1. 駅馬車(1939)
《ネタバレ》 普通に面白い。映画技法的には製作当時としては新しかったのでしょうが、今見るとそういうところは当たり前になったのか、よくわかりません。ストーリーとしては主役2人を中心としつつ、群像劇の要素も取り入れているのですが、そのバランスが適切。道中いろいろあって人物関係が微妙に変わってくるあたりが面白く、見ものでした。特にダラスとルーシーの女性2人がよかったです。ブーン先生もなかなか格好いい。しかしそのためか、最後の決闘がオマケに思えてしまうのはご愛敬。西部劇にはああいう場面が必要とされていたのですね。ユーモラスなところも多く、重厚さはありませんが、軽いタッチの娯楽作として楽しめました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-15 19:41:44) |
2. エル・シド
《ネタバレ》 カトリックのスペイン人とムーア人との争いかと思ったら、キリスト教徒同士で延々と争っていて、なんだかなぁという感じ。しかも人物の思考経路が単純すぎて、行動が短絡的に思われます。恋人が父の仇とか、けっこう複雑に悩む状況だと思うのですが、そういうところは見られません。そのあたりが、私にはむしろ「アメリカ的」と映りました。この単純さのため、話はわかりやすいですが深みが感じられず、重厚な歴史大作風ですが、いくぶん薄っぺらい作になってしまいました。戦闘場面はなかなか見せましたが。 出演者では、ソフィア・ローレンはさすがにスターの存在感がありましたが、それよりもジュヌヴィエーヴ・パージュの王女様が印象的でした。ミクロス・ローザの音楽はさすがに『ベン・ハー』を連想させすぎて、悪くはないですがちょっとどうかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-30 10:57:48) |
3. エリザベスタウン
父親の物語なのか、恋愛の物語なのか、そのあたりがはっきりしません。欲張ってあぶはち取らずになった感じ。コメディとしても、特に笑えたわけではありませんし……。スーザン・サランドンのタップダンス(というか、ほとんど盆踊り!)のように、部分的にはいいところがあったと思いますが、全体としてはマイナスが多いです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-04-16 21:42:48) |
4. エニグマ
《ネタバレ》 なかなかよくできたサスペンス映画でした。面白いのは、戦時下で主要人物は軍に所属しているのに、あらかた私情で動いているということ。戦争の正義とか大義名分とは対局のところにありますが、それもむしろサスペンス向けでしょう。主人公のトムはもちろん、彼が探していたクレアも、情報を漏らしていたパックも、軍よりは個人の感情を優先させています。とはいえ、そこが詳細に描かれているのはトムだけで、あとの2人はミステリーの「犯人」という存在ですから、あまり掘り下げられていなかったのは残念です。特にパックはポーランド人ですから、肉親を殺されたとはいえナチスに情報を流すというのは、ちょっと首をかしげます。クレアにしても、パックのどこに惹かれて愛したのかというのが不明ですし、そういう点では説得力に欠けますが、ミステリーとしては致し方ないでしょう。現実の「カティンの森事件」を扱っているのでもう少しドラマ重視にもできますが、あくまで背景にとどめているのは潔いです。 こうした点を除けば、イギリスらしい堅実で上質なミステリーでした。あくまでサスペンスなので、暗号解読の方法自体は理解できなくても大丈夫ですし。また中盤、Uボートからの暗号を傍受するためアメリカの輸送船団を危険にさらすという作戦が立てられるのですが、これが私情で動く主人公たちと対照的で、なかなか効果的だったと思います。 出演者では、サフロン・バローズがファム・ファタールらしく神秘的な美女でけっこう。対するケイト・ウィンスレットは、まんまる眼鏡で体型もちょっと丸く、コロコロしてかわいらしかった。この2人の対照も面白いですね。 ここでの点数は低いですが、どうも映画のポイントを外して鑑賞した方が多いようで……。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-29 16:59:11) |
5. Emma/エマ(1996)
