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とらやさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2102
性別 男性
自己紹介 善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、
悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、
笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。

2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。
この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。
管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。
これからもよろしくお願いいたします。
2018.11.19

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1.  アンダーグラウンド(1995) 《ネタバレ》 
第2次大戦から冷戦の時代を経て、製作当時にはまだまだ燻っていた内戦に至るまで、 クストリッツァの祖国の、争いを抜きに語れない悲しき現代史を、登場人物の人生に重ね合わせ一気に見せる叙事詩。 いつの間にやって来たのか、クストリッツァ映画のレギュラーとも言える大勢の人物に紛れ登場する楽団が奏でる賑やかなジプシーブラスは クストリッツァならではの力強い人間描写と共に時に陽気にコミカルに、過酷な中にも日々を懸命に生きる人々を称える人間賛歌でもありますが 時にはその人間模様が狂気じみても見え、時には何とも滑稽にも見えます。人間と戦争を彼らしい描き方で強烈に皮肉り風刺する。 賑やかな音楽と共に彼の映画に欠かせないのが動物ですが、本作ではその動物たちが空襲により傷つき血を流し死んでいく様も描かれます。 登場する人間達が放つ強烈なまでに人間臭さを感じさせる個性、 全てのシーンにみなぎる力強さとスケールの大きさに圧倒される3時間はあっという間に過ぎていく。 クストリッツァらしく賑やかな結婚式のラストですが、賑やかな宴の一団のいる陸地は分断され不安定に漂っているように見える。 祖国ユーゴスラビアもまたいくつにも分断し、今後どうなっていくのだろう? 「この物語に終わりはない」というラストもまた考えさせられる。 「映画の持つチカラ」というものをとても強く感じる作品です。 クストリッツァという人を知るにはやはりこの映画だと思うし、彼の最高傑作であると思います。
[DVD(字幕)] 10点(2017-12-27 16:25:15)(良:1票)
2.  暗い日曜日 《ネタバレ》 
名曲「暗い日曜日」まつわるエピソードは聞いたことがありましたが、 その曲をモチーフにした、こんなストーリーがあったとは・・・。 あまりにも美しい1人の女と3人の男。それぞれの人物像と、彼らの心の配置が見事という他に無い。 戦争の時代を描いたドイツの映画特有の重さはあるのですが、 「暗い日曜日」の旋律の如く美しく悲しく、そしてエロティックでサスペンスフルで、何と上品な映画か。 3人の男のうち2人は戦争中に命を落とす。しかし、イロナには新しい命が宿っている。 ラストで作品は冒頭に続く現代に戻る。60年の時を経ての3人目の死。あの店で、あの曲が流れている中で・・・。 店の奥で息子が母の誕生日を祝っている。洪水の後も、彼女は洪水を忘れることなく力強く生き抜いたのであろう。 とても静かですが、重みを感じさせるラスト。そして常に死を感じさせる作品でありながら、 鑑賞後の後味は上質のワインでも味わった後のような余韻が残ります。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-11-20 16:36:38)
3.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
貧しくも善良に暮らす人々が織りなす心温まるストーリー。カウリスマキの作品なので、本作も寡黙な映画でしたがじんわりと心に響くいい映画でした。  世知辛い世の中、最近はいいニュースも少ないですが、だからこそせめて映画の中ではこんなことがあってもいいと思う。  最後は奥さんにまつわるちょっとしたどんでん返しがありましたが、(空いたベッドを見せて一瞬えっ!?と思わせておいて…)これも素敵な大人のおとぎ話だと思いますよ。何の説明も医学的根拠もありませんが、奇跡を信じたい時って必ずあるものです。本作のような映画にバッドエンドは似合わない。
