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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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261.  塔の上のラプンツェル 《ネタバレ》 
 基本的には女性向けのストーリーなのですが、所謂「王子様」役のフリンを語り部に配し、男性でも抵抗無く観られるバランスとしている事に感心。   名作童話が原作である為、どうしても「古き良きテイスト」を重視しそうなものなのに、演出から若々しい感性が伝わってくるのも良かったですね。  序盤にラプンツェルが唄う場面はスタイリッシュな魅力があったし、とうとう外に出た後に「はしゃぐ」→「落ち込む」を繰り返すギャグも分かり易く、好印象。   ラプンツェルの長髪をアクションの道具として活用している辺りも上手かったし、動きだけでなく「四十五回勝負」「三回勝負」という形で言葉の笑いも取り入れているし、感動的な自己犠牲もあるしで、本当に色んな面白さが詰め込まれているのですよね。  「女性客」「男性客」「恋愛が見たい人」「アクションが見たい人」「笑いたい人」「泣きたい人」と、幅広い観客層を意識して作られた、丁寧な品であると感じました。   中でも自分のお気に入りは、酒場で盗賊達が唄い出すシーン。 「命奪うより心奪いたい」 「こんな暮らししていても、夢見る心は未だ無くしてない」  といった具合に、歌詞も素敵でしたし、何より一見すると悪人にしか思えない盗賊が、実は良い人というか「悪人でも夢を持っている」という意外性を秘めていたのが、本当に好みでしたね。  劇中でも一番の名場面じゃないかな、と思います。   その一方で、終盤の展開は少し不満というか、予定調和過ぎるように感じたので、そこは残念。  上述の盗賊達が、それぞれ夢を叶えてくれるハッピーエンドだったのは、文句無しで素晴らしいと思うのですが、その直前の「フリンの自己犠牲がラプンツェルの涙によって覆される」「結局、ゴーデルは単なる悪人であり、育ての親としての情など無かった」という展開のせいで、興醒めしてしまったんですよね。  ここら辺を、もうちょっと自然に仕上げてくれたら、皆笑顔でハッピーエンドを迎える結末を、更に楽しむ事が出来たかも。   そんな具合に「本質的には女性向け」「終盤の展開が好みではない」などの要因があるにも拘らず、しっかり面白かったのだから、やはり質の高い作品なのでしょうね。  世の中には、色んな客層を意識し過ぎて、色々と盛り込み過ぎて、破綻してしまう映画もありますが……  本作は、そういった類の中でも成功例としてカウントされそうです。
[DVD(吹替)] 6点(2017-05-15 07:07:10)(良:3票)
262.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
 これは好きな映画ですね。  手に汗握る緊迫感とか、物凄いセンスの良さがあるとか、そういう訳じゃないんだけど、定期的に観返したくなるような魅力がある。   分析してみるに、やはりモンスターである蜘蛛の描き方が良かったんじゃないでしょうか。  見た目も怖過ぎず、気持ち悪過ぎずで、そこはかとなく愛嬌があるし、殺し方もそこまで残酷じゃない。  銃を持った人間と一対一なら負けちゃうけど、数の力を活かせば圧倒出来る。  移動速度も素早く、徒歩の相手なら楽勝で追い付き、バイク相手なら逃がしてしまう事もある。  知能は道具を扱える程ではないが、原始的な狩りの術は習得済み。  そしてオスの三倍も大きいメスという、視覚的にも分かり易いボス格の存在……  様々な点でバランスの良い、名敵役といった感じでした。   主人公側の戦力も程好いバランスでまとまっているし、何と言っても主武装がショットガンというのが自分好み。  モールに立て籠り、襲い来る蜘蛛の大群をショットガンで迎え撃つ場面とか、もう本当に大好きなんですよね~  こういうゲームがあったらプレイしてみたいなぁ、なんて思っちゃいます。   人物設定も良くって、男性主人公と、子持ちのヒロイン、幼い息子、年頃の娘と、もう完璧な布陣。  何でなのか分からないけど、こういう組み合わせって琴線に触れるものがあるんですよね。  「君も子供達も、纏めて幸せにしてみせるよ」という、男としての自尊心みたいな物が満たされるからかな?  息子くんの背伸びしている感じや、娘ちゃんの思春期な感じも、実に好ましかったです。  ・バイクに乗ったままジャンプし、空中で蜘蛛に蹴りを食らわせる。 ・金網越しに突き出た蜘蛛の足を、チェーンソーで一気に斬り落とす。 ・武装しろと言われた男が、ホッケーマスクにチェーンソーという「ジェイソンのようでいて、実は武器のチョイスがジェイソンじゃない」恰好をしてみせる。   等々、印象的な場面が色々と配されていて、観ている間ずっと飽きさせないのも良い。  客が少ないモールに、蜘蛛から逃げてきた人々が大挙して押し寄せるのを見て(ようやくモールに客が来たか)と喜ぶ町長のシーンなんかも、惚けたBGMと併せて、味わい深いものがありました。   誰も本気にしていないと思っていた「エイリアン襲来を警告するラジオ」のリスナー達が、終盤に駆け付けてくれるのも良いし「巨大蜘蛛に立ち向かうよりも勇気が必要な告白」をヒロインに対して行ったら、アッサリ受け入れてもらえて拍子抜けしつつ死地に赴く主人公って展開も、これまた素晴らしい。   無事に敵を一掃し、お約束のハッピーエンドを迎える結末まで、とても楽しい時間を過ごせました。
[DVD(吹替)] 8点(2017-05-03 07:40:53)(良:1票)
263.  ウォーリー 《ネタバレ》 
