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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2011
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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341.  ウエストワールド 《ネタバレ》 
すんごく先進的な、逆に50年経った現在の方がより身近な恐怖に感じるテーマですね。 AIの暴走といえば1968年のSF金字塔キューブリックの「2001年宇宙の旅」を思い起こしますが、本作はテーマパークで起こる殺人事件という気楽さですので、件の名作が提起していた哲学的命題の解釈に悩むことは一切無く、見やすいです。 アメリカって73年当時で「テーマパーク」という娯楽施設のコンセプトがこうも進んでいたんですね。日本の地方都市に住んでいた子どものワタシにとって、当時娯楽施設は動物園に併設された遊園地かせいぜいデパートの屋上くらいのもの。ディズニー・ランドの情報を少女雑誌で読んでまさに夢の国だと圧倒されていた、そんな時代に今でも実現すれば大当たりしそうな過去世界体験型のテーマパークを(映画の中にしろ)創り上げ、それだけに留まらずコンピュータが人間の手を離れる恐怖をも織り込んだとはこりゃすごい。 やりっぱなしで後片付けせず、なラストもオチの無い怪談を聞かされたような恐さの余韻が残ります。 ユル・ブリンナーがターミネーターの原型だったとは知らなかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-22 23:18:42)(良:1票)
342.  4デイズ 《ネタバレ》 
鑑賞後たっぷり一日半は考え込んでしまった。 突き付けられたのは悪魔の質問。「目の前の子どもを殺すか それとも何万もの人命を犠牲にするか」 悲劇の規模を考えれば、理性的な選択はS・L・ジャクソンの言う通りでしょう。しかしわたし含め多くの人はキャリー・アン・モスなのではなかろうか。とてもじゃないが幼子の血で手を汚した後に正気で生きられるとは思えない。だからこそ、サミュエルはすでに狂気の人なのですが。 わたしは逃げるな・・。そして吹っ飛ぶな。周囲の人もろとも。申し訳ない。そんな訳なので私をFBI主任捜査官に据えないでください。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-13 14:56:57)
343.  レディ・バード 《ネタバレ》 
グレタ・カーヴィグの辞書によると17才=自意識過剰・見栄っ張り・自分探し&自分への過剰な期待そして親とは衝突の季節。たしかにそのとおり。イタくて馬鹿ですこの頃は。誰が言ったか傷だらけの十代ですわ。 シアーシャ演じるクリスティンを見ててわかるなあと思う一方で、痛さ、苦さを忠告してあげたくなるのは間違いなく老婆心てやつでありましょう。ああトシをとってしまった。 わたしはどちらかというと、うじうじと暗い十代でしたのでクリスティンのようにガツガツと積極的に行動に出られるタイプの子とはきっと気が合わなかったろうな。ティモシー・シャラメみたいなキラキラした男子なぞ、遠目に眺めるのが精一杯。ふう。 クリスティンに近い感性のタイプならこの話にノレること間違いなし。わたしはグレタ本人が演じた「フランシス・ハ」の不器用で間抜けぶりが突き抜けたヒロインの方が近しく感じますが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-12 23:39:44)
344.  16ブロック
まず、わーブルース・ウィリス老けたなあ。役作りもあるんだろうけど、目周りの疲れ具合とか身体全体のくたびれ&下がり感がはんぱなくて、ぱっと見ブルースとは分かんないくらい。 でもね、ちょっとこの作品はB・ウィリス当たり役かもしんない。観終わってそう思いました。ブルース・ウィリスといえばダイ・ハードのジョン・マクレーンが強すぎて、その後実にたくさんの作品に出演してますけど正直どの役も「彼でなければ」というのが無い(個人の感想です)。そこへこの16ブロック。バディ・ムービーの変化形のような作品ですが即席で作られた相方との呼吸がうまいこと合わせられており、ブルースは余裕すら感じられるベテランの演技を見せます。人に説教などできぬ過去を持つ男の苦悩と、決断した時の腹の括りぶり。ロートル警官の哀切すら感じさせるブルースの新境地ぶりにほう、と感じ入りました。 ところで、バリー・ホワイトってタイヤ泥棒だったんすか。エンドロールと共に流れる彼の歌声に聞き入りつつ、「ええ声してる泥棒」というシュールな画を思ったのはワタシだけですか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-07 23:43:17)
