Menu
 > レビュワー
 > tottoko さんの口コミ一覧。19ページ目
tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2012
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566676869707172
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566676869707172
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566676869707172
>> カレンダー表示
>> 通常表示
361.  ウインド・リバー 《ネタバレ》 
まず、未だに先住民居留地なるものが存在するとはびっくり。やせた土地に追いやられ、米国社会の末端に置き去りにされたままのネイティブアメリカンたちがそこにいました。 アメリカらしく道路だけはどこまでも整備されて通っているし、四駆のクルマはデカくスノーモービルも行き渡っているようだけど、カメラが捉える地域の画は見るからに活気が無い。仕事は無いし犯罪は多く、捜査の手もまともに入らない。地元警察署長の台詞「孤立無援には慣れてる」が、背景の全てを言い切っていますよね。まず先立つ諦め。 風土は厳しいし、社会がこんなんでは登場人物らがほぼ全員激渋で重く暗い表情なのも無理ありません。だからFBI捜査官のE・オルセンをフロリダ育ちという南国者に設定したのかも。彼女の、この土地と真反対のさくさくした懸命さが作品のアクセントになりました。 実話ベースゆえ事件に大きなひねりがあるわけではないのだけど、排他的な雰囲気や閉塞感がまとわりつくこの地域のサスペンス風土に心がやられます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-01 23:50:52)
362.  ドリーム 《ネタバレ》 
まだまだ黒人差別が色濃い60年代にNASAのプロジェクトに貢献した3人の黒人女性のお話。偏差値が超高い人たちの社会であっても道徳的価値観は知性とはまた別なモノなのね、と戦慄すら覚えました。 黒人専用のトイレに毎度800mも走るなんて。「自分たちの」コーヒーサーバーから彼女がカップに注いだ時の白い目。データを黒塗りする同僚。働きづらいことこの上ない環境下でも、彼女らは街中で暴徒と化す同胞らと違い、黙々と自分の成すべき業務をこなすのですね。悔しいったら。でもその分、ついに上司にブチ切れた場面が活きました。「考えてもみなかった」彼女らの被差別環境にようやく気付いて呆然とするケビン・コスナーの表情が良いです。コスナーはこのところ良い仕事をもらえているようで。演技幅の広い人ではないけれど、今作の”リーダーシップのある上司”像は彼にとっては十八番といっていいほどのハマり役ですから、とても説得力のある存在でした。 原題(Hidden Figures)の指す通り、NASAにこんな切れ者の黒人女性技術者がいたとは全く知らずにいて驚きました。でもこの驚きの中身って「黒人の、それも女性が活躍していたとは」に他ならない。キルスティン・ダンスト扮する上司に投げかけられた言葉「貴女が偏見などないと思い込んでいることは知っている」これはそのまま私にも当てはまるのだと気づいて、うっ、となりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-11 23:16:28)(良:1票)
363.  ローン・サバイバー 《ネタバレ》 
序盤こそ戦地モノにありがちな、人物紹介と隊の雰囲気描写で大して期待させない入り口なのですが。これが作戦が始まるととたんに引き締まります。予定にない判断を迫られ、無線は通じず任務遂行どころか撤収半ばで命を落とすかも、の地獄絵図。 このカメラワーク、カット割り、肉体の痛みを伝える臨場感といった技は数多の戦争映画と比べてもトップレベル。「痛たたた」と何度顔をしかめたことか。 絶命する米兵のスロー描写はいかにも英雄扱いですし、タリバンと敵対して身を挺して助けてくれる地元の村人ら、一から十まで米軍寄りの描き方ではあります。事実を盛りに盛って娯楽作品に堕としたとの指摘もあるみたいですけど、それもきっと正しいのでしょうけど、少なくとも私は戦争の酷いこと、無意味なことは充分感じました。「こんなこともうやめようよ」と何度も思ったよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-10 23:30:14)
