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アングロファイルさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1000
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 レビュー数が1000に達したということで、活動を停止します。(今のところ)仕事がひじょうに忙しいので、映画を楽しむゆとりがありません。落ち着いたら再開するかもしれませんが、とりあえず未定です。

皆さま、ありがとうございました。縁があったらまたお会いしましょう。

※変更要望は出すかもしれません。

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1.  刑事コロンボ/二つの顔<TVM> 《ネタバレ》 
最初に見たのはNHKでの放送だったのですが、どうも見方を間違えたようです。双子が出てきたとたん、「これは2人の共犯なんだろう」と思い、結局その通りだったわけです。しかし製作側としては、「2人のうちどちらが犯人だろうかと思わせておいて、実は共犯だった」という話を作ったようです。というわけで評価に困るのですが、結末を知ってから見てもなかなか面白い。特に、“犯行前に”警報装置のスイッチを切る場面。単独犯ならあんなことをする必要はないわけです。さりげなく、しかし大胆に伏線を描くあたりはおみごと。リサの死もちゃんと描写されず、そのため殺人かどうかもわからないわけですが、どちらが犯行を行ったのかわからなくするためにあえて描写を避けている。ここのところもキッチリしています。ペック夫人にドヤされるコロンボは笑えますが、ちょっとヒステリックではないでしょうか。料理番組に参加すする場面はアドリブらしいのですが、ここはあんまり面白くなかった。  このシリーズの「構想の死角」で、ケン・フランクリンが「ミステリで双子が出てくるときは目くらましで、犯人は別にいる」とか言っていますが、その裏をかくような作を作ってしまうのも、とぼけたところがあっていいと思います。もっとも、実際にはミステリ小説を書いていない人の言うことですから、当てになるのやら。
[DVD(字幕)] 7点(2015-12-16 22:25:14)(良:1票)
2.  刑事コロンボ/断たれた音<TVM> 《ネタバレ》 
事件の解決にコロンボの犬がひと役買うことで有名なエピソード。それでけっこういい印象を持っていたのですが、後年LDで見直したらちょっとがっかり。ホテルの部屋のドアが都合よく開いていたり、すり替える薬をどうやって手に入れたのか不明など、犯人に都合のいいところが多いです。まあこのエピソードのキモは、倒叙ものなのに被害者が死ぬまでに開始から1時間も経っていて、しかも最初の殺人でなぜ死ななかったのかが、最後に大きなポイントになってくることでしょう。そのアイデアは面白いですし、最後にうまく生かされていると思います。今回字幕で見直して、記憶していたほどつまらなくはなかったです。とはいえ、やはり問題点は多く、全体として強引な運びが目立ちました(クレイトンとデューデックが事前に会って試合をするなど)。ローレンス・ハーヴェイは神経質そうな犯人を好演していました。 なお、最初の悪夢の場面は光がチカチカする演出なので、今後日本のテレビでは放送されにくいかもしれません。
[DVD(字幕)] 6点(2015-05-24 22:24:42)
3.  刑事コロンボ/溶ける糸<TVM> 《ネタバレ》 
レナード・ニモイのクールな犯人ぶりがいいですし、コロンボとの対決も面白い。本命の殺人以外に、事後工作をあれこれしなければならないというプロットが巧みで、対決に終始せずサスペンスを持続させる元になっています。残されたメモの謎も定番ですが、動機を解明する手がかりとして上手く機能しています。優等生的なできでした。
[DVD(字幕)] 7点(2015-05-17 15:45:07)
4.  刑事コロンボ/偶像のレクイエム<TVM> 《ネタバレ》 
コロンボはNHKで見られなかったエピソードがいくつかあり、これもその1本でした。LDボックスで初めて見たのですが、その時はみごとにやられました。このシリーズは倒叙ものであり、見ている観客の方では犯行方法や動機がわかっていると思っています。それを逆手にとって、観客に重要ポイントを隠しておいて、最後のどんでん返しに使う。「毎回が」倒叙というシリーズものならではの技ですし、それがまたあざやかに決まっていると思います。結末を知ってから見ると、あちこち伏線が張られていることがわかり、やはりミステリーとして練られた脚本だと思います。“酒”の使い方などなかなかうまいです。犯人役のアン・バクスターが『イヴの総て』を地で行くような犯人を演ずるのも面白い。撮影所が舞台だったりイーディス・ヘッドが顔を見せたりという楽しみもあります。エンターテインメントとしては、水準が高いのではないでしょうか。撮影所を使っているのは、『ロンドンの傘』でイギリスまで行って経費がかかった分、安く上げようという目論見なのかと思ってしまいました。
