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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  百万円と苦虫女 《ネタバレ》 
揉め事は嫌い。自己主張はしません。まるで“菜っ葉のように”笑う鈴子。彼女のような人を見かけませんか?“彼女はワタシだ”自分はそう感じる一人です。四十近いオッサンが、二十歳そこそこの娘に共感するというのも照れくさいですけどね。2人の心が通じ合ったとき嬉しかったこと!恥ずかしながら泣きました。いい男を掴まえたなと。絶対に幸せになれよと。ですからダメ男の顔を見せた亮平に憤りました。大事な娘を弄んだ奴は許さない!完全に父親の心境です。結局勘違いだった訳ですが、あれは亮平が悪い。彼の心の弱さが引き起こした誤解です。彼女を引き止めて断られるのを恐れたのか。あるいは彼女の生き方を変える責任に慄いたのか。いずれにしても、怖れるのは真剣である証。奴は信用していいです(苦笑)。結末について。亮平は確かに鈴子を見つけました。恋物語として、ハッピーエンドの条件を満たしています。ここで映画が終わっている事に意味がある。2人がやり直せるかどうかよりも、鈴子が失恋の痛みを乗り越え、自分の足で立って生きて行く決意をしたことが重要なのです。今までの彼女はずっと逃げてばかりでした。でも周りに振り回されてばかりでは、幸せは掴めない。旅を通じて彼女は学びました。いじめっ子から逃げない弟の方が、ずっと強いことを知りました。彼女の人生の主語が“周囲の人たち”から“自分”に変わったのだと思います。この世は理不尽でいっぱい。人生はままならない。だから強く生きていこう。やっぱり弱ったときは腹ごしらえ。したたかな女は美しい。デビュー作『モル』や脚本を手がけた『さくらん』でもそうでしたが、監督の描く女性は、みんな痛みを乗り越え強く生きています。耐え忍ぶだけじゃない。ちゃんと行動する。言いたい事は言う。とても魅力的だと思います。そんなタナダ的ヒロイン像を蒼井優は見事に体言していました。本作は間違いなく彼女の代表作。稀代の大女優になるであろう蒼井優の、今のきらめきを感じ取ってください。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2009-07-11 21:26:09)(良:1票)
2.  百円の恋 《ネタバレ》 
デビュー戦が決まった晴れやかな表情の主人公に、冷や水を浴びせる会長の言葉「10年遅いよ」。全くもって正論です。『人はいつだってやり直せる』。巷に溢れるのは、希望に満ちた心地よいフレーズ。でも実際はそんなに甘くありません。ピークを過ぎれば、坂道を下るように人の能力は衰えていきます。知力、体力、そして気力さえも。それが自然の摂理。一子はもう32歳。元引きこもりニートがボクシングの真似事をしたところで、高が知れています。しかし、思いもよらぬ出来事が転機となるのもまた事実。主人公の場合は、男の裏切りに対する“怒り”がキッカケでした。自堕落な生活を送っていた頃の“逆切れ”や“八つ当たり”とは違う“本気の憤り”は持続力を有し行動原理となり得ます。ボクシングに打ち込む主人公は素晴らしく魅力的に映りました。人は変われる。これならデビュー戦勝利も夢じゃない気がしたものです。しかしリングの上で待っていたのは、一発のパンチさえ当てられぬ厳しい現実でした。いくらシャドウが様になっても、所詮仮想の敵は自身。ままならぬ他人との対戦は別物です。経験が物を言う世界。それは恋愛も同じですよね。ボコボコにされ、血反吐を吐くみじめな姿は、彼女が無為に過ごしてきた人生の中間決算と言えましょう。長年己が人生から逃げてきたツケが、一時の頑張りで完済できるはずもなく。でも、それでも、崖っぷちで繰り出した渾身の左フックは、彼女が積み重ねた努力の結晶に他なりません。遅過ぎる頑張りだとしても、しないよりずっとマシ。勇気を出して手を出さなければ、ラッキーパンチさえ望めません。泣けました。それはもう泣けました。主人公がこの先“客を呼べるプロボクサー”になるのは難しいでしょう。でも観客(家族や元彼)の思いを背負って戦えたのなら、もう立派にプロだと思うのです。一子、凄いよ。前言撤回。まだ32歳。まだまだ、これからです!彼女がリング上で見せた闘争心は、自らの人生と対峙する際にも役立つはずです。その彼で大丈夫ですか、そうですか。今度は逃がさないように。思う存分、真正面から、ヤツと戦いましょう。KOして尻に敷いてやりましょうよ。 キャラクター造形は繊細で、前フリのドラマが長いこと。いつまで経っても主人公がボクシングを始めやしない(苦笑)。でもその分、どっぷり主人公の内面に潜る時間が持てました。なんという丁寧なつくり。その上で、これまた丹念にトレーニングシーンを描いてくれるのですから、感情移入するなって方が無理な話。デビュー戦のカタルシスは絶大でした。安藤サクラの女優としての非凡な才能なくしては成立しなかった、正しいボクシング映画。傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2019-01-01 00:00:01)(良:4票)
