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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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1.  女の子ものがたり
緑の大地に青い空。キレイに切り取られた田舎の風景が荒んだ生活をカモフラージュする。三人の女の子たちもまたカラフルな服を纏っているもんだから全体的に明るい印象を受ける。しかしてその実態は。というのが狙いだと思ったのだが、「荒んだ生活」はその事象が映されるもののどこか絵空事、他人事のような描き方。迫ってこない。前後が無しでその事象だけだから唐突。友だちの前では明るく振舞っているから唐突でいいのだ、とも言えるかもしれないけど一瞬でも顔に影を入れるとか寂しげな後姿のカットを入れるとかしようよ。というかそれがあれば事象を見せなくたっていいのだ。全体的にお話の中の細かなところで繋がらないところもあった。現代のシーンのデコボココンビの会話からくる笑いもいかにも書かれたものって感じであざとさが目立つ。リアルを装っているぶん尚更イタイ。
[DVD(邦画)] 4点(2011-12-09 15:28:21)
2.  狼と豚と人間 《ネタバレ》 
ワルな男とそのワルに惚れた女が見せるオトナの空間。そこに流れるジャズ。しかしそのワルが健さんという違和感。ワルが合わないのかジャズが合わないのか。唐突にミュージカルに転じる私好みの展開もひたすらさぶい。選曲が悪いのか演者が悪いのか。しかし後半の廃屋での拷問あたりから盛り上がってくる。ワルだけど卑怯じゃない、とどんどん健さんらしくもなってきて、反対に深作流ワルが様にもなってきて、最後の立てこもりから撃ち合いまでくるともう監督の本領発揮。この最後の盛り上がりが凄い。そして貧民街の夜の静けさというギャップを活かしたエンディングが素晴らしい。
[映画館(邦画)] 6点(2011-06-28 13:50:57)
3.  おそいひと 《ネタバレ》 
若松孝二の特集上映をやってる映画館で「ついで」で見たものでなんの前知識も無く見ました。最初は重度身体障害者のドキュメンタリーなのかなと。それにしちゃ、えらくノワールっぽいなと。途中からリアルがリアルのまま非日常の世界に変わってゆく。その様に驚いた。介護者がパンクボーカリストということで随所にこのパンクが流れる。短いカット割りも相まってミュージッククリップ風なのがちょいと残念な気もするんだけど、ノワール臭を発散させる主人公(実際の重度身体障害者)の強力な牽引で強烈な犯罪映画に仕上がっている。実際の身体障害者が演じているということや身体障害者が殺人を犯すという衝撃的な内容が一宣伝で終わっていない(ちなみに私はこの宣伝を見ずに映画を見ている)。どうして人が人を殺すのか。その人が身体障害者であったっていいじゃないか。むしろなにがしかの障害を持って生活をしている人のほうが健常者よりなにかとてつもない爆弾を抱えて生きているかもしれないではないか。はたまた生まれ持っての殺人鬼がたまたま障害を持って生まれたにすぎないのかもしれない。とにかくこの主人公、みごとに一人の鬼畜となっている。同情を寄せ付ける隙は無い。一人の障害者であるまえに一人の殺人鬼である。それを演じた住田雅清が素晴らしい。
[映画館(邦画)] 7点(2010-12-13 15:19:55)
4.  ALWAYS 三丁目の夕日
建設中の東京タワーが前方にそびえる大通りがCGで再現されているが、物語の舞台となる街並みはえらく作りものっぽく、なんじゃこれ、と思っていたのだが、鈴木オートのぶち切れ演技でようやくこれはコメディなのだと気付き、そうなるとどこから見ても嘘っぽい街並みがこの大袈裟な芝居で綴られるコメディに妙に合うではないかと。むしろ時折挟まれる東京タワーを眺めるCG大通りのほうが浮いている。全体的な照明の暗さはこのCG部分との差に違和感を残さないためなのかもしれない。もしそうだとしたらこのCGのせいで映画はめちゃくちゃにされたことになる。薄暗い明度が合っていたのは三浦友和がたぬきに化かされたシーンのみ。コメディには不似合いだけどこの時代を描くにあたって眼をつぶるわけにはいかない戦争の傷跡をちゃんと入れていることを評価したい。またこのシーンが後のサンタクロースのシーンに深みを与えている。セリフ過多で進行する中、言葉少ない三浦友和が良かった。
