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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2012
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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41.  search サーチ
これは凄い。新しい。PC画面だけで展開するパターンの作品は‶アンフレンデッド”を観たことがありますが、かの作品が「画面上だけという制約」から抜けられなかったのと反対に、画に奥行きもありますし、時系を(過去のLINE画面という形で)戻ったりしながら徐々に緊張を高めてゆく脚本力の高さはかなりのものです。 俳優の演技に頼れない分を、ゆっくり考えながら打ち込むあるいは勢いに乗せて一気に、といった書き込みのスピードで表現したり、やっぱり消去したりといった行為で逡巡が伝わってくるのは巧いなあ。 現在はコンピュータの中に個人の嗜好、考え、行動履歴が詰まってますから、PC一台のデータから映画も一本作れてしまうのですね。事件化した途端現れる自称親友や、上から目線の意見屋、心無い書き込み等、ネット社会の闇も織り込んでいてリアルです。  ‶見せ方”ばかりが斬新かというと、そうではなくストーリーも大いに起伏ありで、こちらの読みをあちこちに振られた末に驚きの展開を見せました。ネタバレしないように頑張って書いております。‶気づき”の鮮やかさ、search力、まさに一気呵成。お見事でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-11-14 23:33:07)(良:1票)
42.  キッズ・オールライト 《ネタバレ》 
両親と子どもが二人の家庭。妻が家族ぐるみの付き合いのあった男と浮気してしまった。当然家庭の空気は悪くなり、思春期の子どもらへの影響も計り知れず・・と書くと凡庸なホームドラマだけれど本作は夫婦がレズビアンカップルで、浮気相手が子どもらの精子提供者だというヒネリにヒネったシチュエーションである。 いやあー、考えさせられましたねえ。なまじ設定をノーマルな家庭環境にしなかったため、「家族」というシステムの定義しづらさ、曖昧さを浮き彫りにする効果がありました。 即ち「生物学上の父は家族となり得るか?」 本父ポールはいい線行ってましたよね。独身の気楽さがちょっと鼻につくけど人好きがして、明るく積極的な性格がニックの家庭には無い資質で子どもらもジュールスすらも惹かれてゆく。アネット扮するニックはこの家で父性的な役割でしたから、初めからポールに対して「侵入者」への警戒心が強かったのも無理はないです。だって相手は「正真正銘の」父なんだもの。いくら女医でも彼女には真似できない。ほんと設定の妙が活きますな。 わたしはマーク・ラファロ扮するポールに反感は抱かなかったので、ジュールスと事があったのち、子どもらが一斉に怒りを向けてきたのにはむしろ驚きすら感じました。つまりこのことこそがこの映画のアンサーで、やはり「家族」を作り上げるのにかかった年月はそれなりに重いのです。特に子どもにとっては、人格形成期に愛情を注いでくれた大人がやはり親なのですね。 そして四人が「家族」なんだ、ということをこの上なく表したジョニの巣立ちの場面。ワタシは思わずもらい泣きしたのですが、一人家を離れる長女を別れ際に抱きしめる両母親の姿は娘を手放す寂しさや祝福、心配がないまぜとなりA・ベニングとJ・ムーアの演技力の真骨頂を見せられます。まさしく長年手塩にかけて我が子を育ててきた者でないと出せない感情であり、やはり「単なる良い人」ポールでは無理でありましょう。 そして、息子もまたちゃんと成長を遂げていました。15才という難しい年ごろ、両親がゲイ・カップルということに事あるごとに反抗的な態度を見せていましたが最後に車中で「別れちゃダメだよ。もうトシなんだから」ですって。涙なくして聞けましょうかこの台詞。 初め、正直なところレズビアン両親にどうも気持ちが入りづらかったのですが、観終わってみれば彼らの家庭にとても親近感を抱いていました。脚本も演技もとても良いです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-08-01 23:19:39)
