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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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341.  12ラウンド 《ネタバレ》 
 良くも悪くも古風でオーソドックスな作りの為 (これが八十年代の作品だったら「スピード」の元ネタとして評価されたんだろうなぁ……)  なんて、つい考えてしまいましたね。  バスにエレベーターにヘリコプターと、様々な舞台装置を駆使して楽しませてくれるし、基本的には好みな作風のはずなのですが、この「既視感」は如何ともし難いものがありました。   主演にレスリングのスター選手であるジョン・シナを迎えており、身体を張ったアクションを見せてくれるのも嬉しいんだけど、基本的には「高所からの飛び降り」「飛び移り」という形であり、対人戦の要素が薄いというのも、何だか寂しい。  (こういうの好きだよ。好きなんだけど……もうちょっと、ココをこうして欲しかったなぁ)っていう、そんな歯痒さがあるんですよね。   この手の作品ではお約束の「実は目的は復讐ではなく金だった」オチに関しても(結局金だったのかよ!)と、落胆する気持ちが大きかったです。  一応、犯人としては「愛する女の仇を取りたいという想いは本物。でも、それはそれとして金も欲しい」という考えだった可能性もあるんですが、どっちにしても恰好悪いって話ですからね。  殆ど全編に亘って、主人公と犯人との戦いを描いた話である訳だから、もう少し犯人側にも魅力を感じさせてもらいたかったところ。   監督はレニー・ハーリンという大物ですし、演出には安定感があって、決して退屈はしなかったのですけどね。  序盤にてラブラブだった主人公とヒロインが、一年後には喧嘩しがちになっており、それがラストにて再び強く結ばれるというストーリーラインも、娯楽映画の王道を踏襲していたと思います。   それでも、あと一歩、自分が「好き」だと言える領域まで踏み込んできてくれなかった……そんな、もどかしくなる映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-07-06 19:21:45)(良:1票)
342.  ゾンビスクール! 《ネタバレ》 
 子供が大人を殺しまくる映画といえば「ザ・チャイルド」などの先例があります。  でも、子供がゾンビになるというパターンは初見の為、新鮮な気持ちで観賞する事が出来ましたね。   中盤以降は、お約束の籠城展開になる訳だけど、その場所が小学校というだけで、もう面白い。  「携帯電話の持ち込みは禁止」という校則+「ゾンビによる電話線の切断」という展開によって、入念に外部との連絡を遮断し、何とか脱出に成功したと思ったら、実は学校の外も地獄と化していた……というオチも、お約束だけど良かったと思います。   そんなベタな展開の一方で「主人公とヒロインが結ばれない」「序盤に腕を引っ掻かれたので、絶対に主人公もゾンビ化すると思っていたら、大丈夫だった」などのセオリー外しも、意図的に行っているのですよね。  主演のイライジャ・ウッドが「ホビット」と言われて意味深な反応をしたり、車にされた落書きの「しゃぶれ」というワードが伏線で、その犯人である子供を「しゃぶれ」と言ってから轢き殺すシーンがあったりと、脚本も色々と凝っています。  子供ゾンビが死体で遊ぶ残酷描写、そして彼らをピッチングマシンやカンフーを駆使して薙ぎ倒す大人達の描写なども、それぞれ「観客が見たいもの」を分かっているというか、サービス精神が感じられて、嫌いじゃないです。   ……っと、ここまで書いて気付いてしまったのですが、どうも本作って、ちょっと素直に褒め切れないような、微妙に感じる部分が多かったのも確かなんですね。  基本的にはゾンビ映画というだけで好みだし「主人公達は教師」「舞台は小学校」「ゾンビとなるのは子供達」というキーワードだけで(これは絶対に面白いはず!)と期待し過ぎたのかも知れませんが、それを差し引いても、観賞後の満足度は高くなかったです。   理由の一つとしては、根本的に敵が弱い事が挙げられそう。  序盤こそ(引っ掻かれるだけで感染するタイプか、こりゃあ子供ゾンビといえども油断出来ないな……)と緊張感も味わえたのですが、結局「大人は感染しない」という事実が中盤にて明らかになり、それ以降は死亡者すら出なくなりますからね。  これは流石に落差が激し過ぎるというか、何だか敵が勝手に弱体化したようにも感じられ、ノリ切れなかったです。  なんせ本当にゾンビ達が「凶暴な子供」というだけなので、一対一では「武装した大人」が圧倒的有利なんですよね。  じゃあ数の暴力で攻められるんだろうなと思ったら、一対多数でも結構余裕だったりして、全く危機感が無い。   その「敵が弱い」「主人公側が負けそうにない」という画面作りなせいで、ヒロインの彼氏による自己犠牲シーンでも(無理して残って戦わず、一緒に逃げれば良かったのでは?)と思えてしまうし、その後に「皆の為に犠牲になったアイツが、実は生きていた」展開をやられても、全然興奮しなかったです。  作り手側としては「実は生きていた」展開に説得力を持たせる為、敵に囲まれた状況から脱出しても不自然ではないような設定したのかも知れませんが(そりゃあ、あのくらいの強さの相手なら死なずに済んでも不思議じゃないよな……)と思えてしまったし、本末転倒ですよね。   最後に火を点けてゾンビ達を燃やすクライマックスに関しても、劇中人物はグラサンで格好付けて決めているのに、観ているこっちはといえば、完全に白けモード。  (貴重な液体燃料を使わなくても、そのまま逃げれば良いじゃん……しかも、ついさっき車がガス欠になるって展開やった後にコレかよ)なんて、意地悪な考えが浮かんできたくらいです。   一番不満だったのは、主人公グループに付き従う二人の子供達。  