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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン
学生時代にレンタルビデオを2台のビデオデッキをつなげてダビングした数少ない作品の1本(先輩に貸したまま返ってこなかったいくつかの作品の1本でもある)。主人公の男と敵対する男の対決というマンガチックな構造が男心をくすぐる。『天国の門』の興行的な大失敗の影響なのかとにかく二人をメインに撮る。組織からはみ出した男と組織をぶっ壊そうとする男。強引さがかっこいいミッキー・ロークとクールさが様になるジョン・ローン。何度も見た。そして時を置いて久しぶりに見た(といっても数年前だが)。なんか違う。『ゴッドファーザー』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のような不変の貫禄がない。なんか時代を感じる。その時代が禁酒法の時代ならば様になるのだろうがいかんせん見かけゴージャスで中身スカスカな80年代。服装とかサングラスが80年代臭を撒き散らしている。その時代の最中にあってはわかるはずもないのだろうがなんとももったいない。
[DVD(字幕)] 6点(2011-03-08 14:49:42)(良:1票)
2.  インビクタス/負けざる者たち
黒人と白人を隔てていた壁がいとも簡単に崩れ去ってゆく。愛すべき予定調和を見せた『グラン・トリノ』の後でもさすがにこれには拍子抜けした。おそらく誰もこんな語り方はできない。なぜならそこに辿り着くには様々な障壁があり様々な苦労があり複雑なやりとりがあり複雑なからくりがあったに違いないから。何よりも前提となる南アフリカの歴史があるから。しかしイーストウッドはシンプルに語ってゆく。障壁が描かれなくても誰もそこに障壁がなかったとは思わない。苦労が描かれなくても誰もそこに苦労がなかったとは思わない。観客を信頼している証しとしてのシンプルさ。そして白人と黒人が手を取り合うことがさほど難しくないとでも言うように簡単に話は進む。実際に難しいことではないのかもしれない。それを行うことが難しいのであって。イーストウッドの描くマンデラはそれを適格にこなしてゆく。自分を虐げてきたものたちを許すということを。『グラン・トリノ』のレビューで私は書いた。過去の自身の作品の中で十字架をちらつかせながらの残虐行為を描いてきたイーストウッドはキリストが成し遂げたことを生身の人間で成し遂げさせることで自身の宗教観に対するひとつの答えを見せたと。ここでも同じことをしている。マンデラは計算する。どうすれば政治手腕を発揮できるか。どうすれば国が豊かになるか。その手段として「許す」という行為がある。そして「許す」を演出する。あえて白人の象徴のユニホームを着る。白人の護衛を信頼する。並大抵のことではないだろう。しかしそれは成された。やったのは人間だ。神話ではなく実話なのだ。娯楽であることを意識したこれ以上ないくらいのシンプルな語り口の中にもイーストウッドの印が確実にある。そこがたまらなく嬉しい。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-07 15:34:14)(良:4票)
3.  イントゥ・ザ・ワイルド
待ちに待ったショーン・ペン最新作に意気揚々と見に行ったのだが、どこがショーン・ペンなのだというのが正直な感想だった。扱う題材の違いなのか、被写体があまりに雄大な大自然ゆえなのか、どこか落ち着いた感じがどうもしっくりこない。アルノー・デプレシャンやオリヴィエ・アサヤスの常連撮影監督エリック・ゴーティエが映し出す大自然はたしかに圧巻だし、そこに映すべく人物の配置もバッチリきまってるんだけど、私が勝手に思ってたショーン・ペンの映画ってのは、うまく表現できないんだけど、もっとかっこよくて怖いんだ。画づらが。このノンフィクション小説に惚れこんでいたそうなので「かっこいい」とか「怖い」よりも「美しい」とか「壮大」とか「葛藤」とか「愛」とかを選んだのだろうか。それともこれが今の熟練の域に達したショーン・ペンなのだろうか。いやほんと、完成されたものって感じはします。スラブコミュニティの少女(クリステン・スチュワート)がすごく綺麗で印象に残ったんだけど、やっぱブレイクしましたね。 
