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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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161.  ナイト ミュージアム2 《ネタバレ》 
 「主人公のラリーが夜警を辞めて、社会的に成功してる」って設定、本当に必要だったの?  ……って思っていたら、ちゃんとラストにて「必要だった」と納得させられる作りなのが良いですね。   本来、ラリーが夜警を辞めているなんて設定、前作のファンとしては到底納得出来ないはずなんです。  でも、作中にて息子のニッキーやジェデダイアが「どうして夜警を辞めちゃったのか」と文句を言ってくれるから、観客である自分としても「そうそう、その通り」と頷かされて、映画との一体感を味わえるし、最後まで観れば (なるほど、博物館に寄付するオチの為に金持ちにしておいたのか)  と、大いに納得。  この「序盤にて抱かされた疑問と不満が徐々に薄まり、最後にはスッキリ消えて無くなる」って構成は、中々気持ち良かったです。   ただ、全体的に考えると……面白さって意味では、前作より見劣りしてしまうかな?  「ジェデダイアとオクタヴィウスの友情」とか「自らが作り物の人形であると悟る切なさ」とか、前作にあった長所はキチンと引き継がれてるんだけど「色々と説明不足なゆえに、観ていて戸惑うストーリー」っていう短所まで、しっかり引き継いじゃってるんですよね。  ヒロイン格であるアメリアとの恋物語は唐突過ぎて応援する気になれないし、ジェデダイアが敵の人質になる場面でも (そもそも彼は人形なので、砂時計に閉じ込められても死ぬって事は無いのでは?)  と思えちゃって、緊迫感が湧かない。  終盤の展開もグダグダで、巨大なリンカーン像が援軍に来てくれて一件落着と思ったら、なんかアッサリ帰って再び窮地になるし……  場面場面は悪くないので「こういう場面をやりたかった」っていう作り手の考えは分かるんだけど、場面の繋げ方が雑なもんだから、不自然さが生じてるんですよね。  パソコンを駆使してサポート役を務めていたニッキーが、途中から全然出てこなくなる(博物館改装後に、ようやく再登場)ってのも構成として如何なものかと思うし……  この辺に関しては、あまり誉める気にはなれませんでした。   とはいえ「1には無くて、2で新たに生まれた良さ」も、ちゃんとあったりするので、決して嫌いではないんですけどね。  ダース・ベイダーが出てくる場面や「携帯電話を拾った水兵が、後のジョセフ・モトローラだと判明する」オチには、ニヤリとさせられましたし。  棒術ならぬ懐中電灯術を駆使して敵を倒すラリーの姿も、正に痛快無比って感じ。   何より前作のラスト同様、今作でも最後は「楽しい博物館」を描いて終わる形になってるのは、凄く良かったです。  前作は「夜の博物館」という、閉ざされた楽園の中で秘密の祭りを楽しんでる感じでしたが、今作はそこに客を呼び込み、より「博物館らしい魅力」を打ち出す終わり方になってましたからね。 (この博物館、行ってみたいな)  と感じさせてくれたんだから、やはり良い映画だと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2022-04-14 06:18:57)(良:1票)
162.  25年目のキス 《ネタバレ》 
 この手の「年齢を偽り学校に潜入する」ネタ、好きですね。  もう一度学生時代に戻ってみたい、青春の日々を味わいたいって願いを叶えてくれる形になっており、観ていて心地良い気分に浸れました。   本作は「恋のからさわぎ」(1999年)「O」(2001年)「アメリカン・ピーチパイ」(2006年)など、2000年前後に流行った「シェイクスピアを現代の学園物に置き換えた品々」の一種であり、1999年公開という事を考えれば、先駆的な作品と評価する事も出来そうなんですが……  とかくラブコメの「王道」「お約束」を重視した作りでもある為、あんまり「斬新な内容」とは感じられないのが、ちょっと勿体無い。  最後も観客の期待通りのハッピーエンドを迎えるんだけど、それも「ラブコメの終わり方といえば、ハッピーエンドに決まってるから」という予定調和に頼った感じで、なんか完成度が低いんですよね。  起承転結の「転」までは丁寧に作ってあるんだけど、肝心の「結」が締まらない感じであり (……で、どうして国語教師のサムは彼女を許し、キスしてくれたの?)  って思えちゃって、スッキリしないんです。  ここをもっと綺麗に仕上げてくれていたら、胸を張って傑作と呼べたかも。   そんな具合にラストで失速した感はありますが、全体的には楽しめたし、好きな映画でしたね。  この手の映画の場合「主人公は皆に馬鹿にされる負け犬」であり、ともすれば極端な「負け犬賛歌」に終始してしまいがちなのですが、そこから一歩踏み込んで「学園の人気者達」も肯定する内容になっているのは、文句無しで長所だと思います。  これは主人公が「最初は冴えない子達と仲良くなるけど、取材の為に人気者グループに接近するのを強要される」という展開だからこそ生み出せた流れだと思うし、ちゃんと「取材の為に潜入した」って設定を活かす形にもなってますからね。  「負け犬を差別してはいけない、彼らだって素晴らしい人間だ」というのであれば、この手の学園物で悪役にされがちな「人気者」にだって、当然その言葉は当てはまる訳で、ラブコメ映画において不遇極まる彼らに救いの手を差し伸べた事には、素直に拍手を送りたいです。   「ミセス・ロビンソン」って単語が「未成年に手を出す大人の女性」の代名詞になってるとか、主人公の弟のロブが「卒業白書」(1983年)のコスプレをしたりとか、映画好きなら嬉しくなっちゃう小ネタが散りばめられてる辺りも、良いですね。  本作は主演のドリュー・バリモアが製作総指揮を務めた作品であり「完成度は高くないけど、何だか愛嬌がある」って辺りは「美人じゃないけど可愛い」っていう彼女らしさが反映されているようにも思えました。   数ある主演作の中でも、非常にドリュー・バルモアらしい映画の一つとして……  そして何より、可愛い映画の一つとして、記憶に残る事になりそうです。
[DVD(吹替)] 6点(2022-03-23 22:31:59)(良:1票)
163.  マウス・ハント 《ネタバレ》 
 人間にとってネズミは害獣だけど、ネズミにとっては人間が害獣という、そんな当たり前の事に気付かせてくれる映画ですね。    圧巻なのは「釘打ち機」の場面であり、人間による何気無い大工仕事が、ネズミにとってはトンデモない災害となる事を描いていて、これには感心しちゃいました。  日常生活で見慣れたはずの「釘」が、ネズミ目線だと凄まじい殺傷兵器になっちゃうんだから、もう吃驚です。  こういう「視点や発想の切り替えによる面白さ」って、観ていて嬉しくなっちゃいますね。  ベッドや時計もあったりして、居心地が良さそうな「ネズミの寝床」の描写も好きだし、カップの取っ手を潜ったり、ピアノの鍵盤を走ったりと、家を駆け回るネズミの描写が、きちんと面白かった点も評価したいです。   ただ、ネズミの糞を食べたりとか、観ていてエグい場面もある事。  そして、終盤の展開が唐突過ぎて、流石に白けちゃった事が残念ですね。  特に後者は致命的であり (えっ……なんで主人公兄弟とネズミが仲良くなってるの?)  って、全く納得出来ないまま映画が終わっちゃう訳で、置いてけぼり感が凄かったです。  弟のラーズは「糸」に拘りがあったはずなのに、最後は製糸工場からチーズ工場に変わってるのも、何かスッキリしないし……   気になって計ってみたら、主人公兄弟が家を失い疲れ果てて眠るシーンから、僅か三分で無理矢理ハッピーエンドにしてるんですよね。  これは流石に急展開過ぎるし、説明不足でもあったと思います。   ネズミがシェフになるオチとか「レミーのおいしいレストラン」(2007年)を先取りした感じでもありますし、一見の価値はあると思いますが……  最後の最後で、絡まった糸のようにモヤモヤが残ってしまう。  そんな一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2021-12-08 06:34:01)