3.  日々ロック 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。未見の方はご注意ください)  ザ・ロックンロールブラザーズ(以下RRB)はそもそも自慰バンドでした(ボーカル背中の空気人形が動かぬ証拠)。自分が気持ち良くなればいい典型的なアマチュアです。宇田川に童貞を指摘されたり、プロデューサーに歌う意味を問われたりしたのも無理からぬこと。プロなら相手を楽しませてみろ。お金を頂くとはそういうこと。「女のひとりも抱かずにロッカーを名乗るな」は、あながち間違っていません。そんなアマチュア風情に何故スーパーアイドルは惹かれたのでしょうか。たぶん奴らにかつての自分の姿を見たから。仲間と共に音楽を奏でる楽しさと喜び。スターになる為に、自分が捨ててきたもの。余命幾ばくもない宇田川には、馬鹿たちが輝いて見えたのでしょう。そんな彼女は、ロックに、華々しく逝きたいと口にしました。きっと強がり。しかし病に侵された体は、彼女の願いを受け入れてはくれませんでした。弱っていくのは体だけではありません。遠路はるばる日々沼がオリジナル曲を届けに来てくれたのに、受け取る気力すらない有様。思い届かず…か。しかしこんな時頼りになるのは仲間。あるいは腐れ縁。バンドメンバーは勿論のこと、盟友「犬レイプ」(酷いネーミングセンス!)や、地元のクソ馬鹿ヤンキーに干物工場の先輩。きっと誰か一人欠けても、日々沼があのステージに立つことは適わなかったでしょう。友情と我武者羅さ。豪雨と感電と。おそらくこれがロック。これこそがロック。RRB激情の一曲は偶然か奇跡か、あの娘の心を捉えました。生きろ、生きてくれ。気力を振り絞り、サンキューひよこを頬張る宇田川。食べること=生きようとする意思。その美しい笑顔に涙しました。エピローグは記念写真。バカ3人と美女1人。このワンカットに辿り着くために物語は在り、一曲の感動だけで本作の価値が保たれています。音楽の力って偉大だなあと。ほとんど反則級のエモーションでありました。やっと目の前の一人に思いを届けられたRRB。今度はライブハウスの観客相手に、そして見えない大衆に対して、彼らは思いを届けられるでしょうか?まだ今はポンコツ。自走すら危ういもの。でも若者には未来があります。それで十分ではないですか。 芸能人に疎い私は、日々沼役の野村周平はロックミュージシャンだとばかり思い込んでおりましたが、役者さんだったのですね。役作り的には『北の国から』の五郎さんのエッセンスが強い気がしますが、気のせいかもしれません。繰り返しになりますが、楽曲の力が映画の評価に直結する音楽映画って、ホントずるいです。良い映画の気がしてなりません。気のせいかもしれませんが。
[DVD(邦画)] 8点(2019-03-05 19:58:48)
4.  ヒーローマニア -生活- 《ネタバレ》 
“正義の味方に憧れて”というよりは“日頃の鬱憤を晴らすため”の社会悪退治。主人公が欲したのは、日頃やりたくても出来ないコトを実行するための(彼らなりの)キッカケなり、大義名分なのでしょう。ですから『ヒーローマニア』というタイトルにも関わらず、コスプレ感が希薄なワケです。『キック・アス』よりも『市民ポリス69』の世界観の方が近いかもしれません。イイなと思うのは、主人公らの人物造形。人間の汚い部分をきちんと(恥ずかしげもなく)描いていること。横領に下着泥棒って、なんて自分の欲望に正直なんでしょう(苦笑)。そういう意味では純粋な“ヒーローもの”より、圧倒的にリアリティがあったと考えます。彼らが戦うのは、暴走族、通り魔、会社組織。言い換えるなら“違法行為”“不条理”“システム”です。紛れもなく、彼らも属している『現実』に対する抗い。結末は、周りを無理矢理変えるのではなく、とりあえず自分が変わることでした。いつか周りも変わることを僅かに期待して。悪くない落としどころだと思います。竹中直人でも、香川照之でもなく、おじさん役に片岡鶴太郎をキャスティングしたのは素晴らしい判断でした。片岡氏が持っているナチュラルな“狂気”が役柄にピッタリ。今の鶴ちゃんなら、金槌くらい携帯していても不思議じゃないなと(失礼)。ちなみに小松菜奈のメガネ女子ぶりは国宝級でありました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2017-08-20 10:58:35)
