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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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1.  花とアリス殺人事件 《ネタバレ》 
 アリスと花がそこにいる、そこに生きてます。  走って、笑って、踊って、泣いて。   彼女達の時間は無駄だらけ。目的はあっても遠回り、脇道に逸れて、後戻りして、結局は自分達の力でなんとかなった訳でもなくて。それでも、大切でかけがえのないその時間。  その「無駄」を拾ってゆくのがロトスコープによるアニメーション。仕草、動作に生まれる「無駄な動き」は記号化、様式化を拒絶してキャラクターに命を与えます。  もちろん、蒼井優、鈴木杏の「声の存在感」も重要で。これもまたアニメ的記号化、様式化された声優的表現とは全く別の在り方。   アニメーションになる事で『花とアリス』のガチャガチャした印象に比べるとかなりすっきり純化されています。大勢のカメオ出演によってお祭り映画と化していた前作の賑やかさは消え、花とアリスの物語としての純度がぐっと向上して。そして岩井俊二的味わいも幾分スポイルされている気もしますが、私としてはそれは肯定的に捉えてます。  一方で人や場所、エピソードなど『花とアリス』と繋がっている部分はちゃんと存在していて楽しめます。ちょっとアリスも花もキャラが違う感じもしますけど。   真っ白な無から全ての世界を創造してゆくアニメーションは本来、自由なものです。こういう自由なアニメ映画がもっともっと作られていいと思うんです。そして海外の色々なアニメ作品ももっともっと公開されていいと。今の日本のアニメ事情はどうも狭苦しく息苦しくて。
[映画館(邦画)] 10点(2015-03-15 23:39:25)
2.  パコと魔法の絵本 《ネタバレ》 
従来の映画的概念を徹底的に壊しまくるところから結果的にこれが映画だってところまで持ってゆくという、実はもうヒネりまくってある映画。全部が作り物の映像、舞台演技にカメラ目線、あからさまにここぞとばかりに存在を主張する照明、作り物の中に作り物が入れ子細工状態になっていて、ひたすら見立てで描きながら、いちばん肝心な見立ての部分はCGで実映像化。メーテルの星空、惣流・アスカ・ラングレーの青空、アニメのフィールドから続いてゆく世界・・・。真っ当な映画としての機能はしていないように見えながら、フェイクな映像が作り出すドラマに結局は虜になって、でも、それこそが映画でしょ?って。劇映画の起源はオペラを撮影した事だという説がありますが、この映画はそこから遠く離れたようでもありつつ、原点回帰してもいるようで。映画の定義にうるさく拘れば、これはとても遠いところにある異端だけれど、でも、そんな拘りが本当に意味を、価値を成すものなの?みたいに考えたり。・・・なんてワザとややこしい話に持ってゆかなくても、ココロ、キモチで見られる映画です。出だしこそ、コレで最後まで見られるんかいな、と不安になりますが、毒気を放ちまくるキャラクター達にキモチをシンクロさせてゆき、終わってみれば最初の不安なんて何処かへすっ飛んでしまいます。子供にはちょいとその毒気がキツ過ぎかなぁ、ってカンジもしますが、ファンタジーなんぞは、元々毒気が強いモンだったりしますからね。元の役者のイメージがぶっ飛んでいる状態だったりしますけど、だからこそ、彼ら、彼女らのスゴ味を楽しめるって点でもこれは凄い映画。脱帽。
[映画館(邦画)] 10点(2008-09-13 19:45:57)(良:2票)
3.  ハラがコレなんで 《ネタバレ》 