345.  ニノチカ 《ネタバレ》 
80年も前の作品なのに古臭さを感じさせない、卓越したセンス。台詞も笑わせ方もおしゃれです。脚本にビリー・ワイルダーが入ってるのか・・納得です。 クールな美貌のグレタ・ガルボは初めのうちの共産党の申し子みたいなカッチコチのキャラがハマってて、ここら辺が一番面白かったな。恋をしてどんどん柔らかくなってゆく彼女を見るのも楽しかったけど。 旧ソ連への批判も、笑いを削がないよう絶妙な匙加減に留めていて上手いですね。みんなとパリの歌を歌ってたら、つかつかと他人が横切って行ってしーん、となる場面とか。本来ならおっかないシチュエーションなのかもですが、笑っちゃいますよね。 ラストシーン、名前の電飾切れに抗議するやり方が共産圏のデモそのもの。最後までくすっとさせてくれました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-02 16:27:24)(良:1票)
346.  ハリケーンアワー 《ネタバレ》 
タイトルから連想されるような、暴風雨吹きすさぶ賑々しい(?)ディザスターものとはちょっと違います。ポール扮する新米パパは突然の災難に見舞われるのですが、これが本当に現実的な闘いなので観てる側の‶他人事ではない”共感度が高い設定となっています。 街中に突然出現した異生物が暴れるとか巨大宇宙船が現れるとかだと、それは想像の域を出ないパニックですが、天災となると我々もこの国土で何十年も体験しているわけで。停電となった病院に新生児と取り残されるシチュエーションは普通に起こりうることです。自分ならどうしよう?と途方に暮れました。 生命維持装置のバッテリーの持ち時間をわずか3分弱にしたのが状況困難設定として効いています。「一階まで往復できるだろうか」と心配し、看護婦さんまだかなあっとじりじりします。 いやはやアメリカってオソロシイなと思うのは災害時に乗じて現れる武装強盗とも対峙しなきゃならんのか、ということ。こんなケースは経験の蓄積が無いよ・・。天災も人災も恐ろしい。両方を赤子ともども生き延びたポールパパの必死の演技が光る遺作であります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-26 23:29:45)
347.  追いつめられて(1987) 《ネタバレ》 
80年代の作品で、ケビン・コスナー主演でこの邦題、どうせ女絡みの泥沼愛憎劇だろうと思ってずっとスルーしてきました。こちらのサイトの高得点につられて観てみたら、あらけっこうしっかりした構成のサスペンスだったのね。公開当時観ておけば前半のいかにも80年代ぽい、軽いちゃらちゃらした空気も鼻につかなかったろうになあ。 まったくセットにしか見えない艦と大嵐、真っ赤なオープンカーと豪華ヨットで船遊び、場所構わずすぐ発情するアメリカ人、という画もこの頃多かったよね。 なんせ軽薄な前半の中にも、数々伏線を仕込んでおいてあったとは天晴れです。時間の経過とともにどんどん袋小路に追いやられるコスナーは逃げの一手なれどいろんな手段で身をかわすギリギリ具合に手汗倍増ですし、長官付きのゲイ補佐官の意外過ぎる恋情にはぶったまげますし、ラストの大オチはそれまでの仕込みを全て回収する見事なものでした。久々に頭まで巻き戻して見直したくなる一本でありました。 ・・にしても証人としてやってきたホテルのボーイさんはあの恰好のままペンタゴンまで連れてこられたんだねえ(笑)着替える時間くらいあったでしょ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-22 23:28:04)
348.  ラスト・ターゲット(2010)