5.  必死剣 鳥刺し 《ネタバレ》 
兼見と別家の対決、及び多数の家臣たちとの中庭での戦い。剣捌きの良し悪しは素人には判別できませんが、兼見の気迫は伝わってきました。執念が、兼見を家老の下まで辿り着かせたのだと思います。下げ尾を切り落とし、口に咥える演出も冴えていました。必死を表現し、かつ鞘も必要無いという覚悟の表れ。“鳥刺し”とは相手の柄に切先を差し込む技術をさし、“必死剣”とは自らの命と引き換えに相手を絶命せしめる剣と理解しました。兼見という捨て駒を上手く利用しようとした家老。キレ者です。思惑通りに兼見は別家を退けました。しかし家老は人間の心を軽んじ過ぎました。組織にとっては駒であろうと、一人の人間。その矜持の高を見誤ったが故に、家老自らも命を落すハメに。保科は言います。連子が居なくなっても藩政に改善はみられないと。連子を殺めた時点で兼見は命を捨てる覚悟だったのですから、最期に藩最大の癌を取り除く事が出来たと考えれば、救われるというものです。あとは無能な君主が早期に隠居することを祈るのみ。人の命を奪うという事は、自らも同じ事をされても構わないということ。その覚悟は必死剣の理念にも通じます。道理を無視した連子と家老は報いを受け、兼見は道理に従ったという結末でありました。気がかりは里尾。傍からみれば縁談を進めていた方が幸せだったように思えますが、果たしてそうでしょうか。幸せの価値は本人が決めることです。少なくとも里尾はその意思を持っている女。兼見が迎えに来るとの約束を果たせぬであろう事は、最初から分かっていたはずです。でもその思いが嬉しくて、でも切なくて、彼女は泣いたのだと思いました。兼見の忘れ形見と共に、彼女は生きていく。ただ願わくば、思い出の中を生きるのではなく、今を、これからを、生きて欲しい。兼見もそう願っているはずです。正直トヨエツがこれほどやるとは思っていませんでした。殺陣もさることながら、実直な侍役がよく似合っていたと思います。トヨエツは現代劇よりも時代劇の方が向いているのでは。鑑賞済みの藤沢周平原作映画の中では『たそがれ』以来久々に満足できた作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-01-25 18:59:04)
6.  秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~
「俺たちは後世に残る名曲に興味はない。楽曲は使い捨てで結構」とは電気グルーヴの言葉(違ってたらゴメンナサイ)。自分はこの考えが好きです。鮨屋の心意気。この握り、今はご馳走だけど明日になったら生ごみよ。そんな潔さに痺れます。本来「笑い」(電気の場合は音楽だけど)の真髄は即時性にこそ在る。ですから、ギャグ漫画が短命なのも、お笑い芸人に一発屋が多いのも当たり前。時代は移ろうのだから。『鷹の爪』からは、廃れることを恐れない覚悟を感じる。徹底した話題づくり、劇中コマーシャルの浅ましさ。足の早い「もう中学生」ネタなんて、日持ちを考えたら使えない。刹那の笑いに全力を注ぐ姿は、愚地克巳VS花山薫、あるいはアイアン・マイケルVS柴千春を彷彿とさせます(byグラップラー刃牙)。凄まじくカッコイイ。たとえ数年後、本作が世間から忘れ去られたとしても、今この瞬間、心動かされた事実は決して消えません。それで十分なのです。本作は100%名作には成りえません。でも後世の人々を惑わす珍作にはなるかもしれない。生ゴミだって化石になればお宝です。ですから、遥か未来の人類に向けて、この映画を理解するためのヒントを残しておきたいと思います。★ジョン・ジョローリン…FOXドラマ『24』ジャック・バウワーのパロディ。★もう中学生…本当はもう大人。ダンボール業。★ばんどうえいじ…ゆで卵を主食とし、忘れた頃に野球の話をする。天敵はクロヤナギ。★ドウマリコ…堂真理子。テレ朝の女子アナ。8代目Mステ。右投げ右打ち。★スーザン・ボイル…歌の上手いおばさん。茹でられてはいない。★オババ大統領…オリジナルはオバマ。アメリカのジャイアン。アメリカは世界のジャイアン。
[DVD(邦画)] 8点(2011-01-01 00:00:02)(良:2票)
