1061. 刑事コロンボ/もう一つの鍵<TVM>
犯人の女が醜いほどに感情的で、低能すぎる。あんなに強引に殺害しては、コロンボに対してスキを見せるばかりだ。観ている側にもスリリングさが無かった。感情的で計画性のない犯人のキャラクターなのだから、どうせなら犯行そのものは、当初犯人が計画していた通りに進行してほしかったと思う。それでやっとコロンボといい勝負になる。 レスリー・ニールセンが若かった。 [DVD(吹替)] 4点(2005-11-21 11:22:48) |
1062. ティム・バートンのコープスブライド
久しく味わうことのなかったアニメ映画の“愛くるしさ”を感じることができる素晴らしい映画だと思う。アニメ映画に必要なのは、目が痛くなる程に目まぐるしい映像世界でも、“難解”という言葉に包まれた複雑な世界観でもない。アニメーションに対する、キャラクターに対する“愛くるしさ”だ。 そのことを、ティム・バートンという特異な映画監督は、“ストップモーション”というもっとも自分らしさを発揮できる秀逸すぎる世界観で、堂々と表現してみせたと思う。 あんなに魅力的な“死体”は、この世でティム・バートンしか創り得ないだろう。 [映画館(字幕)] 9点(2005-11-18 00:21:59) |
1063. 刑事コロンボ/ホリスター将軍のコレクション<TVM>
最も基本的で致命的な物証が決め手で、しかもそれがああも単純な場所にあっては、やはり盛り下がることは避けられない。自信過剰な犯人のキャラクター性の表れなんだろうが、犯行後にしゃあしゃあと目撃者に会いに行って、しかも口説き落とすって……さすがにやりすぎでしょう~。コロンボ自体今作においては、大した推理もしてないし。 [DVD(吹替)] 5点(2005-11-16 16:08:22) |
1064. 刑事コロンボ/構想の死角<TVM>
《ネタバレ》 観終わった後のエンドロールで初めて知ったのだけれど、この作品がスピルバーグ演出というのはなんだか腑に落ちない。 コロンボらしい犯人像で、コロンボらしい展開なんだけど、犯人を追い込むラストがどうも拍子抜けだ。殺害トリックのネタとなったメモ程度で、あの場合自白に追い込めるだろうか?あのメモ自体がコロンボの仕掛けだとか、あの殺害トリックは作者しか知らないとかという設定であれば、まだ納得できる。が、トリック自体本当に犯人自身が考えたもので、あのメモがどれほどの物証になるというのだろう。 そもそも、あれほどのトリックが考えつくのならば、作家としての才能も充分あったのではないか。 [DVD(吹替)] 5点(2005-11-13 16:56:03) |
1065. 宇宙戦争(1953)
正直、バリバリのVFX映画の完成形であるスピルバーグ版「宇宙戦争」を観た後では、ビジュアルの弱さに気後れしてしまうことは否定できない。映画としての緊張感という点でも、一方的に宇宙人に侵略され続けるという絶対的な絶望感を感じることがなかった。 ただ、ところどころのシーンで、その後のSF映画に影響を与えていると思われる描写は多々あり、この映画の価値はそれだけで充分あったのだと思わせる。 [DVD(字幕)] 6点(2005-11-02 11:40:48) |
1066. ソウ
《ネタバレ》 とにかく、痛々しすぎる密室における緊張感は一見の価値はある(と言うか痛々し過ぎて2度、3度と見ようとは思わない)。全編に張り巡らされた伏線と、“密室”という設定を存分に生かしたアイデアも見事だったと思う。 終盤、クライマックスにおいて、それまでの雰囲気を無視してやけにバタバタとし始めて、正直「なんだよこの終わり方は~(lll ̄■ ̄;llllllΣ)」と思いかけたところで、真の結末を見せる顛末には、まんまと衝撃を受けた。ああいう終わり方は、この種類の映画にふさわしく、この「SAW」という映画の結末に合致していると思う。すなわち、“SAW”とは、重要な小道具であるノコギリを示すと同時に、「見ていた」という要素をあらわすものなのではないか。 ただしかし、犯人の正体を筆頭に色々と腑に落ちない点も多い。冷静に考えると強引すぎるようにも思う。それが描かれなかった「謎」なのかは疑問だが、良い意味でも、悪い意味でも、全然眼中になかった続編「SAW2」に対する好奇心は膨らんだことは確かだ。 [DVD(字幕)] 8点(2005-10-29 21:40:58)(良:2票) |
1067. ロング・エンゲージメント
やはり致命的なのは、冒頭から登場人物の名と風貌が分かりづら過ぎるということだと思う。“脇役”のキャラクターを掘り下げそれぞれのエピソードをユーモラス(且つ生々しく)に挿入するというのは、ジュネ監督の得意な手法だ。が、今回のそれは戦下という環境での風貌の区別の付けにくさと、その“脇役”たちが物語の中核に関わってくるということで、ただただ“分かりにくさ”という要因になってしまった。 加えて、ジュネ監督独特の“ファンタジー”と“悪趣味”が見事に融合した映像世界は相変わらず秀逸だったが、物語の大筋自体に盛り上がりと深みが感じられなかった。テンポ良く話は展開し、“謎”は解明されていくのだが、“結局だから何なのだ?”と拍子抜けしてしまう感は否めなかった。 個人的に鑑賞後に一番大きく残ったのは、「えッ!あれジョディ・フォスターだったの?」という驚きだった。 [映画館(字幕)] 4点(2005-10-05 15:13:12) |
