1. 明治侠客伝 三代目襲名
表の稼業を二代目の実の息子に渡すと言った途端にその息子がころりと性根を入替えるところとか、クライマックスへの流れの早急さとか、もうちょっと時間かけてじっくりと見せて欲しいなとも思うんだけど、たった一つの美しい画でやられた。父親の死に目に会いに帰してもらった藤純子が桃を持って鶴田浩二に礼を言う川べりのシーン。オレンジの空と川沿いの松と遠くにくっきりと見える橋。セット独特の幻想的な美しさにやられた。美術、井川徳道の仕事が強烈に際立つ。19歳の藤純子がウブすぎて娼婦っぽくないところがまた歯がゆいというか、まあドラマチックなんだ。あと、鶴田浩二のセリフがいちいちかっこいい。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-14 14:41:41) |
2. 名探偵コナン 天国へのカウントダウン
《ネタバレ》 「名探偵コナン」は「事件→解決」という推理漫画であると同時に別に大筋の物語があります。もともと新一がコナンとなった原因である「黒の組織」との戦いです。で、劇場版コナンで今のところ唯一「黒の組織」が大きく絡んでくる作品がこの「天国へのカウントダウン」なのです。この作品でも「事件→解決」というパターンが当然描かれるのですが、その部分では他の作品と大差ないというか、どうでもいいというか、とにかく「黒の組織」と比べたら、どんな卑劣な殺人犯もかすんでしまうわけで、だからこの最高の敵キャラが登場するこの作品は別格的な面白さがあるわけです。全く関係のない殺人事件と「黒の組織」との絡ませ方が絶妙で伏線を張りまくったストーリー展開は絶品です。お約束の新一(コナン)と蘭のラブラブシーンは、ココだけの話、泣いてしまった。ホース巻き付けてダイブするところね。劇場版コナンの最高傑作だと思います。今のところね。 [映画館(邦画)] 7点(2008-02-15 13:20:22) |
3. 名探偵コナン ベイカー街の亡霊
バーチャルリアリティゲームの中で命懸けのゲームに挑むというかなり飛躍した設定は、その飛躍ぶりにおいてシリーズ中でも最たるもので、劇場版だからこそ描けた設定ともいえる。ただ、いくら「名探偵コナン」があり得ないことだらけの漫画であっても、世界観そのものがココまで現実離れしてしまうと個人的にはどうもしらけてしまう。「命」はゲームのようにリセットできないというメッセージも、ゲーム内でどんどん子供たちがゲームオーバーとして消えてゆく姿で感動を煽ることでむしろ「命」を軽んじたような結果となってしまっている。お馴染みのキャラクターでありながら滅多に登場しない父、工藤優作の活躍という、サブキャラ投入によって「名探偵コナン」ファンに対するサービスと同時にマンネリ打破という効果を狙っていると思われるが、その部分に関してはまずまずの効果はあったと思う。 [映画館(邦画)] 3点(2008-02-14 11:02:25) |
4. 名探偵コナン 瞳の中の暗殺者
《ネタバレ》 コナンファンのヨメ(当時はまだ結婚してませんでした)に付き合って並びましたよ。子供ばっかりの列に。その長い行列が一番印象に残ってる。いつも新たな登場人物に名前や職業の字幕が出て、いわゆる容疑者を我々に提示するのだが、その提示された瞬間に、一人だけ全く容疑者前としていないという理由で犯人が予想できてしまうという粗さがまず痛い。犯人がただただコナン(新一)と蘭のロマンスを盛り上げるためだけとしか思えない不可解極まりない思考と無謀な行動を繰り返し、全体的にムリヤリ感が充満している。それでも一番の見せ場となる告白シーンにウチのヨメはいちいち「キャ~!!」とか「イヤーン」とか叫ぶのだが、まあ、そうやって楽しむ作品なんだろう。そうでもしないとクサすぎて見れないでしょ、コレは。 [映画館(邦画)] 4点(2008-02-13 17:28:31) |
5. 名探偵コナン 水平線上の陰謀
毎年毎年よく考えるなあと感心する。途中からワンパターンから抜け出そうと人気のあるサブキャラの活躍で急場を凌いできた感があったがそろそろ限界かなと思ってた矢先の今作は、サブキャラの助けを借りずに王道で頑張っている。コナンのアクションシーンがかなり少ないのだが、そのぶん本筋の推理以外のかくれんぼや園子の居場所の推理といった推理漫画ならではの展開で楽しませてくれる。ラストはこれまた本筋の事件とは関係のない蘭のピンチ。ウチの娘は何度も見てるくせにラスト付近になると、蘭ちゃんは?蘭ちゃんは?とウルサイウルサイ。とまあ、視覚的にも一人閉じ込められているという画は、けっこうドキドキさせてくれる。毛利のおっちゃんが滅法かっこいいというのもたまには良い。 [DVD(邦画)] 6点(2008-02-12 11:32:20) |
6. めし
《ネタバレ》 「夫婦三部作」(『めし』『夫婦』『妻』)の中で夫婦の溝が最も浅い。どの夫婦にもあるだろう表には出ない些細な不満。そんなどこにでもあるような話に魅入らせてしまう成瀬はやっぱり凄い。なにげない会話が画面に映されたときの人の動き、目の動きが、なんでもないシーンをとんでもないシーンにしてみせる。女だから、妻だから、当たり前のようにこなさなければならないこと、我慢しなければいけないことがある。男にだってある。それをちゃんと見ていてくれる人がいなければストレスになるのは同じ。当たり前のことを当たり前にこなす毎日の疲れ、その疲れを癒してくれる言葉もなし、そのうえ自由気ままな姪っ子に対する嫉妬、、、。居心地の良い東京へ逃げ帰る。ここで登場する杉村春子と杉葉子がまたいい。何もかも解かっている母に甘える。夫の仕事を手伝いながら活き活きと主婦をこなす妹を見る。またまた登場の姪っ子に、同じように現状から逃げているだけの自分を見る。そこに夫が迎えにくる。「迎えに来る」という行動をして言葉以上のものを伝える夫。最後のナレーションはたしかにこの時代特有の価値観なのかもしれないが、夫婦の物語は普遍に満ちていると思うし、なによりも画面は今観ても新鮮で上質なのである。 [映画館(邦画)] 8点(2007-06-21 12:57:48) |
7. メンフィス・ベル(1990)
自国に正義があることを前提に自国の過酷な責務を全うした若者を英雄視した映画はアメリカ映画に限らず日本の映画でもあります。自国の損害のみで反戦を装うこの手の映画はあまり好きではありませんが、そのことで大きく評価を下げることはあえてしません。もちろん加点なんてありえませんが。こんな映画ばっかりだったらイヤだけど、反戦映画ではなくあくまで戦争下での一方からのみ見たひとつのエピソードとしてとらえますが、映像はチープでした。チープさの最たる特撮はひかえめにして空中戦をB17の機内をメインに撮っていたのはなかなか良かった。もともと深みの無いドラマ、唯一の見せ所のこのシーンをメンフィス・ベルだけでなく他の機内も映してアクション度をあげてくれたほうがまだ素直に楽しめたような気がします。戦死者の遺族からの手紙に涙を浮かべる上官のシーンは悪いけどしらけた。 4点(2004-09-13 14:06:43) |