とても寡黙なので観る者が細部を想像力で補わなければならないストーリーは親切ではないのですが、話の流れを追うより画の余韻を味わうべき作品です。元カメラマンという肩書も納得の監督の美的センスが1シーン1シーンに反映され、女優の裸体の美しさや机の前にただ座っているだけのG・クルーニーのショットすら西洋絵画のようです。 小高い丘に石造りの建物が並ぶイタリアはカステル・デル・モンテのロケーション力は抜群ですし、銃を改造あるいは組み立てる時の手さばきは熟練の技術の粋とも言え、もう「画のチカラ」で引っ張ってくれます。 ただキャスティング。ジョージ・クルーニーは評価しづらいです。どこまでもヨーロピアンな香りの本作に、いつも歯痛をかかえていそうな単なる仏頂面のクルーニー。もともと表情に奥行きの無い表層タイプの彼はあからさまに「アメリカ人」なのですが、考えてみれば原題はThe Americanですし、ここはクルーニーで正解なのかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-29 22:57:58)
349.  ディザスター・アーティスト 《ネタバレ》 
トミー・ウィソーは幸福な方へ倒れたエド・ウッドですね。共通してるのはあふれんばかりの映画創作愛と、それがハイスピードで空回りしちまってるトコ。 ラストで「ザ・ルーム」とのカットが並行して流れるのだけど、J・フランコがトミーを完コピしているのに驚きます。ひえ、つまりホントに実在したんだ、こんな奴が。 ホンは書けない、台詞は覚えられない、演出は無意味、と創作のセンスの欠片もないトミーにいかに周りが振り回されたか、が本作の見どころではありますけど、エドの時と同じように役者もスタッフも最後まで投げ出さずなんだかんだで駄作を作り上げたことに、ある種の愛すら感じてしまうのでした。おばあさん役の役者に問うシーンがあります。「なんでこんな仕事を引き受けたの?毎日80キロも運転してまで」に答えた彼女曰く「だって私は役者なんだもの」・・人は突き動かされてどうしてもそれをやる、止めがたい情熱があるのですねえ。 トミー・ウィソーはラッキーな人です。お金には不自由しないし、生きているうちに本作のような裏話映画まで作られて称賛されている。エド・ウッドにも同じ感動を与えてあげたかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-26 23:44:41)
350.  こわれゆく女 《ネタバレ》 
G・ローランズの神経症演技が鬼気迫るコワさなので世間は大いにどよめいたわけですが。わたしはメイベルを見ている間、既視感でいっぱいでした。この手の女の人は50年前に限らず、いつでもどこにでもけっこう居ますよね。ざっと思い出してみても、法事の場で突然小学生レベルの発言をして場を冷やす親戚のオバサン、役員会で反対意見を出されたら忽ち興奮して絶叫調になる園ママ、スーパーでカートを押しながらずっと自らの信条を大きめの声で独り言ちている中年女性、等々平均からズレている人にはけっこう遭遇してきました。だからメイベルは普遍的な社会の1ピース。そんなに特殊ではないと思うけれど、まあ周囲を困惑はさせますよね。 P・フォーク演じる夫は一般的あるいはそれ以上の「嫁には普通であってほしい」という願望の強い性格であったので、この二人ベストマッチではないと思います。もっと彼女に心を寄せて物事を見ていれば、子どもが裸で走っているのを見てもカッとならずに事態を正しく把握することもできたのです。実際子どもらは扮装ごっこの最中で楽しそうでしたよね?相手の親御さんはメイベルのノリについてゆけず迷惑してましたけど・・。 「なんでそんなに尻が大きいの?」などと言って人間社会を困惑させる人格。でも子どもらはママが好き。メイベルは生き辛さを抱えていても虐待親じゃないし、反社会的でもない。ゆるりと一息つけるラストが象徴するのは、メイベル「たち」のことを生暖かく見守る社会であれかし、という監督のメッセージにも思えました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-21 23:50:37)
351.  ワンダラーズ 《ネタバレ》 