1068. ターミナル
中盤過ぎまでの展開は非常に素晴らしく、「スピルバーグがまたやってくれた。さてさてどう褒めちぎろう」と大いに期待したのだけれど、終盤の落ち込みに呆然となる。興味深い“予感”を漂わせる主人公のキャラクターと設定に用意された“オチ”が、あまりにチープすぎる。安直で軽薄ささえ漂うラストの顛末に、映画のすべてが希薄に映ってしまう。トム・ハンクスをはじめとする役者の演技、空港という空間を作り上げた美術とセット、同じ空間を飽きさせずに見せるカメラワークと、映画を形作るほとんどの要素は秀逸そのものであった。ただひとつ、脚本の詰めの悪さで、すべては転覆してしまうという良い見本だと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2005-10-05 15:09:52) |
1069. ストーカー(2002)
まずい邦題に惑わされがちだが、今作は決して“ストーカー”を描いた映画ではないと思う。現像所に持ってこられる家族写真に自分の理想と人生を被せる主人公の行為は明らかに異常であるが、今作で描かれるものは、その哀しい男のやるせない生き様と犯罪である。世の中のすべての人は、この男になりえるのかもしれない。中盤の展開がややかったるく、テンポの悪さは気になったが、非凡な映像センスには驚いた。 [映画館(字幕)] 6点(2005-10-03 17:30:53)(良:1票) |
1070. シン・シティ
どこまでも果てしなく“遠慮”がない映画というものは、それだけで素晴らしく、偉大である。 徹底的に造り込まれ、限りなくキワどく、限りなくクールな映画世界に圧巻という言葉すら出ない。ひたすらに血生臭く、非道なこの街の空気感を彩る豪華な俳優陣それぞれのパフォーマンスと、悪趣味とスタイリッシュさとの絶妙な塩梅をこれでもかと見せつける映像感覚が凄まじい。 圧倒的なテンションの連続を見たかと思うと、描かれるストーリーは極めて繊細で切ない。まさに「こんな映画みたことない!」と断言するにふさわしい映画が誕生したと思う。スゴイ。 これは、ロドリゲス流超ハード“パルプフィクション”だ!! [映画館(字幕)] 10点(2005-10-01 19:04:14)(良:1票) |
1071. スター・ウォーズ/クローン大戦 <TVM>
アメリカのアニメ番組枠で放映された今作。第一印象の「わー、いかにもアメコミっぽい感じのチープな画だなー」という不信感に反して、かなり×2よくできている。 物語の設定としては、エピソード2と3の間の話ということなので、本当はエピソード3を観る前に観たかった。実際観てなおさらそう思った。 なにしろ、アクション性がスゴイ。もちろんアニメーションなので、実写とは比較できないけど、描かれるシーンの娯楽性がとても高い。何がそう感じさせるかというと、それは一にも二にも、“ジェダイマスターたちの活躍”に他ならない。 メイス・ウィンドゥをはじめとする、本編ではほとんど目立たないマスターたちの縦横無尽の活躍とその強さが、熱い。特にウィンドゥは強すぎるのなんのって、あの強さを本編でやられると、アナキンもオビ=ワンも霞んでしまうだろう。 ストーリー的にも意外としっかりしていて。アナキンの精神面での闘いなども描かれており、なんなら、コレを“エピソード2”にしちゃって良かったんじゃないかと、思わなくもない。 [地上波(字幕)] 8点(2005-08-04 22:35:16)(良:1票) |
1072. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 もしかしたら賛否が大きく分かれるのかもしれない。が、この映画は圧倒的に“賛”である。まさに絶望的なまでの侵略者の脅威に対し、すべての人類は成す術が無い。そうこれは“戦争”などではなく、一方的な“駆除”なのだ。そのままに一人残らず滅亡するのが真のリアリティかもしれないが、それでは物語にならない。そうして導き出された結末は、人類の勝利ではなく、地球上の一生物として生かされた人類の姿である。この顛末は、序盤からの脅威的な侵略に対しあまりに“あっさり”しているように感じるかもしれない。しかしそうではない。ただひたすらに逃げ惑うだけの人類たちのその同じ場所で、いつもと同じように繰り広げられる生命体たちの活動によって、人類は生かされたのだ。実にシンプルで起伏に富んだ発想の転換、これぞScience Fictionの名にふさわしい。スピルバーグは、映像に対する絶大な創造力をもって、この古き名作をリメイクしてみせた。 [映画館(字幕)] 9点(2005-06-29 17:58:47)(良:2票) |