164.  ショーガール 《ネタバレ》 
 何処となく「イヴの総て」(1950年)や「哀愁の花びら」(1967年)を連想させる内容。  女性のショービジネスにおける若手とベテランの確執を描いており、既視感は否めないんだけど、その分だけ王道の魅力もあるって感じですね。  上記二作に比べると女優陣が露出度高めで、エロティックな要素濃い目なのも、結果的には程好い「個性」になってた気がします。   それと、主人公ノエミ(=若手)とクリスタル(=ベテラン)の関係に、何やらレズビアンな匂いが漂ってるのも、興味深いポイント。  別れのキスの場面なんて、明らかに友情を越えた愛情というか「性愛」の匂いが感じられますし。  しかもノエミが出会う男は最低な奴ばかりで、女性にだけ優しい眼差しが注がれてる作りなんですよね。  この辺りの歪さは、オタク女子が描く「美男子だらけの同性愛世界」の性別逆転バージョンって感じにも思えました。  本作に不思議な魅力を感じてしまうのって、案外この「男にとって都合の良いレズビアン世界」っぽさにあるのかも知れません。   そんなこんなで、自分としては「女優陣の性的な魅力」「レズ要素」を好意的に捉えた訳だけど、それがそのまま「下品で低俗」「あざとくて幼稚」と欠点に感じる人もいるでしょうし、評価が分かれやすい映画だと思います。  正直言って、脚本の筋運びも雑であり(女友達のモリーがノエミを許す流れが唐突、など)完成度という意味では、決して高くないですからね。  ノエミが麻薬に手を出す場面や、クリスタルを階段で突き落とす場面を妙にアッサリ描いたりとか、監督の手腕にも疑問を抱いちゃう場面が多いです。   それでも、自分としては「好き」か「嫌い」かと考えたら前者になっちゃうというか……  なんか憎めない映画なんですよね。  観客どころか、脚本家のジョー・エスターハスにすら自虐ネタにされ「アラン・スミシー・フィルム」(1998年)で笑いものにされてるのを観た時も(もっと自分の作品に愛情持ってやれよ)って思えて、寂しくなっちゃったくらい。   その他にも、色んな映画で「最低の出来」と揶揄されてるし「ショーガール」ならどれだけ馬鹿にして笑っても構わないって扱い受けてるけど、ちゃんと良い所もあると思うんですよね。  終盤、モリーを傷付けた男に復讐するノエミの姿には、スッとしたし……  階段で突き落とされたクリスタルが、ノエミを責めようとせず「私も昔、同じ事をしたから」と淡々と語るのも、彼女が背負ってきたドラマを窺わせるものがあり、味わい深い場面でした。  ヒッチハイクで始まり、ヒッチハイクで終わる構成も、綺麗でしたね。  ノエミが出会った男の中では、この最初と最後に出会う「スーツケースを盗んだ男」が一番マシだったんじゃないかと思えちゃうのも、皮肉な魅力があって良かったです。   本作を世間が絶賛してたら(そうかぁ?)とは思うけど、まぁ反発はしないだろうし、逆に嘲笑の対象にされてたら「そこまで悪くないだろ」と庇いたくなる。  そんな距離感の、不思議な映画です。
[DVD(吹替)] 6点(2021-11-25 22:29:03)(良:1票)
165.  最凶赤ちゃん計画 《ネタバレ》 
 これは……面白いんだけど、最後で台無しってタイプの映画ですね。   途中まで、というかラストのオチ以外は良い感じなんです。  「最凶女装計画」では女装ネタの王道を描いたウェイアンズ監督が、今度は赤ちゃんに成り済ますネタの王道を描いており、どこか既視感を覚える展開ながらも、面白可笑しく纏めてる。  無邪気な赤ん坊の振りして美女に授乳をせがんだり、子供達に悪い遊びを教えたりと、こういうネタなら外して欲しくないって部分を、ちゃんと押さえた作りになってると思います。   脇役にも良いキャラが揃っており「幼稚園への送り迎えを仕事にしてるママさん」なんて、特に良かったですね。  彼女が車を暴走させる場面が、本作のピークだったんじゃないかと思えたくらいです。  赤ん坊に成り済ましたキャルを疑うのが年老いた父親という事で、本当の事を言ってるのに「とうとう呆けてしまった」と思われ信じてもらえない流れなんかも、上手かったですね。  主人公のキャルもダリルも、子供時代に問題があったようなのですが、それをクドクド語る真似はせず「生まれて初めての誕生日会で、感激して泣いちゃうキャル」という描写や「俺、父親業が好きだ。凄く楽しい」「自分の父親とやれなかった事がやれるんだから」と語るダリルの場面などで、サラッと描いている辺りも良かったです。   でも、やっぱり最後が……  「ダリルの妻が産んだのは、実はキャルの子」としか思えないオチであり、流石にブラック過ぎるんですよね。  今回の事件を通し、ダリルとキャルの二人には友情が芽生えていただけに、余計にやり切れない結末。  ここの部分をカットしておいてくれたら……と思わずにはいられないです。   ちなみに本作はラジー賞を幾つか受賞しており、バックス・バニーのエピソードを盗作したとの声もあるようですが、個人的にはこのくらいなら「パロディ」の範疇じゃないかと思えましたね。  盗作と言うなら「最終絶叫計画」の方がよっぽど「スクリーム」そのまんまな訳だし「最凶女装計画」も「バッドボーイズ」(1995年)の盗作って事になっちゃいますし。  本作だけ殊更に騒ぐのは不自然というか、不適切なんじゃないかと。   冒頭にて述べた通り、最後のオチだけは褒める気になれないけど……  それ以外は、かなり良く出来てる。  「ラジー賞を取った映画は、意外と面白い」法則に当てはまる一本として、カウントしたくなる映画です。
[DVD(吹替)] 6点(2021-11-18 18:22:35)
166.  SHRIEK(シュリーク) 最低絶叫計画 !? 《ネタバレ》 
 同じパロディ映画の「最終絶叫計画」では「スクリーム」を「最低」と貶して笑いを取ろうとしていたのに対し、本作では「最高」と絶賛してるのが印象的。   だからって訳じゃないけど、同じ「スクリーム」好きとしては好感を抱いちゃう作りでしたね。  最初から最後まで「スクリーム」をなぞる作りだから、話の芯がブレておらず、落ち着いて楽しめるのも嬉しい。   矢継ぎ早に色んな小ネタを挟み「質より量」ってスタイルにしたのも、正解だったんじゃないかと。  たとえ打率は低くても、とにかく打席数が多いもんだから、ヒットの数もそれなりになってるんですよね。  個人的には「メンタルズ」の歌や、クライマックスの追いかけっこで「ドーソン役は高所恐怖症」「監督は酒を飲ませてやらせた」などの注釈を挟むネタが、特にお気に入りです。   「去年の夏」に関しても、思い出す人によって情景が全く違う辺りには感心しちゃったし、他のネタに比べ「グリース」だけ(やたら古い作品を引っ張ってきたな……)と思っていたら、ちゃんとその後に「登場人物が元ネタを分からず、白ける」ってオチが付く辺りも、何か気持ち良かったですね。  「クリスティーン」もパロってみせてるし、作り手側と自分とで「好きな映画」が同じなんだなって思えて、嬉しくなっちゃいました。  序盤に出てきた「チャイルド・プレイ」のチャッキーも、やたら可愛いコスプレだったりして、その後に出てこないのが勿体無く思えたくらいです。   恐らくは予算でも、監督の才気という意味でも「最終絶叫計画」には及ばないのでしょうが……  個人的には、結構好きな映画でした。