つるんでケンカして馬鹿をやる。いつの時代も共通の、男の子たちの青春が眩しく描かれます。一人一人皆キャラが立っているのでとても見やすい。女好きで仲間想いのリッチー、腕っぷしの強い正義感ペリー、口だけ達者の逃げ切りタイプのジョーイ。裏切者のターキーは最後まで惨めなまま。敵対チームもスキンヘッド系、チャイナ系、黒人グループとまあ色彩豊か。たくさんいるけどちゃんと見分けつきますね。ユニフォームがあるし、そんなものないアイリッシュ系は顔つきがすでに殺人者ぽくて、他グループとは次元の違うヤバさがあったり。 ケンカとパーティ、女の子へのイタズラ、彼女をめぐる諍い。若くて青くて、日々勢いで元気に生息しているように見える彼らにも複雑な家庭事情があったりとビターな差し味が効いています。 映画の終わりは青春の終わり。アメリカ社会はこの先ベトナム戦争が泥沼化して行くのです。ほとんど騙されて兵隊にとられたボールディーズの連中のこれからも、家から逃れて独立を目指すペリーとジョーイの将来も明るい展望を抱けそうにありません。リッチーは間違いなく嫁の尻に敷かれる人生が待ってるし。さらば青春。 フォーシーズンズの歌がぴったりハマる60年代の息吹がリアルに伝わりました。彼らがもっと不良化すると「ウォリアーズ」になるのね。(こちらも好き)対で印象に残る二作品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-14 23:25:49)
352.  バーン・アフター・リーディング 《ネタバレ》 
そうそうたる役者陣の珠玉の馬鹿演技が見られる得難い一本。皆すごいなあ。高い演技力を間抜けの発露に発揮するなんて。ほぼ全員馬鹿なんだもん。 J・マルコヴィッチはプライド高すぎて世間と折り合いつかずアルコールに逃げ、妻と職場からNGを突き付けられるも受け入れられないプライド馬鹿。その妻ティルダ・スウィントンは間男の本性もよう見抜けないくせに尊大なおバカさん。フランシス・マクドーマンドは冴えない人生が整形で逆転すると信じ込んでいる出会い系利用の痛い中年女。G・クルーニーはエロで頭いっぱい(笑)妻を裏切り、でも実は妻に切られていることにも気付かない能天気。そしてブラピの天然で純度の高い阿呆っぷりはこの面子でも真打ち。緊張感のカケラもない顔つきから仕草から、もう真正の馬鹿に見える。 馬鹿が引き起こす事件がバカすぎて深読みCIAは何のことだか全体像が掴めない。面倒くさくなってるお偉いさんのJ・K・シモンズのブルーの瞳が哀しげです。 F・マクドーマンドが勝ち残ったと言えるんでしょうな。しかし彼女の浅薄さもかなりのもんで、ロシア人に「こんな情報いらん」と突き返されたら「私は米国市民よナメないで」だって。その「米国の機密」を売ろうとしたくせに。 お馬鹿がわあわあ騒いで起こる事件は極めて無意味。この味わいを楽しめるかどうかはコーエン兄弟のファンであるかどうかにかかっています。わたしは好きです。 無意味に見えて本質はCIA批判なのだ・・って、そんなことはないよね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-31 23:44:22)
353.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
・・ああやだやだ。嫌だーこの映画。なんか怖がらせてくるというより、ヤな気持ちにさせる嫌がらせのような映画である。えげつないんですよねやり口が。小説に「いやミス」があるなら、こちらは「えげつなホラー」とでもジャンル確立できそうな。 悪魔信仰云々といった正統ホラー描写は宗教の違いもあってか、別に怖くない。けど人の気分を胸糞悪くさせる中盤まではホント消耗する。妹を事故で死なせた兄ちゃんが現実逃避するあのいたたまれなさ。翌朝長々と耳障りに響くトニ・コレットの絶叫。トニ・コレットのガサガサした感じの顔もしんどいが、あの娘役の顔がこれまたキツイ。一体どうやったらあんな不吉なオーラをまき散らす顔になるのか。あの子の担任になるのは絶対ゴメンである。 ‟親として絶対子どもに言ってはいけない”ことばかりを息子にぶつけるトニ・コレットの毒親ぶり。その言葉に削られてゆく息子の土気色の顔。えげつないって。誰だって辟易する。 「家」もヘン。やけに奥行きあり過ぎ、だだっ広い空間が多くて昔の旅館みたい。撮影のために建てたんだとか。生活動線を考えてない住居ってこうも居心地悪いもんなのか。 現代アメリカンホラーの最高作との呼び声高い本作、たしかに強烈なパンチは食らうけれど個人的には「怖い、でも美しい」シャイニング的ホラーの方が好み。ほんとやだったあ 二度と観ない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-20 23:45:20)
354.  華氏119 《ネタバレ》 
