37.《ネタバレ》 多くの小説家や映画監督が「夢」を表現してきたが、漱石にしても黒澤にしても、現実の物や情景を題材に突拍子もないことや前後の繋がりのない脈絡を表現して、不思議感を出しただけで、「夢」の不条理さは伝わってきたものの、それはそれで『漱石さん貴方が見た「夢」でしょう』、『黒澤さん貴方が見た「夢」でしょう』というレベルでしたが、この映画の「夢」は、なるほど「夢」ってこんな感じだよねという、普遍的な「夢」が表現されています。100人が100人に同じ普遍的な感覚や感情を抱かせることは、とてつもなく困難なことで、それゆえに、普遍的な「微笑」を表現した「モナリザ」や、普遍的な「不安」を表現した「叫び」は名作とされていると同様に、本作は普遍的な「夢」を表現した名作映画と言えます。リンチの作品はこれ以外はその普遍的な表現が成功せずに普遍的になりえず、それゆえに一部のマニアックなファンだけに評価された失敗作ですが、その積み重ねの上に成り立った奇跡的な名作と成りえています。 【ダルコダヒルコ】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-05-04 00:05:25) |
36.どうしても意味が分からず、解説サイトを見てからもう一度見たら、なぜだか凄く悔しい気持ちになってしまった。まるでネタバレされた時のような気持ちに・・・。それ以来、できるだけ自分で考えながら映画を見るようになりました。そういう意味でこの映画には凄く感謝しています。映画の見方そのものを変えてくれたのだから。映画と関係なくてすみません。(期待度:6) 【明日ネコになる】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2007-04-01 23:31:21) |
35.クラクラ、気持ちよく酔えました。 わかったとは言い難いけれども、まるっきりわからないわけではない。 わかる部分は優越感で、わからなくても快感で、あちこちに散りばめられたリンチからのメッセージの意味を想像する時間は、至福のひとときでした。 見終わった後は、夜のプールにぼぉ~っと浮いているような錯覚にとらわれました。 サスペンス映画を見ていたつもりが、すごく刺激的で濃密な・・・・だったとは・・。 【めだかの学校】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-12-26 16:30:29) |
34.《ネタバレ》 最後に”じーん”ときちゃう映画でした。大好きな人と結ばれなかった時、もっと違う出会い方、違うパターンだったら幸せになれたかもしれない・・という「バタフライエフェクト」のような話をリンチ監督が料理するとこういう世界だったんだと思えたけど、これも私個人の解釈であって、正しい解釈とかって存在しないんでしょうけど、やっぱりこういう映画にしたリンチ監督って面白いなあと思う。監督特有の癖が相変わらず濃いなあと思うけど、ナオミさんのファンなので他よりも品があって素敵に思えた。薄暗い部屋で一人で見ると、もう独特の怖さで、テレビの音を何度も小さくしちゃったけど、あんな真昼間のファミレスの夢を語るシーンでなんでこんなに怖いんだろうと思うとやっぱ「奇才」と言われる人なんでしょう!エロティックで怖い・・・。 【さくら】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-04-29 19:55:22) |
33.いやあ~~デビッド・リンチ健在!ってかんじで私はうれしいです。ツイン・ピークスとか大好きだったので。デビッド・リンチは物語の辻褄あわせや整合性よりも、頭に描いた映像そのままを映画にしてしまう監督だと私は思います。映画を観ているときも、観終わったあとも、「わけがわからない…」という一言につきますが、それこそデビッド・リンチなんだなあ~とうれしくなります。映像は美しいし、音楽もスバラシイ。 【ふぉんだ】さん [DVD(吹替)] 9点(2006-04-16 15:38:58) |
32.なんなんだこの作品は。。と思わせられました。自分の中で話がうまくつながらず混乱に陥る。いつまでもわだかまりが・・・。そしてとてつもないインパクト。あとから解析サイトをみてみる。さらに仰天。リンチにしてやられた!そう、これはしてやられる作品。 【アンリ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-17 23:17:04) |
