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エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
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ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

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41.  ヒストリー・オブ・バイオレンス
食前酒は深紅のネグローニ。カンパリ特有のピリッとした苦味が舌を刺す。それからうって変わってまったりとしたニョッキのポタージュがやってきた。食べごたえ十分の、ホッとする家庭的な味。だが一緒に出てきたビーツと赤ピーマンのサラダが、熾火のような紅をチラチラと自己主張して目に痛い。その後に巨大な巨大なステーキが来た。席に着く前からレアステーキだとはわかっていたが、これが実際に目の前に置かれると途方もないコッテリ感だ。ふうふう言いながら食べ終わるが、これでメインディッシュは終わりではない。仔牛のテールシチューがやってきた。デミグラスソースの複雑な香りに、ひとつまみ置かれた血のようなパプリカ。ひとさじ口へ運ぶと濃厚な酸味が食欲を奮い立たせる。もうこれ以上こってり系は食べられない。もう無理だ。絶対に食えないよ…などと思いつつ、気がつくと平らげていた。何という恐ろしいシェフだ。容赦なく客を肉責めにするとは…そう思っているうちにやってきたデザートの抹茶アイス。甘みを抑えた脂肪たっぷりのアイスクリームに、手摘みの玉露を挽いた抹茶の苦味が加わって、それまでの胸焼けが消えていく。決して爽やかな後味ではないのに、味わうほどに奥深い甘みを感じる。食べながらいつの間にか泣いていた。周囲の席でもかなりの人が泣いていた。いまこれを打ちながら、舌に残っているのは最後のデザートの心地よさだけだ。ここのシェフは普段ゲテモノばっかり出してくるが、ちゃんとしたディナーを作るとそこらのレストランでは太刀打ちできないモノを出してくるのが、自分が通い続けている理由だろう…でも今晩はもう、お腹いっぱいです。しばらく肉はいらないや。
[映画館(字幕)] 9点(2006-04-28 21:10:09)(良:1票)
42.  ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
久々にゴブリンの『ゾンビ』聞いてたら書きたくなっちゃったよ。オイラは映画としてはロメロ版じゃなく、コッチ派なんですよね。この映画の凄いトコは、ヨタヨタ歩いて襲ってくるゾンビ襲撃場面のBGMに、ゴブリンのハードロックをつけちゃったダリオ・アルジェントのセンスにあると思うんですよ。あとゾンビの衣装も、本作が一番ぶっ飛んでてすごい。ラストの脱出シーン、野球選手のゾンビとかはまだ許せるが、ラマ僧のゾンビなんて、いったいあのショッピングセンターまでどうやってたどり着いたか意味不明だァ! あのぶっ飛んだ感覚がヒッピー文化の断末魔、最後の集大成みたいな感じに思えて仕方がないんです。ロメロ的な「空転する論理」で味わう左脳の恐怖と、アルジェント的な「意味不明殺戮ショー」で味わう右脳の恐怖が70年代の空気の中で絶妙にミックスされて、他のゾンビ映画では到達し得ない高峰まで登り切ってしまったんじゃないですかねえ。だいたい、ロメロもアルジェントも単独で撮ると完成度ボロボロでしょ。きっと互いに相手を嫌ってる事でしょうが、オイラは本作を「映画史における異質な才能のベストマッチング」だと断言したいっす。
[地上波(吹替)] 9点(2006-02-12 19:43:26)
43.  キング・コング(2005)
