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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2012
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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141.  ラスト・ショー 《ネタバレ》 
50年代のテキサスが舞台。舞う砂埃。プールバーと映画館だけが娯楽という田舎。そして若者はやっぱり閉塞している。狭い共同体の中でせっせと恋情をもよおし、だけど色恋沙汰では未来は拓けない。お金持ちで美人の女の子は都会へ行くし、友人は軍隊へ。頼れる先人は死んでゆき、澄んだ魂の知的障害の子は無残な最期を迎える。膠着した現実を打破できぬまま、一人取り残されたソニーが向かうのはかつて不倫してたコーチの妻であるオバサン。なんてこった。こんなにやり切れないものか青春て。苦い苦いどこまでも。 この後アメリカはベトナム戦争を経験し、80'バブルもやってくる。ソニーはその頃どうしていただろう。 21世紀の今格差は広がり、アメリカの田舎の若者は車も持てなくなっている。繰り返す時代の流れ。71年当時に20年前の世相を描いたこの作品は全く不変の青春を見事に切り取ってみせ、少しも色褪せていない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-02-16 17:57:25)(良:1票)
142.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
キングスマン、大好きです。楽しみにしながら映画館に出向いて、楽しかったー、と帰ることができました。今作もキレキレの音楽と、趣向を凝らしたブリティッシュな武器の数々にはうっとりしました。 ただ、やっぱり続編は風呂敷を広げがち。舞台は広範囲、人も格段に増えました。私は”英国風”センスが好みなので、アメリカ側にやたらと人物が出てくるのはちょっとうるさかった。チャニング・テイタムなんて、わりとすぐ冷凍になっちゃうしと思ったら、ウイスキーなんて代わりの駒が出てくる。んん?テイタム一人で押しても良かったんじゃないかい? 再会できると思ってなかったハリー、まあその無茶蘇生ぶりは置いとくとして、やっぱり嬉しいし、ジュリアン・ムーアも超絶怪演。死に際もコワイ。エルトン・ジョンの仕事っぷりには脱帽だ。どこまでが素なのやら、すごいおっさんだ。笑わしてもらったー。 主人公とその彼女のキャスティングが、個人的にぴったりこないのが前作からの難点なのですが、なんたって脇が磐石ですから。コリン・ファースにマーク・ストロング、お二方の英国紳士なスーツ姿が美麗なことに変わりなく、脚本の疾走感(と悪趣味センス)も衰えてはおりません。
[映画館(字幕)] 8点(2018-01-12 00:39:08)(良:1票)
143.  ロッキー・ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
“5”で散々な評価だったロッキーシリーズだけども、6作目に当たるこの“ファイナル”は良い。とてもとても良いです。何故って、ロッキー・バルボアがそこにいるからです。いつぞやの、全然そぐわない豪邸住まいなどではなく、古アパートの一室にやもめ暮らしのロッキー。昔なじみを無理やり思い出巡りに付き合わせ、経営するレストランでは客のリクエストに応えて何度でも同じ話をし、かつての知人の苦境にお節介を焼く。この朴訥さ、垢抜け無さ、ああかつてのロッキーその人だ。もちろん年月は過ぎていて、エイドリアンもミッキーももういないし、息子もナサケ無く育ってしまった。だけど、ここにきて、この年齢になって、欠けたピースを埋めなおすべくザ・ロッキー・ストーリーが幕を開けるのです。 息子の年ほどの現チャンピオンに勝ってはさすがに鼻白むし、かといってロッキーがダウンする姿など世界の誰も望んでいない。ここらの、客の期待のほどを巧くさじ加減した脚本はなかなかです。観終わってのこの胸の熱さは一作目にも劣らず、何枚もティッシュを浪費しながらワタシはふるふると感動したのでありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-12-04 00:29:30)(良:1票)
