。監督が映画化していなくて、人気の高いエピソードの八つ墓に、白羽の矢が立ったんでしょうね?きっと。
石坂浩二はもう55歳で金田一役はムリ。そして落ち武者狩り、32人殺しと血みどろの事件の映像化はもちろん、鍾乳洞での美也子の怖さも見事に表現した'77年版が既にあるから、似たような演出は出来ない。そして金田一少年ブームに乗るとしたら、少年少女も観に来るかも?となると、あまりに残酷すぎてもダメときたら…市川監督、とっても撮りにくかったことと思います。
小竹さん小梅さんの二役でCGは使ってますが、殺害シーンは昔ながらのマネキンみたいな人形と、ペンキみたいな血しぶき。まだジャパニーズ・ホラーの傑作『リング』が出来る2年前とは言え、平成の世に、まるで昭和のお化け屋敷のような特撮が、かえって微笑ましく思えます。
でも昔っから市川金田一ってこんなテイストだったと思うのですよ。数年前に観てるからか、割と違和感は感じなかったですよ。電線のスズメとか、釣鐘で生首がすっ飛ぶとか、今思うと結構可愛らしかったですよ。浅野ゆう子も3バカ姉妹の役だったし…って全部『獄門島』だわ。
旧来のファンは石坂金田一と'77年の八つ墓村と比較してしまうし、新しいお客には特撮が古臭く人間関係も複雑と、あまり期待に添えない作品だったんじゃないかなぁ?でも作品としては、17年ぶりに等々力警部の「良し!解った!」と、粉薬の大噴射が観られたので、良かったかな。