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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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21.  スナッチ
こういうの、タイプです。「ロックストック~」も良かったけど、さらにパワーアップした感じ。ブラピによるところが大きいのでは。デルトロも相変わらずいい味出してます。さらにいい味出してるのがいました。犬です。
9点(2003-04-25 16:16:16)
22.  セブン
フィンチャ-の映像美が相性の良いサイコスリラーというジャンルでさらに美しく輝いた逸品。日常風景がすべて伏線となり驚愕のラストへと向かう。驚愕といってもけして意外なオチというわけではなく、予想できても予想を裏切ってくれと願わずにはいられないオチ。さんざんエグイものを見せておきながら最後の最後で見せなかったことも評価できる。ミルズが見なかったように我々も見ないことでミルズと共に泣く。
9点(2003-04-25 16:13:25)(良:1票)
23.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
主人公は死んだ人間と交信ができる。本当にできるのか。冒頭に兄の紹介でやってきた男は第三者の知るはずのない情報を理由に本物だと確信する。つまり本当に交信ができるのだ。この映画のヒロインのように登場した料理教室の女はそれが本物であるがゆえに唐突にヒロインでいることをやめる。その力は主人公を苦しめる。兄を亡くした少年の手をとり死者と交信する。たしかに交信している。一度終わったかと思ったら、そのときの少年の寂しげな顔を見たあとに「まだ何か言ってる」と交信の続きが語られる。ここは本当に交信が成されているのだろうか。主人公の機転で少年を立ち直らせるために話を作ってるってことはないだろうか。何が言いたいのかというと、その力を信じられない人に対してその力を使う場合は過去にあった秘密の暴露をしなくてはならない。一方、端からその力を信じる人にはその必要がない。それが本当なのか嘘なのかはどうでもいい。本当を前提としているから証明がいらない。結果、過去を語らず、未来を語ることができる。「信頼」を前提とした対人関係が示されているのだ。「死後」を共感できる人との出会いは「信頼」から入る対人関係の成立の可能性を意味する。つまり運命の人(の可能性)。よって主人公ははじめて明るい未来へと目を向けるのだ。そのことをあまりにストレートに見せてしまうラストシーンに呆気にとられながら、その強烈な幸福感に泣いた。
[映画館(字幕)] 8点(2011-04-25 16:18:58)(良:4票)
24.  マン・ハント(1941) 《ネタバレ》 
ライフルの照準器に映し出されるヒットラーという衝撃的な画から始まり、のっけから緊張感が漲ります。まずはドイツでの瀕死の逃亡劇、ここは怖さよりも逃亡劇としての面白さが勝つ。迫り来る軍用犬の吼え声や森の中を逃げる男と追うナチスの距離感が絶妙。なんとかロンドン行きの船に潜り込み善意の少年が登場するのだが、結果から言うと無事ロンドンに辿り着くんだけど、いやーな空気が充満してて居心地の悪い怖さがこの辺から漂い始める。こっちとしてはロンドンに着けばこっちのもん、と思って見てるもんだから何か起こるとしたら船だと思ってるもんで。そのへんのじらし方がいやらしい。で、ロンドン。ジョーン・ベネット登場。おや?と思う。どこかロマンスコメディの様相に。その後は逃亡劇、スパイ・サスペンスってこともあってヒッチコックっぽくもある。ドイツの森同様にロンドンの地下鉄での逃亡劇なんか「うまさ」が目だって、やはり怖さより面白さが勝ってくる。ベレー帽の矢の形の飾りを印象的に出してくるあたりもやっぱりうまいんだけど、まさかこれが怖さへと繋がってゆくとは!作品のカラーが一気に変わる。こういうのってもしかして散漫って言うのかもしれないが、それほどに恐怖は突如襲ってきた。ナチスの恐怖を描くのにこれ以上ない展開。この後味の悪さだけで全体が暗い映画のような印象を持ってしまいがちだが、実はこれに続く『死刑執行人もまた死す』よりもずっと単純なストーリーでずっと単純な面白さを持った作品であることは間違いないと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2010-10-01 18:40:07)