 これは、ちょっと困った一品。   何せ観賞後の自分の感想はといえば「性別というものが存在しないロボット同士の愛を描いた映画」だったりしたのですよね。  で、そういう観点でレビューを書こうと思いつつ、念の為に情報収集してみたら、どうも映画のパンフレットではウォーリーが男の子でイヴが女の子と表記されているらしくて……もしも、それが公式設定だとしたら、ちょっと寂しいです。  「じゃあ結局は、人間の男の子と女の子の恋愛をロボットに置き換えてみただけじゃん」という気がしちゃいますからね。   一応、映画本編から受ける印象としても「イヴという名前の時点で、イメージ的には女性キャラなんだろう」ってのは分かる気がします。  でも、そこはやっぱり性別不詳だからこそ良いというか「性別なんて存在しないロボット同士でも愛情(あるいは友情)は生まれる」というメッセージ性を受け取った身としては、主役の二体を「男の子」「女の子」に分けるのは無粋じゃないかなぁ……と思った次第。   そんな具合に、出鼻を挫かれてしまったというか「自己の解釈と作り手の意図が大きく外れている可能性」を感じてしまい、何だか憂鬱な気分に襲われたので、以下は簡潔に良かった点を。   まず、特筆すべきは宇宙船アクシオム内の描写。  中々のディストピア感が漂っており「船内という閉じ込められた世界」ならではの息苦しさも伝わってきました。  移動も機械任せにして肥満しきった人類の姿は、滑稽であると同時に醜くも感じられ「これはもう人類はダメかも分からんね」なんて思わされたくらい。  それだけに、彼らが機械の支配を拒否して、自立して、地球に帰還する結末が心地良い。  作中でキーアイテムとなる「靴の中に生えた植物の小さな芽」が、エンディグにて巨木に成長しているというオチも良かったです。  名作映画、名作絵画などのオマージュ演出も、綺麗に決まっていたかと。   正直、前半は退屈で「こういう台詞が殆ど無い実験的な内容なら、二十分くらいのショートアニメの方が切れ味鋭く決まったんじゃないかなぁ」と思えたり、主役二人が可愛過ぎるというか、ちょっと仕草などが「あざとい」萌えキャラに思えてしまい、ノリ切れなかったりもしたのですが、難点と呼べそうなのは精々そのくらい。   観賞後は、誰かと手を繋ぎたくなるような……そんな映画でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2017-05-02 08:54:33)
264.  タイムクラッシュ・超時空カタストロフ<TVM> 《ネタバレ》 
 なんたる後味の悪さ。   普通、こういった歴史改変を扱ったタイムマシンネタでは「より良い未来に変わる」「結局は元通り」のどちらかになるのですが、本作では徹底して「主人公の行いによって未来がどんどん悲惨になる」という内容になっているのですよね。  飛行機や地下鉄の事故から人々を救った英雄的行為が「億単位での人口の変化」「原発事故によるカリフォルニアの消滅」などの未来に繋がってしまうという、皮肉過ぎる展開。  しかも息子を救う事が出来てハッピーエンドかと思われた空気の中で「歴史を変えた大犯罪者」と主人公が断罪される形で幕を下ろすのだから、本当にもう「そこまでやるか」と呆れちゃうくらい。   細かい矛盾点というか、気になる点も沢山あって、例えば冒頭で重要人物かと思われた「黒服の時間旅行者」が中盤にてアッサリ死亡する場面なんかは「えっ、何でもっと抵抗しないの?」「何で暴走する列車の先頭車両に立ち尽くしたままなの?」と感じるし、リセット云々の作中の専門用語の説明が足りていないように思えるしで、観賞後にモヤモヤが残ってしまうのは残念。  それでも「過去にあった災厄の数々の現場写真に、いつも同じ顔をした男が映っている」という不気味な導入部、事故を止めようと奔走する主人公の姿など、観賞中は飽きさせない魅力と勢いがあり、不満よりは満足度が高い内容だったと思います。   正直、こういう後味の悪い映画は苦手なのですが、ここまでやられると「参りました」と脱帽する気持ちも大きいですね。  九十四分という上映時間の分だけ、しっかり楽しめた一品でした。
[DVD(字幕)] 6点(2017-04-27 20:56:02)
265.  憧れのウェディング・ベル 《ネタバレ》 
 「そうそう、こういうのが観たかったんだよなぁ……」と、ニンマリさせられる一品。   期待通りのラブコメといった感じで、安心して楽しむ事が出来ましたね。  音楽の使い方も良いし、出てくる料理も美味しそうだし、観ていて気持ち良い。   指を斬る、膝を射られるなどの「痛い場面」もありましたが、それも残酷になり過ぎない程度の撮り方をしている為、気にならない範疇。  「大丈夫。死にやしない」「誰か死んだ訳じゃあるまいし」という台詞の後に、葬式のシーンに移るというネタを天丼でやっちゃうのも、不謹慎ながら笑っちゃいました。   ラブコメお約束の「互いに浮気してしまう」というネタにしたって、女性側は酔ってキスした程度、それを知って自暴自棄になった男性側も本番直前までしか行ってないという形にしており、非常に配慮して作られているんですよね。  観客目線での「何も考えずに楽しめる映画」って、作り手側からすると、凄く気を使わなきゃいけないから大変だなって、改めて感じました。   「ドーナツ実験」の件も中々興味深く、面白い。  目先の利益に飛びつくタイプは、駄目人間が多いという実験結果に対し、それなりの説得力を感じていただけに、主人公がそれを否定し「出来たてのドーナツが貰えるという保証が無い」と指摘してみせる流れには、ハッとさせられるものがありました。   恋の当て馬となる男女についても、教授は最低男だったけど、オードリーの方は「口が悪いだけで、根は良い子」ってバランスだったのも好みですね。  両方とも「嫌な男」と「嫌な女」として描かれていたら、流石にゲンナリさせられたでしょうし、上手い着地だなと思います。   終盤にて、プロポーズのプランを再び台無しにするという、冒頭に繋がる脚本も鮮やかだったし、その後のスピーディーな結婚式も最高。   物凄い傑作という訳じゃないし、映画史に残る一品でもないでしょうけど……  こういうタイプの、観賞後に幸せな気持ちに浸れる映画って、好きです。
[DVD(吹替)] 7点(2017-04-26 23:46:27)(良:1票)
266.  ブリタニー・マーフィ in 結婚前にすべきコト 《ネタバレ》 
