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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2012
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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661.  インフォーマント! 《ネタバレ》 
マット・デイモンの怪演のすんごいこと。彼のパブリックイメージから、マット=好青年との思い込みで観始めるとえらいことになる。M・デイモンの起用は観る者に目くらましをかける効果があっただろうな。すっかり騙された・・マークにもソダーバーグにも。 何しろこの男はおそらく良心の無いタイプの人格障害と思われる。周囲の人間はことごとく傷を負う。人を傷つけているのに良心が痛まないから、表情は平板で謝罪の言葉を並べながらけろりとしている。 この、”ああ言えばこう言う”輩に翻弄されるFBIのブライアン捜査官が私は気の毒で仕方なかった。FBIに同情することなんてほとんど無いのだが。いかにマークが怪物か。あまつさえ、出所後はまたどこぞの企業のCEOに納まってるとは空恐ろしい。 犯罪話なのに音楽はコミカルで全編軽いタッチで描かれる。マークが棲むのがそもそも清廉でもない巨大企業だからか。この男の素性と事件の全体像をちょっとずつ小出しにしてゆくソダーバーグ十八番の展開が見事に効いている。 ラストに明かされる、一番(?)大きい真実ときたら。あいつヅラだったのか。あーあ。こんなことにまで騙されるとは。ワタシもブライアンと一緒に引きこもりたくなっちゃった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-15 18:12:18)(良:1票)
662.  潜在殺意 《ネタバレ》 
サスペンスはこういうことが起こるわよね、と皆が合意しそうな脚本、すなわち2時間サスペンス。特に粗が目立つわけではなく、話が破綻してるわけでもない。ただおもしろくない。ご都合主義はとても感じるが。都合よく殺害計画が進み、都合よく女がばかで、警察も無能。人種問題をわざわざちょこっと入れて、問題意識高いでしょ的な脚本家のドヤ顔が目に浮かぶ。 豪邸内の逃げる、追う、女の逆襲、ともうお約束な画のオンパレード。ラストでの女二人で、実はもう一回分どんでん返しがあるのよ、とつまらない小手先のやり口には怒りすら覚える。伏線も何も無いのでは反則というものだ。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2017-02-08 00:14:59)
663.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
やっぱり長いし。バットマンなのに“正義とは”でみんなしかめ面してうっとうしい。なんとG・オールドマンまで大真面目。ヒロインのキャスティングには問題大ありだし。けれど数多の粗がかすむほど、ヒースのジョーカーが凄い。バットマンのジョーカーといえば、J・ニコルソンで完全体だと誰もが思っていたはず。リニューアル版でかの役に挑むなど、この勇気と覚悟に気圧される。コミック色を排したノーラン版に合わせてか、ヒースのジョーカーはリアルな狂気が全身から放電しているかのよう。わざわざ顔に塗ったんだ的なメイクが、口裂けの物語をひとつひとつ創作した感じが、この男のサイコパスぶりを感じさせて総毛立つ。相手の信義を破壊すべく策を弄する、これぞ真の悪党。あっぱれな役者魂。とうとう模倣犯をも現実世界に生み出したヒース渾身の異形キャラに、点数すべてを捧げます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-29 17:01:21)
664.  大空港 《ネタバレ》 
近年のパニックものと比べると随分違いが目に付きました。 肝心の、”爆弾魔が乗っている!”と明らかになるクライマックスたるべき機内の緊迫感がいまいちです。ここが「うわあーっ」と盛り上がらないので、観てるこっちは拍子抜けです。 その分(?)、人物らの背景描写がワタシの観てきたパニックムービーの中ではダントツに丹念でありました。事故メインというより、人間ドラマに軸足を置いているようで、むしろ新鮮に感じたりします。 爆弾犯人夫婦の物哀しさや、詐欺ばあちゃんのコミカルさが差し色以上の効果を上げています。あ、機内でネガティブな言ばかりをわめいていた乗客をぶん殴った牧師さんにも笑わしてもらいました。 あとJ・ビセットは不朽の美人女優ぶりでしたねえ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-29 16:35:32)