光子が粋なのかどうかを客観的に判断しようとすれば、そりゃとてもじゃないけれど粋とは言い難い訳ですよ。単に無理してるばかりで。どちらかと言えばみっともない。アメリカから逃げ帰ったような状態で、だけど両親にはまだアメリカに居るように思わせてたり、臨月になっても何らかのヴィジョンがある訳でもなく貧乏長屋に逃げる事になったり、自分の生活もロクに確立できてない状態で何が粋か、っていう。んでも、それでいいんじゃない?って思うんですよね。ボロボロになって明日をも知れない状態になっても光子なりの粋を通そうとする姿勢、自分の事はさて置いてでも、他人の事を気遣ってみせようとする姿勢、そういう光子をただのウザいキャラで片付けてしまうようであるならば、それはそれでなんか悲しいじゃん。光子自身はちっとも粋でなくたって、光子が示し続けるベクトルってのは粋なんですよ。ただでさえ人と人との隔たりが大きくなって、だけど助け合いが必要になっているような世の中で、物事を傍観して批判したり冷笑したりしてるよりは、多少無理だったり、おせっかいだったりしても人と関わってた方がよっぽどマシなんじゃないかっていう。仲里依紗が色気を無視した演技で突っ走る光子のその揺るぎのない真っ直ぐっぷりは、いっそ清々しさすら感じるのでした。
[映画館(邦画)] 9点(2011-12-04 19:18:35)
4.  花とアリス〈劇場版〉
あれこれと書いたところで、全部言い訳になりそうな気がして仕方ありません。元々は岩井俊二という人があんまり好きじゃないとか、デジタル撮りの映像が部分的にとっても汚いのでもう少しナンとかして欲しいとか(べったりした黒から毒々しく浮き上がる赤の不自然なこと!)、ゲストキャラ的な存在があれこれ煩わしいとか、カメラワークがどうとか物語やテーマがどうとか、なんかそういうコトをごちゃごちゃ言ってもね、結局、自分の正直なキモチ、蒼井優と鈴木杏がすっごく良かったぁ!ってホンネの前では意味がないですなぁ。ひたすらかわいい、キレイ、ってワケじゃなくって、すっごいカオしたりするんですけど、そのヘンなカオまで含めてイイ! 蒼井優の「じょ・お・だん・です・よ」、アレだけでもう全肯定!みたいな。二人がとっても魅力的なのでいい映画。これでいいのだ。
[DVD(邦画)] 9点(2006-09-30 01:08:59)
5.  ハルチカ 《ネタバレ》 
 原作はミステリーなようですが、映画にはミステリー要素はほぼ無く「廃部寸前の吹奏楽部をメンバー集めて立て直し、コンクール出場を目指す物語」って事で、まーよくあるタイプのモノになってます。吹奏楽を題材にした邦画だけでも『スウィングガールズ』『ブラブラバンバン』『青空エール』『響け!ユーフォニアム』とある訳ですしねぇ(オーケストラまで幅を広げると更にいっぱい)。   でも、そんなよくある物語も面白い演出で楽しめるものになっています。「期日までに部員9人集めないと廃部」という時間制限モノな前半、人数のカウントを字幕で示して、9人目の達成と共にそのカウントの意外な展開で盛り上げたり、静寂を語るシーンでは実際に無音にして観客にも静寂を求めたり(渋谷のシネコンは客席の半分ほどの入りで、ほぼ若いお嬢様で占められていましたが、場内に響くのは空調の音だけで)。  後半のヒロインが抜けてから19人で演じられる長回しのヒリヒリした感じも、ラストのファンタジーも見応えがあって。  群像劇になると共に、ヒロインの苦悩がよくあり過ぎる以上にヒロインの生気をも奪ってしまうのが残念でしたが。引きの画が多くなって情感に訴えかけますよ、って状態になるのですが、いや、もっとヒロインの顔を見せてよ、っていう。   でもまあ、何より橋本環奈なんですよね。橋本環奈って個性?逸材?を採用した時点で約束された世界があったような、この映画の世界は彼女という唯一の真理によって成立しているようなモンで。いや、他の生徒達も良かったんですけどさ、なんていうか、一人だけ違うステージに存在していて。素早い鉄拳とキックを繰り出す(本来はそういう映画じゃないのですが)彼女の姿に、何かが降臨した瞬間を見たのでした。