[DVD(字幕)] 8点(2015-05-12 19:37:02)(良:1票)
5.  刑事コロンボ/ロンドンの傘<TVM> 《ネタバレ》 
イギリスを舞台にした特別編。ということで120分枠で製作されたわけですが、パターン通り無駄なシーンがあってダレ気味(空港の場面などまったく不要)。それでもシェイクスピアの「マクベス」をモチーフにしたあたり、工夫が感じられて面白い。殺してしまうのが妻の方だとか、最後におかしくなるのが夫だったり、意図的にずらしているのもご愛敬でしょうか。犯人夫妻の性格の悪さも、最初に登場するあたりでしっかり描かれています。また、犯人が予想外の事態から右往左往するところは最初の『殺人処方箋』を連想させて、シチュエーションとは逆に話としては正統派であるところもいいと思います。最後に罠にはめるのもコロンボらしくてけっこう。長いのが玉にきずですが、このシリーズとしては安心して楽しめるエピソードでした。
[DVD(字幕)] 7点(2015-04-30 20:10:12)
6.  ケイン号の叛乱 《ネタバレ》 
海軍での問題艦長というと、ホーンブロワー・シリーズを思い出します。本作はかなりいいできだと思いますが、最後に結局「部下に問題があった」とするのは、どうなんでしょう。どうせなら、クイーグが精神を病むに至った「海軍艦長」という職責そのもの、つまり軍の体質そのものを問題に挙げてほしかったところです。とはいえ、問題のある上司というのは現代の社会でも通用する話なので、そういう点では示唆に富んでいると思います。キースの恋愛がいかにもおまけという扱いだったのも残念でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-07-17 19:21:18)
7.  刑事マディガン 《ネタバレ》 
同時期の刑事物としては『ブリット』や『フレンチコネクション』がありますが、それらと同じリアル志向の作品。しかもその点では、この2作を上回っています。警察官をあくまで人間として描き、家庭での問題を扱っています。生活人としての描写は『ブリット』にもありましたが、本作の方が扱いが大きく、むしろ作品のテーマとなっているフシがあります。愛妻家のマディガンに対し不倫をするラッセルという具合に、それぞれの対比もうまくつけてあります。派手なカーチェイスもなく、リアル派としてはハイレベルに仕上がっています。 あと、マディガンに誤った情報を流す男のエピソードが印象的でした。淋しさからニセ情報を流す男、それを知りつつ「また頼む」と酒をおごってやるマディガン、男気を感じさせるいい場面です。そのマディガンも、家では妻に手を焼く普通の夫であり、この公私の違いが彼をよりいっそう魅力的に見せていました。なかなか秀逸な、「刑事を主人公とした人間ドラマ」でありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-30 22:24:39)
8.  決断の3時10分 《ネタバレ》 
はじめは金のために引き受けたベンが、次第に違うものをよりどころとして行動するところがいい。その展開に持っていくため、口のうまいダンにあれこれ喋らせたり、家族やアレックスといった人物を配しているのもうまい。中盤会話が中心になったので、ちょっとダレた感はありましたが、最後のダンの「男気」など、うまい終わり方だったと思います。フランキー・レインはあいかわらずいい声してますね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-24 10:04:27)
9.  刑事コロンボ/アリバイのダイヤル<TVM>
コロンボのような倒叙ものは最初から犯人がわかっているため、見ているちらも犯行のすべてがわかっているような気持ちになります。本作の特徴はその裏をかいて、こちらに知らせていない情報をあとから出して不意を突くというもの。それはそれでいいと思いますが、ちょっと話が複雑に思えてしまうところがあって残念でした。とはいえなかなか面白い試みでした。最後の幕切れもあざやか。人物の掘り下げは浅いですが、本作ではミステリーとしての楽しみがメインなので、それほど気になりませんでした。 演出は、ロケでロングのショットを多用したり、飛行機から車輪が出るカットなど、意欲的で引きつけられるところがありました。そのあたりも加味しての点数です。
[DVD(字幕)] 7点(2013-09-30 20:39:25)
10.  刑事コロンボ/悪の温室<TVM> 《ネタバレ》 