まず最初に警告! この映画、絶対家族連れで観に行ってはいけません! 3時間もある超大作ですよ、子供の膀胱が持ちませんて(実際、そういう光景が多々ありました)。かくいうオイラも、舞台がNYに戻る後半戦では漏れそうな膀胱との戦いでした。大抵はドルビーマークが出るあたりまでエンドクレジットに付き合うオイラが、お約束の台詞「いや、美女が野獣を殺したんだ」が出たとたんに席を立ってましたわ(笑)。…余談はさておき。以前からジャック・ブラックの演じるデナムに不安があったんですが、見事的中しちゃってるー。元版のデナムの、あの強烈なマシンガントークが出ないと『キング・コング』って感じがしないんですよね。勢いに巻かれて、船に乗った全員が怪しい島に連れて行かれるという、あの人的迫力に圧倒されるシチュエーションが欲しかったんだよオイラは~(そうすっと30分以上は縮められたと思うし)。でも、他の人物はすごかったです。総じて人物描写が練り込まれ過ぎていて、オリジナルを知ってる観客には掘り下げ方がたまらないです。人物以外にも、元版ではインチキ感丸出しだった原住民の踊りがNYで再現されてるあたり、クーパー監督とオリジナル版の揶揄にもなってますね(ちなみに最初の代役探しのシーン、「フェイ・レイはRKOの映画に出演中です」「クーパー監督の?」の台詞で爆笑したの館内でオイラだけ…寂しかった…)。「オリジナル版っても所詮は見世物映画よ」なんて思ってるオイラとしては、ここまで掘り下げて描写してくれるのが嬉しいし、感動でもあります…オープニングに流れる曲の歌詞で、いやおうなく監督のコング映画への愛がわかってしまいますな。一瞬ではあるけれど、コングは世界のてっぺんに立つんですよね…。コングとアンの二者の愛情が、様々なシチュエーションを重ねるうち、徐々に深まっていくのも見事。「野獣と餌」から「王と道化」へ、そして対等の関係へ、それ以上の悲しい絆へ。アンを被弾させまいとして自分を盾にし、エンパイアステートビルの展望台をグルグルと回り続けるシーンでは涙が止まりませんでした。あれは、それまでの丁寧な描写が焦点を結んでオリジナルを超えた、素晴らしい瞬間だったかもしれない。映画そのものより、オリジナルへの溢れる愛/コングへの深い理解が素晴らしかった。そこにヤラレてしまったのかな。多少の不満は目を瞑り、9点で行きます。
[映画館(字幕)] 9点(2005-12-20 17:26:15)(良:5票)
44.  宇宙戦争(2005)
原作の、「あの」超有名な冒頭のくだりをそのまま使ったのはエライ。というか、あの時点で映画のスタンスが明快にわかったので悩む事なく楽しめました。トライポッド登場時に、隕石孔に集まった人たちが身分や性別や職業に関係なく殺されまくる「あの」名シーンも、原作を最初に読んだ時のゾクゾク感が蘇ってきた。全体的に、H.G.ウェルズの原作に何かを付け加えようという意図は感じられず、非常に素直な現代版アレンジだったと思います。唯一の相違点は主人公の娘の存在なんだけど、微妙かなあ…もっと息子との確執を描いた方が、視点が複眼的になってよかったと思うんだけどね。ただ、原作の『宇宙戦争』の意図というのは、「大英帝国がインドや中国に対してやってきた事を、超文明世界からやられてしまう」という逆転の構図にあるわけで、その点では本作は十分役割を果たしていますね。監督の人選で4年間もすったもんだしながらも、この重要な軸足がブレなかったのはエライ。そしてこれは一重に、アフガン戦争真っ只中の2002年春の時点で版権を買い取り、企画を立て、ドリームワークスに持ち込んだトム・クルーズの一途さにあると思います。これだけ商業価値のない大作を、よくまあ仕上げたモンです。トム君、ポスト・ビーティと呼ばれる日は近いぜ!(呼ばれたくないだろうけどね)●追記:父子愛がどうこうという意見が多いけど、スピルバーグ作品で少女がスクリーミング・クィーンをつとめるのはお約束じゃん(笑)。主人公の横でキャーキャー叫ぶ足の引っ張り役が、本作に必須だったというだけの事じゃないかと思います。しっかし…ダコタ・ファニングって、将来はいいSQに成長しそうだ…。(^^; ●さらに追記:トライポッドに喧嘩売っちゃうシーン、原作をわかってらっしゃるレビュアーさん内では非常にデリケートな評価ポイントみたいですねえ。オイラは日本が発明(!)し、20世紀末から大流行してしまった「自爆テロ」を原作の流れに組み込もうというスピルバーグの努力の跡と見ています(ハリウッドのレーティングからして、アガキとも取れるけどね)。ま、あの程度が妥当でしょう。製作の経緯からして、トムちゃんは本気で自爆して娘だけ助かるエンディングにしたかったんじゃないか、って疑ってますけどね…ほらほら本音言っちゃえよトム!