 男性目線のラブコメが好きなので「邦題に反して男達が主役の映画である」という情報を元に観賞。   まさか、ここまでラブコメ要素が希薄とは予想だにしておらず、流石に驚きましたね。  マリッジブルーな主人公と、それぞれ悩みを抱える男友達連中が自らの人生と向き合い、前身してみせるというお話で、どちらかといえば青春映画といった趣きの一品でした。   その「男友達連中」に、様々なタイプの人物が配されており「これから結婚して父親になる主人公」の他にも「既に結婚して父親になっている男」「父親になれない男」「男しか愛せない男」「結婚出来そうもない男」と、非常にバラエティ豊かな面子が揃っています。  この映画の良いところは、そんな風にタイプの異なる男達が、全員エンディングにて、冒頭よりも幸せになっている事でしょうね。  結婚しても、父親になっても、父親になれなくても、男しか愛せなくても、結婚出来なくても、人は幸せになれるのだというメッセージが伝わって来て、とても温かい気持ちになれました。   「男と女の間に友情は成立しない」なんて言葉があるけど、この映画では「同性愛者の男性と、異性愛者の男性の間に友情が成立している」という形なのも、興味深い。  自分の友達がゲイだと知り「やっぱり男同士のカップルだと、女みたいに面倒な事を言い出さないから楽なのか?」と質問するも「そんなに簡単じゃない。男女のカップルと同じ」と素っ気無く答えられるシーンなんか、妙なリアリティがありましたね。   終盤にて「絶縁状態だった父との和解」「無精子症である事を妻に告白」という感動的な場面があり、個々のエピソードとしては中々良かったと思うのですが、話の流れとして「あるがままの自分を相手に受け入れてもらう場面」が二つ続いている形になっており、そこは少し残念。  また「結婚出来そうもない男」がストーカー紛いの行動を繰り返し、最後も「元恋人(あるいは、その弟)の車のシートに小便する」なんて悪戯で溜飲を下げて終わる辺りも、流石にドン引きです。  作り手としては「感動だけでなく、こういった馬鹿々々しいコメディタッチな結末を迎えるエピソードもあった方が良い」と判断したのかも知れませんが、自分としては笑えなかったし、折角のハッピーエンドに水を差されたような気分。   それでも、結婚式当日にて、悩みを乗り越えた皆が楽しそうな笑顔になっている姿を見ると「良いなぁ……」と、しみじみ思えましたね。  登場人物が幸せになる姿を、ゆっくりと見守る事が出来る、優しい映画でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2017-04-26 04:55:05)
267.  ツーリスト 《ネタバレ》 
 こういった旅行気分を味わえる映画って好きですね。  列車に、船に、豪華なホテルと、観ているだけで楽しくなっちゃいます。   男性ならアンジェリーナ・ジョリーと、女性ならジョニー・デップとのロマンスを疑似体験出来るようにも作られており「恋」と「旅」とを求めて観賞するなら、まず満足出来る一品かと。  その一方で、サスペンスとしての魅力は薄めであり、あんまりハラハラドキドキはしなかったのですが、本作の場合、このくらい緩めの緊迫感が丁度良かったように思えますね。  なまじ血が飛び出したり、身の毛もよだつような恐ろしいシーンがあったりしたら、せっかくの「程好いバランス」が崩れてしまっていた気がします。   主人公カップルが出会った際に、ジョニー・デップ側が「ごめんなさい」と謝っており、それが後の伏線になっていたりする辺りも上手い。  所謂「主人公こそが犯人だった」オチな訳ですが、犯人といっても悪党から金を盗んだ義賊に近い立場である為、受け入れ易い形になっているのですよね。  また、アンジェリーナ・ジョリー側も「実は警官だった」という事が中盤にて明らかになる為「一方的に彼女を騙して、酷い男だ」という印象には繋がらず、自然な仕上がりになっていたと思います。   目立った難点としては、数学教師という設定が活かされていない事。  そして、金庫を開けて正体をバラすシーンにて、周りに警官が一人も残っていなかったのが、都合良過ぎるように思えた事でしょうか。  前者に関しては、金庫の暗証番号を数学の知識を駆使して解き明かす(つまりは、ヒロインと警察に最初から暗証番号を知っていた訳ではないと思わせる為に演技する)展開にしても良かったんじゃないか……なんて思いましたね。   この手の騙し騙されモノとしては珍しく、後味爽やかなハッピーエンドであった点については、凄く好み。  緩くて温めなロマンス旅行映画として、しっかり楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-04-19 18:55:08)(良:1票)
268.  テイキング・ライブス 《ネタバレ》 
 これは困った一品。   イーサン・ホーク演じるコスタの存在意義が「好青年と見せかけて実は犯人」という以外には思い付かないようなキャラクターの為、観ていて早々に犯人に気付いてしまうのですよね。  キーファー・サザーランドという大物を起用し、彼が犯人かと勘違いさせるべくミスリードを行っているのは分かるのですが「それで騙そうとするのは、ちょっと無理があるよ」という感じ。   最後の「実は妊娠していなかった」オチに関しても、事前に医者に告知されるシーンなどがなく、いきなり主人公のお腹が膨らんでいる展開なので、その瞬間からもう「本当に妊娠しているの?」と疑ってしまうんです。  だから、その後に真相が明かされても「あぁ、やっぱり」と嘆息するしかない訳で……本当に困っちゃいます。   そんな具合に、どうにも脚本が肌に合わなかったのですが、それでも何だかんだ退屈せず観られたのは、役者さんの力が大きいのでしょうね。  アンジェリーナ・ジョリーは前半の「出来る女」っぷりと、中盤以降の騙された「弱い女」っぷりの演じ分けが見事でしたし、彼女とイーサン・ホークの演技合戦を眺めているだけでも、何だか得した気分。  演出に関しても「相手を突き飛ばして車に跳ねさせる場面」や「エレベーターの中で犯人が母親の首を捥ぎ取る場面」などは中々ショッキングであり、良かったと思います。   低予算な映画が脚本によって救われて、傑作に仕上がる事がありますが、本作の場合は逆に、脚本の不備を役者さんの力によって補ってみせたというパターンではないかな……と感じられました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-04-19 02:05:42)(良:1票)
269.  パーフェクト・ゲッタウェイ 《ネタバレ》 