[DVD(字幕)] 5点(2010-11-15 14:03:41)(良:1票)
5.  俺は、君のためにこそ死ににいく
政治家が脚本と製作総指揮までやっちゃってる映画なんてその時点でダメだろうと思ってもよさそうなもんだけど、この人は政治家の前に作家だったわけで、もしかしてという小さな期待を持って見てみたのだが、いきなり「特攻」の必要性というか言い訳を伊武雅刀がダラダラとやっちゃうもんだからガックリだ。個人の思想・哲学でガチガチに固めたってべつにかまわない。しかし政治家としての彼は一応主張だけは入れてはいるんだけど、作家としての彼はそれなりの平衡感覚をもってこの映画を描こうとする。だから主張の部分も、それを否定する部分もものすごく理屈っぽい。というか政治って理屈が大事なのでそういうことになっちゃうのだろうか。説明のつかないようなことまで説明しようとしている。隊員とそのまわりの人々それぞれにドラマがあることを丁寧に、それでいて誰かをクローズアップせずに見せてゆくのは好ましいのだが、ときたま発せられる言葉だけが妙に目立ってしまうので台無し。インタビューとナレーションと時々再現ドラマだったら良かったかも。
[DVD(邦画)] 3点(2009-08-03 14:42:26)
6.  おくりびと 《ネタバレ》 
邦画によくあるこの万人受けする作風・・コメディと感動ドラマがひっついたようなやつ、これがどうも苦手というか嫌いというか・・まあ、嫌いなんだが。たしかにヨメさんと二人して泣きましたよ。でも葬儀のシーンで画面に泣いてる人が出てればそりゃ泣くよ。たしかにヨメさんと二人して笑いましたよ。でも女だと思ったら男だよと本木と山崎が大袈裟にコントやってりゃそりゃ笑うよ。ふぐの焼き白子が美味いことを「こまったことに」と言われりゃ、ふぐの焼き白子がホントにこまったことに美味いと思う私にしてみればやっぱり笑うよ。ぜーんぶ、映画と関係ない。某邦画の竹中直人の容姿といっしょで面白さが映画から来ない。唯一良かったのが本木の納棺師としてのお手並み。シュッという、あるいはゴワゴワという布地のすれたりするときの音とともにその振る舞いの一つ一つに神聖さが前面に出ており、これを見た者がそれまでの差別や猜疑心を一変させるのも納得してしまうほどの美しいシーンでした。『フラガール』のフラダンスとは違い、ちゃんと映画として活きていた。もちろん本木の振る舞いの美しさは滝田洋二郎よりも本木雅弘に功績が大だと思うが。
[映画館(邦画)] 5点(2009-03-23 16:49:26)
7.  おとうと(1960) 《ネタバレ》 
姉というより母だ。父母それぞれの事情により姉が母とならざるを得ない状況が映される。その環境は同時に弟をわがまま放題の子供にしてゆく。姉はいっそう母になる。説明するほどのこともないから説明しない。状況の描写が的確にされているから説明がいらない。こういうことを普通にするのが巨匠といわれる人。しかし市川崑ゆえか岸恵子ゆえか、はたまた原作ものゆえか、姉が母ではなく女を見せるシーンがあるのだが、全く色気がないってのがどうも・・。映画的には弟への愛にエロティックさが現れても面白いかも。でもそれ以前に色気がなさすぎる。ラストの悲しい流れを断ち切るようなきりりとした動きは意表つかれました。弟がいなくてももう母でいることに慣れた自分を捨てられないってことなのか。
[DVD(邦画)] 6点(2009-02-23 17:26:01)
8.  御誂治郎吉格子
貴重なフィルムということらしいが全く古さを感じなかった。お話はありがちではあるんだけど場面の展開がスムーズというか・・、ある場所からある場所への移動シーンが端折られていて、そのうえサイレントにありがちな説明字幕も入れずにそれでも混乱させずに見せてしまうってのは相当に練られた脚本と編集の賜物なんじゃなかろうか。会話字幕も簡潔にして出すタイミングも出されている時間も適当に良く、こういうところでも映画のリズムを作っているんだろうかとすら思った。一階から二階に続く階段がまさに一階と二階のシーンをうまく繋ぎ合わせる。と同時に二階の部屋から出るにはその階段を使う以外は窓から出るしかないということを分りやすく提示してもいるのだが、その二階の窓から出るという状況をも何気に二階からの眺めを時折挟むことで観客に示唆しているのだ。と思う。そういう細やかな配慮があるからフィルムの劣化を超えて映画を楽しめるのだと思う。
[映画館(邦画)] 7点(2008-11-05 17:26:34)
9.  大いなる幻影(1999) 《ネタバレ》 
