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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2012
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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121.  白い家の少女 《ネタバレ》 
独特の美的センスと体感温度の低さを感じる本作、ジャンルはサイコ・スリラーになるのだそう。スリラーという言葉から連想される冷たさやミステリアスなイメージは、全てヒロインの弱冠13歳のジョディ・フォスターによって醸されていると言って過言ではないでしょう。13歳というのはロリータぎりぎり最終の年齢。幼いのか理性的なのか、どちらにも揺れる不安定さ。時には「魔性の」と称されてきたこの年頃の少女らの危うい魅力。素なのか天才的演技なのか、判別不可なほど凄い仕事をしているジョディ・フォスターです。 いろんな作品で愛でられてきたロリータたちと並んで、ジョディもあまり笑顔を見せません。意志の強そうな瞳だけど、かと思えばふにゃ、と崩れるもろさも見せて、リン・ジェイコブスもまた正統派のロリータと認定されるでありましょう。(誰に) 惨劇の舞台でありながら、家具の配置や配色が居心地よく考え抜かれた白い家の佇まいも魅惑的でした。 ああそれと、意地悪おばさんもロリコンM・シーンも、いかんなく小物ぶりを発揮してジョディとの格の違いを際立たせてくれました。ある意味グッジョブな人たちでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-02-12 00:01:52)(良:1票)
122.  スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》 
SWファンの個々の想いが熱くて、レビューの熱量が半端ないですね。ワタシは、シリーズ最終章として「これしかない」という着地を見事にキメてくれたと思いますけども。だってスターウォーズってこういうことでしょ。選ばれしフォースの使い手の成長と絶対的な悪、圧制に立ち向かうレジスタンス。圧倒される映像とメカのかっこ良さ。本家本元ep4から6で育った監督の、SW世界観の解釈は極めて正しいと思います。 旧作と比べてちょっとキャラが弱いな、というのが7からの難点だったのだけどカイロ・レンがやってくれました。冒頭に流れる前置きで「怒りにまかせて」のカイロ・レンとあって、相変わらず怒りん坊なんやなーと笑ってしまった。怒れる自分探しのカイロ・レンが、自己承認欲求も吹っ飛ぶほどに女に惚れる最終話となるとは。師であるルークに対しては「ありったけの火炎を放射しろ」と狂犬ぶりを見せていたのに、今回可愛い子ちゃんが相手だとてんで弱い。まあ仕方ないよな。キミのじいさんも恋女房への想いが強すぎてこじらせたわけだから。遺伝やな。心の迷走を立て直すために父親の幻影にまで頼っちゃうとは、まんま中二。 こんなにハートのもろい人物はシリーズ中どこを探しても見当たらない。SW始まって以来のキャラでありますね。ジェダイにも、名を遺すほどの悪党にもなれなかった彼ですが、弱っちいカイロ・レンを今作で大好きになりました。ダメな子ほど可愛いってやつですかね。 今回レイとカイロ・レンの絡みに時間を取られて割を食ったのはレジスタンス側。森の中でモニターを広げながらも何をやってんだかよく分からず。ポーとフィンはストーリーのどたばたサイド担当のよう。レイは必死に顔をゆがめて戦っていても美しいです。 旧作の御三方を出してくれたJ・Jありがとう。ハン・ソロのセリフといえばあの一言。それを息子に伝えに現れたハン。弟子に有用な助言を与えられるようになったルーク。そしてもう本当にラストの、奇跡のレイア姫の姿。 エンドロール、キャスト名の最初に据えられたキャリー・フィッシャー。彼女こそが我らがレイア姫。ファイナルを一緒に迎えたかったと、心から思いました。