[映画館(邦画)] 8点(2017-03-08 20:57:36)
6.  BALLAD 名もなき恋のうた
山崎監督って、いい意味で色のない人だと思うんですよ。自分の色みたいなのがない(或いは出さない)がゆえにアクの強さがなく、毎回、広く人々に見られる作品になっている感じ。だけど、この作品は映画版『クレヨンしんちゃん』の映画化、今世紀に入ってから作られた最近の作品をわざわざ実写映画化してしまうっていうのは大変に無粋なように思え、また、元の作品に原監督の色が濃く出ているがゆえに、山崎監督ではなく原監督のモノとしか言い様のない映画になってしまうのではないかと危惧しました。結論としては、原監督と山崎監督のハイブリッドになって実写なりの面白さが出たな、と。原監督的こだわりはかなり薄まりました。でも、キャスティングのそのアクのなさ加減、色の薄さ加減まで含めて、これはかなり巧妙に計算されているんだな、と。つよぽん、ガッキーから筒井、夏川と、見事なまでに強い個性で押すタイプではない役者を揃え、アクの強さをいかに消しこんでゆくか、と。そう、オリジナルのアニメをそのまま映像化したら、とんでもない事になってしまうという危うさをきっちり回避してるんです、これ。実写で「野原一家、ファイヤー!」をやっちゃったら、ボディブレードでフルスイングをやっちゃったら終わりになってしまうという。そこら辺、『20世紀少年』なんかとは違いますね。結果として、広く口当たりのよい娯楽時代劇の出来上がり。シネスコ画面に展開する合戦シーン、一対一の殺陣など、必要な画も撮れてますしね。本格時代劇を、また『クレヨンしんちゃん』を大前提とした視点で捉えてしまうと物足りなさ大爆発でしょう。しかし、いい意味での俗っぽい仕上がりであるがゆえに、「『しんちゃん』でかつ大人なドラマ」という、客観的に見ると実はシリーズ中でもかなりマニアックなシロモノであった『アッパレ!戦国大合戦』よりも敷居は低く、間口は広い作品に仕上がっています。ポイントは『クレヨンしんちゃん』の実写化ではなく「おマタのおじちゃんと廉ちゃんの物語」の実写化。純化され、透明感を与えられたラブストーリー。そこに実写化の意義も価値もあったと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2009-09-06 18:36:01)(良:3票)
7.  バーバー吉野 《ネタバレ》 
ひと言で言っちゃえば小学生版「フットルース」。都会からやってきた一人の少年が封建的な田舎の町に波乱を呼ぶという。でも、なんて愛らしい映画なんでしょ。なんとなく大人を意識し始めた子供達の、ベタなエピソード(ありゃ、今の子供って言うより私くらいの世代の感覚ですけどね。昭和40年代の子供感覚)が懐かしく楽しく。伝統を重んじる、風土を愛する、っていう古い日本人気質と、子供の自立心との対立の物語なんですが、その両方をきっちり大切にしているのが見てとれて、一体どっち側にオチを付けるんだろう?っていう不安を払拭してくれたラストシーンに、素直に良かったね、と思いました。まあ、現実的ではありません。今時、そんなコトないよ!ってファンタジーです。でも、町の子供達がみんな同じ髪型をしている、ってヘンな発想を、ほのぼのとした笑いと情緒で良質な子供映画に仕上げた感じがステキでした。最近の日本映画界は子供向けというとアニメばっかなんですけど、もっともっとこういう実写作品が出て来て欲しいところです。って、これミニシアター系で、子供向けってワケじゃないのかな?
