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アングロファイルさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1000
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 レビュー数が1000に達したということで、活動を停止します。(今のところ)仕事がひじょうに忙しいので、映画を楽しむゆとりがありません。落ち着いたら再開するかもしれませんが、とりあえず未定です。

皆さま、ありがとうございました。縁があったらまたお会いしましょう。

※変更要望は出すかもしれません。

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1.  マイ・フェア・レディ 《ネタバレ》 
これも初めて見たのは『日曜洋画劇場』でした。しかし普通の120分枠での放送だったので、おそらく半分以上はカットされていたはず……。それでも十分楽しめたので、皆さんおっしゃるように長すぎるのかもしれません(笑)。私はそうは思いませんが。なんにせよ、その放送を見てたいへん気に入り、後日レコード屋でサウンドトラックのLPを見つけて即購入。何度も聞き返した思い出があります。 しかしこの映画、「オードリー・ヘプバーンの映画」だと思われているのは、たいへんな不幸です。これは誰がなんと言おうとレックス・ハリソンの映画でしょう!! イライザ役はジュディだろうがオードリーだろうがどっちでもいいのですが、ヒギンズ教授役ははかに考えられません。あの無意味に(?)尊大なところとか、女性を小馬鹿にしたところとか、それになんといっても、歌ってンだか喋ってンだかわからないムチャクチャなところか、とにかくレックス・ハリソンの魅力大爆発。イライザに去られて叫ぶ "Mother!" というのも忘れられません。単に尊大なだけでなく、その裏には常にユーモアに裏打ちされた滑稽さをのぞかせているのはさすがです。そういう部分があればこそ、終盤でイライザがいない淋しさを語る場面に説得力が出てきます。 イライザの側から見れば、単に貴婦人になるだけではなく、人間らしい扱いを求めるようになった。言葉遣いを直せば上流階級の人間に見えるでしょうが、中身までは変えられないでしょう。つまり人間らしい精神は彼女が最初から持っていたものですが、それは前半でのヒギンズとのやりとりを見れば明らかです。これはイライザが(男女を超越して)一個の人間として認められるまでのお話です。であるからこそ、ショウの原作とは異なるハッピーエンドでもこちらは納得してしまうのでしょう。 ともあれ、私はLD・DVD・ブルーレイと、ソフトが変わるたびに購入しています。こんな映画は他にありません。そうしてでも手元に置いておこうというだけのものを、本作は確実に持っています。〔レビュー500本目〕
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2013-07-02 21:13:19)
2.  シャレード(1963)
家庭用ビデオがなかった時代、昔の映画を見るには、リバイバルされるかテレビで放送される機会を待つしかありませんでした。本作を初めて見たのは大学生の頃。正直、予想以上のおもしろさにビックリしました。翌日、たまたまやはり見ていた友人と「面白かったな~」と語り合ったものです。 今回久しぶりに見直しましたが、やはりとても楽しい。粋でお洒落でスマートな、ある意味大人のための童話みたいなお話です。特に後半、次々人が殺されていきますが、あくまでもユーモラスでロマンチックなサスペンス・コメディに徹しているところがすばらしい。犯罪をある種の「ゲーム」として楽しむだけの余裕がないと、こういう映画は楽しめないでしょうね。作中、ケイリー・グラントが「僕の歳では真面目になんかなれない」と言っていますが、この作品のスタッフもおそらく同じ気持ちでしょう。「こんな映画、真面目に作れるか!」ってね。観客も、真面目に見てはダメ。そんな娯楽映画の王道でしょう。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-10-10 19:38:15)