[映画館(字幕)] 5点(2010-12-07 14:59:49)
4.  いまを生きる
詩読サークルというものが若者たちを惹きつけるってところでどうしてもひっかかっちゃうわけで、夜な夜な詩の朗読を秘密裏にすることの喜びが理解できない私としてはどうしてもそこに同性愛的なものを感じ取ってしまうんです。いかにもいい人そうなロビン・ウィリアムスがまたそっち系に見えてきちゃうから困る。見ている間になんとか国民性の差異や時代性を考慮し軌道修正に漕ぎ着けたものの、元来教師になんら期待を抱かずに高校生活を過ごした自分としては教師に導かれる生徒という構図自体がどうも白々しいというかアホらしいというか。そんな苦手意識の中でも好感を得たといえば、この教師の生徒の導き方が映画としてよかったということ。生かされるんじゃなくてちゃんと生きろ、要するに自立しなさいってことを言ってると思うんだけど、けして声に出してそういうことは言わない。規則に従うのも破るのも自分で決めなさい。なんてことも言わない。でもそう導こうとしているのがわかる。そのあたりの言葉を廃したシナリオがうまい。
[DVD(字幕)] 6点(2010-06-16 10:37:27)
5.  インクレディブル・ハルク(2008)
ノートンがブラジルの貧民街を走る走る。科学者とは思えぬ身体能力。腕時計型心拍数計測器の数値がどんどん上昇する。呼吸を整えてまたダッシュ!このあたり、けっこう面白い。そしてとうとうハルクの登場。といってもほとんど姿見せず。これもいい。そもそもハルク誕生のあれこれをタイトルロールでささっと見せちゃってるってのもいい。ハルクになった後始末として服もお金も無くなっちゃうなんてリアルな描写も楽しい。元がコミックなだけあってキャラがそれぞれわかりやすく立っているのもいい。冒頭、あれだけ走っても心拍数200を超えなかったのに恋人とベッドインしただけで200手前まで急上昇って(笑)。切ないシーンなんだろうけど笑ってしまった。と、まずまず楽しんだんだけど、どうもクライマックスのバトルシーンがいまひとつノレなかった。CGゆえの味気なさか。 バトルシーンがないと「ハルク」じゃないのだろうけど、無い方がたぶん面白いと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2010-03-08 16:17:03)
6.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
相変わらずというか、なんという選曲のセンス!『アラモ』で始まるオープニングに早速高揚してしまう。続いて『復讐のガンマン』の「エリーゼのために」を用いたモリコーネの旋律が流れるシーンにいきなりノックアウト。なんて美しい三姉妹。この美しさでこの家の主の過酷な判断を観客は許容する。そしてこのナチスの大佐のいやらしさよ!「復讐劇」の幕開け。イングロリアス・バスターズがいよいよ登場だ。しかし「復讐劇」とバスターズの話は一向に交わらず、終焉間際でようやく二つのストーリーが結びつくようにみえて実は絶妙な距離を残しながら交錯するだけなのだ。『パルプ・フィクション』のように。しかも主ストーリーはバスターズではなかった。ああブラピよ。この扱い。まるで『ジャッキー・ブラウン』のデ・ニーロではないか。しかしなぜかはまる。ブラピもデ・ニーロも可笑しいほどにはまってる。地下酒場の「正体当てゲーム」。ここでこのゲームかよ!そしてダラダラと、そして緊張感漲る会話が続く。正体がこの会話からばれると思わせて・・・。面白いなあ。音楽でいうと忘れてはいけないのがデヴィッド・ボウイの「キャット・ピープル」。めちゃくちゃ素晴らしい。ゴダール『カルメンという名の女』でトム・ウェイツがかかった瞬間を思い出した。選曲に関しては同等のインパクトを持っているがタランティーノはさらにここに「色」と「印」を使ってより印象的なシーンにしている。今後、ボウイの「キャット・ピープル」は赤いマフラーを巻いたナスターシャ・キンスキーではなく赤いドレスを着たメラニー・ロランを思い出させるであろう。窓の外のハーケンクロイツと共に。頬に塗るファンデーションがまたあからさまにインディアンを彷彿させてるんだけど(バスターズの皮剥ぎと共に)、かっこいいんだ、これが。そして映画は世界が成し得なかった「大復讐」をやってみせる。さすがは映画だ。映画バンザイ。天晴れタランティーノ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-18 16:48:34)(良:2票)
