41. アバター(2009)
《ネタバレ》 劇場に出かけるのが遅めだったので、席は最前列。メガネをかけていますが、3D用メガネにはそれほど違和感を感じませんでした。 映像的にはたいへん美しかったですが、スクリーンをモロに見上げていたためか、パンドラにいる気分にはなれませんでした。パンドラは重力が弱いという設定からか生物が巨大で動きも素速く、その速さは出ていました。ただ逆に、重量感というか、質量がある感じはしません。ひとことで言うと、「やっぱCGだね~」ってところでしょうか。パンドラの生物はそれほど奇想天外なデザインではありませんが、人間型の生物が闊歩するのなら、それでも問題はないでしょう。 物語は特にのめり込めるものではなく、面白味もあまり感じません。致命的なのは、あのレアメタルがどれほどの価値があるのか、さっぱりわからないということ。地球からパンドラへ行くだけでも大変だろうに、あれだけの施設を作って軍隊まで送り込むとなると、莫大な費用がかかるはず。はたしてそれに見合うだけの開発なのかどうか。この映画的には「どうでもいい点」なのでしょうが、気になったものは仕方がない。この疑問を吹き飛ばすだけのものがなかったということです。最後の「領域を侵された自然の逆襲」というのはいいと思いますが、それをCGの3D映画という、不自然きわまりないメディアで描くというのは、いかがなものかと思います。キャストではマイルズ大佐に人気が集まりそうですが、シガニー・ウィーバーがベストでした。 一番困ったのは、見ていて気分が悪くなってきたこと。二度ほど専用メガネを外して、二重の映像を見ていました。また、見終わってからも頭がクラクラしてしまい、しばらく劇場の椅子で休んでいました。どうも3D映画は生理的に合わないようなので、今後は遠慮させてもらいます。3D映画が量産されるようになったとしても、私の映画ライフは特に明るくならないでしょう。 [3D(吹替)] 6点(2017-04-03 16:12:55) |
42. キングコング: 髑髏島の巨神
《ネタバレ》 せっかくの割引の日ということで、IMAX3Dで鑑賞。かなり面白かったです。人物紹介もそこそこに髑髏島へ乗り込み、あとはとにかくアクションのつるべ打ち。途中での原住民との出会いもいい具合に箸休めになっています。適度にドラマを盛り込み、大上段に振りかぶっていないところが効果的でした。小道具の使い方もうまい(どうも最近、こういう映画を見たという記憶がありません)。まあ難点は、いつ怪物が襲ってくるかわからないのに、けっこうお気楽な雰囲気のところでしょうか。もう少しユーモアも入れてほしいところですが、この話の流れだと難しいかもしれません。ともあれ、次作の設定がどうなるのか、いろいろと想像をかき立てるところもあるし、娯楽作品としてよくできていたと思います。特に「コング対大ダコ」というのは嬉しかった。 [3D(字幕)] 9点(2017-04-03 16:11:27) |
43. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946)
《ネタバレ》 たとえ犯罪者であっても映画の主人公には何らかの魅力があってほしいのですが、本作の2人にはあまり惹かれるところがありません。フランクはなんだかフラフラしているし、コーラは我の強さが足りないような気が。本当は殺人を犯したくない2人が実行を決意するまでの「やむにやまれぬ」感もなし。要するに、総じて薄味なんです。作られた時代が関係しているのかもしれませんね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-03-30 07:52:11) |
44. 理由なき反抗
《ネタバレ》 近頃ではこうした親と子の相克を扱った作が少なく、特に昔は定番であった「父と息子」の話はほぼ絶滅状態なので(特に日本では)、逆に新鮮に感じました。まあ「強い父親に対するあこがれ」というのはマッチョな発想で現代的ではないのかもしれませんが、それでも今見ても見どころが多く、十分引きつけられました。やはり家庭劇というのはドラマの基本であり、家族の問題をちゃんと描けることが、劇作の上で必要とされるのではないかと思います。本作ではそれと「同世代との交流」が適度にからめてあり、最後の悲劇と希望を持たせる幕引きでうまくまとめてあると思います。今のような時代だからこそ、見る価値がある作品かもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-03-11 17:21:52) |
45. 夢(1990)
《ネタバレ》 後半の理屈台詞に辟易して、黒澤さんはこんなにシナリオが下手だったのだろうかと思ったのですが、おそらく何らかのメッセージを乗せようとすると、説明的になってしまうのでしょう。要するにそういうのは得意ではないと。だからやっぱり、この人は娯楽作品の方が評価が上がるようです。メッセージ性が強くて、本当にこんな夢を見たとは信じられず、リアルでない話を作るエクスキューズとして「こんな夢を見た」と言っているだけだと思われます。実際のところ、どちらでもいいんですけど。それに、それとは違った意味での「夢」が込められているようにも感じられました。 全体としてはつまらなかったわけではなく、むしろ楽しんで鑑賞しました。とにかく画がきれい。暗くてよく見えない話もありますが、それでもそれなりに見せてしまうのはさすが。気に入ったのは桃の話と、ゴッホの話。特に後者はほとんど映像だけで、「ゴッホの絵をセットにしたかっただけだろう」なんて思えて、おかしかったです。最後の鴉がアニメーションに見えてしまって、不思議な感覚でした。 おおむね「異界」の者との接触を描いていますが、その異界が結局「自然」であり、最後になって自然のままであるのが一番であると締めるのは、よい構成でした。監督も変に肩肘を張らず、気楽に作ればよかったのにねぇ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-03-01 09:19:43) |