『ニンゲン合格』同様に、生きることの根源としてある自己の存在価値についての葛藤が描かれているのだと思う。女はカーテンで隠された郵便窓口で働く。外部との接触を阻まれた世界で外部との接触を切望しているふうでもある。彼女の地図に日本は存在しない。自分が今いる場所において自らの存在を確立できずにいる。男は対人関係のわずらわしさから逃れるためにあえて自ら存在を希薄にしてゆく。この世界に存在すること自体に苛立ちを持ちはじめる。そして本当に体が透き通ってゆくのだ。恋人たちが公園で遊ぶ。男と女のあいだをボールが行き来する。ボールを通してそれぞれの存在を確認することで女は喜び男は苛立つ。そういった構図はなんとなく理解できるのだが、なんとなく意味ありげなシーンに埋め尽くされた映画は大きな展開があるのかないのかすらよく分からないままに淡々と静かに過ぎ去ってゆく。ちょっと厄介な映画。これもまたずいぶん前に観たものだが、再見の意欲が湧かずにいる。観たら観たで何か発見できるかもしれないのだが。ラストは唯一大きな展開を見せてくれるので安堵と混同した感動がある。郵便窓口の境界線を突き破って女は自らの位置(存在)を確立する。男は存在を消してしまったにもかかわらず存在を消した状態ごと女が受け入れたために存在を消した男として存在するという存在証明を手にする。書くとややこしいな。まあ、どうとでもとれる映画でもある。
[ビデオ(邦画)] 6点(2008-10-24 16:39:04)
10.  小原庄助さん 《ネタバレ》 
これまでの監督業で裕福になった清水監督は、戦後は松竹をやめて戦災孤児たちと山奥で共同生活をしています。海外で名声を得るという野心も抱かずのんびりと映画を作り続けるのですが、この作品はその当時に撮った作品になります。この「小原庄助さん」と呼ばれる男となんだかかぶってるなあと思いながら観ました。撮影所のセットではなく一貫してロケに拘ったところは、生活はのんびりであっても映画への本気度はますます盛んになっていたということなのでしょう。大河内傳次郎も実にのほほんと主人公を演じていて良かったが、ロケ撮影で得られる開放感があったればこその、のほほんさだと思う。何もかもを失くした主人公が二人組みの泥棒を介して自らに説教をし、身一つで出直そうと歩き始める。そこに・・・ちょいとうれし泣きさせてくれるエンディングが爽やかでした。
[映画館(邦画)] 7点(2007-11-02 14:34:21)
11.  お葬式
誰も扱わなかった隙間の題材を使い、その内幕とノウハウを面白おかしく見せるその手腕は、その後の伊丹映画の特色として継承されパワーアップされてゆく。パワーアップされてゆくごとに映画から離れてゆく。この伊丹十三初監督作である『お葬式』は、いわばテレビ的ともいえるその作風の中にあって必至で映画たらんとしていることが見てとれる。流れの中で実に浮いているシーンが2ヶ所ある。ひとつは浮いているゆえの違和感が鼻につき、ひとつは浮いているゆえの違和感が感動にも似た感慨を与えてくれる。おそらく映画たらんとするためにあえて浮かしているのだろう。前者は運転しながらのサンドイッチの手渡しシーン。意味不明でバカバカしいだけ。『新幹線大爆破』のパロディのつもりだろうか? 後者は宮本信子が丸太のブランコに乗って延々と揺れているシーン。これももしかしたら何かのパロディなのかもしれないが、そんなこと以上に、けして画面には映らない夫婦の人となりを垣間見てしまったような、あるいは見てはいけない恐怖の対象が延々と映されているような、目を見張らずにはおれないシーンでした。冒頭のホラー映画のような別荘地の描写なんかも好きですが、山崎努の声が邪魔してる。
[ビデオ(邦画)] 5点(2007-10-03 14:58:50)
12.  お琴と佐助(1961)
なかなかの見応え。とくに琴の演奏シーンは圧倒される。春琴は今で言うところのツンデレ?ちょっと違うか。かたくなに師匠として接する春琴とかたくなに弟子として接する佐助。愛欲めいた描写は一切無い。ただ誰の子かも語られない妊娠という現実が語られるだけ。それでも二人がただならぬ絆で結ばれていることがひしひしと伝わる。常に凛とした強さを前面に出している春琴が、たまにか弱さを露呈するシーンが活きている。ゆえに湯上りシーンはドキリとさせられる。不自然な関係を納得させるのは原作の力か。ストーリーのドラマチックさゆえに大映ドラマ風の大袈裟な芝居に見えるのは仕方のないことかもしれない。それでも安っぽくならないのは衣笠貞之助ゆえなのだろうか。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-08-28 12:15:08)