本当にもう「子供は全員悪役ってのも気分が悪いので、一応味方側にも付けておきましたよ。しかも男女の黒人と白人でバランスが良いですよ」くらいの存在価値しか見出せなくて、終盤に至っては台詞すら皆無で、実に勿体無かったです。  黒人少年の方なんかは、授業の際に主人公の書いた小説を読み上げるシーンがあったんだから、その後に「先生の書いた御話、面白かったよ。続きが読みたい」くらい言わせても良かったじゃないか、と思えましたね。  そうすれば「主人公にとっての、初めての読者」という関係性が生まれ、両者に絆が育まれるし、彼が糖尿病で倒れた際に、危険を承知で主人公がキャンディー菓子を調達しに行くシーンも、更に劇的になったんじゃないかと。   何て言うか、個々のパーツは決して悪くないんだけど、それらを乱雑に繋いでしまった……という印象ですね。  もうちょっと丁寧に作ってくれていたら「好きな映画」と断言出来そうだっただけに、勿体無い映画でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2017-06-09 12:23:23)(良:2票)
343.  テイキング・ライブス 《ネタバレ》 
 これは困った一品。   イーサン・ホーク演じるコスタの存在意義が「好青年と見せかけて実は犯人」という以外には思い付かないようなキャラクターの為、観ていて早々に犯人に気付いてしまうのですよね。  キーファー・サザーランドという大物を起用し、彼が犯人かと勘違いさせるべくミスリードを行っているのは分かるのですが「それで騙そうとするのは、ちょっと無理があるよ」という感じ。   最後の「実は妊娠していなかった」オチに関しても、事前に医者に告知されるシーンなどがなく、いきなり主人公のお腹が膨らんでいる展開なので、その瞬間からもう「本当に妊娠しているの?」と疑ってしまうんです。  だから、その後に真相が明かされても「あぁ、やっぱり」と嘆息するしかない訳で……本当に困っちゃいます。   そんな具合に、どうにも脚本が肌に合わなかったのですが、それでも何だかんだ退屈せず観られたのは、役者さんの力が大きいのでしょうね。  アンジェリーナ・ジョリーは前半の「出来る女」っぷりと、中盤以降の騙された「弱い女」っぷりの演じ分けが見事でしたし、彼女とイーサン・ホークの演技合戦を眺めているだけでも、何だか得した気分。  演出に関しても「相手を突き飛ばして車に跳ねさせる場面」や「エレベーターの中で犯人が母親の首を捥ぎ取る場面」などは中々ショッキングであり、良かったと思います。   低予算な映画が脚本によって救われて、傑作に仕上がる事がありますが、本作の場合は逆に、脚本の不備を役者さんの力によって補ってみせたというパターンではないかな……と感じられました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-04-19 02:05:42)(良:1票)
344.  パーフェクト・ゲッタウェイ 《ネタバレ》 
 ミラ・ジョヴォヴィッチの悪役は珍しいけど、結構良い感じだなぁ……と思っていたら、最後の最後で裏切りというか、彼女も被害者であったかのような展開になるのが残念。  元々彼女ってキツい顔立ちの美人さんですし、今回は徹底して悪女という路線を貫いても良かったんじゃないかと思えました。   同監督作の「ピッチブラック」が「悪人だと思ったら実は善人だった主人公」の話であるのに比べると、今作は「善人だと思ったら実は悪人だった主人公カップル」の話となっており、どうしても後味は悪かったですね。  途中から登場するカップル二組に主人公交代しているし、そちら目線で見ればハッピーエンドなのでしょうが、今一つその目線の変換がスムーズに行われておらず、彼らに感情移入する前に映画が終わってしまったという形です。   法螺噺っぽく口にした「頭蓋骨をチタニウムで埋められた」という一言が伏線となっている点には感心させられたし、練り込まれた脚本なのは分かるのですが、何というか「気持ちの良い裏切り方じゃなかった」という感じですね。  この手の「主視点の人物こそが犯人である」ネタって、よっぽど上手くやってくれないと褒める気になれないし、本作においては「自分達が犯人のはずなのに、何故か他のカップルに怯える主人公達」の描写が頻繁に出てくるので、ちょっとアンフェアな印象が強いです。   結婚式の映像で二人の顔が映らなかったり、脚本家のはずなのに映画の話になると歯切れが悪くなったりする時点で、観客としても「この主人公カップルは怪しい」と勘付くから、それほど意外性がある結末でもないし、その一方で「じゃあ、結局なんで他のカップル達に怯えていたの?」という疑問が残ったまま。  答えとしては「自分達が犯人だとバレるのを恐れていた」「別に犯人とか関係無く危ない奴らだと思っていたので怯えていた」「完全に被害者カップルになり切って演技を楽しんでいた」などが用意されているのでしょうけど、作中で明確にコレと示される訳でもないので、宙ぶらりんな印象なのですよね。  オチをバレないようにする為の紛らわしい演出が多過ぎて、そういうのは「上手い」っていうより「姑息」なんじゃないかと思ってしまいました。   物語の舞台となるハワイの景観は素晴らしく、観ているだけでリゾート気分を味わえる辺りは、好印象。  それと、普通なら真っ先に容疑者リストから外してしまうような怪しい男を演じていたのが、今やすっかり大物となったクリス・ヘムズワースというのも、上手い配役でしたね。  当時は単なる脇役に過ぎなかったのでしょうが、現代の目線からすると「怪し過ぎるけど、彼が演じているなら意外と犯人って事も有り得るかも……」と思える為、目眩ましとして非常に効果的であった気がします。   上述の通り、オチには納得出来ませんでしたが、程好い緊張感が味わえたし、なんだかんだで楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-04-18 23:02:08)(良:1票)
345.  スパイダーウィックの謎 《ネタバレ》 