本作の脚本を書いたジョナサン・ラティマーは本職のミステリー作家でして、そのせいかどうか通常のパターンを外してきています。偽装誘拐でコロンボを殺人の前に登場させるという試みは面白いですし、最後の証拠品が今回の事件とは何の関係もないというのも、意表を突いていてよかったと思います。ウィルソン刑事を登場させたのも効果的でした。しかし今回の犯人も魅力に乏しい。そもそもどうやって生活しているのかが不明。蘭を売れば金になるでしょうが、甥の財産をかすめ取ろうというのですから、それも考えられません。浮世離れを通り越して現実離れしています。また、何かというとキャシーに嫌みを言うのもいただけません。こういうところでかなりマイナスになってしまいました。
[DVD(字幕)] 6点(2013-09-11 22:38:34)
11.  刑事コロンボ/黒のエチュード<TVM> 《ネタバレ》 
『刑事コロンボ』シリーズは基本的に90分枠なのですが、第2シーズンから120分ものも放送することになり(広告収入が上がるらしい)、そのテストケースとして本作には90分版と120分版の両方が存在します。今回両方を見比べることができたのですが、登録されているのは120分版の方なので、そちらをレビューします。  改めて見てみると、音楽関係がムチャクチャですね。ジョン・カサヴェテスの指揮のひどさは言うまでもないです。あれで演奏できるとは、さすがプロ。それとも、音はあとで入れたのでしょうか。しかしそれだけでなく、ベートーヴェンの「田園」を楽章の途中から(カメラを回して)演奏するとか、管弦楽曲のあとに弦楽器だけの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」を演奏するとか(しかもコンサートの最後の曲らしい)、およそ常識的にはありえません。ありえないといえば、コンサートが夜から始まる場合、普通は午後にリハーサルを行い、出演者はそのまま楽屋で待機するものです。車で行かなければならないような自宅に戻るというのも考えられません。本作のスタッフは、クラシック音楽に関しては全くの素人のようです。 また、証拠品であるはずの“遺書”の上から改めてタイプするというのも考えられない。ここまで来ると開いた口がふさがりません。私は映画やドラマに完全な整合性を求めるわけでありませんし、むしろ傑作と呼ばれる作品には、なにがしか常識を超越したところがあると思っているのですが、これはあまりにもひどすぎると思います。 しかし本作を必要以上に持ち上げている人もいるようですが、それは単にゲストがジョン・カサヴェテスだからでしょう。「構想の死角」と似たようなパターンです。たしかにカサヴェテスは悪くないと思いますが、それだけで高く評価できるわけではありません。 とにかくこれは脱力系というか、失笑ものの話でした。
[DVD(字幕)] 4点(2013-08-25 10:08:43)
12.  刑事コロンボ/パイルD-3の壁<TVM>
基本的にトリック一発勝負なのですが、手がかりの与え方がなかなかいい。奥さん2人の個性も際だっています。
[DVD(字幕)] 7点(2013-08-03 22:14:09)
13.  刑事コロンボ/死の方程式<TVM>
吹き替えで聞くと、野沢那智の怪演でロジャーはイッちゃった人みたいですが、原語だとそんなこともありません。むしろ化学博士で弁護士の資格も持っている、頭脳犯というイメージが湧いてきます。とはいえボンボン育ちのためか、冷静になりきれないところが欠点。その辺のバランスが意外と面白かったです。馬脚を現すのが、あっさりすぎるかとも思いますが。ゲストがけっこう豪華な点も評価できますが、アン・フランシスはちょっとトウが立っているかも。まあ、ジェームズ・グレゴリーの相手なら、適切かもしれませんが。ちなみに、本作の山田康雄吹き替え版は、話に聞いたことがありません。実際にあれば新発見でしょうね。
[DVD(字幕)] 6点(2013-07-27 20:50:13)
14.  刑事コロンボ/もう一つの鍵<TVM> 《ネタバレ》 
『刑事コロンボ』では犯人が女性の場合ドラマ中心になるという特徴があります。本作もそのパターンですが、どうもドラマの要素が弱い。これは時間が短いということもあるのでしょうが、豹変したあと経営者としても女性としてもダメということで、魅力がありません。倒叙ものでは犯人の占める部分が大きいですし、そのドラマを描くとなるとなおさら。しかし肝心のご当人に魅力が感じられないのでは、どうしようもありません。 ミステリーとしては、新聞と鞄とか靴底の芝生とか、コロンボの目の付けどころは面白いのですが、いかんせん最後の決め手が簡単すぎ。これもドラマ中心のしわ寄せかもしれませんが、結局ミステリーとしても魅力に欠ける話になってしまいました。ベスが最後コロンボに銃を向けるというのも意味がなく蛇足。ここまで徹底してダメ犯人というのは、かえって潔いかもしれませんが。