13.  お遊さま 《ネタバレ》 
ロケーションが素晴らしい。そしてその素晴らしいロケーションの中に人物が溶け込む。冒頭の新緑の中を歩く女たちといい、中盤の3人での旅行のこれまた新緑と小川を背景とした立ち姿といい、とにかく美しい。溝口×宮川が魅せる美。田中絹代はたしかに年齢的にもビジュアル的にもミスキャスト感を拭えませんが、この格調高い美への貢献は田中絹代にしか出せぬもののような気がする。そしてこの格調高さの中でその格調高さをけして濁さずに女二人と男一人のイビツな関係を描ききる。自らの意志を持ち得ない時代の中で明確に意志を見せる女を描いてきた溝口と谷崎文学の融合はそれが必然であったかのように違和感を感じさせない。キャラの設定上、存在感の薄い若き乙羽信子がまたいい感じで存在を希薄にしていて薄倖さを醸す。ちなみに新藤兼人の監督デビュー作『愛妻物語』で乙羽の最期のシーンが同じく乙羽で再現されております。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-27 13:52:25)
14.  お茶漬の味 《ネタバレ》 
夫婦の倦怠をコミカルに描いてはいるけども(小津作品独特の短い言葉の応酬が実に作風にマッチしている)、中身はかなりシビア。鈍感だと思われた夫は実は何もかも知っていてあえて何も言わない。心が広いと感じる方が多いだろうけど、諍いが面倒くさいだけ。無関心に近い。妻にとっては鈍感なほうがまだ救われる。もうどうにもならないところまでいったかと思ったら、あることをきっかけに仲直り。「夫婦はお茶漬の味」という夫にとっての理想が傍目には実現した瞬間。妻が「ごめんなさい」。夫が「わかればいいんだよ」。妻が一方的に歩み寄ったにすぎない。この時代、離婚による損害は女のほうが大きいのだ。かといってそれだけで仲直りをしたと言っているわけではない。離れて気づくことがあったのかもしれないし、仲良くしたほうが楽だと思ったのかもしれないし、とにかくこんなことの繰り返しが夫婦なのだ。とこの映画は言っている。見合いを否定し恋愛結婚まっしぐらの様相を見せる姪っ子もまた同じようなゴタゴタを見せてくれる、そんな未来像を予感させるシーンで締めているのも巧い。
[DVD(邦画)] 7点(2007-06-20 14:25:05)(良:2票)
15.  女が階段を上る時 《ネタバレ》 
『流れる』の現代版みたいな感じ。タイトルにある階段を上る時の音楽が独特で高峰秀子の心の声と共に印象に残る。外の疲れた開放感と店の作られた開放感、その間にある階段だけはいつも薄暗く、薄暗いけど階段を上る高峰の背中だけは光が当てられ、その階段だけが別の世界であるかのように映される。出てくる男どもが意識無意識にかかわらずみんな高峰を食い物にする展開の中で、女であることが常に彼女を苦しめる。強がってはいるけれど実は弱い、でも好きな男を見送って株券を返すことでスッパリと切って、その後店で見せる商売用の笑顔に女の強さを思い知る。結局苦労するだけして何も残らない。なくしたものは多くとも得たものは厳しい現実を身をもって経験したということぐらい。けしてハッピーエンドとは言い難い。それでも前を見ているから出る笑顔に救われる。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-04-24 16:39:50)
16.  女の中にいる他人 《ネタバレ》 
人を殺した人間がそのことを隠すことに我慢出来ずに告白してしまう、ということに腹が立つってのもよくよく考えたらおかしな話なんですけど、コイツの場合は罪の大きさを解かってはいるけども、告白も自首しようとすることも罪を償う気持ちからではなく、とにかく楽になりたい、ただそれだけが行動規範となっているので腹が立つ。成瀬監督の男どもはたいていが身勝手で情けない奴なんですが、この作品は設定を男にとっての極限状況にすることでもう見るも無残な情けなさを露呈させてしまう。その情けなさがあまりにあからさますぎて楽しくありません。そう思うってことは自分の中にもそんな情けない部分があって、それを見せつけられていると感じているからかもしれません。そう考えるとさらに楽しくないぞ、この作品。でも映像は、とくに室内のソレは成瀬作品の中でも随一の美しさ。映像と女だけは白黒はっきりしとります。
[DVD(邦画)] 6点(2007-04-23 18:54:53)(良:1票)