 子供が活躍する映画は好きなはずですが、今一つノリ切れませんでした。  ファンタジーでありながらスケールが小さくて「籠城物」の要素がある辺りも良かったとは思うのですが、どうも心に響いてこない。   単純に演出やら何やらが好みに合わなかっただけかも知れませんが、こういう「好きな映画のはずなのに何故か楽しめなかった」パターンって、非常にモヤモヤしますね。  基本的には「好き」に分類される為、欠点を論うような真似をすれば罪悪感が生まれるし、かといって積極的に褒めるのも気が咎めるという、何ともコメントに困る状況。  とはいえ「理由は良く分からないけど微妙だった」で済ますのも不誠実でしょうから、以下は自分なりに感じた長所と短所を。   冒頭で姉がフェンシングをやっている事や、窓に塩が付いている事が実に分かり易い伏線となっており、それらがキチンと回収される点など、脚本はしっかりしていたと思います。  鳥好きのホグスクィールが「美味しいところを頂いていく」オチも良かったですね。  昆虫のアップや粘液の描写なども一応ありましたが、嫌悪感を抱くような描き方でなかった辺りも、嬉しいポイント。   で、気になる点としては……両親の離婚問題についてが挙げられるでしょうか。  最終的に主人公の少年は「母親と一緒に暮らす」という結論を下し、そこは中々感動的に仕上がっていたけれど、これって「父親が他に女を作っていた」と知った上での選択なので、作中の事件に密接に関係していないのですよね。  別に世界の危機を救うような体験をしていなかったとしても、そりゃあ母親の方を選ぶのが当然だよなという感じで、ちょっとエピソード間の繋がりが弱かったんじゃないかと。  ここで(今回の事件を通じて母子の絆が深まったのだ。だからこそ主人公は父親ではなく母親の方を選んだ)と感じさせるものがあれば、作品全体の印象も変わっていた気がします。   正直、退屈に感じた時間の方が長かったりもしたのですが「花の中から妖精のスプライトが飛び立つシーン」や「魔物が見えるようになるリングを手にし、フェンシングの剣で戦う女の子のシーン」など、印象的な場面も幾つかありましたね。  その為、それなりに(観て良かったな……)と思えた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-29 05:17:12)(良:1票)
346.  エグジット・スピード 《ネタバレ》 
 とにかく序盤の展開が早い早い。  登場人物の説明を手早く済ませ、バイカー集団との対決に至るまでをスピーディーに描き、痛快に突っ走ってくれます。  これは隠れた傑作ではないかとの期待が一気に膨らんで……その後、同じくらいの速度で萎んでしまった気がしますね。   如何せん、籠城戦に移行してからの展開が、非常にかったるいのです。  元々演出が冴えているとか、画作りにセンスがあるとか、そういう訳ではなく、ひたすら早く物語を展開させて、観客に余計な事を考えさせる暇を与えないからこそ、序盤は退屈せずに観賞出来たと思うのですよね。  その唯一にして最大の利点である「速度」が失われた後は、どうにもパッとしない。  終盤、じゃがいもバズーカが登場する辺りからは持ち直した感がありましたが、それでも中弛みの印象は拭い切れなかったように思えます。   敵となるバイカー集団が「悪魔の追跡」を連想させたり、じゃがいもバズーカ大活躍の件は「トレマーズ3」を連想させたりと、この監督さんとは映画の好みが合いそうだなぁ……と感じる場面もあっただけに、全面的に楽しめなかったのが残念でしたね。  言葉が通じないスペイン人のオジサンに、アーチェリーが得意なオタク気質の女性など、主人公以外にも個性的な面子が揃っているし、そんな中では地味な印象だった「子供想いのママさん」が、何としても生き延びて我が子と再会する為、止むを得ず人殺しを行う場面なども、良かったと思います。  最後は、お約束のハッピーエンドで〆てくれる辺りも、安心感がありましたね。   人物設定やストーリーなどは好みなのですが、個々の場面が今一つ洗練されておらず、退屈さを覚える時間も長かった為、胸を張って傑作とは言えない事がもどかしくなる……そんな一品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-20 05:57:39)
347.  DEATH GAME デスゲーム(2006) 《ネタバレ》 
 あるゲームをプレイ中に、自分の操作キャラが死亡すると、現実世界で自分も同じように死亡してしまう……という設定、非常に好みですね。  こういった馬鹿々々しいような思い付きを、そのまま形にしてみせた映画って、どうも憎めないです。   登場人物達は所謂ゲームオタク揃いなのですが、美男美女が演じている為か、あまり内向的な感じがせず、画面が華やかだった辺りも良い。  しかも、主人公の周りにはゲーム好きの友人が沢山いて、職場の上司までゲーム好きで仲良くやっているというのだから、何とも羨ましい話です。  そんな友人が次々に死んでしまう展開な訳ですが「主人公」「ヒロイン」「男友達」と、メインの三人は生き残る事が出来たし、ハッピーエンド色が強めでしたね。  その後に問題のゲームが市場に出回ってしまうオチも付く訳ですが、一種の予定調和という感じで、後味が悪くなったりはしませんでした。   怖がらせる為の演出も「車のバックミラーを調節したら、そこに謎の女が映り込んでおり、そのまま車内で襲われる」といった感じで、ベタゆえの安心感があります。  ゲームの世界で扉を開ければ、現実世界で開かない扉を開けられるようになるという形で、主人公側が「ゲームと現実のリンク」を逆手に取ってみせる辺りも、面白かったですね。  こういう「不条理で非現実的なルール」を強いられるタイプの作品で、そのルールを主人公達が活用し、普通なら出来ない事をやってみせる描写というのは珍しい為、大いに感心させられました。   そんな具合に、好きな部分が多かった映画なのですが……  終盤にて脚本が破綻しているというか、面倒になって細かい部分は投げ捨てたかのような作りになっている辺りが、非常に残念。  