[DVD(吹替)] 6点(2021-11-05 02:28:33)
167.  鬼教師ミセス・ティングル 《ネタバレ》 
 最後がハッピーエンド過ぎて納得いかない映画ってのがありますが、これもそんな一本。  主人公のワトソン達と、ティングル先生。どっちが悪いかといえば「ワトソン達」で、どっちが被害者かといえば「ティングル先生」なのに「前者は無罪放免」「後者は教師をクビになる」って結末を迎えちゃいますからね。  最後は主人公三人で、笑顔の卒業式を迎えて終わる訳だけど (……それで良いのか?)  とツッコむしか無かったです。   「スクリーム」「ラストサマー」「パラサイト」と同じ脚本家(本作では監督も兼任)という事で、90年代のティーンズ映画らしい魅力が詰まってる事。  舞台の大半が「ティングル邸」に限定されている為、小さな世界の「舞台劇」めいた魅力を味わえる事など、良い点も色々あるんですけどね。  主人公ワトソンの犯行動機というか、ティングル先生と戦う主因が「ママと同じ人生は歩みたくない」っていう想いゆえなのも、非常に残酷で良い。  これ、ママさんが酷い母親って訳じゃなく、娘想いの優しいママさんだし、母娘仲も良いはずなのに、それでも尚そう思ってしまうというのが、何ともやるせないんですよね。 (たとえ夜勤で毎日大変でも、夫に逃げられようとも、娘に愛情注いで育ててる立派な母親じゃないか)  と、自分としてはそう感じる訳ですが、それでも娘側の「こうはなりたくない」って想いに、説得力があるよう描かれてる。  「親のようになりたくない」「自分が思い描く理想の大人になりたい」という感情のままに行動する主人公ってのは、等身大の若者らしくて、リアルだったと思います。   それと、悪役になるティングル先生が魅力的なのも良かったですね。  そりゃあ彼女は日頃から意地悪だし、不倫もしているしで「悪い人」なんだろうけど、作中で描かれている限りでは「監禁されている被害者」な訳で、どっちかというと彼女側を応援したくなりますし。  作中で何度か言及されている「エクソシスト」の悪魔のように、巧妙に話術を駆使して窮地を脱しようとする姿は、文句無しで主人公達より恰好良かったです。  あと、不倫相手のウェンチェルコーチが、彼女との逢引では「従順な奴隷」となっちゃうのは、如何にもって感じで笑っちゃいましたけど……  個人的には、日頃偉そうな態度のティングル先生の方が「奴隷」になっちゃう関係性の方が、ギャップがあって可愛く思えたかも。   脇役&女友達枠のジョー・リンの描写も面白くって、主人公のワトソンより華やかなルックスなのに「私は脇役じゃないわ」って劇中で言わされちゃうのが、実に皮肉が効いてましたね。  「女優の才能が無い」と言われた仕返しのように、ティングル先生を騙すのに成功するのも痛快でしたし……  三角関係の泥沼を乗り越え、主人公ワトソンとの友情を選ぶ展開になったのも、嬉しかったです。  こういう「報われない女友達」枠が好きな自分としては、とても好みのキャラクターでした。   ただ、唯一のメイン男性キャラであるルークについては不満があるというか……正直言って、魅力を感じない存在でしたね。  そもそもの発端というか、諸悪の根源と言えるのは「答案を盗んだルーク」のはずなのに、なんか「優しい王子様」みたいな扱いを受けてて、違和感が拭えなかったです。  成績の書き換えを提案したのも彼だし、作中で一番「悪魔」と呼ぶに相応しいのはワトソンでもティングル先生でもなく、ルークじゃないかと思えました。   ……とまぁ、そんなこんなで、劇中では散々な目に遭ったティングル先生だけど、生徒のワトソンに「皮肉」の意味を教える事が出来たって意味では、少しだけ報われたのかも知れませんね。  クビになった後の彼女については一切描かれていないけど、何とか立ち直って欲しいものです。
[DVD(吹替)] 6点(2021-10-08 02:16:16)(良:1票)
168.  グラスハウス 《ネタバレ》 
 舞台となる「グラスハウス」は雰囲気満点。  ジムにホームシアターまで揃っているし(良いなぁ……住んでみたいな)って思えましたね。  海に面したレストランや、海辺の道路など、美しい場面が多い点も良い。  ヒロインのルビーが夜中にプールで泳ぐ場面なんかは、神秘的でエロティックな魅力がありましたし、ラストのカーアクションも中々迫力あったしで、ビジュアル面の満足度は高かったです。   では、シナリオ面についてはどうかと考えてみると……ちょっと微妙でした。  上述の通り、ビジュアル面には拘りが感じられたんだけど、それが裏目に出てる部分もあるんですよね。  夜のグラスハウス内での場面はともかく、まだ昼間のはずの校舎ですら薄暗い場面ばかりとか、流石に「やり過ぎだよ」って呆れちゃいます。  どうしても薄暗い場面ばかりにしたかったのであれば、そこは脚本でフォローして、不自然さを消すべきだったんじゃないかと。  主人公姉弟にはジャック叔父さんがいるはずなのに「グラス夫妻と一緒に暮らすのが嫌なら、施設に入るしかない」って言われるのも不思議だったし(その後、ジャック叔父さんに引き取られて幸せに暮らしてるとしか思えないエンディングとも矛盾してる)脚本の詰めが甘かった気がします。   それと、主人公姉弟があんまり「良い子」とは思えなくて、応援する気持ちになれなかったのも残念ですね。  例えば、麻薬中毒のエリンがルビーに寄り添うように死んでしまう場面なんかでも、観客は事前に「幼いルビーと仲良しだった頃のビデオを観て、感傷に浸る場面」を知ってる訳だから、ついエリンに同情しちゃう展開なんだけど、ルビーはエリンの死体を気味悪がってるだけなんです。  ルビーは観客と違ってエリンの悲しい一面なんか知らないから当然の反応ではあるんだけど、こういう描き方は、どうしても「感情移入出来ないヒロイン」って印象になっちゃいます。   この映画では最も重要だろう「良い人かと思われたグラス夫妻が、実は悪人だったと判明する場面」あるいは「主犯であるテリーに止めを刺す場面」にカタルシスが欠けているのも、如何なものかと。  特に後者に関しては、テリーが発砲する前に轢き殺してるので正当防衛って感じもしなかったし、もうちょい上手くやって欲しかったです。  「絵を描くのが趣味なヒロインが、防犯装置のパスワードをスケッチブックにメモする」とか、良い場面も色々あっただけに勿体無い。   何より悲しかったのは、せっかくグラスハウスが素敵だったのに、結局そこから飛び出して普通の道路でクライマックスを迎えちゃう事ですね。  せめて最後はタイトル通り「グラスハウス」で決着を付けてくれてたら、もっと良い形に仕上がったんじゃないかなって思います。 
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-08-12 18:25:16)
169.  ファイブヘッド・ジョーズ<TVM> 《ネタバレ》 