3.  がんばれ!ベアーズ 《ネタバレ》 
たしか『ベンジー』に次いで、映画館で見た洋画第2作だったと記憶しています。それ以後テレビで二度ほど見ましたが、長らくごぶさた。久しぶりに見たら、以前とは印象がかなり異なりました。 始まって感じたのが、「なんでこんなに地味?」ということ。画的にも凝ったところはないし、ストーリーもよく言えばサクサクと、悪く言えばすっ飛ばして進行します。ベアーズのメンバーは、少々誇張はあるものの、どこにでもいそうな子供(ただし悪ガキ)で、もう少しマンガチックな作という記憶があったのですが、それは吹き替えでのアニメ声の影響でしょうか。画作りもむしろドキュメンタリーのような雰囲気があり、子供におもねっていないというか、実は子供向けの映画ではなかったんじゃないかと思ってしまいました。 見ごたえがあったのは、最後の決勝です。山あり谷ありでさすがにドラマチックな展開になるのですが、しかし演出はあくまでクールで写実的。ルーパスがフライをキャッチするところや、最後のケリーのホーム突入なども、もっと盛り上がるのかと思ったら、あっさり次に進んだのは驚きでした。やっぱりリアル重視という感じです。 さて、決勝で監督のバターメーカーとベアーズメンバーが不和となるのですが、それは結局、バターメーカーが自分のために必死になっていたからだと思うのです。最初の試合での大量失点、そして試合放棄。この屈辱に対し目にもの見せてやれという気持ちで、バターメーカは動いていたので、ベアーズのメンバーのためではなかったのですね。この不和の解決方法がすばらしい。子供たちは、ただ沈黙するのみ。そしてカメラは、その表情を丁寧に映し出します。それこそが実に雄弁に、見ているこちらの気持ちに突き刺さります。下手にセリフで説明せず観客に人物の気持ちを伝える。見ごたえのある、すぐれたシーンでした。思い出補正もあり10点ですが、決して身びいきでなく、愛すべき良い映画だと思います。
[映画館(字幕)] 10点(2011-02-22 22:41:49)(良:3票)
4.  アンドロメダ・・・ 《ネタバレ》 
『日曜洋画劇場』で見たのが最初でした。とにかく面白かった。数日後、偶然書店で原作を見つけ、さっそく購入。かなり忠実に映画化されていることを知って、驚くと共にこの原作に感心しました。 本作の成功は、まずリアルな設定に徹したこと。物語自体が、実際に起こった事件の報告書という体裁をとっています。演出も、一部映画的な手法をとっていますが、おおむね地に足がついたリアルなタッチで貫かれています。「本物らしさ」の持つ迫真さを感じます。最下層に行くまでの長々しい描写も、本物らしく見せるためには必要不可欠なのです。 それと、物語の基本を「謎解き」に置いたこと。最初は何が起こったのか? という謎で引っ張り、次になぜこんな死に方をしたのか? に移り、最終的には「なぜあの二人だけが生き残ったのか?」という点にたどり着く。最後にはその謎を解いてみせる。形式こそSFですが、実はミステリーの要素が重要な位置を占めています。そのことが、推理小説が好きな私の心をつかんだようです。 あと、未知の存在を科学的に解析・研究する過程・手法。新しい事実を次々と発見していく面白さ、未知のものを解き明かす知的興奮を味わうことができます。これもやはり一種の「謎解き」と言えるでしょう。専門用語も頻出しますが、実はあまり詳しくなくても理解できるように作られています。中学卒業程度の理科の知識があれば大丈夫でしょう。pH すら知らないというのなら、話は別ですが……。ということで、SFということで敬遠しそうな人にこそお薦めしたい名作です。 今回はNHKの放送を見たのですが、字幕にあまり適切でないところがあったのは残念でした。ロボットじゃあるまいし、“燃料”を飲んでいる人っていないでしょう。何の誤訳なんだか。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-02-14 20:18:43)(良:1票)
5.  ベン・ハー(1959)
この映画には、愛がある。友情がある。信頼と裏切りがある。希望と絶望がある。争いと平和がある。笑いと涙がある。勇気と自己犠牲がある。嘘と真実がある。圧政と抵抗がある。そしてなにより、信仰がある。この映画には、人の営みのすべてがある。これぞ傑作!