[DVD(字幕)] 9点(2005-11-15 00:35:13)(良:2票)
45.  マーズ・アタック! 《ネタバレ》 
わあぉう! しまったあアァァー! こんな素ッ晴らしい馬ァ鹿映画を今まで見ないでいただなんてーッ! …って、ティム・バートンは私的にハズレが多いんで、避けてたのは事実ですけどね。トム・ジョーンズが本人役でストーリーに割り込んできた時にはもう、あまりのくだらなさにひっくり返っちゃったっすよ。あれだけ超豪華キャストで固めておいて、有名芸能人役がトム・ジョーンズだけなんかい~っ! 日本で言えばアレよ、高倉健&宇津井健の主演映画で根津甚八や緒方拳や役所広司も出てる中、尾藤イサオがただひとり有名人役でスターしてるって感じっすよ。火星人もお茶目さんでしたが、終盤で彼らを撃退してるシーンの脱力感がまた心地いいんだわぁ…。ぽわ~ん。脱力感満点のシリィムーヴィーッ。●追記:アネット・ベニングが断酒会でスピーチしてるシーンに脱力。『2999年異性への旅』のあのシーンはコレが元ネタかあ。●追記2:あれから3回繰り返して見ました。ラスト、議事堂の廃墟に立ってのリッチーの演説「I was thinking, maybe instead of houses we could live in tepees. Because it's better in many ways.(ボク思うんだけど、先住民の家に住むのもいいんじゃないかな、いい点が多いから)」…つまり、この映画のテーマは「アメリカ先住民に対してやってきたコト」を強烈に意識したもので、アメリカ史を逆視点で再現してたワケっすね。マジョリティとマイノリティの逆転。B級バカ映画のフリしながら、実はH.G.ウェルズの志を継ぐ正統的な『宇宙戦争』テーマです。さてさて、ティムならぬトム・クルーズはここまで迫れるか…?●2007/8/18、『火星人メルカーノ』を観る。こっちの点は下げざるを得まい。バートン、アンタの映画はメルカーノ度が足りない。
[DVD(字幕)] 9点(2005-06-11 00:41:00)(笑:1票) (良:3票)
46.  レッド・バロン(1971)
この評をコーマン様に届けてくれっ! こっ、この映画は良いものだ~っ! …と叫びたくなるほどガンダムの元ネタがいっぱいでした(リヒトホーフェンの機って、赤く塗ったから3倍速くなったんじゃなくって、複葉機から三葉機に乗り換えたからだったんですなー…当たり前か)。泥沼にはまっていく第1次世界大戦。この時代を題材にすると、どうしても汚くて陰気な「塹壕戦」が舞台になりがち(『西部戦線異常なし』『突撃』)なんだけど、優雅にも見える空中戦を、本物の複葉機をジャンジャン壊しながら撮ったおかげで最後まで見応えいっぱいの作品になっていました。開戦当時は騎士道精神というかノンビリムードがあったのは間違いないんでしょう。休戦日になったクリスマス、ドイツ兵とイギリス兵が交歓会を開いてサッカーで戦ったという逸話もありますね。後で両軍の参謀本部が怒りまくって交歓会禁止の通達を出したらしいが…。骨太で荒っぽいシナリオながら、そんな「現場と大本営の温度差」がうまく出ていたと思います。低予算映画では神級の傑作を作るのに大金持たせちゃうと全然ダメって監督がけっこういます(あんたの事だよカーペンター)が、監督コーマンは器の大きな「どっちも採り」だった事が伺える貴重な映画です。
[DVD(吹替)] 9点(2004-12-25 22:16:30)(良:1票)
47.  2999年異性への旅 《ネタバレ》 