GAME OVERになったはずの男友達のスウィンクが生きていたり、ヒロインのアビゲイルが唐突に花占いを始めたりと「?」と思わされる場面が多かったのですよね。  自分が伏線を見落としていただけかも知れませんが、ちょっと納得出来なかったです。   それから、折角主人公達は助かった訳だから、その余韻というか「生還した喜び」あるいは「ゲームをクリア出来たけど、失った友達は帰って来ないという喪失感」のようなものを描くシーンがあれば、更に良かったんじゃないかと思います。  もっと丁寧に作っていたら、若々しい感性のホラー映画として傑作になっていた可能性を感じさせるだけに、惜しい一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-15 16:37:27)
348.  29歳からの恋とセックス 《ネタバレ》 
 劇中にて色んな男性と主人公が関係を持ち「結局、誰とくっ付くの?」と思わされるのですが、結論としては「誰ともくっ付かず、自分探しする事を選ぶ」というエンディングだった為、拍子抜けしちゃう人もいそうですね。  自分としては元々「誰と誰がくっ付くか」で引っ張るようなラブコメは好みではないという事もあってか、このエンディングは悪くなかったと思います。   他にも「私ふしだらな女だけど、悪人じゃない」との台詞が印象的で、本当に主人公のキャラクターを的確に表しているなぁ……と感心させられたりもしましたね。  正直、それほど性格が良い女性とは思えなくて、酔った勢いとはいえ万引き紛いの事もしちゃうし、男に対して他の男の悪口も言っちゃうしで、傍迷惑な存在なんだけど、妙に憎めない。  誰かのせいで自分が不幸になったんだと責任転嫁せず「私のせい」と認め、そこから前に進んでいくシーンなんかも、気持ち良かったです。   「誰かを愛するには、まず自分の愛し方を学べ」という名言を踏まえた上での「他人を愛せない内は、自分の事なんか愛せない」という台詞も良かったですね。  振り返って考えてみると、全体の内の一時間ほどは退屈だったりもしたのですが……  結末は中々秀逸な「終わり良ければ全て良し」タイプの映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-15 02:48:39)
349.  地獄の変異 《ネタバレ》 
 某探検隊風の予告編とは異なり、コメディ要素は皆無で、至って真面目に作られた一品ですね。   洞窟内の映像も美しく、しっかり作り込まれているのが伝わってきます。  ……ただ、どうも真面目過ぎるというか、強くダメ出しする部分も無いけど、大きく褒める部分も見つからない。  退屈はしなかったけれど、面白いとも感じなかったという、何とも微妙な印象を受けてしまいました。   楽しめなかった理由を分析してみるに、まず全編に亘って舞台が洞窟内に絞り込まれており、洞窟外のシーンが僅かしか存在しないので、息苦しい構成になっている事。  そして「主人公の兄が怪物に変異して敵対するのかと思いきや、最後まで味方のままで終わる」事が大きかったのではないでしょうか。  この辺りは「徹底して洞窟探検に拘った、潔い映画」「観客の予想を裏切る脚本」と褒める事も出来そうなんですけど、自分としてはマイナス点に感じられましたね。  前者に関しては、やはりずっと洞窟内のままだと画面が代わり映えしなくて単調になってしまうし、後者に関しては「頼れる兄との対比で情けない弟だった主人公が、最後まで情けないまま成長せずに終わる」という落胆に繋がってしまった気がします。   終盤の怪物達との戦闘、そして兄が完全に怪物になってしまう前に自己犠牲で相打ちとなる事を選ぶ展開などは良かったと思うのですが、実はヒロインも地底生物に寄生されており「怪物が地上に解き放たれてしまった」という後味の悪いオチが付く辺りも、ちょっと微妙。  ここの部分、ヒロインが寄生されていると分かった時の音楽や演出などが「えっ、何? まだ終わっていなくて続くの?」と思わせる感じだったもので、その後すぐ音楽が止んで完結を迎えるのが、何かチグハグだったのですよね。  それなら「実は彼女も寄生されていた」という衝撃と共に映画を終わらせる……具体的に言うと「ヒロインが立ち去る場面」で、そのまま終わらせて「主人公がヒロインを追いかけようとするけど見つからなくて途方にくれる場面」の数十秒はカットした方が、余韻が残って良かったんじゃないかな、と思えました。   それにしても「カタコンベ」といい「ディセント」といい、地下を舞台としたホラー映画って後味が悪いというか(うわぁ……)と感じさせる終わり方が多いですね。  これって偶々なのか、それとも「やっぱり地下系ホラーは、こういう終わり方じゃないとな!」という拘りのようなものが存在しているのか、気になるところです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-08 11:15:26)(良:3票)
350.  悪魔を憐れむ歌 《ネタバレ》 
 「真実の行方」や「オーロラの彼方へ」の監督さんが、こんな映画を撮ったのか?  と考えれば戸惑うけれど「ブラックサイト」と同じ監督と考えれば納得してしまうという、そんな内容の一品ですね。   悪趣味、バッドエンド、騙しの演出など、自分の苦手な要素が一杯詰まっているのに、それでも面白く観賞出来てしまったのだから困り物。  それだけ作り手の力量が確かなのだろうな、と思えるし「狡い」と不快感を覚える一方で「観客に対してフェアであろうという最低限の配慮はある」と認めざるをえない感じです。   例えば「猫からの目線で悪魔が主人公を見つめているカット」が中盤に存在している以上「猫に憑依したお蔭で悪魔は助かりました」というラストについても「そんなのありかよ!」とはツッコめないんですよね。  でもって「死にそうになった時の話だって、最初に言ったはずだ」と言われてしまえば「まぁ、確かにそうだけどさぁ……」と渋々認めざるをえないという。  