[映画館(吹替)] 8点(2020-01-22 18:03:50)(良:1票)
123.  ブラジルから来た少年 《ネタバレ》 
これは、大変戦慄を覚えました。序盤のうちにポリス・アカデミー出身S・グッテンバーグが早々と死んでしまう。彼が主役となって話を回してゆくのだろうと思っていた私は度肝を抜かれました。世界中の94人の公務員の男を殺せという指令の意味不明なことや、世界のあちこちに見つけられたそっくりの男の子等、謎の提示とその解明が予測もつかないし、判って震えるしでサスペンスの一級品と思います。 個人の感想ですけどこの年代の作品て、共通して淡々としたところがあって、今作は人の死ぬ場面がどれも恐ろしい。「ああー、逃げないと殺されちゃうよ!」と思っていたら本当に殺されちゃう。カメラはあまり動かず騒がず、すっ、と殺っちゃうんだ。あまりの生々しさにいちいち「ひっ」とビビります。ダムなんかトラウマになりそうだ。 整形かメイクか、顔に違和感のG・ペックの怪演や、クローンアドルフの男の子ともに不気味でいっぱい。遺伝子と環境の二つを揃えてやればもしかして、と思えなくもない現状も怖い。特に21世紀の今なんか欧州各国で極右政党が台頭してますから、メンゲレ博士の狙いも実現しやすい土壌は十分ですし。怖い。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-01-15 00:11:38)
124.  女神の見えざる手 《ネタバレ》 
終盤に、激震を起こして逆転してみせるヒロインが実に鮮やか。もうびっくりでした。とにかくモーレツなキャリアウーマン・リズにJ・チャステインがばっつりハマっています。見るからに「才女」な冷たい美貌と口を挿ませぬ早口弁論。真っ赤なルージュは彼女の戦闘メイクのようにも見えます。劇中のフェミニストが指摘したように、彼女は男みたい。エスコートを買って性欲を処理するなんざ、まんま男性脳のヒトです。実際、リズのキャラは従来男性のキャスティングが多かった。彼女も本当に男だったらこんなに嫌われることもなかったでしょう。デキる女はおじさん達にとって脅威かつ超ウザいんでしょうね。 銃規制法案をめぐるロビー活動と世論の動き、擁護派vs反対派の暗闘といったメインの流れも息つかせぬ展開ですが、横糸として張られるリズの人格描写も上手いです。右腕だった若いアシスタントが造反したとみるや冷酷に切って捨て、同じチームのスタッフを人身御供としてマスコミにさらす女。(というイメージが制作&リズの戦略のうち、というのが分かるラストもまたスゴイ) 役者の表情も一つ一つに説得力がありました。スタートから仕掛けられていたリズの計略が明らかになった時のマーク・ストロングの呆然とした顔。「なんて女だ」といったところでしょうか。畏れすら抱いているような。観てるワタシも同じ顔してましたわ。 喚問されたエスコート氏が不都合な事実を証言しなかった、そのときのリズの表情も劇中一度だけのもので、印象的です。おそらく勝負師の世界でのみ人生を送ってきた彼女にとって、己の不利益を顧みず庇ってくれる人間に出会うのは初めてだったのではないかな。 全く想定外だったエスコート氏の男気には痺れました。池に落ちた犬に石をぶつける行為はしたくなかったのか、客の秘密は守るという仕事上の矜持を守り抜きたかったのか、そこは判然としないのですが。 偽証罪という法律上のペナルティを被っても己の道徳心に従った彼の天晴れな姿勢も、ラストに引き金を引くリズの背を押したのでしょう。 間違いなくJ・チャステインの代表作になるであろう、見ごたえ充分の一本です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-12-15 23:42:06)(良:1票)
125.  ジョーカー 《ネタバレ》 
