101. ヒッチコックの ファミリー・プロット
派手さはないけど手堅いサスペンス・コメディ。前半エドワード捜しのミステリー風展開にしたのもよい。その後との対比が生きています。両カップルを適度に描きわけながら、クライマックスに持っていくところもうまいです。被害がこちらに及ばず、他人事としてサスペンスを楽しめるのもいいところ。まあとりあえずは、バーバラ・ハリスがキュートでグーですな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-12 10:57:43) |
102. リバティ・バランスを射った男
《ネタバレ》 序盤では、若い弁護士が法律を武器に西部の無法者と渡り合う……と思いきや、あっさり銃の練習に乗り換えて肩すかし。結局そうなるわけですか。とはいえ、教室を開くなど秩序を取り入れようというところが見られて安心しました。バランスが撃たれた事件の顛末は予想通りでしたが、これって考えると『カサブランカ』のリックと同じ立場ですね。惚れた女のために、彼女が愛した男を助ける。本作ではそこで終わらず、図らずも英雄になってしまった男の悲哀も取り入れていて、さらに一歩踏み込んだ感じです。社会性にロマンス・男の友情物語をからめ、さらにジョン・フォードらしく適度にユーモアを交えてうまくまとめあげた、洗練された作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-10 15:58:52) |
103. ハムナプトラ/失われた砂漠の都
オリジナルは未見ですが、おそらくかなり違うんだろうなー、と思いつつ見ていました。冒険+アクション+ホラー+ユーモアがうまくブレンドされ、気楽に楽しめるいかにもハリウッドな娯楽作となっています。ただ、イムホテップがなぜあんな超人的な能力を発揮できるのかが、いまいち謎(笑)。そうした適度ないい加減さも含めて楽しめました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-05-21 15:45:29) |
104. 夢(1990)
《ネタバレ》 後半の理屈台詞に辟易して、黒澤さんはこんなにシナリオが下手だったのだろうかと思ったのですが、おそらく何らかのメッセージを乗せようとすると、説明的になってしまうのでしょう。要するにそういうのは得意ではないと。だからやっぱり、この人は娯楽作品の方が評価が上がるようです。メッセージ性が強くて、本当にこんな夢を見たとは信じられず、リアルでない話を作るエクスキューズとして「こんな夢を見た」と言っているだけだと思われます。実際のところ、どちらでもいいんですけど。それに、それとは違った意味での「夢」が込められているようにも感じられました。 全体としてはつまらなかったわけではなく、むしろ楽しんで鑑賞しました。とにかく画がきれい。暗くてよく見えない話もありますが、それでもそれなりに見せてしまうのはさすが。気に入ったのは桃の話と、ゴッホの話。特に後者はほとんど映像だけで、「ゴッホの絵をセットにしたかっただけだろう」なんて思えて、おかしかったです。最後の鴉がアニメーションに見えてしまって、不思議な感覚でした。 おおむね「異界」の者との接触を描いていますが、その異界が結局「自然」であり、最後になって自然のままであるのが一番であると締めるのは、よい構成でした。監督も変に肩肘を張らず、気楽に作ればよかったのにねぇ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-03-01 09:19:43) |
105. 白熱(1949)
《ネタバレ》 マザコン犯罪者とか潜入捜査とか、なかなか面白い。話の展開が山あり谷ありで、飽きさせません。最後も迫力があって見せます。簡単に死なない(弾が当たらない)のはどうかと思いますが……。とはいえ、見終わってみればそれでおしまい。あとに引くものがなく、なんだか物足りないものを感じさせます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-01 22:35:58)(良:1票) |
106. 特攻大作戦
《ネタバレ》 演習まではまずまず面白い。囚人たちがチームとしてまとまっていく展開、特にライズマン少佐との関係はユーモアもあって楽しめました。相手の裏をかく演習もいい。ただ、相手がドイツ軍だとドイツ語を話せる人間がもっといないと無理なので、あくまで演習用ということですが。本番の攻撃も序盤は緊張感がありますが、ドンパチが始まってしまうと大味になってしまい残念です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-04 20:32:10) |
107. カンバセーション・・・盗聴・・・
《ネタバレ》 主人公が盗聴のプロなのに、自分の仕事が誰かに悪影響を及ぼすのではと心配するというのは、どうも納得できない。そういう点ではリアリティゼロ。だからなのか、冒頭から長回しでドキュメンタリー・タッチの演出になっています。サスペンスとしてはまあ普通。ドラマとしてもそこそこ見られる。後半の夢か現実かわからないような描き方は、前半と対比させたのでしょうが、それほど面白いわけではないです。とりあえず、この作のテーマであろう「都会人の孤独」(1970年代の映画にありがち)は、よく出ていたのではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-20 19:46:26) |
108. ザ・ヤクザ(1974)
《ネタバレ》 アメリカ映画ですがかなりリアルな日本描写で、その点かなりよかったと思います。話としては任侠映画の王道で、こちらも固いことを言わずに見ていられましたが、アメリカ人にいろいろ説明しようとして説明しきれないあたりが、もどかしいというか現実的というか。「義理」がテーマなので、タイトルも"Giri"にした方がよかったと思うのですが、日本人ならともかく、アメリカ人にはアピールしないのかもしれません。それにしても、指を詰めるのを義理の象徴のように扱っていたのは、どうかと思います。抽象的な概念なので、ああいう風に具体的な形にしないと終わらないのでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-04 23:06:38) |
109. ロンゲスト・ヤード(1974)
《ネタバレ》 もう少し明朗な作風を予想していたのですが、案外シリアスでした。しかしそのドラマ性と、「スポーツもの」というところがうまくかみ合っていたと思います。最後に刑期を恐れず立ち直るところはおなじみのパターンですが、やはりこういう男気を感じさせる映画は見ていて爽快感を覚え、楽しめます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-23 16:23:40) |
110. 最前線物語
《ネタバレ》 長い版があるとは知らず、2時間弱のバージョンで見ました。 戦場の悲惨さを熱くならず、クールに描いたところがよい。エピソードの連続なので、時にホッとしたり笑えたりするところがあるのもいいです。「生き残った者が勝ち」というのは、戦争のみならず人生そのものに当てはまることで、そういう点でも評価したいです。4人の若者はそれほど個性的に描かれていたわけではありませんが、現実的にはこんなものかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-20 10:54:16) |
111. 突破口!