665.  旅するジーンズと19歳の旅立ち 《ネタバレ》 
今回やたらとカルメンの話ばかり力を入れて作ったのは何故かしら。この娘だけ前回と少しキャラの色づけが違ってる。一方他の三人はだいぶ手を抜かれた印象だ。二人はボーイフレンドネタでごちゃごちゃ、一人はまたも母親の死を引きずってどうのこうの。どれも練りが浅い。 カルメンの話も特に秀でているわけではないけど、彼女には随分とラッキーが訪れる。舞台劇にてスタッフからキャストへ大抜擢、相手役の男の子に惚れられる特典つき。仲良し4人組とは別の女子との関係も盛り込まれ、またこの子が昔の少女マンガに出てくる典型的な底意地の悪いキャラクターでして。こういうのと絡むことができて、やっぱりカルメン今回いい目みてると思う。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-01-27 00:25:24)
666.  NY心霊捜査官
これって現代版「エクソシスト」ですが、悪霊払い映画を観たいなら73年版の「エクソシスト」をおすすめします。断然怖いです。 本作は実話ベースと言いながら、実話ならではの怖さは特にありません。憑依→事件→お祓い、の一連の流れはそのまんまで特にひねりも無いですし。神父が不良中年だということぐらいですかね、目新しいのは。 で、”悪魔憑き”の作品を観るといつも思うんだけど、「言葉」ってすごく大事でして。というかお祓い等は基本英語なんですよね。じゃあ(特にキリスト教圏内の)悪魔って日本語やスワヒリ語や諸々の言語で生きる人間には気付いてもらえないべな、と常々思ってましてね。けれど、この映画ではイラクでそれも古代ペルシャ文字を発見したことで取り憑かれたとか。あの兵士の人たちはすごい教養があったのか?ペルシャ語の文法で発せられる怨念みたいなもの、わたしは絶対キャッチできないぞ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-01-18 18:37:21)
667.  旅するジーンズと16歳の夏 《ネタバレ》 
女の子が16才時に通過する4パターンのお話。十代のそのただ中で観たらどうなのかな、とは思うけどイイ年になって観賞しても訴えてくるほどの力のあるエピソードではない。ノスタルジーを普遍的に描写した”スタンド・バイ・ミー”とは違う。 各16の夏の要約 「彼氏ができて自分の殻を破ることができたわ」 「知り合った女の子が病気で死んじゃった」 「離婚した父親が再婚するの」 「猛アタックした彼とうまくいったけど、なんか違うの」 うーん どれもこれもああそうなの、としか。 話が人に語って聞かせるほどの深みが無いうえ、”魔法の”と称されるジーンズの役割が今ひとつ。4人を結びつけるツールとしても別に不要じゃないかね? 映像にしてもTVレベルで特徴も無いし、点は辛め。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-12-26 00:01:31)
668.  フッテージ 《ネタバレ》 
ホラーにビビらない年齢になったけれども、そんなワタクシでも冒頭のフィルムの描き出す様相は大いにぞっとするものがありました。なんでしょうね、あのざらついた素人撮影な映像の怖さは。直に「悪意」を伝えてくるから気分悪いのでしょうか。この手の悪意撮影フィルムが他に何本も出てくるんだけども、独特の手ブレとかほとんど編集なんかしてないよ的な”ガチな感じ”が大変胸糞悪い。 ですから、せっかくひたひたとE・ホークが精神的に追い詰められる展開なのに”わっ”と驚かし演出で子供らのユーレイが出てくるのにはがっかりしました。青白ーい顔で表情暗い「いかにも」な平凡幽霊のせいで、ありがちホラーに下がってしまった。あんなにはっきりと歴代の”あっち側”チルドレンを出したいのなら、せめて最後の犯人明かしの場面で良いのではないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-12-22 00:48:17)(良:1票)
669.  殺し屋チャーリーと6人の悪党