43.  パターソン 《ネタバレ》 
ジャームッシュが綴る心穏やかで美しい日常の一篇。彼の作品は映像で表す「詩」であると、改めて認識させられる一本です。 生活の一つ一つに、それこそパートナーからマッチ箱に至るまで愛と関心を抱いて日々を送るパターソン市のミスター・パターソン。運転するバスの故障を除けば波乱らしい波乱の無い彼の一週間。だけど無味なんかじゃなく、彼のフィルターを通して、淡々と過ぎる日常の豊かで尊いことが饒舌に語られます。 出会う詩人仲間は深夜のランドリーでラップを刻む男だったり、10歳の女の子だったり。双子の乗客や通行人らが作品のリズムを生みます。 静かで何気ないこの世界観に大きく貢献しているのがアダム・ドライバー。大げさな表情やアクションを要求されない本作において、アダムの繊細な役作りは見事です。優しく温厚なパターソン氏、静かだけれどその表情が多彩なのです。モノトーンに凝る彼女には譲歩しっぱなしにも見えるかな。でもお互いにこの上なく優しいカップル。カップケーキ売れてよかった。 そしてこの映画、小さく笑わせてくれるシーンがたくさんあるのです。会社の配車係であるインド系同僚の愚痴(もはやボヤキ芸の域)には笑ってしまうし、毎日かしぐ郵便受けの謎が解けたときは「オマエかーい!」と誰もが突っ込むことでしょう。 そうそう、本名はネリーというワンちゃん、亡くなってしまったのだとか。名演技でしたねえ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-05-03 23:45:05)
44.  僕の大事なコレクション 《ネタバレ》 
いやー、もうね中盤まで延々と繰り広げられるヘンテコな人たちののどかで独特の空気が居心地よくて大好き。主要3人の顔つきがいい。ウクライナの今どき若者のアレックスとその頑固じーちゃん。ユダヤ系アメリカ人E・ウッドの神経質そうな佇まい。偽盲導犬のサミーも欠かせない相棒。 世界でも有数の穀倉地帯ウクライナの広々した畑も森の緑も美しく、交互に入るアメリカンなR&Bと東欧の民族音楽ぽいBGMも妙にマッチしています。流行の先端を気取って米国黒人ミュージシャンを好むのに、素朴にニグロなどと口にして世界標準とのズレが顕わになっちゃうアレックスとか、チップの意味が分からないウクライナの人たちとかはいかにもサービス業など無かった旧ソ連時代の名残を見るようで興味深い。 アメリカから来たユダヤ人青年のルーツ探しと、ガイド役のウクライナ人爺ちゃんの過去が交錯する終盤は、予想もしなかった展開を見せました。圧巻の一面のひまわり畑とその中に守られ保管されていた小さな村の人たちの魂。封印していた自らの過去を自分の手で清算した爺ちゃん。まともに語るには凄惨すぎる戦争の傷も、ゆるゆるとした柔らかな筆致でくるんで痛みを軽減してくれているかのようでした。 「過去が現在を照らす」今をしっかり生きるためにも今につながる過去を知ることの大切さ。チャラ男アレックスのこの言葉にすべて集約されています。余韻の長く残る作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-01-08 16:24:00)
45.  トランス・ワールド
これ好き!ほんと面白かった。台詞に込められた数々の伏線にも一切気付かなかったし、ロケットを皮切りに一気呵成に明かされてゆく全貌には圧倒されて口が開きっぱなしでした。 映画に求めるものは映像の凄さより話の面白さ。ストーリーテリング重視派を自認する身にとって、こういう脚本一本で勝負してくる野心作は心底シビれます。 きりっと短くまとめたセンス、その切れ味まるでサキの短編のよう。お見事でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-12-14 00:24:34)
46.  メッセージ 《ネタバレ》 