すげえよジョン・グッドマン! ただのデブかと思ったら、何気に地球の危機を救ってるじゃんよ! しかし評価が分かれる映画っすねえ…最初の方は本気で頭を抱えてしまったけど、後半になるにつれ着実に世界観が組み上がっていったサシウマ的作品でありました。中盤、主人公が結婚について侵略者のボス(どんな駄作でも手を抜かないベン・キングズレー)と意見が分かれるあたりで、やっと土俵が出来上がった感じかにゃ。テーマ的には『逆シャイニング』の名を冠したいと思います。ラストの無理やりハッピーエンドはいただけないが、そこまでのコメディセンスの飛びっぷり(かつ博物館級の枯れぐあい)は他の映画で味わえない独特な感じ。監督にはメル・ブルックスが最適と思われるところを、あえてマイク・ニコルズで行った点に、妙味というか珍味というか、味わい深い何かがあったようです。特にラスボスの死体を抱えてニコニコ去っていくジョン・グッドマンには、あんぐり口開けながら見送ってしまったっすよ。笑いというのとは何か違うレベルの、ヘンなモノが詰まった奇品。
9点(2004-11-23 02:48:41)(良:2票)
48.  サイコ2
公開時、話題にかこつけた名画座で『サイコ』が先行上映されました。これをハシゴして見て、迷わず本作に軍配を上げたオイラ。友人は「あのモーテルがカラーになるなんて許せねー!」と叫んでましたが。で、ここの票を見たら…うーむ。当時と何も変わりなく傑作派と駄作派に分かれてますなー。オイラは今でも傑作だと思ってますよ。『サイコ』自体がオチに頼りすぎて展開が単調だったので、2での理詰めでヒネっていくあたりは素晴らしいの一言。また映画の歴史におけるターニングポイントを築いた作品だとも思います。オイラ的記憶で語って申し訳ないけど、「パート2モノ」でここまでオリジナルのお約束を守り通し、かつ前作世界を守り抜いた映画は『サイコ2』以前にはないと思う(それ以前の続編モノがどんな扱いなのかを知りたければ『エクソシスト2』『ポセイドン・アドベンチャー2』あたりを見なはれ~)。本作以降、別監督が手掛ける正統派続編はある種のリスペクトのオーラをまとっている事が多くなります。ヒット作の続編のあり方を決定的に形作ったのは『エイリアン2』だろうと思うけど、その理論と心意気を世間に示したのはこちらだと思う。監督、さすがヒッチコックの研究をしてただけあるよ。この映画の評価は、だから、映画自体の評価が半分、残りの半分はスクリーンからにじみ出るピュアなリスペクトの香気に支えられていると言っていいんじゃないのかな。そういうスタイルの初めての映画だったから、きっと並べて見た時に怖かったし、感動もしたんですなー。関係ないけど…メチャ好みのメグ・ティリーに1点オマケ。(追記:あーこの作品でもうひとつ重要な要素があったね。それはオリジナルの欠陥を認めたまま、超えてみせたいという意欲だ)
9点(2004-09-10 07:02:59)
49.  遊星からの物体X 《ネタバレ》 
物体X。そのアイデアの恐ろしさはエイリアンを凌駕する。襲われた後の救いのなさはゾンビをも超える。そして奴らの凶悪さに至っては…まあゴケミドロくらいかなあ。でも、この作品の価値はそんな所にあるんじゃなくて、『生命』と呼ばれる存在の目的意識のなさ、その延長線である社会組織の不安定さに超斬新な切り口で迫ったところにあるだろう。奴らXには多分知性はなく、惑星間を渡っていくための本能として吸収・同化という機能があると推理している(そう見ると、より単純な構造の生物の表現形が露出する各シーンの変化はとても説得力がある)。