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プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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1.  コールド・フィーバー 《ネタバレ》 
両親の供養をするという旅の目的がいい。 永瀬の運転する車が危険地帯に入り込んでしまい、立ち往生してしまったところで不思議な力を持った少女が奇声を上げて車を直してしまったりするシーンを見るに、この映画は恐らくファンタジーなんだろうと思います。 ただ、ストーリーとしては非常に好感が持てるのだけど、画面作りやストーリー進行における演出が凄く下手。 ゴルフボールがリモコンに当たると両親のビデオレターがパッと流れるくだりなんか失笑モノだし、アイスランドの空港を出てスーツケースを他のツアー客と一緒に持って行かれたシーンなんかも、他のサスペンス映画などと比べてしまうと歴然とした差を感じてしまったりして、序盤では特にそういった不自然さのようなものが顕著に出ていたと思います。 中盤でも、アメリカ人カップルの男が売店の中で銃声を響かせた後でカウンターにいた女の子が外まで追いかけて来なかったりするのも見る側への配慮に欠ける感じがありますし(撃たれてしまったのかと気になってしまう)、その時に車内では女が永瀬の首元にナイフを突き付けていたのも当の本人は気が付いていない様子で、映画の至るところで不徹底さが垣間見れる作品という印象です。 また、1ショットの中で画面の色調が少しずつ変化していくのも、もし故意でやっているとすればセンスを疑うし、そうでなければ無頓着と言わざるを得ないでしょう。 ラストの川辺のシーンでも、遠くから永瀬の行動を見つめている人がいましたが(送ってくれたおじさん?追いかけてきた?何故?)、おじさんから永瀬を見ているカットが入っていないものだから二人の位置関係がわからず、最後まで素人が撮ったような映画を見せられていた感じでした。(て言うか、おじさんを登場させる意味ないし。)
[映画館(字幕)] 6点(2015-10-12 15:41:19)
2.  花嫁人形 《ネタバレ》 
これはとても楽しいファンタジー映画。 まるで絵本のよう、紙芝居のよう、お遊戯のような、どこかとても懐かしい気持ちにさせられてしまう作品なのです。 太陽や月の表情、雲や動物の造形、人形に扮した女優のアクションなどなど、どれをとっても楽しくそして暖かみが感じられ、ファンタジーの世界を彩るのにどれも皆一役買っていると言えるでしょう。 特に自分にとっては馬のキャラクターが大好きで、よっこらせといった感じで腰を上げ、最後の方になると「もう疲れた」などと言ったりして会話をしたりと、本物の馬を使うよりも“らしさ”が出ていたように感じました。 オープニングでジオラマを作る段階から物語に入っていったのが奏功しており、それによって背景のチープな印象を180度転換させ、かえって味わいのある雰囲気に仕上げていたところに非常に好感が持て、駆け出しの映画監督の作る作品としてお手本となるような、コスパ(?)に優れた良作と言えると思います。★通算500レビュー★
[映画館(字幕)] 8点(2015-03-22 23:20:13)
3.  死の銀嶺 《ネタバレ》 
山が舞台となるだけあって、雪崩だ滑落だといったピンチとなる場面が勿論出てくるのですが、そういった境遇におけるスリルを描くのは本作ではあくまで二の次という印象で、それよりも、クラフト博士ら三人組と学生パーティーたちの登攀する様を時間を割いて丹念に描いていたところが特に自分にとっての好きなポイントです。 また、彼らの登攀シーンもさることながら、救助隊が松明を掲げて夜の雪山を歩くシーンや、崖の隙間に落ちた登山者を救出する場面での松明に照らされる氷柱の艶やかさなど、映像に関して言えば単純に山全体をカメラに収めただけという一般的な山岳美だけに留まる事のない熱意のようなものを感じました。 それと、公開当時には目を引いたであろう空撮ですが、あれだけ何度も旋回していたにもかかわらずその時の映像が一度も出なかったのがちょっと疑問なところですが、序盤で空からシャンパンをプレゼントするというシーンが伏線のように機能していたり、また、最後にクラフト博士が遺書を残して山に残るというラストもしんみりと心打たれるものがあり、良かったと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2014-04-29 23:54:37)