[DVD(邦画)] 8点(2006-08-01 01:41:48)
8.  麦秋(1951) 《ネタバレ》 
すいません、下世話なレビューになります。まずビックリしちゃったのが、この前に見た「晩春」では原節子と笠智衆が親子だったのに、この映画では兄妹だって事。調べてみたら「晩春」の時は29歳と45歳、この映画の時で31歳と47歳。まだ親子よりは兄妹の方が自然な年齢差ですか。つーか、笠智衆の幅の広さったらないですねぇ。もう1つ気になったのが900円のケーキ。昭和26年当時で900円って、どんな高価なモンだろ?と調べてみたら、大体今の10~15分の1の物価ですね(ビールやタバコなどの嗜好品はもっと高かったようですが)。って事は今だと9000~13000円くらいのケーキ。確かに貰ったら食べるけど、自分からは買わないわぁ。さて、この映画も「晩春」同様、家族の変容を描いています。子供の成長と共に家族が解体されてゆくという状態を切なく描いていて、クールな印象を受けます。家族は変わってしまったけれど、これから新しい幸せのカタチが生まれてゆくんだよ、って訳ではなく(その後の生活が描かれるのはおじいちゃん、おばあちゃんだけだし)、変化を受け入れなくちゃならない厳しさを感じます。戦争によって家族の形を変えざるを得なかった当時を反映しているようでもあり、アメリカ文化の流入によって変化してゆく時代を受け入れてゆかなければならない事を描いているようでもあり。ただ家族の風景を情感豊かに描くだけではなくて、意外に小津監督ってリアリスト? コミカルなエピソードや、バックに花咲かせてそうな原節子の美しさに目を奪われつつも、人がフレームアウトした後、なおしばし誰もいない家の中を映し続けるカット尻の連続に、人のいない家の淋しさが象徴されているような気がしました。
[DVD(邦画)] 8点(2006-07-06 01:02:37)
9.  晩春 《ネタバレ》 
どうしてこうも激しくイマジナリーラインを無視しまくるんだ?という疑問は、やがて会話シーンの正面向きカットバックと、画面の安定をもたらす水平線と垂直線の存在の執拗な反復によって、イマジナリーラインに対する拘りなどどうでもいい、これが小津安二郎という人のスタイルだって事に気付くと共に解消しました。目線が合ってなくても、モンタージュすら危うい状態であっても、独自性を貫く事で理論だけでは語れない世界が広がってくる、と。ややこしいハナシはともかく、大した事は語ってない映画です。父娘二人で暮らしてきたファザコン家庭が、いつまでもこのままじゃいられない、と娘を嫁にやる、ただそれだけの話。でも、とっても豊かなのですね。どうでもいいような会話の中に可笑しさや愛おしさや切なさがいっぱい詰まっていて(同じどうでもいいような会話でもタランティーノのアレとはニュアンスがかなり違います)、何気ないシーンの積み重ねが登場人物への深い思い入れを生みます。ゆえにラストの切なさときたら。終戦間もない頃の日本の、それでも豊かな風景と心に、日本人としての和の和みを与えてくれる映画でもありました。
[DVD(邦画)] 8点(2006-07-04 00:59:57)
10.  花咲く港 《ネタバレ》 
松竹は80年代、銀座に古い映画を見せてくれる劇場を持っていたのですよね。今はゆとりがないのか、そういう機会は東宝のシネコンの特別上映くらいになってしまっていて(名画座で上映されるのは新しい映画ばかり)、映画って見られる機会に見ておかないとね、と今になって強く思うようになりました。さて、その松竹シネサロンで見た「花咲く港」。戦時下に作られた白黒映画のフィルムは傷だらけ、雨が降りまくり状態でしたが、そこには心豊かな日本の姿が写し取られていました。小さな島社会に訪れる波乱は、ひたすら性善説に基づく物語。島民を騙そうとやってきた二人の詐欺師が、結局は島の人々のために尽力してしまいました、というコメディ。そこにはまだ戦争の暗い影は殆ど感じられず(台詞に登場しますが)、ゆったりとした人の暮らし、古き良き日本人の姿が描かれています。このすぐ後、日本は大きな転機を経て全てが変化した事を考えると(「誰が、何が良かった悪かった」という判断は安易にしたくないのですが)、失われた日本が見られるこの映画は、それだけでとても貴重な存在だし、これを見て今の日本についてちょっと考えてみるのもいいかもね、って思うのでした。それにしても黄門さまはこの頃からずっとあのまんまだったのねぇ。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-27 13:28:08)