364.  アラバマ物語 《ネタバレ》 
宣材スチール等ではG・ペックの姿が大写しなので彼が主役の話なのかと思っていたら、あにはからんや彼の子ども達の成長物語だったのですね。学校に上がりたての年頃の子の目を通して見る32年の米国社会。子どもだけど大人社会の諍いや差別などの現場に居合わせて社会の実相を学び吸収してゆく兄妹(とその友人)。 知的障害の隣人を事件の中心人物として世間に晒してしまうことはマネシツグミを殺してしまうこと。こんな高度な解釈を8歳やそこらで理解してしまうスカウト。彼女や兄を正しく導いてくれる父親が側にいてくれて本当に良かったです。強く正しく、そして頑迷ではない、”折り合う”知恵も携えた人物にグレゴリー・ペック。まあ前後50年にわたってハリウッド中を探しても彼以上にハマる役者はそういないのでは。当然のオスカーです。 スカウト役のメアリー・バダムも良いですね。おてんばな米国の女の子像はローラ・インガルスを彷彿とさせます。親子ともにアメリカの理想形が凝縮した良心溢れる名作であります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-09 23:01:42)
365.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。 《ネタバレ》 
後半になると脅かし方がワンパターンになってしまってホラーとしてはさほど突出した出来ではないかもしれません。けど、このお話は13歳の群像を描いたジュブナイル作品でもあり、やはりキング原作の「スタンド・バイ・ミー」にも劣らぬ「思春期前半」のきらめきや瑞々しさが息づいています。 ”ルーザーズ”は7人もいるのだけど、各人に個性をちゃんと持たせてキャラ立ちできています。正義感が強くてどもりの主人公、口の減らないメガネ、ラビの息子、過保護の潔癖症、地元史オタクの太っちょ、親を亡くした黒人の男の子、父のDVに苦しむ女の子。よし覚えた。皆が成長した次作もこれでばっちり見分けがつくはず。たぶん。 敵役のでこぱちピエロは目つきが悪く、急にでかくなったり口の中が異次元だったり、いかにもアメリカンな邪悪っぷり。巨悪と戦うことにより仲間との絆を深め、各々の人生の課題をも乗り越える力を得てゆく13歳たちに素直にエールを送ります。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-20 23:22:25)
366.  花嫁はエイリアン
タイトルは知ってたけど初めて観ました。いやこれ面白いね。なんたってキム・ベイシンガーがキュートだもんね。90年代に入ってすぐの頃、「NYのアメリカ男性が嫁にしたい女優」№1がキムだと聞いたときはへえ、そんなすごい美人だとは思わないけどな アメリカ男性はモデル体型が好きなのかいなぐらいにぼんやり思ったのを覚えているんだけど、この映画の存在が大きかったのでしょうね。納得。 だってもう、出だしから可愛いもんね。重大任務を負って地球に降り立ち、緊張とわくわくでテンパってる変なカッコのエイリアン、キム。とても初々しい。 今頃キム・ベイシンガーのコメディエンヌの才能を知るとは遅いよーと言われそう。実際遅いと思います。そんなわけで(私にとっては)意外なキム姉さんのはっちゃけぶりや、地球標準生活を宇宙人目線にずらして笑いに変える脚本も楽しくて、とても掘り出し物感のある一本でありました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-12 00:17:33)
367.  ゲティ家の身代金 《ネタバレ》 
世界一金持ちで且つ吝嗇化の爺さんの話。まーすごい人間がいたものです。孫の命と引き換えにも銭を出し渋る。その一方で美術品の購入はし続ける。何でも手に入れた人間は手に入らないことが許せないのですかね。孫ですら「血縁だから」→「自分のものである」それを息子の元嫁が奪いやがった、と恐れ入る自己中の感性です。 誘拐犯とマスコミとクソ舅の集中砲火にあっている母親役のミシェル・ウィリアムズの特筆すべき演技。息子を想い、舅に心傷つけられても気丈で必死な母親ぶりは落涙ものです。高価な美術品と信じていた、爺さんから息子への贈り物。身代金の足しにしようと閃いたものの、それが二束三文の土産物だよと知った時の彼女の絶望たるや。階段にへたり込みもしますわね。あのじじいが孫にだって金目の物をくれてやるはずはなかったのだ・・。 こんなクソ爺の心冷える話が映像美も兼ねた誘拐サスペンスに仕上がっているのだから、リドリー・スコット監督のベテランの手腕には感心します。 C・プラマーもミシェルも素晴らしい。けどM・ウォールバーグはさして活躍しないうえ、作品撮り直しの際の金銭ゴタゴタで男を下げました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-30 00:33:52)