 (夏が来たから、サメ映画観なきゃ……)という謎の衝動に駆られて鑑賞。   シリーズの過去作二本は鑑賞済みで、今回「3」と「4」をセットで観る形になったのですが、良くも悪くも期待通りの内容であり、なんか妙に安心しちゃいましたね。  これが「予想に反し、意外な傑作だった」というパターンなら、逆にガッカリしちゃってたかも。  なんていうか「面白過ぎず、退屈過ぎず」っていう絶妙なバランスが、観ていて心地良かったです。   そもそもタイトルが「ファイブヘッド・ジョーズ」って時点で(あれ? フォーヘッドは? なんで順番飛ばしたの?)と気になっちゃう訳だけど、それに対する答え合わせが、劇中でキチンと行われている辺りも良いですね。  登場する怪物は「四つ首のサメと思わせておいて、実は尻尾の部分に五つ目の頭があった」という形であり(……なるほど、これはファイブヘッドにしておかないとマズいな)と納得出来ちゃうんです。  「三つ首のサメに思わせておいて、実は四つ首」という形だと、途中まで(前作と同じ数じゃん)という物足りなさが付き纏っちゃう訳だし、鑑賞前の違和感を承知の上で「ファイブヘッド」というタイトルにしておいたのは、英断だったと思います。   過去作に倣って、冒頭で「水着美女の姿を撮影しているパート」を挟んだり「ゴミを捨てて海を汚す人間への批判」も、堅苦しくない程度に盛り込んだりと、このシリーズのお約束が踏襲された作りなのも、安心感がありましたね。  特に前者に関しては、それ以外にも「女優さんが梯子を下りる際に、胸の谷間が良く見えるアングルで撮る」「水中カメラで胸やお尻をアップで撮る」というサービスシーンがあり、嬉しかったです。  性的に興奮するっていうよりは(ちゃんと観客を喜ばせようとしてるんだな)って思えて、安心する感じですね。  こういうのって、ある意味とても誠実な姿勢なんじゃないかって思います。   「ヘリに噛みついて墜落させるサメ」とか、低予算なりに見せ場も用意してくれてるし、前二作同様に、最後がハッピーエンドって辺りも良い。  この「ヘッド・ジョーズ」シリーズって、格別に出来が良いって訳じゃないんだけど、なんとなく憎めないのは、この「後味の良さ」が大きいんでしょうね。  主人公も含め、ちゃんと複数の人物が生き残るし、観た後スッキリした気分になれるんです。  「実は生きていたモンスターが、主人公達を襲って終わり」みたいなオチをやらないってだけでも、自分としてはポイントが高い。   そんな「お約束の遵守」「安心感を与える内容」な一方で、サメ退治のエキスパートであるレッドが、きちんと活躍して生き残る展開なのも、程好いサプライズ感があって、良かったです。  何せ「2」のダニー・トレホの死に様があった訳だから(どうせコイツも、途中でアッサリやられる役なんでしょ?)って穿った目で見ていたもので、これには驚かされました。  こういう「気持ち良い裏切り方」が出来るのって、続編映画の数少ない利点ですし、それを見事に活かしてたと思います。   勿論、短所も沢山あって……  1:イルカの声が弱点って設定が、全然活かされてない。 2:嫌な奴ポジションの重役さんが、改心したかと思ったらやっぱり嫌な奴のまま殺されて終わりとか、人物描写がチグハグ。 3:そもそも「五つ目の頭」に存在意義が薄い。   といった感じに、不満を述べ始めたらキリが無いです。  特に3に関しては、折角の良いデザインが勿体無かったですね。  「後ろに回り込んだら、そこにも頭があって喰われちゃう」とか、そういう場面があっても良かったと思います。   でもまぁ、最初に述べた通り「傑作」ではなく「サメ映画」を求めて選んだ一本なので、満足度は高めでしたね。  期待に応えてくれたという意味では、満点に近い品だったかも。   また来年の夏、こういう映画が観られたら良いなと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-07-22 11:47:36)(良:2票)
170.  ナイス・ガイ 《ネタバレ》 
 美女が生き埋めにされるという、陰鬱な導入部に吃驚。  ラストも「巨大な車で、敵のボス宅を滅茶苦茶にして終わり」という形であり、どうも「レッド・ブロンクス」(1995年)の二番煎じというか……  (こういうのが、ハリウッド映画らしさなんだ)という打算のようなものが感じられて、ノリ切れませんでしたね。  自分としては「ハリウッド映画」よりも「ジャッキー映画」が観たいんだよって、つい思っちゃいます。   主人公に感情移入する前に、悪党達との追いかけっこが始まってしまう(しかも、それがやたら長い)ってのも如何かと思うし、三人いるヒロインとイチャつく場面が随所にあるのも、何か妙な感じ。  この手の「ヒロインが複数いるハーレム映画」としては「プロジェクト・イーグル」(1991年)という前例もあるし、個々の要素は「ジャッキー映画らしさ」を備えているんだけど、何かそれがチグハグなんですよね。  そもそも主人公の恋人はミキであると結論が出てる訳だから「主人公は誰と結ばれるのか」とドキドキしたり、完結後の恋愛模様を想像したりする楽しみも無い訳で、ヒロインが三人いる必然性が薄かったように思えます。   必然性といえば、主人公が料理人であるって設定も、途中から有耶無耶になっちゃうんですよね。  唯一、序盤の「客の口に料理を放り投げるショー」は面白かったし、料理人設定も活かされていたけど、本当にそれくらいですし。  ジャッキーの自伝などを読んで、彼の経歴を知っていれば「若い頃、オーストラリアのレストランや建築現場で働いてた」って事で、料理人設定や、終盤の建築現場での乱闘シーンにもニヤリと出来ちゃうけど……  知らなかった場合、鑑賞後には(で、どうして料理人設定にしたの?)って、疑問符しか残らない気がします。   そんな具合に「完成度」や「構成力」といった点で考えると、とても褒められない代物なんですが……  「面白いか、面白くないか」で考えた場合、答えは「面白い」になっちゃうんですよね、これ。   「馬車とタクシーの衝突」とか「コーラの缶が路上に散乱し、あちこちで噴水のように中身が噴き出てる」とか、印象的な場面が随所にあって、それだけでも観る価値はあったと思います。  終盤における、無数のドアを活かしたコントも面白かったし、色んな大工道具を駆使したアクションも、流石といった感じ。   監督のサモ・ハンがチョイ役で出てくるのも嬉しいし、ジャッキー映画ではお馴染み(?)のリチャード・ノートンも、ラスボスとして良い味出してましたね。  本作のMVPには、この二人を推したいくらいです。   ……以下、映画の内容とは直接関係無い余談なのですが、そもそも「ジャッキー」という名前自体、オーストラリアの建築現場やレストランで働いてる際に、同僚から「ジャッキー」と呼ばれてたのが由来だったりするんですよね。  つまり、本作における「建築現場でのアクション」「料理人という設定」って、ジャッキー映画としては凄くオイシイはずなんです。  それだけに、前者はともかく、後者の設定を活かせてないのが勿体無い。   素材は良かったのに、味付けが拙かったという……そんな印象が残る一本でした。
[DVD(吹替)] 6点(2021-05-20 15:48:07)(良:2票)
171.  幸せになるための27のドレス 《ネタバレ》 