46. リオ・ブラボー
《ネタバレ》 「ジョン・T・チャンスと愉快な仲間たち」って感じの娯楽作。悪党を相手にするのにそんなにお気楽でいいのか、と思うほどユーモラスで楽しい。その一方でアル中から立ち直るデュードの話をからめ、シリアスな部分もありバランスを取っています。ドラマと笑いとロマンス、三拍子そろった楽しい快作でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-02-15 08:18:20) |
47. 白熱(1949)
《ネタバレ》 マザコン犯罪者とか潜入捜査とか、なかなか面白い。話の展開が山あり谷ありで、飽きさせません。最後も迫力があって見せます。簡単に死なない(弾が当たらない)のはどうかと思いますが……。とはいえ、見終わってみればそれでおしまい。あとに引くものがなく、なんだか物足りないものを感じさせます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-01 22:35:58)(良:1票) |
48. 初恋のきた道
《ネタバレ》 とにかく映像が美しい。ほとんどそれだけなのですが、ここまで徹底されると天晴れ。お話の方は特にどうということはなく、当時の中国ならではということもあまり感じさせない。ほかの時代や国に置きかえても大丈夫そうだし、それだけ普遍性のある話ということで、むしろよかったと思います。映像の非凡さとの対比が生きています。最後の締めも秀逸。 [映画館(字幕)] 8点(2017-01-12 19:36:38) |
49. 特攻大作戦
《ネタバレ》 演習まではまずまず面白い。囚人たちがチームとしてまとまっていく展開、特にライズマン少佐との関係はユーモアもあって楽しめました。相手の裏をかく演習もいい。ただ、相手がドイツ軍だとドイツ語を話せる人間がもっといないと無理なので、あくまで演習用ということですが。本番の攻撃も序盤は緊張感がありますが、ドンパチが始まってしまうと大味になってしまい残念です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-04 20:32:10) |
50. 帰らざる河
《ネタバレ》 とりあえず、話が面白くない。アメリカ人が見ればいろいろあるのでしょうが、どうもピンとこないし、本来先住民族のものだった土地を勝手に「所有」したうえ、襲撃者と殺し合いするっていうのはどうよ、と思ってしまう。見どころはモンローの歌ぐらい。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-01-03 16:37:03) |
51. ショウほど素敵な商売はない
ミュージカルというかショー映画で、そのあたりはたっぷり堪能させてもらいました。特に前半の「アレクサンダーズ・ラグタイム・バンド」は圧巻。これがラストに効いてくるのもよかったし、締めの主題歌につなぐところもいいです。問題はお話がありきたりすぎること。あまりにも魅力に乏しすぎる。キャスト・演出はとてもよかっただけに残念です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-12-31 17:33:21) |
52. カンバセーション・・・盗聴・・・
《ネタバレ》 主人公が盗聴のプロなのに、自分の仕事が誰かに悪影響を及ぼすのではと心配するというのは、どうも納得できない。そういう点ではリアリティゼロ。だからなのか、冒頭から長回しでドキュメンタリー・タッチの演出になっています。サスペンスとしてはまあ普通。ドラマとしてもそこそこ見られる。後半の夢か現実かわからないような描き方は、前半と対比させたのでしょうが、それほど面白いわけではないです。とりあえず、この作のテーマであろう「都会人の孤独」(1970年代の映画にありがち)は、よく出ていたのではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-20 19:46:26) |
53. 戦略大作戦
《ネタバレ》 戦争そっちのけで金塊を強奪するというのは面白いし、それがまた戦線を突き進んでいる英雄と勘違いされるあたりは皮肉が効いています。特にドナルド・サザーランドがいい味を出しているし、マカロニウェスタンのパロディ風なところもあって楽しめます。しかしその一方、戦争なので相手兵士をどんどん撃ち殺しているし、味方にも犠牲が出る。このあたりが水と油のように溶け合わず、不自然さを感じました。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-12-10 20:55:51) |
54. ザ・ヤクザ(1974)