31.《ネタバレ》 全貌を理解してから観ると魅力が深まる希少な作品(普通はネタバレされてから観ると楽しみが半減する)であり、極めて完成度が高いと思います。最初の1時間40分は、ナオミ・ワッツ演じるダイアンの夢(ダイアン=ベティ カミーラ=リタ)であり、カミーラを嫉妬から殺しを指示して遂行してしまった彼女の夢物語。後半40分はそんな彼女の辿った現実の行く末。気にして見れば幾つもの親切な伏線が用意してあり、まさにDVDで見返すのにふさわしい作品だといえます。圧巻なのは後半の嫉妬に狂うナオミ・ワッツの演技。特にその目はホンマモノではないかと言う程の力で、この作品の魅力、とりわけリンチが作り上げたワンダーミステリーに一役買っています。 アンジェロ・バダラメンティのダークかつクセになるサントラをはじめ、レストラン裏の謎のホームレス、死神を匂わせるカーボーイ、権力の象徴である小人さん(ツインピークスで逆に喋ってた人)、クラブシレンシオ(シレンシオはスペイン語の黙祷、つまり死への入り口)の存在と、ダイアンの気持ちを代弁した泣き女。全てがハリウッドの夢であり、その夢の挫折とダイアンの悲恋に絡んできます。「分からなかったら体感せよ」がリンチの言葉ですが、初見でワケがわからないのと同じくらい、全貌を全て理解してから見返した方が更に心地良い体感ができます。リンチ作品では「イレイザー・ヘッド」「ツイン・ピークス」と並ぶ完成度をなす作品だと思います。 |
30.この映画に出てくるファミレスとそっくりな場所が東京の登戸周辺にあるらしい。まあ、そんなことはどうでもいい。私はこの映画が大好きである。ただ、大好きといいながら最初は意味がよく分からなかった。前半と後半でナオミ・ワッツが同一人物だとは思わなかった。それでも意味不明では済まない高密度な展開を目の前にして思わず戦慄した。何度か鑑賞の後、ストーリーを理解した時はリンチの虚実感覚に確かに驚いたが、それよりもこの悲しすぎるラブストーリーの濃度がこの映画のキモなのだと確信した。リンチはどう考えてもヒューマニストだ。その意味不明な映像の連続とフリークス達に、まず目がいってしまうが、彼の映画の本質は社会からはみ出てしまった人間たちを「ありのまま」描くことにある。トラウマ体験間違いなしの「イレイザーヘッド」ですらそれが見て取れる。おそらく彼にとって、むき出しの人間をそのまま描くのは顔が赤くなるぐらい恥ずかしい事でもあるんだろう。リンチは社会から見えない異形を映し出す「ラーのかがみ」になる。そして登場人物達に「遠回しの愛情」を注ぐ。それがまた魅力的なのだ。前半の、ありえないぐらいキラキラしていてポジティブ、それでいてエロさを併せ持つベティはまさにハリウッド的異形。発端だけ提供される幾つかのストーリーは次第に消えて一本の筋が見えてくる。それは一本の張り裂けそうな欲求だった。そしてデビッド・リンチの冷徹な視線はそんなベティの妄想を打ち砕く。夢は破れてしまった。映画は一気に破局を迎える。ベティ(ダイアン)とリタ(カミーラ)の蜜月がオーバーラップされ、最後の「シレンシオール」。うーん、切ない!ダイアンの衝動は「ノー、アイ、バンダ!!」のシーンに集約されるのだと思うと泣けてくる。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-03-14 09:49:37) |
29.一切の予備知識なしでチャレンジした若かりし頃、見終った後の愕然とした気持ちを覚えています。「何もかも分からねぇ~、こんなん映画じゃねえゃ!」と吐き捨てた。見終った後に画面に出たキーワードを元に公式HPで映画のカラクリを理解し再チャレンジ。そしてストーリーや仕組みを理解はしたものの「映画としてのアイディアは凄いけど、内容はそれほど大したことはないね。」というのが2回目の感想。そして今日何年かぶりに観ました、これで3回目の鑑賞。「何もかも素晴らしいとしか言いようがない。」人間変わるものですね。DVDにはリンチのインタヴューがあり「映画のなかで全てが語り尽くされている」というのが本当に身に感じた。 前半の妄想には、本当はカミーラを殺したくない、殺しが失敗して欲しいそして自分とやり直してほしい想いが強く込められている。ハリウッドで失敗した憎しみや皮肉、アダム監督への恨みも強く感じられる。観ていてとても辛かった。ダイアンの想いが様々なカタチとなって、一見すると訳が分からないところにも複雑な意味が込められているのを知ると。そして妄想と現実との分岐点シレンシオで聴いた歌と前説で語ったセリフは意義深い。「オーケストラはいない、すべてまやかし。」前半はこの一言に尽きる。オーケストラは前半の登場人物達だろう。「あなたを忘れられずに一人で泣いている。自分に何ができるだろう、あなたを慕って泣きつづける以外には。」という込められた想いが重すぎる。はっきり言って、この映画はミステリーでもなんでもない、一人の女の切ないラヴストーリーと言っていい。青いカギを見付け殺しが成功したことを知ると精神を保てなくなり妄想に乗っ取られたようなカタチで自殺する。妄想に襲われなくても彼女は生きていけなかっただろう、カミーラがいなくては。冒頭のジルバ大会の明るい雰囲気と異なり、夢や希望とともにロスへ来て、夢が破れ、最愛な人に捨てられた絶望と恨み…。最愛の人を殺して自殺するというラスト…。それにしてもナオミワッツの演技は凄すぎる。彼女なしで本作はこれほど素晴らしい作品にはなり得ない、カミーラを見つめる眼の奥に愛情、憎しみが交じり合った複雑な想いが込められていた。点数は9点に留めておくが、まだ自分が完全に理解していないような気がするため。もっともリンチは理解するのではなく、音楽のように感じて欲しいと言っていたけど。 |