アメコミの悪役キャラとして完璧だったJ・ニコルソンのジョーカー。ヒース・レジャー版で彼は顔のペイントも粗い三次元のリアル狂気として現実に現われ、ついにホアキン版では「すぐそこにいる」ジョーカーとなった。 「お前、キモいんだよ」との言葉を投げつけられるアーサー。ブリーフ一枚の痩せた身体を晒し、表情は自信無さげでどたばたした不格好な走り方、的外れな空笑い。鬼気迫るようなホアキンの役作りに、ヒースのように自己を削り過ぎないかと心配になる。 アーサーがジョーカーへと変質し、群集を巻き込んで破壊行動へ向かう、そこにある種爽快に近い快感があるのを否定できない。炎上するゴッサムシティを背景にゆっくりと身体を起こすジョーカーは社会が生んだ悪意の果ての姿。オレンジ色に染まったその画を、禍々しくも美しいと思ってしまった。 ヒース・レジャーのジョーカーはもはや悩んでなどいなかった。絶対狂気の一個体だった。 痛くて無様な己の内面に呑まれて狂気を発症してゆくホアキンジョーカーもまた、伝説となるだろう。
[映画館(字幕)] 8点(2019-10-16 16:13:14)
126.  シグナル 《ネタバレ》 
わあ・・点低い。そんなにだめでした?私はこれ好きです。本国では「D・リンチ的な」との評価もあったそうですが、確かに後引く余韻とか、細部について個々人で考えてしまうあたりとか、うん似てます。 けっこう雰囲気の触れ幅が大きいんですよ中盤までは。恋人との関係に悩む若者の青春ドラマ風にスタートし、POVホラーを挿んだと思ったら近未来SFへと展開します。脈絡無くなんでもぶっ込んで来た脚本だなあと途中までは思っていたのですが、最後にはちゃんとそれぞれが意味のある場面だったのねと納得がゆきます。冒頭のクレーンゲームのシーンなどはその示唆するところといったら、もう。なんせ「リンチ的」なので、二度目以降の観賞の方が趣深く観られます。 ここからネタばれというか、個人的な見解が入るんですが。再会したジャドの分析ってすごく惜しいとこまで行ってたのですよね。エリア51、しかしそれは同名の地球上の地名ではなかった。幻影にくるまれたその偽世界は壮大な実験場。「宇宙のテクノロジーと人間の精神の融合」に失敗した被検体(バグったおばさん等)はおしゃかにされてしまいます。そろそろ知性の高い人間で実験したくなったんでしょうね。でMITを標的にした、と。フィッシュバーンら施設の者たちが防護スーツをすっぽり頭から着用しているのにも、防護とは別の理由があったのだ。放射能が怖いわけじゃなかったのか・・。 秘密が明かされるそのスピードが、文字通りぐんぐん速度を増してゆく。ラスト5分のカタルシスには久々にシビれました。痺れたといえば、理工系男子の放った魂の肉弾戦には胸が熱くなりましたよ。ジャド生きててほしいなあ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-09-15 23:57:19)
127.  ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
ハリーポッターのスピンオフ的なイメージを抱いてましたが、新作としてとても楽しかったです。 魔法世界を描くCG技術には今さら驚嘆すべきものはないけれど、舞台となる1920年代のニューヨークは落ち着いた色彩で纏められており、この雰囲気がまず良かった。 主人公と逃げた魔法動物の追いかけっこを本筋として、街で連続する不可解かつ物騒な事件を横糸に絡ませたストーリーはきちんと謎解きになっていて面白く出来ていると思います。もっとも、真相から目を逸らせるミスリードのプロットはハリーポッターシリーズと同じじゃん、という指摘もありましょうが。 そしてこの映画の一番の功労者はエディ・レッド・メインでしょうな。彼が与えたニュートの造形すなわち動物オタクの優男キャラは100%完璧で、彼以外の配役はもはや考えられない。ハリポタシリーズ後半ではおじさんぽくなってしまって高校生に見えづらかったダニエル・ラドクリフよりも物語の主人公への理解度が高いと思われます。 エディの繊細なことと、魔法動物の奇想天外なことに心掴まれたワタシはそういえばかつてポッタリアンだったのでした。魔法の世界観にノレるタイプには楽しみなシリーズができました。ニフラーにプラス1点。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-07-04 17:10:22)