この監督の画は美しいのですが、華美では決してなく、むしろ色彩は限られていて無機質にも感じます。空気が半分抜けちゃった巨大なラグビーボールが無愛想に宙に浮いている画は かの”2001年宇宙の旅”の石版を思い起こさせ、おおあの睡魔がまた襲ってきたらどうしようかと身構えました。 が、しかし物語の終盤、怒涛の勢いで「時」のネタばらしがされ、それまで挿入されてきた画や言葉の意味がクリアになったとき、電撃をくらったような衝撃を覚えて痺れてしまいました。「時は流れるものではないとしたら」たしかに冒頭からそのナレーションはありましたが、ここに広げて見せられた時空の概念は私の思念の及ぶところではなく、ただただ斬新な驚きでありました。そもそも”娘を失った言語学者が仕事に打ち込んでいる”と思って観始めたときから、映画の仕掛けに嵌っていたのです。見事です。 惑星の公転と自転によってしか時を計れない地球人に別次元から「生きる意味」を考えさせたヘプタポッド。ちょっと迷惑かもだけど、ルイーズにとってのその後の人生の一瞬一瞬は“喪失を知っている”分、輝きを大きく放ったものになったのかもしれないな。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-11-25 17:55:25)
47.  クライム・ヒート 《ネタバレ》 
なんとなく安さ漂う邦題のせいで見くびってましたが、これがなかなか。新興マフィアに乗っ取られ、搾取される負け組”バー カズン・マーヴ”のスタッフと周辺の人間模様。哀切にじむ繊細な描写が見事でした。 人物は多くなく、トム・ハーディが七割方話を回すのですが、彼がすごく良い。トム扮するバーテンダーのボブはマフィアのボスにも一目置かれる実直さ。犬を飼うにもトイレのしつけ等に真剣に悩んでマーヴに「たかが犬」と呆れられ、教会に欠かさず通うので神父や刑事の信頼も厚い。ボブの人柄を表す演出が丁寧極まりなくて、ひとつひとつの所作例えばクリスマスの飾りをきちんと片付けたり、雪かきをサボらずせっせとこなしたりする姿が印象的で、観る側の「ボブはちゃんとした奴」というイメージを着々と築いてゆくのです。これがばーん、とひっくり返される午前2時の驚愕ときたら。私はナディアと全く一緒のリアクションになりましたね。「あのう、アナタこの人を○○ましたよね?」声も上ずるわー いや、ボブ鮮やかだったけども。 トム・ハーディは文句無く主役ですけど、かつての人生の輝きを取り戻そうとあがくガンドルフィーニがこれまた痛切に哀感漂う存在感を醸すのだった。人生に敗れたひとりの男の物語としても読めます。激苦です。 ケチなチンピラのM・スーナールツも上手い。「男前」な役を演ってる他作品もいくつか観ましたけど。顔立ちがどちらかというとプーチン大統領似の抜け目無さを感じさせますので、今作はハマリ役だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-08-19 16:55:33)
48.  何がジェーンに起ったか? 《ネタバレ》 
(ネタばれ思いきりしてます)ENDマークが出てから、しばし呆然とオソロシイ余韻が残る。凄いオチだった。最後の数分で、「何がジェーンに起こったか」わかるんである。この姉妹の真の姿も。互いに憎みあい、でも反面依存しあっているという家族ならではの倒錯。100分以上も妹の姉への虐待につき合わされ、彼女の狂気を見てきた観客は姉ブランチが殺されてしまうかも、との危機感を抱く。でも、違った。殺したりしない。妹にとって姉は困った時頼る存在なんだもの。ストロベリーアイスは必ず姉の分も買うんだ。 妹を轢き殺そうとしたのは、姉の方だったのだ。そして真相を明かさず、妹が良心の呵責に苛まれ、理性を失うに至らしめたのも貞淑な姉、ブランチなのだった。ぞおーっ。 「あなたは知らないのよ あの子がどんなに輝いていたか」お手伝いさんに語る姉の喜びに満ちた表情は芝居ではない。姉は妹がスターだった子供の頃の憧憬を抱き続けていた。愛が、嫉妬と憎しみで捩れた二人。全部が明かされた陽光眩しい海岸、強烈なラストシーン。B・デイビスの化け物じみた怪演は戦慄の極み。しかしそうなった理由、真実はその姿以上に大きな衝撃でありました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-07-27 20:46:17)(良:1票)
49.  ニュールンベルグ裁判 《ネタバレ》 