11.  バトル・ロワイアル 特別編
あんまり前と大きく変わってはいなくて、新たに挿入された部分がかえって映画のテンポを殺してしまった印象もあります。また、結局本編内には入らず、ラストに取って付けたように流れる映像も、不自然なばかり。なので、映画としては、ちょっと前作よりも落ちます。でも、光子の存在を大きくした点は良かったですね。そうそう、大人の人達は、何でこの中学生同士で殺し合い、って映画が若い人達に支持されたのか、作品を否定する前に考える必要があるんじゃないかな、って思います(私も大人だけどね~)。フツーに考えたら、友達殺しちゃうハナシなんてとても共感できないハズで、だけどそこに共感しちゃえるのは、そーゆー残虐な生き物だから、では決してなくて、そこに今の問題の本質があるんじゃないの?って思います。最大のポイントは、この映画の彼らは「殺しあっている」のではなくて、「殺し合いをさせられている」ということ。
[映画館(邦画)] 8点(2003-12-18 21:46:29)
12.  バウンス ko GALS 《ネタバレ》 
ジョンコとラクチャンがリサのために動いた日、その最後、リサを見送る姿に感動しました。映画は、繋がってない世界で形としての繋がりを一生懸命模索してる今の冷めた現実感が反映され、退廃的な雰囲気を持っているのですが、その中にキチンと希望を見出しています。それがたとえ儚いものであっても。大人の俳優の確かな存在感と、若い子達のリアルな存在感とが、ちっともハーモニーにはなっていない点が、欠点ではなくて、逆にこの映画の輪郭をクッキリと浮かび上がらせる長所となっている感じがします。原田監督、時代と向き合う映画は名作が多いですね。
[映画館(邦画)] 8点(2003-12-17 13:48:16)
13.  バトル・ロワイアル
冒頭の、父親が「秋也ガンバレ」の文字を残して死んでいるシーンで「無責任な親」と思った瞬間から、この映画が言いたい事がどんどんと伝わってきて、見ていて心が痛い映画でした。反社会的な映画ですが、実のところ、青春映画の秀作なのではないかな、と思います。政治家がケチをつけたあたりも、なんとも象徴的というか、この映画にふさわしいエピソードですね。
[映画館(邦画)] 8点(2003-11-21 14:13:25)(良:2票)
14.  ハル(2013) 《ネタバレ》 
 キレイキレイな絵のアニメって地雷だったりする場合が多いので、これもちょっと怪しい感じがしたのですが、ワリとハマった感じで。   同じ年に公開された某邦画と物語の構造がモロにカブってたりしますが、その構造はこちらの方が内容を深いものにするために有用な効果を持っているように思います。   物語に隠された秘密が明らかになる事で、遺された者を見つめる視点が逆に見つめられる視点へと転じ、遡って逝った者の心に触れ、その関係性を多面的に見つめる事ができる、そんな風に思えます。   この奇妙な雰囲気の映画を象徴するかのような疑問点もキレイな世界の中のシミのように散りばめてあって(料理や片付けがやたらに下手なヘルパーロボットだったり、どう見ても空港で旅立つように思えるのはヒロイン側だったり)、切なく哀しい物語を織り成す要素になっています。   ロボットだと思い込むとはいえ、自分の中に生じているであろう数々の生理的反応を頭の中でどう理解、処理していたのだろう?という大きな疑問点はあるものの、近未来という設定でありつつ趣きのある和の雰囲気をそのまま残している京都を舞台に、美しくしっとりと描かれたアニメを堪能しました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-02-27 22:19:59)
15.  はじまりのみち 《ネタバレ》 