人物ごとに描く時間をずらして、時系列を行ったり来たりするタイプのやつです。(正確にはなんという名称なのかなすいません)話が進むにつれて関係性が分かってきて、ああなるほどとなるアレ。今作の脚本も破綻無く、すべての案件を回収して締めていて上手いです。この手のプロットはすでにたくさん世に出ているので、またこれかと思うか面白いと思うかは人それぞれ。私は楽しめました。 かなり容赦なく人が死ぬけど、そこはコメディなので暗くも痛くもならない。一因としてはなんと言っても殺し屋をS・ペッグが演ったのが大きいです。非情なキャラクターなのに、彼独特のすっとぼけた面相と、培ったコメディアン演技の賜物で”ライトなたくさん死ぬ映画”となっています。 それと、オーストラリアのロケーションが内容に反して大変明るく綺麗なので、これまた人を食った印象を残します。なんでそんなに観られてないんだろ。おすすめですよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-18 17:52:32)
670.  インセプション 《ネタバレ》 
これは大好き。何がいいって、驚愕にして緻密なアイディアと、それを美しく視覚化した映像の素晴らしさ。音楽も良いし、キャスティングが100%はまった、その心地よさ。こうまでハマった!と感激なのは”L.Aコンフィデンシャル”以来。主演クラスからM・ケインやP・ポスルスウェイトに至るまで良い。 「夢」を扱ったものはファンタジーテイストで独り浸りな感性のものが多いように感じて、あまり合わないなあと思っていた。けれど本作はそれこそ夢中になった。理屈についていくのが精一杯で、148分阿呆ヅラで観賞したけれど、もうわくわくでいっぱい。無重力映像の摩訶不思議なこと、予期せぬピンチがいい具合に訪れて話を締める脚本の良さ、役者の好演。 「三階層」「潜在意識の武装化」「キックまでの時間」と初めて触れる概念に圧倒されつつ、仕事に集中するJ・G・レヴィットの手際の良さに見惚れ、T・ハーディの軽い伊達男っぷりにくらくらし、いつになくしくじるディカプリオには突っ込みを入れ、「謙さんがんばって!」と手に汗握って、と大変忙しくそして楽しい。 悩める大富豪の御曹司役のC・マーフィも良かったな。”他者から植え付けられた”偽自意識ではあるけれど、彼の場合これで良かったのだと感じる。一生父親への確執を抱えてうじうじすることにならず、自分の足でちゃんと前に進めそうだもの。依頼者の希望は叶うし、ターゲットも結果良い方向へ向かいそうだし、コブも家に帰れたしで、商売で言うところの「三方ヨシ」みたいでストーリーもすごく好き。私はあのコマは当然倒れると信じて疑ってません。
[DVD(字幕)] 10点(2016-12-16 17:04:49)(良:1票)
671.  フランシス・ハ 《ネタバレ》 
フランシス、27歳。大柄、金髪、大股歩きのアメリカンガール。この、がさつで社交的で一生懸命夢を追う女の子は等身大のアメリカ女子なんだろうな。口コミでヒットする作品というのは、こういう「あるある」な魅力があるものです。生活環境は違えど、画面からあふれ出るリアリティに親近感わきまくり。 もうダンサーとしての可能性を探るにはほぼ期限が切れている年なのにあきらめきれない彼女。見てるこちらは「ああ~それは」とダメ出しの気分。聞かれてもいないのに恋愛観なんか披露しちゃったり、無駄遣い以外の何物でもないパリ旅行に思いつきで行っちゃったり、イタイとこ満載のフランシス。けれどキビシイ現実になんとか折り合いを付けながら、せっせと生きる彼女は”起き上がりこぼし”のようで、だんだん彼女を応援する気分になってくるのです。 必要以上にめげない。友人の助けで元気になれる。「メンタルがレズビアン」ぽいフランシスなので、ありきたりな結婚、家庭持ちみたいな展開は無さそう。私は彼女の幸せを祈る。 アメリカ映画のヒロインが「彼氏を作る」ことへの位置づけが低いってタイプは初めて観た。これがヒットしたというんだから、アメリカって国は裾が広い。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-13 18:29:44)
672.  スコア 《ネタバレ》 
オチが読めちゃう人が多くてびっくり。ワタシはいつものことながら全然わからなかった。こんな時は自分のぼんくら脳みそに感謝だ。「あーあデ・ニーロ手ぶらじゃん。でもとりあえず逃げなきゃなあ」って思ってました100%。 M・ブランドが脅されてるってネタがさして活きてこなかったり、昼間の公園で発砲できるわけないし、デ・ニーロと女の会話台詞が変に気取ってて嫌だったりしたけど、どうオトすのか読めなかったから終盤の怒涛の展開はなかなか面白かった。映画慣れしてないタイプの人におすすめ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-12-13 00:31:15)
673.  ゴートゥヘル 《ネタバレ》 
冒頭の3分のみ良かった。ハードボイルドをやりたかったのかな。味薄いなー。というか中盤からは無味になってくるな。 主演女優のモデルみたいな安っぽいかっぱりメイクはなんとかした方が良い。騒ぎの発端のブツにいかほどの価値があったのかも分からずじまい。人はやたら死にますが、かといって展開に緊迫感があるわけでもなし。炎好きなサイコ男が逆KISSになるのは目に見えてるし。火の扱いに慣れてないんじゃないのかあいつ。つまんなかったなあ、もう。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2016-12-12 00:09:41)
674.  名探偵登場
お話の内容よりも、二ール・サイモン脚本の洒脱さと各キャラクターの存在感合戦が印象に残る一本。 そうそうたるネームバリューの名探偵たちがぞろぞろ出てくるので、詳しい人ほど楽しめるかと思いますが、それほど元ネタに詳しくない私でも、とぼけたギャグの数々やギネスやセラーズの怪演ぶりなど、そこそこ楽しかったな。 ストーリーはミステリーとしてきちんと構築されたとは言い難いというか、そういう作品ではないので、ゆめゆめオチには期待なさらぬよう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-12-11 00:23:11)
675.  バスキア 《ネタバレ》 
それにしてもなんという豪華な顔ぶれでしょうか。知らずに観始めたらあの人もこの人も出てる、という驚きが先に立っちゃった。もう主演クラスだらけ。みんなバスキア好きなのかな。ウォーホール役をD・ボウイに当てたのは、すごく良いところに目をつけたなあと感動すら覚える。あの真っ白ザンバラヘアーを乗っけただけで本人憑依したみたいにそっくりだ。そしてボウイ氏の演技も上手い。器用な人だ。 と、役者はずらりと実力者を並べたけれど、肝心の話はどうかというとこれがいまいち。売れっ子になって有名税を払うことに戸惑い、疲れるバスキア。群がる画商たち、疎遠になる友人ら。とまあ、こういう事象は一般人の私らにも想像はつく。その「容易に想像できる」範囲を超えてバスキアの物語を紡いでくれているわけではないので、どうにも退屈だ。ウォーホールや、先輩画家との交流の内訳は関係者らが語ったものだろう。バスキア本人がどう考えていたのか伝わらない。 オーバードーズで亡くなった、という事実から「友人を失って孤独だったに違いない」と決めてかかって作ったみたいな脚本に、ちょっとそれってどうなんだと思った。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-12-07 17:53:25)
676.  ビッグ・アイズ 《ネタバレ》 
実話ものながら、夫の素性を小出しにしてゆく脚本が物語をサスペンスフルにしてて巧いと思いました。一組の夫婦がいて、絵の才能は妻が上で夫の方はプロモーションに長けていた。中盤までのこの視点が一気にひっくり返る、キャンバス上書き署名発覚の場面。真相に気づくエイミー・アダムスの「まさか」の表情は真に迫っており、私も震撼しました。留学どころか画家ですらなかったとは、まじかーと声に出ましたね。 夫は正真正銘の詐欺師だったわけだけど、とにかく社会が夫唱婦随の時代だもんなあ。教会の神父すら「夫に従え」とアドバイスするんだもんなあ。ダンナを疑うなんて夢にも考えなかったんだろうなあ。色々考えさせられる事件であります。 そしてクリストフ・ヴァルツが安定の仕事ぶりを発揮してます。実態がばれてからは、顔つきが山師そのもの。序盤の感じの良い友人~やり手のプロモーター、そして詐欺師の顔。一人の個人を演じながら、雰囲気だけを変えてゆく。見ごたえのあるベテランの名演技でありました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-05 17:21:51)
677.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
フィリップ・シーモア・ホフマンは当代最高峰の役者の一人だと思っている。彼の遺作となった本作を、多大な喪失感を抱きながら観賞した。 ル・カレ原作らしい重たさと切実な空気の中、ホフマンは身体つきそのままに、どっしりと緩慢に動く。ストレスや苦悩をぜい肉として纏っているかのようだ。部下に指示を出す時の動作や電話を取るしぐさ、おっさんジョークを飛ばす時の表情。バッハマンという一人の人間が完璧に造形されていて、もう私は目が釘付けになった。 「個人」を救いたい女弁護士と、全体像を見据えて国および地域の安全を担保したいバッハマンとは利害が必ずしも一致しない。彼女をアメと鞭で懐柔する時のプロの凄み。そしてプロ同士、すなわちCIAとの一騎打ちも冷ややかに尖っていて見ごたえがある。 物語は「大樹」であるところのCIAにバッハマンは鼻を明かされて終わる。「組織」の非情さと人間への不信感で言葉も出ないラストであった。ここのホフマンの仕事は誰ができるだろう。憤怒に身体を貫かれたようなその後姿。ああ彼がCIAらに一矢報いるような続編が見たいと心から思う。もう叶わない。とても悲しい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-11-28 18:07:59)(良:1票)
678.  失踪(1993) 《ネタバレ》 
なんというかこれ、サスペンスのセオリーを外しているというか、まさかそう来るかと思いますよね。悪い方へ、しょぼい方へと予想を覆されるこのがっかり感。 犯人を冒頭から明かすのなら、コロンボ警部が必要ですよ。でもこの映画はそういうのじゃない。だから観てる方はおのずと「意外な展開」を期待しますよね。ブリッジスはいかにも怪しいが他に真犯人がいたのだ、とかサザーランドの妄想系か、とかはたまた安いところでサンドラ・ブロックがブリッジスとグルなのか、とか。 ところが最安値の予想をはるかに下回る廉価オチだったのでした。こんなんありか。 ブリッジスのサイコな自己妄想が売りなんでしょうが、全然描けてないよ。似合ってない長髪が薄気味悪いけど狂気を感じないもん。娘にはヒーローでありたいって、そんなサイコパスはいない。 あんな場面でコーヒーなんか絶対飲まないし普通。サザーランドも間抜けなら、ブリッジスまでなぜ女の口車に乗って飲んでしまうんだ?自分のやり口なのに?馬鹿ですか、とイライラしてつい罵詈語も飛び出すなかなかのトンデモ映画だったなあ。
[地上波(吹替)] 2点(2016-11-17 00:20:55)(良:1票)
679.  ラストサマー 《ネタバレ》 
初見(十数年前)の時は「うわつまんね」と思ったものだった。不興の原因は”犯人が唐突”ということだったのですが、それはまあ今回観直してみてもやっぱり「何このオヤジ」ではあったんだけど、でもこの映画、ばかにしないで観てみたらわりとサスペンスの演出が良いことに気がついた。 魚を水揚げする工場での、氷に刺さった鉤爪が次の場面消えていたり、クイーンの女の子が追い詰められた夜のパレードの描写。点滅するライトと喧騒にかき消される悲鳴。新しい手腕ではないけれど、観る者を怖がらせようとするヤル気がある。トランクの中一杯の魚と死体が消えちゃうのはやり過ぎだと思うけど。 筋運びは粗だらけなのだけど、映画はデートでしか観ない10代の子らに受けたのは分かる気がします。
[地上波(字幕)] 4点(2016-11-15 00:31:20)(良:1票)
680.  ラン・オールナイト
役者の力量ってのはほんとに大事なもので、今作についてはリーアム・ニーソンとエド・ハリスがその佇まい、存在感だけでそれまでの彼らの人生を体現できているからこそ。脚本では、ニーソンの過去をいちいち語らない。エドや刑事とのやりとりでおぼろげに想像できる程度で、でもニーソンの鬼気迫るくたびれ顔だけで、説得力が再現ドラマの何倍もある。下手に過去シーンを入れなくて正解であろう。 そして悩める親バカ エド・ハリス。その苦渋の表情一本で、親バカすら肯定する力がある。それにしても年取ったなあ。 展開は正直ハラハラするほどのものでもなかった。けれど、夜がほとんどの画が夜景ならではのなめらかなキレイさがあって好きだし、激渋俳優お二人の醸す人生のビターテイストが心に沁みる一品なのだった。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-11-11 23:05:33)
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