[映画館(字幕)] 10点(2010-12-03 19:17:25)(良:1票)
6.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
『奇跡の人』同様、小学生の時にテレビで見て、感動を覚えた映画。こちらは中学年の頃「水曜ロードショー」だったと思います。やはりなんの予備知識もなく偶然チャンネルが合って見始めたため、社会派ドラマとはつゆ知らず、法廷ミステリーとして見ていました。しかしそれが逆に幸いし、どんどん物語に引き込まれていきました。一見有罪間違いなしと思われた証言を突き崩してゆく面白さ。謎解きではありませんが、推理ものの魅力を十分堪能できます。 ここで注意しなければいけないのは、あちらの裁判では「推定無罪」が原則。つまり、検察側は有罪であることを立証しなければならないが、弁護側は必ずしも無罪であることを証明しなければいけないというわけではない、ということ。つまり有罪であることに疑念があれば、二者択一で無罪ということになります。劇中でも語られてはいますが、この原則がわかっていないと、なぜ無罪票が増えていくのか理解できないかもしれません。 それはともかく、推理ものとして見ていただけに、最後に3番陪審員が泣き崩れる場面でとてつもなく感動しました。ミステリーから人間ドラマへの転換が、実に鮮やかでおみごと。予想もしなかった展開だけに、感動も大きかったようです。当時子供だったので、父親の息子に対する思いなど理解できるはずもないのですが、大いに感じるものがあったようです。つまり私にとってこの映画は、社会派というよりはミステリー+父と子のドラマという印象が強く、その点他の方と受け取り方が少々ちがうかもしれません。が、映画史に残る名作であろうということは、変わらないでしょう。こんな古い映画をスクリーンで見ることはないだろうと思っていたのですが、今回機会に恵まれたのは幸いでした。ただ、あの最後の「無罪だ……」は、吹き替えの方が感動できるかも。
[映画館(字幕)] 10点(2010-11-20 17:41:30)
7.  奇跡の人(1962) 《ネタバレ》 
小学校低学年の頃だと思いますが、日曜洋画劇場で見たのが最初。そもそもなんで見ていたのかよく覚えていませんが、とにかく引き込まれて目が離せません。時間を忘れて見入っていました。途中のCM中にふと気がついたら、私以外の家族は翌日に備えて布団の中。しかし今さら寝ていられないと、最後まで見通しました。あの「ウォー」の場面では大感動。やはり、見ていてよかったです。おそらく、映画を見て感動したのはこの時が初めてでしょう。振り返ると、その後洋画劇場をさかんに見るようになり、中学時代は「ロードショー」誌を愛読し、今ではこんなサイトに投稿しているのも、あの時の感動があったからだと思います。私にとっての映画の原点であり、決して忘れることのできない一本です。 久しぶりに見ましたが、わかっていても最後は感動します。私は映画やドラマを見てもまずほとんど泣かないのですが、今回は涙があふれてきました。まだまだ自分も感受性が鈍っていないと自画自賛。誰が言ったのか、「人は人間として生まれるのではない、人間になるのだ」という言葉がありますが、まさにそれを表した映画です。人間らしさとは何なのかという大きな問題を、重くなりすぎずに提示している名作。
[DVD(字幕)] 10点(2010-09-22 21:12:12)(良:1票)
8.  情婦 《ネタバレ》 
DVDをレンタルしたのに続いて、2回目の鑑賞。さすがに最初の時のような驚きはありませんが、随所に見られる小道具の使い方のうまさを堪能できます。ミス・プリムソールの存在も大きい。まあ、これを最後までミステリものだと思って見たら、それほど評価は高くないかもしれません。しかし本作の真価は、法廷ものだと思っていたら、最後に男と女の激しい憎悪の物語に転換するところでしょう。さらにヒューマンな締めくくりでダメ押しです。それでこそ素晴らしいどんでん返しと言えましょう。ディートリッヒはもちろんですが、嫌味な男を演じたタイロン・パワーも好演でした。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2010-08-16 19:28:37)
9.  ローマの休日 《ネタバレ》 
個人的に劇場でしか見たくない映画 No.2 なので、ずいぶん久しぶりでした。少なくとも、オードリーが亡くなってから見たことはないはず。が、あいかわらず楽しい、そしてステキな映画です。とってもおかしいし、笑いのとり方に品がありますね。そして最後の“Rome”は、わかっていても感動で涙ぐんでしまいます。こんないい映画になったのは、脚本のよさか、監督の手腕か、オードリーの魅力か、グレゴリー・ペックが格好いいからか、ローマという街の持っているオーラから来るのか。きっとそのすべての要素に、さらになにかよくわからない「プラスアルファ」があって初めて、これだけのすばらしい作品になったのでしょう。もうほとんど奇跡です。奇跡の名作。
[映画館(字幕)] 10点(2010-06-02 20:31:45)(良:1票)
10.  ダイヤルMを廻せ!