 オチの良さありきというか、それがやりたい一心で映画撮ったんじゃないかと思えるような品なんですが……  自分としては、過程も含めて楽しめましたね。   例えば、話の流れとしては冒頭の「タクシー運転手とのやり取り」が面白くて、もしや彼が恋人候補かとも思える感じなのですが、ちゃんと配役や演出でケビンこそが「ヒロインと結ばれる王子様」だと分かるよう作ってあるんです。  上司のジョージを(良い人だけど、何か違う……)と観客に思わせる辺りも絶妙で、たとえヒロインが彼に恋い焦がれていても、最終的に結ばれるのはケビンの方なんだろうなと、予想も出来るし、納得も出来ちゃう。  「先が読める展開」「安易な脚本」ではあるんだけど、ちゃんと丁寧に作られていたと思います。   主人公カップルに「結婚式が大好きな女性」と「結婚式が嫌いな男性」を据えて「相性最悪かと思われた相手が、実は運命の相手だった」というラブコメ王道の魅力を描いている点も良い。  それと「ドレスを着たままおしっこする際は、誰かの補助が必要」とか、男性からすると(そうなんだ)と思える場面があるのも良いですね。  女性向けのラブコメ映画だからこその、意外な魅力って感じです。  「要領が良くて、周りに愛される妹」「それに対する、姉としての複雑な感情」を描いている点も、女性主人公ならではって感じがして、これまた楽しめちゃいました。   終盤、主人公が妹の結婚をぶち壊して憎まれ役になる訳だけど、そこで親友がキチンと「こんなの間違ってる」と諭してくれるのも良いですね。  観客が主人公から心を離してしまうのを繋ぎ止める効果があり、ラブコメの親友キャラとして、良い仕事したなって思えました。  アン・フレッチャー監督は「あなたは私の婿になる」(2009年)も良作でしたし、こういう細かい部分の作り込みが自分好みなんでしょうね、きっと。   そんな本作の欠点は……  「姉妹が仲直りする場面に、無理がある」って事でしょうか。  ここに関しては、些細な部分ではなく、映画の中で重要な部分だと思うので、ちょっと看過出来ないです。  妹のベスは、彼女なりに色々考えて「ジョージに相応しい女性になろうとした」と告白するんだけど、具体的に何か努力したという訳じゃないので、説得力に欠けるんですよね。  その辺に関しては、作り手側も気になったのか「実は仕事をクビになったばかりだし、元カレに振られていたりで、妹も挫折を経験していた」「妹は妹で、姉にコンプレックスを抱いていた」と、様々な要素を用意してはいるんですが、どれも和解に至る決定的な材料とは思えず、残念でした。  せめて「喧嘩の切っ掛けになった母親のドレスについて、妹が謝る」って場面があれば、印象も変わったかも。   とはいえ、冒頭にて述べた通り「ブライズメイドを務めてあげた友達27人が、ドレスを着て結婚式に来てくれた」というオチが凄く良かったもので、鑑賞後の満足度は高め。  (これまでの主人公の行いは、無駄じゃなかったんだ……)って感慨を抱けるし、映画のクライマックスと共に完結する構成が美しかったです。  新聞記事に擬したエンドロールも御洒落だし、ラスト数分で一気に評価を高めてくれた一本でした。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-03-16 22:46:47)(良:2票)
172.  ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 《ネタバレ》 
 冒頭にて、初代同様に「All By Myself」が流れたりと、ちゃんとファンの事を意識して作ったのが窺える三作目。   とはいえ、2で最高のエンディングを迎えておきながら「やっぱりマークと別れました」と言われても納得出来ない訳で……  「無理矢理作った続編」感は否めなかったですね。  三作目まで「マークと他の男、どちらと結ばれるか?」で引っ張るのにも、無理があった気がします。   と、そんな具合にストーリー面には不満もありますが「痩せて熟女になったブリジット」を拝めるという意味では、充分に楽しめる映画。  ラブコメのヒロインが老けちゃうのって、基本的にはマイナスでしかないはずなんだけど、彼女に関しては作中の台詞通り「エロ年増」的な魅力もあって、良かったですね。  とうとう禁煙に成功したっていうのも感慨深かったし、誕生日ケーキに立てられた四十三本の蝋燭を見つめ、何とも言えない笑みを浮かべる姿も良い。  母としての愛に目覚め、無事に出産して赤ちゃんを抱く姿にも、本当に(おめでとう)と祝福する気持ちになれました。   ギャグの面でも可笑しい箇所が色々ありましたし、特に「スタバの店員」ネタはお気に入り。  ここ、過去作にも共通する「元ネタを知らずとも充分面白い」バランスに仕上げてあるのが、本当に良いと思いますね。  エド・シーランを知らなくても、ちゃんと話の流れで「彼は凄い歌手だったんだ」と理解出来るよう作ってある。  クライマックスにおける「愛と青春の旅だち」をパロった演出も、また然り。  本シリーズって、根底には「ダーシー様に恋する文学オタクの為の映画」ってのがある訳だけど、マニアックな笑いに走り過ぎず、色んな人が楽しめるよう配慮されているのが見事でした。   「夢は共有出来るのに、現実はズレてばかり」という台詞も切ないし、旦那候補のジャックも、女医さんも良いキャラでしたね。  前作におけるレベッカもそうでしたが、続編で出てくる新キャラにもきっちり魅力があるというのは、大いに評価したいところです。   その一方で、そんなレベッカが本作で再登場してくれないというのは寂しいんだけど……  まぁ、これは登場人物を絞る為に、仕方無かったのかな?  初代からの恋敵であるダニエルが出てこないのも「流石に三作連続で、同じ顔触れの三角関係やる訳にはいかないから」って事で、納得出来る範疇でした。   改めて考えてみると「マークの元妻であるカミラの存在感が薄過ぎる」とか「女上司のアリスがそこまで悪い人じゃないので、啖呵を切って辞職する場面に一作目ほどの爽快感が無い」とか、欠点も色々思い付いちゃうんだけど……  決定的にファンを裏切るような真似はしていないし、一定のクオリティはあったしで「不平不満」より「映画三本分かけて付き合ったブリジットへの愛着」が優っちゃいますね、どうしても。   マークと結婚して幸せになりましたって終わり方なのも「王道」というより「予定調和」なんですが、それが心地良い。  エンドロールの最後を飾る、家族三人の写真にも和みましたね。  良い映画であり、良い三部作だったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-11 10:33:36)
173.  ブリジット・ジョーンズの日記 《ネタバレ》 
 この映画に関しては、元ネタである「高慢と偏見」を知っているかどうかで評価が分かれそうな感じですね。   それというのも、文学少女の憧れである「ダーシー様」を1995年のドラマ版で演じたコリン・ファースが「マーク・ダーシー」役を演じている訳だから、本作のブリジットは彼と結ばれるって事がバレバレなんです。  一応、ストーリーラインとしては「マークとダニエル、どちらと結ばれるのか分からない三角関係」って形になっているので、これはかなり致命的なネタバレ。  作り手側としては、もう配役の時点で開き直り、最初から「三角関係」要素を薄めて「ブリジットとマークが紆余曲折を経て結ばれるラブコメ」として仕上げているんでしょうけど……それでも消しきれない「三角関係」要素が、重荷になってる気がしましたね。  ダニエル役にヒュー・グランドが起用されているのも「豪華」というよりは「準主役でもないのに、勿体無い」と思えちゃいました。   そんな訳で、自分としては「悪い意味で結末が分かり切ってる映画」という、大きなハンデを背負った上での鑑賞だったのですが……  それでもしっかり楽しめた辺りは、流石という感じ。   本作が2000年代を代表するラブコメというだけでなく「ブリジット・ジョーンズは2000年代と寝た女」と思えちゃうくらい、彼女が魅力的に描かれていたんですよね。  ちゃんと仕事は頑張ってるから「彼氏がいないのを嘆いて、自堕落な休日を過ごしてる姿」も微笑ましく思えたし「ぽっちゃりとした女性の色気」が、視覚的に描かれていた辺りも良い。  特にカメラに向かってブリジットの巨尻が落ちてくる場面なんて、ギャグタッチにも拘らず昂奮しちゃったくらい。  