「真実の行方」もバッドエンドだし「オーロラの彼方へ」もラストはサプライズがあったけど、その二作ほどは面白く感じなかったせいか「狡いよなぁ」とボヤきたくなっちゃいますね、本作の場合は。   中盤にて、歌を効果的に用いて「次から次に、色んな人達に憑依する悪魔の恐ろしさ」を描く件は、凄く不気味で良かったし、主人公の相棒と上司、どちらに悪魔が憑りついているのかと疑心暗鬼に追い込まれる終盤のやり取りも良かったしで、褒めるべき点は幾らでもあるのですが、如何せん結末が酷いと思うので、どうにも評価が難しい。  主人公に残された唯一の希望として、甥っ子が生き延びているのに、ご丁寧に悪魔に「あの甥っ子も殺してやる」とまで言わせているし……うん、やっぱり悪趣味です。   もしかしたら、悪魔を自らに憑依させて相打ちになるラストでは、有名過ぎる「エクソシスト」を連想するので、そこにもう一捻り加える必要性を感じたのかも知れませんね。  とはいえ、そもそも基本的なストーリーラインが「ペンタグラム」そのままな訳だから、あんまり気にしないで相打ちエンドでも良かったんじゃないかなぁ、と思えるのですが、どうなんでしょう。   世の中には勧善懲悪の物語が溢れているのだし、偶には悪が勝っても良いのかも知れませんが、自分としては受け入れ難い映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-22 03:40:25)
351.  サハラ 死の砂漠を脱出せよ 《ネタバレ》 
 観賞中  (何か、シリーズ物の中の一本って感じだなぁ……)  と感じていたのですが、原作小説は人気シリーズであり、これはその中の一作を映画化した代物だったのですね。大いに納得。   上記のように感じた理由としては「主人公と相棒のキャラクターが魅力的である」という良い点もあるのですが「観客が主人公達の事を知っているのは当然とばかりに説明が少なく、感情移入させる前に物語を進行している」という悪い点もあったりして、それが残念でしたね。  勿論、原作を読んでさえいれば解決する問題なのでしょうが、未読の身としてはキツかったです。   冒険映画として押さえるべき点は押さえてあり、夕暮れの砂漠をラクダで横断するシーンなんかは見惚れてしまう美しさがありましたし、ボートで河を移動するシーンなんかも楽し気で良かったのですが、どうも物足りない。  それは例えば「中盤の銃撃戦が妙にダレていて長い」とか「音楽の使い方もセンスは悪くないと思うんだけど、ちょっと派手過ぎる」とかいった、些細な違和感でしかないのですが、こういうタイプの映画って「観客に違和感を抱かせずに、気ままに楽しませてくれる」のが大事だと思うのですね。  その為、観ていて退屈したという訳では無いのですが「面白かった」とも言い難いのが、正直なところ。   もう一つ、大事な部分としては、砂漠を舞台にしているにも拘らず「主人公達が渇きに苦しみ、水を求めるような場面が存在しない」という点も気になります。  水質汚染というテーマを扱っている以上、手近な水をグビグビ飲んでいては不自然という配慮ゆえかも知れませんが、これは如何にも寂しい。   終盤にて遭難しかけた主人公達が、壊れた飛行機をヨットのように改造して移動手段とする場面などは痛快でしたし、良い所も色々と見つけられただけに、何だか勿体無いですね。  細かい部分を、もっと練り込んでくれたら傑作に化けたんじゃないかという、そんな可能性を感じさせる映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-21 23:55:24)(良:2票)
352.  13ゴースト(2001) 《ネタバレ》 
 終わってみれば、主人公一家の四人は全員生存しているのだから「安心して観賞出来るファミリー映画」とも言えそうな本作。   ただ、自分としては冒頭から登場する霊能者のデニスに感情移入していた為、彼が死亡する展開だったのが残念でしたね。  その後に幽霊として助言してくれるし、主人公を庇っての自己犠牲である以上「オイシイ役どころ」とも言えそうなのですが、その辺りの流れも少々唐突。  「こうすれば、ずっと嫌いだった自分を好きになれる」との事なので、動機は理解出来るのですが (せっかく魅力的なキャラクターだったのに、こんな風に殺すのは勿体無いなぁ……)  と、感動するよりも惜しむ気持ちが強かったです。  主人公一家には幼い男の子もいるし、年頃の女の子もいるし、彼らと交流を持たせるなり何なりして、自己犠牲の動機に「この家族を好きになったので、守ってあげたい」という要素を濃くしてくれていたら、もっと好みだったかもしれません。   翻って、主人公一家はといえば、良くも悪くも王道、無難な造形ですね。  強烈に心惹かれるものはありませんでしたが、ちゃんと善人揃いなので「生き残って欲しい」と素直に応援出来る感じ。  物語としては子供達に「人質」以外の役どころが殆ど与えられていない事、黒人家政婦が場を和ませるアクセント止まりな事は不満に感じましたが、あくまでも主人公である父親中心のストーリーなのだから、致し方無いところでしょうか。  母親の霊が、残された家族に「愛してる」と告げてから消えるラストに関しても、綺麗に纏まっていて良かったと思います。   「前後」に両断される弁護士の殺され方など、この手の映画に必要な残酷なギミックが、きちんと描かれていた辺りも好感触でしたね。  何というか「残酷さ」のバランスが程好い感じで、うわぁ……とドン引きしてしまう程でもないし、全くドキドキしない訳でもないという、巧みなバランス。  掛けると幽霊が見えるようになる眼鏡など、魅惑的なアイテムが登場して、ワクワクさせてくれる辺りも良かったです。   「後半の展開が好みから外れている」という点を差し引いても、それなりの満足感を得る事が出来た、安定度の高い一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-14 16:41:08)(良:1票)