4.  ヒマラヤ 運命の山 《ネタバレ》 
どこまでCGなのかは分かりませんが、自分が今まで観てきた山岳映画の中で、山そのものが最も美しく尚且つ雄大に描かれている作品と言えると思います。 メスナーという人の名前は聞いたことがあるという程度でしたが、彼の偉業やその後の論争に興味がある人は勿論のこと、自分のようにそうでない人であっても山岳美を存分に堪能できるというエンターテイメント性は申し分はなく、その点においては良作と言えるでしょう。 自分は、メスナー兄弟の兄の人柄には全く共感できず、またベースキャンプの隊長とのやり取りもメスナー兄弟のいる現場のスリルを引き立てるといった効果も感じられませんでしたし、タイプを打って記録を作成していたのもストーリー的には省いても構わないシーンだったように感じられるので、手放しに称賛できる作品とまではいかないのではと思いました。 しかし、ビバークをしていた時の月明かりに照らされる雪山の幻想的な美しさであったり、ヘリ撮影で捉えたヒマラヤの幾重にも連なる山々の壮観なショットなど、山好きな人であれば一度は観ておいて損はない映画です。
[映画館(字幕)] 7点(2014-04-21 21:10:29)
5.  不思議なヴィクトル氏 《ネタバレ》 
映画全体で無駄がなく大変良く出来た作品という印象。ちょっとした一場面も後に生きてきたりする秀逸なシナリオが非常に良いです。 冒頭でムッシュー・ヴィクトルに子供が出来たというのが、単に善良な市民像を印象付けるだけでなく7年後のストーリーの中でその子供がしっかりと役割を与えられていてストーリーの一端を担っているところが面白いですし、靴屋の主人が三人組の一人と口論している場面を序盤で組み込んでいたり、彼の奥さんが美人で他の男に簡単に流れていきそうなキャラクターである事もストーリーを構成する上での一要素となっていて、よく練られていると思いました。 また、靴屋の仕事道具である錐が優れたキーアイテムとして活用されていることも注目すべきポイントで、子供のおもちゃとして遊びで扱えるような物が子供の手を介して大人の手に渡り凶器に転じてしまうというのも唸らされます。 また、ムッシュー・ヴィクトルのキャラクターが非常に良く、この役を演じたレイミュという俳優さんは初めてお見かけしましたが、一人で二役を演じているかのように昼の顔と夜の顔を完璧に演じ分けているのが素晴らしいです。 夜のシーンでの目つきが鋭い怪訝な表情はまさに本格ノワールそのものといった雰囲気が出ていますし、昼のシーンもまた、家族や友人たちと語らう場面は勿論のこと、殺人を犯して家に帰って来た時のオドオドした様子や嘘を隠そうとしてひたすらまくし立てる滑稽じみた姿などかなり熱の入った演技で非常に楽しませてくれます。 彼の出演作はわずか4,5本ほどしかないようですが、是非とも他の作品でも彼の好演を見てみたいと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2014-02-16 12:16:54)
6.  牡蠣の王女 《ネタバレ》 
10点を叩き出したお二方のレビューの後に心苦しいですが正直にコメントさせていただくと、決定的にダメなのが、偶然の出会いが面白くないという事。 ストーリーの中盤まで観れば王女と王子の二人がいずれ出会うというのは100人中100人が予測できているわけで、いつ、どんな出会い方をするのかというのが観る側の我々としての最大の楽しみとなっているにもかかわらず、ここで見事にスベってくれてしまいました。 王女がアル中患者を救済する会に入っていたというのは後付けのこじつけた感があり軽薄さすら覚えさせますし、更に、酒に酔った王子がその会がちょうど開催されている場所にフラッと現れるというのも二人の境遇差を考えるとちょっと難しいでしょうから、この二重の唐突な展開は、どう好意的に考えてもちょっと無理がある印象が拭えません。 