何故トランプが大統領になり得たのか。その原因を民主党政権の時代にさかのぼって多角的に分析した本作は、これまで「怒り」をベースにしたムーア監督に「疲れ」や「絶望」も垣間見えてアメリカの闇が深まった感がありました。 ごりごりに「左」の監督が民主党への批判をも縷々織り込んで展開してみせるは拝金主義に陥った米政治の混沌ぶり。彼の故郷ミシガン州フリントの水問題のくだりでは、「新しいアメリカの象徴」として輝かしく大統領に就任したはずのバラク・オバマの骨抜かれぶりが記録され、かの地の住民ほどではないにせよ日本人のわたしも衝撃を覚えました。 ヒラリーが献金漬けなのは有名な話だし、政治信条など無いトランプは時に民主党以上にリベラル発言をしたりで場は混乱。結果「どっちも嫌」という有権者を大量に生むことに。 これまで漠然と「米国は民主主義のチャンピオン」と思っていたけれど、実はかの国でも未だ民主主義は到達すべき理想形に過ぎないのだという学者の指摘には、問題がそびえたつほどの山積なのだと思い知らされます。 すぐになど変えられない。でも声を上げないとどんどん専横がまかり通る事態になる。その恐ろしさを胸に刻んで、この国でも選挙には必ず行かなくちゃ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-18 23:31:07)(良:3票)
355.  ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー 《ネタバレ》 
マイケル・マンとJ・カーンというのも幸福な取り合わせだと思う。「男」でなく「漢」を撮りたい監督と、武骨でちょっと粗野な感じも併せ持つカーン。この手の男優さんはめっきり少なくなりました。最近はみんな小ぎれいでデリカシーも満タンになっちゃって。 徹頭徹尾男汁が溢れ出る。金庫破りのシーンひとつにしても実に丹念に時間をかけてカメラ固定で「男子一生の仕事」ぶりを描写。ついでに仕事を成功させた直後のカーンの埃ですすけた顔も長映し。この時の満足げな表情もまた渋い。 嗚呼、己はカタギになれぬ身と悟った男は幻想を破り捨て、女房を追い出し手を血に染めに向かうのだ。自宅も店も後腐れなく破壊して。ボンネットに映える電飾の煌めき、夜の空を焦がす炎。映像も美しい。 どうですこのハードボイルド気質。撮っててシビれちゃっただろうなー。わたしはハードボイルド苦手なんですがね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-17 23:18:46)
356.  ウォー・ゲーム(1983) 《ネタバレ》 
コンピュータオタクの高校生が思いがけず軍のプログラムにアクセスできちゃって起こる大騒動。ありそうでなさそう、いやでもこの時代ならけっこうあるんじゃないか、と思わせる絶妙脚本ですね。なんせ自軍のコンピュータ画面の方を相手国の人間の言い分より信を置く。「ソ連の言うことなんか信じられるか」・・いかにも冷戦下の状況を反映していて妙にリアルです。 モニター画面の画はコンピュータが作った単なるシミュレーション。なのに緊迫するお偉いさんたち。同時進行でソ連側では「アメリカが勝手にパニクって言いがかりつけてきた」と思ったろうな。米国各空軍基地ではイキナリ将軍から直電かかってきて「なんだなんだ」と慌てただろうし、と想像するのも楽しい。いやAIがさらに進んだ現代では笑いごとではないか。 ‟フェリス”まんまのマシュー・ブロデリックが小賢しい顔つきで今作もハマッてますし、マシューのハラハラ脱出劇や高速で情報分析するコンピュータを見守るしかできない緊張感漲るクライマックスは見ごたえあり。さすがベテラン監督の手腕が光ります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-05 23:52:34)
357.  コンスタンティン 《ネタバレ》 
美しき霊媒師K・リーヴスの冥界バトル絵巻。もうとにかくキアヌを堪能するための映画です。タバコを吸うキアヌ、金の十字銃を構えるキアヌ、片膝ついて霊会と通じるキアヌ。彼の脚長小顔という8頭身スタイル、地獄の王もご執心の端正な美貌が画面の隅々まで映えまくりです。年をとっても器量が落ちない、ほんとキレイな男です。 毎度のことながら一本調子の表情も今作の「死にかけつつ悪魔祓いを余儀なくされる男」にハマっており、演技力の乏しさもカバーできております。 あと一息でフィンチャークラスのダークな美術も良いです。キリスト教義の解釈をすごく自由に広げたストーリーも意外なオチを見せてくれました。 勝手なコトをやってくれた息子や部下を大ボスらがシメたわけですが、神に怒られて翼をもがれたガブリエルが複雑な性格で笑いを誘います。本物かと思うほど人外の雰囲気を出すT・スウィントンとルシファー役のP・ストーメアが巧い。主人公よりも。でもこの映画といえば絶対的にキアヌ・リーヴスなのです。スターというのはそういうものなのよね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-04 23:10:44)