368.  否定と肯定   《ネタバレ》 
アメリカ風に饒舌な弁論で押すタイプの法廷劇とは違いますけど、論旨を積み上げてゆく英国式もまた見ごたえがありました。国が違えば裁判制度もずいぶん違うのですねえ。英国の裁判システムに驚いたのは被告側に立証責任があるということ。それに、本ケースは原告であるホロコースト否定派の名誉棄損訴訟で、著作の解釈のあり方を問うもの。これがまず難しい。訴えられた側のデボラもその辺を混同している節があり、「ホロコーストの有無」にこだわり生存者を証人として呼び情に訴えたいと主張するのですよね。 デボラの強気一点張りはいかにもアメリカンのイメージ。裁判長への一礼も「アメリカ人だから」と拒否しますし。 彼女の激情をいさめつつ、法廷論争の戦術がぶれない英国人弁護士らの理性的な判断はさすがです。 クライマックスらしき大盛り上がりの無い本作において唯一驚かされる場面は裁判長の放った一言。この一瞬、何が起きたのかデボラも私も共に困惑。さすがに弁護士らは提起された意見に考え込んでましたが。 裁判長「原告は心底からホロコーストの無かったことを信じているのではないか?」即ちアーヴィングが個人の信条に基づいて既出の歴史解釈を否定したとしても、それを嘘つきと呼ぶことはできないのではないか? デボラ側が勝つことに疑いを抱かなかった私(と多分大多数の人)がうわあなるほどなあ、と唸る場面でありました。 果たして裁判の結果はいかに。世間の注目を集めることに成功し意気揚々のアーヴィングと、それを見て喧嘩疲れな表情のデボラ。まあこれが今我々の生きている社会なのですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-29 00:30:10)
369.  トーチソング・トリロジー 《ネタバレ》 
ゲイの人たちの「生き辛さ物語」はたくさんあるのですが、本作はご本人が脚本を手掛け、出演もしているだけあって当事者の持つリアルに厚みがあります。 心が血を流していても湿っぽくならないタフさ、ユーモアの感覚がアーノルドの特筆すべき個性。とはいっても、いくら早口のマシンガン・トークで彼がやり過ごしても「ああ傷ついているなあ」と痛いほどこちらに伝わるものですね。 友人や恋人については良き人らに恵まれているアーノルドのネックは母親。こんなに激しい言葉をぶつけ合っても人間関係を続けられるものだろうか。ワタシは無理だな。母親は変わらない。でも母だから捨てられない。結局アーノルドはどこまでも優しい人だなあと思う。こんなに優しい性根の人がもう傷つくことのない社会であってほしい、つくづく思いました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-22 17:36:15)
370.  ロード・キラー 《ネタバレ》 
いやあ、これ怖い。犯人がサイコ感丸出しで女の子を監禁する後半より、導入~奴がいったん退くまで、の前段がとてつもなく緊迫しました。夜中に安モーテルの一室で隣の物音に耳をそばだてる場面なんか、息を殺してしまいましたよ。どきどきしたあ。 自分らの匿名を信じてふざけていたのに、こちらの正体を突き止められたという時って人間ビビるものですねえ。J・J・エイブラムスってばその辺の人間心理を上手いこと突いてきたもんです。「直した方がいいぞ テールランプが切れてる」この言葉にひいーっとならない者がいるだろうか。 なんでしつこくもまた戻ってきたんだろうアイツは。兄弟が可愛い女の子を連れているリア充だったがために犯人を刺激したんだろうかね。弟の方はイケメンだし。「持てる者」はあまり悪ノリしない方がよろしいでしょう、という教訓話かな。(違うな)
[試写会(字幕なし「原語」)] 7点(2020-03-17 00:39:04)
371.  ニア・ダーク/月夜の出来事 《ネタバレ》 