実は、録画してから見るまで一年以上経ってしまいました。だって、これまで何度も見ていますから。内容はほとんど頭に入っている。けれど抜群に面白い。ものすごく引き込まれる。最高!
[CS・衛星(字幕)] 10点(2010-01-26 19:41:37)
11.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
せっかくの割引の日ということで、IMAX3Dで鑑賞。かなり面白かったです。人物紹介もそこそこに髑髏島へ乗り込み、あとはとにかくアクションのつるべ打ち。途中での原住民との出会いもいい具合に箸休めになっています。適度にドラマを盛り込み、大上段に振りかぶっていないところが効果的でした。小道具の使い方もうまい(どうも最近、こういう映画を見たという記憶がありません)。まあ難点は、いつ怪物が襲ってくるかわからないのに、けっこうお気楽な雰囲気のところでしょうか。もう少しユーモアも入れてほしいところですが、この話の流れだと難しいかもしれません。ともあれ、次作の設定がどうなるのか、いろいろと想像をかき立てるところもあるし、娯楽作品としてよくできていたと思います。特に「コング対大ダコ」というのは嬉しかった。
[3D(字幕)] 9点(2017-04-03 16:09:58)
12.  猿の惑星 《ネタバレ》 
最初に見たのは「月曜ロードショー」でした。荻昌弘さんが最後に猿のメーキャップをして登場した放送です。ラストについては「あ、そう」という感じで、特に驚きとかは感じませんでした。まあ子供だったから意味もあまりよくわかっていなかったのでしょう。その後民放で2回ほど見ました。  今回久しぶりにノーカット・字幕で見て、ていねいな作りに感心しました。宇宙船が不時着してから砂漠や荒野を越え、植物を発見し、次第に惑星のことがわかってくる。そして人間を登場させ、人間を狩る猿の出現。この展開は正攻法ながら、それ故に成功しています。物語の設定が奇抜なだけに効果的だと思います。それ以降も、テイラーが喉を打たれて最初は話せない、コーネリアスが研究している遺跡に何か秘密があるなど、段階を踏んだ進め方で自然な流れになっています。  テーマとしては人間社会に対する批判が色濃く、そもそもテイラーが人間を嫌い、地球を見捨てるような形で宇宙船に乗り込んだということが、それを端的に示しています。猿が支配する社会を舞台にすることで、猿と人間を対比させて人間批判を行うというのも、正統派ですがそれだけに説得力があります。面白いのは、人間が滅んだ理由としてテイラーが病気や自然災害を挙げ、戦争に言及しないこと。真っ先に思いつきそうなものですが、おそらくは敢えて戦争を出さないことが、なかなか意味深いと思います。  結局、そうした人間に対する批判の結果としてあのラストシーンがあるわけで、そこだけ取り出してもあまり意味がないと思うのですが……。非常によく練られた脚本で、シャフナー監督のダイナミックな演出も見どころですし、名作の名に恥じない作だと思います。(レビュー800本目)
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-12-13 10:27:14)(良:2票)
13.  暗くなるまで待って 《ネタバレ》 
なにしろ原作が『ダイヤルMを廻せ!』のフレデリック・ノットだから、つまらないわけがない。冒頭で主犯が犯罪者を事件に巻き込む点や、被害に合うのが女性であることが共通しています。ただ、『ダイヤルMを廻せ!』が最後まで探偵小説的興味で引っ張っていったのに比べると、こちらはかなりサスペンス/スリラー度が高く、個人的にはそこがややマイナス。また、人形の行方に関して誰もグロリアに言及しないので、彼女が勝手に持っていったのだと見当がついてしまいます。とはいえ、それを差し引いてもすばらしく楽しめる傑作。特に、電話のベルが2回鳴っただけでシチュエーションがガラリと変わってしまう展開は、こうした作品の醍醐味を存分に味わわせてくれます。3人組はスージーが盲目であることも利用してワナに掛けようとするのですが、逆にスージーが盲人特有の感覚でそれに気づいていくというのも面白い。小道具の使い方も巧みです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-12-17 20:15:31)
14.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 