一寸の隙も無く全編を貫く緊張感、法廷劇として完璧と思います。私は「戦勝国が敗戦国を裁く」ことに異議を覚えるのですが、そんな個人的な歴史観を差し引いても、論戦の火花散る展開は見ごたえがありました。 なにしろ、判事、検察、弁護人それぞれの放つ論旨がみな言葉に重みがあって圧がすごいのです。おまけに被告とされる側までが元判事という、論戦の迷宮のような高度なやり取りが繰り広げられる。口角泡飛ばして絶叫調のマクシミリアン弁護士が、異様なまでに熱を帯びてます。元判事を裁くとは即ち、ドイツ国民全員を裁くのか。かつてヒトラーを称賛してみせたチャーチルに非は無いのか。証人への個人攻撃ともとれる激しさを増す弁護士を制するように、ついに口を開くランカスター演じる元判事の訥々とした告白はさらに深かった。この裁判そのものを否定していたヤニング元判事、彼は自らを有罪と認めます。ユダヤ人に対するナチスの行為を知らなかったとするのは無理がある。我々には目も耳も無いのか、と。法に則り、職務を遂行した徳の高い元判事の苦しげな目、バート・ランカスターも見事なら、アメリカ人判事のS・トレイシーもまた激渋。ナチ高官の妻、マレーネ・ディートリッヒは妖しく危うい存在感を放つし、J・ガーランドの必死の抗弁は痛々しい。名優らの重厚な演技にすっかり圧倒されて、くらくらしました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-06-04 00:13:46)(良:1票)
50.  普通の人々 《ネタバレ》 
主人公の家族が皆、傷ついて血を流していて観ていて心が痛かった。懐深いレッドフォード監督をもってしても、瓦解してゆく家族の再生は叶わなかったのだね・・。 人はそれぞれ、持って生まれた「愛」の総量が多い人と少ない人がいる。この母親は少ない人で、だから長男の死で激しく傷ついた自分自身を手当てするのになけなしの愛を使い果たしてしまって、次男や夫にまで振り分ける分が残っていないのだ。セラピストが正しくも指摘したように、彼女は彼女なりに次男のことを愛してはいたと思う。だけど、そもそも備わっている愛情量が少量なので、リストカットするほどに追いつめられている息子の心を汲んでやることまではとうていできない人だったのだ。おそらく何故非難されるのか自分では理解できないだろう。 この映画の、とりわけ優れているのは各人物の描写力である。母親の冷たさはフレンチトーストの件や、息子の部屋の灯りをスルーする無関心ぶり、上面の息子との会話等で痛いほどこちらに響く。T・ハットン演じる次男は「良い子」をやってきたことが言葉遣いや父親への気遣いからわかる。セラピストの前で心が均衡を崩すシーンは、身体をゆする仕草や八つ当たりな態度がとても苦しそうだ。苦悩しっぱなしの父親は長いこと妻に「違うだろ」と言えない。だけどセラピーを受け、自分の心を見つめなおして改めて気付くのだ。息子の葬儀だというのに、この女はシャツや靴のことを気にする人格なのだ、と。 人間に対する洞察力、その細やかなこと。驚くべき観察力。これが監督一作目というレッドフォードの明晰なことには畏れ入った。胸が痛いほどの名作。
[DVD(字幕)] 9点(2018-05-09 17:34:02)(良:1票)
51.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 
アメリカ本国では評価が今ひとつだったらしい本作。トミー賞を取った舞台に比べると、盛り上がる場面に使われた楽曲がBGM扱いになっている等、手触りの違いが不興だったのだとか。 私は舞台版は知らないけれど、イーストウッド監督は舞台劇を映画の文法に上手く書き直していると思った。情感溢れる描写の数々で、人間ドラマのひだが役者の表情や台詞にきめ細かく反映されていますもん。 物語は一世を風靡したバンドの、立ち上げから絶頂期そして離散へ至るまで、とまあよくある話ではある。にも関わらずジャージー・ボーイズらのこの生き生きした造形はどうだろう。ニュージャージーでの悪ガキだった時代から、ギターとマイクを手に音楽業界を席巻し、トラブルを重ねて年を経る彼らの人生とすっかり同化してしまった。 リアルで活きた台詞と、舞台でも同役を務めた俳優らの演技を超えたリアリティはメンバー本人のよう。J.L.ヤングのファルセット・ボイスには度肝を抜かれる。脇を固めるウォーケンやプロデューサー役のM.ドイルらも、とても良い味を出している。 役者陣が魅力的な上、さらに卑怯なことに(?)音楽の力の凄いこと。