141. ヴィクトリア女王 世紀の愛
《ネタバレ》 ヴィクトリアが王位を継承して、結婚するあたりまでのお話。最後まで見るとヴィクトリアとアルバートの恋愛が中心のように思えるのですが、実際は政治的な話も多く、ちょっとポイントが絞りきれなかったように思います。あの2人は、結婚までは直接会う機会はむしろ少なく、手紙のやりとりが多いというのは面白いです。ヴィクトリアの若さゆえに愚かなところも描いており、それに関連してのアルバートとの関係などは、うまく作ってあったと思います。まあなんにせよ、『至上の恋』よりはよっぽどマシでした。ただし、最後の主題歌はもう少し考えてほしかったです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-19 19:58:04) |
142. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 2D字幕版で鑑賞。正統派のモンスター映画で、かなり楽しめました。ただ、タイトルがゴジラなのにムートー中心でゴジラの出番が少ないことが、やや不満。そのせいかどうか、「これ、別にゴジラでなくてもいいんじゃない?」とも思えます。ムートーとは逆に、生態がほとんど説明されていないので、実質「正体不明の存在」ですが、デウス・エクス・マキナとしては、それでもいいかと思います。あっさり核爆弾を使うのがいかにもアメリカ的で、正直いい気持ちはしませんが、これは特にゴジラ映画だからというわけではなく、どんな映画でも一日本人としてそういう思いを抱くことでしょう。 以下余談。当サイトでの低評価のレビューを読んで、ゴジラ映画が日本でダメになった理由がなんとなくわかりました。ゴジラというものに固定観念を持ちすぎなんですね。どうも近年、60年前の第1作をことさらに持ち上げる、ある種神格化するような気配が感じられますが、個人的には賛同しかねます。たしかにあの映画は傑作だと思いますが、それがゴジラのすべてではない。日本のシリーズ自体、『キングコング対ゴジラ』以降の娯楽路線や、東宝チャンピオンまつりでのヒーロー化など、時代と状況に合わせてゴジラ像が変化してきました。それが当然でしょう。だから、いつまでも第1作にこだわっているというのは、いいことなのか。ミレニアムシリーズはことごとく第1作を前提とした物語になっているようですが、それは大きな問題ではないのかと思います。 やはり2010年代には、その時代にふさわしいゴジラ映画が作られるべきでしょう。本作は、その一つの例をきちんと示してたという点で、高く評価したいと思います。 原発の崩壊や津波の場面など、製作側としては日本での公開にいろいろ思うところがあるのかもしれませんが、こういう映画を作ってくれてありがとう。東宝チャンピオンまつりで育った世代の日本人から、お礼を申し上げます。 *東宝チャンピオンまつり世代というのは、1969年から1975年までの間に、昭和ゴジラ映画の大半を劇場で見たわけで(リバイバルは短縮版ですが)、今振り返るととすごい経験をしたものだと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2014-08-13 20:13:01)(良:2票) |
143. マックィーンの絶対の危機(ピンチ)
《ネタバレ》 やはり個人的には『人喰いアメーバの恐怖』という方がピンと来ます。かなり久しぶりに見ました。字幕で見るのは初めてですね。 低予算B級映画で、そういうのは嫌いではないのですが、これは残念なところが結構ありました。まず、本筋に関係のないスティーヴと仲間たちの会話が結構長い。つまり、時間稼ぎが多いということです。そのおかげで、前半はかなりモタモタした印象を受けてしまいました。あの辺はカットしてもよかったと思うのですが、短すぎて映画として成立しなくなるかもしれませんね。あと低予算ということで、映像的には見どころが少ない。怪物が人を襲うところは、暗い上にあっという間に場面が切り替わって、なにが何だかわかりません。クライマックスのレストランが燃え上がるところもまったく映さないし。警部の顔をながめてもしかたがないですね(かわいい女の子ならともかく)。 ということで、覚えていたほど面白いとは思いませんでしたが、アイデアはいいと思いますし、怪物がちゃんと映っているシーン自体はよくできていたと思います。最後も気が利いています。 あと、主題歌が脳天気で笑ってしまいました。これがいちばん意外だったかも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-08-12 20:44:21) |
144. ツイスター
見終わってからクライトンが噛んでいると知ったのですが、なるほどそれっぽいですね。基本的に映像・アクションを見せる映画なので、テレビだと少しキツイのですが、なかなか楽しめました。 ドラマ性は薄いのですが、ジョーのチームがバカみたいに陽気で元気だったり、悪人を登場させないことが(「嫌な奴」は出てきますが)プラスに働いていたと思います。短気なビルに少々イライラさせられたものの、作品全体としてはああいう人物でよかったかもしれません。 あまり固いことを言わず、気楽に楽しめる娯楽映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-21 17:48:14) |