 ミラ・ジョヴォヴィッチの悪役は珍しいけど、結構良い感じだなぁ……と思っていたら、最後の最後で裏切りというか、彼女も被害者であったかのような展開になるのが残念。  元々彼女ってキツい顔立ちの美人さんですし、今回は徹底して悪女という路線を貫いても良かったんじゃないかと思えました。   同監督作の「ピッチブラック」が「悪人だと思ったら実は善人だった主人公」の話であるのに比べると、今作は「善人だと思ったら実は悪人だった主人公カップル」の話となっており、どうしても後味は悪かったですね。  途中から登場するカップル二組に主人公交代しているし、そちら目線で見ればハッピーエンドなのでしょうが、今一つその目線の変換がスムーズに行われておらず、彼らに感情移入する前に映画が終わってしまったという形です。   法螺噺っぽく口にした「頭蓋骨をチタニウムで埋められた」という一言が伏線となっている点には感心させられたし、練り込まれた脚本なのは分かるのですが、何というか「気持ちの良い裏切り方じゃなかった」という感じですね。  この手の「主視点の人物こそが犯人である」ネタって、よっぽど上手くやってくれないと褒める気になれないし、本作においては「自分達が犯人のはずなのに、何故か他のカップルに怯える主人公達」の描写が頻繁に出てくるので、ちょっとアンフェアな印象が強いです。   結婚式の映像で二人の顔が映らなかったり、脚本家のはずなのに映画の話になると歯切れが悪くなったりする時点で、観客としても「この主人公カップルは怪しい」と勘付くから、それほど意外性がある結末でもないし、その一方で「じゃあ、結局なんで他のカップル達に怯えていたの?」という疑問が残ったまま。  答えとしては「自分達が犯人だとバレるのを恐れていた」「別に犯人とか関係無く危ない奴らだと思っていたので怯えていた」「完全に被害者カップルになり切って演技を楽しんでいた」などが用意されているのでしょうけど、作中で明確にコレと示される訳でもないので、宙ぶらりんな印象なのですよね。  オチをバレないようにする為の紛らわしい演出が多過ぎて、そういうのは「上手い」っていうより「姑息」なんじゃないかと思ってしまいました。   物語の舞台となるハワイの景観は素晴らしく、観ているだけでリゾート気分を味わえる辺りは、好印象。  それと、普通なら真っ先に容疑者リストから外してしまうような怪しい男を演じていたのが、今やすっかり大物となったクリス・ヘムズワースというのも、上手い配役でしたね。  当時は単なる脇役に過ぎなかったのでしょうが、現代の目線からすると「怪し過ぎるけど、彼が演じているなら意外と犯人って事も有り得るかも……」と思える為、目眩ましとして非常に効果的であった気がします。   上述の通り、オチには納得出来ませんでしたが、程好い緊張感が味わえたし、なんだかんだで楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-04-18 23:02:08)(良:1票)
270.  七年目の浮気 《ネタバレ》 
 マリリン・モンローという女優さんは、ダメ男と絡むラブコメが似合うなぁと、しみじみ実感。   彼女に「可愛さ」や「色気」だけでなく「母性」も備わっているからこそ成立する話なのでしょうね。  ともすれば主人公に恋愛感情があったのに振られた為、強がって突き放しただけというヒロインになりそうなところを、彼女の演技によって踏み止まっている。  「相手を一人前の男として認め、その魅力を自覚させたいと願っている優しい女性」なのだと、しっかり伝わってきました。  その「母性」を示す為の小道具として「大アマゾンの半魚人」を用意し「あの怪獣かわいそう」「愛に飢えてるのよ」などと言わせる辺りも上手い。  そういった伏線が丁寧に張られている為、ラストにて笑顔で主人公を送り出す姿にも、全く違和感を抱かずに済みました。   冒頭にて「この話は先住民とは全く無関係」というナレーションが入るのに、実は意外と関係があったりするという惚けっぷりも良かったですね。  愛嬌のある映画、という感じがします。  シャンパンにポテチを浸す食べ方は真似してみたくなるし、二階に住んでいるモンローが階段を降りて会いに来てくれるシーンなんかも、男の憧れを満たしてくれるものがあり、印象的。  その他、動揺の余りトーストを零し、掌にバターを塗る主人公の姿にはクスっとしたし「マリリン・モンローかも」というメタな台詞も(当時既に、こういうギャグが成立する程に彼女は人気者だったんだな……)と思わせてくれて、微笑ましかったです。   そんな本作の難点は、とにかく主人公の独り言、妄想が多い為、少々辟易してしまう事でしょうか。  妻の幻影に対し、自分が如何に女にモテるかとしつこく語るシーンなんて、同じ男としては苦笑する程度で済んだけど、女性が観たらゲンナリしてしまうかも。  「あの種の女は口が軽い」なんて偏見を口にしたり、誤解ゆえに男友達を殴って気絶させたりして、好人物とは言い切れない性格である事も気になりましたね。  一種の錯乱状態だし、単なるギャグに過ぎないのでしょうが、ちょっと感情移入し難いキャラクターでした。   それと、劇中の通風孔のシーンは「あの有名なスティール写真とは違っている」という情報を承知の上で観賞したのですが、それでもいざ実際にその場面を観ると、落胆の念が大きかったです。  何せ、スカートが捲れ上がる時にはモンローの顔が映っておらず(これって影武者さんじゃない?)と思われても仕方ないような見せ方でしたからね。  ビリー・ワイルダー監督としても、検閲さえ無ければ、あそこはもっと扇情的な場面にしたかったのではないでしょうか。   都会的でオシャレな雰囲気が漂っており、今観てもさほど古さを感じさせない辺りは、純粋に凄いと思います。  浮気をテーマとしているけど、主人公は妻子を選んでみせるハッピーエンドであった点も、後味が良くて好ましいですね。  マリリン・モンローと浮気出来る可能性があったのに、それを蹴ってみせた男の話……と考えると、実は凄い映画なのかも知れません。
[DVD(字幕)] 6点(2017-04-03 20:59:44)(良:2票)
271.  バガー・ヴァンスの伝説 《ネタバレ》 