144.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
TVにおいては映像こそが力。より臨場感を伴って、刺激的であればあるほど価値が上がる。一応「視聴はご自身の判断で」とか言って流す責任は取らないのもヤラシイ。こんなTV局のディレクターらも相当イっちゃってるんだけども、怪物ギレンホールに比べりゃまだまだ。目ばかりギョロギョロ大きくて薄っぺらな笑みをふりまき、御宣託めいた理屈をまくしたてる。ジャンクワードをつなげてるだけなんだけどな。 こいつの冷やっとする人間性の欠落した感、もうギレンホールが凄い。事故に遭った同業者をカメラに収める時の、その何の情も無い顔、暗い目。悪魔かと思う。この場面、担架で運ばれる負傷者の目線で描かれているので殊更ルイスの非情さを感じる。 一人でTVを見て笑い、繕い物も一人でやる。いつも一人。相棒を募っても本物の仲間になんかなれっこない。こいつは他者に与える情なんか持ち合わせていないから。警官が人間らしい怒りを向けても、女性ディレクターが特ダネに感謝を寄せても、いつもニヤニヤして一人でぬるん、としている。あー気分悪い。ナイトクローラーとは良く言えている。闇に徘徊する暗い生き物、できれば人生で出会いたくないものだ。だけど私も「刺激的な」画を求める視聴者の一人。ルイスばかりを悪く言う資格はない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-10-18 00:02:56)(良:1票)
145.  悪魔のいけにえ
絶叫ホラーの原典にして完成形。血も涙も無い殺戮っぷりといい、その理不尽さといい、ひと安心から急転直下するエゲツ無さといい、後世の追随を許さぬ完成度である。 画が、80’以降のホラー作品のような小奇麗さが無いんです。そこはかとなく、あるいははっきりと小汚く不潔。猟奇犯らの家の凄まじい禍々しさ、ピックアップトラックのきったないこと。さらに言うと被害者若者5人の乗るバンも後部荷室はごちゃごちゃとリアルに汚らしい。この“不潔”が視覚に訴えるリアリティですが、この要素が稼ぐホラー度はかなり高いと言えましょう。 音楽が無いのもまた特徴的というか、中盤以降はほぼ全編女優の絶叫声のみでお届けされるので音楽なんか流されても聞こえないのであるが。彼女、大絶叫続きで喉は無事だったろうか。 これだけ語り継がれる傑作ならば、ホラー映画に州の金を投入されたテキサス州民も納得であると思われます。
[DVD(字幕)] 8点(2017-10-10 00:19:19)
146.  バウンド(1996)
全員知らない俳優ばかりだ。しかも視点を置くのがレズビアンかあ。と、「客の共感」を得るにはなかなかハンデを負った作品かと思うのに、これがすごく面白いんですね。手には汗、緊張で目は充血の108分。 開けるのか、やめるのか?のスーツケースネタで引っ張ること引っ張ること、こうも緊迫させるとは。けっこう映画観てるんですけど、きっちりハラハラさせられた。巧いですねえ、人間心理も読み込んだサスペンスのお手本ですね。 瑣末なことですが、レズの(たぶん男役の)人って男性用のブリーフを着用するの?あの場面、画的にどうだろう。それと90年代の作品なのに80年代ぽいのは何故かしら。誰かわかりませんか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-11 00:18:37)
147.  チャーリング・クロス街84番地 《ネタバレ》 
ああ、しみじみと人生というものが凝縮したような良い話でした。ついに彼女がロンドンを訪れた時は相手はもういないし、店も看板を下ろしている。人生ってこんなものだ。大切なことは必ずしもタイミングが合わないまま、いつのまにか手から零れ落ちる。でも確かに存在した、その意味の大きいこと。 「大切にする世界観が一緒」なので20年も続いたアメリカ女とイギリス男の交流。恋ではなく、友情ともちょっと違う。現実生活のほんの数パーセントを占める出来事だけど、心を完全に預けられる相手。互いがそう認識する関係はなかなか稀有だ。夫婦でもそうはいかない。 主張のはっきりした、いかにもウーマン・リブ創成期の女性像のアンと、物静かで見識の深いアンソニーは好対照な二人でした。 戦時の世相も織り込んだエピソードは興味深いし、書店員が脇でちょこちょこと現われてはいなくなったりして時の流れを感じさせる脚本も巧みです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-08-23 00:34:42)