メールでは強気な態度を取れるけど、いざ相手と目が合ったら愛想笑いしちゃうとか、そんなところも憎めない。  そんな彼女を愛でる「萌え映画」として考えれば、本作は満点に近い出来栄えだったと思います。    「人生やり直せるなら、今度は子供を作ったりしない」と母に言われる場面では鼻白んだとか、ブリジットの友人達の存在意義が薄いとか、不満点も色々あるんだけど、まぁ御愛嬌。   どちらかというと、終わり方がアッサリし過ぎていたのが気になりましたね。  これは欠点というよりは「マークと上手くいきそうになって、これから面白くなりそうだってところで終わるのが残念」っていう類の不満点です。  結果的に三部作になったので、この不満も続編で解消される訳だけど、本作単体で考える分には、どうしても「物足りない終わり方」って評価になっちゃうと思います。   後は……上司にカッコいい啖呵を切って辞職する場面が痛快だったとか、頑張って新しい自分に変わろうとするブリジットに「ありのままのキミが好き」とマークが言ってくれる場面にはグッと来たとか、そのくらいかな?   こういったシリーズ物の場合、初代が一番面白くて続編は蛇足ってパターンも多い訳ですが……  本作に関しては、続編の方が面白いんじゃないかと思えましたね。  興味がおありの方は、是非チェックして欲しいです。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-11 10:02:42)(良:1票)
174.  マンイーター 《ネタバレ》 
 地に足の付いた、王道のモンスターパニック映画って感じですね。   オーストラリアの奥地を舞台としており、適度な「旅気分」を満喫させてくれるし、始まって十分もしない内に皆を乗せた舟が「クロコ探し」に出発するのもスピーディーで、良い感じ。  川下りの際に「アフリカの女王みたいだ」って、自分が思った事を劇中人物が口にしてくれるのも、妙に嬉しかったです。   ワニに襲われる恐怖だけでなく「緊急避難先の小さな島も、やがて満潮になれば水没してしまう」っていう恐怖を付け足してる辺りも上手い。  救助を待つべきか、危険を承知で脱出を試みるべきかという二択問題に「制限時間」が設けられている形であり、緊迫感を高めていたと思います。  ・遭難者の中で最も頼りになりそうな人物が、真っ先に喰われてしまう。 ・嫌な奴が「実は良い奴だった」と判明した直後に喰われてしまう。 ・餌にされずに済んだかと思われた犬が、結局は喰われてしまう。 ・喰われたかと思われたヒロインのケイトが、実は生きていた。   って具合に「誰が生き残るのか」を読めなくする、適度な意外性を盛り込んでいる辺りも上手かったですね。  主人公についても、途中で手を喰い千切られる場面があるもんだから(もしや?)と思えて、最後まで油断せずに観ていられましたし。  「自らを囮にして、木の杭で串刺しにする」っていうワニの倒し方も、派手で良かったです。   翻って、短所を述べるなら……  やはり「島から脱出した後が、少し冗長」って辺りが挙げられるかな?  これを欠点と言うのは可哀想な気もしますが「小さな島に漂流してしまい、周りにはワニがいるので逃げられない」ってシチュエーションが魅力的だっただけに、島からの脱出に成功した後は、もっと手早く纏めて欲しかったんですよね。  漂流者グループの人数が多かった割に、島の脱出後は主人公以外が殆ど出てこなくなるってのも、流石にバランスが悪い。  お陰で、主人公とワニが戦ってる最中にも(他のメンバーはどうなったの? 無事に逃げ切れたの?)って事が気になって、折角のラストバトルに没頭出来なかったですし。  結局「途中で別れたメンバーは全員無事に助かった」ってオチになるので、ハッピーエンド色を強める効果はあるんですが、マイナスの方が大きかったんじゃないかと。   「中盤までは面白くて、終盤ちょっと退屈」って構成なので、鑑賞後の印象という点では不利になってしまうのが残念ですね。  呑気なエンディング曲も味わい深いし、憎めないというか、愛嬌のある映画ではあるんですが、傑作とは言い難い……そんな一品でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2020-09-30 08:39:10)(良:1票)
175.  パーティー・ナイトはダンステリア 《ネタバレ》 
 「青春映画」って言うと、高校生や大学生くらいの主人公を連想するものですが、こういうのも立派な「青春映画」じゃないかって思えますね。   一流の大学を出たのに「本当にやりたい仕事が見つからない」とボヤいて、実家暮らしでバイトを続けてる主人公。  そんな彼がパーティーの一夜を経て、未来に向けて前進するまでが描かれていますし、年齢など関係無く「青春」を感じさせてくれる内容だったと思います。  ラストシーンにて、鬱屈とした日々を共有していた主人公達三人が再び揃って、笑顔を見せ、朝食の為に車を走らせる場面で終わるというのも、凄く爽やか。  全編に亘って懐かしいテイストの80年代音楽が流れているし、基本的には「楽しい映画」「後味の良い映画」だったと思います。   ただ、色々と欠点も目立っちゃって……  脚本の粗とか、稚拙な演出とか、そういう部分なら「愛嬌の内」と笑って受け流す事も出来るんだけど、本作の場合「主人公の魅力が薄い、感情移入出来ない」っていう根本的な部分にも不満があるもんだから、困っちゃいましたね。  序盤の段階で職業を詐称したり、車泥棒したりといった展開になるのもどうかと思うし、もうちょっと「こいつは良い奴だな」と感じさせる場面が欲しかったです。  車泥棒の結果として、当然のように捕まる訳だけど、そこで警官の父親に揉み消してもらって助かるっていうのも、凄く恰好悪い。  ここの場面、親友のバリーは「俺一人で盗んだ」と主人公を庇っているのに、主人公はバリーを庇う素振りを全然見せないもんだから、そこにもガッカリしちゃったんですよね。 「お前は未だ負けてないぞ。本気でチャレンジしてないからな」 「負け犬と名乗る資格すらない」  という父親の台詞は良かったけど、上述のアレコレが引っ掛かってしまい、イマイチ感動出来なかったのも残念。  この後、主人公は同級生の前で演説したり、度胸試しに挑んだりで「男を見せる」感じになるんだけど、それまでのマイナスが大き過ぎて挽回しきれなかった気がします。   個人的には、車椅子暮らしのカルロスの方が主人公より魅力的に思えたくらいでしたね。  プロ野球選手を目指していたのに、事故で歩けなくなったとか、それでも金融業界で立派に働いてるとか、凄くドラマティックな人生を送っていますし。  見栄を張って自分もカルロスの同僚と言い張る主人公に呆れつつも、仕方無く同調してあげる場面とか、どう考えてもカルロスの方が主人公より「良い奴」に思えたし、出番が僅かなのが勿体無かったです。   そんな訳で、総評としては「そんなに悪くない、ちょっと良い感じの青春映画」くらいに落ち着くんですが……  劇中曲の数々が凄く良いもんで、また何時か観返したくなっちゃいそうですね。  そうしたら、初見では欠点に思えた部分も違った見方が出来るかも知れないし、今からその時が楽しみです。
[DVD(吹替)] 6点(2020-08-06 18:43:31)(良:1票)
176.  ベイウォッチ 《ネタバレ》 