 とにかくもう、終盤における「真実の申告」の件が素晴らしい。   ボールは動いていないと訴えるキャディーの少年に対し「動いたよ」と告げて、自らペナルティーを背負う主人公ジュナの姿が、実に恰好良かったですね。  ゴルフは最高のスポーツだと笑顔で語った少年にも、自分自身に対しても、嘘なんて吐きたくないという毅然とした態度に、惚れ惚れさせられました。  優勝を争うライバル達も、そんな申告に喜んだりはせず「きっと君の勘違いだよ」と言い出して、堂々たる決着を望むものだから、もうたまらない。  戦っている三人が三人とも誠実で魅力的な人物である為、観ているこちらとしても、非常に爽やかな気分になれるんですよね。  「動いていない」と言えば、周りはそれを受け入れてくれる、誰も自分を嘘吐きと責めたりしないと承知の上で、それでもフェアプレーの精神に則り、真実を告げる主人公。  その姿を、ごく静かに、淡々と「ゴルファーであれば当然の事」とばかりに描いているこのシーン、本当に大好きです。   プレッシャーに耐え切れず、一度は逃げ出そうとしたジュナが「街の為に頑張ってくれ」と人々に声援を送られ、出場する事を決意するシーンも良かったし、ギャラリーが街中の車を集めてライトでゴルフ場を照らし、夜のラウンドを可能にしてくれる展開も、凄く好みでしたね。  ゴルフの試合に熱狂する街の人々が、本当に楽しそうで、ちょっとしたお祭り感覚なのも伝わって来たりして(こういうの、良いなぁ……)と、しみじみ感じたりしました。   決着のロングパットに関しても、それまでの伏線、音楽、演技、カメラワークなど、完璧と言って良い出来栄え。  カップインした瞬間に無音となり、浜辺のバガー・ヴァンスの背中を映し出すシーンで、初めて歓声が聞こえてきて、そこで祝福のステップを見せる演出なんかも、非常に御洒落だったと思います。   で、そんな本作の不満点はというと……実は、タイトルにもなっているバガー・ヴァンスというキャラクター自体には、そんなに魅力を感じなかったりしたのですよね。  ちょっと物言いが説教臭いというか、どこか宗教めいた匂いも漂っていたりして、どちらかといえば苦手なタイプでした。  実際、この映画のメインは明らかにジュナとハーディーの二人なのでしょうし「挫折した天才ゴルファーが、キャディーの少年との交流によって再生する話」というだけでも良かったんじゃないかなぁ……なんて、つい考えちゃいましたね。   それでも、冒頭で述べたシーンに関しては、あらゆるゴルフ作品の中でも一番好きだったりするし「全ては死に際の老人が見た走馬燈」と思わせておいて、やっぱり死なないでゴルフを続けるという惚けたオチも、妙に憎めなくて好き。   時々「面白い」という気持ちよりも「好き」という気持ちの方が強い映画に出会う事があるのですが、どうやら本作もまた、そんな一本みたいです。
[DVD(吹替)] 8点(2017-03-30 21:15:53)
272.  グレイテスト・ゲーム 《ネタバレ》 
 好みが近しいレビュワーさんが高評価されていたので、気になって観賞。  ゴルフを題材にした映画というと「バガー・ヴァンスの伝説」が好きだったのですが、本作もそれと並ぶか、あるいはそれ以上の傑作であるように思えましたね。   「ゴルフは紳士のスポーツ」という現代では好意的に解釈される言葉を「ゴルフは特権階級の独占物なので、貧民はお呼びではない」という意味で用いる導入部から、もう面白い。  こんな短いやり取りだけでも、当時のゴルフがどんなものだったかが端的に窺えるようになっており、ストーリー運びが上手いなと感心させられました。   「大会で英国人以外が優勝する事が如何に困難か」「アマチュアがプロに勝つ事が如何に有り得ないか」を存分に理解させた上で、金持ちの紳士でも英国人でもプロ選手でもない主人公が、まさかの快進撃を繰り広げる様を見せてくれるのだから、こちらとしても大いに興奮。  そんな主人公を支えるキャディーさんが幼い男の子であった点なども「事実は小説より奇なり」を地で行っており、面白かったですね。   試合中のカメラワークも非常に凝っており、ドライバーで飛ばされたボールとカメラが一体化したり、ロングパットの際には思いっきり俯瞰にしてみたり、パットを外した事をギャラリーのどよめきで事前に分からせてから改めてボールを映し出したりと、観客を飽きさせない作りになっています。   その他、細かい道具やルールなどが現代と異なっている事を、自然な形で分からせる辺りも上手い。  例えばティーショット(当時は呼び名が違ったかも?)の際に、キャディーであるエディーがミスをしてしまい、ボールの下に置く土の塊を零してしまうのですが、ここで「やはりまだ幼いので経験が浅い」という情報を伝えると同時に(へぇ、当時はこうやって土の上にボールを置いてから打っていたのか……)と観客に理解させる事にも成功しているのですよね。  こういったバランス感覚の巧みさには、本当に感心させられました。   史実を題材としているせいか、最後のパットが凄く簡単な距離であった事。  そしてヒロインの存在意義が薄い点などは、ちょっと物足りなくて残念。  ただ、そんなヒロインの代わりとばかりに、キャディーの少年や頑固者の父親との交流が描かれており、そちらの方はもう、大満足です。   プレーオフ当日、お偉いさんから「全米オープンなのだから、もっとベテランのキャディーを付けてやる」と言われても、その提案を拒否してエディーと一緒に戦う事を選ぶ主人公には「そうこなくっちゃ!」と喝采を送らされたし、ゴルフをやる事に反対していた親父さんに、最後の最後で認めてもらうシーンも、本当に素晴らしい。   全ては観客の予想通り、期待通りに進んでいきます。  主人公は奇跡を起こして優勝するし、世間体なんかより友情を選ぶし、父親とも和解する事が出来たという、素晴らしき予定調和。  素晴らしき王道の映画でありました。
[DVD(吹替)] 8点(2017-03-30 21:01:13)(良:2票)
273.  イベント・ホライゾン 《ネタバレ》 
 とにかく既視感のあるシーンが多過ぎて、さながら「最終絶叫計画」や「羊たちの沈没」をギャグ無しで大真面目に撮ってみせたかのような一品。   宇宙に関連したSF映画という狭い範囲に限っても「エイリアン」「ギャラクシー・オブ・テラー」「禁断の惑星」「2001年宇宙の旅」「ブラックホール」「惑星ソラリス」などのパロディとしか思えない内容となっており、オリジナリティが全く感じられなくて、困ってしまいます。  勿論、全部が全部「どこかで見たような場面」という訳でもないのですが、全体の七割くらいは無知な自分ですら「これって○○が元ネタじゃん」と気付いてしまうような仕上がりなんですよね。  だから、たまに「これは元ネタ分からないな、もしかして本作独自の発想なの?」と思えるような場面に遭遇しても、ただ単に自分が元ネタを知らないだけな気がしてしまうのです。   こういったパロディというか「元ネタありきの品」は決して嫌いではないのですが (映画なら「スター・ウォーズ」漫画なら「鉄人兵団」なんかも元ネタあってこそですからね)  本作に関しては、いくらなんでも過去映画の寄せ集め感が強過ぎて「そこまでやるか」と呆れる思いが強かったです。   