25.  夜の人々(1948) 《ネタバレ》 
3人の脱獄囚がとある場所を目指す冒頭の短いシーンで3人の立ち位置と人となりが映し出されている。主人公の青年が脱獄囚でありながらさほど悪い人間ではなさそうであることがすでにここで明示されている。もちろん言葉での説明なんて無い。女との出会いのシーンはそれが運命の出会いであることが一目でわかる。お互いほとんど言葉を交わさないシーンでも、それは出来るのだ。そして不必要な言葉で埋め尽くされることでぎこちなさが強調される告白シーンの初々しさよ。共に逃げる悲壮よりも共にいることの幸福がはるかに勝る新婚生活の瑞々しさよ。そして儚さよ。とくにヒロインの、初登場シーンの暗さから一転して見せる輝かしい笑顔は、それだけで幸福感を満たせ、またその後の暗雲をも予感させる。バッドエンドという結果の分かりきったラストシーンは、それでも二人のハッピーエンドを願わずにはおれない。
[DVD(字幕)] 8点(2010-09-30 15:24:43)
26.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
相変わらずというか、なんという選曲のセンス!『アラモ』で始まるオープニングに早速高揚してしまう。続いて『復讐のガンマン』の「エリーゼのために」を用いたモリコーネの旋律が流れるシーンにいきなりノックアウト。なんて美しい三姉妹。この美しさでこの家の主の過酷な判断を観客は許容する。そしてこのナチスの大佐のいやらしさよ!「復讐劇」の幕開け。イングロリアス・バスターズがいよいよ登場だ。しかし「復讐劇」とバスターズの話は一向に交わらず、終焉間際でようやく二つのストーリーが結びつくようにみえて実は絶妙な距離を残しながら交錯するだけなのだ。『パルプ・フィクション』のように。しかも主ストーリーはバスターズではなかった。ああブラピよ。この扱い。まるで『ジャッキー・ブラウン』のデ・ニーロではないか。しかしなぜかはまる。ブラピもデ・ニーロも可笑しいほどにはまってる。地下酒場の「正体当てゲーム」。ここでこのゲームかよ!そしてダラダラと、そして緊張感漲る会話が続く。正体がこの会話からばれると思わせて・・・。面白いなあ。音楽でいうと忘れてはいけないのがデヴィッド・ボウイの「キャット・ピープル」。めちゃくちゃ素晴らしい。ゴダール『カルメンという名の女』でトム・ウェイツがかかった瞬間を思い出した。選曲に関しては同等のインパクトを持っているがタランティーノはさらにここに「色」と「印」を使ってより印象的なシーンにしている。今後、ボウイの「キャット・ピープル」は赤いマフラーを巻いたナスターシャ・キンスキーではなく赤いドレスを着たメラニー・ロランを思い出させるであろう。窓の外のハーケンクロイツと共に。頬に塗るファンデーションがまたあからさまにインディアンを彷彿させてるんだけど(バスターズの皮剥ぎと共に)、かっこいいんだ、これが。そして映画は世界が成し得なかった「大復讐」をやってみせる。さすがは映画だ。映画バンザイ。天晴れタランティーノ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-18 16:48:34)(良:2票)
27.  裏切り者(2000)
素晴らしい!とにかく見てください!と思ったがここまでの平均点4.42点て・・・。寡作の人、ジェームズ・グレイの作品の中では傑作の声の多い新作『アンダーカヴァー』よりもヴェネチア銀獅子賞受賞のデビュー作『リトル・オデッサ』よりも好きなんだけど・・・。グレイが一貫して描く「家族の絆」「犯罪」「ニューヨーク」が他の二作品以上の濃さで絡み合い、重厚な雰囲気を持ちながら切なさも加味して紡がれてゆく。主人公、マーク・ウォールバーグは刑務所帰りの真面目な青年、、というと矛盾しているのだが、環境が犯罪者を作るということが、そしてこの舞台となる街がそういう環境なのだということをこの設定だけで語ってみせているわけだ。不評のシャーリーズ・セロンの化粧だってその環境をリアルにするためのものだ。犯罪にどっぷりとはまり込んでいる悪友、ホアキン・フェニックスが時折見せる優しい表情もまたそのことを強調するとともにこの作品が青春映画の一面も持ち得ることに貢献している。だからこそ切ないのだ。キャスティングがまた絶妙で、母親が出所したての息子の仕事の世話を頼む「ゴッドファーザー」的役割の男に『ゴッドファーザー』で長兄を演じたジェームズ・カーンを配するあたりが実にニクイ。どう見たって面白いんだけどなあ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-11-11 14:33:04)(良:1票)