バンパイアものとしては異色の一作。どの辺が異色かというと、  ・長生きすることに苦悩するといったテーマではない  ・バンパイアたちがグループ生活なので孤独でもない  ・血をもらうにあたっての相手は必ず殺害。プラス死体もろとも現場に火を放つといった半グレ集団のような凶暴性あり。  ・なんと輸血で真人間に復活可能  こう書き出すとバカみたいなB級ホラーに感じるけれど、さにあらず。意外にも輸血復活システムによって話は悲恋の様相も帯び、ここにきて泣かせのクライマックスを迎えたりと、予期せぬ展開を見せるのです。家族愛、仲間との絆、自己犠牲を伴う献身、こんな正道テーマを吸血鬼ホラーに落とし込んだキャスリン・ビグローはかなりの書き手とみました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-11 17:37:02)
372.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
おお、やっとep1,2で寝かせ続けた伏線が活きて、物語として息を吹き返した感じです。 メカ戦闘戦のキレ具合、疑惑が深まる展開、どれも全二作の1.5倍速のスピードです。いやあ良かった。これならなんとかS.W正史の一端として形になりました。(なぜ上から) ep4に続く話ですから当然アナキンの内面を深く掘らなければならない今作。ヘイデン・クリステンセンはなかなか上手く己のプライドと師匠への義理立てとの間で揺れる男心を演じたと思います。これでG.ラズベリー賞とは気の毒です。選考委員らのイケメンへの僻みじゃないのとうがった見方もしたくなります。 情け容赦ない虐殺シーンや破滅に至る共和国の混乱場面など、ダークな描写が多いのですがこれこそ前二作に足りなかったもの。期待の弟子がまさかの寝返り、あまりの絶望に絶叫するオビ・ワン。火だるまになって絶命寸前のアナキン・スカイウォーカー。クライマックスの熱量の高さは胸が震えること必至で、1,2作の不甲斐なさを補って余りある三部作完結編となりました。ほんとよかったよ。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-08 17:49:15)
373.  なんちゃって家族 《ネタバレ》 
下ネタ多めだし、社会の建前は無視だしで決して家族向けではないコメディ。私はこれ大好きです。 エンドロールに流れるお蔵入りカットの数々を見ても、スタッフと役者が仲良く遊び心満載で仕事をしていたのが伝わります。そうして生まれた作品そのものも健康で明るい。 麻薬を国境超えて運ぶミッションという本筋の合間にちょこちょこ笑いを入れてくる、その繰り返し。どのジョークも気が利いていて笑ったなー。計画序盤で髪形を伝える注文の仕方とか、全員がお土産仕様のメキシカンハットを被って検問を抜けようとする間抜けな画ヅラとか、貞操を失う寸前(それもゲイ・バージョン)の長男ピンチ場面とか、TLCを熱唱するウィルとか。 あと、ほらアメリカ人て社交的で人付き合いに熱心なイメージがあるじゃないですか。しょっちゅう近所の人とバーベキューパーティやってるみたいな。けどミラー家の口をついて出るのは「目を合わせるな 話しかけられたら面倒だ」とかご近所ご挨拶の直後に「あの人たち嫌い」「まったくだ 付き合う意味ない」とか。まあアメリカ人も本音がダダ洩れするとこんな感じなのねえ、と近しく感じてちょっと安心しました、はい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-14 17:21:35)(良:1票)
374.  君の名前で僕を呼んで 《ネタバレ》 
陽光に輝く木々の緑や、石造りの街並みの美しいこと。美形の俳優二名によるラブ・ストーリーは美的センスに関しては非の打ちどころのない小品に仕上がっています。 相手への思慕が止めようもなく溢れ出て、文字通り悶え悩むティモシー・シャラメの繊細な演技は印象的でした。彼はさほど表情筋を使わないのだけど、全身を使って表現を行う役者さんですね。ピアノをふざけた時の大袈裟な腕の振りとか、面倒な来客の際に見せるおどけたステップとか。そしてオリバーを想う時の苦しそうな寝返り。 悲恋の範疇に入るのかもですが、ゲイ・カップルの話にしては、障害の極めて少ないケースでした。かつて見てきた同性愛モノにつきものだった「迫害」がほとんど無いです。なんと両親も公認、さらに驚異的なことに気晴らしにぞんざいに付き合った女友達まで許してくれるとは。ばれたら最後、社会からリンチすら受けかねないとか、家族からの絶望的な目つきとか、そういうヒリついた状況下のゲイストーリーばかり聞いてきたのでこの作品の甘いことにはとても驚きました。もっとも、どんな恋愛パターンでもそうですが周囲からの抵抗値が高い方が、お話が強く激しく輝くような気もしますが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-05 17:49:57)(良:1票)
375.  リチャード・ジュエル 《ネタバレ》 