とはいえ「ヘル・レイザー」をパロった地獄の拷問描写を見せる際には、わざわざ博士をピンヘッド風の形相に変えたりしている訳だから、多分これって意図的に元ネタが分かるような演出にしているのでしょうね。  ちょっと失礼な表現になってしまいますが「バレないようにパクるつもりなら、もっと誤魔化して上手くやるだろう」という気がします。  「フラットライナーズ」そのままな過去のトラウマに悩まれる描写然り「シャイニング」そのままな血の洪水も然り。  である以上、監督さんとしても本作にオリジナリティがあるなんて考えていないと思われるのですが、怖いのは「この映画の元ネタを知らない人々」がコレを観て「なんて斬新な映画なんだ」って誤解しそうな辺りでしょうか。  実際、この映画の制作年度が1950年辺りだったとしたら、凄く革新的で後世に多大な影響を与えた品だと思います。   こういう品に触れる度(もしかしたら自分も、元ネタを知らずに「○○は斬新な映画だ」と絶賛しているかも知れない)と考えてしまうんですが、そういうのって凄く恥ずかしいし、いたたまれなくなっちゃいますね。  別に元ネタだから後続の作品より無条件に優れているという訳でもないし、そんなの気にせず楽しむのが一番だとは思うのですが、この辺りは「Aという映画はBという映画のパクリなんだぜ」と知識自慢したくなるようなオタク気質が、我が身に染み付いてしまっているのかも。   映画そのものについては、上記の通り「どこかで見たようなシーンを継ぎ合わせたパロディ作品」としか思えず、面白いとは言い難いです。  それでもあえて良かった部分を探してみるなら、サム・ニールとローレンス・フィッシュバーンという、力のある俳優さんを起用しているのは大きかった気がしますね。  この二人が真剣にヘル・レイザーごっこしてくれている訳だから、凄く貴重な映像。  当初はウェアー博士が主役かと思われたのに、終盤にて悪役に回るストーリー展開なんかも、中々意外性があるかと。  ……ですが、そんな脚本についても「惑星ソラリスとヘル・レイザーだけじゃなく、シャイニングも元ネタにしているんだから、当然そうなるよなぁ」と思えたりして、やっぱり褒めるのが難しいですね。   元ネタありきの内容でも面白い映画は沢山ありますが、残念ながら本作はそれに該当しないように思えました。
[DVD(吹替)] 3点(2017-03-30 08:33:37)(良:1票)
274.  スーパーヒーロームービー!! 最'笑'超人列伝 《ネタバレ》 
 基本的なストーリーは「スパイダーマン」(2002年)を踏襲している事。  そして脇役ながらもレスリー・ニールセンが出演している事。   この二つの要素が、効果的に作用しているように思えましたね。  前者は「パロディ映画だけど、話の筋を追い掛けているだけでも面白い」という結果に繋がっているし、後者に関しては流石の貫録で、画面をビシッと引き締めてくれました。   下ネタもあったり、人死にが絡んだ際どいネタもあったりと、多少鼻白む場面もありましたが、相対的には楽しめた時間の方が長かったです。  肖像画と思ったら本人だった件と、ネイルガンでのやり取りに「五分だけくれ」の台詞なんかが、特にお気に入り。   一応はヒーロー映画調なのに最終決戦が盛り上がらない点や「とうとう空を飛べた」というハッピーエンドかと思いきやヘリに激突オチが付く辺りは微妙に思えましたが、その後のNG集(というか何というか)でトントン、といった感じ。  劇中曲も、結構良かったと思います。   こういったパロディ映画は基本的に「一度観たら、もう二度と観ない」というパターンが多かったりするのですが、これは例外的に「忘れた頃にでも、もう一度観てみたいな」と思わせるものがありました。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-29 10:25:44)
275.  スパイダーウィックの謎 《ネタバレ》 
 子供が活躍する映画は好きなはずですが、今一つノリ切れませんでした。  ファンタジーでありながらスケールが小さくて「籠城物」の要素がある辺りも良かったとは思うのですが、どうも心に響いてこない。   単純に演出やら何やらが好みに合わなかっただけかも知れませんが、こういう「好きな映画のはずなのに何故か楽しめなかった」パターンって、非常にモヤモヤしますね。  基本的には「好き」に分類される為、欠点を論うような真似をすれば罪悪感が生まれるし、かといって積極的に褒めるのも気が咎めるという、何ともコメントに困る状況。  とはいえ「理由は良く分からないけど微妙だった」で済ますのも不誠実でしょうから、以下は自分なりに感じた長所と短所を。   冒頭で姉がフェンシングをやっている事や、窓に塩が付いている事が実に分かり易い伏線となっており、それらがキチンと回収される点など、脚本はしっかりしていたと思います。  鳥好きのホグスクィールが「美味しいところを頂いていく」オチも良かったですね。  昆虫のアップや粘液の描写なども一応ありましたが、嫌悪感を抱くような描き方でなかった辺りも、嬉しいポイント。   で、気になる点としては……両親の離婚問題についてが挙げられるでしょうか。  最終的に主人公の少年は「母親と一緒に暮らす」という結論を下し、そこは中々感動的に仕上がっていたけれど、これって「父親が他に女を作っていた」と知った上での選択なので、作中の事件に密接に関係していないのですよね。  別に世界の危機を救うような体験をしていなかったとしても、そりゃあ母親の方を選ぶのが当然だよなという感じで、ちょっとエピソード間の繋がりが弱かったんじゃないかと。  ここで(今回の事件を通じて母子の絆が深まったのだ。だからこそ主人公は父親ではなく母親の方を選んだ)と感じさせるものがあれば、作品全体の印象も変わっていた気がします。   正直、退屈に感じた時間の方が長かったりもしたのですが「花の中から妖精のスプライトが飛び立つシーン」や「魔物が見えるようになるリングを手にし、フェンシングの剣で戦う女の子のシーン」など、印象的な場面も幾つかありましたね。  その為、それなりに(観て良かったな……)と思えた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-29 05:17:12)(良:1票)
276.  それでも恋するバルセロナ 《ネタバレ》 