28.  リミッツ・オブ・コントロール 《ネタバレ》 
久々の極楽。何もかもがいい。まず印象的なのが主人公の背景を彩るロケーションのセンスの良さ。どこからこんなかっこいいロケーションを探してくるのか。主人公が一たび外を出歩けば、どのシーンもかっこいいのだ。かっこいいと言えば音楽。日本のバンド「Boris」が奏でるノイズにならないノイズミュージックにイチコロ。ヘリの音やエスプレッソといった「繰り返し」の心地よさと暗号を渡しに来る男女のキャスティングの絶妙さ。「ヌード」のそのヌードの美しさにもイチコロ。かっこいい映像に挟まれる列車の映像はさすがの一言。厳重な警備に囲まれたターゲットのアジトが映されいよいよ佳境に入る。と思ったらどうやって入るのかを大胆に省略。ターゲットの男がたずねる。どうやって入ったのかを。その答えにニヤリ。想像力。ちきしょー。いちいちツボだ。ビシッとスーツできめてた主人公がラフな格好に着替えて終わる。もしかしてトイレで瞑想にふけっているオープニングと着替え終わったラストシーン以外は妄想の世界だったのか?ちきしょー。それもありじゃないか。で、最後にカメラがガクンて。ちきしょー。
[映画館(字幕)] 8点(2009-10-05 16:15:42)(良:3票)
29.  ヒズ・ガール・フライデー
同じくホークス監督の傑作『赤ちゃん教育』ではヒロインのマシンガントークに翻弄されることで笑いをとっていたケイリー・グラントが今回は見事な掛け合いで笑いをとる。セリフが終わらぬまにセリフが重なることの繰り返しに観てるこちらは呆気にとられるしかなくその計算しつくされた怒涛の会話の応酬に感心しきり。元夫婦という設定が活きていて、説明なくても「ああ、あの人の策略ね」「ああ、またやられた」とロザリンド・ラッセルがうんざりぎみにしてやられた表情をするだけで(これがまた楽しい)、スピーディな展開に水を差さないのがいい。言葉のラッシュのガチャガチャ感をさらに煽るグラントの身振り手振りもサイコーにおかしい。ハイテンションに乗じて強引に終わらせるのも「楽しかった~!」という余韻を残してくれていい。こういう楽しい映画を新作で観たいなあ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-09 13:08:12)
30.  グラン・トリノ
悪党たちが罪なき人々を苦しめる。立ち向かう一人の男、クリント・イーストウッド。なんて単純な話なんだろう。しかもこのパターンって西部劇ではないか。もっと言うなら『荒野のストレンジャー』の『ペイルライダー』に次ぐリメイク、、とは言いすぎか。二つの西部劇の主人公は人間とは言い難い。神の化身と解釈して初めて合点のいく物語となっている。イーストウッドの中にある神、あるいはキリスト教への不信が自らを神へと変えた。『グラン・トリノ』の主人公は二つの西部劇とは違い、コワルスキーという人間の名前を持っている。しかし彼が最後にとった行動はキリストそのものではないか。これまでの作品で散々キリスト教をコケにしてきたイーストウッドは、神にすがることなく、神にしかできないと誰もが思っている行動を人間としてやり遂げさせてしまう。これはこれまで描き続けてきたことの一つの答えなのかもしれない。集大成で言えば私は『チェンジリング』のレビューで『ミスティック・リバー』以降は全てイーストウッドの集大成と書いたが、『グラン・トリノ』はたしかにこれまでのイーストウッド作品を彷彿させるシーンがたっぷりとあるが『ミスティック~』以降の流れにある重さがない。話の単純さもそうなのだが、話の流れもかなり強引だ。例えばあんなに嫌がっていた隣家のパーティに行く理由が弱い。例えば若者たちが集う地下室へ導かれる展開がムリヤリ。これって『ブラッド・ワーク』以前のイーストウッド作品にある所謂予定調和ってやつ。でも『グラン・トリノ』ではそこにつっこむ気を起こさせない。だってこれは映画だもん。そう言われそうだし、そう思ってしまうのだ。そのことを観客に承知させる境地に辿り着いたということか。イーストウッドは映画を崇高なものだととらえていない。もっと身近なもの。もっと手軽なもの。