128.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
人が神の存在を思うときってどんな時だろう。この映画を観て思った。自然が文明を圧倒している場に一人ぽん、と放り出されたら、生死の際にあったら。生きることは神との対話に他ならないだろう。19世紀初頭、人間が自然を克服しきれていない時代では生き死には創造主の意志次第という考え方は人間皆の根底にあったのかも。無神論者のフィッツジェラルドの父親でさえ、飢えの極限で食料となるリスに神を見たのだ。 「自然」、アメリカ北西部の晩秋の森、山河の厳しいことったら。葉が落ちているので木々の間はすかすかで、その空間からのぞく空の青の薄いこと。差す日の光もはかなく白っぽく、でもそれすら恩寵に感じる。生きるために死んだ獣の骨から髄液をすすり、絶命したての馬から内臓を抜き取って身体を収め、吹雪をしのぐ。 生と死がせめぎあう凄まじさを演出した北米の原始のままのようなロケーションが圧倒的。雄大で美しく、気が遠くなるくらいの孤独をもはらんで容赦ない。 先住民は常に生活を神に委ねている。劇中何度もグラスの妻の祈りが繰り返されるように。グラスもついに最後には「復讐は神の手に」任せた。 違う時代と国に生きるワタシにすら神の存在を考えせしめたこの映画の映像の力には感服した。撮影班はまったくオスカーにふさわしい。ディカプリオには「大変よく頑張りました」賞でいいと思うが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-06-06 18:51:37)
129.  雨の日は会えない、晴れた日は君を想う 《ネタバレ》 
人の心ってのは難しい。いやわかりますデイヴィスの気持ちはなんとなく。おそらく彼はずーっと抱き続けてきたのでしょう違和感を。結婚生活に対して、そしてあてがわれた仕事に対して。だって彼は生来「正直が売り」(知人談)の人なのだから。 やり過ごしてきた日常が突然破壊され、どこに自分の心を置いていいのか分からなくなる。だから彼はいったん解体する。モノを。突き詰めれば自分の心を。もう一度構築するために。 なんて感覚の鋭敏な人だろう。彼は義父母のように「普通に」妻を追悼することができない。だって彼らのやってることは欺瞞だもの。義父母の娘は彼らが思いたいほど清廉ではなく、事実デイヴィスへの裏切り行為が最悪の形で発覚するし、ついでに義父の選んだ「人格品行方正な」奨学生は初対面のナオミ・ワッツに手を出す最低野郎だというシマツ。ああなにもかもが嘘っぱち。 だからデイヴィスは壊すのだね。ぺかぺかの居間を、豪勢だけど空疎な家を。 心バランスを失って「変人」すれすれの行動に及ぶ主人公はジェイク・ギレンホール。彼はこういう役をやらせると天才的に上手い。 デイヴィスと心が共鳴し合う15歳のナオミの息子を配したのは心憎い脚本でありました。映像もキレイです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-05-30 17:35:00)
130.  沈黙 ーサイレンスー(2016)
原作未読なのですが、ああこれはむごい場面に耐えなきゃならない映画だろうなあとの予想通り、迫害される切支丹たちの姿がてんこ盛りの中盤までの長いこと。つらい。 空気ががらりと変わってくるのは中盤以降。イッセー尾形演じるイノウエ様の意外や滋味溢れる人格や、役人のくせに私情をだだ漏れさせる浅野忠信の人間味が観る者にじわじわと来ます。そして真打ちリーアム・ニーソン登場への展開はまさに一気呵成、流れるような脚本力でした。 私が瞠目したのは日本人の生来の信仰概念を西洋人のそれと比較し、違いを指摘してみせたフェレイラ神父の分析力です。信仰という一筋縄では解析できない難解な心のありようを説明する、その言葉に説得力を持たせるには苦悩が知的に顔に刻まれた役者L.ニーソンでなくてはならなかった。