28.一度見たときは意味のないようなシーンや、余計な登場人物が多すぎじゃんと思っていたけどよく考えると全部つながっているんですね。ネタバレを見てなるほどと思う部分が多かった。見る側にほとんどの解釈を委ね過ぎだとは思う。だけどこの映画の心理っていうのはひとりひとりの持つ感情なんじゃないかな。違うだろうか。現実と妄想、切ない感情、誰にでもある感情。だから見るたびに全く違うイメージを与えてくれる。そのときの自分の感情のように。違うだろうか。違うかもしれない。 【耳】さん 9点(2004-09-11 21:41:21) |
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27.《ネタバレ》 天才の芸術は人に媚びないというが、リンチの作品はまさにそういった類のものだと思う。彼の芸術はすでに彼のなかで完結しているというか、ひとつの宇宙を作り出してしまっているので、外から観客が何を言ってもしょうがないと言った感じ。リンチの作品からメッセージ性や映像美、音楽のすばらしさなどを個別に切り離して論じるのは意味がないように思える。彼の作品は感性で直接感じるのが一番の楽しみ方な気がする。しかし、このマルホランド・ドライブでは僕たちにひとつの鍵をくれたようだ。つまり一つ一つの描写に意味を持たせ、全体として驚くまでの論理的整合性を持った作品にすることで、「言葉」でこの作品が理解できるようにもなっている。もちろん言葉ですべてが理解できるわけでもないが、その比重が大きくなったことは今後にも適用されるのかと次回作がすごく気になる。この作品が10点の作品だとしても、まだ自分には9点分くらいしか楽しめてない気がするので9点。 |
26.《ネタバレ》 ローラハリングがセクシー、いわゆるフェロモンの塊。 後半部分の彼女にはケバケバしさを感じた。 ダイアンの夢である前半部分が好き。 ナオミワッツも多くの良い表情を見せてくれて彼女の魅力がとても出てた。 ただレズシーンがあるので精神が未熟な私は他人に薦めたり一緒に誰かと観るか? と問われれば悩んでしまう、内容も一般向けかどうか微妙ですし。 でも好きなんです、この全編に漂う不思議スメルが。 【HIGEニズム】さん [映画館(字幕)] 9点(2004-09-02 23:41:09) |
25.《ネタバレ》 ハマる映画でした。クラブ・シレンシオは天国、つまり「彼女達を安らかに眠らせて」という意味、テンガロンハットのカウボーイおっちゃんは「起きろ!」と言ってるのでシレンシオ(安らかに眠らせて)に対して“死神”を意味するのでしょうか。(死神は馬に乗ってるイメージがあるのでカウボーイとして出てきてると思うんだけど) 現実のダイアンと夢の中のベティの相反する性格の描写が見事。 何度でも観たい映画。 【gyu_yan】さん 9点(2004-04-28 22:45:15) |
24.《ネタバレ》 レンタルで見ましたが返却するまでの1週間毎日見続けました。癖になるというか、中毒になる映画ですね。わかりやすい映画も良し。でも個人的にはこういう映画も好きです。私は小学生の頃家の玄関の脇からお化けが顔を出すという夢もいつも見ていて、現実では夕方帰宅する時はそちらを見ない様に慌てて玄関に飛び込んでました。その事を思い出しました。 【なつもも】さん 9点(2004-04-27 22:02:11) |
【k】さん 9点(2004-02-04 11:43:23) |
22.何が何だかさっぱり分からないが、とにかく尋常ではないパワーだけはひしひしと感じられた。もう、壊れるんじゃないだろうかと思うくらいのナオミ・ワッツの熱演も良かった。たとえ訳が分からなくても、作り手のパワーを感じさせてくれる映画は大好きだ! 【ていくし】さん 9点(2004-01-23 15:22:13) |
21.リンチの久々の傑作。でたらめといい加減と前衛は違う。 これは立派な作品。リンチにしては非常にわかりやすい。 ある仕掛けに気付かないとこれもなにがなんだかわからないが 一旦気付くと非常に単純な構成。 ナオミがいい! ジョランドーの歌が強烈に心に響く。 【うさぎ】さん 9点(2004-01-01 20:35:55) |
20.難解な映画は好きではないが、これだけは別。観れば観るほどその不可思議な魅力に獲り憑かれてしまう。一生理解できないまま死んでもいいと思ったね。 【nizam】さん 9点(2003-12-11 19:02:01) |
19.ナオミワッツの演技には目を見張りました!リンチ作品なので、”理解した”とはいいませんが、自分なりに解釈が繋がった時は興奮しました。この興奮は・・私的には傑作!と思いました。友達と話してみると、解釈は違うものの、お互い『あ、それいい!』なんて話せて二次的にも楽しかったです。リンチ作品にしては親切と言うか、話を繋げやすい(自分なりに)作りだと思いました。 【ウメキチ】さん 9点(2003-10-25 19:09:24) |
18.複雑に絡み合った伏線が全部最後に繋がるかと思いきや、ますます意味不明な方向に繋がって終わるという、恐ろしい映画。「意図は分かるけど意味は不明」というのは言い得て妙ですな。難しいんだけど全然眠くならない。画期的だ。 |