145. ケイン号の叛乱
《ネタバレ》 海軍での問題艦長というと、ホーンブロワー・シリーズを思い出します。本作はかなりいいできだと思いますが、最後に結局「部下に問題があった」とするのは、どうなんでしょう。どうせなら、クイーグが精神を病むに至った「海軍艦長」という職責そのもの、つまり軍の体質そのものを問題に挙げてほしかったところです。とはいえ、問題のある上司というのは現代の社会でも通用する話なので、そういう点では示唆に富んでいると思います。キースの恋愛がいかにもおまけという扱いだったのも残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-07-17 19:21:18) |
146. 鳥(1963)
《ネタバレ》 改めて見て、こんなのだったかという印象。鳥が人間を襲う場面は実は一部で、それ以外のドラマ部分が結構あります。特にリディアの設定が暗示的なのですが、それが暗示だけではっきりしないのが、どうにも歯がゆい。「父性の喪失」みたいなものも関係しているのかもしれませんが、よくわかりません。 とりあえずは、鳥が襲ってくる場面だけでも見どころはあります。ただ、今の機器で見ると合成だということがはっきりわかってしまうのが、少々残念。それでも、技術的にはたいへんすばらしいとは思います。それにしても、メラニーをわざわざ電話ボックスに閉じこめて撮るなど、あざとい気もしますが。エヴァン・ハンターのシナリオがどうにも理屈っぽくて、襲撃のアクションとかみ合わず、サスペンスを削いでるように思われました。 ちなみに原作も読みましたが、こちらもかなり不気味。特に最後は、小説の方が勝ってます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-13 16:26:17)(良:1票) |
147. 狼たちの午後
《ネタバレ》 評判通りかなりよかったです。どの程度実話に基づいているのか知りませんが、前半はけっこう笑えるところが多いです。ソニーとサルのドジコンビぶりが面白い。後半、対応がシェルドンに代わってから、少し雰囲気が変わってきます。銀行強盗を扱っていながら、当時の社会問題があぶり出される構図もうまかったです。本作では社会問題に対する批判を声高に叫ばず(ソニーは叫んでましたが)、ユーモアも含めた皮肉な視点で捉えているのがよかったと思います。ソニーが思いがけずヒーロー扱いされるあたりが、かなりいい。ソニーを殴りつけた男が逮捕されてソニーが無事というあたりも、かなりおかしみのある皮肉ですね。 ラストは、終始喋りまくっていたソニーが沈黙するという演出で引きつけます。雄弁よりも印象的で効果のある沈黙でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-07-07 20:10:24) |
148. コレクター(1965)
《ネタバレ》 この映画、やはりテレンス・スタンプに尽きますなぁ。あのイっちゃった目つきがこわい。「愛している」と言いながら、相手をたいして信用せず支配しようとするのは、結局愛しているのが自分自身だけだからでしょう。題材からすると下世話な話にも持って行けますが、サリンジャーやピカソを使ってハイブラウな雰囲気をかもし出しています。原作者がイギリス人であることを考えると、イギリスでの階級間の違いが表現されているのかもしれません。そういったあたりにも文芸的な香りがして、俗なショッカーとは一線を画していたのが、ひとつの魅力でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-06-24 22:14:21)(良:1票) |
149. 刑事マディガン
《ネタバレ》 同時期の刑事物としては『ブリット』や『フレンチコネクション』がありますが、それらと同じリアル志向の作品。しかもその点では、この2作を上回っています。警察官をあくまで人間として描き、家庭での問題を扱っています。生活人としての描写は『ブリット』にもありましたが、本作の方が扱いが大きく、むしろ作品のテーマとなっているフシがあります。愛妻家のマディガンに対し不倫をするラッセルという具合に、それぞれの対比もうまくつけてあります。派手なカーチェイスもなく、リアル派としてはハイレベルに仕上がっています。 あと、マディガンに誤った情報を流す男のエピソードが印象的でした。淋しさからニセ情報を流す男、それを知りつつ「また頼む」と酒をおごってやるマディガン、男気を感じさせるいい場面です。そのマディガンも、家では妻に手を焼く普通の夫であり、この公私の違いが彼をよりいっそう魅力的に見せていました。なかなか秀逸な、「刑事を主人公とした人間ドラマ」でありました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-30 22:24:39) |