話の中に新たなネタを追加して驚きを与えるのは誰にでも出来ますが、二人が出会う事が観る側に予感としてある以上そこからそれを上回る面白さを出すのが一流のストーリーテラーなわけで、この幹の部分でダメとなるとそれ以外の枝の部分で良い箇所があったとしてもちょっと苦しいという気がします。 良かったのは、ルビッチ映画でお馴染みのアヤシイ動きをするオーケストラの指揮者と、「こんな食事を食べるのは久しぶりです」の2箇所くらいなもので、度々出て来た「I'm not impressed.」をラストのオチに使うのもちょっと弱いなぁと思いました。
[映画館(字幕)] 5点(2013-12-29 00:13:23)
7.  男になったら 《ネタバレ》 
ルビッチの初期の作品と思わせる、上映時間も1時間にも満たない小気味の良い映画です。 小気味が良すぎて少々唐突な部分も見受けられ、コートを入れ違えて着てしまった所や、叔父さんのシーンがいきなり船内に切り替わってしまっている所など、若干の荒さは感じられるものの、総じて楽しい映画と言えるでしょう。 主人公の女は、博打は打つわ煙草は吸うわ酒は飲むわの三拍子揃った良いキャラクターで、且つメイドのおばさんや叔父さんも一緒になってスパスパと煙草をふかしたり大きいグラスに替えて酒をカッ食らったりと序盤からコミカルな雰囲気が出ていますし、パーティーのシーンでもバイオリニスト兼指揮者の奇妙なアクションが繰り返されたりして、噴き出してしまう所は色々とあったと思います。 やはり、“男は男らしく、女は女らしくあるべき”という教訓も映画のテーマとして感じられ、まだルビッチらしい精錬された印象は弱いものの、一流監督としての片鱗は十分に感じ取ることが出来、後の傑作群へのステップになっていると思わせる一本です。
[映画館(字幕)] 6点(2012-12-29 18:57:10)
8.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
カウリスマキ映画は2本立てで観た「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」に続いての2作目なのですが、こちらは一転してカラーで明るい感じ。というか、悪い意味で画面がヴィヴィッド過ぎてかなり違和感のある光の当て方に感じました(特に室内シーン)。 画面の明るさや光加減だけでなく、序盤でコンテナを開けて見るシーンの不法入国者たちの出で立ちも不自然というか凄く奇妙な印象で、全員皆綺麗な服装でしかもやたらと顔色や肌ツヤも良く、おまけに子供が逃走する時の緊迫感のなさやコンテナの中の人を一人一人ゆっくりと捉えるカメラの動きなど、かなり異質な雰囲気を感じ取りました。 また中盤辺りで、ベトナム人が子供を警察から守り逃げさせようとしたシーンでもどことなく動きに乏しい感じがあったり、最後の病室の中に立っている奥さんの立ち方とかも演技している感がありありと出ていて、どうしても最後まで違和感が拭えないままで観ていました。 ストーリーを見るに、黒人の子供が上手いことロンドンに向かうことができたり、夫人の病気が全快したりといった非現実的な御伽噺的な物語であるため、それに合わせるように過度に明るい画面を作ったということなのでしょうか。 何れにしても、スタジオのセットでの撮影がほとんどでロケーションの自然な空気感が感じられない映画はやはり好きにはなれないと再確認した映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2012-11-16 23:43:17)
9.  狩人 《ネタバレ》 