   (結局、ヴィッキーとクリスティーナどっちが主役なの?)とヤキモチしたりもしたのですが、終わってみれば良いバランスだったように思えますね。    どちらかといえばクリスティーナの出番が少なめで、影が薄く無個性になってしまいそうなところなのに「欲しくないものは分かるけど、何が欲しいかは分からない」などの台詞によって、彼女というキャラクターを的確に表している辺りも上手い。  この手の恋愛映画ではお約束の「現実的な女性」「ロマンスを求める女性」という組み合わせな二人だったけれど、実は前者の方が内心ではロマンスを求めており、後者の方が意外と根っこの部分は現実的という対比も面白かったです。   序盤にて「彼はありがちなタイプじゃない」というクリスティーナの言葉に対し「ありがちなタイプって、ダグの事を言っているの?」と喧嘩腰に反論するヴィッキーという場面を描く事により「実はヴィッキーは婚約者のダグに物足りなさを感じている」と、観客に自然と覚らせるのも良かったですね。  こういう描写で、わざとらしさや押し付けがましさを感じさせず、すんなり理解させてくれるのって、凄い事だと思います。   「翻訳で失われるものは多い」という、字幕や吹き替えに頼っている身には耳の痛い言葉が劇中で飛び出す辺りも印象的。  この映画に限っても、字幕では「成就しない愛はロマンチックだ」と表示される台詞が、吹き替えでは「成就しない愛だけが本当にロマンティックだ」という台詞になっていたりするんですよね。  どちらかといえば、後者の言い回しの方が好み。  確かに色々と失われているかも知れないけど、翻訳によって生み出されているものも多そうだなぁ……と感じました。   ラストには「非現実」を求めた二人がそれに失望し「現実」に戻っていくオチとなる訳だけど、そんな二人が、実に味わい深い表情を浮かべていた辺りも良かったです。  安易な表現になってしまいますが「大人になった」というか、憧れていたロマンスさえも結局は下らないものだったと知ってしまった虚しさというか、そういうものを感じさせてくれました。   しかしまぁ、あれだけの事を「つかの間の恋」の一言で済ませ、婚約者には真実を告げないまま夫婦になるという辺り、女性は強かというか、怖い存在だなぁ……と再認識。  主人公の女性達に関しては、どうも感情移入出来なかったというか、最後まで距離を感じていた気がしますね。  それと、劇中では基本的に「退屈な男」とされている婚約者のダグが優しくて良い奴であり、作中の美女達にモテまくるファンの方が薄っぺらで魅力が無いように思えた辺りも興味深い。  これって作り手側も意図的にそうしたのかどうか、気になるところです。   観客もバルセロナを旅行した気分になれるという、バカンス映画に必要な要素がしっかり詰まっている辺りは、好印象。  途中出場にも拘らず、大いに存在感を発揮してくれたペネロペ・クルスも、忘れ難い味がありましたね。  ウディ・アレン監督作とは肌が合わない事も多かったりするのですが、これは中々楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-22 05:24:17)(良:1票)
277.  エグジット・スピード 《ネタバレ》 
 とにかく序盤の展開が早い早い。  登場人物の説明を手早く済ませ、バイカー集団との対決に至るまでをスピーディーに描き、痛快に突っ走ってくれます。  これは隠れた傑作ではないかとの期待が一気に膨らんで……その後、同じくらいの速度で萎んでしまった気がしますね。   如何せん、籠城戦に移行してからの展開が、非常にかったるいのです。  元々演出が冴えているとか、画作りにセンスがあるとか、そういう訳ではなく、ひたすら早く物語を展開させて、観客に余計な事を考えさせる暇を与えないからこそ、序盤は退屈せずに観賞出来たと思うのですよね。  その唯一にして最大の利点である「速度」が失われた後は、どうにもパッとしない。  終盤、じゃがいもバズーカが登場する辺りからは持ち直した感がありましたが、それでも中弛みの印象は拭い切れなかったように思えます。   敵となるバイカー集団が「悪魔の追跡」を連想させたり、じゃがいもバズーカ大活躍の件は「トレマーズ3」を連想させたりと、この監督さんとは映画の好みが合いそうだなぁ……と感じる場面もあっただけに、全面的に楽しめなかったのが残念でしたね。  言葉が通じないスペイン人のオジサンに、アーチェリーが得意なオタク気質の女性など、主人公以外にも個性的な面子が揃っているし、そんな中では地味な印象だった「子供想いのママさん」が、何としても生き延びて我が子と再会する為、止むを得ず人殺しを行う場面なども、良かったと思います。  最後は、お約束のハッピーエンドで〆てくれる辺りも、安心感がありましたね。   人物設定やストーリーなどは好みなのですが、個々の場面が今一つ洗練されておらず、退屈さを覚える時間も長かった為、胸を張って傑作とは言えない事がもどかしくなる……そんな一品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-20 05:57:39)
278.  アフター・アース 《ネタバレ》 
 ゲーム的な要素の強い内容ですね。  船尾という名のゴール地点、ホットスポットという名のセーブポイント、空気濾過カプセルという名の時間制限、ゴーストという名の無敵モード、といった感じ。   この「船尾を目指せゲーム」を主人公父子が頑張ってクリアしようとするのを見守る形になる訳なのですが、これがどうにもこうにも退屈で、困ってしまいました。  せっかく通信機によって父子は意思疎通が出来るのに、ナビゲイター役の父親は視力の低下と眠気によって殆ど役に立たない&必要な事以外は喋らないというんだから、盛り上がりようが無いんですよね。  喧嘩していた父子が和解し、協力する事によって危機を乗り越えるのかと思いきや、結局主人公が助かったのって「鳥による自己犠牲」「ゴーストの習得」という要素が大きいし、これらに必ずしも父子の和解や協力が必要だったという訳でも無いのだから、何とも中途半端。   どうやら制作側は本作を三部作の一作目とする目論みがあったらしく、父子の決定的な共闘を描くのは先延ばしにする腹積もりだったのかも知れませんが、どうもそれがマイナスに作用してしまったように思えます。  「危険度最高レベル」「全てが人類を殺す為に進化している」という地球の恐ろしさが、具体的に伝わってこないのも不満。  