正直フォー・シーズンズをきちんと聴いたことは無かったのだけど、現代風にアレンジし直した楽曲群がどれも素敵。わあー良いじゃん、フォー・シーズンズ。さすがにタイトルや歌詞は時代ズレの感があるけれど、シンプルで心地よいメロディは気付くと口ずさんでいたりする。 娘に子守唄に歌った“My Eyes Adored You”が葬儀の場面で流れ、ここらですすり上げてたワタシ、引き続き“Can't Take My Eyes Off You”のイントロが流れた瞬間、目の幅の涙が滝のように流れ出たのでした。 傷つけあってバラけてしまったジャージー・ボーイズ。年月を経て彼らを再びロックの殿堂で結集させて了した、イーストウッドの感性も好きだ。笑って泣いて胸が熱くなる、イケメンはいないけどこの映画がとても好きです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-10-25 17:53:06)
52.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
すごい実話があったもんだ。詐欺の手口が斬新(と言っていいのか)で、こんなにうまくいくのかなあと呆気に取られつつも、へええ、という感心の方が大きく、感心は快感に変わり、つまりとても楽しかったのでした。 ディカプリオはティーンの役も違和感無くこなす驚異の芸達者ぶり。すっかりシリアスドラマの仕事が多くなったT・ハンクスはそういえば”BIG”の役者さんでした。コメディセンスは健在で、イライラとレオを追っかけるFBIのオジサンは情に厚くて嘘は言わない(終盤に一つだけ)ナイスなキャラクターで,トムにぴったりハマっておりました。 逃げる方と追う方の間に、いつの間にやら友情ぽい繋がりが生じる様も繊細に描かれるあたりは脚本、心憎いばかり。ドラマの筋に第一のヤマ、第二のヤマと盛り上がりも用意してアクセントを多数つけた展開は見飽きないですし、画もキレイ。 矯正ブリッジをつけたA・アダムスのおばかさんな笑顔や、なつかしのM・シーンを見つけたりとか、印象的な画もちょくちょく挟まります。観て楽しい、この一言。コメディの見本のような良作と思います。
[DVD(字幕)] 9点(2017-07-25 00:41:31)
53.  バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
キャラクターは愛おしく、映像は美しく、そしてなによりタイムパラドックスという複雑な理論をベースにしながら、こんなに鮮やかな着地を決めてみせた脚本、まさに20世紀最強の娯楽映画でありましょう。 映画を観るのが何故楽しいのか。大好きな登場人物らと、先の読めない物語を旅するときめき。公開された当時にスクリーンに釘付けになっていた私の、その子供が同じくこの映画を楽しんでいる。当時はただただ楽しかった。今は感動すら覚えます。 先日、車会社のCMで”現在”のドクとマーティが話をしていました。お二方とも、ファンを安心させてくれるような元気な姿で嬉しかった。彼らに幸多かれ、と願わずにいられない。手の届かないスターだけれど。それほどの名作であります。
[映画館(字幕)] 9点(2016-02-24 00:22:05)
54.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
ワタシのようなロートルのファンを涙せしめるような懐かしい面子を勢ぞろいさせつつ、しかしこれは新世代の立派なスター・ウォーズの新作と思います。 見た事ある、と思ったらミレニアム・ファルコンだ、わああハン・ソロだチューバッカだっ、と血中糖度が上がるような興奮。畳み掛けるようにC-3POやレイア姫と時の流れを感じさせるような再会だ。相変わらず空気が読めないC-3PO、しわを隠さない立派なハン・ソロとレイアのご両人。お二方はどうやら子育てに失敗したらしく、一枚かんだルークは自棄になって(?)失踪中、R2-D2は失意の中でスリープモード、と山あり谷ありのその後の人生を皆さん送ってきたのだねえ。しんみりしてしまうけれども、こうはっきりと時の移りを突きつけられるとS・Wの世界も次の世代へ譲り渡そう、と古いファンも潔い気分になるものです。良くできた脚本です。 そして次世代のジェダイを担う若きヒロイン レイが若鹿のような清清しさと賢さ、好奇心を備えていて、デイジー・リドリーの抜擢はこの作品の成功に欠かせない。決定打です。さらに新ドロイドBB-8も大変愛くるしくR2-D2の不在を補うに充分すぎるほど。 華麗な空中戦、メカ群の洗練されたフォルム、奇妙な造型の生物等、スターウォーズならではの楽しさはそのままに、連れてゆかれる世界が砂の星から緑濃い惑星、雪山から大海原とさまざまな体験ができる。ほんとに楽しく面白い130分、素晴らしいです。 エピソード4が封切られた当時の興奮を知らない世代へ贈る、(それも胸を張って)これこそが娯楽大作。よくぞ作ってくれました。
