681. キラー・インサイド・ミー
本作のケイシー・アフレックは凄かった。彼が演じた男の行為の数々は勿論のこと、無表情、弱々しい声などの全てが見事なまでの抑揚のない演技で見る者に不快感や嫌悪感を与える。 周りはみんな自分のことを知っていて、(本作の場合表の顔と言うべきでしょうか)過去から今に至るまで誰かがどこかでつながっている。大都会の片隅で起こった事件ではなく、みんな顔馴染みという中西部の狭い田舎町という舞台設定も重要なポイントだったと思います。 序盤にケイシー自身が「この町には悪党なんていないんだよ」と語りますが、挿入されるカントリーミュージックに代表されるように、妙なのどかさの中にある陰惨さに非常な恐ろしさを感じます。 作品と全然関係ない話なんですけど僕はプロ野球は阪神ファンなのですが、ケイシーが演じた「ルー・フォード」と言う名前、何年か前に阪神にいたダメ外人と同姓同名。不快感だけでなくヘンなことまで思い出させていただきました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-02-02 20:53:32) |
682. ハイスクール・ミュージカル2<TVM>
前作の登場人物、キャラクターなどをそのまま受け継いだシリーズ第2弾。 前作同様、衣装から小道具に至るまでポップでカラフルな色の配置がミュージカルの舞台に花を添えるように綺麗です。 ミュージカルシーンも時にロマンティックに時にパワフルに、前作同様とても楽しく完成度も高いと思います。前作はバスケ、本作では野球と、スポーツとミュージカルの融合も楽しい。 キャラクターが前作と同じなので、色々ありながら最後は大団円の楽しい歌とダンスで締めるのも前作と同じなのですが、シャーペイのキャラがパワーアップしすぎで、何だか1人浮いた存在になってしまっていましたね。それでも前作同様に親子、姉と弟、友情や恋などを上手く絡め、鑑賞後は爽やかな余韻が残る青春ミュージカルとなっています。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-02 00:54:16) |
683. メジャーリーグ
《ネタバレ》 ちょっと待て。いくら選手が成長するといっても、開幕前のあの体たらくで優勝できるほどメジャーリーグは甘くはないぞ!とは思うものの笑って許せる。やっぱりよく出来たコメディだと思うし、軽さの中にメジャーのキャンプの招待選手がふるいにかけられていくシビアな一面なんかも巧く見せています。 今やスポーツニュースのメジャーリーグコーナーなんかでも定番となった“wild thing!”の使い方も絶妙。雑草集団インディアンズがエリート集団ヤンキースを打ち負かす。スポーツものとしての醍醐味や爽快感もしっかり味わえる素晴らしき予定調和。 トム・べレンジャーのいぶし銀のいい味も、ウェズリー・スナイプスの軽さも良かったし、監督の前職がタイヤ屋ってのがまたいい。雑草集団の多彩な顔触れも楽しかったです。 [DVD(吹替)] 7点(2013-02-01 23:44:16) |
684. マイ・フェア・レディ
やっぱりこの頃までのミュージカルって陽気で楽しくっていいですね。本作の場合は3時間近い長尺ですが、やっぱり楽しいのでそれ程長さを感じさせません。 特にインターミッション前ですね。僕のお気に入りは、イライザが花売り娘からレディへの第一歩を歩み出す頃。基本的に本作はダンスが絡むシーンは少なく歌が中心となっていますが、イライザ、教授、大佐の3人が陽気に歌い踊る“スペインの雨”、そして口の悪い花売り娘だったイライザのレディへの変身を予感させるように、オードリーがそれまでとは一変してチャーミングになる“踊り明かそう”もいいですね。さらに続く“アスコット・ガヴォット”での色彩感覚も見どころです。 でもインターミッション後がちょっとテンションが下がっちゃうんですよね・・・。それでも主役抜きで下町の面々が陽気に賑やかに歌う“時間通りに教会へ!”がそんな雰囲気を一変させてくれます。 この時既にオードリーは30代半ばなのですが、やはりオードリーには娘役がよく似合います。 [DVD(字幕)] 7点(2013-01-26 22:20:17) |