最初にリバイバルで見たときは、宇宙ステーション内の背景が白い場面で字幕がほとんど読めず、イライラしました。あまりよくわからなかったのは、それも一因ではないかと思います。のちにテレビで放送されたときは、吹き替えなので台詞がわからないということもなく、おぼろげながらおおよその見当はついたようです。今回久しぶりに見直してとりあえず気づいたのは、『サイボーグ009』の天使編や、『新世紀エヴァンゲリオン』の人類補完計画の元ネタでした、ってことでしょうか(笑) おそらくこういう映画に点数をつけるとすれば、満点か零点かの二択でしょうが、個人的には特に思い入れがないのでマイナス1点しておきます。それに傑作かと問われると、さてどうでしょうとなりますし。大いに示唆に富む作品ではあるでしょう。 あと、欧米産の作品として、やはりキリスト教との関連は見逃せないでしょう。そもそも猿人が登場するところで創世記を否定していますし。リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトストラはかく語りき』が使われているのも、単なる効果ではなく、ニーチェの書物を題材にしたということがポイントだと思います。とはいえ、欧米人の宗教観は実感できないので、そのあたりは単なる想像になりますが……。まあ、こちらの想像力を大いに刺激する映画でもあるので、それはそれでよしとしましょうか。 NHKでの放送を録画してあるので、改めてそちらでも楽しみたいと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2013-10-02 20:00:42)
15.  知りすぎていた男 《ネタバレ》 
以前洋画劇場で見て、その時は話がよくわからない部分もあったのですが、おそらくカットされていたからでしょう。序盤のホテルで母子が歌うシーンなんて、見た覚えがありません。クライマックスの伏線なのに。今回ノーカットで見たら、かなり面白かった。 なんといってもユーモアとサスペンスの組み合わせ、これが絶妙です。そこから一種の余裕が出て、こちらもゆったりと楽しめます。本作では音楽というか「歌」がポイントになっていますが、教会で賛美歌に合わせて会話するあたりは最高におかしかった。あれってミュージカルのパロディ(皮肉?)かもしれませんね。また、いかにも怪しそうな人物・怪しくなさそうな人物をうまく組み合わせていると思います。単純ですが効果を上げています。コンサートホールでは、比較的長い曲を丸ごと演奏していて、ダレがちになりそうですが、そこで間を保たせる演出にヒッチコックの自負が見て取れました。 サスペンスですが、終始子供を思う親の心が基本となっていて、物語の牽引役にもなっています。終盤ドリス・デイが泣きそうな顔で歌うところは、こちらも泣きそうになってしまいました。最後も気が利いています。こうしたユーモアがあるから、あくまで「フィクションの娯楽」として素直に楽しめますし、そうしたジャンルとして傑作に仕上がったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-06-05 07:56:21)(良:1票)
16.  刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM> 《ネタバレ》 
最初に犯人の側から描いてますよね。つまり主人公は犯人であり、その罪を暴くコロンボを悪役として見ると、面白いです。コロンボというのはしつこいし、思わせぶりばかり言って相手をイライラさせるし、敵が弱いとみると恫喝して自供させようとするしと、まったくもって嫌な刑事ですね。「悪役」としては、そこが魅力的なわけですが。 で、犯人から本作を見ると、予期せぬ出来事が次々と起こる。ホント、やり過ぎだろうってぐらいアクシデント続発で、そこをどう誤魔化してどう切り抜けるかが、本作の見どころでしょう。だから犯人の身になって、ギョッとしたりハラハラしたりするのが楽しいかも。あるいは第三者として、そのあせり具合をニヤニヤしながら眺めるか。それはお好み次第ですね。 犯人のキャラクターとしては、フレミング先生は知的・理性的でよくある人物ですが、共犯のハドソンさんが興味深い。犯行前夜にいきなり「会いたい」と電話したり、その夜は数時間しか眠れなかったり、言いつけを守らずフレミング先生が帰ってきたら速攻電話をかけたりと、気が弱くて神経質そう。精神分析医にもかかっていますし。そういう描写が続いて、「警察に追い込まれたら自殺してしまいそう」な人物像が描かれています。それでフレミング先生だけでなく、見ているこちらもコロンボの罠に引っかかってしまうという寸法。うまく考えてあります。 本作の欠点としては、ユーモアに欠けることでしょうか。犯罪という反道徳的な行為をエンタテインメントに昇華するためには、触媒としてユーモアが不可欠だというのが私の持論なので、その点不満が残ります。ヴァン・ダインやエラリイ・クイーンといった先達と同じ轍を踏んでいるので、やはりアメリカンなミステリーかと思いますが、ユーモアがなくてもこちらをグイグイと引きつけるのはおみごと。さすがはリンク&レヴィンソンです。改めて見直して、ここまで面白いとは思いませんでした。まさに一級品の、スマートでハイブラウなエンタテインメント。十分に楽しめた自分も、頭がいいのではと誤解してしまいそう(笑)