《ネタバレ》 久々に再見。コメディタッチでいろいろと笑える点がポイント。おバカなエマの行動を、こちらも笑って見ていられます。エマの思い通りにならないことがことごとく起こるわけですが、そのたびにエマが見せる「え、どうなってるのそれ?」と言いたげな表情が特におかしい。エルトンに求婚された時は本当に頭抱えてました。グウィネス・パルトロウ、なかなかいい役者さんですね。さらに、振られたエルトンの結婚相手がエマそっくりの性格というのも爆笑もの。しかし、彼女が登場してエマのポジションを引き継いだからこそ、エマは新しい自分へと変われるわけで、これは原作者の策略ですが、かなりうまいと思いました。印象的だったのは、舞踏会でナイトリーがハリエットを誘う場面。カメラの動き、カット割りともすばらしく、ハリエットを心配するエマの心情がとてもよく表れていて感心しました。 ちなみに原作者のオースティンは、エマについて「私以外は誰も好きなれないようなヒロイン」と言っています。しかし私は、エマは嫌いじゃないです。困ったところもありますが、縁結びをしようというのは相手の幸せを願ってのことですから。おバカなところと相手を思いやる優しいところ、その微妙なバランスを描けたのは、やはり監督と役者さんの功績大だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-30 17:04:07) |
6. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 高校生か大学生の頃、三本立ての名画座で見ました。この時は字幕が読みにくいところがあったりして、全然いいとは思わなかった。 ところが今回再見したら、すばらしい映画ではないですか! いち家族を描くことによって、罪と罰、善と悪、人と人とのあるべき関係について、真理に迫るような深い考察を促されました。特に「人を許す」ことについて、いろいろと考えさせられます。人は一人では生きていけないのだ、誰かが必要なのだと痛切に感じました。もしかするとアダムやアロンは、その点勘違いしていたのかもしれません。 ジェームズ・ディーンは、役を演じるより「役になりきる」タイプなのでしょうね。おそらく本作では、演じたキャルと彼自身とがオーバーラップする部分が多かったのでしょう。その分存在感があり、非常にインパクトが強くなったと思います。それ以外のキャストもそれぞれはまり役。特にアブラとサムが記憶に残ります。 これはやはり、名画として今後も残したい作品です。時代や国を超えた普遍性があります。結局はそういうものが、人の心をつかむのでしょう。 [映画館(字幕)] 9点(2010-06-26 20:37:51) |
7. エスター
この手の「畏るべき子供」ものは以前からあって、その正体は悪魔の子供だったり宇宙人の落とし種(?)だったりします。で、今回ですが「オイオイ、そんなんかい!」というようなオチ。一応理屈はつけてあります。それに関する伏線もちゃんと張ってありますし、見直せばさらにいろいろ気づくかも。悪くはないけど、ちょっと脱力系? 演出は、この手の映画としては正統派でしょうが、怖がらせてやろうという気が満々で、それが逆にコケ脅かしになってしまったのは残念。ただ、最初は利発な子に見えたエスターが徐々に正体を現し、最後にアクションに持っていく段取りはよかったです。でも、温室で終わってもよかったかも。それも含め、全体的に濃いめでしつこい印象を受けました。それにしても、最近は残虐な場面も普通に映像化してしまいますが、そういうのはある程度押さえて、見ている側に想像させる方が怖いと思います。 ちなみに、原題は「孤児」の意味。見終わってから内心ニヤリとしました。 [映画館(字幕)] 7点(2009-10-10 20:28:09) |
8. エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~<TVM>
《ネタバレ》 どうしてもケイト・ブランシェットの映画と比べてしまうのですが、内容的に遜色はないと思います。テレビ映画なので時間の制限があり、エピソードを絞っているのですが、それがかえって功を奏したのか、集中して見られました。ただ、政治家ではなく「女性のエリザベス」であることを強調するためか、恋愛のエピソードが強調されすぎていて、ちょっと引いてしまいました。逆に、スコットランド女王メアリーとの関係は、よかったと思います。また、スペインとの戦いのさなか、兵士たちに檄を飛ばすあたりは、政治家としてのカリスマ性を感じさせ、これまたインパクトが強かったです。ロマンスの要素が薄ければ、もっと高得点になりましたが……。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2009-08-31 20:40:46) |