監督としてももはや御大のイーストウッドの、手堅くもこなれた演出が安定感抜群です。各人物のキャラの引き出し方も上手いし、爆発物発見から惨事に至るまでの緊張に満ちた臨場感、その後に押し寄せるメディアリンチの恐ろしさを途切れず一気に見せます。流れるようなイーストウッドのタクトに合わせて、役者陣も良い仕事をしています。キャシー・ベイツの母親ぶりはこちらの同情を一身に集めます。サム・ロックウェル扮する弁護士はキレ所が観客と同期しているので、こちらの感情を預け易い。リチャードが権威に対してあまりにお人好しなところを見せるたび、ワトソンと一緒に一喝したくなりますもんね。FBIは気の毒なほどにクソな役回り。ボビのタッパーに油性ペンで印書きやがって。腹立つ。 強烈なのがアトランタ地方紙の記者役のオリヴィア・ワイルド。こう言ってはナンですが、彼女のやや軽薄っぽいキツイ顔立ちがキャスティングにずっぱりハマってまして、その自己中な仕事ぶりで観客の憎悪を一身に浴びる損な立場なのですが、めげないオリヴィア満点のヒール役でした。ただ、後半不思議なことに彼女の強気が突如ブレ出すのには、説明が足りない気がします。この女性記者は実在した人物(それも故人)なので、脚色の仕方が不適切だと一部で非難の声が上がったとか。ために、監督の手綱も少し緩んだのかなあと想像しました。少しは人間味のある所をこの女記者にも用意しておこうと。 ハマっていたのはもちろん主人公のP・W・ハウザーも。変わり者だけど性根の善良なリチャード・ジュエルを丸々した雰囲気(と容姿)で好演しています。FBIに自分の尊厳をもって一撃を浴びせた場面は静かなれど感動を覚えるクライマックスでした。
[映画館(字幕)] 7点(2020-01-31 17:08:19)
376.  ガール・オン・ザ・トレイン 《ネタバレ》 
全体像はテレビの2時間サスペンスとどっこいどっこいなんですが、画は綺麗です。車窓から広がる景色は広く奥行きもあって、映画的。 軸となる三人の女たちがうまく配置されていると思いました。三人の共通点としては一人の男に振り回されたことの他に、「わが子」に人生を大きく影響されてもいますね。子を授かりたかった、あるいは子を失ってしまった、そして子を守りたい。“母性”がスタート点となって最終的には命を失った者、人を殺めた者、と辿る人生は凄絶であります。まったくフリーの独身かつ子どもに興味のない女だったなら、あんなクズ男は一発殴って別れて終わりであったことでしょう。 女優陣が各々抱えた人生を演じきっています。トラウマがもろ顔に出ているメーガン、夫にそこはかとない不信を抱く、一見幸せ絶頂のアナ。怖いほどリアルなアル中レイチェルが迫力満点。エミリー・ブラントの美貌の荒れように凄みがあります。がさついた肌や目の周りの落ちくぼんだ感じは、ダイレクトに不摂生&精神不安定をこちらに訴えてくるので不安でざわざわしました。 失踪妻の夫の所に押しかけて、友人を騙って思い込みをご注進ときた日には妄想炸裂のヤバい人そのもの。うへえー、とすっかり引いたワタシはラストに至る展開を全く読めませんでしたので、けっこうたくさんの人が気付いたらしい真犯人にもしっかり驚きました。なので評価は高めにしときます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-26 16:49:07)
377.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
本サイトの平均点がなかなか厳しいなあと思う程度には楽しめました。もっとも、私もレイが伝説のジェダイ・ルークと会って、フォースを磨き上げるべく修行に入る、その話が中心になるのだろうと思っていたクチです。あれれ、レイがメインというわけではないのね。ニューフェイスがたくさん登場しますが、旧作のジャバ・ザ・ハットのようなクリエーター魂を感じるインパクト大のクリーチャーではなくて人種を多々そろえてきました。こんなことは制作のマーケットに対する忖度を感じるだけで、物語上全然よろしくない。今作のアジア人女優はスクリーン映えするとは言い難く、御大デル・トロは演技がこなれすぎていて、フィンとローズと一緒の画面に収まると格が違いすぎて逆に浮いてしまってます。 旧作のように帝国側にはダース・ベイダー、反乱軍側にはハン・ソロ、ドロイドやヨーダといった個性のくっきりした存在がいないのも薄味に感じる要因なのかも。カイロ・レンが次作でどれだけ狂ってくれるかに期待です。 文句ばっかり言いましたけど、期待値以上に良かったのがルークでありました。引きこもりの爺さんとして登場しましたが、手がけた子(甥)が反社会的な存在になってしまったんだもの、これはつらいですよ。現実社会に起きている事件の縮図みたいではないか。世間は「周囲に相談すれば良かったのに」などとコメントするけれど、「甥っ子がダークサイドに堕ちちゃってさあ」などとジェダイの騎士が誰に相談できようか。 後進に思いを託して逝ったルーク・スカイウォーカー。その最期は荘厳ですらあって、このラストは私の涙腺を崩壊させることとなりました。人生をほぼ一緒に歩んできたSWシリーズ、ファイナルとなる次作に抱く気持ちはファン皆大きいでしょう。がんばってほしいな。