雪原を歩く狩人たちが発見したもの。それは20年以上も前に起きた民主化運動の市民兵の死体。と言うよりは、彼らが“生み出した”といった方が正しいかもしれません。 何故、あんな所に死体が・・・?ズバリそれは彼らに過去を悔いる気持ちが残っていたからと言えるでしょう。 彼らは死体を持ち帰り、皆それぞれが過去を回想することで忌まわしい過去を清算する。清算という言葉が的確な表現かはわかりませんが、何かしらの気持ちの整理をつけたと解釈しました。 回顧シーンの驚くべき手際の良さ、時の流れを巧みに操るスムーズさにしばしば目を奪われます。皆で囲んで食事をしていた長卓がスッと画面から消え、全く同じ長卓が今度は死体を横たえた出で立ちで瞬く間に姿を現すシーンにゾクゾクさせられます。 極めつけは、パーティー会場の中に市民兵が乱入し、動かないはずの死体も起き上がり彼らを外に出し一列に並ばせるシーン。銃声と同時に倒れる狩人たち。これが彼らが生み出した悔悟の念の最たる部分であったのでは。 そして、懺悔を済ませた彼らは再び雪原に戻り死体を埋める。新年を迎えるべく栄光館に戻る後ろ姿。 何故、アンゲロプロスはこの映画をブルジョア側の視点で撮ったのだろう? 彼自身も狩人たち同様、悔悟の念を抱いていたのかも・・・。読み間違いをしているかもしれませんが。
[映画館(字幕)] 6点(2012-07-01 22:07:44)
10.  カリガリ博士
ストーリーは面白くない。というか、よくわからん。 印象に残ったのは、舞台となっているチープなセットなんですが、ダンボールに絵の具で絵を描いただけというようなお遊戯会レベルのセットで、褒めるつもりで言うならば、この映画の主題にとてもマッチしていて凄く雰囲気が出ていた、という感じでしょうか。 セットがチープ過ぎていたお陰でカメラの動きが制限されてしまっているどころか、一ヶ所に固定し定点からの視点にならざるを得ないという事態が起きてしまっているために、本当に客席から舞台を見ているような印象さえ受けとられるので、どうしても物足りなさが出てきてしまうのは否めません。 まぁ、映画黎明期の頃はカメラを動かそうという発想がまだなかったということもあり、この映画が作られた頃もそうだったかも知れないので、この点を追及するのはやや反則気味のような気もしますが。 セットの細部について言及しますと、自分は表現主義だとかそういったバックグラウンドの知識は持ち合わせておりませんが、異様な形の建物の様相を見るに、体験談を語るという主観的なスタンスで物語が進むわけですから、あのような非現実的な妖しい背景もアリなのかなという気がし、ここは斬新で自由な発想を感じ取る事が出来たと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2012-04-03 20:21:29)
11.  アメリ 《ネタバレ》 
アバウトに大分すると、この映画でやってることはカレル・ゼマンとかシュヴァンクマイエルの映画と何ら違いはなく、彼ら二人より後に生まれたジュネはCGという武器を使って彼の頭の中を表現しています。 全体的なストーリーは、余り面白くはないです。けど、おもちゃ箱を持ち主に届けようというストーリーだとか、最後の方で、アメリが妄想をしながら料理をしていると背後の縄暖簾(?)を猫がくぐり抜けて来るシーンとか色々とオシャレなシーンが数多くあり、部分部分のアイディアを見ると惹かれるものが多かったような気がします。 コメディが基本路線なので、CGが多用されていることは別に構わないのですが、あくまでも動物や物を描く事にのみ生かすべきであり、人間をありえない距離からズームインしたりカメラ目線の過度のクローズアップなど、CGで人物描写をするというのは余り好ましいとは思えません。
[映画館(字幕)] 6点(2011-11-05 12:47:09)
12.  隠された記憶 《ネタバレ》 
難解だとかじゃなくて、観終わって本当に何も感じるものはなかったです。 多分、創作意欲とかは恐らく全然ないままでこの映画を作ったんじゃないかな? まず、視点が定まらない感じがするのですが、ラスト3カットで主人公がベッドに入ると夢だか回顧だかのシーンに移行していますが、もしあれが幼い頃の夢だとすれば、あのような第三者的な位置からの映像は不自然なわけで、序盤に出てきたみたいに少年の目線で映すことによって描くべきだと思いますし、また、送られてきたビデオを再生する時の映像も、オープニングはいいとしても、物語の途中で再生する時はビデオを見ているシーンだと分からせるために画面を粗く処理するとかして物語を進めた方がいいのではという気がします。ラストの長回しも、何かしら強調したい部分があって、それを見てもらおうとする意思があるとすればもうちょっと分かるように撮る筈だから、たぶんあのラストショットでは特に注目して欲しい部分などはなく、何の意図も込めずに撮ったのでしょう。 