《ネタバレ》 70年代らしい作ですね。主人公が犯罪者(アンチヒーロー)であるところと、武力でなく知恵で難局を乗り切るということ。こうした要素は、ベトナム戦争への反発から来ているのかもしれません。ちょっとうまく行きすぎというところもありますが、あまり気になりません。アクションは前半の車での逃亡と後半での飛行機と車との小競り合いですが、やはり後者の方が見ごたえがあり楽しめました。それ以外は動きの少ない、むしろ地味な展開ですが、なかなか引きつけられました。まあ、本作での教訓は「金を持った奴が勝ち」ということでしょうか(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-11 08:53:25) |
112. バルジ大作戦
《ネタバレ》 たしか2回目の鑑賞のはず……ですが、内容はあまり覚えていません。見ながら徐々に思い出してきたようなあんばい。基本的にドイツ軍戦車部隊の大進撃を描いていますが、合間合間に適度にドラマが折り込まれ、テンポのよさもあって長丁場も飽きさせません。このあたり、ケン・アナキン監督はうまいと思います。単調感がないのです。ドイツ軍が燃料不足であることに気づくのが終了30分前。実際に補給所での戦いになるのが最後の10分と、一気に形勢逆転するところが見どころ。ほとんど偶然のような部分もありますが、まあ面白いのでいいでしょう。人物はやや掘り下げが浅いし、総花的になってしまったのは弱いところでした。それに晴天が続いていて、飛行機が飛べない空とも思えませんし。しかしコンラッド伍長はなかなかよく、いい助演ぶりでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-08-14 20:08:22) |
113. 荒鷲の要塞
《ネタバレ》 要塞に乗り込むまでの前半、要塞内での中盤、脱出後の後半に分かれていますが、中盤がなかなか面白い。「観客に情報を渡さず混乱させる」という手ですが、スパイがいるということをあらかじめばらしているので、より効果的でした。黒幕の正体も含め、探偵小説の国イギリスらしい内容で、アクションよりそちらの方が楽しめました。 アクションものとしては、爆弾を大量に爆発させたりマシンガンを撃ちまくったりと、派手。この頃英米では、映画はすでにテレビに押されていたことでしょうから、テレビに対抗して派手なアクションを連発したのかもしれません。爆発・銃撃の連続ですが飽きが来ず、長時間も気にならず楽しめました。ロープウェイ上での戦いが、地味でむしろ違和感を感じました。脱出計画も用意周到で面白い。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-08-08 18:16:29) |
114. ドクトル・ジバゴ(1965)
《ネタバレ》 歴史に翻弄される人々っていうことで、人間ドラマの方はそれほど濃くない。とはいえ、主人公が医者というところがミソで、そのおかげか長時間でも飽きずに見ることができました。ドラマ性が薄いとどうしても男女関係に頼らざるを得ず、本作でも後半は単なるメロドラマになってしまったのは残念でした。そこに至るまでの人物たちの関係はなかなか面白かったです。個人的には、ジバゴとラーラの関係よりも、トーニャと息子が結局どうなったのかということが気になりました。パリに逃げても、このあと第二次世界大戦が始まるわけですし……。一応ロシア革命批判などもあるようですが、革命そのものよりも、主義にかかわらず人間性を否定する社会機構そのものに対する批判というものが感じられました。そもそも人民といってもいろいろな主義主張があるわけで、それを十把一絡げにして語るあたり、個人というものを無視したうさん臭さが感じられます。 [映画館(字幕)] 7点(2016-07-24 16:28:04) |
115. アマデウス ディレクターズカット
《ネタバレ》 ディレクターズカット版を見るのは初めてですが、やはり少々長いです。オリジナルの方が締まっていてよかったように記憶しています。こちらも長いこと見ていませんが。 話としては、前半サリエリが中心の物語だったのに、後半は完全にモーツァルトが主人公になっているところが面白い。結局サリエリは、こうした物語でもモーツァルトに食われてしまうことになるわけです。やはり根本的に、人を引きつけるものを持っているかどうかの違いなのでしょう。 オリジナル版を初めて見た時もっとも感心したのは、2人が協力して「レクイエム」を完成させようとする場面。まるで本当にこんなことがあったかのようなリアルな臨場感があり、引き込まれました。しかしそれも、そこまでの話の展開、2人の関係があってこそ説得力が出てくるものです。私にとってこの映画は「レクイエム」のシーンが全てであり、あくまでそれを生かすためにその他のエピソードが配列されています。そう考えると、神の扱いなどもサリエリの動機づけとして使われているだけのようにも思えてきます。だから神の意味するものがどういうことなのか、あまり深く追求するのも意味がないかもしれません。神がどうこうよりも、人間の関係の方が面白い映画ですし。 まあ、「レクイエム」のシーンが面白かったといっても、やはり初見時の興奮には及びません。あれがあることをあらかじめ知って見ているのでは、評価を下げざるを得ません。それでも非常に興味深い作ではありますが。ただやはり、オリジナルの長さでもいいんじゃないかと思ってしまいます。 [映画館(字幕)] 7点(2016-07-15 20:57:05) |