円盤を造るほどの高度な知性は、彼らの新植民地が安定してからおもむろに現れるに違いない。本能として、遺伝子の奥底から、まるで神の啓示のように…。 そう理解すると、あの凶悪なクリーチャーデザインに込められたメッセージが届くような気がする。「地球の生命なんて神秘でもなんでもない。簡単な化学のメカニズムで動くロボットだよ。生命そのものをぶっ壊してつぎはぎし直して、ほらカニの脚つけたって動くじゃねーか」。 これを自然への冒涜と見る向きもあるだろう。が、この冒涜なしには、我々生物は宇宙という過酷な世界を手にすることはできないのかも知れない。進化の行き着く先には、その酷い壁を越えるという儀式が待っているのかもしれない。その時、人類は自らを物体Xとする、涙なしには笑えない、諧謔的な価値の転換が起こるのだ…そんな事を思い巡らしてしまうくらいの説得力が、Xのデザインに秘められていると思っている。だから点は高いがある意味ネガティブなベクトルの評価だ。9点。
9点(2004-07-09 02:31:25)
50.  リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い
噴飯モノの設定、そしてB級大翁ことショーン・コネリー主演ってとこからして見る気がなかったんだ。本当だ。でも魔が差すというのはあるもので、TSUTAYAでうっかり手に取ってしまったのが運の尽き。食わず嫌いはイケナイと大後悔中です。冒頭の「M1戦車で銀行強盗の巻」からもうやられっぱなしでした。そいでヒロインの吸血鬼にカーミラではなくミナ(しかもハーカー姓だッ!)を持ってくる時点で、ヒネリは充分期待できた。残りのメンバーだって透明人間とジキル博士はお約束としても、アラン・クォーターメイン、ドリアン・グレイはナカナカ思いつかないと思うよ。そして強引にもネモ船長! しかも1916年サイレント版2万リーグの髭と衣装! 凄いぜマニア過ぎるぞこのプロデューサー! 彼らをバックアップするのがMってのがまた…これに成長したトム・ソーヤーを絡める暴走振りも何をか言わん。ストーリーも、もう何回もリメイクされた人物達のいわば「オールスター物」だから、ネタには一切困らないし、観客としては2分おきに突っ込みを入れてればいいので鑑賞も気楽。でも実は「第一次世界大戦勃発を止める話なら、ホームズが出てこないのは許せん!」と思って見てたんだよね。そしたらクライマックスではしっかりやってくれました。ホームズご本人は拝めなかったけど…。濃いネタをアクション中心にサラッとまとめた感じで、凄く好感が持てた。こういう仕上がりに相成ったのもお堅いFOXだからこそ、なのかな。この手が得意なディズニー/ワーナーなんかが手をつけたら、テキトーに流して造ってそうだしね。 (追記:とか思ってたら、製作総指揮がショーン・コネリー本人じゃん…そりゃ手を抜かんわなあ)
9点(2004-06-27 02:21:42)
51.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 