[DVD(字幕)] 9点(2013-01-08 19:58:35)
17.  チャイナ・シンドローム 《ネタバレ》 
私が感じたことはほとんど【あろえりーな】さんが書いてくださったので、補足だけ。 本作で反原発の活動家がやっていることは、現在とほとんど変わりません。「子どもたちの未来を考えて」とか、どこかの政党のスローガンみたいですね。「企業利益優先」という点とあわせて、どちらも当時から基本的に同じ。進歩しないのか、それが究極の形なので進歩しようがないのか知りませんが、こうしたところも、本作が古びていないことを表していると思います。人間の本質を突いているのかもしれません。原発にしろトンネル崩落事故にしろ、本当に恐ろしいのは人間である、と。 あと、脚本がうまいと思う。特にゴデルが尾行を振り切れず、発電所に逃げ込んで籠城に至るプロセス。最後に大ごとにならなかったのも、「生き残って事実を伝える」というメッセージが感じられて好印象を持ちました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-12-08 16:39:19)
18.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
再見。初見時は大笑いした記憶がありますが、今回はあまり笑えなかった。それはおそらく、3.11以降放射能の脅威が身近に感じられるようになったためだと思います。初めて見たのは、東西冷戦がすでに過去のものとなっていた時で、どこか他人事として捉えていたのかもしれません。まあ、笑えなくなったとはいえ、本作の価値がいささかも下がるわけではありませんが。むしろ右往左往する大統領たちから、どうしても永田町の方々を連想してしまいます。今の日本人こそ見るべき映画ではなかろうか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-06-18 20:30:10)
19.  ボー・ジェスト(1939) 《ネタバレ》 
こりゃ面白い。ジャンルとしては一応冒険ものに分類されるのでしょうが、むしろミステリーとしての側面が強い。冒頭、いきなり不可解な事態が続出してこちらを引きつけ、ひとつの言葉を軸に過去へ戻る展開がうまい。そこでも宝石消失事件が起き、「誰が盗ったのか?」という興味でつなぎます。ここからは3兄弟が外人部隊に入って冒険色が強くなるのですが、軍曹とのやりとりなど見ていて飽きません。一応兄弟の絆も描かれていますが、味付け程度で基本的に娯楽作として作っているのがいいです。冒頭へとつながる終盤は目が釘づけになりますし、それで終わって無事帰宅したと思ったら、最後の最後に意外な真実が。ちゃんと伏線も利いているし(ボーはたしかに宝石を持っていなかった!)堪能させられました。傑作。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-06-16 22:11:13)(良:1票)
20.  オズの魔法使 《ネタバレ》 
「大切なものは身近にある」というテーマがよいです。それを生かすための、オズの世界とそこでの三人組の使い方が秀逸。かかしもブリキ男もライオンも、自分が欲しいと思っていたものを実は持っていたのですね。求めるものは他人に与えられるのではなく、自分の中にあるということ。結局自らの手で探し出すしかないという現実は、現代人にとっても重要ではないかと感じました。 映像としては、やはりオズの世界が圧巻! オール・セットで作り物感がよく出ていましたし(カンザスの牧場もセットですが)、出てくるキャラクターもユニーク。特に西の魔女の配下である翼の生えた猿は、インパクト十分でした。色彩も70年以上前のものとは思えないほどあざやかです(リマスターされているのでしょうが)。ユーモアたっぷり、見どころ満載の傑作でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-16 16:43:35)(良:1票)
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