芸術や娯楽という前に映画は映画でしかなく、そして当たり前のように作り物なのだ。マカロニウエスタンってその世界自体が嘘の世界。そこから生まれたイーストウッドの当たり前の世界。グラン・トリノという車の顔形よりもイタリア語を冠した名前がさりげなくイーストウッドの起源を語ってくれているように思った。 彼の映画の本来の武器は映画はしょせん映画と割り切ってもいいという安心感なのかもしれない。そしてその安心感が映画を身近にする。『グラン・トリノ』は愛すべき手軽な映画だ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-08 17:05:47)(良:2票)
31.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
イーストウッドは「神への憤り」を常に映画にぶつけてきた。『ミスティック・リバー』はその集大成と言っていい。『ミリオンダラー・ベイビー』ではイーストウッドのもうひとつの印である「打ちののめされるイーストウッド」が究極的に描かれもした。その次の戦争映画では神の代わりに存在したヒーローまでも消し去った。『ミスティック・リバー』以降は一作一作が集大成と言ってもいい。そのうえでまだこんなものを出してくるか!人間を打ちのめす究極の暴力が「硫黄島二部作」で描かれたはずなのに、まだあった。究極が。子供を奪われる母。命を奪われるよりもきつい。そして権力という名の暴力。主人公は何もできない。権力に立ち向かうこともない。ひたすら電話で問い合わせるのみ。結果的に主人公を窮地から救うのは「神」の象徴である神父である。しかしここにきてイーストウッドが心変わりしたわけじゃないことは一目瞭然。神父は彼女を救ったのではなく彼女を利用したに過ぎない。彼女を救ったのは彼女の信念。ラストで事件にある展開があり、彼女はそこで「これで希望が持てる」と言う。この言葉に恐れ入った。今まで「希望」なしでひたすら息子を待ち続けていたのか!イーストウッドの映画の中で最も強い人間が描かれたのかもしれない。『ミリオンダラー・ベイビー』でボロボロに打ちのめされ消えていったイーストウッドがここでまた新たな答えをもって帰ってきた。本当の強さというのは戦って勝つことじゃない。信じることをやめないこと。愛することをやめないこと。そしてその本当の強さを人間は持っているのだと。もうイーストウッドは敵無しだ。早く次が見たい!!!
[映画館(字幕)] 8点(2009-03-13 18:20:52)(良:3票)
32.  マーヴェリック 《ネタバレ》 
私が知るかぎりにおいて最もキュートなジョディ・フォスターがここにいる。もうそれだけでじゅうぶん。たしかに冗長ぎみに感じるところもあるんだけど、たしかにリッグス刑事とマータフ刑事のご対面というサービスも別にいらないんだけど、たしかにロイヤル・ストレート・フラッシュは出来すぎなんだけど、たしかにどんでん返しはとってつけた感ありありなんだけど、それでもそういうのも含めて全部好き。素直に驚き素直に笑える。なんでだろう。全編でツボにはまったという感じ。インディアンとのヤラセ劇は爆笑した。
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-05 14:23:34)(良:1票)
33.  赤ちゃん教育
キャサリン・ヘプバーンといえば、タカピーで傲慢なイメージを勝手に持ってたのですが、たまたまこの作品の前年作品であるジョージ・スティーブンスの『偽装の女』を最近観て、その可愛らしさに驚いたわけです。でも彼女の魅力はこの傲慢さにあるのだということを再認識し、そしてその魅力を最大限に見出したハワード・ホークスの女優を輝かせる手腕にあらためて感服しました。とにかく今観てもかなりのハイスピード、ハイテンションで機関銃のごとくしゃべり続けるヒロインに圧倒されっぱなし。ケイリー・グラントは圧倒される間も与えてもらえずにただひたすら彼女に翻弄される。その滑稽極まるコメディアンぶりがおかしくてしょうがない。いや、ケイリー・グラントだけでなく、警察官も庭番も豹の鳴きまねをするおじさんも実にのんきでお間抜けで、ヒロインのハチャメチャさとの差異の大きさが見事なテンポを作っている。大好きな作品。
[DVD(字幕)] 8点(2007-03-05 17:01:40)
34.  ロイ・ビーン 《ネタバレ》 
子供の頃にテレビで見たっきりで大好きな映画だったのですが、ヒューストン生誕100年の昨年、ようやく再見することが叶いました。やってることはかなり残酷なのですが、冒頭で主人公が襲われ、金を巻き上げられる一連のシーンをサイレント喜劇を彷彿させる早送りとコミカルな音楽で見せるというとんでもなくアンバランスな演出を催すことでこの映画の残酷な面、主人公の残虐な面を「映画」と割り切って笑顔で迎え入れることができます。そして会ったこともない一人の女優をひたすらに愛し続ける主人公の無邪気さと正直さが、この身勝手な主人公を愛さずにはおれなくする。どうやったって会えないことがこの男に下された刑罰なのかもしれません。彼がいなくなった彼がいた場所に女優がやってくるといういかにもな、そして安っぽいドラマのようなシーンがなぜか子供の頃は好きでした。一度去り、再び帰ってくる「破壊」のシーンは脚本のジョン・ミリアスならではの容赦の無さがあり、イーストウッドの西部劇にも通じる「主人公の怖さ」を堂々とさらけ出している。数十年ぶりに見てもやっぱり大好きな映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-19 12:04:07)
35.  硫黄島からの手紙
案の定と言うべきか『父親たちの星条旗』に続き私に大きな感動と混乱をもたらした。過去のイーストウッドならば渡辺謙を自らの分身とし、主人公として描いたであろう。しかし今のイーストウッドはそれを絶対にしない。でもこの作品に登場する日本人たちは軍国主義の思想が蔓延する中でもそれぞれが自分自身の思想を持ち続ける孤高の戦士たちだ。すべての人がイーストウッドの愛すべきアウトローなのだ。だから表面的には過去のイーストウッド作品とは異にしながらも『父親たちの星条旗』と反するように実にイーストウッドらしい映画のような気もする。それぞれが兵士であるまえに一人の人間であることが強調される。かといって人間ドラマで逃げない。「天皇陛下万歳」、一人を除いて誰もが心からそう叫ぶ。戦死した祖父が戦地から私の父に宛てた手紙がうちにあるのですが、「お国のために」という当時の空気がその一通の手紙からも読み取れます。そんな風潮が前提としてあることをけして濁さない。「一人を除いて」の一人とはもちろん主人公であり語り部である二宮和也である。彼は今の時代の人間がタイムマシーンに乗ってやってきたかのような人。そうすることで今の時代の我々観客とその戸惑いを共有する。過去の悲劇を今に伝える伝道師の役目を担っている。それからもう一つ。『父親たちの星条旗』で友人を死なせたことを永遠に悔いる衛生兵の苦悩、その友人の死のこの『硫黄島からの手紙』での扱いのなんてあっけないこと。二つの作品がセットになることで戦争が個にもたらすものの大きさが実に顕著に表されていると思う。 
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-12 12:45:31)(良:1票)
36.  父親たちの星条旗
イーストウッドの映画には常にイーストウッドがいた。本人が出ていなくても彼の分身がいた。前作『ミリオンダラー・ベイビー』のレビューで私は「イーストウッドはどこに行くのだろう」と書いた。現実に打ちのめされたアウトローはどこに行くのだろうと。彼は帰ってこなかった。この映画にイーストウッドはいない。それは私がずっと望んでいたことでもあった。だから作品の内容とは別のところでこのイーストウッドの到達点に感無量になった。しかし同時に寂しくもあった。この作品は英雄を否定する。英雄は作られる。映画のヒーローもまた作り物なのである。映画が現実味を帯びるにしたがいヒーローはヒーローとして存在しにくくなり、もはやイーストウッドもイーストウッドの分身も入る余地がなくなってしまった。何度も言うがそれは私が望んだものであったはずなのにとてつもなく悲しいことのように思えてならない。英雄の否定は戦争を題材としているからであって、イーストウッドの不在は偶然なのかもしれないけど、これまでの彼の映画の軌跡からするとやはり、ひとつの到達点と考えるのが自然だと思う。私の心境は複雑です。 イーストウッドの新しい映画を拍手をもって歓迎すると同時にイーストウッドの帰還を待ち望む自分がいる。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-11 13:01:32)(良:1票)
37.  風と共に散る