685. 女神が家にやってきた
本作は何と言ってもラティファさんが素晴らしい!映画のノリはいつものスティーブ・マーティンのドタバタコメディ。コントのようなシーンでのスティーブとの掛け合いもバッチリです。やはりスティーブ・マーティンのお相手はゴールディ・ホーンがその筆頭ですが、彼のノリとパワフルに渡り合える女優さんがいいですね。スティーブ・マーティン好きの方なら彼のいつものドタバタも楽しめる作品ですが、「黒人」「白人」が必要以上に強調されていて、この部分にちょっと嫌気が差してしまったかな。ここにこだわりすぎなくても十分楽しくなる作品だったと思いますが・・・。 [DVD(字幕)] 5点(2013-01-13 20:37:56) |
686. ラブ・アゲイン
《ネタバレ》 DVDのパッケージからはゲイリー・マーシャルなどが得意とするようなラブコメ群像劇をイメージしていたのですが・・・。実際そうなんですけど、1つの家族を軸にした相関図が実に面白いし良く出来ています。 軽くサラリとした作風の中にいい人間臭さがあって、主要登場人物のつながりと利害関係の組み合わせ方が巧いですよ。笑いドコロも十分に挿入されています。 もつれにもつれた人間関係の糸がほどけていくような、息子の卒業式の校庭に点在する、主人公一家の幸せの風景の見せ方も良かった。いささかうまく行きすぎではありますが、雨降って地固まる。皆が笑顔になって、ラストは素敵な家族の姿がありました。 [DVD(字幕)] 8点(2013-01-12 17:23:15) |
687. レインマン
物凄く久しぶりの鑑賞でした。大分記憶があやふやな部分もありましたが、多分昔見た時よりも今回の方が感動したような気がします。 父の遺産目当ての下心で始まった旅ですが、旅の中で兄弟の遠い記憶を辿り、兄の存在を知らず父と縁を絶って生きてきた弟が家族愛というものを知り、弟の下心が真心に変わっていく過程を実に丁寧に描いています。 大ごとにせず、小さな描写の挿入で兄弟が少しずつ距離を埋めていく様を見せる。その1つ1つが素敵です。(終盤のホットケーキとシロップとか…ですね)その積み重ねが、最終盤での「兄貴が出来てうれしい」「僕の親友」と額を合わせる感動的な名シーンにつながります。 「レインマン」と言えばダスティン・ホフマンの名演技がまず出てきますが、むしろ本作は弟のドラマであり、演じるまだ若いトム・クルーズの漂わす雰囲気がとても良かったです。 [DVD(字幕)] 9点(2013-01-07 19:27:08) |
688. のら猫の日記
《ネタバレ》 今では大物の雰囲気も出てきたヨハンソンの子役時代を見ることが出来る作品。 姉が妹を里親の元から誘拐。食料品店で万引きを繰り返しては町から町へ。その姉は妊娠中。今度は姉妹で出産や赤ちゃんのことに詳しいおばさんを誘拐。 その後空家の別荘での奇妙な共同生活が始まるのですが、母親を亡くした誘拐犯の姉妹がこのおばさんに説教されたり、出産のことを学んだりしながら、誘拐犯と被害者の関係が少しずつ変わっていく過程がいい。 すると今度は誘拐されているはずのおばさんが別荘の家主を誘拐?といくつもの誘拐がありましたが独特のユルさとユーモアがあり、呑気な作品の空気がいい作品。邦題も本作の内容をとても巧くとらえています。 色々ありましたが無事出産。出産と同時にそれまではずっとしかめっ面でツッパリ続けていた姉の表情が穏やかな母親の表情に変っていたのが印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-06 23:27:57) |
689. 敬愛なるベートーヴェン
