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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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1.  バリー・リンドン 《ネタバレ》 
冒頭から美しい映像に圧倒される。ロウソクの火のみでも撮影可能な特殊レンズを用い自然光を最大限に活かした18世紀ヨーロッパの情景が本当に素晴らしい。ひとりの男が祖国を離れ、そして帰ってゆく物語の中で、人間が作り出したものの崩壊をただの背景として盛り込む。第一部では戦争(人間が起こす戦争と人間がつくる軍の規律)の弊害を、第二部では上流階級(人間のがつくる階級制度や国家間の規則)の退廃を淡々と描く。一部二部を通して決闘が登場しますが、ルールはあっても国が変わればルールも変わって、当たり前のように存在する人間のつくりだしたものがいかに危ういものかを象徴しているように感じる。この作品がある意味キューブリック的でないところは、相変わらず突き放したようにこれらを描く一方で主人公の人生そのものは感情豊に描いている点。ひとりの男にとっては時代の大きな流れ以上の大事件はもっと身近なもの。愛する人との別れであったり愛する者の死であったり。中でも息子の死はただただ悲しく描く。我々もこの不幸に大いに悲しむほかない。キューブリックの作品でここまで人間ドラマを前面に出した作品は他に無いのでは。それでも最後は「美しい者も醜い者も今は同じすべてあの世」というテロップでこれまで観てきたドラマをあざ笑うかのように閉めるのは、いかにもキューブリックであり、さすがキューブリックである。
10点(2004-07-29 12:31:04)(良:1票)
2.  ファイト・クラブ
自分にとっては久々のヒット!現代社会を痛烈に批判。社会に溶け込めないと安静を得れない現代社会、達成感を感じることの無い無気力な社会、モノでしか満足を得れない物欲社会、傷を舐め合うことでしか癒されない社会がタイラー・ダーデンという反社会的な存在を生み出す。というテーマもストーリーもさる事ながら、やっぱり映像がいい!そしてキャスティングも文句無し!多少の矛盾点も無いことは無いが、十二分に楽しめた。
10点(2003-04-25 16:15:15)(良:2票)
3.  スピオーネ(1928)
『ドクトル・マブゼ』からオカルト要素を取り払い、さらに洗練されたものに仕上げた作品。スパイものの古典というにはあまりに洗練されている。まさかサイレントでジェットコースタームービーを楽しめるとは!そのスピーディな展開には舌を巻く。326号はまさに007の原型。美人スパイとのロマンスあり、カーチェイスあり、敵キャラのカリスマ性あり、オチも唸らせてくれて文句などあろうはずもない傑作。本物の活劇!面白すぎ!!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-01-11 11:58:14)(良:1票)
4.  ファザー、サン
『マザー、サン』と同じ監督が作ったものとは思えない。父と息子のドラマ。しっかりとした物語映画。だけど見終えてみると本当に物語があったのかどうか疑わしく思えたり。けっきょく全体の流れより場面場面が印象に残るというところでは『マザー、サン』と同じなんだ。息子の元カノが綺麗で、ソクーロフは女優も綺麗に撮れる人なんだと確信する。ガラスを隔てることで世界が歪む。そのソクーロフ的な世界からなんとか逃れようとするかのように窓の隙間に顔を寄せる女と男がこれまたソクーロフらしからぬ短いカットで映し出される。舞台はいったいいつのどこなのか。こんなにも映画らしい街並みがあるなんて。屋根からの景色は延々と海。路面電車が走る風景の美しさはムルナウの『サンライズ』をも超えている。もうそれだけでじゅうぶんだ。
[映画館(字幕)] 8点(2010-11-10 13:39:30)
5.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