358.  名探偵ピカチュウ
観ている間何度叫んだかわからない。「可愛いー!」と。まさかいい年して小動物の可愛さに身悶えさせられるとは。日本での公開前から話題になっていた‟しわしわ顔”にはノックアウトされてしまった。手で涙をごしごししての、あの顔なんだよ。あああ~悶死寸前。 手に伝わりそうなふかふか感。体温の温かさも感じそうなリアルな厚み。ポケモン実写化と聞いて大方が抱いた危惧を完全に払拭してみせた映像技術とスタッフのポケモン愛に、大いに敬意を払いたいと思います。 その昔の「キャベツ畑人形」に始まって、アメリカのぬいぐるみセンスにはズレしか感じて来なかったのですが(そばかすが多いとか)まさか「カワイイ」カルチャーの国の民がUSA仕立てのピカチュウに心奪われるとは。いや可愛いなあ。しわしわ顔のぬいぐるみ欲しいなあ。 あ、お話ですか。ビル・ナイと謙さんがいたような気がするな。そして普通に面白かったんじゃないかな。
[地上波(吹替)] 7点(2020-06-29 23:29:38)(笑:1票)
359.  マネー・ショート 華麗なる大逆転 《ネタバレ》 
激震級の経済破綻、リーマン・ショックが何故起こったのか、その数年前からの金融界の動きを複数の投資家らの「読み」を交えながら解説してくれる本作、勉強になりました。 住宅市場の健全性を疑う‟先見性”を持った人たちは存在していて、それがすでに賢すぎて凄いんだけど同時に自分の読みを信じて大量の空売りをかける、その度胸の強さにもまた小心者の私は驚嘆した次第です。 恐ろしいのは、破滅が来ることを判っていたのはごく少数の人だけだったこと。大銀行も大手マスコミも彼らの訴えを相手にしない。だって格付けがAAAなんだもの。住宅債権が超優良物件なのは常識なんだから。クリスチャン・ベールが取引成立のあとメガバンクの連中に大笑いされていたように。 経済市場ってなんだか生き物のようで不気味にも感じましたねえ。ビビるのは債務不履行が明らかになったのに債権が値上がりする現象が起きたこと。まるで心臓が止まったのに血流が流れ続けているようではありませんか。なにこの生き物。さすがにクリスチャン・ベールもスティーブ・カレルも意味分かんなくて取り乱してましたね。もちろんその後予想以上の大破綻は発生するのですが。最終的にベールの会社の利益率が+411%だって(!!) 我々が暮らす資本主義社会の暴走した結果が2008年のこの事件。人類の英知をもってして、この繰り返しは是非とも避けたいものです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-18 23:18:45)
360.  砂漠の流れ者 《ネタバレ》 
まさか「暴力監督」サム・ペキンパーにこんなトボケた一作があるとは思いもしませんでした。なにしろペキンパー作ということで中盤くらいまでずっと、いつケーブル・ホーグが血の雨を降らせるのかと待ってましたよ。あれ、でもこのオッサン復讐だなんだと口にしててもさして怨念の熱量は高くなく、標的の一人にはなんかぐだぐだと情にほだされ(というか復讐が面倒になったみたい)、せっかく築いた自分の事業もくれてやる始末。おい。 惚れた女に再会したと思ったらあっけなく天に召されて、その最期すらどこかへらへらとお気楽で。なんとまあ。好きなことやってぽっくり死ぬ、これもペキンパー流の「漢の美学」なのかも。 ホーグの死の元になったのが次の時代の主役であるクルマだ、というのもね。彼らの時代の終焉を告げる象徴にも見えます。道なき荒野を馬と共に往き、自由に生き方を選べた時代はケーブル・ホーグと共に終わりを迎えました。 生も死も自己責任で、その分生命力も強くスケベ心も隠さず、「おっかなくない」本作のペキンパーの男たちはとりわけ魅力的でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-03 23:34:42)(良:1票)
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