353.  罰ゲーム 《ネタバレ》 
 作中で行われる「サイモンセッズ」というゲームに対し、全く馴染みが無かった事もあってか、今一つ楽しみ切れなかったように思います。   「ジョージ・マクフライ」ことクリスピン・グローバーが殺人鬼を演じている為か、襲われる若者達よりも、彼の方が主人公と呼べそうな作品なのですよね。  だから「殺人鬼がヒロインを監禁して、双子を産ませるオチ」に関しても、彼の目線からすればハッピーエンドという可能性もあるのですが……やっぱり後味は悪くて、満足度は低め。   「双子は両方とも生きている」と匂わせる描写が幾つかあり、その答え合わせがスタッフロール後に行われる遊び心なんかは、決して嫌いではないのですけどね。  ただ、それも「生きてたのかよ!」とツッコませてくれる一方で、結局はサイモンも殺人やら監禁やらの片棒を担いでいるなら「善と悪の双子」という対比も崩れる訳だし、何だか中途半端な印象に繋がってしまった気がします。  自分としては、ヒーローになるかと思われたザックが無残に殺されてしまった辺りも残念でした。   良かった点としては、やはりツルハシを使った豪快な殺し方が挙げられるでしょうね。  不謹慎な話ですが、こういう映画では殺害シーンに一種の「気持ち良さ」「爽快さ」を求められるものでしょうし、その点に関しては平均ラインをクリアしていそう。  森の中に無数のツルハシが飛び交い、何とかそれを回避するアクション場面なんかは、視覚的にも楽しかったです。  上述のザックの死体の中に隠れ、そこから飛び出して殺人鬼に鉈で襲い掛かるヒロインの姿なんかも、迫力があったかと。   「悪魔のいけにえ」の晩餐風景などもオマージュされており、スラッシャー映画として押さえるべき点は押さえてある為、妙に憎めない映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-13 21:18:11)
354.  PUSH 光と闇の能力者 《ネタバレ》 
 クリス・エヴァンスとダコタ・ファニングの共演という、二人が好きな自分にとっては夢のような映画です。   彼らが画面に映って、動いて、喋ってくれるだけでも満足……と言いたいところなのですが、ちょっと厳しかったですね。  監督の前作は「ラッキーナンバー7」との事なので、きっとドンデン返しが好きな人なのだろうなと推測しますが、どうも自分とは相性が良くないみたいで、残念。  思えば、あの作品も「ジョシュ・ハートネットが主演なのは嬉しいけど、内容の方は……」という感想だった為、それと同じ現象が再び起こってしまったようです。   細かい粗を指摘し出すとキリが無いのですが、大まかに三つだけ。  まず一つ目は、ヒロイン(カミーラ・ベル演じるキラの方)に感情移入出来ないというか、応援する気持ちになれない事。  なんせ彼女、登場して早々に「二人組の敵の片方を洗脳し、相棒を弟の仇だと思い込ませた上で、殺させる」なんて所業を披露してくれますからね。  これは流石に、やり口が悪役過ぎるというか、観ていてドン引きしてしまいました。  恐らく「洗脳によって殺人を行わせる事も出来る」と事前に描いておき、ラストの伏線にする意図があったのでしょうが、それ以前の問題として(こんなヒロイン、嫌だなぁ)と思ってしまった以上、どうしても受け入れ難いものがあります。  二つ目は、銃の弾切れのお蔭でピンチを脱するという展開が二度ある事。  まぁ、気にする程ではないかも知れませんが、そこはせめて一度っきりに留めて欲しかったなぁ、と。  あるいは、それも超能力のお蔭だったのかも知れませんが、自分が観ている限りでは「また弾切れかよ!」とツッコんじゃいました。  三つ目は、作中でスッキリと話が完結していない事。  キャシーの母親を救出する事が出来たかどうか不明だし、ラストのシーンも相手を殺せたかどうかハッキリ描いていないんですよね。  続編を意識していたのかも知れませんが、何とも消化不良な感じ。   超能力の演出はベタだけど、決して悪くないと思うし、演者の力もあってか主人公ニックとキャシーのコンビは好きだっただけに、物語に入り込めなかった事が残念です。  「状況を変えるにはスキルアップが必要」との台詞通り、作中で主人公の超能力が成長している辺りも観ていて楽しかったので、欲を言えばそれに説得力を与えるというか、細かい修行描写みたいなのがあれば、もっと好きになれたかも。   面白かったから続編が観たい……というよりは「これじゃ満足出来なかったから、続編で挽回して欲しい」「キャラクターや能力設定などは魅力的で、面白くなりそうな可能性は感じるから」という理由で、続編が観たくなってしまいました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-06 07:32:00)(良:1票)
355.  エラゴン/遺志を継ぐ者 《ネタバレ》 
 冒頭「ドラゴンに乗った人間」の目線で戦いが描かれる演出に興奮。  飛行速度なども程好くスピーディーだし、戦闘場面には「自分もドラゴンに乗って戦ってみたい」と思わせるような魅力がありました。   ……とはいえ、根本的に「これ一本では完結していない」と思えるストーリーであり、満足度が高かったとは言い難いです。  従兄弟のローランの旅立ちなどは中々情感を込めて描かれていたのに、彼はそれ以降全く出て来ないし、最後もラスボスというよりは中ボスを倒して一段落、という感じ。  わざわざ主人公に「期待外れだ、弱いな」なんて言わせているくらいなので、恐らく作り手としても意図的に「今回倒した相手は、単なる手下の一人に過ぎない」という演出にしたのでしょうね。  それは次なる相手の強大さを予見させる一方で「本作単体ではカタルシスを得られ難い」という結果にも繋がってしまった気がします。   とかく展開が早くて、サフィラの成長速度も凄過ぎて、主人公との間に絆を感じられない辺りも、困り物。  空を飛んだと思ったら、いきなり大きくなって、いきなり喋れるようになっちゃいますからね。  