[DVD(字幕)] 9点(2013-09-06 15:25:15)
4.  おとなのけんか 《ネタバレ》 
これはお見事!作品はアパートの一室からほとんど一歩も出ない。2組の夫婦が、それぞれの子ども同士がけんかで怪我をした解決方法を話し合っている内に今度は大人達が・・・というお話。  アパートの一室から殆ど出ない設定の中、ポランスキーの演出、脚本、4人の演技が三位一体となって実に面白い空気を創り上げています。ポランスキー自身、俳優としてジュゼッペ・トルナトーレ監督作「記憶の扉」(94)にて、ほとんど警察署の取調室から出ない設定の中Gドパルデューと俳優として共演し、ほとんど2人っきりで見事な演技合戦を繰り広げましたが、本作の4人もお見事。  ハムスター、ゲロ、クライアントや母さんからの電話、ウイスキーといった次なるバトルの発端となるきっかけの出し方、そのタイミングも実に自然。  最初は和やかに解決方法を話し合っていた2組の夫婦がこれらきっかけを元に夫婦vs夫婦、夫vs妻、妻vs夫、夫vs夫、妻vs妻、かと思えば夫同士、妻同士が共闘したりと1つの些細なきっかけを発端に自然に対立の構図を変えていく流れも素晴らしい。  気がつけば子どもたちは仲直り、ハムスターも公園で元気。色んな大人の事情を挟みつつも大人気無いおとなのけんかにまんまと笑わされたポランスキーの人間観察コメディ。  原題の意味は分かりませんが、「おとなのけんか」以外のタイトルが考え付かない、この邦題もお見事です。
[DVD(字幕)] 9点(2012-08-18 13:58:52)(良:1票)
5.  スクール・オブ・ロック
バンドをクビになり仕事も無い。冴えないROCK野郎だった男を演じたジャック・ブラックが最高!!この映画はスマートでカッコいいロックンローラーじゃ駄目だ。微妙な風貌がいい。そして喜怒哀楽が実に分かりやすい顔芸もお見事!ジャックを見ているだけでも十分すぎるくらい楽しい。見事に愛すべきキャラクターを作り上げた。  実際にステージに立つバンドのメンバーだけじゃなく、彼らをサポートする役割の者、裏方に回る者、クラスの全ての子どもたちが参加できて、子ども達にそれぞれのポジションに対し楽しく責任感を持たせる。素晴らしい課題研究じゃないか。  ジャック・ブラックだけじゃなく、堅物校長先生をコミカルに演じたジョーン・キューザックも良かった。最後のステージはまさか感動させてもらえるとは思わなかった。半ズボンの制服姿にハイテンションでステージを動き回り、僕が大好きなAC/DCのアンガス兄貴ばりにキメてくれたジャックが最後まで最高でした。  こうした型破り教師が学校にやって来て、最後は子どもたちに惜しまれつつ学校を去っていく・・・という学園モノによくあるパターンじゃなく、最初から最後までROCK愛で押し通してくれたのも実に気分がいい映画でした。
[DVD(字幕)] 9点(2012-05-12 22:17:03)
6.  黄色い星の子供たち 《ネタバレ》 
史実に基づくこの題材のヨーロッパ映画だけに見る前から覚悟はしていましたが、重い映画でした。しかし、いい映画でした。見てよかったと思います。  妥協せず歴史を伝えようという意思が感じられる厳しい演出だったと思います。それは本来は市民を守るべき存在である筈のフランス警察の描写ついても。少しずつ顔や服が汚れていき、やつれていく。列車に乗せられ、二度と戻ってこなかった人々を演じた全ての俳優、子どもたちが素晴らしい演技でした。そして以前から綺麗な女優さんだと思っていましたが、メラニー・ロラン、いい女優さんだと思いました。  フランス国内では全ての人が知っているのであろう、ナチス占領下の仏国内で1942年に行われた1万人以上に上るユダヤ人の一斉検挙。そのほとんどが生還できなかったという。僕は本作を通してこの史実を知り、記憶に刻み込まれることになった。これも映画の持つ大きなチカラなんだと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2011-09-08 18:28:17)(良:1票)
7.  トト・ザ・ヒーロー 《ネタバレ》 