 雨が降ってリアカーの上の母の顔に泥がはねるのですが、あれがいつの間にか綺麗になっちゃってたりしたら嫌だなぁ、と思っていたら、そここそが重要なポイントで。木下恵介の、母に向けた愛がそのまま映画に向ける愛へと繋がる、とても大切なシーンとなって。病に伏し、泥で汚れた母の姿を丁寧に整え、母はそれに応えるように凛とした表情をする。それは映画監督としての姿にも繋がって。あのエピソードにはとても感心しました。   映画は奇を衒う事なく、真面目に映像を重ねています。それゆえ、もう少し冒険をしてもいいのでは?と思ったりもするのですが(わりと判りやすく単調な切り返しが頻出します)、客層や木下恵介生誕100年を記念しての松竹作品という事を考えればそれでいいのかもしれません。   ただ、問題は木下恵介作品の映像をあまりに多く、長く引用し過ぎている点。  たとえば便利屋が『陸軍』を見て感動した事を説明するシーン。せっかくその前に濱田岳がカレーライスやシラスのかきあげとビールであれだけの名演を見せているのですから、『陸軍』の感動も彼にきっちりと語らせるべきだったのではないでしょうか。  映像を切り替えて『陸軍』のラストシーンを延々と最後まで流して説明するという状態は、肝心なところで木下恵介の力を借り、この映画独自の力を放棄してしまっているようなもので。自分の演出力も役者の力も信じてないの?と。  濱田岳に語らせておいて、実際の映像はエンディングに流した方がよほど効果的だったんじゃないでしょうか。   最後の部分での木下作品の引用も長過ぎです。あれでは本編の空気を薄めるばかり。あそこまで長々と本編から離れてしまうと、その後、最後の最後が取って付けたようになってしまって。そこで『クレヨンしんちゃん アッパレ!戦国大合戦』での有名なセリフを言って欲しいの?くらいに浮いている感じがして。  厳選した数カットでバシッ!とキメるくらいにした方が良かったんじゃないかなぁ。   映画は原恵一監督の真面目さが出て魅せる作品だったのですが、木下恵介作品に対する深すぎる思い入れ、愛情が逆に映画そのものの味を損ねさせてしまった感があって、もう少し監督が前に出た方が良かったんじゃないかな、と思いました。
[映画館(邦画)] 7点(2013-06-12 15:38:42)
16.  パーマネント野ばら 《ネタバレ》 
おもろうてやがて悲しき映画なのですが、原作を読んで結末を知っているがゆえ、最初から切なく悲しいわぁ、と。ところが、実はシャマラン監督的な「ラストに秘密があります」って物語、原作は最後の最後にサラリとそれを描くがゆえに、なんとも言えない余韻を残すのですが、映画はその秘密について説明をしてしまい過ぎで、こちらが期待して待っていた切なさ、悲しさには到達せず。判りやすさというのを第一にしたのかもしれませんけれど、あそこまで理由を付けて説明してしまうと逆に底が浅い感じがしてしまいます。彼女がそこに至った理由を語らず、色々と考えさせる余地があるからこそ、とても悲しく切なく感じるのだと思うのですけれどもねぇ。さて、それでもサイバラものとしては最もマシな映像化をされたように思えるこの映画、やっとこさこれまでのビンボはつらく悲しい、ってところから脱却。悲惨さをも笑ってみせるサイバラらしさに溢れております。点描されるパーマ屋を中心とした人々の悲劇は傍から見れば滑稽で可笑しく、だからこそここに描かれた人々を愛おしく感じるワケで。中でもそう長く登場する訳でもない小池栄子の存在感は主役を食ってしまっております。この人、『模倣犯』『恋愛寫眞』『20世紀少年2、3』『わたし出すわ』とロクでもない映画(失礼)にばかり出ているがゆえに、これまでまるでいい印象がありませんでしたが、ここでは最近のクリスティーナ・リッチみたいな、一見お人形さん系なクセにちゃんと表情で見せる女優って感じで。病院のシーンでの翳り~大爆発へと変化してゆく表情なんか、今までの彼女のイメージではなくて、もっと存在感があって、なんかいいなぁ、って。一方、主役である菅野美穂は、本来、その設定ゆえに逆に病的なカンジを見せてはいけない役だと思うので、ちょっと演技の方向が違う気がしました。もっと大らかで明るい方が、ラストに効いてくるんじゃないかなぁ。彼女だといかにも過ぎてしまって、ラストで納得しちゃう。あと、サイバラ作品のキーとなる高知の、人の暮らしと自然とが共存している風景は深い味わいがあって沁みてきます。最近の邦画は今の日本のいい景色が捉えられているものがいっぱいあって、これもそんな中の一編。何はともあれ、サイバラの映画化作品で初めて途中でダレない映画でした。
[映画館(邦画)] 7点(2010-06-04 21:28:14)(良:1票)
17.  パレード 《ネタバレ》 