148.  男の敵
愚かな大男の、哀しい人生だ。この男の考えの浅さ、お調子者な浮かれっぷり、いるよなあこういう奴。飲み代をたかりに周囲をとりまく忌々しい連中。こいつらのせいで、ジッポの愚かしさが際立っちまう。 悪い奴じゃないんですよ、ちょっと足りないだけなんだ。この男を追い詰める貧困とアイルランドの寒さがやり切れない。 おそらくセットで撮ったであろう霧深い街角の陰気な湿っぽさなど、カメラを通して伝わる臨場感が古さを感じさせないのは凄いなあ。警察が押し寄せた際の階段の乱闘シーンのカメラアングルはちっとも古びていない。初手からラストまで、流れるようなカメラワークは観やすくて、何気に卓越したセンスと思う。さすが巨匠。この作品で初オスカーだったとは、意外でびっくり。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-07-04 23:53:33)
149.  セッション 《ネタバレ》 
フレッチャーは果たして「師」なのか。終盤の、運命のあの一瞬まで私の心は揺れ動きつつも肯定的だった。何につけ、”芸事”や”技”を磨くフィールドではスパルタはつきものだ。「ガラスの仮面」もそうだったし。 時間を嘘ついたり、気さくに聞き出した家族事情を恫喝のネタに使ったり、性格は極めて悪いとは思ったが。しかし、ラストの騙し討ちは次元の違う話だ。人として屈辱を与え、演奏家として再起不能なダメージを与えた。「師」とは”育てる”者のことをいうのだ。フレッチャーは悪魔だった。音楽に魅入られた人非人。かつての教え子は命を絶ったではないか。事故じゃないオメーのせいだよ。しかしニーマンは死んでしまうタマではなかった。そもそも唯我独尊、親戚に喧嘩を売り、自己中全開で彼女を捨てる。見た目が田舎出の野暮ったい青年なので、さしものデビルフレッチャーも見誤ったろう。 ストーリーのテンションは冒頭からラストまで常に高く張り詰めており、ワタシのような小心者は心臓がばくばくしっぱなしだ。 悪魔と狂気がぶつかり合うラスト9分、発せられる熱量はただごとではなく息苦しい。個人的には相討ちと思う。「フルメタル・ジャケット」の、教官が落ちこぼれに弾丸を放たれた手洗い場のシーンがだぶった。
[DVD(字幕)] 8点(2017-06-20 23:55:40)
150.  ボビー・フィッシャーを探して 《ネタバレ》 
”リトルマン・テイト”もそうだったけど、天才に生まれついたら本人も周囲もけっこう難儀するのだった。天才の芽を大人は伸ばそうとするし、その意見も百出で諍いが起きる。自分の頭越しに大人同士が揉める、その子ども当人は同世代との関わりが難しくなる。本作は、天才をめぐるこの不変の現象を、素直な描写で温かみを忘れずに描いた良作と思う。 ジョシュに関わる大人たちは見事に千差万別。子どもに対する考え方もそれぞれ違う。でも基本、良き人が多くて観やすかった。ライバルの子の親でさえ。私はフィッシュバーンのヴィニーが好きなので彼が大会に同行した終盤は、おおえらいぞ父ちゃん、と喜んでしまった。毅然と優しいお母さんも素晴らしい。息子の先生に出て行けとはなかなか言えるものではない。誰よりもジョシュの優しい心根を分かっていた賢母。 子役も皆巧い。ライバルの天才少年は完璧にヒールな目つき顔つき。あんなに小さい役者をよく見つけてきたものだ。そして、何よりジョシュ役のM・ポメランクに心を鷲掴みにされたワタシである。ぽん、と椅子に座った時の脚が床に届かないほどの小ささ、なめらかな頬、透明度の高い丸い大きなグレーの瞳。この綺麗な子を見ているだけで、私はとても幸せな気持ちになりました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-06-18 00:14:04)
151.  マッチポイント 《ネタバレ》 