 ライフガード物……というよりは、刑事物って感じの映画ですね。   作中でも散々「それは刑事の仕事」とツッコまれていますし、海での人命救助がメインの話と思って観ると、ガッカリしちゃうかも。  海ではなく、スタジオで撮影しているなって丸分かりな場面もあったりするし、色々とハードルを低くして観る必要があると思います。   それと「よぉ、ハイスクールミュージカル」「有り得ないTVドラマのパクリみたい」などのメタな台詞を挟んでいるのは、ちょっとオタク映画っぽくて、この題材とは不釣り合いにも思えましたね。  内気なロニー青年を「第三の主人公」枠にしたりして、マッチョ賛美な体育会系の映画ではない、幅広い客層が楽しめる映画にする意図があったのかも知れませんが、それが成功していたとは言い難いかと。   でもまぁ、自分としては「ザック・エフロンとドウェイン・ジョンソン主演のアクション映画」が拝めただけでも満足というか……  至らないところも多々あるけど、充分に合格点に達してる映画だと思うんですよね、これ。   怖いもの知らずな若者と、経験豊富なベテラン主人公のコンビって時点で、バディ物としては王道な魅力があるし、二人が衝突しつつも互いを認め合い「仲間」「相棒」になっていく流れも、微笑ましくて良かったです。  観ていて安心させられるというか、新鮮な驚きは無い代わりに、落胆させられる事も少ないって感じ。   音楽もノリの良いのを揃えてあるし、水着美女のサービスシーンも豊富。  海が舞台なんだから、これは外せないとばかりに、ジェットスキーでのアクションがある辺りも嬉しいですね。  先程は「スタジオ撮影なのが丸分かりな場面がある」と減点個所を述べてしまいましたが、それ以外では「海の美しさ、解放感」を感じさせる場面も多かったし……  結果的にはプラマイゼロどころか、プラスの方が大きいくらいなんじゃないかと。   元ネタのTVドラマ版で主人公ミッチを演じたデビッド・ハッセルホフが「ミッチの師匠」というポジションで登場したりと、ファンサービスをしっかり行っている点も良かったですね。  エンドロールのNG集も和気藹々としてるし、撮影現場の楽しい雰囲気が伝わってきました。   それでも、最後に「これだけは、どうにかして欲しかった」という希望を述べさせてもらうなら……  クライマックスは「敵のボスを撃つ」ではなく「人命救助」って形にして欲しかったですね。  一応、ボスを倒す直前に「ミッチがブロディを助ける場面」もある為、ライフガード要素が必要無かったって訳じゃないんですが、最後の最後で(……これ、やっぱり刑事物でも成立したよなぁ)って気持ちにさせられて、興醒めしちゃいましたし。  そこのところを上手くやってくれていたら、もっと自信を持ってオススメ出来る品になってたと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2020-06-25 13:02:29)
177.  アメリカン・パイ in ハレンチ教科書<OV> 《ネタバレ》 
 中盤までは、とにかく退屈。  「自慰を家族に見られる」「恥ずかしい動画が拡散しちゃう」っていう過去作のネタをなぞりつつ、淡々と物語が進んでいく感じで、全然ノリ切れなかったんですよね。  初代に出てきた「性書」が再登場した際には(おっ……)と思いましたが、それも読める部分が殆ど無くて役立たずっていうんだから、観ているこっちもガッカリ。  唯一魅力的なキャラである「主人公の母」は出番少なめだし、山場となる「下着の万引き」「お婆さん娼婦の死」に関しても、あんまり笑えなかったです。   そんな訳で、これはシリーズでも最低の作品ではないかって失望すら浮かんできちゃったんですが……  そこで颯爽と、ジムの父親が登場!  前作の「ハレンチ課外授業」での失態を帳消しにするくらい、一気に映画を面白くしてくれたんだから、もう嬉しくって仕方無かったですね。  ボロボロになった「性書」を復元していく様はスピーディーな演出で楽しかったし、結婚生活が35年続いた秘訣について「妻を愛し、妻を尊重してきたからだ」と演説するジム父の姿も良かったです。  本作においては「若者達を優しく見守り、アドバイスを与えてくれる」というジム父の魅力がしっかり描かれており、その点でも自分泣かせというか(ちゃんと、このシリーズの魅力を分かってる人達が作ってくれたんだな……)って、感激させられるものがありましたね。   そんなジム父が退場した後の、スキー旅行のパートも面白くって、序盤~中盤にかけてのグダグダっぷりは何だったのと不思議に思えちゃうくらい。  それまで全然魅力を感じなかったヒロインのハイジについても「スキー場の女性は綺麗に見える」の法則で、スキーウェア姿が実にキュートだったし、それまで「嫌な奴」だったスコット・スティフラーには天罰が下り、反省して「憎めない奴」に変わっていくしで、それまでの欠点の数々が、悉くプラスに転じているんですよね。  「魅力を感じないヒロイン」「不愉快なだけで愛嬌皆無のスティフラー」が、一本の映画の中で、こうも変わるものかと感心しちゃいました。   それと、前作で失われた「青春映画の切なさ」が復活している点も、忘れちゃいけない魅力。  空中で止まったゴンドラにて言葉を交わし、結ばれる男女の姿なんて、実にロマンティックでしたからね。  最後に「性書」の貸し出しカードにサインして、元の場所に戻すのも「童貞からの卒業」「青春の終わり」を感じさせて、良い場面だったと思います。   冒頭にて述べた通り「中盤までが退屈」っていう明確な欠点がある為、総合的に評価するなら6点くらいになっちゃうんですけど……  後半で一気に挽回してくれた為、鑑賞後の印象は良かったですね。   やはりアメリカン・パイシリーズって良いよなぁと、しみじみ思わせてくれた、そんな一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-05-16 08:51:38)
178.  アメリカン・パイ in ハレンチ・マラソン大会<OV> 《ネタバレ》 
 主人公が自慰を家族に見られる場面から始まるのは「原点回帰」って感じがして良かったんですが……  そのショックで祖母が死んじゃう形なので、全然笑えないし、ノリ切れなかったんですよね。  思えば、その躓きが最後まで尾を引いて、本作を残念な印象にしてしまった気がします。   その他にも「目に見えて画面が安っぽい」とか「主人公エリックの父が嫌な奴のまま終わるので、スッキリしない」とか、色々と欠点が多いんです。  前作「バンド合宿」の分を取り戻そうとするかのようにパーティー描写が濃厚なのも、個人的には嬉しかったけど……ちょっと下品過ぎて、ウンザリしちゃう人もいるかも。   とはいえ、自分としてはやはりアメリカン・パイシリーズが好きなもので、評価も甘くなっちゃうんですよね。  「主人公とヒロインが、最初から恋人同士である」って設定にして、過去作との違いも打ち出しているし、大学生達が全裸で校内をマラソンするという「ネイキッド・マイル」って発想も面白いしで、どうも嫌いになれない。   そして何といっても、ジムの父親が出演しているのが嬉しくって……「お前はジムの父さえ出ていれば満足なんだろ」って、自分にツッコミを入れたくなったくらい。  そんなジムの父が、大学時代には「歴代最高のハジケ野郎」「ネイキッド・マイルの創始者」であったと明かされる辺りなんかも、色々と妄想をかき立てるものがあって、良かったと思います。   「走って揺れる巨乳を、スローモーションで映す場面」には正直興奮しちゃいましたし、そんなエロティック要素だけでなく、青春映画としての要素も、ちゃんと盛り込んであるんですよね。  親戚のドワイトが「家名に恥じぬ生き方をするのは大変だ」と本音を漏らす辺りは、思わずしんみりしちゃったし、それがラストシーンにて「スティフラー」と呼ばれ「エリックで良い」と応える主人公の姿にも、きちんと繋がっている。  家名に囚われたりせず、前向きに、自由に生きる事を決意した主人公って感じがして、爽やかで良かったです。  美女のブランディ相手に、童貞喪失出来そうになったのに「好きな子がいる」と誘いを断ってみせる場面も(良くぞ言った!)って気持ちになれましたし、良い場面だったんじゃないかと。   「低予算である」「欠点も多い」という事は重々承知だし、誉め言葉に負けないくらい、悪口も浮かんできそうな作りではあるんですが……  「映画としてチャーミングな部分」も、ちゃんと備え持っている。  そんな、憎めない一品だったと思います。 