[DVD(字幕)] 4点(2013-07-13 22:47:36)
15.  刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM> 《ネタバレ》 
これ、評価が難しいんですよね。たしかに「刑事の指紋が証拠」というラストは面白い。しかしそれ以上に重要だと思うのは、「犯人の計画が最後まで完結しない」というところです。これまでのシリーズでは、犯人の計画は終了して、以降コロンボとの対決に集中するわけですが、本作ではそれが平行して描かれます。さらにその計画が、視聴者には明らかにされていない。途中で「犯人はコレクションを相続できない」ということがわかり、見ているこちらに一旦しょい投げを食わせたうえで、叔母に罪をなすりつけるという計画を明確にさせるのは、効果的です。 ただそれにしては、構成に破綻があります。コロンボの指紋がつくプロセスが、うまくいきすぎてご都合主義に思えます。そもそもコロンボが犯人宅に入れたのは、うまく鍵を取り上げた結果ですが、これは犯人がコロンボに乗せられすぎという印象を持ちました。最後の家宅捜索も同様。コロンボのもくろみが当たりすぎて面白味が少ない。ドガの絵を盗んだのも、もともとエドナに罪を着せるつもりだったと思うのですが、あの展開ではコロンボに「絵が出てこないことにはなんともならない」と言われて、あわてて発見させたようで、絵を盗んだ目的が曖昧になってしまっています。繰り返しますが、犯人がコロンボの思うように動きすぎてご都合主義の展開に思えますし、犯人としても魅力が感じられません。話のアイデアとしてはいいと思うのですが、あまりうまく生かせなかったと思います。けっこうユーモアの要素があったのはよかったです。そのためキム・ハンターの大げさな演技も浮いていません。
[DVD(字幕)] 7点(2013-04-27 08:38:42)
16.  刑事コロンボ/ホリスター将軍のコレクション<TVM> 《ネタバレ》 
かなりできがよくないという記憶があったのですが、見直したらそれほど悪くもなかったです。ふつうに楽しめました。本作はミステリーよりもドラマ志向で、ヘレンの生活やホリスター将軍のプライドの高さなどが描かれています。しかし時間が長くないためか、少々食い足りない。盛り上がりに欠けるのです。ミステリーとしては、問題の拳銃がよくわからない。将軍はダットンを撃つ時、展示するための品物を詰める箱から銃を取り出していました。ということは、最初から展示することは決まっていたのでは? 「大事な思い出の品を手放すはずがない」というコロンボの言葉と矛盾します。もし複製を作っておいて、それを展示品とし、本物はひそかに自分で保管しておくというのならわかります。しかしコロンボによると、複製は最初からなかったということですし、このあたりがよくわかりません。そんなこんなで、悪くはないと思いますが、決していいできとも思えません。 あと印象に残ったのは、スザンヌ・プレシェットのメイク(アイシャドウ)が濃いことと、当時からすでにリモコンテレビが存在したということ。ヘレンの家はけっこう裕福な感じですが、お金はどうなっているんでしょう? これもまた不思議。
[DVD(字幕)] 6点(2013-03-01 22:24:46)
17.  刑事コロンボ/指輪の爪あと<TVM> 《ネタバレ》 
『殺人処方箋』以外でリンクとレビンソンが脚本を書いた唯一の作ということで、けっこう重要かもしれません。計画殺人ではなく、偶発的な事故死だったという点が特徴でしょうか。探偵業であることを利用して警察の情報を仕入れたり、コロンボを監視させたり、あげくの果てには自社に引き抜こうとしたりするあたりが面白い。犯人ほかキャラクターの性格描写もしっかりしています。事件とその解決に関すること以外はほとんど描写されておらず、無駄がないところがすばらしい。死体遺棄現場に堂々とタイヤの跡が残っているのはどうかと思いますが(海風が強いのか?)。それでも長くない時間にミステリー・ドラマの魅力がギュッと詰まっていました。 ちなみに、吹き替えでは最後にコロンボの「わたしは運を信じていません」とかいうセリフがありますが、原語ではそんなことは言っていません。別に、たいしたことを言っているわけでもないですが。
[DVD(字幕)] 8点(2013-02-02 20:55:27)(良:1票)
18.  刑事コロンボ/構想の死角<TVM> 《ネタバレ》 