クラシックなオペラ歌曲にのせて展開するは現代のお話なれど、中身ははるか昔から繰り返されてきたであろう男女のいざこざ。不誠実な男と、責任を迫る女。ありがちな話がアレンにかかると「運」まで動員される。神の役回りはもちろん監督なんだが。大体神様が女好きだからねえ。 自分でも誰の立場で観てるのかちょっとわかんないまま、いつ男のハリボテがはがれるのかと変に手に汗握りながらの観賞だった。とにかく性格のひん曲がっている監督の手腕が凄いとしか。スカヨハ登場一発目のシーンからこの先の倫理違反は明白、「あれ?きのうの夕方お前を見たぞ」と証言する友人がやなとこで現われるしスカヨハはどんどんヒステリックになってゆくし、落とした薬きょうを「見せて」とウルサイ妻。小心者のワタシはまったく気が休まらない。極めつけは空に放り投げた老婆の指輪。欄干に当たって、そして「こちら側」に落ちる。もちろん思い出すのは冒頭の「運」のお話。ああ、そうなるのかと思いますよね。ついに引導を渡されるのかと。・・が、ところがなんですね。つくづく食えないジジイ監督だ。 ちなみにキャスティングも天才的に的確だ。ヨハンソン以外にも「育ちが良くて」「つまらない」妻E・モーティマー、温室育ちの坊ちゃん長男M・グード。うるさい割りに鈍感な義父母。駄目刑事。こわいほどにハマっている。やっぱり監督ただ者じゃない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-05-15 23:56:52)
152.  わらの犬(1971) 《ネタバレ》 
”監督of暴力”のサム・ペキンパー、彼の筆致はキューブリックほど洗練されてなくて、人間の本質をむき出し且つぶちまけ型である。単に不快だから、という理由で目を背けて否定しては、ウソつきと言われそうだ。 陰気臭い田舎町と低所得風な労働者たち。そこへ乳首もはっきりわかるぴったりニットの若い嫁。すでに不穏な空気がこの冒頭だけで充満している。イヤな感じしかしない。 半世紀近くも前の作品だけど、女への暴行シーンや彼女の抱えるPTSDの描き方等、これほどショッキングで生々しく痛みを感じさせる作品は他に見た事がない。 猫を殺られても煮え切らなかったヘタレのD・ホフマンが窮鼠の如く、信条と真逆の暴力行為へと狂い出す、この凄まじさ。青白い額に汗を浮かべて妙に座った目つきで油を沸かす。ホフマンの嫁が幼なじみの男連中に気があるような素振りを繰り返すのもなかなかに不気味で気分が悪いのだが、やはりその地の出身者らしく「知的障害者を差し出せ」と暴力発言をするのだ。これにより完全に周囲を暴力で包囲されたホフマン、「二度と帰ってはこれない」地点まで行ってしまう。ああやっちまった。しかし、一番共感をできるのは誰あろうこの人なのだ。震撼するやら呆然とするやら。自分の暴力性まで暴かれた気分だ。こちらも冷たい汗でびっしょりだ。
[DVD(字幕)] 8点(2017-04-19 00:27:59)
153.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
フィリップ・シーモア・ホフマンは当代最高峰の役者の一人だと思っている。彼の遺作となった本作を、多大な喪失感を抱きながら観賞した。 ル・カレ原作らしい重たさと切実な空気の中、ホフマンは身体つきそのままに、どっしりと緩慢に動く。ストレスや苦悩をぜい肉として纏っているかのようだ。部下に指示を出す時の動作や電話を取るしぐさ、おっさんジョークを飛ばす時の表情。バッハマンという一人の人間が完璧に造形されていて、もう私は目が釘付けになった。 「個人」を救いたい女弁護士と、全体像を見据えて国および地域の安全を担保したいバッハマンとは利害が必ずしも一致しない。彼女をアメと鞭で懐柔する時のプロの凄み。そしてプロ同士、すなわちCIAとの一騎打ちも冷ややかに尖っていて見ごたえがある。 物語は「大樹」であるところのCIAにバッハマンは鼻を明かされて終わる。「組織」の非情さと人間への不信感で言葉も出ないラストであった。ここのホフマンの仕事は誰ができるだろう。憤怒に身体を貫かれたようなその後姿。ああ彼がCIAらに一矢報いるような続編が見たいと心から思う。もう叶わない。とても悲しい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-11-28 18:07:59)(良:1票)
154.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