7.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
1作目が最も好きな者としてはマリオン登場というだけで期待値がかなりあがりました。ハリソンの六十半ば?の年齢にしたってそれほど障害になるとは思っていなかった。なぜならインディは軍人ではなく大学教授であり、いかなる危機も体力ではなく知力と行動力で解決してきたのだし、むしろちょっと重い動きこそが作品のユーモアに貢献してきたのだ。だから体力的にきつい年齢に達した今こそ楽しさはパワーアップされてしかるべきなのだ。しかし今作はインディシリーズのアクションを重点的に継承している。たしかにハリソンは年齢を感じさせない見事なアクションを見せてはくれる。でもやはりそこで勝負というのは違うんじゃないかと。そしてテレビシリーズのほうによく見られた「インディと世界史」というテーマもひきずられたために「核実験」という時代背景がむりやりに挿入される。映画版ではナチスが出てきたとしてもそれは時代を映したものではなくあくまで「敵」として登場したにすぎない。今回のKGBだって単なる「敵」でしかないのだから時代を映すエピソードなんかいらない。極めつけはラスト。べつに宇宙人はいいです。ロズウェル事件とかエリア51とかじゅうぶんに伏線があったのでそれはそれでいいです。でも画として最後のでかい円盤はないでしょと思った。期待を大きく裏切られたぶん悪口ばかりになってしまったけど、けしてつまらなくはない。
[映画館(字幕)] 5点(2009-10-14 16:27:44)(良:1票)
8.  イヴの総て
お話は面白いし、冒頭の受賞式シーンから回想に入ってゆく構成も巧いし、人間関係も整理されてて分り易いし、配役もお見事だし、名セリフてんこ盛りだし、どう見たって名作なのは間違いないのだろうけど回想形式にした部分意外は映画というよりも舞台劇を見ているような感じ。セリフが多いのはいいのだが、その言葉が決定的なものであふれかえりすぎている。お話と無関係の言葉は全く出てこない。当時のハリウッド映画ってだいたいこんなのが多いんだけど、これで2時間超はキツイ。いや、舞台っぽくても面白さが凝縮されてるならそれはそれでオーケーなのだろうから個人的な好みの問題でしかないのですが。それでも時間をあと30分端折ってくれたら手のひら返したように絶賛するかもしれないくらいの面白さはある。
[DVD(字幕)] 5点(2008-12-17 11:41:55)(良:1票)
9.  イーグル・アイ
シャイア・ラブーフは、いかにも厄介な事件に巻き込まれそうな顔をしている。同じ顔の兄がエリートだというのが想像しにくいくらいに。その困惑の表情が実に冴える。正体不明の何者かからの指示に従う男女の行動をその正体不明の何者かが援護してゆくという展開がまず繰り広げられる。D・J・カルーソー監督が以前に携わった『ニック・オブ・タイム』のようにタイムリミットを課しながら、同じくラブーフ主演、スピルバーグ製作総指揮の『トランスフォーマー』のように命を吹き込まれたかのような重機を使い、はたまた『ダイハード4.0』や『ミニミニ大作戦』(リメイク版)のように信号を自在に操りながら。スピード感はあるが反面、アクション(とくにカーアクション)はひどい。最近の流行らしい何かと何かがぶつかったり爆発したりするどアップの画面の短いカットの応酬の間に信号機やら重機が映し出されるのだが、その両者(何者かの操作とそのせいで起きる混乱)の因果関係を画面で見せずに想像で納得してもらうようなふざけたモンタージュに辟易。面白いのはどこにいようが監視されているという絶体絶命感。誰かの携帯電話、電光掲示板、カーナビを通して指示される展開にあり、そこに電車を止めたりドアにロックしたり、あらゆる機器を瞬時に使えるってのが面白さに拍車をかける。要するに面白いシチュエーションを見せてくれるが盛り上がるはずのアクションシーンで盛り上がれない作品。手垢のついた題材をもってアクションで盛り上がらなければキツイものがある。