ほんとそう思いました。着物も似合ってましたし。 そして特筆すべきことに、外国人監督による日本舞台の作品でありながら本作は目に違和感を覚えることが一切ありませんでした。西洋人のフィルターを通したばかりに細かいところで突っ込みを入れたくなる作品がごまんと存在しますが、スコセッシ監督は井上の屋敷においても上座を一段高く上げて床の間の壁を真っ赤にしつらえ、でかい甲冑を置くなどというミステイクはしませんでした。百姓らの着衣、町人の風俗、小物、街並。とりあえず私の日本史認識レベルでは「これはどこの国だ」というストレスを感じず観賞することができたのは、大変ありがたいことでした。 音楽を排し、せみの声や波音だけを耳に残すことで静寂を感じさせる。日本の情感を丁寧に表現した監督に敬意を表します。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-30 12:37:31)(良:1票)
131.  潮風のいたずら
いや上手いなあゴールディ・ホーンが。富豪夫人を演ったらはっきりしたんだけど、彼女キツ目の美人なんですよね。劇中、29歳の設定でも違和感の無い美貌の持ち主(このとき42歳!)ながら、コメディエンヌを自然体でこなします。ギャグを受け止め、ある時は投げ返すといった身体動作がなめらかなのです。大きな口と良く動く目もコメディエンヌには大切な要素ですし、前述したように綺麗なので日本の女お笑い芸人らが不細工を売りにするがゆえの痛々しさとも無縁です。野暮ったいカート・ラッセルをも包み込んでしまう彼女の懐の深さも合わせて感じられ、観ててほんとに気持ちよく、あははと笑ってさっぱりと楽しい気分になるコメディでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-10 23:03:17)
132.  渚にて 《ネタバレ》 
淡々としながら、根底に絶望感が嫌というほど漂っていて、それは人物らがつかの間釣りをしたり、レースに興じたりしている間もしっかり意識にこびりついて、なんかとてもざわざわする映画でした。怖かったです。 放射能=死が迫っているのに皆落ち着いているように見えるのは、この時期は「パニックにひととおりなった後」を描いているからでしょう。おそらく人は生の期限をばくぜんと知らされても、朝コーヒーを入れ、制服に着替えて出勤し、傾いた額をいちいち直すのだろう。絶望と、ほんの少しの希望を抱きながら。こんな諦念を抱えた人々の、半分しか生きてないような表情が辛い。 無人のサンフランシスコやコーラの瓶とブラインドが打電するシーンなど、サスペンスとしても一級の演出が強烈でした。 G・ペックとA・ガードナーが恋情を昂ぶらせる場面は二人を大映しにする画が往年のメロドラマみたいでちょっと興ざめしましたが。 刹那的な恋愛を挿みながらもラストはきっちりと非情に幕を閉じました。なかなかシビアな監督です。「まだ時間はある」の幕が切ない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-11-11 18:02:11)(良:2票)
133.  ゲッタウェイ(1972)
とてもペキンパーらしい一本。といっても、ペキンパーの代名詞”暴力要素”はさほど強くないです。この監督さんは人物の描き込みが丹念な作り手でもあるのです。彼の手により立ち上がる人間ドラマの濃密なこと。”追っ手”である殺し屋側のディテールをこんなに細かく撮るバイオレンス映画はあまり見かけません。崩壊する獣医夫婦の顛末は悪趣味で残酷で、ペキンパー臭が強烈に漂います。 もちろんメインで描かれるのはマックイーン演じるドク・マッコイとその妻。マックイーン起用で目くらまし効果になってるけど、ドクのキャラはそれほど理想のヒーロー型じゃない。妻の(戦略)不貞をいつまでも引きずり、水鉄砲をイタズラしてくるガキにキレ、荷物を上げてくれという婆ちゃんには舌打ち気味。(ちなみにここで披露されるマックイーンの腕力がまたかっこいいんだ) むしろ「竹を割ったよう」なのは奥さんの方で、「あんたを助けるためならテキサス中の役人とだって寝るわ」と言い放つ。対してドクは「テキサスは広い」とかへんてこな防戦一方で、埒の明かない口論の末「別れる」とかってヤケになる。二人ゴミまみれになりながら、「何なのいつまでもうじうじして」と嫁に一喝され、「もう忘れる。約束する」とちょっとしゅんとなるマックイーンはほんとにキュートで、いやショットガンを構える姿はもちろん満点のかっこ良さなんだけども、”ダメな部分”もちゃんと見せるその愛嬌が彼の魅力だよなあ、と改めて思ったりしました。