脚本についてもよく練られていないような印象で、初めて昔の同居人を訪ねて部屋に入った時「よくここが分かったな」と言われれば、ビデオの送り主は彼ではない事が明らかになる筈であるにも拘わらず、それを無視してやり取りが続けられているのは勿論、あれっ?という素振りすらしない。最後の方のトイレの中での相手の息子との会話も、大声で呼び出しておきながらも何が言いたいのかハッキリしないし、奥さんを心配させまいとついていた嘘も疑問符がつくような内容。 他にも、本筋とは無関係なシーンが無駄に多いのもダメ。奥さんが夫婦愛を強調するような事を訴えていたにも拘らず他の男に寄り添って涙を見せたりするシーンとか、最初の方で自転車に接触しそうになるシーンに至っては、パーティーの時の作り話の伏線のためだけに挿入されたとしか思えないワンシーンで、サブプロットにも成り得ていない部分に更に無駄を付け加えるという実に馬鹿げたストーリー構成。 自殺のシーンを見たお陰で、息子とエレベーターに乗るシーンが凄く緊張感が出ていて、しかもそれが何の変哲もない撮り方だったのがかえって緊張感を増すように作用していた、と本来ならばそう書くところですが、何も考えずにこんな映画を作った人のことだから、気がついたら緊張感溢れちゃってました(笑)、みたいな事かもしれないですね。
[映画館(字幕)] 3点(2011-10-19 22:47:43)(笑:1票)
13.  ファウスト(1926) 《ネタバレ》 
ファウスト役のエスタ・エクマンという人は初めてお目にかかりましたが、自分が今まで観てきた映画の出演者の中でも、間違いなく一番のハマリ役というほどの風貌で、この映画に出るためだけに生まれてきたんじゃないかとまで思えてきます。 ストーリーは、悪魔に魂を売り若さを手に入れたファウストが多難の末に元の老人の姿に戻る展開ですが、悪魔に魂を売るきっかけというのが自己満足などではなく世を救いたいという理由からであり、また、若さを手に入れたことによって、ファウストではなく自分が愛した相手に不幸が訪れるというダブルの不条理劇が、一筋縄ではいかない面白さが出ていて良かったと思いました。 前半のあたりで、書物を燃やすシーンやメフィストとの絡みのシーンは非常に迫力に満ちていて見応えがありましたが、それ以降はややトーンが下り調子になってしまったのが今一つといった感じがありましたし、最後のシーンも、出てくる言葉が読めてしまい、ストレートで普遍性のあるストーリーが好きな自分でも、さすがにここだけはクサいなぁと思ってしまいました。〔柳下美恵さんの伴奏付きで鑑賞〕
[映画館(字幕)] 7点(2011-09-16 23:52:51)
14.  イタリア麦の帽子 《ネタバレ》 
非常に珍しく入手するのが困難な「イタリア麦の帽子」を巡るアイディアが凄く面白い。 このストーリーは、手に入れるのが難しいものなら何でも、そのアイディア一発で映画が作れてしまいそうなだけに、このアイディアをパクった作品が後世に作られてもおかしくなさそうですが、リメイクも含めて意外と存在しないそうですので、これは今からでも遅くはない、是非ともリメイク作品を作って欲しいところです。 麦の帽子以外でも、手袋やブーツを生かしたコメディアスなサブプロットも上手い具合に効いていたり、他にも傘・ネクタイ・補聴器・置時計など使われた小物は沢山あって、いろいろな場面で楽しさが感じられる作品だと思います。 我々日本人にはわかりにくいですけど、帽子というのは当時のフランス人にとって非常に大事なアイテムなんだなというのが良く分かる映画です。
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 01:38:39)
15.  戦場のピアニスト 《ネタバレ》 