《ネタバレ》 僕はクラシック音楽にはそんなに興味が無いのですが、ベートーヴェンと言えば気難しく、様々な苦悩を抱えた孤高の作曲家というイメージがありました。本作に描かれるのは第九完成前後の晩年のベートーヴェンであり、どこまでその実像に迫っているのかは分かりませんが、何となく僕がイメージしていたベートーヴェンと重なる部分が多かった。 ベートーヴェンと、もう1人の主役と言っていいアンナの常に緊張感のある距離感は良かったですが、アンナに甥カールとの関係などの描き方が中途半端なのが惜しいです。 第九の初演が最大の見せ場であり期待通りの見応えがありましたが、これが中盤に挿入されているのは意外でした。やはり作品的にはこれを最終盤に持ってくる方が良かったような気がしますが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-12-30 13:30:30) |
690. ビッグムービー
フランク・オズ&スティーブ・マーティン。僕の大好きな名コンビです。やっぱりこの2人が組んだ映画は楽しいですね!日本未公開なのが残念ですが、まあ仕方無いのかな・・・。 そこに2役を演じたエディ・マーフィーまでが絡みます。何度もコンビを組んでいるオズ監督とスティーブは息もピッタリという所ですが、エディも本当に上手くはまっています。様々なシーンで恐怖に怯えるエディの演技(特に駐車場とハイウェイのシーン!)には本当に笑わせてもらいました。 更にこんな映画に何故かテレンス・スタンプが出ていて、一人大マジメに硬い演技を披露しているのですが、これもまた作中のいいアクセントになっていたりします。 映画のノリとしては典型的スティーブ・マーティン映画で、好き嫌いが分かれるノリの作品ですが、スティーブとエディ、二大コメディアンの楽しい競演とコメディ職人フランク・オズの手綱さばきも冴えるアメリカン・ドタバタバカコメディです。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-21 22:26:08) |
691. 突破口!
《ネタバレ》 盗難車、警察、銀行強盗。冒頭の銀行強盗までの流れから非常によく出来ています。強盗の捜査をする警察に、いわくつきのカネを取り戻そうと躍起になるマフィアの二手から徐々に包囲網を狭められていく中盤から終盤の流れも非常に面白い。 一見こういう映画には似合わないとも思えるウォルター・マッソー。でも、この人は「サブウェイ・パニック」なんかも同じですが、映画の中で自分のカラーを見事なまでに出していく。 常に危険と隣り合わせながらも、敵に先んじて常にその危険のわずか外を飄々と行くマッソー。もうこうなるとマッソーの独壇場。ラストの飛行機対クルマの対決も見応えがありました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-21 22:21:24) |
692. ツーリスト
サスペンスは少々ユルめに。その分ラブコメ的味付けが程よくなされたロマンティック・サスペンス。 よって警察やギャングが少々間抜けなのもこの分野のお約束なので、それで良しだと思います。水の都ヴェネチアらしい追いかけっこも楽しかったです。 ただし、ずっと姿を見せないアレキサンダーとは果たして何者か?で引っ張ってきたのだから、最後はその正体に驚かせてもらいたかったですが、こちらはミエミエになっちゃいましたね。 途中はそれなりに楽しめた作品だったので、登場人物や展開にもうひとひねり欲しかったところですが、ハリウッドの二大スーパースターと美しいヴェネチア。サスペンスとしては盛り上がりに欠けますが、華やかさがあり見栄えがする娯楽作です。 [映画館(字幕)] 5点(2012-12-18 23:00:34)(良:1票) |
693. セイ・エニシング
キャメロン・クロウの監督デビュー作。ベタな青春ラブストーリーですが、そんな作品の雰囲気もジョン・キューザック演じるロイドのキャラとうまく相まっています。 キャメロン・クロウ監督の青春映画というと自身の少年時代を描いた「あの頃ペニー・レインと」が思い浮かびますが、本作では父親、「あの頃~」では母親と、家族の登場のさせ方が印象に残ります。 恋した女の子がイギリスの大学に間もなく進学することが決まっているだけに、2人の恋の行方が気になるところですが、ラストはこうなるとは思いませんでしたね。でも、若いんだから1度くらい人生の冒険に出たっていいじゃないか。素直に2人のこれからに幸あれと思いたくなるいいラストでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-12-16 00:18:52)(良:1票) |