昔、これを観てから『未知への飛行』を観ちゃったんですが、笑いっぱなしでした。なんでこんなにシチュエーションが似てる~っ? なんだか、同じフィルム使って違うシナリオをアフレコ収録したみたいな錯覚に陥った記憶があります。だが、コッチの方が一段と深い描き方をしてそうなのは、全体構成がセックスを揶揄してるような気がするから。冒頭の空中給油は言わずもがな、それ以外にも…最初のゆっくりとしたカットバックが、次第に激しく、やがて猛烈に、最後は支離滅裂に飛びまくる点。最初は影すらも映らなかったストレンジラブ博士が、次第に重要度を帯びてきて、最後にはマフリー大統領&タージドソン将軍を差し置いてラストのセリフを奪い、立ち上がってしまう点。最初は悲壮な決意で臨むものの、「ウッ発射できねェ」「いや俺が何とかするッ!」と燃え上がっていく爆撃機内。そしてラストの爆発、キノコ雲の連続…。男の、射精に至るまでの内面をとことん分析的(分裂症的?)に描いた作品に見えます(「=それこそが戦争の原理」と言いたいんだろうな)。そういう風に観る事で、奇妙なタイトルの意味や、ピーター・セラーズが三役をこなした事の意味が見えてくるような、来ないような。
9点(2004-05-24 02:01:41)(良:1票)
52.  怪物の花嫁 《ネタバレ》 
まさかエド・ウッド作品に9点つけるハメになるたぁ、お釈迦様でもご存知あるめェ。だが言わせて頂く。演出が最低なのは認める。ルゴシ以外のキャストの演技がテキトーなのも皆々様の仰る通り。特撮も冗談抜きでヘボい。セットも使い回しばかり。お約束のように昼のシーンを「夜」と言って強引に観客を納得させやがる(って書いてると本当に最低映画だよな…)。でも、それを押しのけるように溢れ出る物語のテーマ性、これへの感動はオイラには如何ともし難いのだ。「モンスターがフランケンシュタイン博士を改造してしまう」! こんな恐怖映画がかつてあっただろうか。これはホエール版『フランケンシュタイン』『フランケンシュタインの花嫁』へのひとつの回答であり、挑戦状でもあるだろう。この、博士改造シーンには本気で背筋が凍った。モノクロ時代のホラーはそれなりに見てきたけど、インパクトに関しては群を抜いていた。ダメダメな部分を考慮してもなお、ハマープロの凡作なんかよりよほど歴史的な価値を持っているホラーだと思う。多分、これから何回も観る作品になるだろう。
9点(2004-04-23 03:31:42)(良:2票)
53.  X-MEN2 《ネタバレ》 
かけた予算にピッタリ見合う出来映えのエンターテインメントですね。公平に言って特にどうという内容ではないし、完結編への橋渡しなのは明白。でも監督・俳優・配給・ファンまでも巻き込む、この『2』の静かなる熱さには10点以外つけられないです(とかいいつつ2004/12/3、9点に)。敵になったり味方になったり忙しいキャラたちですが、全員に一本筋が通っているのが気持ちいいす。普通はひとりかふたり、理解不能な行動をする奴がいるもんだけど…。映画の迫力+連続メロドラマの気配り。夢中になってしまうワケですなあ(夢中になれる人は、ね)。私的に、教授と「偉大なるイリュージョニスト」ジェイソン君との、救いのない不毛な対決は、涙が出るほど痛ましかった(けっこうイカしてたぜジェイソン!)。パイロとマグニートーのやり取りもけっこう泣ける(マグちゃんあんた、そういう口車で仲間をスカウトしてたんかい!)。そして極めつけ、ウルちゃんの手でアマダンチウム漬けにされた「ウルヴァリン2号」ユキコ…あれって設定上、死なないワケだよね? 動けなくなっても永遠に腐敗と再生を続けるんだよね? まさに生き地獄じゃあ…展開のテンポがいい分、見るたびに新たな発見ができて、深い映画だすなあ。あ、最後に。ミスティークあんた、今回は議員の代役が勤まるくらい頭良すぎで、エエ女で、運動神経抜群で、機を見るに敏すぎて、もしかして死角がないんちゃうか…?
9点(2004-03-20 00:51:46)
54.  スターシップ・トゥルーパーズ
反戦映画だとは思わないんすよね、コレ…反戦映画作るのも無意味に思ってるような、ニヒリズムが漂ってるのを感じます。まあ『グレート・ウォリアーズ』撮ったバーホーベンだもんね。このヒトのSFは絵的な部分までキッチリ考証されてそうな…というか「これ以上やるとファンタジーだ」という一線を理解してる点が凄いです。これが徹底してるから、特にネタ明かしのシーンを入れなくても「本物の情報」と「捏造された情報」とをキッチリ切り分けできる。さすがは物理学の博士号を持ってるだけあるよなあ…って、これは『トータル・リコール』のレビューに書いた方がいいのか。あと、主役の俳優さんは全くの新人で、「ジョニー・リコを演じるなら俺だ!」と自ら売り込んで医者になるのをやめたそうですが…まさかこんな映画になるとは思わなかったんだろうなあ…可愛そうに(薄笑)。
9点(2004-03-13 23:12:33)
55.  スフィア 《ネタバレ》 
いまんとこ本格SF映画でエスねこ的に最高得点を取っている作品。クライトンの原作は最悪の駄作だと思うけどね。主役3人のキャスティングで成否が分かれるところだが、ハリウッドらしさの少ない俳優を配した点が功奏したと思う(正直、シャロン・ストーンよりはブリジット・フォンダにやって欲しかったけど)。次に全体構成。監督レビンソンはかなり『2001年宇宙の旅』を真似ている。誰もいないセットをひたすら映し、あたかも誰かがいるかのように思わせる手法はキューブリックがHAL9000を表現するのに使ったソレと同じ。後半はシーンの連続性を敢えて断ち切るようなフィルムの繋ぎ方をして、なおさら観客を混乱させるが、これはラストで「何か(結局それは自分自身なのだが)」を精神分析し、治療を試みる際の描き方で最高潮に達する。キューブリックが描いたのが迷わずアッチの世界へ逝ってしまった一人の人間だとすれば、レビンソンは地に足をつけて頑張り続け、観客ともども現実へ引き戻そうと努力を重ねる。それが実ったかどうかは…もちろん、あのラストは「現実じゃない」かもしれないのだ。いやシナリオ的には間違いなく現実なんだろうが、演出はそれを拒否している。ああいう風に描くのが、レビンソン流の「スターゲート」なのかもしれないな。
9点(2004-03-08 04:35:58)
56.  ロイドの人気者 《ネタバレ》 
ロイド作品の中では一番好き。彼の映画は、ネタに関しては当たり外れが少ないんだけど、「ロイド」というキャラクターを活かし切った作品は以外に少なかったりする。お調子者のロイドが最後までお調子者のままハッピーエンドを迎える(『要心無用』)か、徹底的に打ちのめされてもなおハッピーを求め続ける(『ロイドの英雄』)かの違いだと思う。チャーリーやキートンと違い、ロイドというキャラクターにはスラップスティックの枠を越えた「人間性」を感じさせるのだ。そういう意味で、本作は後者のロイドを完璧に演じ切ったサクセスストーリー。多分「新入生」という立場が、ロイドの魅力にマッチしたんだろう。この映画でヒロインとの間に結ばれるのは愛ではなく淡い恋心。この時のロイドは今までのマドンナだったミルドレッドとリアル新婚ホヤホヤ状態で、本作のヒロインはいつもとは別のジョビナ・ラルストン(大学モノの定番、大家さんとこの娘さん。内気っぽい演技がグー!)。舞台は男臭さ満点のラグビー部。当然、恋にもスポーツにもヘナチョコなロイドの魅力爆裂だ。しかも今回のロイドは大学に疎い「新入生」で、自分の人生がお先真っ暗である事に一向気付かない(ここが、最初から計算高くてセコさ100%な『要心無用』のロイドと決定的に違う)。クライマックスで自分が笑い者の道化になっている事にやっと気付き、ガッツで挽回…という展開だが、普通なら中盤に持ってくるはずのストーリー転換点をギリギリまで引き伸ばしたおかげで、クライマックスのアクション爆裂度はビル登りシーンのソレどころではない。終わり方も終盤の勢いをうまく利用して、ほのかな恋が実る瞬間を描いてキレイに落としてくれた。サイレント時代の末期作品にあたる本作は、既に完成した「ハロルド・ロイド」というキャラクターを活かし切るべく立てられた企画なのだと思うし、ただ一片のパーツも蔑ろにせず、その目標に向かって徹底チューニングされた「ニッケルオデオン時代の最高級の職人芸」なのだ!と断言しよう。