7.  秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~ 《ネタバレ》 
『私を愛した黒烏龍茶』というサブタイトルが、スポンサーコマーシャル以外の何ものでも無かった事に驚愕しました。つまり『黒烏龍茶より愛をこめて』でも『女王陛下の黒烏龍茶』でも『黄金黒烏龍茶を持つ男』でも『黒烏龍茶は2度死ぬ』でも良かった訳です。(最後のはスポンサー的にアウトかな?)ベンチャーは何処も厳しい。製作資金調達の為ならコレくらい貪欲にやってもいいでしょう。いや、やらいでか。普通なら“ダサくてカッコイイ”を目指すロボットのデザインを、リアルにダサくする手腕も超一流。世界平和だの、子どもを救えだの、説教臭い事この上ない主張なのに、素直に受け止められる不思議。「大人の手は子供の涙を拭くためにあるんじゃ」という台詞に、総統のリタイアを引き止めようとする吉田くん精一杯の罵倒に、涙涙涙。こんなおふざけパクリ映画に感動するなんて、俺ってつくづくダメだなと。やっぱりダメな奴は何をやってもダメだなと。でも鷹の爪が大好きだ!この気持ちに嘘はありません。締めはもちろんコレ。“た~か~の~つ~め~”ビバ総統!アンタ格好良すぎるぜ!
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-01 00:00:00)(笑:1票)
8.  秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE ~総統は二度死ぬ~
私が鷹の爪から学んだこと。瓜にツメあり爪にツメなしということ。夜中を過ぎたら子供たちに甘いものをあげるのは非常識だということ。クマの容姿をしている生き物の本性は、やっぱりクマだということ。梅宮アンナ以外にも、父親のDNAの存在を感じさせない子供がいるのだということ。ベンチャー企業の経営は、どこも楽ではないということ。「お慈悲をください」や「キリングミーソフトリー」という言葉を今まで口にせず生きてきた自分は、とても恵まれているのだということ。いきなり必殺技を繰り出す正義の味方には、わびさびの精神を学んで欲しいということ。予算配分は慎重にすべきだということ。島根は結構良さそうな所だということ。恋をしたなら、それが恋の始まりだということ。大家さんの説教に感動してしまったこと。総統、吉田くん、フィリップ、博士や菩薩峠くんと一緒に「た~か~の~つ~め~」とやったら、いつでも笑顔になれるということ。そして一番大切なこと。ダメなヤツは何をやってもダメだということ。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-28 19:55:42)(良:1票)
9.  秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE4 ~ カスペルスキーを持つ男~〈OV〉 《ネタバレ》 
劇場版『鷹の爪』は全て抑えているつもりだったのですが、ナンバリング4は劇場3作目のセルDVD特典にのみ収録されているOVだそうで、気づかないうちにスルーしていたようです。今回某サブスクで見つけて鑑賞いたしました。 お久しぶりの鷹の爪でしたが、その面白さは期待どおり。今回の主役はデラックスファイター。長らくベールに包まれてきた素顔が曝されるというレア回であります。まるでサングラス無しのタモさん、あるいは世を忍ぶ仮の姿の閣下のごとし希少性(嘘)。物語のフォーマットは『シェーン』や『タンポポ』の丸パクリ、もといパロディですから観易いですし、手堅く楽しめると思います。ドクズな不倫未遂を切ないロマンスにカモフラージュする演出テクニックもなかなか。尺も短いですし鷹の爪ファンなら観て損はないでしょう。ちなみにカスペルスキーとはセキュリティソフトの名称でした。要するにいつものタイアップです。そりゃそうだ。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-10-07 18:29:10)
10.  ヒルコ 妖怪ハンター 《ネタバレ》 