冒頭のピアノを弾くシーンで客席を映したショットがないことから、スタジオのような所なのか大勢の客が集まっているホールなのかがわからず、ちょっとした違和感を感じていたのですが、演奏を止めて客席が映し出され、逃げる時になって初めて全体が把握できるような演出になってしまっていたのが余り良くなかったように思えます。 いろいろと他のレビュワーの方のコメントを拝見しますと、過剰な演出が少なく真実に基づいて描かれているとの意見が大半だったのですが、自分にはそうは感じられませんでした。 適当に人を選び地面に伏せさせて頭を撃つシーンでは、画面の一番手前の人は本当に頭の禿げた人だったのか?血が流れる様を克明に見せるために頭の禿げた人を手前にもってきたのではないのか? また、女性が走って逃げているところを後ろから撃たれて背中を丸めるようにして倒れたシーンの後、シュピルマンが死人のふりをして追っ手をやり過ごしましたが、本当にその女性の傍を這って行ったのか?その二つの出来事は本当に一連の流れで起こったのか?バラバラのエピソードをひとまとめにしたのではないのか? 何故、こんな馬鹿げたような疑問をでっち上げるのかというと、この両者にカメラワークの問題があり、前者は明らかにシュピルマンの目線の映像ではなく血を流した頭のアップの映像ですし、後者はシュピルマンの這う姿と背中を丸めて倒れている女性を同じフレーム内に収めることで過剰な“生と死が隣り合わせ”な映像になってしまっていて、カメラの位置関係や編集などを考えると真実をありのままに捉えたような映像には見えませんでした。 いずれのシーンも、真実はその現場に居合わせた人にしかわからないですし、真実をそのまま描くべきか、それとも手を加えるべきかという議論になってしまいますが、少なくとも故意的な演出の意図をもって撮られているのは明らかだと思います。 それと余談ですが、部屋にかくまわれている時、音を出すなと言われた直後にピアノが姿を現すという、このストレートすぎる展開も面白いとは言えないと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-03-19 23:45:10)
16.  10ミニッツ・オールダー イデアの森 《ネタバレ》 
合わないのではなくつまらない、と言わせてもらいます。 一番良かった、というかマシだったのが「水の寓話」。 人生色々あってふと森の中を歩いていたら、いつか見たオヤジに出会う。水を求めて彷徨ってそこで過ごした時間は一体何だったのだろうという不思議な話。それはいいのですが、奥さんが破水したとか、新しく買った車をダメにしたりといった一節はインパクトに欠けるし、かといって日常の平穏さが出たというものでもない。水を求めて歩き回り、そこで紆余曲折を描かなければならないのだけど、そこのセンスの問題。 「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」は、二人がそこで話していた会話の内容通りの状況になり、そこから期待したが・・・。 ゴダールの短編も、内容はつまらなかったけど、作品から発せられるエネルギーのようなものは感じ取れました。 他は論ずるに及ばず。 やっぱり、「パリところどころ」とか「七つの大罪」とかを見ちゃうと、どうしてもその差を感じてしまう。自分には、その凄く大きな差を感じさせられてしまうだけの映画、にしかなりませんでした。
[映画館(字幕)] 4点(2010-01-05 00:38:24)
17.  石の微笑 《ネタバレ》 
しばらくレビューの間隔が開いていたお陰で、シャブロルと決別したのを忘れてうっかり観てしまいました。 映画を含め全ての経験が糧になるという信念により、厚かましくもレビューをさせて頂くと、エロい女は好きだけどエロさを露骨に画面に出した映画は嫌い。そういうのが見たいのなら、それ専門の映画館に行けば良いわけで。 そういう意味でこの映画はあまり好きではないですが、この映画に限っていえば、それ(最後の死体の直接的な描写も含む。普通は死体の一部を映すだけで十分。)がないと映画自体が成り立たないので、過去に観たシャブロル作品同様、非常に評価に悩むところです。 この映画を語る上で欠かせないのが、センタという女性。何か、肌の質感やボディラインを強調するような撮り方なので、肉感的なエロさがプンプン出てて凄く良いんだけど、ちょっと重い。毎回、登場する毎にいろんな表情で出てきてくれて、僕はなかなか好きなんですが、やはり重くてキモい。主人公の男フィリップが浮浪者を殺したと嘘をついてセンタと関係を維持しようとするところなんかは、自分でもたぶんそうするだろうなぁと思ったり・・・。