9点(2004-03-05 02:46:32)
57.  ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ
1回見るだけならまあ5点ってとこか。面白さがわかったのは4回目くらいからかなぁ。いつでも肩の力を抜いてる2大スターの演技、さりげなくコミカルな紅一点のアン・ヘッチ、そして戦争キャンペーンソングの収録シーンでメチャメチャ楽しそうに指揮棒を振ってるレビンソン監督…やってるシチュエーションとのズレが最高。最高っす。ある意味、難解な原作を笑えるホームコメディタッチにしちゃったキューブリックの『ロリータ』路線に近いかもしれない。ただ絵としての華がないから聖域入りならず。1点減点するけど、何度も味わえるスルメ的な美味しさを持った映画です。
9点(2004-02-18 00:46:59)
58.  ベオウルフ(1999)
この映画に9点つけるのは流石にオイラだけだと思いますが。元のベーオウルフ伝説を主題に忠実にアレンジし、さらにゴシック・ホラーのお約束(後ろ暗い過去を持つ城主・気の強いヒロインを慕う兄・幽霊・呪いの噂・反抗的な地元住民・etc…)を守った上で、ここまで新味を出してしまうとは! これはヒロインを救う不死人ランバートの物語なんじゃなく、死すべき城とその最後の日々の物語の未来版なんです。クラッシックスタイルのホラーのシナリオで、どこまで新しい事がやれるか、その見本のような野趣あふれる実験作だと思いますねえ。
9点(2004-02-17 21:37:34)
59.  プリンセス・ブライド・ストーリー
原作から既に、語り部分とストーリー部分を色分けして2色刷りした、かなり確信犯的なホラ話でした。「こんなん映画にしたら普通になっちゃうよなー」とか思ってたら、まさか語り手役にピーター・フォークおじいちゃんを出してくるとは~!  この巧みな物語構造とキャスティングで原作の肝が救われた感じ。編集もうまくて、話がちょっとダレ気味になってきたり先が読めてきたりするとピーターじいちゃんが割り込んでくる。まさか映画で「語り」の重要性を認識させられるとは思わなんだですよ。派手な演出や金のかかった特撮もなく、ひたすら物語性だけで観る者を引っ張っていく作り方は「よくぞやってくれた」と拍手を送りたい気持ちにさせてくれます。そして愛あふれるラストの決めゼリフ! 最初見たとき、あまりの幸福感に思わず泣きました。「つまんねーなー。ゲームでもしようかなー」とかいう時に見るべし(笑)。
9点(2004-02-17 20:29:05)(良:1票)
60.  ヒッチャー(1985)
好みのドラマと言えば『ハイランダー』に『サブウェイ』に『刑事コロンボ』に…だから、よれよれのコートを着た男が主役格で登場する作品は相対的に点数高いす(笑)。エリック・レッドの書く脚本に出てくる野郎は『ラスト・アウトロー』ってのもそうなんだけど、こんなネチっこい男ばっかだよなあ。しかも追いつ追われつだけ(というか追われつオンリー)で上映時間のほとんどを消費…一点豪華主義のドラマツルギーですな。余計なモノを殺ぎ落とした話が、どれだけ食べごたえがあるか。サスペンスドラマの本領のみ発揮って感じです。当然ここまでやれば文句は言えん。ああ、Cラッセルが体当たりで力演した凡作『ブレーキダウン』に、『ヒッチャー』のねちっこさがあったらなあ…エリック・レッド侮りがたし。
9点(2003-06-10 23:49:48)
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