[DVD(字幕)] 7点(2020-01-03 23:49:45)(良:1票)
378.  ドクター・スリープ 《ネタバレ》 
この映画を観たいと思う人って、大方が”シャイニング”を鑑賞済みであると思うんですよね。となると、あの独特の、精神に異常をきたしそうなキューブリック流の「美」を期待したのは私だけではありますまい。 ところが、なかなかそんな感じにならない。アル中に悩む大人になったダニーと超能力少女と人外サイコ集団がESP対決を繰り広げる前段はまるでアメコミのサイキックバトルのようで、シャイニングファンの思いから大きく外れたものになっています。正直戸惑いました。 しかし、ここからです。ちゃんと監督はシャイニング派に向けて怒涛の巻き返しを用意してくれていました。 ついにあの超陰気な短調の調べにのって山道をよろよろ登ってゆくクルマの画がスクリーンに広がった時は、感激で肌が粟立ってしまいました。そしてオーバールックホテル!時間の経過も合わせて良く再現してくれたものです。  ローズの憎ったらしいことは野球少年のくだりで怒り心頭でしたから、ホテル先輩やっちゃってくださいよ的な気分にもなります。懐かしの亡霊フルメンバーも嬉しい(?)。けど、肝心のジャック・トランスがオリジナルニコルソンの風貌が強烈なためにそっくりというわけにもいかず、ちょっと残念ではありました。 残酷場面はほんとに残酷なだけで、キューブリックの毒々しい美的感覚は無く、やっぱり前作とは別物。だけどダニーが何故あの忌まわしいホテルへ戻らねばならなかったのかその辺の理由付けに無理のない脚本は技巧的に優れています。 バッドエンドにしなかったラストも、良い後味が残りました。
[映画館(字幕)] 7点(2019-12-29 23:59:13)(笑:1票) (良:1票)
379.  無ケーカクの命中男/ノックトアップ 《ネタバレ》 
タイトルからして(原題も邦題も)どんなフザけた話かと思っていたら、けっこうちゃんとした人間ドラマになってて驚いた。心情表現が巧いんですよ。思わぬ妊娠に動揺しつつ、なんとか現実と夫となる男を受け入れようとするキャリア女子の気持ちの揺れを的確に描写してると思います。折り合いをつけようといっぱいいっぱいのところ、マリファナ&未読の育児書発見で心が折れるトコなんか、ほんとよねえーと共感しきり。 芯の強すぎな姉から6才の姪っ子に至るまで女が強い強い。ひきかえ、男たちの弱いことはコメディならではのオーバー描写を差し引いても情けないかぎり。とりあえず現実逃避に義兄弟でラスベガスへ、ってコドモか。散々情けなさを披露したぶん、終盤の男気炸裂に、より感動してしまう仕掛けにもなってるわけですが。男と女ではまず違う生き物なのだなーと踏まえて付き合うのが吉ね、というのが感想であります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-02 23:19:45)
380.  ベイビー・ドライバー
カー・アクションの見せ方の巧さではここ十数年で観た中で一番の出来と思いました。車内目線と外から俯瞰した画の切り替えがうまくて、こちらもスピードに乗れる感覚。速すぎるうえにカット割りが多すぎて、観てて疲れる割に迫力が伝わらないカースタントのこれまでなんと多かったことか。 というわけで冒頭から掴みはOK、な今作。リリー・ジェイムズは可愛いし(髪をアップにした時のキラキラしいことったら)、ケビン・スペイシーは安定だしジェイミー・フォックスは見るからに怖い人だしで、人物の引きも充分。あ、主人公の彼はちょっと弱いな。要努力。 クルマ映画で日本車が相変わらず活躍しているのを見るのも嬉しいですね。壊されるのはちょっとつらいけど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-01 23:20:55)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS