21. トータル・リコール(2012)
《ネタバレ》 オリジナルのシナリオをほぼそのまま使って、プロダクトデザインは40年代パルプSFから21世紀SFへのイリュージョンを図ったのね。 おかげで話を追うのに汲々としてこぢんまりしちゃったんだけど、良しとし (詳細はブログにて)[インターネット(字幕)] 7点(2013-07-18 01:03:23) |
22. グラディエーター
《ネタバレ》 ちゅーわけで(?)この時代に興味のあるオイラなんですが、意味が深~くわかったせいで、元々好きじゃなかったリドリー・スコットを「大嫌いなヤツ」と明言できる決定打になった作品です。で、少しウンチク。この時代ってのは、 1)ローマ帝国が繁栄した最末期:コモドゥス帝は実在人物で、実際に暗殺されました。ローマの版図はイギリス付近まで拡大(映画冒頭の戦闘)。 2)膿んだ政治体制:ローマのご意見番・元老院の力は既に弱くなり(今の社民党みたいなもんだ)、皇帝が帝国を仕切っていた。当然無謀な政策が多くなった。 3)爛れた市民文化:民衆を沸かせるための剣闘は映画の通り。史上初と思われる萌系恋愛小説『ダフニスとクロエ』もこの時代。 4)皇帝暗殺後にローマ帝国が崩壊:皇帝が立った途端に(各属州の軍団に)暗殺される風潮になる。政治活動が実質的に消滅。 …一言で言うと、あの映画は「90年代のアメリカ」そのままだったわけです。ローマ衰亡の転換期に起こった最悪の暗殺事件を描く事で、ITバブルに沸いていた末期的なアメリカを斬っているわけですね(実際には今のブッシュの方がクリントンよりコモドゥスっぽいけどね…イラク戦争を『剣闘』と見ると、なおさら怖いか)。 んで、リドリー・スコットのどこが嫌いなのかっちゅーと、主人公は皇帝を殺しちゃった後、各州の軍団にローマの未来を託すから。『エイリアン』でも『GIジェーン』でも『ブラックホークダウン』でもそうだけど、結局はパワーで解決なのかいっ! ていうかマキシマスあんたそれ、テロ以外の何物でもないやろー! ってとこがモーレツに嫌。 ローマが滅びたのは、そういう時期だったからだよ。満ちたる月は、いずれ欠けるものなの。あれだけ素晴らしい映像を造りながら、青臭くて暴力的な夢を語るだけの彼に、疲れと憐れみを憶えた作品なのでした。 《8年後の追記》 いまウィキペディアでコモドゥス帝の記事を読んでて、驚愕の事実を知る。こいつ、ホントに闘技場に出て戦ってたんだ…納得のバカ皇帝だぜ…。 [DVD(字幕)] 3点(2012-07-14 15:02:10)(良:1票) |
23. 世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶
[試写会(字幕)] 7点(2012-03-24 22:20:21) |
24. ヒューゴの不思議な発明
《ネタバレ》 メリエスの3D部分が観たくて行きました。ま、それなりに飛び出てましたね(笑)。 んが。なんですかこれ? 三丁目の夕日風味のアイアンマン? ハリー・ポッター風味のエド・ウッド? …いやま、言いたいこと・やりたいことはわかるんですけどね。「それをイタリア系アメリカン人のスコセッシ監督が撮るのはどーなのよ」っていうクエスチョンが終始頭の中を巡っておりました。 シナリオ…というか原案はいい仕事してます。というか今の時代にも通じる「夢も希望も持たない少年(=天使)が世界を支え、観察している」という凄まじい構図が冒頭で提示され、物語以外の部分は本当に素晴らしかった。軽~いジャブで贈る、欧州キリスト教世界へのレクイエム。 でもね、その暗喩が活かしきれない。もんのすごくキッチリとパーツを設置してある割には噛み合わない。 例えば(というかきっと元の脚本では)ヒューゴ君は鉄道警察に捕まって一晩幽閉されるんじゃないかと思います。当時も今も、駅は時計が命。正確な時間がわかるからこそ正確なダイヤが運行できる。メンテナのいないまま翌朝を迎えた駅は、当然レールのジョイントから機関車のウォームアップから、全てが狂っていき…やがて…。 全ての記号を集約させる事ができるそのイベントをやらなかったのは、何でなんだ。前半を見る限り、確実にそこを目指してパーツが設計されていたのに。 第一次大戦とは、機械のように駆動し続けていた欧州の政治が連鎖的に破綻していった、けっこうメカニカルな事件。アグレッシヴな悪党が跋扈する第二次大戦とは光景が違います。そしてこの作品は、まだどん底までは行っていない第一次大戦後の人々のメンタリティを、駅の視点から俯瞰してくれる。オイラはこのエキナカの居心地の良さ、やはり大事故による破局を想定して作られてるとしか思えないんだよなあ…第一次大戦の再現というかそんな意味合いで。 ちなみにそういう記号部分も含めた上で、同時代の同テーマ+主人公の立ち位置という意味合いでほとんど『ミツバチのささやき』に内容がかぶります(スコセッシ監督が意識してるかどうかは不明だけど、メリエスのくだりは隔世遺伝的に『キャット・ピープルの呪い』にも接近)。なので先達と比べちゃうと…ダメダメですなあ。 メリエスへの敬意で、一応この点数だけはキープさせてもらいますが。 ●2日後の追記: 映画=天界のメタファーを語る上でもうひとつ重要な作品があるのを忘れてました。『ニュー・シネマ・パラダイス』。そうか、アレを意識したから無罰的な展開が必要だったのか…イタリア人だねえ…。 [映画館(吹替)] 4点(2012-03-20 13:29:50) |
25. サイン
やられた! もう感動で涙が止まらねえ…! 何年かぶりに書き込みに来ちゃいましたよ! 全体を通して流れる、リヤカーで戦車を引っ張るようなアンバランス感と、その出来すぎなまでの完全解決。まるで他人事のような醒めたカメラワークの産むギャグが、ラストでロジカルな美と融合する事で、陰画のように巨大な存在を浮かび上がらせる。映画全体をバランスするためには、その(画面には決して登場しない)存在を最初から仮定しておかなければならなかったのだ。 神話からメルヘンを通って教養小説に至る物語技法の原動力に、直接触れてエネルギーを取り出したような感じ。この絶妙なバランス感覚は天才的で眩しい。 ホントなら10点でもいい感じなんだけど…でもまあ結局、日本人にはほぼ他人事なんよねえ。なんかモーツアルトの音楽を聞く時のもどかしさに近いかもです。 ●2012/3/10 追記: 良票来たのでついでに。『アンブレイカブル』では街の色使いの変化が主人公世界の変化に呼応していた。本作では、主人公が物語の手綱を握っている時(つまり大半の時間)で、カメラは固定になっている。そして家族と心が通じて「家族の物語」となる時だけカメラが動く、という隠れルールがある。 これ、主人公の心理をカメラで表現しているとも言えるんだけど、言葉通りの「神の視点」を表現できてると思うんですよね。クライマックスが来て、観客が「自分は今まで神の目線で一人の男を見つめていたんだ」と気付く瞬間、それまでの様々な不幸や、怪異や、ギャグが吹っ飛んでいく。自分はこの物語を超えていたんだ、超上から目線で見ていたんだと理解する。そうすると、人間ってモノの小ささが見えてきて、同時に人への慈しみが湧いてきます。 キリスト教的な意味での「神」の気持ちになれる稀有な映画だと思うんですよね。 [インターネット(字幕)] 8点(2012-03-10 13:59:18)(良:2票) |
26. ヴァン・ヘルシング
もー冒頭のシーンにやられたんで夢中で観ちゃいましたよ。なんたって最初のセリフがホラー映画史に燦然と輝く「アライブ! アライブ!」なんですもん。 ざっくりと大味な造りも、世の怪奇映画が出来合いのプロダクションムービーとして作られてきたという事実を思い出させてくれて、案外正統な印象。無駄に大作ムービー臭もあるしね。 そして、古今東西オイラが観てきたフランケンシュタイン映画の中では、本作のモンスターの描かれ方が一番原作に近くて納得できる(「フランケン映画はアドベンチャー大作として撮るべきだアッ!」というのが昔からの持論なのです)。彼は人類を相対的な立場から、「他人事」として語れる者なんですな。神(ヘルシング)と悪魔(ドラキュラ)の対立から等距離分離れているというポジショニング(そしてそのバランスを壊すキワードが「トモダチ」というの)にシビレますですよ。 ドラキュラの方は役者さんの力の問題もあって、往年の名優たちには及ばない。