冒頭のトマ老人の「私の人生は何も無かった」という語り。そう思い込んで生きてきた男の生涯の重苦しい回想でありながらもユーモアのある語り口、陽気な人生讃歌”ブン”の使い方も素晴らしい。  終盤まで自分の人生は何も無かったと思い込んでいたトマ老人がトラックをヒッチハイクする。ドライバーが口笛を吹いていた曲は”ブン”。一台のトラックが追い越していく。そこに大好きだった父と姉がピアノとトランペットで”ブン”を演奏する様子が鮮やかに蘇る。その時のトマ老人の表情と「ずっと君の事が羨ましかった」という思いもよらない告白のシーンが印象に残る。また、青年時代に出会ったある女性との再会を用意したあたりに本作の優しさが感じられます。  不幸な思い込みに心を支配されて生きてきた彼が人生の最終盤でようやく己の人生と正対した。ラストで彼は憧れていたシボレーに乗り飛行機で空を飛ぶ。ずっと彼の笑い声が聞こえている。その姿は見えないけれど、彼の笑顔が目に浮かんでくるようでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-05-10 19:07:08)
8.  白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々
最初から最後まで観る者に目を離させない、全く途切れることのない緊張感。非常に重厚で丁寧に作られている映画でした。「白バラ」の活動を伝えるよりも、その中にいたゾフィー・ショルという一人の高潔な人間を伝えることに集中した映画ですが、ゾフィー役の女優さんの演技は本当に素晴らしかった。また、尋問を担当したモーアがゾフィーを見つめる様々な感情の入り混じった表情も印象に残る。特に2月20日の尋問の際に発する一つ一つの言葉には非常に重みがあり、演じる二人も見事な演技でした。事実に忠実に作られたというこの映画。実に立派な映画でした。
[DVD(字幕)] 9点(2010-09-09 23:23:53)
9.  M(1931) 《ネタバレ》 
冒頭で少女が歌う影法師の殺人鬼の歌から始まり、姿なき連続少女殺人鬼の影に怯え疑心暗鬼になっていく街の様、作品全体を支配する不安げな空気と緊張感が見事。犯行の直接的な描写は何もないのに(冒頭で少女に声をかける影と口笛を吹きながら風船を買う様子や街をうろつく姿を捉えるのみ)徐々に作品の中の街の住民と観る者の心に不安感を募らせていく。ラング監督初のトーキー作品ですがサイレントの場面も効果的に挿入され、音楽は一切使われていませんが犯人が吹く口笛が効いています。またモノクロ映像にもたらす影や煙草の煙、犯人の肩口のMの文字といった陰影が実に効果的に使われています。そんなサスペンスの手法、終盤の裁判の様子と一旦火のついた群集心理の恐ろしさ、犯人が新聞社に送り付ける犯行声明や異常心理の犯人の自覚無き犯行を如何に裁けるのか、など現在においても80年前のフリッツ・ラングの手法とメッセージが十分通用しています。街を徘徊する正体不明の連続殺人鬼を追う1920年代を舞台にしたウディ・アレンのモノクロ作品「ウディ・アレンの影と霧」を思い出しました。こちらはコメディなのですが、題材といい、タイトル通りモノクロ映像にもたらす影と霧の効果といい、これはウディ・アレンの本作へのオマージュでもあった訳ですね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-03-01 12:49:19)(良:1票)
10.  ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式
ハウエルズ家の主人のお葬式の半日を舞台にしたコメディ。単館で地味な扱いながら久々のフランク・オズ監督の新作で楽しみにしていたのですが、期待通り笑わせてもらいました。コレは面白かったです。葬儀に集まってくる親戚や知人はひと癖ありそうな人ばかり。狭い家の中は参列者であふれかえり、参列者の様々な事情に故人の生前の複雑な事情までもが交錯する、狭い屋敷の中で繰り広げられる群像劇ですが、そこはさすがにコメディ職人フランク・オズ監督。登場人物に無駄が無く、全員が見事に笑いに貢献している。しかも誰一人ふざけている人間はなく、全員がそれぞれの事情に対し至って真剣にてんぱっている様子がとにかく可笑しい。書斎に物置にトイレに屋根の上まで狭い屋敷を使い切り、テンポの良さも見事です。そんなハウエルズ家のお葬式はかなりまずいことになりつつもドタバタしつつも一応は丸く納まったようで一安心。そしてそれぞれが微妙な関係にあった家族が互いを思いやる気持ちを取り戻したラストはあたたかい。主役は”精神安定剤”?