「いとこ同志」より後のシャブロルは奇妙な映画ばかり撮っているような気がしますが、この映画はセンタという女がちょっとオカシイだけで、ストーリーは入っていけます。 まぁ、このサスペンス感や狂気を味わえるかどうかが評価の分かれ目だと思うので、好きな人は好きなんじゃないですかね? ところで、あの石像は一体何だったのだろう。親子ぐるみであの石像に思い入れがあるようで、“フローラ”などと名前も付けたりなんかして。ただ単にあのような顔がフィリップの理想だったというだけのことなんでしょうか。持ち主が狂気じみてきたりとか、いろいろ勘繰ったりしたのですが、特に何もなかったような感じです。 まぁ何というか、あの女の存在自体がちょっとしたホラーかと。
[映画館(字幕)] 5点(2009-12-26 23:05:15)
18.  ユリシーズの瞳 《ネタバレ》 
アンゲロプロスには申し訳ないですが、ストーリーの中での出来事、主人公がどんなことに出くわしたかとか、いつの時代にどこの国でどんなことが起こったかとかは、はっきり言ってどうでもいい事だと思う。 話の大筋、主人公が幻のフィルムを求めて国境を越え、戦禍をくぐり抜けながらフィルムにありつく。この程度のことが読み取れさえすれば、あとは主人公がフィルムを追い求める情熱を感じ取るのみ。 この映画は他のアンゲロプロスの作品同様、旅を描いた映画。東欧の実情を主に描いてストーリーは副次的なものにしたいのか、またはその逆なのかはわかりませんが、少なくとも自分は画面の中で起きていることを見ているだけでも十分入っていけました。 途中、夢だか回想だかのシーンが出てきますが、これが少々解り辛い。特に入り方。ワンシーンで一気に時代がジャンプすることが珍しくはないアンゲロプロスの映画の中では、何が起こっても全く不思議ではないから。 最後、幻のフィルムにありつけるわけだけど、フィルムの内容などどうでもよくなるくらいの救いようのない結末には絶望してしまいます。せめて、霧の中で音楽を奏でているシーンで締めて欲しかったと思う。
[映画館(字幕)] 6点(2009-02-06 00:31:55)
19.  マヅルカ 《ネタバレ》 
場末の飲み屋のステージで唄うちょっと陰りが出てきた感じの女歌手と、音楽学校に通う母子家庭に育った女学生との交差を、大胆かつドラマティックに描いたストーリー。 一番驚いたのは、映画序盤で女学生リサが母親に届いたドレスを鏡に向かって合わせてみたり母親に着てみるように勧めているシーンが、ヴェラの回想シーンの時にヴェラの立場から全く同じそのシーンが回想の中に組み込まれているというストーリー構成。 1つのシーンを後に違う角度から再度用いることによって、2人のそれぞれの物語を繋げているわけなのですが、この手法って映画全盛期といわれる1960年台くらいから使われるようになってきたとばかり思っていたので、これにはかなり衝撃を受けました。 しかも、ヴェラの語る回想が、映画を観ている我々までが彼女に同情してしまうほどのシリアスな過去で、ラストの別れのシーンは、ヴェラが実の娘を思いやる気持ちで一杯で、涙が出そうになってくるほどです。 序盤の軽いコメディタッチな所も面白く、素直に感動できるストーリーですし、何といっても全体的に物語が非常によく練られていて予想外に楽しめたのが良かったです。
[映画館(字幕)] 8点(2008-09-06 16:26:47)
20.  吸血鬼(1931) 《ネタバレ》 
他の方も仰っている通り、影が凄い。影が役を演じているかのよう。 また、影にも負けず、その本体である役者のチョイスもまた凄い。「ノスフェラトゥ」ほどではないが、登場人物の雰囲気が女性も含めて皆アヤシイのだ(笑)。 この映画が面白いのは、吸血鬼が人間を襲うという、恐怖心を煽るシーンがほとんどないにもかかわらず、ストーリーが完全に成り立ってしまっているという点だと思う。 再度観れば点数アップの可能性が十分にありそうな作品なので、今の時点では7点に留めておきます。 あと、毒薬が入った瓶にドクロマークが描かれていたが、“いかにも”という感じで笑ってしまった(^_^)
[映画館(字幕)] 7点(2007-09-30 02:33:04)
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