1073. 刑事コロンボ/死者の身代金<TVM>
前作「殺人の処方箋」もそうだったが、初期作のコロンボは犯人に対し積極的にワナを張っていく顛末が見事だ。今作では罪を隠そうとする犯罪者の心理を巧みに利用し陥れる。もし自分が犯人なら心底憎らしくなるであろう相変わらずのコロンボ節も、すでに完成されている。 [DVD(吹替)] 7点(2005-06-20 18:13:22) |
1074. エイリアン2/完全版
完全版しか観ていないので、オリジナルとの比較については何も言えないが、ジェームズ・キャメロンの持ち味が良く出ている映画に仕上がっている。エイリアンシリーズに通じて言えることたが、それぞれ持ち味の違う監督が独自の色合いを出し、「エイリアン」という映画に仕上げていることが、このシリーズの質の高いところだ。今作はシリーズの中では最もアクション基調であるが、キャメロンらしい迫力のあるアクションの中のドラマ性が、見応えのある作品にしている。 [地上波(吹替)] 8点(2005-05-29 15:15:56) |
1075. アイ,ロボット
「ロボットの叛乱」、それはもはや使い古されたプロットかもしれない。しかし、この映画は明らかに新しく、映画としてのひとつの進化さえ垣間見せることに成功している。特筆すべきは何と言っても“生々しく”襲い掛かるロボットの驚異的なインパクトだ。ロボットに対する“人間らしさ”をテーマとするこの物語において、革新的であるこのロボット像は、不可欠であり最大の功労であると思う。研ぎ澄まされた機能美に溢れた世界、破滅的な危惧を備えた新たな未来像が、人間の五感と精神を刺激する。 [映画館(字幕)] 8点(2005-05-29 15:09:53) |
1076. キル・ビル Vol.1(日本版)
「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」でクエンティン・タランティーノが絶大な評価と人気を得た最大の要因は、ズバ抜けたセンスのセリフだったはずである。しかし、今作は「日本」というイメージに固執するあまり、日本語を多用しすぎたのではないか。よってタランティーノ節とも言えるハイテンションな会話シーンはほとんどなく、やりすぎ感満載の殺陣シーンのみが際立つ結果となってしまった。冒頭の復讐シーンや全編にわたる細かい演出には、タランティーノらしいハイセンスさがあっただけに、全体的な評価が非常に難しい。ただ確実に言えることは、今作は一つの映画を2つに分けた第一作目である以上、決して完成には至っていないということだ。待ちに待った鬼才の新作を簡単に「つまらない」と言ってしまいたくないという気持ちもあるが、今はvol.2の公開をただ待ちたい。 [映画館(字幕)] 7点(2005-05-29 14:59:35) |
1077. 十戒(1956)
映像の技術的には明らかに陳腐であるのに、その画面から今尚ものすごいパワーが溢れてくる。黄金時代と言われた当時の娯楽映画界のエネルギーがそのまま注ぎこまれているように感じる。もはや50年近くも前の映画である。スゴイ。アメリカの娯楽映画の歴史の大きさを感じる。 [地上波(吹替)] 8点(2005-05-29 14:45:51) |
1078. ドニー・ダーコ
言葉では説明しづらい複雑な内容の映画だったけど、少年の身の上に起こるタイムパラドックスの破綻、回避できない壮大な宇宙意思と題材とストーリーは非常に興味深く集中して観ることができた。斬新なストーリーを巧みに描き出したカメラワークも見事だったと思う。ただ主役を演じたジェイク・ギレンホールの少年らしくない陰気臭い雰囲気も作風の不穏な感じに合っていた。 [映画館(字幕)] 8点(2005-05-29 10:53:17) |
1079. デスペラード
崇高なまでに単純なアクション満載のストーリーは日本のサムライ映画に通じる部分もあり、娯楽映画の真骨頂と言える雰囲気を醸し出している。ひたすらに撃ちまくり、ひたすらに濃いアントニオ・バンデラスがカッコ良い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-29 10:43:14) |
1080. 2001年宇宙の旅
観客に意味が伝わらなければ、どんなに崇高なテーマを持っていたとしてもその映画は駄作であると思う。今作もその類に極めて近いことは確かであろう。しかし、尊大なラストシーン、あの瞬間に私は震えるような、何かが目覚めるようなひらめきを感じた。かたっくるしく難解なストーリーのすべてが一気に脳裏に流れ込むような衝撃を感じたとしか言うほかない。この伝説的映画が真の傑作かどうか、一度しか観ていない私には判断できない。ただ、もしかしたら人間の想像力と創造力の限りない深遠まで近づいた映画なのではないか、そんな気がするのは確かである。 [DVD(字幕)] 10点(2005-05-29 10:34:53) |