17.  折鶴お千 《ネタバレ》 
邦画サイレントを3本立て続けに観た中の1本。どれも面白かったのですが、これは格が違うという印象。格が違うという漠然とした印象をなぜ持ったのかがよくわからないのが疎ましいのですが、まずモノクロだからこそその違いがはっきりする夜のシーンの美しさ。これは他の同時代の作品を立て続けに見ていなければ気づかなかったかもしれない。そして回想で語る構成の斬新さと物語そのものが持つ質のせいかもしれませんが、さらにサウンド版ということで音楽の効果もあったのかもしれませんが、最後まで物語に没頭させる力は並々ならぬもの。『カリガリ博士』の日本公開によってこの作品もドイツ表現主義の影響を受けているということを先にチラシで読んでいて、『カリガリ博士』のような摩訶不思議な背景があるのかとドキドキしましたがさすがにそれはなかったと、ちょっとホッとしました。狂人となったヒロインの幻想シーンがその影響されたというところのシーンなのでしょうか。とにかく、今となっては古臭いお話を全く古臭く感じさせずに見せてしまう、これが溝口健二の溝口健二たるところでしょうか。
[映画館(邦画)] 8点(2007-04-16 11:24:21)
18.  鴛鴦歌合戦
能天気の極致。1939年ってあーた、戦時じゃないですか!なのに映画は笑いで溢れ、みんなが楽しそうに歌ってる。幸せいっぱい。傘を広げて出演者がずらっと並ぶエンディングで思わず感動の涙を流した。映画が終わって席を立つと老若男女、みんながみんな笑顔でした。「あ~楽しかった」「楽しかったなぁ」という声があちこちから聞こえる。今度この映画が上映されたときは映画嫌いなヨメさんを誘ってみようかと思った。
[映画館(邦画)] 9点(2006-12-28 10:42:06)(良:3票)
19.  お引越し 《ネタバレ》 
引越し荷物を積んで走るトラックを追いかける子供を走ったまま引っ張り上げるシーン。捕まえようとする母親と逃げる子供の部屋と廊下を真剣に追っかけあうシーン。ワンシーンワンカット撮影におけるこれらのシーンが実に躍動感に満ち溢れて素晴らしい。今回の相米の子供は少し大人びた小学生。両親が離れて暮らし始めるという、小学生の子供にとっては過酷な環境。そんな環境が子供を大人へとせかしてゆくかのよう。祭りの最中にそれは突然訪れる。親の意志を歪めてでも子の意志を見つめようとようやく思った橋の上の母の前で女への変調を迎えた娘。ここから相米ワールド全開。親が画面から消え去り幻想的な世界が次々と描き出され、彼女は『ションベンライダー』の河合美智子がそうしたように水の中へ入ってゆく。そこで出会う子供の自分。大人へと変わりゆく過程の葛藤を押さえ込み、自分に「オメデトウゴザイマス」と叫ぶシーンに感動。せっかくの美しい映像が涙でちゃんと見ることが出来ないではないか!とこちらも叫びたくなるくらいの感動。かなりいいです、この映画。 
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-08-24 15:20:12)(良:2票)
20.  大阪物語(1999)
「大阪」がぎゅっと凝縮された作品。商店街での会話なんて非常に大阪の空気が出てて良かったです。役者を関西出身者で固めての大阪ロケというのは、「大阪」を画面に映し出すための監督の拘りを感じます。監督は坂本順治でもなく井筒和幸でもない。東京の市川準。東京の人間がよくここまで「大阪」を描けたなぁと思うと同時に、やっぱり東京の人間だなぁとも感じます。中盤からのプチロードムービーは大阪を映し出すことのためだけにあるような無理を感じます。父を探して家を出た少女が南港を拠点にフェスティバルゲート、梅田、新世界、道頓堀、天神橋筋、、とあり得ない距離を瞬間移動しているのはまぁ良しとしよう。でも、あまりにも「大阪」っぽい風景の洪水が「父を探す旅」ではなく「大阪を探す旅」になってしまっている。その風景の選び方が、さすがCMクリエ-ターと感心するくらいポイントを押さえているので余計にそう感じる。物語の設定が芸人家族の修復というコテコテ大阪シチュエーションなのだから、商店街でのお見事な「大阪」の空気だけでじゅうぶん「大阪物語」が出来たのに、と思わずにはいられない。ちょっと残念。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-17 13:01:20)
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