「何が起きているか」「何故そうなったのか」「どうしたらよいのか」「そもそもヒルコって何?」正直あまり分かりません。『古事記』に由来するそうですが、イザナギ、イザナミ、アマテラス、スサノオあたりのメジャーどころならまだしも、ヒルコと言われても学の無い私のような者にはちんぷんかんぷん。もう少し噛み砕いた説明が欲しいと感じます。ただし「丁寧なら良し」でもないのが映画の面白いところ。テンポが悪くなったり、くどかったりすると逆効果だったりします。本作の魅力は「妙な勢い」と「ハイテンション」であるのは間違いなく、荒削りな脚本とマッチしており、これはこれで正解例のひとつという気がします。ずっとギャーギャー喚いているだけとも言えますが、凄まじい熱量だけは伝わってきましたから。アナログな特撮にはCGでは出せない味わいあり。ジュリーや工藤夕貴弟さんの好演もあり、不思議と満足感のある作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-07-21 22:57:37)
11.  100日間生きたワニ 《ネタバレ》 
原作漫画『100日後に死ぬワニ』のことは、伊集院光氏のラジオ経由で情報を入手しました。伊集院氏も指摘するようにこの漫画がウケたのは偏に「100日後に死ぬ」という枕詞が秀逸な発明であったからと考えます。何気ない台詞や行動のひとつ一つに自動的に深みが与えられました。タイムリミットの設定が絶妙だったのでしょう。先過ぎず、近過ぎず。普段は忘れていられる。でも意識から消えることはない。私たちが漠然と抱いている「死」の姿を100日後というゴールを明確にすることで浮き彫りにしました。映画ではタイトルが『100日間生きたワニ』に変更されています。『100日後に死ぬ』と『100日間生きた』では日本語的に意味が異なりますが、『死』という言葉が殊更センシティブに捉えられていたコロナ時世を考慮した苦肉の策だったと思われます。 前置きが長くなりました。感想に入ります。まず驚いたのは原作(実はあまり読んでいませんが)に映画オリジナルパートが多く追加されていたこと。その分量実に半分!物語後半は完全オリジナル「ワニ君が死んでから100日後」のエピソードでした。原作のある映画は余計な手直しを嫌うものですが、本作については改変部分に価値があったと考えます。というより、映画オリジナルエピソードは原作の続編であり、この映画のメインパートでした。ワニ君が居なくなっても、世界は続いていく。残された者に焦点を当てた主役不在のドラマには、喪失感を乗り越えることの大切さが描かれていました。タイトルは、死んでなお皆の心の中で『100日間生きたワニ』という意味だったのかもしれません。故人のことはきちんと忘れて今を大切に生きよう。少し寂しい気もしますが、ずっと立ち止まってもいられません。ふとした時に思い出せば、それで充分な供養。またいつの日かワニ君には会えるのですから。 原作終了直後から始まった商業路線が世間から批判を浴び、本作品も興行的に振るわなかったとお聞きしました。しかし原作の『100日後に死ぬワニ』を愛していた方ならば、この映画で描かれた後日談の中に希望を見いだせる気がします。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-05-19 19:42:21)
12.  引っ越し大名! 《ネタバレ》 
史実に照らして「エピソードの妥当性」を検証する知識は持ち合わせていませんし、娯楽時代劇にそんな野暮は不要でしょう。ですから、時代劇の体裁を借りた「現代サラリーマン人情話」と捉えて感想を述べます。 今回の「本社移転計画」の本質は、「人員整理」&「コストカット」でした。会社を存続させるには避けて通れぬ重要課題。そんな一大プロジェクトを任されたのが主人公です。彼の役職は「資料室長」で、本来ならこんな重責を任される立場ではありません。彼の役目は「スケープゴート(生贄の羊)」でありました。不平不満・恨み辛みの引き受け先。責任をとって腹を切ってくれれば、その後の作業がやり易くなる目論見です。酷い話ですが、手柄を立てるより、ミスをしないのがサラリーマンの処世術。貧乏くじを引かされるのはいつも弱い立場の人間です。ただ、幸いな事に彼には協力者がいました。「引っ越し虎の巻」の提供、金策の下準備、そして精神的サポート。実に多くの人々の助力により、大事業は成し遂げられました。それは、彼の善良な人間性が生んだ奇跡であったと考えます。同僚が一時解雇を受け入れてくれたのも、商人が大金を融通してくれたのも、主人公の頼みだったからこそ。事務遂行や指揮命令力だけが「仕事の力」にあらず。「あの人の頼みなら聞いてやるか」も立派な技能の一つであり、往々にして「努力して獲得する」のではなく「最初から身についているもの」だったりします。 当初、主体性や積極性に欠けるように見えた主人公ですが、次第に見事なリーダーシップを発揮しました。これは「ポジション(役職)が人を創る」典型的なパターンかと。ただし今回は極めて稀なケースと知るべきでしょう。少し背伸びが必要な仕事を与えるのが、人を育てるコツ。