相変わらずというか、なんという選曲のセンス!『アラモ』で始まるオープニングに早速高揚してしまう。続いて『復讐のガンマン』の「エリーゼのために」を用いたモリコーネの旋律が流れるシーンにいきなりノックアウト。なんて美しい三姉妹。この美しさでこの家の主の過酷な判断を観客は許容する。そしてこのナチスの大佐のいやらしさよ!「復讐劇」の幕開け。イングロリアス・バスターズがいよいよ登場だ。しかし「復讐劇」とバスターズの話は一向に交わらず、終焉間際でようやく二つのストーリーが結びつくようにみえて実は絶妙な距離を残しながら交錯するだけなのだ。『パルプ・フィクション』のように。しかも主ストーリーはバスターズではなかった。ああブラピよ。この扱い。まるで『ジャッキー・ブラウン』のデ・ニーロではないか。しかしなぜかはまる。ブラピもデ・ニーロも可笑しいほどにはまってる。地下酒場の「正体当てゲーム」。ここでこのゲームかよ!そしてダラダラと、そして緊張感漲る会話が続く。正体がこの会話からばれると思わせて・・・。面白いなあ。音楽でいうと忘れてはいけないのがデヴィッド・ボウイの「キャット・ピープル」。めちゃくちゃ素晴らしい。ゴダール『カルメンという名の女』でトム・ウェイツがかかった瞬間を思い出した。選曲に関しては同等のインパクトを持っているがタランティーノはさらにここに「色」と「印」を使ってより印象的なシーンにしている。今後、ボウイの「キャット・ピープル」は赤いマフラーを巻いたナスターシャ・キンスキーではなく赤いドレスを着たメラニー・ロランを思い出させるであろう。窓の外のハーケンクロイツと共に。頬に塗るファンデーションがまたあからさまにインディアンを彷彿させてるんだけど(バスターズの皮剥ぎと共に)、かっこいいんだ、これが。そして映画は世界が成し得なかった「大復讐」をやってみせる。さすがは映画だ。映画バンザイ。天晴れタランティーノ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-18 16:48:34)(良:2票)
6.  O侯爵夫人 《ネタバレ》 
ロメールのコスプレ劇はコスプレ劇なのに歴史大作でも文芸作品でもなく、いかにもロメールな、優しい語り口の小品といった感じの映画でした。この「小品」が侮れない。お?!と思わせるオープニングから物語に引き込み、なんてことのないお話の中にどこにでもある些細な喜びや悲しみを観る者にしっかり提示し、けして退屈させず、そうこうしながら物語を堪能させる。怒り心頭の父親が大泣きするところは笑った。いつもきりりとしたお父さんが「むああああ」って、お父さん泣きすぎ(笑)。でもちょっとジーンとしたりもして。号泣するお父さんの横で小芝居を続けてるお母さんがまた笑っちゃう。でもこれもやっぱりジーンときた。ああ、ジーンとしながら笑っちゃう、幸福感が充満したようなこの感じがたまらん。エンディングも好き。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-01 17:10:23)
7.  パッション(1919) 《ネタバレ》 
その美貌を武器にしながらもなんともあっけらかんとした帽子屋の女の子が仕事そっちのけで恋人とイチャイチャしてるかと思ったら、お金持ちのえらいさんからも惚れられちゃって二股三股も当たり前な奔放ぶりが映される。その娘のまわりで男たちがドタバタコメディを見せてくれる。と、思ったら女の子は娼婦をさせられて、、といっても女の子もまさに天職を得たり!てな具合でトントンお話が進み、ついにはルイ15世の公妾にまで上り詰めるというかの有名なデュ・バリー夫人の物語でした。デュ・バリーの名は公妾となるために必要な爵位を得るためにカタチだけ結婚した相手の名前なので後半までデュ・バリー夫人の物語だとは判らなかったんです。ましてやデュ・バリー夫人のイメージってあんまり良いものでもなかったけど、この作品ではなんとも可愛らしい。で、コメディ要素を多く含んではいるものの歴史大作としての豪華さもじゅうぶん兼ね備えている。衣装やセットの豪華さもさることながらお話自体も史実がそうであったようにフランス革命が描かれ、主人公デュ・バリー夫人がギロチンに処されるところまで描いてしまう。はたまたその描写の凄まじくもコメディタッチなところは強烈な印象を残す。『カリガリ博士』が同じ年に作られているが、作風を全く異にしながらもドイツ映画がこの時期、黄金期にあったことを証明している。暴動シーンのスペクタクルを見るに、後にハリウッドに招かれることも至極当然の結果だといえる。
[映画館(字幕)] 8点(2008-07-11 17:28:00)
8.  ドクトル・マブゼ