[DVD(吹替)] 6点(2020-05-16 08:48:08)
179.  ディスタービア 《ネタバレ》 
 2020年の春。  自宅待機しながら観るにはピッタリの映画じゃないかと思ったので、久々に再鑑賞。   言わずと知れた名作「裏窓」の系譜の品なのですが、主演がシャイア・ラブーフというだけでも、一気に現代的な魅力が出るから凄いですよね。  良い奴過ぎず、嫌な奴過ぎず。  二枚目過ぎず、不細工過ぎずって感じで、等身大で感情移入しやすい若者を、今回も好演していたと思います。   ただ、内容については……  肝心の「裏窓」要素が微妙というか、なんていうか(これなら「裏窓」をなぞらなくても良かったじゃん)って感じなんですよね。  「ずっと覗き見していた近所の美少女と、紆余曲折の末に結ばれる」という展開も、男に都合良過ぎで説得力を感じないし、女性がコレを観て、ときめくとも思えなかったです。  序盤にあった「父親の死」も意味が無くて、作中で「悲しみを乗り越え、成長する主人公」に繋がる事も無かったし……  「因縁のある警官」は全く活躍せずに退場するし「家から30m離れたら警報が鳴る装置」も犯人との対決で何の意味も持たなかったし……  色んな要素をアレコレ詰め込んだは良いけど、それらを活かしきれないまま「元ネタの『裏窓』と同じように犯人を退治して、めでたしめでたし」で終わらせているので、凄く中途半端なんですよね。  正直、作品の完成度という意味では、かなり低いんじゃないかと。   そんな具合に、短所を挙げだすと止まらなくなるような品なのですが……  好きか嫌いかで言うと、何故か「好きな映画」になるんですよね、これ。  いやホント、自分でも不思議。   一番の長所を挙げようとしても「主人公三人組が、張り込みごっこをする様が楽しそう」とか、そのくらいになっちゃうレベルなのに、何か好きなんです。  理由を考えてみるに「ヒロイン、男友達、母親と、死んで欲しくないと思えるキャラが全員無事に生き残る事」「血生臭い描写が少なくて、安心して観ていられる事」が大きいのかな?  あとは、音楽の使い方が良いとか、カメラワークもベタではあるけど、お約束を押さえてる(冷蔵庫のドアを閉めたら、それまで見えなかった人影がカメラに映り、主人公も驚く)とか、その辺が良かったのかも。  こういう細かい良さが色々あったので、上述の欠点についても、観ている間はそこまで気にならなかったです。   かつての自分もそうでしたが「血生臭いホラー物が苦手な青少年」に、適度な怖さとスリルを与える映画としては、合格ラインに達しているんじゃないかな……と、そんな風に思えましたね。  「自宅監禁は楽そうだけど、ストレスでおかしくなる人も結構多いの」って台詞が劇中にありましたが、少なくともこういう映画を楽しめている内は、おかしくなる心配をしないで済みそうです。
[DVD(吹替)] 6点(2020-04-27 07:41:39)
180.  ハングオーバー!!! 最後の反省会 《ネタバレ》 
 三部作の最後は、完全にアランが主人公。   その分、アランの魅力も堪能出来る内容なら良かったのですが……  むしろ、その「嫌な奴」っぷりが前二作より強まってるくらいで、本当にもう「何でだよ!」とツッコみたくなっちゃいましたね。   これ、作り手としては「愛嬌のある、憎めないアラン」として魅力的に描いてるつもりなんでしょうけど、自分は全然そうは思えなくて、辛かったです。  息子のアランに怒り狂って死んじゃったパパも可哀想だし、そんなパパの最後の言葉まで偽って、母親に迷惑かけながらニート生活を続ける気満々な辺りとか、流石に呆れちゃいます。  フィル達には懐いてるけど、母親や女中への態度は悪いって点も(可愛い奴だ)とは全然思えなくて(人として最低)(周りに世話してもらって生きてるんだから、せめて周りに優しくしようよ)と、嫌悪感しか湧いてこなかったです。   終盤「キャシーという恋人が出来る」「悪友のチャウに別れを告げる」って形で、アランなりに成長した事が描かれているんだけど、それに関してもノリ切れなかったんですよね。  キャシーと意気投合したキッカケの一つが「母親に対する悪口」ってのも引いちゃうし、チャウに関しては(いやいや、アランが嫌な奴なのって別にチャウのせいじゃないでしょ?)と思えちゃうしで、全然マイナスが挽回出来てなかったと思います。   そんな訳で「主人公のアランに魅力を感じない」という、大きなハンデを背負って鑑賞した本作なのですが……  意外や意外、これが結構楽しめたんですよね。  といっても、1ほどではなくて、2と同じくらいの面白さって感じなんですが、それでも(結構面白いじゃん)と、好意的な印象が残りました。   まず、2が「1の焼き直し過ぎて、2独自の良さが殆ど無いから良さを書けない」って内容だったのに対し、3には間違い無く「本作独自の良さ」が沢山あるってのがポイント高い。  それはつまり「1や2とは違う内容」「ハングオーバーシリーズである必要が無い」って事でもあるんですが、自分としてはそれで正解だったと思いますね。  感想を書く立場としても、3の方がずっと書き易いし、書いていて楽しいです。   冒頭、チャウの脱獄から物語が始まるっていうのも、刑務所もの(&脱獄もの)が好きな身としては興奮しちゃったし、そんなチャウが「第四の主人公格」として活躍しまくっているのも良い。  これは2にあった欠点「メインとなるのが前作と同じ三人組で、新鮮味が無い」を、見事に打ち消す効果があったと思います。   皆で力を合わせ、豪邸に忍び込む件も面白かったし「実はチャウの金塊ではなく、マーシャルの金塊を盗む手伝いをさせられていた」という、どんでん返しも良かったですね。  これは1や2には備わってなかった面白さであり、それだけでも(3を観て良かった)と思えました。   それでいて、後半には再びベガスに戻ったり、ジェイドが再登場したりと、1からの観客に対するファンサービスが、しっかり行われている点も良い。  今回は三部作を続けて鑑賞する形を取った為、1では赤ん坊だったジェイドの息子が成長してる事にも、何だかグッと来ちゃいましたね。   それと同じく、1では端役に過ぎなかったチャウが、立派なメインキャラに成長している事も、これまた感慨深い。  自分としては、アランよりもむしろチャウの方が魅力的なキャラなんじゃないか、と思えたくらいでしたね。  悪人だけど、彼なりに仲間は大切に思っているって事が伝わってきましたし、金塊を独り占めした後に警報を鳴らす時の、意味深な表情や仕草なんかも(アラン達を警察に保護させようとした、チャウなりの優しさでは?)と思えて、印象深いです。   最後には、しっかりチャウがトランクに閉じ込められて、そこから解放され、また馬鹿騒ぎのパーティーをやって終わりというのも、実に「ハングオーバー」らしくて好き。  映画の面白さという意味で考えると、点数では2と同じになっちゃうんですが……  印象としては、ずっと好ましい、良い完結編だったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2020-04-16 18:07:52)
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