メロドラマの巨匠、ダグラス・サークの映画はどんな有名俳優が登場しようと俳優の映画ではなくダグラス・サークの映画になる。物語はありがちなメロドラマだけど、風に揺れるカーテンや螺旋階段や車が効果的に感情表現に一役買った演出は巧いし、石油会社の息子の奔放な行動のひとつひとつに破滅を予感させるなにげない伏線も巧いけど、それ以上に画面全体に独特の色を持っているのが実に惹かれる映画なのです。洗練された、という表現はちょっと違う、かといって古臭いというのでもない、どちらにも当てはまりそうでいて少しずれてる感じ。うまく表現できないけど、あぁ、サークの映画を観ているんだぁという感慨にふける、その体験に感動。
[映画館(字幕)] 8点(2006-11-28 13:21:47)
38.  ペイルライダー 《ネタバレ》 
死神として蘇った『荒野のストレンジャー』に対し、神の化身として蘇った『ペイルライダー』。両者ともに神の視点を持つイーストウッドによって町の住人、村の住人たちが試される。すべてが神・イーストウッドの意図するままに破壊と再生が描かれた前者に対し、この作品の神・イーストウッドはひたすら見守り続け、最後には奇跡の救済を見せる。たしかに『シェーン』に似た設定、、というよりまんま『シェーン』なのだが、『シェーン』を遥かに凌ぐ映像の美しさ(特に暗がりのシーンの美しさは『許されざる者』をも凌いでいると思う!)と圧倒的なかっこよさ(イーストウッドはもちろんのこと敵方の描写がまたかっこいい!)によって名作『シェーン』を軽~く超えちゃっている。かなわぬ希望を託した「カムバーック」に対し二度と会うことのないことを悟った「アイラブユー」そして「サンキュー、グッバイ」が胸に染みると同時により神々しいものへと昇華させている。
[DVD(字幕)] 8点(2006-08-18 11:58:20)(良:2票)
39.  ストレンジャー・ザン・パラダイス 《ネタバレ》 
『ダウン・バイ・ロー』にそれほど入ってゆけなかったのはコイツのせいかもしれない。それほどに衝撃的な映画だった。ジャームッシュ作品の中では『デッドマン』と共に大好きな映画。衝撃的といってもお話の展開に劇的なものは無い。登場人物たちの感情の高ぶりすら描かれない。にもかかわらずとてつもなくドラマチックに感じさせてしまうこの映画はやっぱり衝撃的。普通、黒を際立たせて美しさを出すモノクロ画面も、この作品は白を眩いばかりに際立たせているのも衝撃的。現状に漠然と希望を見出せない3人の男女がいくら場所を変えても何も変わらない。だけど特に印象的な言葉を交わすこともなく、ただいっしょにいるだけなのに、だんだんとお互いを思いやってゆく関係になってゆく様は感動的。ラストですれ違わすことで徹底的にドラマチックな現象を起こさせない。それでもそのすれ違いによって優しさが露呈される。そのとき、ささやかな日常に大いに感動する。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-10 16:22:57)
40.  アメリカ,家族のいる風景
ヴェンダースがとうとうドイツに戻る。その前に愛するアメリカをぎゅっと押し込めた作品を届けてくれた。その背景となるアメリカがとにかく美しい。とりわけ物語のメインとなるビュートの町並みの色が真っ青な空の色に映える。虚構のヒーローが現実の孤独から逃れるように姿を消す。母に道を示され、元恋人に叱られ、初めて会う娘に孤独ではないことを教えられる。息子とその恋人の関係も含めて、「女によって救われる男たち」という一見安易な、しかし極めて映画的な公式のもとシンプルに進行してゆく。『パリ・テキサス』以来のサム・シェパードとのコラボレーションとなる今作は、ヴェンダース特有の映画との関わりに対する使命感のようなものが消え、ひたすらに原点回帰に努めているように感じた。曖昧な目的のまま飛び出した旅がもたらすものの大きさがまさにロードムービーの原点を見せ、アメリカとジョン・フォードへのオマージュがヴェンダース初期の作風に回帰している。サラ・ポーリーが大きく映し出され、おそらく感動的な言葉が発せられたシーン、、サラ・ポーリーが美しいのではなくサラ・ポーリーがアップで映された画面がとてつもなく美しく涙が溢れた。だから字幕を見損なった。目が字幕を追うことをやめた瞬間、この映画は私の映画となった。
[映画館(字幕)] 8点(2006-04-24 13:11:26)(良:1票)
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