飛べるようになる為の訓練を行うとか、早く大きくなれるように餌を食べさせるとか、言葉を教えるとか、そういうイベントにも尺を取った方が良かったのではないかと、つい思っちゃいます。  サフィラ自体は「えっ、メスだったの?」という意外性、熱くなりがちな主人公とは対照的に落ち着いた性格に、青い宝石のようなデザインと、魅力的なキャラクターであっただけに、実に勿体無い。   馬で先行しているお姫様に、ドラゴンに乗って簡単に追いつくシーンなど「ドラゴンに乗れる事の素晴らしさ」は、ちゃんと伝わってくる作品なだけに、もどかしい思いがありますね。  粗削りながらも、夢のある映画だと思うので、出来ればもう少し丁寧に作って、続編も拝ませてもらいたかったところです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-01-30 06:57:58)(良:1票)
356.  ドラゴンハート 《ネタバレ》 
 王道のファンタジー映画として、綺麗に纏まっていますね。  何よりもドラゴンに存在感があって、彼が動き、喋り、飛ぶ姿を見ているだけでも楽しい。   ただ、主人公の設定が「凄腕のドラゴンハンター」というわりに、全然凄みが感じられないというか、ハッキリ言うなら強く見えないせいで、今一つ没頭出来なかったように思えます。  血生臭い発想ですが、彼がドレイコと出会う前の段階「凄腕のハンターとして各地のドラゴンを狩りまくる」話の方が面白くなるんじゃないか、なんてついつい考えてしまいました。   ストーリーの流れとしては「ドレイコと組んで村人相手に詐欺行為を働くほどに堕落していた主人公が、本物の騎士になる」という形でカタルシスを生み出そうとしているのは分かるのですが、その「詐欺行為」のパートが非常に楽しそうで、あんまり悪事を働いているようには見えなかった辺りも残念。  最後にドレイコが死ぬ自己犠牲展開になるのも、事前に「死んだら星座になりたい」と語られた通り、星座になってハッピーエンドというのが分かり切っており、完全に予定調和の内であるように思えて、ノリ切れませんでしたね。  この辺りは「王道の魅力」と褒める事も「先が読める退屈な内容」と貶す事も出来そうな、難しい部分。  そもそもドレイコが「心臓を分け与えて瀕死の王子を救う」理由が「善行を積めば死後に星座になれるから」というのだから、本作は非常に宗教的な話なのでしょうね。  その辺りが、信仰心の薄い自分の心には響かなかったのかも。   視覚的には十分に楽しめるし、キャラクター造形なども悪くない。  ハッピーエンドなので後味も良い。  色々と魅力的な要素は揃っているだけに、肌に合わない事が勿体無く思えた映画でした。
[DVD(字幕)] 5点(2017-01-30 03:37:17)(良:1票)
357.  ギャング・オブ・ニューヨーク 《ネタバレ》 
 序盤の乱闘シーンにて、白い雪が赤い血で染まっていく凄惨な演出は、流石スコセッシといった感じ。  少年院を出所する際に渡された聖書を、主人公が川に投げ捨てる場面なんかも、鮮烈な印象を与えてくれましたね。  これは傑作ではないか……と大いに期待が高まったのですが、その後は何だか尻すぼみ。   思うに、この映画の主軸は「主人公アムステルダムとビルの疑似親子めいた関係」のはずなのですが、その描き方が少し単調というか、シンプル過ぎるのですよね。  例えば、映画の中盤にて、主人公の父親である神父を殺したビルが「アイツは凄い奴だった」という調子で、神父を褒め称えるシークエンスがあるのですが、正直言って観客は、そんな事とっくに分かっているんです。  それは主人公も同様で、この告白を聞いても決定的なショックを受けたりしていない。  序盤の殺害シーンの時点でビルは神父に敬意を表しているのが明らかになっている訳だから、全く意外性が感じられないのです。   ベタな考えかも知れませんが、こういう話の場合は「親の仇と思って心底から憎んでいた相手が、実は良い奴だったと分かり、苦悩する」「ビルが神父に敬意を払っていたのだと知って、衝撃を受ける」という展開にした方が良かったんじゃないかなぁ、と。  本作の場合は「ビルは悪党ではあるが、一貫して憎み切れない魅力的な人物として描かれている」「最初から最後まで神父に敬意を払っているので、ビルには親の仇としての存在感が弱い」という形になっているのですよね。  主人公が最も動揺するのは「好きになった女の子がビルのお手付きだった」と知った時な訳ですが、これすらも「ビルは、その女の子に強い執着を抱いていない」と直ぐに判明する為、三角関係にすらなっていない。  咄嗟にビルの命を救った後に「ちくしょう、何で俺はあんな奴を助けてしまったんだ……」って感じに主人公が苛立つシーンさえも、観ているこちらとしては(いや、この関係性なら助けても全然おかしくないじゃん)とツッコんでしまう。  「親子」「宗教対立」「古い都市と新しい都市の対比」などといった様々なイメージが両者に投影されている事は分かるのですが、そんな代物を取り払って考えてみるに、根本的に二人が戦う理由が弱過ぎたように思えます。   だからこそ、最後の決戦も互いの想いをぶつけ合うような直接対決には成り得ない訳で、史実であった暴動や軍隊による鎮圧を絡めて、有耶無耶にしてしまったのではないでしょうか。  大砲の着弾の後に二人が倒れている姿なんて、ギャグにしか見えなかったりしますし「盛り上げて、盛り上げて、最後に肩透かし」という、一種の笑いを狙った構成なのでは……とさえ思ってしまったくらいです。   そんな本作で光るのは、やはりビル役のダニエル・デイ=ルイスの熱演。  ナイフ投げのシーンでは、惚れ惚れするような恰好良さを見せてくれましたし、一つの街を牛耳るギャングの親玉として、充分な説得力を備えていましたね。  「ビルが魅力的過ぎて、良い奴過ぎて、敵役や悪役として成立していない」と自分が感じてしまったのも、ひとえに彼の存在が強過ぎたせいかと。  戦いが終わった後に、無数の死体を見下ろして政治家が吐く「たくさんの票を失った」という台詞も、彼らにとって人命は「数字」でしかないと思い知らせてくれる効果があり、印象深い。  最後には、何だかんだで愛する彼女と一緒になってハッピーエンドという着地点な辺りも、安心感があって良かったです。   作り手としては色々考えて、力も注いで完成させた品である事は分かりますし、画面作り等のクオリティは高いと思うのですが「面白かった」とは言い切れない……勿体無い映画でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2017-01-20 06:58:44)
358.  ペリカン文書 《ネタバレ》 
 タイトルは知っていたけれど、ストーリーに関しては全く知らないという状態で観賞。   「仮説を唱えた論文程度を恐れて殺人を犯す訳が無い。きっと何かもっと深い理由があるはずだ」と思っていたのですが、中盤以降で「そんな深い真相なんてない」と気が付いてしまい、何だか大いに落胆させられましたね。  勝手に深読みし、期待しちゃっていた自分が愚かというだけなのですが、それにしても終盤において「どんでん返し」が無いのは寂しいし「真実を明らかにしてみせたカタルシス」も薄かったように感じられます。    理由を分析してみるに、こういった映画の場合は視点を「論文を書いた法学生」に定め、巻き込まれ方のサスペンスとして描く事が多いのですが、本作はその視点を意図的に分散させているのですよね。  それによって、法学生が明確な主人公ではなくなり「彼女も殺されるかも知れない」と緊迫感を抱かせる効果があったのかも知れませんが、自分としては「彼女に感情移入出来ない」「敵方も何を考えて、どんな行動をしているのか丸分かりなので、不気味さに欠ける」という結果に終わってしまった気がします。   若き日のジュリア・ロバーツとデンゼル・ワシントンの組み合わせは新鮮で、ただ立って話しているだけでも好感を抱いてしまう雰囲気が漂っているのは、流石という感じ。  総じて真面目に作られており、クオリティも決して低くはないのですが……  何だか、その優等生っぷりが「面白みに欠ける」と思えてしまうような、物足りない映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-11-23 15:02:09)(良:1票)
359.  ハッピー・フライト(2003) 《ネタバレ》 
 答案の摩り替えが「ハートマーク」によって判明するシーンに吃驚。  (いやいや、そんな訳ない。これは彼女に濡れ衣を着せる為に第三者が行った事だろう? だって、摩り替えた答案にわざわざ特徴的なハートマークなんて書いてある訳ないじゃん!)  と思っていたら、本当に彼女が犯人というオチだったのだから恐れ入ります。   突発的な思い付きによる犯行だったとしても、これだけ両者の筆跡に明確な違いがあるならば、普通は「摩り替えよう」なんて思わないだろうと、盛大にツッコんでしまいましたね。   一応は主人公の親友という立場であったのだし、別れのシーンでは謝罪と反省の言葉を述べさせて、それなりに綺麗にまとめてみせるか……という予想も裏切られ、互いに口汚く罵りながらのキャットファイトに発展した時には、もう唯々呆然。  ここのシーンって、作中では善玉として扱われている主人公も、親友の窃盗癖を黙認していた時点で同罪じゃないかという気がするし、何だか喧嘩している二人とも「嫌な女」に思えてしまって、観ているのが辛かったです。   主演のグウィネス・パルトロウは好きな女優さんだし、映画全体としては演出のテンポも良く、音楽の使い方も的確で、退屈する事無く観賞出来ただけに、脚本が肌に合わなかった事が、残念で仕方ない。   それでも、最後はハッピーエンドで〆てくれましたし、スタッフロールと共に流れるNG集では、上述の女優さん二人が仲良く喧嘩の演技をしている姿にホッとさせられたしで、不思議と後味は爽やか。  大きな欠点があるかも知れないけれど、小さな愛嬌を幾つも感じられて、どうにも憎めない映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-09-08 15:13:02)
360.  ワイルド・ワイルド・ウエスト 《ネタバレ》 
 スチームパンクな世界観は好みだし、真面目に作った馬鹿映画という雰囲気も決して嫌いではないのですが、今一つノリ切れず。   背景の書き割りが物凄くわざとらしい辺りなんかは、恐らく意図的な演出なのでしょうけど(普通に撮って欲しかったなぁ……)と、つい思ってしまいましたね。  女装ネタが二回続くのも食傷気味でしたし、黒人差別問題やら虐殺やらの陰鬱なネタと陽気な作風とのギャップも気になります。  何よりの問題は、折角ケネス・ブラナーが印象的なラスボスを演じてくれていたのに、彼を倒すシーンが呆気無さ過ぎた点でしょうか。  そういった基礎的な部分をキチッと仕上げてこそ、ふざけた部分の魅力も引き立つと思っているので、クライマックスの消化不良感は、実に残念。   けれど、本作独自の魅力も幾つかあって、どうにも憎めない映画でもあるのですよね。  特に巨大な蜘蛛型ロボットのインパクトは凄まじく、西部劇風の荒野を雄大な機械が闊歩していく様は、実に素晴らしい。  自動追跡首切りマシーンの原理が「磁石」という馬鹿々々しさも良かったし、それらを倒す方法が「二つを衝突させて自爆させる事」という辺りにも、王道な面白さを感じられます。  主人公コンビが二人揃ってヒロインに振られてしまい、憮然とした表情のまま、シンクロした動作で帽子を被ってみせる場面なんかも良かったですね。  紆余曲折はあったけれど、最後の最後で二人は息の合ったパートナー同士になれたのだな、という事が伝わって来て、ほのぼのとさせられました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-24 22:29:46)
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