ダメとダメを掛け合わせると、ただもう破滅的に不毛かというとそうではなくて、時に訳分かんないけど心に迫るような化学反応を起こすことがある。そんなロードムービー。 ケンカっ早いのがとにかくダメなG・ハックマン×責任取らない人生に無邪気なA・パチーノ。やることなすこと行き当たりばったりで、大丈夫かこいつらと当然こちらは思う。 尋常じゃないほどの重ね着ハックマンの非効率ぶりや、持ち歩くのに明らかに不便な四角いギフトボックスを常に抱えるパチーノ、とああもう観る側を不安にするばかりだ。案の定、パチーノの元カノはキレてしまい全くハッピーエンドにはならない。ピッツバーグに金があるとも思えないし、洗車場を経営できる気もしない。 だけど私はこの二人が嫌いではない。ダメな子ほど可愛いという母心かどうかは分からないけど、ダメであっても芯の部分はとてもまっとうな奴らだからだ。もう少し別なエンディングがあっても良いのになあ、いや是非そうしてほしいな、としみじみ思う。
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-24 23:31:31)
155.  パフューム/ある人殺しの物語 《ネタバレ》 
あの急転直下摩訶不思議な処刑場のシーンになるまでは、絶対嗅覚シリアルキラーの変態人生物語だと思っていた。 違うんだ・・。 つまり彼は本当のところ人外の者(作中では天使だと言われていた)だったのですね。そう考えると、彼が去ると災いがふりかかるという座敷童的な現象や、体臭が全く無いこと、子供たちだけは彼の特殊性に気付いていた、というエピソードもすとん、と落ちるのです。 彼は愛を与えにやってきた天使。彼を糾弾していた最右翼のA・リックマンすら心溶かされてしまった。天の者にとっては死は単に生まれる前に戻るということでしょうから、人間規範での罪悪感など無いのです。 愛のかけらも無い生まれ場所へと戻り、自ら撒いた愛に包まれながらこの世を去った。食すという行為は愛の究極型といいますし。 まさか猟奇的な殺人行為が愛の話になるとは。こりゃもう常人では考えつかないトンデモな原作&脚本。 けれど、打ち捨てられた死体が妙に美しく撮られていたり、ローラが最後に見せる表情が全く怯えの無いものであったりと、伏線はたくさん張られていたような気もします。 美術は本当に見事で、18世紀のフランスの風俗そのもの。(いや知らないので多分だけど)話もびっくりだけど、眼でも楽しめる一品であります。
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-16 23:48:16)(良:1票)
156.  ギャラクシー・クエスト 《ネタバレ》 
役者にとって、”当たり役”とは嬉しい半面、やっかいなことでもあるんでしょうな。そのキャラクターであることを常に周囲から期待され続けるなんてけっこうキビシイ。まさにその呪縛にかかったSFシリーズ物の面々、いやおかしいやら同情するやら。A・リックマンの「俺は名優なんだ。リチャード三世を演ったんだ」の叫びもS・ウィーバーの「指示を繰り返すのがアタシの唯一の仕事なの。文句つけないで」のキレ具合もすんごくリアル。そうでしょうなあ。 フェイクを知らない異星人とのギャップの中、元ネタのシリーズをいじりながら(でも愛を込めて)展開するヒューマニズムあふれるお話(?)。なんでかちょっと泣けたりもします。 でもって、この作品、ちゃんとコアなファンのことも一緒に愛してくれているのが素晴らしい。「これは現実だ!」と俳優ではなく、”船長”から告げられた時の喜び、生き甲斐はとても理解できる。良かったな! 私は現在BBC制作の某ドラマシリーズにぞっこんなのですが、役を担う生身の彼らが必要以上に役者の幅を狭めることの無いよう願ったり、といろんなことを感じ入る作品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2016-06-23 00:11:13)(良:1票)
157.  エリート・スクワッド(2007) 《ネタバレ》 
”シティ・オブ・ゴッド”の姉妹編のような本作は観るのにかなりの覚悟を要求される。観客は首根っこを掴まれ、顔を張られ揺さぶられ、足蹴にされる。猛烈に理不尽な暴力だが、ブラジルの現実だというんだから言葉も無い。 スラムの荒廃ぶりはシティ・オブ~でも克明に描かれていた。さらには警察の腐敗まで手の施しようが無い状況だと踏み込んだことが、今作のエッジをより鋭くした。死体を管区で押し付け合い、市民からピンハネした取り分を仲間内で奪い合い、車の部品はドロボーする。こんなことあっていいのか。 こんな警察にスラムのギャングなんか取り締まれる訳がない。そこへ登場するのがBOPE。ほぼ軍隊だ。治外法権並みの強権だ。ギャングとどっちが恐ろしいかって、どっちもどっちだ。こんなことあっていいのか。 頭がお花畑の金持ち大学生のNGO活動など、スラムの理屈(=暴力)にあっさり焼き殺された。これが現実だよ、と情け容赦の無さは限度を知らない。 とにかくすさまじいまでの重量級の圧を感じる、ハードムービー。 「偽善者め」と学生に叫ぶマチアスと気持ちが一致したのは、あまりの暴力のやり切れなさに私も半分キレていたからだろう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-01 18:26:56)