[DVD(字幕)] 8点(2018-08-07 00:54:00)
134.  さらば冬のかもめ 《ネタバレ》 
ジャック・ニコルソン、いい年して悪童そのもの。この役は彼にしかできない。ほんと唯一無二の役者である。 世の中は厳しくて冷たくて理不尽で、R・クエイド扮する世間知らずの新兵には辛すぎる。人生の先達として、ニコルソンくらいの破天荒ぶりが荒療治として効くのかもしれないねえ。もっとも、最終的にはこの若者を世間から隔絶させるための旅をしているわけなので、そこがもう切なくやるせない。それに天気もずっと曇りっぱなしなんですよね、この映画。 昼から飲んで、ケンカを吹っかけ、有り金をダーツに賭けて(しかも勝つのかい!)、同僚にどやされて若干神妙になったりのニコルソン。母親に会わせてやろうと骨を折り、童貞卒業の面倒を見、何やってんだオレら、と不貞腐れながら冬の公園でソーセージを焼く。私はこのダメなおっさんが大好きで、彼ら3人の短い旅が少しでも長く続くよう願わずにいられなかった。驚きのない、現実的なラストを迎えてしまうのだが。音楽が妙に軽く、それもまた印象的な寒色の映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-07-15 23:39:04)
135.  ザ・ギフト 《ネタバレ》 
銃声も響かないのに、この見事なサスペンスぶり。人間関係にもやもやたちこめる緊張感。疑念に次ぐ疑念で、観る者の判断を揺さぶる、J・エドガートンの手腕はとても高いと見ました。なにしろ108分間、頭の中は「えっ」「はっ?」「ええーそういうこと?」で一杯になりましたから。 起承転結がお手本のようにキレイにきまってます。 (ネタばれします) 起 若夫婦が新居に越してくる。夫の昔なじみに会う 承 昔なじみ、正体不明の不気味さをかもす 転 ”どうかしてる”のはゴードでなく、サイモンでは?という怒涛の展開 結 父親は誰なのか。皆さんの御想像におまかせ さて、こちらにボールを投げられて、後味はまったくもやーっとしたお話なのですが。各キャラそれぞれにちょっとづつ誰でも身に覚えがありそうな怖さをはらみます。高校時代にサイモンだった人、ゴードだった人、あるいは取り巻きだった、または傍観者だった人。感想はそれぞれ違ってくるのでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-23 23:36:53)
136.  泳ぐひと 《ネタバレ》 
うわー、こんなに”シュールの完成度”が高い映画がこの時代に作られていたとは。内包する悪意が、展開が進むにつれじわーと滲み出てきて、ちょっと中毒になりそうである。観た後引きずる引きずる。 町山氏の解説どおり、バート・ランカスターの撮り方が前半と後半では全く違う。輝くような若々しい肉体美がしょぼくれた中年の姿になってしまうとは一体どういうカメラマジックだろうか。 しょてからしまいまで海パン一枚のおっさんが人ん家のプールを泳ぎ継ぎながら自宅へと向かうお話。こんなわけのわかんないあらすじを聞かされたときは中身についての予測は一切不可能でしたね。 今でいう”セレブ”たちの空騒ぎへの冷たい視線、一人の男の破綻した人生をこんな風に描くとは、この監督よほどの変人か空前絶後の天才か。いずれにしろあっぱれ。忘却不可のカルトムービーですな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-20 00:13:51)(良:1票)
137.  ロングトレイル!