[映画館(字幕)] 4点(2008-11-10 15:34:59)
10.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 
クローネンバーグの他の作品のレビューでも書いたが彼の作品の主人公はいつも二つの世界を生きる。そこから本当の自分を見出してゆく。ガラッと作風を変えてきた前作の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でも自らを偽り、過去と決別した人生を作り出していた。今回は病院勤務の女がひょんなことから暗黒の世界とこちら側を行き来する物語なのかと最初思って観ていたのだが、どうやら違っていた。体に墨を入れ、素っ裸の男が自分を殺しに来た男たちを返り討ちにする。その壮絶な格闘の末に気付く。偽っていたはずの二つ目の世界にこそに自分の真の姿を見出さずにはおれない刹那!クローネンバーグのテーマはここでも全くぶれなかった。そのうえで『ヒストリー・オブ・バイオレンス』がアメリカの西部劇のプロットを借りていたのに対し、この『イースタン・プロミス』は日本の仁侠映画のプロットを借りている。面白くないわけがない。次は何を持ってくるのか。だいたいこういうのは3つ続くことが多い。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-25 11:02:45)(良:1票)
11.  愛しのローズマリー
自分が好きならそれでいい。人がなんと言おうと。そんな純粋で当たり前で今さらなハッピーエンドを空々しくやってのけられるのは今やファレリー兄弟くらいしかいない。そこに落とすにはそれまでのドラマはちょっとずれてるようで、何人かの方が書いておられるように外見に対する差別が前提としてあるので不快感のほうが勝ってしまう人もいるようです。私も不快感とまではいかないまでも解せんなという思いはありました。だいたい心が美しいってどういうことよ。でも、これはファレリー兄弟の映画ということを忘れてはならない。動物虐待、身体障害者差別をギャグにしてしまう明け透けな兄弟だから、このデブとかブスという身体的特徴による差別を堂々とギャグにしてしまうのは明らかな確信犯。だからそこを突っ込むよりもむしろ差別をあけっぴろげにしながらハートウォーミングに仕上げてしまうというファレリー兄弟の悪魔的視点とそれをあくまで「おバカ」で包んでしまうクレバーさを賞賛しよう。5点だけど。個人的にはもうちょいと下品に仕上げてくれてもよかったと思ってる。
[DVD(字幕)] 5点(2008-06-17 16:11:55)
12.  イレイザーヘッド
リンチが好き勝手やってます。悪夢を映像化するリンチワールドの原点であり、リンチワールド全開の作品。突然の結婚からその悪夢は始まっている。未熟児が怪物にしか見えないというのも一つの悪夢だと思うのだが、このあたりは個人的にいかにもB級ネタに感じられて、グロテスクな赤子の造形も含めてチープ感を拭えないのですが、踊り子登場からはリンチにしか作り得ない独特の意味不明感というか、いや意味は確実にあるのだが、そんなものはどうでもよくなるくらいのイマジネーションの奇抜さ、しかもただ奇抜なだけではないとても惹かれるセンスを擁したイマジネーションの洪水にただひれ伏すのみ。と言うものの、正直、私にとってこの映画は踊り子のシーン以外はどうでもよい。でも、反対にリンチといえばこの踊り子の笑顔が真っ先に思い浮かんでしまうのだ。
[ビデオ(字幕)] 6点(2007-09-12 16:44:20)
13.  インビジブル(2000)