先に作られた『カリガリ博士』(これもドイツ映画!)の主人公にカリスマ性を与えたようなマブゼ博士。そして『カリガリ博士』が表現主義の中で描かれたのに対し、『ドクトル・マブゼ』は実にリアルな現実世界の中に表現主義的描写を散りばめる。催眠術のシーンやラストの幻影がそれにあたる。なのでよけいに怖い。天才的な犯罪の手口がまたリアル。群集心理を利用して捕まった仲間を射殺するなんてファシズムが押し寄せようとする当時の時代背景を鑑みると空恐ろしい気すらする。そして株価操作も偽札造りもマブゼ博士にとってはトランプ賭博となんら代わらない「お遊び」でしかないというのも妙に信憑性があって怖い。犯罪映画の原点であるだけでなく、メロドラマも取り入れられ見応え十分。長尺も、連続ドラマをまとめて観ているような面白さ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-01-10 14:23:16)
9.  ニーベルンゲン 第II部 クリームヒルトの復讐
ジークフリートからクリームヒルトへと主役が代わった第2部はファンタジーから大スペクタル史劇の様相でもってたたみかけてくる。大群衆を画面狭しと登場させる妥協なき画の連続は圧巻。第1部よりも時間を感じさせないスピーディな展開と、美しさと残酷さに溢れた復讐のストーリーに釘付け。ラングとその妻テア・フォン・ハルボウのコンビが作り上げるラング初期作品は凄まじいまでの傑作ぞろいだが、その後ナチス党員となる妻とナチスから逃れる夫とのコラボレージョンは当時の暗雲とした時代を作品の中に拭いがたい影として残しており、表現主義と相まって独特の雰囲気をもたらしている。その空気は当然「ファンタジー」の第1部よりも「復讐」の第2部のほうが色濃く漂っている。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-01-09 11:49:50)
10.  吸血鬼(1931)
ストーリーはわけがわからん。他の方のレビューを読んで理解しようと思ったら、エスねこさんのせいで余計にわからんようになってもうた(笑)。ドライヤーの初トーキーらしいがほとんどセリフなし。吸血鬼映画なのに吸血鬼が姿を見せない。ストーリーを構築しようとはせず、イメージの羅列が淡々と描かれるといった感じ。で、そのイメージの羅列から漠然としたストーリーが浮かび上がる。物語より映像が先にある。ゆえに一つ一つの映像が強烈なインパクトを持つ。釜を持つじいさん、土を掘る、あるいは埋める影、人と影のコラボレーション、棺の中の主人公とそこからの目線で捉えた風景、凄まじきおが屑の生き埋め、、、。これが映画。これこそが映画。なんだと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2007-01-23 15:52:15)
11.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)
数多くのドラキュラ映画の中でダントツに怖い。というよりこれ以外はあまり怖くない。その怖さの要因にマックス・フォン・シュレックの容姿がまず上げられるのは言うまでもないが、その恐怖の容姿を纏った吸血鬼に人を襲わせて怖がらせるようなその場しのぎの恐怖演出などせず、ただ立っている、ただ歩いている、ただ向かいの窓からこちらを見ている、それ以外は想像させることで恐怖を駆り立てる。恐怖の想像を助長する影の演出が効いている。そして他の多くのドラキュラ映画は吸血鬼にスポットが当てられるが、この作品はこれほどの怖い容姿を有しているにも拘らず、人々の恐怖心にこそスポットが当てられる。町中が、国中が、死におびえ、窓を閉めて閉じこもる描写、運ばれる棺の列に見るその恐怖の現実性、ヨーロッパ人のペストの記憶とそれらを吸血鬼に結びつけるストーリー構成。怖い!そして巧い!と唸らされる一本。
[DVD(字幕)] 8点(2007-01-22 13:18:35)(良:1票)
12.  麦の穂をゆらす風
カンヌ・パルムドール獲得の際のインタビューでケン・ローチは「英国が帝国主義的な過去から歩みだす小さな一歩になれば、、」と言っている。あきらかに現英国のイラク派兵に対し、いまだ同じ過ちを繰り返す母国への批判を含んでいると思われる。作品自体も英国に対する擁護など一切無い。今尚続く北アイルランド問題という英国にとって最も重い題材を実に辛辣に描き出す。しかしこの作品の凄さは、ケン・ローチの作品がいつもそうであるように、重々しい題材が描かれる、その背景の美しさにこそある。けして戦争を、また戦闘を美化しているのではなく、『シン・レッド・ライン』のように対比の対象としての美でもなく、ただただそこに美しさがある。もう一つ、複雑な問題をすべて見せようとはせずにピンポイントで描いているので、劇中混乱することもなく鑑賞できるのも好印象。映画で語られる物語は全くといって救いがありません。あるとすればこの映画で語られない部分を想像するしかない。そしてその想像の余地だけを残している。