だけどマックス・シュレック版やルゴシ版はもちろん、トビー・フーパー版までキチンと意識して演技に盛り込んでる。なかなか勉強家のようです。全然成功してませんが(涙)。 で、この点数になった理由なんですが、ドラキュラの「嫁」たちのデザインが悩みどこだったからなんですね。 ヴァンパイアってよりハーピー的なクリーチャーデザインなんだけど、これ過去の吸血鬼映画にはないコンセプトなんですよね。むしろ原典を探すならフランケンシュタインの方の「花嫁」のデザインなんじゃないかと。 …だったらちゃんと嫁にパンクヘアさせて、怪鳥音しゃべらせなよ(笑)。そこんとこの踏ん切りのつかなさが、すっごく惜しくて惜しくて…イゴールネタではあんだけしょーもないギャグで引っ張ってるクセによ(一瞬メル・ブルックス映画かと思ったぜ)。 ホエール版フランケンの煮え切らなかった部分への決着をつけられるくらい、器のしっかりした企画・脚本だったのに。残念でごわした。 [インターネット(字幕)] 7点(2011-10-09 03:26:51)(良:2票) |
27. テルミン
音楽映画じゃなかった(少なくとも楽器テルミンと音楽との関係には、ちゃんと触れられてなかった)。『レッズ』を想い起こさせる、進歩派ニューヨーカーたちの壮大なロマンス。失った日々をインタビューやホームムー (詳細はブログにて)[DVD(字幕)] 4点(2010-07-24 12:00:54) |
28. おかしなおかしなおかしな世界
始めて見た時は大笑い。それもノンビリした健康的な笑いで、笑ってて気持ちがいいです。ぬるいギャグ映画と見るか、大らかなコメディと見るかはヒト次第でしょうけど、時が経てば経つほど見る側の心がすさんで行って (詳細はブログにて)[地上波(吹替)] 7点(2010-05-25 02:40:47) |
29. アイアンマン
《ネタバレ》 オイラのレビューもついに目標の600に達して、今回でうちどめ。 さて、オイラが最初に『アイアンマン』という名前で思い浮かべたのは、マーヴェル版の奴じゃなくて、もっとマニアックな こんなの↑ (詳細はブログにて)[インターネット(字幕)] 8点(2010-05-22 17:54:06) |
30. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 ここの諸レビューを久々に読んで、やはり変だと実感したので、ちょっと追記。 何でこの映画でみんな笑えない…? (詳細はブログにて)[映画館(字幕)] 6点(2010-02-19 09:19:49)(笑:1票) (良:1票) |
31. 死霊伝説 セーラムズ・ロット(TVM)
《ネタバレ》 何よりもまずコレ、ルトガー・ハウアーの使いどころを心得てるねえ! ストライカー役のドナルド・サザーランドも、流石の怪演。 これでもし神父役にロバート・デュバルあたりを使っておけば…惜しい~。 (詳細はブログにて)[DVD(吹替)] 7点(2009-05-27 23:17:52) |
32. 原子怪獣現わる
7点にしちゃうけど、物語史を考える上では重要な作品だと思う。今日に至るまで見てなかったというのを恥じた逸品でした。 (詳細はブログにて)[DVD(字幕)] 7点(2009-05-23 10:25:53)(良:1票) |
33. 300 <スリーハンドレッド>
《ネタバレ》 どうしても「スリーハンドレッド」じゃなくて「さんびゃく」と読んでしまうオイラ。フランク・ミラー作品という事もあって、地味~にパラノイアで鬱々とした内容なのはわかってたから、食指が動かずに放ってありまし (詳細はブログにて)[DVD(吹替)] 6点(2009-04-04 22:46:14) |
34. キャット・ピープルの呪い
《ネタバレ》 いっやあよかったねえ見つかりましたねえ道頓堀のカーネルサンダース人形。Google で「the curse of Colonel Saunders」検索すると出るわ出るわ、世界中で百数十件のニュース記 (詳細はブログにて)[DVD(字幕)] 6点(2009-03-12 01:42:35) |
35. モンキー・ビジネス
気になって調べちまいましたが、本作の発表された1952年の前後は覚醒剤研究の揺籃期。 LSDの化学成分が明らかになろうとしていた頃で、つまり本作はドラッグ映画の先駆け的な位置付けにありそうです。 後の60年代ドラッグ・ムゥヴィーがとにかく内面、内面…と実体験に基づく幻覚と非論理を追求したのに比べ、ハワードホークスはこの(世間ではまだ認知されていない)《ハイ》という状態を他人の目で、冷ややかに、バカにするような視点で描き出してる。ここがまずポイントですね。 この冷た~い白~い視点に気付くと、コントラスト強めの色合いや、バリッと決まったパンフォーカスの画面の理由がわかるというか。これ、どう考えてもコメディにならないはずなんだけどなあ…何でスクリューボール・コメディ仕立てで企画したんだろうなあ…。 道具立てはかなり『赤ちゃん教育』に近く、ハワード・ホークスのこだわりが見え隠れする作品ではあります。でも壮年の夫婦を中心に据えた物語作りにはチョイと納得いきません。これが例えば、酒場を中心に展開する人情モノで撮られてたら、ネタのポテンシャルが活かしきれたんじゃないかと思うんだよねえ。 あ、でもあのモヒカンだけは腹がよじれた! あの一瞬のためだけに、ホントにやるか~ッ! …って感じです。(^O^、 ちなみにオイラにとっては初マリリン・モンロー作品(ケイリー・グラントに並んでキャスティングされてるから、彼女の映画と言ってもいいっすよね)。イマイチだなあ…これなら『黒い罠』でのザ・ザ・ガボールの方が可愛いなあ。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-08 21:43:38) |
36. キャット・ピープル(1942)
リメイク版に比べりゃ地味~な作品だけど、簡単に割り切れない奥の深いストーリーが「ホントに40年代作品?」と思わせる。ストーカー的なサイコキラー(『サイコ』の20年前!)の物語であり、『女性』という性の物語であり、狼男のような変身談でもあり、またバルカン地方の「民族浄化」という残虐な習慣を匂わせる作品でもある。シンプルな展開・人物構成から、これほど色々なベクトルの要素が読み取れる映画はあまりない。派手な展開はないが、充分に練り込まれた人物の魅力、そしてモノクロームの光と影が織り成す美しい屋内プールシーンで、永遠に記憶されていい作品だと思います。 ●2009/3/7 追記:goo 映画のあらすじがすげえ! オチまで含めて全部イレーヌの視点で語っちゃってるよ! ある種の心意気を感じました(イレーヌ視点なのでファンタジー化してますが…)。いやぁ、本作もあらすじを書きにくい映画なんだよな…。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-07 21:38:34)(良:1票) |
37. あれ
《ネタバレ》 ごめんなさい。まだ観てる途中なんだけど、あまりに展開が面白くて、あまりにクララ・ボウが可愛くて、あまりに予想外のガッツ・ストーリーで、この感動を忘れぬうちに…と書き込みに来てしまいましたわ。 (詳細はブログにて)[インターネット(字幕)] 10点(2008-12-06 11:17:54) |
38. ダフト・パンク エレクトロマ
70年代のSF臭が見事なまでに再現されていて、むせ返りそうなほどにクラクラする。 (詳細はブログにて)[DVD(字幕)] 9点(2008-11-02 23:01:35) |
39. 紀元前1万年
あああ素晴らしいいいッ! この、ドイツ人監督らしい、真面目な手の抜き方がたまらない。オリジナリティがゼロなのに頑張っちゃうとこが清々しい。愛しいまでのポンコツぶり、頭を抱えたくなる予定調和な大団円、みんなみんなまとめて、丸ごと好きになった。 バカすぎる…。 [インターネット(字幕)] 8点(2008-10-24 04:32:29)(笑:2票) |
40. プレステージ(2006)
《ネタバレ》 まあこの程度の掟破りは事前に折込みずみだったんで、別にビックリぁしませんでしたが。 (詳細はブログにて)[DVD(吹替)] 8点(2008-04-27 01:29:27) |