透明になって最初にしたことが、居眠りしている女性動物学者のシャツをはだけさせてオッパイに触ることって、、、素晴らしーい!!(オイオイ)、、いやでも、エッチ系コメディでもないのに初っ端からこんなことするなんてある意味凄いことですよ。ただ、このエロ行為が透明になったことによる副作用なのか、そもそも主人公がスケベなのか、あるいは男なら誰でもそうなるのかが判りにくい。なぜなら冒頭で見せたゴリラの凶暴化のように何がしかの副作用の提示がなされており、実際主人公も凶暴化していることからこの副作用説を全く否定できないのだ。さらにこの凶暴化もはたして副作用なのかどうか怪しいと思ってしまう場面が、透明人間は目をつぶることができないというシーン。過度のストレスが原因である可能性まで浮上する。もちろんこれらが重なり合っての結果として見てさらっと流せばいいのだが、ココを明確にしてくれるとぜったいもっと楽しめるに違いない。ハレンチ行為も過剰な暴力も原因が明確だと、不快感が拭われる、と言ったら言い過ぎかもしれないけど、救いのないものの中に救いを見出したような気になるような気がするのだが。
[DVD(字幕)] 5点(2007-07-26 12:39:34)
14.  硫黄島からの手紙
案の定と言うべきか『父親たちの星条旗』に続き私に大きな感動と混乱をもたらした。過去のイーストウッドならば渡辺謙を自らの分身とし、主人公として描いたであろう。しかし今のイーストウッドはそれを絶対にしない。でもこの作品に登場する日本人たちは軍国主義の思想が蔓延する中でもそれぞれが自分自身の思想を持ち続ける孤高の戦士たちだ。すべての人がイーストウッドの愛すべきアウトローなのだ。だから表面的には過去のイーストウッド作品とは異にしながらも『父親たちの星条旗』と反するように実にイーストウッドらしい映画のような気もする。それぞれが兵士であるまえに一人の人間であることが強調される。かといって人間ドラマで逃げない。「天皇陛下万歳」、一人を除いて誰もが心からそう叫ぶ。戦死した祖父が戦地から私の父に宛てた手紙がうちにあるのですが、「お国のために」という当時の空気がその一通の手紙からも読み取れます。そんな風潮が前提としてあることをけして濁さない。「一人を除いて」の一人とはもちろん主人公であり語り部である二宮和也である。彼は今の時代の人間がタイムマシーンに乗ってやってきたかのような人。そうすることで今の時代の我々観客とその戸惑いを共有する。過去の悲劇を今に伝える伝道師の役目を担っている。それからもう一つ。『父親たちの星条旗』で友人を死なせたことを永遠に悔いる衛生兵の苦悩、その友人の死のこの『硫黄島からの手紙』での扱いのなんてあっけないこと。二つの作品がセットになることで戦争が個にもたらすものの大きさが実に顕著に表されていると思う。 
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-12 12:45:31)(良:1票)
15.  イージー・ライダー
フランス、ヌーベル・ヴァーグから遅れること10年、ヨーロッパ映画が大好きなデニス・ホッパーがアメリカ映画の枠を飛び越えて主人公さながらに自由奔放に作っってみたらアメリカン・ニュー・シネマの出来上がり!って感じの意図せずして名作になってしまった感という印象があるが、新しい映画を作ろうという意気込みなしでは絶対にできえなかった映画であることも確か。実際この意気込みなしではラズロ・コヴァックスというヨーロッパ出身のカメラマンの獲得はなかっただろう。ストーリーは行き当たりばったり的ではあっても実はかなり洗練されており「自由」を哲学的に解体し、「自由」という名の不自由さにもがくアメリカが奇跡的なショットで綴られる。奇跡的なショットというのは作り手の意図を超えたものだが、この奇跡を呼び込んだのは「映画への情熱」であり「映画への挑戦」なのだと思う。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-08-17 10:28:35)
16.  インサイド・マン
スパイク・リーお得意の人種差別という負なるテーマを極力抑えて、アクション娯楽映画に徹しながらも最適なさじ加減で人種差別ネタを絡ませるあたりはさすがにうまいなぁと思った。オープニングのリズミカルかつ異国感漂う音楽がまさにそんな「スパイク・リーのアクション映画」を表現しているようだ。でもでも、なんなんだろうなぁ。もう一回見たら感想変わるかもしれないけど印象が非常に薄い。人種差別ネタのパロディのような使われ方は良かったけど、ストーリーのキーとなる銀行の会長の過去というものが社会派の風味を増してくれるものと思ったら増すどころか単なるストーリー上のキーで終わってて、もちろんそれはそれでいいんだけど、それなら娯楽作としてジョディ・フォスターとかウィレム・デフォーという超の付く有名俳優はもっとあばれてめだってくれなきゃと思う。この二人の役は無名俳優でしてくれたほうが作品の風味を活かせたと思う。