116. ヨーク軍曹
《ネタバレ》 これはやはり、戦意高揚のための映画なのでしょうか。製作当時は、太平洋戦争は始まっていないと思いますが。なんにせよ、厚い信仰心とか戦場で大活躍して英雄になるとか、最後に彼女と幸せになるとか、アメリカ人が大好きな要素がてんこ盛りですね。戦場で弾に当たらなかったのも、「神のおかげ」ってことになるのでしょう。とはいえ、日本人が見てもそれなりに楽しめました。特に、前半の改心するあたりがよかったです。戦争よりも宗教という観点で見ていくと、興味深いものがありました。しかし最後は、自力で家を建ててもらいたかったところです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-05-05 16:59:00) |
117. マジェスティック(1974)
《ネタバレ》 組織に一人で立ち向かう男といえば、この頃「マフィアへの挑戦」という小説があったようです。それと関係があるのかどうか、どちらも主人公はベトナム帰り。まあ、そんな人物は優秀な戦士だったということにしないと、現実味がないですが。 本作ではブロンソンが終始クールでハードボイルドな人物を演じていて、よく合っていたと思います。今同じような作品を作るなら、スイカを潰された時点で怒り狂うかも。しかし、あくまで自分の信念に忠実でハードボイルドなところが、魅力となっています。ストーリー的にも順を追った展開で説得力があり、アクションも必然性があって「アクションのためのアクション」になっていないところがよいです。地味目ですが、よくまとまった良作でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-27 10:02:13) |
118. 十戒(1956)
全般的に話に起伏がなく進行が単調。そのため特に前半は飽きてきます。モーゼとネフレテリの関係もメロドラマ風で、気宇壮大な本筋とは合っていないと思います。やはり見どころは特撮で、後半モーゼが奇跡を行うあたりから面白くなってきますが、話としてはやはり単調なので、それほど面白さは感じられません。聖書は何度か読もうとしてみましたが、いつも早々に挫折してしまいます。結局「お話として面白くない」のだということを、改めて実感します。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-26 11:40:16) |
119. バック・トゥ・ザ・フューチャー
《ネタバレ》 普通に面白い。主人公がわざとらしくピンチになったり(トランクの鍵が中に落ちるという状況がよくわからないが)、父親が急に強くなったりと、ご都合主義な展開で盛り上げるのもそれらしいです。本作で一番評価したいのはテンポのよさで、2時間近くをダレずに楽しく見させるところは、おみごとでした。現在と過去の両親を同じ俳優が演じているというのも、面白いです。今見るといい意味で時代を感じさせるのは、タイムトラベルものの特権でしょうね。全体としてソツがなく、まとまりもいいのですが、逆にこれはというポイントがない。どこかとんがったところのある作品の方が、評価が高くなるものでしょう。 ついでに、古典的な探偵小説が好きな人間からすると、伏線というのは「そうだったのか!」と思わず膝を叩くようなもので、本作での「辻褄合わせ」(試験の答え合わせのような)は、およそ伏線と呼ぶに値しません。ドクの防弾チョッキぐらいですねぇ、感心したのは。とはいえ、だからつまらないというわけでもないですが。ギャグのネタとしては、十分機能していたと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-20 11:29:59) |
120. ピノキオ(1940)
《ネタバレ》 画の動きに関しては「さすがディズニー」としか言えない。これだけは百聞は一見に如かず、とにかく見ないと話になりません。アニメーションはアートなんですねぇ。ブルー・フェアリーさまがお美しくて見とれてしまいました。 ストーリーに関しては、4つのエピソードのつなぎがいいし、内容もバラエティに富んでいて飽きさせません。ジミニー・クリケットの使い方がうまいですね。それまで受け身でいたピノキオが、おじいさんを助けるため自分の意志で出かけたというのがポイントでしょうか。それこそが、作られた人形と生きた人間との違いでしょう。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2016-03-02 20:00:39) |