[映画館(字幕)] 9点(2009-10-07 19:31:28)(良:1票)
11.  スモーク(1995) 《ネタバレ》 
何度見てもいい。煙草屋の主人・オーギーを演じるハーヴェイ・カイテルが「おい、そんなに急いで生きるなよ。もっとゆっくり生きろよ」と見ている僕たちに語りかけてくれているような、そんな映画です。ウィリアム・ハートと2人で写真を見るシーン。どの写真も同じ時間に同じ街角を捉えた同じような写真ばかり。ペラペラ適当にアルバムをめくるウィリアム・ハートに「写真はもっとゆっくり見る方がいい」とうながし、ハートの亡くなった奥さんの写真を見つけさせるんですね。作品全編がこんな風にゆったりとした優しさに包まれています。そしてラストのオーギーのクリスマス・ストーリー。いいですね。「嘘が上手いのも才能だな」「秘密を分かち合えない友達なんて友達といえるか」カイテルとハートの2人、なんていい雰囲気だろうか。そこにトム・ウェイツの歌が流れる。何度見てもそこで涙腺が緩んでしまいます。トム・ウェイツの歌をバックにラストクレジットが流れてもいいのかもしれない。では、その後のモノクロのオーギーの話を映像化したものはどうなんだろうか。2人の会話のシーンで終わるのもいい。でも、短い時間ですがあのおばあさんの表情を見ていると何か癒されるんですよ。心に染み入る名演技だと思います。だから、僕は最後のモノクロの映像も好きです。あんなに人を幸せにさせる嘘もあるんですね・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-19 22:28:41)
12.  2番目のキス 《ネタバレ》 
ドリュー・バリモア! カレのジョークに反応する表情、幸せを実感する表情などなど。 彼女の見せる表情の1つ1つが本当にいいんです。 本作はそんな彼女を見てるだけで、もう十分な作品です。 男の方は人生の何よりもレッドソックスを優先させて生きてきた。 これでもかというくらいにレッドソックスバカぶりを見せ続け、 中盤まではかなりコメディに軸足を置いた作品になっていますが、 そんな男が人生で初めてレッドソックスより優先させたものは・・・! そんな男だけに最後に見せた男の本気、その選択が効いています。 大団円のラストでは、見事なまでに王道ラブコメとなっていました。 バンビーノの呪いが遂にとけた時のレッドソックスの面々が懐かしい。 最古のボールパーク、クラシカルなフェンウェイの魅力を色んな角度からたっぷりと見せてくれる。 ラブコメとしては勿論、MLB好きにとってもたまらない作品です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-03-28 18:36:44)(良:1票)
13.  シンプル・プラン
雪深い森の中でたまたま見つけた墜落した飛行機。その中には440万ドルが残されていた・・・。 安月給だが真面目に働き、妻と、妻のお腹の中にはもうすぐ産まれくる子どももいる主人公の男。 冒頭はこの夫婦が一番まともに思える。あとは一緒にカネを見つけてしまった失業中の兄と、兄の友人。 ヤバいカネかもしれないが黙ってれば、うまくやりさえすれば目の前のカネは自分たちのもの。 あぶく銭を前に、普段は見えない人間の持つもう1つの顔を表面化させ、 あぶく銭を前に人間が豹変していく様を地味に、ひたすら地味に見せていく。 見る者に、ここに自分がいたらどうするだろう・・・?と考えさせる、登場人物を絞り地味ながらも設定が見事。 登場人物の冒頭の印象とは裏腹に、このシンプルプランに次第に精神的に耐えられなくなって壊れていく兄が印象的。 演じるビリー・ボブ・ソーントンがこの役に素晴らしくはまっています。 サム・ライミにはこういうスケールの映画ももっと撮ってもらいたいなと思いますね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-22 18:11:42)
14.  さあ帰ろう、ペダルをこいで
車で旅行中の事故で両親を亡くし自身は記憶を失った青年と、 家族の祖国ブルガリアから彼を迎えに来た祖父との記憶を取り戻す2人旅を描くロードムービー。 事故が起こったあの旅行にどんな意味があったのか。それは作品に挿入される過去が少しずつ明らかにしていく。 青年が幼い頃からの過去の出来事、家族の歴史が頻繁に挿入される。 この家族の歴史は、ソビエトの影響下に置かれた東欧諸国の多くの市民が経験してきた歴史そのものであり、 自由を求めて西側に亡命しても、即自由を謳歌できる暮らしが待っているわけではない。 こうした頻繁な過去の挿入が作品のテンポを悪くし、失敗するケースもあるのですが、本作はそれが本当にうまく機能しています。 そして本作で最も欠かせないのがバックギャモン。正直、ゲームのルールは見ていてもよく分からなかった。 しかし、「人生はサイコロと同じ。どんな目が出るかそれは運と自分の才覚しだいだ。」この祖父の教えが全てを表しており、 2人で力を合わせて故郷を目指しペダルをこぐタンデム自転車の旅そのものが祖父の教えでもある。 その祖父を演じた、巨匠クストリッツァ作品に欠かせない旧ユーゴスラビア出身のマノイロヴィッチの味わい深い演技が素晴らしい。 原題の意味もすごくよく分かるし、この邦題もまた素晴らしい。ロードムービーの佳作です。