《ネタバレ》 アメリカ映画ですがかなりリアルな日本描写で、その点かなりよかったと思います。話としては任侠映画の王道で、こちらも固いことを言わずに見ていられましたが、アメリカ人にいろいろ説明しようとして説明しきれないあたりが、もどかしいというか現実的というか。「義理」がテーマなので、タイトルも"Giri"にした方がよかったと思うのですが、日本人ならともかく、アメリカ人にはアピールしないのかもしれません。それにしても、指を詰めるのを義理の象徴のように扱っていたのは、どうかと思います。抽象的な概念なので、ああいう風に具体的な形にしないと終わらないのでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-04 23:06:38) |
55. ロンゲスト・ヤード(1974)
《ネタバレ》 もう少し明朗な作風を予想していたのですが、案外シリアスでした。しかしそのドラマ性と、「スポーツもの」というところがうまくかみ合っていたと思います。最後に刑期を恐れず立ち直るところはおなじみのパターンですが、やはりこういう男気を感じさせる映画は見ていて爽快感を覚え、楽しめます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-23 16:23:40) |
56. 最前線物語
《ネタバレ》 長い版があるとは知らず、2時間弱のバージョンで見ました。 戦場の悲惨さを熱くならず、クールに描いたところがよい。エピソードの連続なので、時にホッとしたり笑えたりするところがあるのもいいです。「生き残った者が勝ち」というのは、戦争のみならず人生そのものに当てはまることで、そういう点でも評価したいです。4人の若者はそれほど個性的に描かれていたわけではありませんが、現実的にはこんなものかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-20 10:54:59) |
57. コンドル(1975)
《ネタバレ》 謎の追跡自体は面白味があるのですが、肝心の真相が肩すかしというか、はっきり言ってよくわからない。当時は切実だったのかもしれませんが、いまだにガソリンで走る車が街中にあふれているのを見ると、まったくリアリティのない動機だとしか思えません。それで殺し屋を雇ってあれだけ始末するとか、無茶苦茶すぎ。もしそれを「頭がおかしいから」ということで理由づけようとしているのであれば、ますますお話にならない。CIAの組織ぐるみだと思ったら、実は数人しか関与していなかったというのも、針小棒大。というか、誰が計画を知っていたのかということ自体、判然としない。そのため、最後に「組織対個人」みたいなことを持ち出しても、説得力がありません。途中でフェイ・ダナウェイといい仲になるのも、強引すぎてついて行けませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-11-13 20:46:30) |
58. 突破口!
《ネタバレ》 70年代らしい作ですね。主人公が犯罪者(アンチヒーロー)であるところと、武力でなく知恵で難局を乗り切るということ。こうした要素は、ベトナム戦争への反発から来ているのかもしれません。ちょっとうまく行きすぎというところもありますが、あまり気になりません。アクションは前半の車での逃亡と後半での飛行機と車との小競り合いですが、やはり後者の方が見ごたえがあり楽しめました。それ以外は動きの少ない、むしろ地味な展開ですが、なかなか引きつけられました。まあ、本作での教訓は「金を持った奴が勝ち」ということでしょうか(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-11 08:53:25) |
59. 革命児サパタ
メキシコ革命の映画なのですが、革命らしい争いはあまり描かれず、ほぼ人間ドラマに終始しています。しかし肝心のサパタにあまり魅力を感じなかったし、エピソードとしても興味深いところは少なかったです。兄のアンソニー・クインの方が面白い。エリア・カザンの演出はよかったです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-11-08 08:42:06) |
60. 戦争と平和(1956)
《ネタバレ》 原作の思想性などはハナから無視して、戦争メロドラマに特化した作り。それはそれで潔いのですが、メロドラマとしてはつまらないし、話の進行にメリハリがなくエピソードがダラダラと続くだけ。人物関係もあまり説明がなく、以前原作を読んだ私でもいまいちわかりにくい。後半は戦闘場面があってそれなりに迫力がありますし、ハリウッド的物量作戦はたいしたものだと思いますが、やはり話が単調なんですよね。それと、ヒロインであるはずのナターシャがアホにしか思えないところも(特に前半)、大きなマイナスでした。それと、ヘンリー・フォンダはピエールというイメージではありません。完全なミスキャストだと思います。もっと恰幅がよくて、粘着質でないと……。ジェレミー・ブレットが出ていたのが意外というか、面白い。この映画で唯一の収穫でしょうか。そうそう、2時間くらいで休憩が入るのかと思ったら、まったく休みなしで最後まで行ったのにはおそれいりました。メロドラマ化の件といい、ある意味でたいしたものですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-10-09 21:18:22) |