[映画館(字幕)] 9点(2015-12-25 23:48:45)(良:2票)
55.  ウォルト・ディズニーの約束 《ネタバレ》 
ああ そうなのか。P・L・トラヴァースという作家の人となりを知って、原作メリー・ポピンズの世界がやっと理解できたような気がする。本当に長年のつかえが取れた思い。 メリーは甘くない。「スプーン一杯のお砂糖」なんかでごまかさず、子供に現実を直視させ乗り越えさせる。(E・ワトソンの台詞)この厳しさは父性の強い英国の子育ての伝統なのかと思っていた。しかしトラヴァース女史は意外やオーストラリア育ちなのだった。そしてそこで幼い頃に敬愛する父の苦しむ姿を経験していた。 メリーポピンズの背景である女史の幼少期がしばしば挿入され、おとぎ話の骨格がよりわかりやすく肉付けされてゆく展開は見ごたえがある。そして、それ以上に私の胸を衝いたのはウォルトの、愛の少なかった子供時代の告白だった。「もう疲れた。辛く悲しい風に過去を思うのは。」 ディズニー映画の、幸福や希望への強迫観念めいた迷いの無さがどこから来ているのか判った。 スプーン一杯のお砂糖が人生に必要なこともある。 方向性に違いはあっても、子供たちの良き成長を願う二人が歩み寄った時、もう泣けて仕方なかった。 そして巨大なディズニーワールドを支える、たくさんのトップレベルの才能にも感銘を受けた。作曲、脚本、作画etc。皆全力を尽くして作品に貢献している。バンクス夫人の造型については作者本人よりも深く考察していたほどだ。 偏屈女史をなだめすかしながら、ストレス過重の仕事を完遂したスタッフにも、敢闘賞を差し上げたい。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-07-22 00:05:41)(良:1票)
56.  ビッグ
誰も腹の立たないキュートなファンタジー。画が明るいし、人物みんなのキャラも立っている。 何をおいてもこの作品のキュート度を上げているのはトム・ハンクスがもー、すんごい仕事をしているからだ。童顔が手伝っているとはいえ、この演技は凄い。13才より幼く見えなくも無いけど、いい年をした大人が子供の演技をするというのはとても難しいと思うんだ。外見が大人のままで子供じみた真似をするだけでは単なる奇行と見られかねない。ところがトムは顔つきまでが小学生なんですな。治安の悪い安モーテルで心細さのあまり半べそをかく、あるいは女性に「私のことどう思ってるの」とオトナの質問をされて困惑ののち照れてごまかす。その表情はティーンエイジャーになりたてのそれそのもので、この時トムは32才だとは信じ難いくらいの繊細な思春期顔になってて感嘆した。 安定した仕事をずっと続けている俳優さんだけど、役者としての並ならぬ力量を印象づけたのはやっぱりこの映画だと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2015-05-29 00:11:57)(良:1票)
57.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
わあー、凄いなこれ、とただそう思いました。制作に携わったスタッフへの、リスペクトに近い思いです。 映像技術の拙さはもちろん隠しようもない。80年も前の作品だもの。だけどそんなことはちっぽけに感じる。画質の粗さはむしろコングやセットの作り物感を払拭し、21世紀の今となっては発掘された昔の謎フィルムでも観ているような楽しさがあります。いつの間にか観てるこちらも秘境の島でコングvs大蛇の闘いをどきどきと覗き見ている気分になっていました。 すごいものを作ろう、びっくりさせよう、という制作魂の熱き思いが全編を貫いており、その熱量の高さに圧倒されるばかりの100分です。 後のリメイク版での、美女と心通わせるコングという設定を耳にしていたので、この初版のコングの凶暴ぶりには正直驚きました。ためらいなく人間を踏み潰し、投げ飛ばし、ケダモノそのもの。ワタシはもちろん33年版のモンスターのリアル性を支持します。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-05-05 00:50:46)(良:2票)