[DVD(字幕)] 8点(2020-12-06 16:36:05)
15.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦
「プラトーン」に「地獄の黙示録」に「ランボー」も。 ベトナム戦争映画へのオマージュ、パロディを盛り込みつつ、独特のノリでハリウッドを茶化してみせる。 ベン・スティラーのセンスと力技に笑わせてもらいながらも、 こんな映画にカメオ出演まで含めたこの豪華な顔ぶれ。スティラーさん、なかなか広い人脈もお持ちのようです。 特に言われても本当にそうなのか?と思えるほど意表を突かれたトム・クルーズとダウニーJrには参りました。 スティラーが彼らに、「こんな風貌でこんな役をやってほしいんだ。」 「面白そうじゃないか!いっそのことハゲのヅラ被らせてくれよ」なんてやり取りがあったのかは知りませんが、 みんなノリノリで楽しそうに遊んでいる。アメリカン・コメディにしか出せないような空気がたまりません。 他にも、えっ!?パチーノ?と思ったら、パチーノではなくチーノだった。とか。 そんな中にニック・ノルティのような人をちゃんと入れているところも面白い。 「レインマン」のダスティン・ホフマン、「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクスがオスカーを獲れて、 「アイ・アム・サム」のショーン・ペンはなぜ獲れなかったのか。勉強にも?なったのかな。 細かいネタやギャグにどこまでついていけていたのかは分かりませんが、それでも十分楽しませてもらいました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-07 17:22:16)
16.  ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
バンドが演奏している映像を見るのが大好きな僕にとっては、いい時間だった。 好きな音楽のジャンルは圧倒的にロックなんですが、 映像の中にいるミュージシャンがカッコよくて、音楽が素晴らしければ、ジャンルなんて関係無い。 本作にはキューバの新進気鋭の若手ミュージシャンなんて1人も登場しない。 キューバの老ミュージシャンが演奏し、音楽を語り、人生を語り、キューバを語る。 それがまた、彼らが奏でる音楽同様、何とも言えない味わい、深みを感じさせる。 ヴェンダースとライ・クーダーと言われて真っ先に思い出すのは「パリ、テキサス」ですが、 この2人のいち音楽ファンとしての、キューバ音楽の歴史を繋いできた老ミュージシャンへのリスペクトと、 キューバ音楽への熱き思いが溢れ出ているような作品です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-15 20:17:21)
17.  パターソン 《ネタバレ》 
パターソン市で生まれ、今もこの街で生きるバスの運転手で余暇に詩作をする若者パターソン君が本作の主人公。 朝、恋人と一緒のベッドで目覚め、出勤し、バスの発車前のわずかな時を利用しノートに詩を書きとめる。 同僚との会話の後バスを発車させる。運転中はパターソン市民である乗客の会話が作品をうまくつないでいく。 仕事が終わり、恋人と食事をしその日あったことを話し、犬の散歩、そして行きつけのバーで人のいいマスターと常連客達とのやりとり。 毎日ほぼ同じ行動の繰り返し。時にトラブルはあるが基本的に大事件は何も起こらない。淡々としたパターソン市とパターソン君の日常。 でも、多くの人にとって、日常ってそういうもの。 パターソン君の行動範囲に定点カメラが据えられているか如く、規則正しく彼の毎日を映し出していくので、 淡々と抑揚のない作品でありながら、作品のテンポがとてもいい。 今日は同僚とどんな会話をするのか、どんな乗客が乗り込んで来るのか、 さて、日も暮れてそろそろバーに出かける時間だな。意外性の無い彼の日常が次第に楽しみになってくる不思議な心地よさ。 パターソン君とパターソン市の人々や恋人とのやりとりに挿入される、 クスッと微笑ませてくれるような普通の人々の日々の暮らしの中にあるささやかな笑いドコロ。 このあたりには実にジャームッシュらしい独特の空気、そして楽しさがあります。 特に今日は何を言い出すのか、明るく朗らかな恋人の存在が淡々とした日常を描く作品の中でいいアクセントとなっています。 架空の町ではなくアメリカに実在する町パターソンで生まれ、 仕事の傍ら詩を発表し続けた実在の詩人に捧げるという意味合いもあるであろう本作「パターソン」の主人公は パターソン君であると同時に、この詩人を輩出し、様々な愛すべき人物が登場したパターソン市そのものでもあったのでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2018-08-12 20:12:34)(良:1票)