殺すどころか、地球の鳥が命を投げ出して主人公を助けている訳だし、それが「人間を殺す立場にあるはずの存在が、逆に助けてくれた」という意外性の感動に繋がらず「全然殺す気なんて無いじゃん」という拍子抜けに繋がってしまったのですよね。  鳥の自己犠牲(我が子を助けてもらった恩返し?)シーンの演出からすると、ここは宗教的なメッセージ性もありそうなのですが、信仰心なんて殆ど持ち合わせていない自分からすると、どうもピンと来ない。   そもそも序盤において「能力は高いが性格に難がある」という主人公の姿が描かれていた以上、改心するなり精神的な成長を遂げるなりするのが王道なのでしょうが、本作ではそんなの関係無しに「エリートの息子がエリートの父親と同じ超技術を習得して敵を倒す」というシーンがクライマックスとなっているので、物語の前後が繋がっていないような気がしました。  ここ、父親役のウィル・スミス目線で考えるなら「息子が自分と同じ力に目覚めて成功してくれる」というのは、そりゃあ嬉しいだろうけど、観客としては置いてけぼり気分です。   結局、主人公の「周りの意見を聞かずに独断で暴走する」という性格は作中で明確に改善される事は無く「父親の意見に背いて崖から飛び降りたお蔭で二人とも助かった」という形で、むしろ肯定的な結果に繋がっているのだから、何というか……主人公を最終的にどうしたいのか、着地点が見えてこないんです。  姉が目の前で殺されたトラウマを乗り越える事を主軸に据えたかったのだろうな、という事は窺えましたが、それなら上述の要素の数々は排して、もっとシンプルに「姉のトラウマを乗り越える主人公」という形だけに定めた方が良かったのではないかと。   ラストシーンで「母親と同じ仕事」を主人公が選び、父離れするのかと思ったら「父さんもだ」って最後まで父子一緒なのが示唆されるのも、凄く微妙。  仲が良いんだなぁと和む気持ちより、もうちょっと互いに親離れ子離れした方が良いんじゃないかって冷めた気持ちの方が強かったです。  「バッドボーイズ」や「ベスト・キッド」(2010年版)など、父子で共演しておらずとも面白かった映画があるし、二人とも好きな俳優さんであるだけに、何だか非常に勿体無く思えましたね。   舞台となる地球の風景などは中々壮観でありましたし、アクション描写なども悪くないと思います。  けれど、それ以上に色々と気になる点が多過ぎて、最後まで没頭出来ず仕舞いな、残念な映画でありました。
[DVD(吹替)] 4点(2017-03-19 22:53:56)
279.  羊たちの沈没 《ネタバレ》 
 この手のパロディ映画の中では、結構良く出来た品じゃないかなと思います。   笑いが下品過ぎなくて、観ていて不快になるシーンが皆無というだけでも安心させられるものがありましたね。  他のパロディ映画では、放屁だの嘔吐だのといった下ネタが多かったり、視覚的にキツい場面が頻出したりする事も珍しくないだけに(おぉ、意外と上品だな……)と感心させられたという形。  元ネタの作品を露骨に馬鹿にする笑いが皆無だったのも良かったと思います。   細かい不満点やら、目に付いた欠点やらを論ったらキリが無いだろうけど、それでも幾つかクスっとさせられる場面はあったし「腕時計」や「電話ボックス」の件なんかは、感心させられるものがありました。  「犯人は、アルフレッド・ヒッチコック……に変装した別人」というオチも、実に馬鹿々々しくて、憎めない。   ちょっと疲れている時とか、映画なんて単なる娯楽だろうと再確認したい時には、丁度良い一本かと。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-19 19:10:47)
280.  GAMER ゲーマー 《ネタバレ》 
 同監督作「アドレナリン」のラストでもゲーム風の演出がありましたが、本作でもラストに「全てはゲームの中の出来事だった?」と思わせる演出がありましたね。  現実と非現実の対比、今いる世界もまた誰かに支配されているゲームの世界なのではないかと、作り手の真意について色々と考えさせられる深い映画……なんて事は全然無くて、お気楽SFアクションとして楽しむのが得策な一本なのだと思います。   序盤において主題となるゲーム「スレイヤーズ」の勝利条件が不明な事とか、不満点は色々あったりするのですが「そんなの気にせず楽しんだもん勝ちだよ」と思わせる作品としての大らかさがあるんですよね。  ラストのゲームオーバー画面にしたって「全てはゲームの中の出来事。だから劇中で科学考証とかが間違っていてもツッコまないでよ」という免罪符であり「その代わり、色々アクションとかエロスとか詰め込んで、ゲームらしい楽しい映画だったでしょう?」というメッセージでもあったように思います。   それでも、せっかく主人公とプレイヤーの少年が意思疎通出来るようになったのに、その後に二人が全く絡まず、何の絆も生まれず、ラスボスを倒すのに少し手助けしただけで終わったというのは、何とも寂しかったですね。  あくまでも「ゲームの中で操られている主人公が、自分を取り戻し、家族も取り戻す物語」で終わらせたかった為、意図的にプレイヤー側の出番を減らしたのだと思われますが、そこはもうちょっと欲張って、両者の交流を描いても良かったんじゃないでしょうか。   俳優陣は豪華な顔触れの為(こんな人達をゲームのキャラクターとして操作出来たら、そりゃあ楽しいだろうな……)なんていう、不謹慎な欲望を刺激するものがあり、作中で「ソサエティ」が流行っている事への説得力にも繋がっていて、良かったと思います。  主人公の奥さんが扇情的な恰好をさせられて、四つん這いになった時のお尻がエロかったとか、でもそんな奥さんを操作している男は極度の肥満で、しかも裸でプレイしている姿が最高に気持ち悪かったとか、この設定ならではの印象的な場面が幾つかあるのも好印象。  「窮地の主人公を前にして、黒幕が自らの目論見について得意気にベラベラ喋り、それが中継されているせいで墓穴を掘ってしまう」なんていうテンプレ展開を、堂々とやってみせる辺りも、短所ではなく長所であるように感じられましたね。   全力で肯定するのは難しいけど、楽しめたか否かという基準で判断すれば、しっかり楽しむ事が出来た一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-16 20:28:18)
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