58.  奇跡の人(1962) 《ネタバレ》 
演じる、ということ その真髄に圧倒されるばかりの100分。役者魂がごうごうと焔立っているかのよう。ここにいるのはアン・バンクラフトとパティ・デュークではなくアニー・サリバンとヘレン・ケラーそのもの。演者同士がその魂をぶつけ合う食堂のシーンは息をするのも忘れる。ああこれはリアル「ガラスの仮面」だ。10代の頃、紙面を息を詰めて見守ったあの緊張が画面を観ながら甦った。オーディションの逸話まで残っているP・デュークは天才の仕事をしている。“見えている”のに目の前の足台に突っ込んでいって頭から転倒するなど、並みの役者にできることではないだろうなあ。 ヘレンの物語については断片的に知っていたけど、ケラー家が南部の名家ということや(父親が典型的な権威主義者に描かれているのも興味深い)、サリバン先生が幼少時に劣悪な施設で育ったということ等は初めて知った。まだ社会福祉の考えが育つ前のアメリカ、ヘレンが生きたのはそういう時代だったのですね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-04-07 23:38:54)(良:1票)
59.  いつか晴れた日に 《ネタバレ》 
ジェーン・オースティンって基本 少女マンガだと思うんだけど、ベタなラブストーリーをこうも格調高く美しく撮り上げたアン・リーの手腕は大したものです。彼の作品では感情の発露がいつでも節度をわきまえていて慎ましい。そこんとこがこの原作の時代性にはまったのでしょうか。 三姉妹の配役がベストです。マーガレットは愛らしく、ウィンスレットは若く瑞々しく、とても綺麗。そして演技が巧み過ぎてたまに鼻につくE・トンプソンですが、今作の“耐え忍ぶ長女”役は学級委員長的な彼女のキャラにぴったりでした。 翻って男性陣は時代劇の衣装がなかなかキビシイ。着こなせてないのはH・グラントだけではないような。でも各人、演技力でそこはカバーしてます。クサい台詞も浮いてません。 オースティンの話を聞くたび、社会保障も相続権も無い時代の女たちの生きる厳しさを思います。玉の輿に乗るしか生活が保障されないのだから、そりゃ必死にもなりますわな。そして恋バナのお節介ばかり焼く中年のオバサンたちも健在。息せき切って仕入れたゴシップの披露に及ぶ、その逞しさ、正直さには苦笑い。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-12-03 00:18:01)
60.  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生 《ネタバレ》 
恐怖をシンプルに、直球で投げ込んでくる傑作ホラー。序盤からイキナリ廃人(実はゾンビ、メイクがまだ稚拙なのでよく分からない)に襲われるという訳の分からないキョーフで掴みはOK、中盤の家屋内での諍いでは人間のエゴむき出しで気分を悪くさせ、怒涛の終盤ではショックに次ぐショック、その上身もふたも無い幕切れ。日常が突如理不尽に破壊され、一人目の彼女は精神崩壊気味でしたが、わかりますその気持ち。 居合わせた人物たちの造形を手短に紹介する手腕も見事。性格や生活背景がわかることによって、彼らはただのモブシーンの犠牲者ではなくなる。死に様の印象が強烈になる。ああ~怖いよ~。ゾンビ映画かと侮ってだらだら観始めたけど、クライマックスあたりでは膝抱えてはんぱ無い緊張感と闘うハメになりました。怖い怖いでも傑作。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-11-15 00:04:50)
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