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エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 644
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ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

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1.  瀧の白糸(1933) 《ネタバレ》 
世間の映画館が全てデジタル映写機になり、35ミリフィルムの活弁付きで観られる最後のチャンスかもしれない (詳細はブログにて)
[映画館(邦画)] 10点(2015-06-13 17:24:01)
2.  インスタント沼 《ネタバレ》 
見通すのに2年もかかったエスねこ的超大作でした。 で、のっけからネタバレ行きますけど、  (詳細はブログにて)
[DVD(邦画)] 10点(2013-07-08 02:59:13)(良:1票)
3.  テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 
素晴らしかった。 多くの人が承服しないだろうが、文明論という視点では『キス・オブ・ザ・ドラゴン』を超えたと思う。 詳しくは帰宅後に…iPad から感動のファースト・インプレッションでした。  (詳細はブログにて)
[映画館(邦画)] 10点(2012-10-14 14:39:06)(良:1票)
4.  はなれ瞽女おりん
ハレとケの混交するカオス。 そんな階級が存在するとは思いもしなかった社会の最下層以下の人間でありながら、同時に人のしがらみを突き抜けた仏。芸能人であり売女。あらゆる両側面を備えて、それがさらに「盲者が主人公の映像作品」という大きな矛盾に包まれている。だが観れば納得、その心は明快だ。 製作時期からして、おそらく名作『砂の器』路線を狙った映画なんだと思う。でも自分的にはアレを遥かに超えている。扱っているイメージが広すぎるのだ。おりんの姿には小野小町の末路まで重なってしまうし、門前で三味線を弾く瞽女姿はロックスターまで(というか「ロックンロール」という言葉そのもの)が重なる。そして折々に挿入される、一見「あれ? 何でここで?」的な北陸の風景。ゼンマイ、蓮の花、木々…彼女にはそう見えているのだ。なので、線香くさくない、地に足のついた土俗的仏教ワールドも広がっていると言える。  重層的な世界観を、ただ一人の主人公を描く事で束ねてしまった、とてつもない傑作。オイラの生涯を縛る作品にまたひとつ出会えたのが嬉しい。
[映画館(邦画)] 10点(2007-02-04 00:41:38)(良:1票)
5.  日本以外全部沈没
バカ映画を新たな高みに押し上げたその功績に、10点。 この映画の予告編を見た時には、歌唱力も演技力もないアイドルが「私、脱ぎます!」と言った瞬間を思い出しました。そして本編を実際に見終わった今では、スポーツ紙風の「巨乳解禁! いままで着ヤセだった? 衝撃のスーパーボディ」という見出しが脳内で踊っております。 断言しますが、昨日までは河崎実はオイラ的映画界で無価値だった。今日からは違います。 そのバカ度が、ハリウッド映画の歴史に刻まれる(か、完全黙殺される)ほどの凄い高みにまで達しているからです。  あまりに危険…いやバカすぎて、上映したのと同じ内容でDVD化される保障はありません。今のうち映画館で見ておく事をオススメします。  ●追記:この映画でこそルー大柴の濃い演技(主人公の職場の編集長希望)が光ったと思うんだけど…彼が出なかったのだけが残念だなあ。
[映画館(邦画)] 10点(2006-09-26 19:14:10)(良:1票)
6.  ロボコン
今年から、しばらくいたインターネットサーバ業界を離れまして、古巣の組込マイコン業界に戻ってきました。本作で出てくる旋盤ありーのインパクトドライバーありーの光景はけっこう見慣れてたりします。  …だから断言するけど、まあオイラ以外10点つけるレビュアーはいないだろうなあ(苦笑)。 シナリオ最低(「ああPICマイコンですか」ってセリフ、もう少し返し方があるだろー)、長澤まさみは甘やかされ(別撮りがすげー多い…かなりトチった?)、劇伴も別段耳に残らない。キャラクターの造型に至っては薄すぎて後ろが透けて見えそうだ。だが、映画として最大の問題は「スポ根映画の枠組みなのに盛り上がりが全くない」事だろう。 ここをオイラは評価する。要するにトーナメントは熱い闘いばかりじゃないって事だ。頭を冷やし、理系的に理詰めでハードルを越えていく闘いもある。それがロボコンの本質だろうし、実際ハードルにぶつかるたびにDVDを止めて、自分ならどう対処するかじっくり考えてから続行してみた(正答率1/3)。 もっと面白くできるし、無駄なシーンも削れるとは思うが、監督の基本コンセプトははっきり出ているし、それは自分的には大歓迎の方向性。こんなに面白かったのは久々だ。シナリオには全然敷衍出来ていないように思うけど、工科魂が宿っているのは間違いない。 その、映画には稀有な魂に10点を。  以下、俳優について余談。 ●「長澤まさみが一番可愛い映画」って聞いたので観たんですが、なんか演技が箱入りお嬢ちゃんだすなぁ。個人的には、彼女は撮影現場でプレッシャーがかかる時に本領を発揮する女優さんだと思います(っても、ブレイクするのはこの翌年ですが)。本作でも、あまりやり直しの効かない会場シーンでは張りがあります。やっぱ監督が甘やかしたような気が(苦)。 ●第一ロボット部長の荒川良々がいい味を出してますねー。『ピンポン』でも部長役で同じような演技を披露してましたが、コメディリリーフとして本当に巧い。本作の場合、失速気味低空飛行の展開を救った場面もいくつか見受けられました。これから注目してみるかなあ。