694. 25年目のキス
楽しくて、素敵な映画でした。こうした“女子のハイスクールに戻って青春時代やり直しモノ”、例えばコッポラの「ペギー・スーの結婚」なんかを思い出すのですが、女子高生に見えないというのは当然のこと。 25歳、あるいは「ペギー・スー」は30を過ぎてましたが、ハイスクール時代が既に過去になってしまった人が、自身の本当のハイスクール時代を思い出しながら、違和感や戸惑いがありつつも、もう一度ハイスクールをやり直し楽しんでいる姿がいいんだと思います。 本作を見ているとドリューは本当にいい女優さんだなあ・・・と改めて感じますね。上司、弟、先生といった脇を固める男優陣もそれぞれにいい味を出していました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-11 21:10:16)(良:1票) |
695. オンリー・ユー(1994)
《ネタバレ》 ノーマン・ジュイソンがこんな甘~いラブコメ撮ってたんですねえ・・・。 アメリカからイタリアにやって来た女性の前に誰もがイメージする典型的イタリア男が登場のお約束の展開。ついでに空港の職員も待たされるパイロットもみ~んないい人でしたが、こういうのは好きだなあ。 イタリアでの二転三転する”デーモンを探せ!”も楽しかったです。ラブコメの主人公は絶対幸せになれなければならないのですが、その代わりに誰かが可哀相なことになって複雑な思いが残るよりは、ヒネリとかは無くていいのでみんな幸せハッピーエンドがいいんじゃないでしょうか。 よって本作の場合はお姉さんとご主人の現実的だけど幸せそうなラストの姿の方に「良かったね」と感じてしまうのでした。 [DVD(吹替)] 6点(2012-12-08 20:13:28) |
696. タクシードライバー(1976)
様々な映画の舞台となってきたニューヨーク。夢と希望に溢れた街でもあり、お洒落な恋が芽生える街でもあります。 しかし、本作のニューヨークは何とも孤独で病んだ街に映ります。これはまさにトラヴィスの目に映るNYの風景。 デ・ニーロ演じるベトナム帰りの不眠症に悩む社会に溶け込めない孤独なタクシードライバー、トラヴィス。小さな出来事の積み重ねとデ・ニーロの危うさをはらんだ演技で、社会への不満感や孤独感が次第にエスカレートしていく様を追っていく。 冒頭に「雨は人間のクズどもを洗い流してくれる」という台詞がありますが、自身がその雨になろうとしたのか・・・。彼のそんな行動を新聞は英雄扱いしますが、「新聞は大げさだからな」と言いながら、以前と変わらずタクシーで夜の街を流す孤独なトラヴィス=デ・ニーロの目が印象に残るラストでした。 このラストもそうですが、全編に渡りデ・ニーロの目が強烈に印象に残るとともに、バーナード・ハーマンの憂いを帯びた音楽も効いている作品です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-08 20:09:37) |
697. ダーティハリー3
第1作と比較すると、第2作では娯楽色が濃くなり、第3作、つまり本作では中盤あたりまではついにコメディタッチに。「泣けるぜ・・・。」の度に何故かちょっとだけクスリとしてしまう。 本作の相棒は新米女性刑事。演じた女優さんの刑事らしさのある面構えがいいし、なかなかの好演でした。必死にハリーについていくその姿は微笑ましくもあります。この2人のやりとりも時にコメディタッチになり、まさかダーティハリーを見てクスリとさせてもらうことになるとは思いもしませんでしたが、全5作を通しても印象に残るハリーの相棒役だったと思います。 過去2作と比較すると犯人側の描き方が弱く、ラストも無理やりの度合いが高いのですが、本シリーズはイーストウッドのいつものダーティハリーぶりを見ることさえ出来れば、それだけで満足だったりもするのです。 [DVD(字幕)] 6点(2012-12-05 22:07:11)(良:1票) |