背伸びどころか、ジャンプしても届かないような大仕事を与えても、普通は潰れるのがオチです。幹部もそれが分っていたから主人公を「スケープゴート」扱いした訳です。彼の基礎能力の高さ(とりわけ人柄の良さ)と、豊富な社内人材の活躍により「瓢箪から駒」が生まれました。実際「マツダイラナオノリ株式会社」(ドラッグストアみたい!)社員の団結力は目を見張るものがありました。これも社長の人徳のうちでしょう。社長の失策により会社は傾きかけましたが、会社を持ち直させたのも社長の力と考えます。 前述したように、本作は時代劇の体裁を借りた現代サラリーマン話。終盤の「チャンバラ」は特典です。ただ、このオマケが悪くない仕上がりでした。毎度おなじみ大名行列に付き物の大槍が、実戦で活用されるシーンを拝めて得した気分。オマケって、こうじゃなくちゃね。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-09-24 18:54:29)(良:1票)
13.  ピラニア(2010) 《ネタバレ》 
三角関係の1点が崩れて、残った2人が一緒になるというパターンは、フィクションでも現実でもよくある話。しかしながら第三者が客観的にみて2人を祝福できるかどうかは、意外とハードルが高いと考えます。本作はその点、よく配慮されていたと感じました。まず晴男について。ブラジャー事件、ピラニア復讐計画。確実に馬鹿ですが、不器用であるが故のこと。根が悪い奴でない事は伝わってきます。奈津にお金を貸す場面で、一度は見返りを求めてしまう情けなさも憎めない。彼は応援できます。一方奈津はどうでしょう。曽根にフラれた傷心から晴男を求めたのだとしたら、共感し難いところ。でも彼女は最初から晴男に心を開いていました。吃音の症状も少なかったし、彼に体を触られても嫌がったりしなかった。晴男に金の無心に行ったのも甘えがあったから。そもそも2人には最初から妙な信頼関係がありました。ハル(春)とナツ(夏)は惹かれあう存在。素直に2人を祝福できました。ピラニアとは凶暴な魚。それは晴男の持って行き場の無い感情。人は立ち直るために、無駄と思われる時間や不合理な行動が必要だったりもします。そんな情けなくて格好悪い人間が愛おしい。晴男よ、おめでとう。でも今度喧嘩をする時は、負ける覚悟で行ったりしないように。せめて水鉄砲にタバスコくらいは仕込んでいきなさい。本作はエロをコンセプトの一つにしているため、結構な絡みが用意されています。男性としては歓迎すべき部分ですが、最後の性交は蛇足でした。艶のあるシーンで艶消しとはこれ如何に。キス一つで2人の心の繋がりは、十分伝えられたと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-31 18:57:16)
14.  HERO(2007) 《ネタバレ》 
ご都合主義満載でリアリティの無い展開。ロケ先やキャスティングに必然性はありません。でも好意的に受け止めたい。飾りが陳腐でも、中に光るものを感じたから。高尚な芸術作品でも、お気楽な商業作品でも、その部分は変わらない。一般人の傷害致死事件よりも、有名代議士の収賄事件のほうへ人々の関心は寄せられます。大衆が興味を示すのは、スキャンダラスなほう。検察と弁護人にしても同じようなことが言えます。膨大な数の案件を抱える中、取り組み方に差が出てしまうのは仕方が無い。否応も無く事件の大小は存在します。でも当事者にとっては違う。ましてや大切な人の命が失われている。遺族が願うのは、真実が明らかになること。その想いを受け止めるのが久利生公平です。彼は決して手を抜かない。しかし苦労が報われるとは限らない。遠方まで足を運んで得た証拠は役に立っていませんし、徹夜で写真を調べたことも成果に繋がらなかった。そもそも、99%徒労に終わると分かっている努力を、人は出来るのかという疑問がある。でもその一方、心が動かされたのも事実です。骨身を惜しまずに働くことは美しい。報われない努力も素晴らしい。恥ずかしくて口に出せないけど、本当は大切なことが示されていると感じました。真摯に事件に取り組む主人公の姿に、心を動かされた仲間たち。彼らの手助けがあったからこそ、たった一つの証拠へ辿り着くことが出来た。さらには、相手の弁護人と被告の心をも動かします。(彼らが必死に見つけた証拠は、被告の傷害を立証するものではありません。しかし有罪判決が出ています。つまり被告は当初の自供を再度認めたことが伺えます。)無駄に思えた努力にも意味があったということ。結果が見えないからこそ、努力は尊いのだと思う。法廷は、裁判のテクニックを競う場所ではなく、真実を明らかにするための場所。その本来あるべき前提に、主人公だけでなく弁護士も被告も立ち戻りました。それが“現実的でない”と思えるならば、現実のほうが間違っているのだと思います。骨身を惜しまぬ仕事がバカらしく思えることも、報われない努力が虚しいと思うことも同じ。現実を受け入れないのはバカです。でも理想を捨ててしまうのは、もっとバカだと思います。本作はリアリティに乏しくファンタジーに近い。存在しないHEROに憧れること。もしかしたら、これほど皮肉なことは無いのかもしれませんが。