150. 未知との遭遇/ファイナル・カット版
《ネタバレ》 オリジナル版は公開時に見ましたし、その後テレビ放送でも見たはず。しかしその後スピルバーグに対する関心がなくなったので、『特別編』は見ていません。ということで、久しぶりの再見だったわけですが、かなりのシーンを覚えていました。見る前は忘れていたと思っていたのですが、いざ始まると見覚えのある場面がゾロゾロ。やはり若い頃に見た映画の方が、強く印象に残るようですね。 さて、再見してまず思ったのは、ストーリーがあってないような映画だったんだな、ってこと。むしろ映像を楽しむ作品で、そういう点は非常に成功していると思います。むしろ30年以上前によく作ったなと思いますが、もしかしたらリマスターされたりしているのでしょうか。 一方、バリー坊やが連れ去られるあたりの演出が昔の怪奇映画もどきで、そぐわない感じ。スピルバーグの趣味が出たんでしょうが、やり過ぎで全体から浮いているという気がします。また、ロイがデビルタワーの模型を作ろうとする場面も、かなり極端な描写になっています(窓から流しに押し込むというのがどうも……)。これは最後の展開に合わせるために必要だったのでしょうが、やはり無理やりで浮いてるという感じ。こういうあたりが残念でした。それにしても、あのラストはウルトラQの「あけてくれ!」と同工異曲だったようですね。 ということで、多少不満は残るものの、子供の頃UFOや超自然現象関係の本に親しみ、木曜スペシャルの矢追純一番組を心待ちにしていた世代としては、無下に低い点数はつけられないものです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-05 11:18:33) |
151. 8月の家族たち
《ネタバレ》 某映画館の割引チケットを持っていたのですが、いつまで待っても見たい映画がかからない。これならまだ見られるかと思ったのですが、思いっきり地雷でした。もう「千円返して~♪」と歌いたい気分。 家族の間の不毛な言い争いを見せられただけでしたね。しかも話が進むにつれて、次から次へと問題が明らかになる。ここまで連続すると、ご都合主義もいいところ。私がもっとも嫌う「不幸のバーゲンセール」系の作品でした(ただし本作では、不幸というのはちょっとニュアンスが違いますが)。これなら、ワイドショーや週刊誌のネタにされてる話の方が、まだしもと思います。とにかく登場人物ことごとくに親しみが持てないし、他人事ととしては、まったく興味のない話ばかりが続きました。 これを見て高く評価しそうな人は、主に2種類に別れるでしょう。作中人物と同じような経験をして“身につまされる”タイプか他人(特に親族)が問題を抱え、罵りあうのを楽しむ“他人の不幸は蜜の味”タイプか。幸いにも、私はそのどちらでもなかったようです。 それと、これは「コメディ」なんでしょうか? アメリカ人はこれを見て笑ったりするんでしょうか。まったく理解できませんね。笑ったりするのだとしたら、背中になにやら薄ら寒さを感じます。 [映画館(字幕)] 5点(2014-05-01 11:03:52)(良:1票) |
152. エル・シド
《ネタバレ》 カトリックのスペイン人とムーア人との争いかと思ったら、キリスト教徒同士で延々と争っていて、なんだかなぁという感じ。しかも人物の思考経路が単純すぎて、行動が短絡的に思われます。恋人が父の仇とか、けっこう複雑に悩む状況だと思うのですが、そういうところは見られません。そのあたりが、私にはむしろ「アメリカ的」と映りました。この単純さのため、話はわかりやすいですが深みが感じられず、重厚な歴史大作風ですが、いくぶん薄っぺらい作になってしまいました。戦闘場面はなかなか見せましたが。 出演者では、ソフィア・ローレンはさすがにスターの存在感がありましたが、それよりもジュヌヴィエーヴ・パージュの王女様が印象的でした。ミクロス・ローザの音楽はさすがに『ベン・ハー』を連想させすぎて、悪くはないですがちょっとどうかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-30 10:57:48) |
153. エリザベスタウン
父親の物語なのか、恋愛の物語なのか、そのあたりがはっきりしません。欲張ってあぶはち取らずになった感じ。コメディとしても、特に笑えたわけではありませんし……。スーザン・サランドンのタップダンス(というか、ほとんど盆踊り!)のように、部分的にはいいところがあったと思いますが、全体としてはマイナスが多いです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-04-16 21:42:48) |
154. フライド・グリーン・トマト
《ネタバレ》 いかにもって感じの女性(特に中高年)向き映画。お話としては悪くないし、まあ普通に見られましたが、特に魅力に感じるところもなし。一応コメディとされていますが、笑えるところは全くなかったです。それにしても、黒人が男女問わずことごとくいい人で、悪役が白人男性ばかりというのは、なにか政治的な意図でもあるのでしょうか? あと、過去の物語と現在の話とのリンクがいまいちよくわからなかった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-11 21:52:34) |