698. ダーティハリー2
《ネタバレ》 本作のハリーの敵は、法に代わり悪に死の裁きを下す、例えるなら必殺仕事人のような連中です。警察の捜査や法の抜け穴をかいくぐり、のさばる悪を許せないという点では両者の思いは同じではある。 しかし裏の稼業に手を染めてしまった敵と、あくまでも警察官として市民の安全を守るハリーとの違いは明白で対立の構図も分かりやすい。前作以上にアクションシーンや派手な撃ち合いといった見所を随所に挿入し、前作とは違うアプローチでしっかり前作同様ハリー・キャラハン=イーストウッドのカッコよさを際立たせています。 もう一人、仕事人の黒幕も出てきますが、彼の正体がちょっと分かりやすすぎたかな・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2012-12-03 22:56:29)(良:1票) |
699. 人生の特等席
《ネタバレ》 本当は上手くやっていきたい。しかし我が子との向き合い方に悩み続けてきた少々偏屈な頑固オヤジ。イーストウッドが俳優として一旦区切りを付けた傑作「グラン・トリノ」を思い出した。 俳優としての復帰作は、長年自身の元で働いてきてくれた愛弟子の監督デビュー作。ロバート・ロレンツにとっても師匠イーストウッドはやっぱり頑固オヤジだったのでしょうか。 ブレーブスの老スカウト、イーストウッド。一方敏腕弁護士の娘、エイミー・アダムス。共にそれぞれの職場で微妙なチームの一員に自身の居場所を脅かされている。父と娘のドラマと、それぞれの仕事が同時進行で進んでいき、最後はそれぞれの微妙なチームの一員がミスを犯し、父と娘の関係も修復への道を歩み出す。個人的には安心して見ていられる、こういうドラマは好きです。 最終盤で、序盤に登場したピーナッツ売りの若者や、スランプに陥った自身がスカウトした若手選手のその後を出すあたりは、忘れかけていた序盤のちょっとした登場人物を上手く活かしていたと思います。 引退を考え始めるイーストウッド演じる老スカウト。しかしラストでチームは契約延長を申し出る。これは「クリント、引退なんてまだまだ先だよ。」そんなロバート・ロレンツからのイーストウッドへのメッセージであるようにも思えました。 [映画館(字幕)] 7点(2012-11-30 23:12:29)(良:1票) |
700. アニー・ホール
ウディ・アレンの出世作とも評される本作は「僕はこんな奴なんだよ」「ハリウッドになんて行かない。僕はここ(NY)で映画を撮り続けるんだ」実に分かりやすいウディ・アレンの決意表明のようなものを感じる映画です。 冒頭から自身のハゲを話題にした自虐ネタに、NYへの愛を感じる一方でLAへのシニカルな台詞、ユダヤとは、セックスとは・・・その後のアレン映画でもお馴染みのアレン・ワールドがお得意の小気味いいテンポで展開されていきます。 表明だけ着飾ったインテリの描写も面白い。アレンの幾つかの作品で感じられるフェリーニ愛。序盤の映画を待つ列の後ろでフェリーニ批判を繰り広げる男を登場させることで、そんな似非インテリ批判と共に自身のフェリーニ愛を感じます。また、着飾った会話とは裏腹に裸の心の声を字幕にするくだりもアレンらしい楽しさがあります。ユダヤに関してはアニーから「あなたってやっぱりユダヤ人なのね」みたいなことを言われて一言「ありがとう」と返すくだりも実に分かりやすい。 頑なにNYを出ることを拒んだ彼が今ではハリウッドよりもっと遠いヨーロッパを拠点にしているのも皮肉というか、面白いです。そう言えばヨーロッパに行く少し前に「さよならさよならハリウッド:原題hollywood ending」という映画と撮ったりもしていましたね。色んな意味で彼の原点を感じる大好きな作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2012-11-24 13:59:36) |