[映画館(字幕)] 8点(2006-11-29 11:53:51)(良:1票)
13.  アメリカ,家族のいる風景
ヴェンダースがとうとうドイツに戻る。その前に愛するアメリカをぎゅっと押し込めた作品を届けてくれた。その背景となるアメリカがとにかく美しい。とりわけ物語のメインとなるビュートの町並みの色が真っ青な空の色に映える。虚構のヒーローが現実の孤独から逃れるように姿を消す。母に道を示され、元恋人に叱られ、初めて会う娘に孤独ではないことを教えられる。息子とその恋人の関係も含めて、「女によって救われる男たち」という一見安易な、しかし極めて映画的な公式のもとシンプルに進行してゆく。『パリ・テキサス』以来のサム・シェパードとのコラボレーションとなる今作は、ヴェンダース特有の映画との関わりに対する使命感のようなものが消え、ひたすらに原点回帰に努めているように感じた。曖昧な目的のまま飛び出した旅がもたらすものの大きさがまさにロードムービーの原点を見せ、アメリカとジョン・フォードへのオマージュがヴェンダース初期の作風に回帰している。サラ・ポーリーが大きく映し出され、おそらく感動的な言葉が発せられたシーン、、サラ・ポーリーが美しいのではなくサラ・ポーリーがアップで映された画面がとてつもなく美しく涙が溢れた。だから字幕を見損なった。目が字幕を追うことをやめた瞬間、この映画は私の映画となった。
[映画館(字幕)] 8点(2006-04-24 13:11:26)(良:1票)
14.  10ミニッツ・オールダー イデアの森
「人生のメビウス」よりも“時間”をより深く突き詰めたような作品群。観る前に一番興味をひいたのがベルトルッチ。壮大で長尺というイメージを持っているのでどんな短編になるかワクワク。  ■「水の寓話」一番解かりやすく“時の流れ”を魅せてくれます。作品は10分ですが撮影時間は長かったろうなぁと思いました。時の流れを現す細かな描写に手抜きがありません。 ■「時代×4」それぞれをワンカットで撮った4分割の映像は正直見ていて疲れました。一人の男が少年期、青年期、中年(?)期の自分とともに同じ家の中を移動していくのを4つのカメラが追います。面白い試みだとは思うんだけど一度に4つの画面は見れません。 ■「老優の一瞬」一人の老優のアルバムを見て時を長く刻むことの意味深さを感じました。 ■「10分後」これもほとんどワンカット。“ほとんど”というのは最後ちょこっと編集されてるから。10秒くらいオーバーしたんだろうか?おしい!でも見応えのある長回しです。 ■「ジャン=リュック・ナンシーとの会話」列車の中での時間の過ごし方。会話が無くても快適な時をすごすこともある。 ■「啓示されし者」なんで蚊なの?(笑) ■「星に魅せられて」時間の残酷な一面を見せる。 ■「時間の闇の中で」・・・凄い!!10分の中に「○○の最後の瞬間」と題した10の超短編。自分の作品も含めた様々な映像を引用しながら美しいピアノの音色にのせてそれぞれの“時間の終わり”を見せる。10コ目の“最後”は当然「映画」。スクリーンが映像を拒んでいる。  総評、平均点では付けません。最後にアレを見せられたんじゃね。
8点(2005-03-09 13:33:21)
15.  M(1931)
トーキーでありながらサイレントさながらの演出がふんだんにある。中でもラングといえば影の演出。幼女連続殺人というおどろおどろしい題材に、この影の演出がいっそう効いている。そしてこのおどろおどろしい雰囲気は殺人鬼だけが醸し出しているわけではない。誰もが犯人に見える(犯人に見たてる)民衆心理、私刑に及ぼうとする群集の危険性。むしろこちらの恐怖が際立つ。子供を守るという目的がいつのまにか犯人を探すことが目的に変わり、裁くことが目的に変わる。『メトロポリス』でも書いたが、この作品ではラングの群集心理の危険性への警笛がいっそう濃く反映されているように思う。ともあれ、ただの犯人探しではないゆえに全編に異様な緊張感を持続させます。犯人が潜む部屋がどこか判明するのが”音”であるのは初トーキー作品ゆえのご愛嬌か。
8点(2004-09-22 12:04:32)(良:1票)
16.  メトロポリス(1926)