158.  それでも夜は明ける 《ネタバレ》 
アメリカ史の暗黒サイドである奴隷制度のありさまを真正面から見据えてのこの一本、正面も正面、目をそらさずに描ききるその筆致ときたら当然のごとく処刑だの鞭打ちだの、非人道的な行為描写に割く時間が長くて、「早く南北戦争始まってくれー」と願いながら観るはめになった。 黒人がこんなに酷い仕打ちを受けました、で終わっていないところがこの物語のリアルなところで、白人らも実に色々な人がいたのだなあ、と個人的にはそこが一番の発見でした。人道的に許されないことをしている、という罪の意識が多かれ少なかれ存在し、まだら模様のような社会。本当は奴隷制度なんか嫌だ、でも広大な農園を維持しなければ、との経済システムの中で生きるB・カンバーバッチ演じる農園主はぎりぎりのところまで苦しんでいるし、次の主人である酷薄な農園主夫婦らも残虐な行為が正当化される社会の中で理性の針が振り切れてしまっていた。愛情を抱いた女は黒人奴隷で、屈折した思いは嫁とのはざまで彼女への虐待へと向かう。あいつ狂ってたなあ。怖い。 家の女主に納まった元奴隷の女性もいたりもする。そうなると、手に入れた特権に安住してしまうものなのね。白い人も黒い人も色々で、モザイクのように社会を構成していたその描き方が奴隷映画としては新しく感じて見ごたえがありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-31 23:57:28)
159.  バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2 《ネタバレ》 
1作目が大好きだったものだから、手を入れられるのは嫌だった思い出があります。part2,3とセットになっているお話なので、2単独での評価は難しい。マーティ一家の芳しくない未来の姿にはショックを受けたうえ、ジェニファーは置いてきぼりでばつん、と終わってしまう。観賞した封切当時は「!?」となり、楽しいばかりの一作目と比べるとあまり良い印象は無かったのでした。 描かれた未来のその2015年に、あらためて彼らの物語に触れてみると脚本の緻密さに驚きます。未来と現在と過去、今作では3点全てを行き来し、それぞれが絡まって影響を及ぼすので100分の間でゆっくり考えるひまも無いほど忙しい。忙しいけど楽しい。 本来、「次作へ続く!」形式で映画を一本作られるのは好きではないのだけれど、この文を書いている今は3を観終えてしまっている。次回作に引っ張られる形で評価が高くなるというのはどうなのかとも思うけど、やっぱりファンだからなあ。7点か8点かですごく長く迷ったけど。
[映画館(字幕)] 8点(2016-01-02 01:30:29)
160.  コードネーム U.N.C.L.E. 《ネタバレ》 
ガイ・リッチーならではの小気味良いテンポが快く、とても楽しめました。 CIAとKGBが組んでの諜報作戦ですがストーリーに難解さは無く、わかりやすいのもコメディの必須条件。加えて人物が皆きちんと魅力的なのも良い。若手の新進3人はきちんとスクリーン映えしていて、全員にとっての代表作になるのでは。富豪夫人のエリザベス・デビッキもドがつくくらいのはまりっぷり。いきいきと悪い人を演ってます。 ちょっと前の場面を巻き戻して、脳が忘れないうちにネタバレ披露する演出がいくつかあり、ワタシはその都度驚いて楽しかった。旧ソと米国の対抗心がちっちゃいトコまで小競り合いしてんのが笑いを誘ったりと、ユーモアのセンスも上等です。 少し前の時代を考慮した背景描写もなかなか。前半の東ベルリンの街並の暗さはスパイ映画の導入部としては最適でしょう。物語はどんどん明るく?なるのですが。 H・グラントが脇役で登場なのも興味深い。重鎮クラスの上司のわりに物腰が軽めに感じる(褒めています)のはヒューのキャラクターですね。
[映画館(字幕)] 8点(2015-11-24 00:16:34)
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