[映画館(邦画)] 7点(2007-10-09 18:17:35)
15.  ピーナッツ 《ネタバレ》 
題材もキャストも、出来る限りの誠実さと丁寧さが本作にはあったと思います。奇をてらわず、オーソドックスに作ろうという姿勢も感じます。もっとコメディ色を強くすることも出来たはずです。内村プロデュース(NO PLAN)ファン向けということを考えれば。またコント職人としてのウッチャンがそこにいれば。しかし本作を作ったのは、芸人ウッチャンではなく、映画監督を志していた専門学校時代の内村光良であったような気がします。だから直球で勝負した。その気持ちは分かるし支持したいです。でも次回作は、内Pという縛りのない作品を期待したい。そこが本当の勝負どころかと。なお個人的にお願いがあります。次回作では盟友の出川哲朗に台詞のある役をあげてください。それがダメならせめて顔が分かる程度のエキストラで。今回の役ではいくら何でもかわいそうです。「そりゃねえよ。チェン」と嘆く哲ちゃんの声が聞こえるよう。ま、それもいいか(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-02-14 17:53:18)(良:1票)
16.  漂流
自分にとって「漂流もの」といえば、「ロビンソンクルーソー」、「十五少年漂流記」、あるいは「不思議な島のフローネ」。どの作品でも辿りついた先は、草木生い茂り野生動物の住む無人島。そこでの生活には、心をくすぐるワクワク感がありました。遠足やキャンプを楽しむような感覚。しかし本作は違います。岩だらけの島。飲み水さえありません。状況は劣悪。純粋なサバイバルに、ワクワク感など微塵も感じられませんでした。無人島という名の監獄のよう。仲間を次々と失い、孤独に苛まれ、心を病んでいく主人公。人が生きていくための条件を問いかけられているようでした。惜しむらくは、軽いBGMが作品の雰囲気にそぐわなかったこと、細かな描写で粗さを感じたことです。でも全体的には好印象。見ごたえある作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-01-11 18:37:03)
17.  氷菓 《ネタバレ》 
本来、学生風情が刑事事件の捜査に携わるなんてアリエナイわけで、そんな“なんちゃってミステリー”より、日常の些細な疑問を考察と想像力を駆使して紐解いていく本作のスタンスの方が、遥かに現実的と言えましょう。ただし、証拠に基づく検証・推理ではなく、多分に自分たちに都合の良い仮説の披露に終始しているのはご愛嬌。もっとも主人公も大切なのは真実を明かすことではなく「千反田が納得するかどうか」とハッキリ言及しているあたり潔し。誰かを罰したり、断じたりするワケではなく、自分がスッキリするための「結論」には証拠は要りませんものね(ん?)。文集『氷菓』の秘密については、ネタを思いついてからストーリーを逆算した気がしないでもありませんが、殺人や傷害に頼らずとも、人生そのものが“スペクタクルなミステリー”との趣向は支持したいと思います。続編があるなら観たいです。
[DVD(邦画)] 6点(2019-03-10 09:57:56)
18.  漂流教室 《ネタバレ》 
SFサスペンスのカテゴリーで本作を評価するなら、確かに点数は付きません。特にストーリー上の肝である“タイムスリップ”を、専門家(?)の勝手理論で早々に片づけてしまうなど暴挙もいいところでしょう。原作の超有名シーン、母の愛で息子に届ける武器のプレゼントも無茶な改変で処理されていました。しかし、です。楳図かずおの名作にして迷作、奇書『漂流教室』の魅力は、大筋で外していないと感じました。前頭葉が痺れるような原作が持つ圧倒的な熱量は、本作からも感じられたと。楳図のトンデモ展開+画力=大林の奇天烈演出+謎ミュージカルで置き換えられます。要するに、どちらも“どうかしている”ということ。『漂流教室』の看板を借りた、大林節炸裂の“やりたい放題”映画とも言えますが、コレはこれで正しい漫画原作の映画化の姿だと思いました。舞台をインターナショナルスクールに変えた辺りも、監督の信条がよく表れていると思います。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-01-20 20:59:43)(良:2票)