このラスト、やっぱりダメでしょう。この犯人は異常にプライドが高く、自分ではすぐれたトリックを考えられないと言われた結果、「あれは自分が考えた、だからすべてわかっている」と答えてボロを出したとされていますが、あらかじめそうした知識を以て見ても、そんな人物には思えません。なのでこちらはなにがどうなったのか理解できず、鳩が豆鉄砲を食ったようキョトンとするだけです。これはシナリオが悪いのか、演出が悪いのか、おそらく両方でしょう。あと、マフィアに罪をなすりつけるのに、嬉々として自分から説明していては、かえって怪しまれるというものでしょう。こんなに駆け引きが下手でよく交渉係が務まったと感心します。犯人のフランクリンに関しては破綻が多いし、魅力も感じられません。スピルバーグの演出は、アップを多用したり光を使ったりと、画作りは面白いのですが、すでに述べたように人物造形はうまくいっていないようです。第1の事件のトリック自体はいいのですが。
[DVD(字幕)] 5点(2013-01-26 20:41:12)
19.  刑事コロンボ/死者の身代金<TVM> 《ネタバレ》 
『刑事コロンボ』をシリーズ化するということは、コロンボを主人公にするということです。しかし「殺人処方箋」のキャラクターではちょっとまずいので、パイロット版として修正が入っています。わかりやすいのはユーモアが加わっていて、ちょっととぼけた味が出ていること。高所恐怖症でヘリや飛行機に乗ったときの反応とか、ラストで札束を前にして財布を探すシーンなど。本作での初登場も、なくしたペンを探してうろちょろしていて、「うかつでちょっと頼りない」面が強調されています。その分、犯人と対峙する場面では明晰さが出て、対比がより生きています。一方で、みんなが帰ってからレスリーのロッカーをこじ開けるとか、一旦マーガレットをたきつけておいてレスリーの前で叱責するといった、こすっからい面も健在です。 放送が120分枠なので、ちょっと時間をもてあまし気味のところもありますが、全体としては緊張感もあり見ごたえがありました。身代金を作るために財産の大半を使ってしまったので、いざとなると身代金を使わざるを得ないとか、マーガレットがチューリッヒに行ったらすぐ銀行口座を作って金を使えないようにするとか(スイス銀行ですかね?)、細かいところも考えられています。ただ前作もそうでしたが、犯人を罠にかけるのに事件関係者の手を借りているのが、あえて言うならマイナスでしょうか。 『コロンボ』の演出はだいたいリアルだと思うのですが、本作ではけっこう凝っていて、シリーズ化を決定するパイロットであるためか、力が入っているようです。ビリー・ゴールデンバーグの音楽も名調子で、改めて堪能しました。
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-20 08:08:01)
20.  刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM> 《ネタバレ》 
最初に犯人の側から描いてますよね。つまり主人公は犯人であり、その罪を暴くコロンボを悪役として見ると、面白いです。コロンボというのはしつこいし、思わせぶりばかり言って相手をイライラさせるし、敵が弱いとみると恫喝して自供させようとするしと、まったくもって嫌な刑事ですね。「悪役」としては、そこが魅力的なわけですが。 で、犯人から本作を見ると、予期せぬ出来事が次々と起こる。ホント、やり過ぎだろうってぐらいアクシデント続発で、そこをどう誤魔化してどう切り抜けるかが、本作の見どころでしょう。だから犯人の身になって、ギョッとしたりハラハラしたりするのが楽しいかも。あるいは第三者として、そのあせり具合をニヤニヤしながら眺めるか。それはお好み次第ですね。 犯人のキャラクターとしては、フレミング先生は知的・理性的でよくある人物ですが、共犯のハドソンさんが興味深い。犯行前夜にいきなり「会いたい」と電話したり、その夜は数時間しか眠れなかったり、言いつけを守らずフレミング先生が帰ってきたら速攻電話をかけたりと、気が弱くて神経質そう。精神分析医にもかかっていますし。そういう描写が続いて、「警察に追い込まれたら自殺してしまいそう」な人物像が描かれています。それでフレミング先生だけでなく、見ているこちらもコロンボの罠に引っかかってしまうという寸法。うまく考えてあります。 本作の欠点としては、ユーモアに欠けることでしょうか。犯罪という反道徳的な行為をエンタテインメントに昇華するためには、触媒としてユーモアが不可欠だというのが私の持論なので、その点不満が残ります。ヴァン・ダインやエラリイ・クイーンといった先達と同じ轍を踏んでいるので、やはりアメリカンなミステリーかと思いますが、ユーモアがなくてもこちらをグイグイと引きつけるのはおみごと。さすがはリンク&レヴィンソンです。改めて見直して、ここまで面白いとは思いませんでした。まさに一級品の、スマートでハイブラウなエンタテインメント。十分に楽しめた自分も、頭がいいのではと誤解してしまいそう(笑)
[DVD(字幕)] 9点(2013-01-08 19:58:35)
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