155. JAWS/ジョーズ
サスペンス/アクション映画として、なかなかのできでした。市長やクイントの人物造形がありきたりだったりしますが、そのあたりに凝らずストーリー展開と演出でうまく見せていました。市長の対応など、金もうけ主義への批判にも使えますが、そういうところを無視して娯楽に徹したのが成功していると思います。スピルバーグに深みのある人物描写を期待しても、無理というものでしょうし。原作での鮫は普通の生き物として扱われているようですが、それを怪物的な存在に変更したところもうまい。 それにしても、あの鮫は作り物のはずですが、「動物」でいいんでしょうか(笑) [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-03-24 22:05:57) |
156. あなたは私の婿になる
《ネタバレ》 コメディとしてはいまいち、でした。ストーリーとしてはパターンながらしっかり作っていて、特に2人の心理の変化はていねいに追っていたと思います。しかし、いまいちこれというところがない。ワサビを抜いた寿司のように、それなりにおいしいけれどピリッとしたものがほしいところ。ストリッパーとか調査員とか、適役になりそうな人物は登場したと思いますが。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-02-27 22:18:46) |
157. バファロー大隊
《ネタバレ》 法廷での軍事裁判が舞台となっていますが、重要なのはそこで扱われている事件そのものではなく、最初はついでのように思えたアパッチ族襲撃をめぐるあれこれ。この事態への対処を通して、“高潔さ”とは何かを扱っているように思われます。その高潔な人物というのが黒人であるということが、さらなるポイントでしょう。こうした設定がうまいし、襲撃事件と裁判との有機的な結びつきもすばらしい。単にアパッチ族の件だけでなく、裁判で扱われている事件を加えることによって、テーマがいちだんと際だつようにできています。このテーマを考えれば、原題が"Sergeant Rutledge"となっているのもうなずけます。最後の解決があっけないですが、あれこそ裁判が最重要ではないということを象徴していると思います。巧まざるユーモアにあふれているのも魅力でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-24 22:50:05) |
158. キング・アーサー(2004)
《ネタバレ》 最初の戦闘は各騎士の紹介のようなものですが、それぞれ戦い方に特徴があって、まるで戦隊ものみたいな印象を受けました。そのためかどうか、なんだか安っぽい映画だなぁという感じ。悪役のマーリンがいかにもという雰囲気で、かえってがっかりです。なぜ「魔法使い」と呼ばれているのかも不明でした。自由とか平等とか、いかにもアメリカ人好みの要素を重要ポイントに使っているのも安っぽさの一因でしょう。それにこの内容なら、別にアーサー王でなくてもかまわないという気がしますし、“伝説”のアーサー王物語の方が、よっぽど面白いと思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-01-20 22:14:10) |
159. 尼僧物語
《ネタバレ》 題材的にはしかたがないのかもしれませんが、やはり地味。それでも序盤の修道院生活など、キリスト教に関する部分は興味深く見ました。宗教的な戒律を守ると人間的な生活が送れないのではないかという二律背反のもと、苦闘する主人公の姿はよく描けていたと思います。特に、捨てられなかった金の万年筆がまぶしい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-01-04 20:38:11) |
160. クレイマー、クレイマー
《ネタバレ》 原題はクレイマー対クレイマーですが、この勝負はフェアではありません。明らかに妻の方にハンデがある。夫が仕事にかまけて家庭を顧みず、その結果家を出たということですが、その頃の状況は話に出るだけで描写されず、具体性に欠ける。妻の悩みも見ているこちらにはほとんど届きません。その一方、出て行かれた夫は慣れない子育てに苦労したり、子供と心を通わせたりということが山ほど描かれている。これを見れば夫に肩入れしたくなるのが普通でしょう。こんないびつな話では、とても感動などできません。製作者(原作者?)は、「自立しようとする女性」を皮肉ろうとしているのでしょうか。肝心なところで夫がクビを言い渡されるのもあざとい。「夫も子育てなど家事を負担すべき」と主張したいのであれば、かなり失敗していると思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-12-30 22:34:33) |