18.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 
冒頭のドン・チードルの”触れ合いとぶつかり合い”の語り。 鑑賞後にこの冒頭の語りがとても印象に残る作品でした。 本作には様々な人種の人々が登場する。人種差別主義者もそうではない人も登場する。 人々の暮らしの中に普通に存在してしまっている銃の存在。 アメリカに住む市民なら誰もが、多少なりとも本作に登場するような人に出会い、 触れ合いもぶつかり合いも経験したことがあるのではないかと思う。 特定の主人公は存在せず本作の登場人物も誰もがアメリカの一市民であり、 これらに対し本作は特にこれといった解決策を見出している訳ではないですが、 現状では誰にも解決策なんて見出すことができないんだから仕方が無い。 その上でポール・ハギスはアメリカ社会の現状の一端を語り、アメリカ市民に問いかけようとしたのか。 それでも、序盤から人種差別的な行動や発言を繰り返す、主役級のマット・ディロンやサンドラ・ブロックですが 彼らの序盤からのぶつかり合いの果ての触れ合いに少し救われたような気がします。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-11-26 17:40:16)
19.  リスボンに誘われて 《ネタバレ》 
監督はデンマーク出身の名匠アウグスト。そこにヨーロッパ各国から結集した豪華キャスト。 それだけでもハズレは無いだろうとは思っていたのですが、期待通りの作品でした。 冒頭、橋の上から身を投げようとしていた赤いコートをまとった謎の女性が残していった1冊の本。 (この女性の正体を後半についでのように挿入しますが、これは余計だったと思います…。) 彼女を追うようにリスボン行きの特急に飛び乗る。ミステリアスで文芸的な物語の始まり。 リスボンで少しずつ明らかになっていく本の著者アマデウと、彼の周りにいた男と女たちのドラマ。 本が書かれた当時のサラザール政権下の圧政とカーネーション革命前夜に、レジスタンスとして活動した仲間達。 まだ若かった彼らの過去のドラマと、年老いた彼らが当時を回想する今のドラマ。 2つの時代のドラマが同時進行するミステリ・サスペンスであり、ロマンスでもある。 今のパートを演じる主演ジェレミー・アイアンズの名演に、 クリストファー・リー、シャーロット・ランプリング、ブルーノ・ガンツら。 過去を回想する、彼ら名優が見せる時の流れの重みを感じさせる味わい深い演技は実に見応えがありました。 きっと彼は電車に乗らなかったのであろう。新たなロマンスの始まりを予感させるラストが静かな余韻を残します。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-12 21:46:39)(良:1票)
20.  黒猫・白猫
冒頭からとにかくクストリッツァ・ワールドが全開。 動物がいっぱい出てきて、人々がフィドルやギターやアコーディオンを奏で陽気に歌い踊る人生賛歌。 この人の映画は2時間を越える長いものが多いのですが、 その間ほとんど隙間が無いというか、テンションが緩まずホッと一息つく間もない。 常に登場人物が楽器を奏で歌い踊り、動物も人も常に大勢がワイワイガヤガヤとやっている。 鑑賞後は彼の映画の独特の世界観にお腹一杯になる。でも、それがこの人の映画の魅力でもあると思う。 クストリッツァの映画には彼の祖国の歴史を語る時避けて通れない内戦が背景にあるものが多いですが、 政治や内戦とは対極にあるようなドナウ川と動物達と共にあるジプシーの暮らし。 賑やかな音楽とギャグも満載に陽気にワイワイガヤガヤと描かれる彼らの暮らしからは平和の尊さも感じずにいられません。 そして時代や国にかかわらず、やっぱり「カサブランカ」のボギーは男の憧れの姿の1つなんだなあ・・・。
[DVD(字幕)] 8点(2016-04-16 21:47:00)(良:1票)
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