19.  ピラニア 3D 《ネタバレ》 
(他の動物系パニック映画の感想でも書いた気がしますが、自分がこのジャンルの映画で最重要視するポイントゆえ、内容が重複するかもしれませんがご容赦ください。)人間VS野生動物を描く場合、まず考慮すべき案件は何でしょう。それは両者のパワーバランスの調整と考えます。人間は食物連鎖ピラミッドの頂点。万全の体勢で戦ったら、野生動物は太刀打ちできません。本作の魚類博士の台詞にもあります。ピラニアの駆除は可能だと。当然です。ですから、人間の能力を下げるか、あるいは動物側の攻撃力を高める仕掛けが必須となります。今回のピラニアは太古の生物とのこと。これで攻撃力アップ。さらにピラニアの先制攻撃。不意打ち効果で、人間側の防御力ダウン。道具を持たぬ人間など野生動物の敵ではありません。これでバランス調整は完璧でした。にもかかわらず、何故さらに人間から知性を奪ったのでしょう。群れを成すピラニアに向けて、拳銃で応戦させたり(マシンガンならまだ分る!)、水に足をつけたままスクリューで戦わせたり、一体どういうつもりなのか。ここに監督の意図が隠されていると判断します。つまりコメディ映画としての主張ではないかと。“玄関開けたら2分でご飯”ならぬ、“水に浸かったら2秒でお骨”は、ホラーではなくギャグですヨ、ということ。ですから拳銃の弾もことごとくピラニアに当たるワケです。そういえばAV監督のイチモツの扱いもヒドかった。エロ・グロ・ナンセンスは相性の良い組み合わせ。オモシロを組み込む狙いは間違っていないと思いますが、如何せんこの程度のギャグではパワー不足でした。裏を返せば、本作のエロとグロは充実していたと言えるかもしれませんが。
[DVD(吹替)] 6点(2012-08-15 17:48:27)(良:2票)
20.  ひぐらしのなく頃に 誓 《ネタバレ》 
『ひぐらしのなく頃に』の続編であり解答編となる本作。主人公を前原圭一から竜宮レナに代えて、事象の裏面を照らします。ただし一筋縄ではいきません。「わたながしの儀式」当夜の惨劇までの流れは前作を踏襲していますが、その後の展開はまるで違う。パラレルワールドの様相。前作の種明かしを期待していた観客としては戸惑うばかりです。しかし劇中最後のアナウンスで、遂に謎を解き明かすヒントが提示されました。“火山性の有毒ガスで村は全滅した”。これですべての謎の説明がつく。有毒ガスに侵され死にゆく村人たちがみた悪夢が、事件の真相と解します。のどを掻き毟るのは息苦しいから。自らの死に気づいていない(受け入れらない)村人たちの思念は、何度も何度も同じ季節・同じ時を巡っている。前作は前原の、本作はレナの、心の闇が創り出した妄想の世界。それぞれの恐れ、疑念、願望が発露しています。ただし行き着く結末だけは変わらない。どんな過程を経ても最期には死が訪れる。いわゆる無限地獄。そんな中、救いがあるとすれば、彼らが前向きであること。若者たちは迷い苦しみながら、友情を頼りに逃れられぬ死と戦っていく。前作からの謎、毎年“一人は死に、一人は行方不明”の解釈について。ここが呪縛霊の世界とするならば、消えた人間は幽霊じゃない。“一人は生還し、一人は成仏した”と読み替えられないか。だとすれば、この地獄にもいつか終わりが来るはずです。ひぐらしのなく頃、頑なな心を捨てた者から、オヤシロさまの“呪い”で魂を解き放たれる…。前作と本作では幾つかの相違点が存在しました。制服のマイナーチェンジ、大石刑事の配役交代。これら不具合は通常の続編であればマイナスです。しかし本作に限っては結果的に物語に深みを与えています。前原のフィルターを通した世界とレナのそれでは、感じ方・捉え方が違うということ。前原にとっての大石刑事は「杉本哲太」、レナにとっては「大杉漣」だとしても不思議じゃない。そもそも他人と世界を共有することなど不可能です。みな孤独に悩まされている。でも、だからこそ、人は共に生きたいと願うのだと思う。前に進むことの出来ない村人たちは哀れです。でも死を待つ身なのは、私たちとて同じこと。輝ける青春の日々の中、永遠に居続ける彼らが、少しだけ羨ましい。
[DVD(邦画)] 6点(2010-07-15 20:54:26)(良:4票)
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