ああー、しみじみと良い気持ちになりました。年をとっても魅力的なレッドフォードとN・ノルティ、それぞれのキャライメージをそのまんま老境の地に持ち込んでの展開は説得力ありまくり。優等生とやんちゃ坊主の無謀な冒険。 舞台となるアパラチアン・トレイルが生命の息吹みなぎる森でして、枯れた二人とのバランスが意外と良いのでした。旅の途中で出会う人々も強烈な個性だったり。そんなアクの強い出会いをさらりとやり過ごす術は老練そのもの。多くは語られない二人の過去も、もはや蒸し返してどうこう、という境地ではないのでしょうな。ちょっとわだかまって、でも水に流す。この二人の演技がね、実に良いんです。自然で笑えて。老体に鞭打って歩き続ける二人、緑美しい大自然。素敵です。”老境になっていろいろやってみる”作品はいっぱいありますけど、ベガスで騒いだり世界一周したりするより、この映画の方が好きです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-18 23:35:06)
138.  ミルドレッド・ピアース 《ネタバレ》 
製作年を見ると古典といってもいい位に感じますが、これがちっとも古びてない見事な脚本力ですねえ。冒頭のいきなり撃たれる男、訳有り気味の女、死体の有る屋敷に騙し置かれる男・・、もう掴みは満点、わくわくしますね。警察署で始まる回想シーンからラストに至るまでは一気呵成に見せきります。 各人物の性格を紹介するエピソードや台詞が実に巧い。性悪長女の性格描写は特に抜きん出ており、母親を見下すあまり黒人のメイドにパート先のウェイトレスの制服を着せるなど、震撼しました。母バカのあまり、娘を甘やかしスポイルしてしまうミルドレッドのキャラクターも面白い。男に足をすくわれる女の話はいくつもありますけど、自分の娘で破滅する母というのも珍しく感じました。基本、ミルドレッドはじめ長女もレストラン経営の助っ人友人女性も、皆意志が強い。女が強い映画なのです。この時代にねえ。男3人みんな彼女らに押し負けしてしまってますね。 舞台劇のように役者の喜怒哀楽の芝居がややハッキリしているのですけど、これがモノクロの画の中ではとても観やすい。上質なサスペンス映画です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-03 00:01:07)(良:1票)
139.  飛べ!フェニックス
面白かったです。タイトルから受ける爽やか青春モノのイメージとは地球半周くらい遠い、武骨な男達のサバイバルストーリーでした。ほんと、邦題もう少し重厚なものになんなかったかな。 突然の事故、生命の危機、錯綜する人間ドラマが次々と畳み掛けるように展開し、見てるこちらは身を乗り出しっぱなしでした。 「デキる」名優らを勢揃いさせ、惜しみなくストーリーから消してゆく。こういう怜悧な演出は印象も強烈に残り、このへん「大脱走」が頭をよぎります。アッテンボローもいるしで。(ちなみに彼は今作では副官に甘んじておるのですが、常にJ・スチュワートの意見を伺う自信の無さがかの脱出隊長とは間逆のキャラクターで、もうつくづく演技達者です) 命の瀬戸際にやられた時に露見する人間性。卑怯者もいれば崇高な者も、尊大な者も愚か者もいる。砂漠の中での人間模様に加え、”外部の敵”まで抜かりなく用意されてまったく息が抜けません。技術の低いCGに頼ったりしていない分、映像も製作年から想像されるほど古臭くなくリアリティを保っています。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-04-14 01:08:52)(良:1票)
140.  モダン・タイムス
「機械化された経済社会への風刺」というのが有名な評価だけど、そこはほんの前半だけなのですね。舌鋒鋭い風刺作、というよりはむしろチャップリン十八番の、ほのぼのと元気づけられる作品に感じました。それに名曲"smile"の原典がチャップリン作曲で、この映画にあったとは。なんという多才な喜劇王か。 長引く不況下、必死に生きる庶民の姿は笑いにまぶしてはいてもやはり哀しい。でも実に屈託無く、起き上がりこぼしのようにめげないチャップリンに「元気を出して。笑って。」と言われて、劇中の彼女と同じく励まされる人はたくさんいることでしょう。ラストの二人の後姿は涙腺がじわじわきたせいで、ぼやけて見えたのでした。
[DVD(字幕)] 8点(2018-03-28 00:41:21)
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