C-3POの前身となるあのロボットのデザインだけでも見る価値あり。人間そっくりにロボットを作れるのにメーターの針をランプが点灯したところに死にもの狂いで動かさなければいけない機械って..て、そんなこと考えちゃダメですよ。この作品のパイオニア的価値はたくさんの方が語っておられるのでもう言いません。では、そういった価値を無視して楽しめるか?..楽しめます。サイレントであっても、あれだけ多くの労働者の暴動を生身の人間で見せられたら、その迫力たるや圧巻の一言。ラングは(時代が時代なだけに)集団心理の異常さを常々警戒していたのだろうか。他の作品でもよく描いている。この作品でも、自分たちの子供の命すら忘れてしまう群集の異常心理を描きます。真相を知り冷静な判断ができる人間がいなかったら恐ろしい結末を迎えるということを警笛しているようにもとれる。そういった部分をさらっと描いて娯楽映画に仕上げるのが実に巧い監督です。
8点(2004-09-21 15:39:21)(良:2票)
17.  デッドマン(1995) 《ネタバレ》 
ずいぶん前に見ましたが、結構印象に残っている作品のひとつです。冒頭から映像で引き付けられます。主人公は東部から西部に来た時点で自身の狭い既成概念が壊れる準備ができ、インディアンの宗教感に触れ完全に崩壊する。その伝道師的役割を担うインディアンが妙に人間臭くてまたいい。最後は、その世界感に身を委ねるように海に流される。ある意味人間離れしていく主人公をジョニ-・デップが好演している。
8点(2003-08-21 12:29:34)
18.  愛、アムール 《ネタバレ》 
奥さんの昔の教え子のピアノコンサートへと出向くところから始まる。というわけで前半はとくにクラシック音楽がよく耳に飛び込んでくることとなる。しかし悲しいかな常に音楽は無残にも途中でぶつりと打ち消される。出来の悪い監督がしかねない編集だ。しかしどうもハネケはわざとしているようである。そのことを強調しているシーンが奥さんが教え子のCDをすぐにストップさせるシーンだ。なるほど、過酷な現実の前ではしょせん娯楽にすぎない音楽ないしは芸術というものは必要ないのだ。芸術の敗北を描くための過酷な現実のあれこれだったのか。映画監督が芸術の敗北描いてどーすんの。と思ったら老夫婦のある意味真っ当であるといえる衝撃の結末を見て、いやこれは芸術の敗北ではなく、芸術を愛せない、芸術を必要としない、芸術が理解できない、そうなったらもう生きる価値がない、生かす意味がない、そんな辛辣な思想をもって「人とは」「芸術とは」に迫っているのかなと思いなおした。ハネケらしい厳しい視点だと思ったが実際のところは知らん。エンディングロールに音楽は流れない。
[映画館(字幕)] 7点(2013-03-14 15:54:03)(良:1票)
19.  月世界の女
SFかと思ったら『スピオーネ』『ドクトル・マブゼ』のような天才的犯罪者による計画犯罪が描かれ、あいかわらずの冒険映画にドキドキさせられる。犯罪の一部始終を友人に語るシーンは字幕なしの過去シーンの短いカットを適格に見せることで手早く処理しているが、こういうことが難なく出来ちゃうところが素晴らしい。で、ここからSFへ。その伏線として序盤に貧乏生活のシーンがあるんだけど、ここがちとくどいかと。それにしても月に人類が立つ40年前の映画。そこに見てとれる当時の想像力につい頬が緩む。すごく楽しい。と同時にその創造性に驚かされる。まだ見ぬものは映せないという映画の限界を超えて、想像したものを創造することができる映画の可能性を存分に提示している。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-09 14:08:12)
20.  石の微笑
またしてもやられた。最初に誘拐報道があるのにすっかりとそのことを忘れさせてしまうその手口に。わけのわからない不穏を纏いながら母子家庭ゆえの些細な諸問題が描かれる。そこにはファムファタルとしか言いようのない女を招いてしまうことになる男の性が描かれている。例えば冒頭、息子と母親の執拗なまでの切り返しで見せる会話よ!ただ親子の会話があるだけなのに、あきらかにその映し方は「異常」を演出している。映画はいずれ終幕へと向かう。物語全てがその終幕を演出している。いつものシャブロルの映画のように。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-31 14:49:05)
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