「誰が犯人か」みたいなのは、ワリと最初の方で判り易い伏線が出てくるので、謎解きが重要ではなくて、だけど、実はそんな事はみんな気付いてる、ってところがポイントで。この映画で描かれる1つのコミュニティは、各々が「自分にとって都合のいい存在」である事が大前提で結びついています。相手の見えない部分、闇の部分は、だけど自分に対して害を成さない限りは無関係、どうでもいいと。共生関係にある様に見えながら、絶望的な断絶状態にある、個人主義が行き着いた先は、閉ざされた個と、形はどうであれ「繋がっている」実感から生まれる安心感。その繋がりが、たとえ脆弱なものであっても、偽りや打算が編み出したものであっても、それを「絆」と信じて生きるしかない、そしてそこに自覚がありながら決して変化を望まないところに、この映画の深い深い闇があります。一人一人をケーキのように切り分ける構成には疑問が残りましたが(登場人物が相互作用でラストに向かってドラマの流れを作り出さず、映画すらもあくまでバラバラと切れている状態)、現代に生きる人の心の闇を上手く滲み出させた映画でした。
[映画館(邦画)] 7点(2010-03-09 16:55:50)(良:1票)
18.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 
うーん、原作は未読なのですが、ハチャメチャな意味なしセリフから察するに、これ、元はもっと馬鹿馬鹿しい不条理物語、毎度の筒井節の世界だったんじゃないでしょうか。なんか妙に真面目に作られていて、どうも物語と今監督との馴染みが悪い気がして仕方ありませんでした。説明的不条理という、創作においてあんまり面白くない状態になってしまっているんですよね。『千年女優』のような、全てが1つの芯の上に存在する不条理と、この物語の不条理とは全くの別物なのですが、同じ様な感覚で作られてしまっているような。逆に説明的に作るのならば、敦子が時田に抱いていた感情に何らかの説得力ある描写が欲しかったです。あれだって本来はどう考えても不条理なお笑いネタなんじゃありません? あと、林原めぐみの声がパプリカには合っていても、敦子には合っていない感じ。しかし一方でアニメーションとしてはかなり面白い出来だったと思います。映像を見ているだけで存分に楽しめてしまう状態。物語は懸命に意味を求めていたけれど、結局は映像の快楽にこそ本質があった、そんな映画でした。
[映画館(邦画)] 7点(2007-04-08 16:49:02)(良:1票)
19.  (ハル)(1996)
これだけネットが発達した今の時代だと、画面に出てくる文面、ちょっと恥ずかしい感じ。(ハル)と(ほし)のお互いのプライベートがごちゃごちゃし過ぎな印象があって、もっとフツーな人でいいんじゃない?とは思いますが、ちょっと無機的な人々の中からデジタルを通して生み出されてゆく有機的な感情、というのは面白く感じました。最近はネット上の人間関係も、もっと複雑な世界になっちゃいましたけどね。罵りあい、貶しあいは日常茶飯事、私の分身のちびっこい魔女っ子はレンジャーのカノジョである魔法使いの嫉妬を買ってケンカの原因になって、うわー!男です、オ・ト・コ!別に性別言ってなかったけどネカマプレイしてたワケじゃないんですよぉ!なんて事態を引き起こしたりしてますからねぇ・・・。
[映画館(邦画)] 7点(2003-12-19 13:52:11)
20.  パラサイト・イヴ 《ネタバレ》 
好き、と言うとアタマを疑われちゃう感じですが、好き。ホラー映画としては思いっきり失格だとは思うんです。ちっとも恐くないし、なんだか『スペースバンパイア』のできそこないみたいな展開だし。でも、私はこれを恋愛映画として見てしまったので、あーなんて悲しくって感動的な物語なんでしょー、と(ああ、聴こえてくる、「はあああ?」「えええええ?」)。イヴとしてでなく、聖美として利明を本当に愛した、そう信じるって、それがエンドクレジット部分で描かれた映像で暗示されて、幸せだったあの頃~、なんて思ったら泣けてきて(「はい~?」「あ~?」)。だって、葉月里緒菜、良かったし(「うそ~」「ダメだこりゃ~」)・・・。確かに、すっかり感動しちゃってる私の後ろの席で、お兄ちゃん二人がモメてましたけどね。「なんだよ、お前のせいだからな。こんなモン見せやがって」「知らねえよ、映画のデキなんて見る前から判るかよ」。そこでもし「私は良かったと思いますがぁ」なんて言ったら殴られてただろーな・・・。
[映画館(邦画)] 7点(2003-12-19 12:49:42)(笑:2票)
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