1.《ネタバレ》 冒頭からド派手なアクションを見せてくれるのですが、このシーンでのジャッキーの立ち位置が全く判らないために、そのアクションを楽しめないんですよね。
一体ジャッキーはヒーローなのか悪人なのか。いや、どうも悪人っぽくて、悪い事をした人間が活躍をしている状態を見せられたところで「頑張れ!」ってキモチにはなれませんよね。
で、困った事にこの映画、立ち位置の判らないその状態が延々と続くんです。一体ジャッキーたちのチームは何をしようとしているのか、何が目的なのか掴みかねる状態が続いて、中盤になってやっとただの泥棒集団だっていうのが判るという。
しかも映画に掲げられた「奪われた国の遺産を取り戻す」という大義が、映画の目指す方向や登場人物の立場、娯楽性など色々なものを曖昧でボヤけたものにしてしまっている感じがあって、ずっと映画を少し離れた状態から眺めているような、入り込んでゆけないもどかしさを抱きながらの鑑賞となってしまいました。
国家の遺産は力づくでも守られるべき、みたいなものが登場人物の思想や行動原理に作用してしまっていては、そりゃ心から楽しめる作品にはなりませんよね。
ジャッキーのアクションものとしては十分頑張っていると思います。ジャッキー一人ではアクション映画としての看板を背負いきれなくなっているようで、多くのキャラ達が分担するかのようにアクションをこなしていますし、大がかりな映像ではCGが多用されています。でも、体を張って次から次へとめまぐるしく形を変えて楽しませてくれるアクションは今も健在。でも、それがシンプルに悪を倒す物語に昇華されている訳ではないのが残念です。
モロに『パイレーツ・オブ・カリビアン』(音楽まで)ってパロディっぷりや、ヒロインがコロコロと入れ替わってしまう雑な脚本など、いまだザ・香港映画!って状態なのが懐かしかったりもしますが、色々な意味でもはやここまでなんだろうなぁって考えるとちょっと淋しい終わり方って感じがします。