[映画館(字幕)] 5点(2006-07-24 19:22:38)
17.  偉大な生涯の物語
シーンの合間に映し出される情景や特に前半にあった遠景のショットが、この映画の扱う人物の崇高さを漂わせる神々しい美しさを発している。しかし中盤あたりからその美しさが消えている。ジョージ・スティーヴンス以外にノンクレジットながら二人の名前が監督の欄にありますがなにか関係があるのでしょうか。この作品、オールキャストながらけして俳優のスター性に偏った演出はなされずに、またわざとらしい見せ場も用意されずに作られていますが、すでに商業主義が何よりも優先されたハリウッドの大作でそれが出来たのはイエス・キリストという名前の重さゆえでしょう。ただ、その重さゆえに面白みにも欠けているような気がします。感情を露にしないこの作品のイエス像は製作者たちの宗教観から来るものなのか、キリスト教世界に彼らなりに配慮したものなのかわかりませんが、個人的にはすでに大ヒットを記録した『ベン・ハー』でけして姿を見せず声も発しない、まるで「神」そのもののイエス像が影響しているのだと思いました。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-20 15:13:50)
18.  イナフ 《ネタバレ》 
この作品はあくまでジェニファー・ロペスの洗練されたアクションを堪能する映画だと思うのですが、SFではなく現実の世界でより現実的な格闘を見せようとしたために敵を倒すための正当な理由作りのための前振りが長くなってしまったのが残念。裁判での勝機がないのはDVというデリケートな題材を描いているのではなく主人公を追い込んで戦いへと導くためのものでしかない。旦那がしつこく追いつづけるのも変質的な愛を描いているわけではなく、はたまた子供への父性を描いているわけでもなく、やっぱり戦いへと導くためでしかない。ある意味その割り切った姿勢は認めたい。でも旦那の確固たる信念をも感じさせる女性に対する偏見と恐るべき自己中ぶりに、何年もいっしょに暮らす妻が全く気付かないってのはどうでしょう、、と鑑賞する側は割り切れなかったりしています。
[ビデオ(字幕)] 4点(2006-03-24 19:42:16)(良:1票)
19.  インサイダー
いきなり娘の発作の際の説明台詞にうんざりさせられたものの、一貫して男の美学に拘ったマイケル・マン節はそれだけでぐいぐいと引きつけるものがあった。損得を超えたところにあるジャーナリストとしての信念を最後まで貫き通す男と人々のための研究という信念をタバコ会社の解雇をきっかけに蘇らせる男。実際の話とはかなり違うようだが、二人の男をとことん戦士と化すための脚色であり、ノンフィクションをうまくフィクションに昇華させた好例だと言える。惜しむらくは長いこと。そしてその長さゆえにあっちこっちと点在するアル・パチーノがいったいどこにいるのかが判りづらいこと。やたらと移動させないほうが時間も短縮できてスッキリすると思うのですが。
[DVD(字幕)] 5点(2006-02-14 17:14:20)
20.  偉大なるアンバーソン家の人々
『市民ケ-ン』とはある意味正反対の人生を送った男の孤独を描く。アンバーソン家の繁栄と衰退の歴史を、自動車の登場という時代の流れとともにスムースに見せてゆきます。破産後からラストシーンまでのあっさりとした展開とあっけない幕切れ、、もしかしてこれがいじられた個所なのでしょうか。だとしたら、登場人物の描写から時代背景まで実に丁寧に描かれていただけに残念です。時代が動くことを暗示させるダンスシーン、わがままし放題だった主人公の行く末を見届ける気持ちが時の流れとともに薄れゆく様の無情さ、大きな時の流れの中で人間の小ささが際立つ。、、うーん、やっぱりラストが、、。オリジナル版が見たい!
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-26 19:00:27)
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