[DVD(字幕)] 10点(2006-08-28 05:51:41)(良:1票)
7.  のど自慢
井筒に、監督として誉められるべき部分をまったく見出せないでいるオイラでも、この映画にだけは10点をつける。これこそ映画として作るべき映画。庶民の娯楽であり芸術でもあり、大人数で感動を共有できる「映画」というメディアでこそ、最もポテンシャルを引き出せる素材だろう。これは「のど自慢」という素材の妙であり、企画の妙なんだと思う。この素材からどんな味が引き出せるかは監督次第で全然違うだろうし、実際オイラも映画館に足を運ぶ前はあーでもねえこーでもねえと勝手にストーリーや演出を考え続けていた…オイラが想像したのはもっとコテコテな歌謡ショー/ミュージカル風だったんだけど、井筒監督のこういう処理法でもかなり泣けたし、120%満足できた(竹中直人はいらんかったと思うんだけど…)。普通の暮らしをしている普通の人々が、歌によって一瞬の幸福を得られる魔法のステージ「のど自慢」。この素材に着目したプロデューサーは偉い。素直にシャッポを脱いで、ヒネクレずに10点献上。
[映画館(邦画)] 10点(2006-02-27 19:43:55)(良:2票)
8.  CASSHERN
最高である。よって10点。これほど真摯なバカ映画がこれまであったろうか。これほどアングラな大作映画がほかにあるだろうか。これほどファン層をコケにした確信犯がいるだろうか。「もー世の中やってらんねーよ俺たち今こんぐらいぶっ壊れてんのよ」的、2004年時点の日本人の心の病巣を心地よく抉った勇気に、その止まる事を知らないパッションに、傍若無人な態度に乾杯だ。キャシャーンの実写化の演出に、誰が新劇×太宰治で行こうなんて考える? しかもシャレんならんほどガッポリ予算かけて? セットは『未来世紀ブラジル』のリスペクトで? 「ブライキング・ボスは唐沢寿明で行こう」なんて言ったのはどこのどいつだ? このスタッフは世紀のバカヤロウどもだよ。ここまで徹底してバカなら最高だよ。本作は、日本映画界に久々に咲いた大輪のあだ花だと思いますですだ。こんなのがあるから、低評価作品のチェックは手が抜けないのだ。
[DVD(字幕)] 10点(2005-09-08 09:37:22)(笑:2票) (良:2票)
9.  さびしんぼう 《ネタバレ》 
いろいろ書いたけど、消しました。やっぱこの映画の分析なんて無理だ。一日たっても涙が止まらん。公開時もそうだった。見終った後からボディブローのように効いてきた。一週間くらいはポスター見るだけで涙腺全開になった記憶がある。あの真っ黒い涙を流すさびしんぼうに、俺絶体レビューなんか書けんわ。
10点(2004-07-28 23:58:57)(良:3票)
10.  深呼吸の必要
沖縄に行ったことがある人なら見るべし。オレ的金熊賞受賞。今までで唯一、納得のいった沖縄ムービーだった。どんな映画かというと、東京から来たバイトたちが平良さん家のサトウキビ畑を刈りつくす「汗、日光、弁当、汗、日光、睡眠」という内容(なぜか女の子の作業者の方が多かったり)。ま、和製ほのぼの『フィッツカラルド』だと思えばいい…って、ピンと来る人は少ないか。今日、湘南の映画館で観たんだけど、エンドロールが流れ終わって場内に照明がつくまで誰一人席を立たなかったという余韻の深さがある。人物設定がわざとらしいのと無理してドラマしてるっぽい点(つうかシナリオがTVドラマ風で臆病すぎる…)で-2点なんだけど、キャラの立たせ方がきわめて自然だったし、しかも全員立ってるし、元が10点満点中12点だったという事で。沖縄ならではのおじい、おばあの優しさに感涙だ。いやホント、久々に映画で泣いたよ。11月の、穂が出て銀色になったサトウキビをカメラに収めなかったのは少々残念かな。収穫時期のサトウキビはちょっと見栄えがしないんで。
10点(2004-05-30 14:22:43)(良:1票)
11.  GODZILLA ゴジラ(1998)
アンチ怪獣映画のオイラとしては高得点つけざるを得まい。マシュー・ブロデリックやジャン・レノの素晴らしい演技にも大感動だ。主人公が「ミミズの巨大化を研究する生物学者」というハリウッド50年代リスペクトな設定、そしてゴジラのデザインをイグアナ型にした、かつてない大胆さ! 偉いぞ! もっと泥を塗りまくって、毎年毎年他愛もないセルフパロディで食い繋ごうとする東宝を再起不能にしてくれーっ! このケッサクがもたらす快感は、他の映画では絶対得られない貴重なモノであるので、あえて10点を点けさせて頂く。怪獣ファンのレビュアー諸氏には済まないが。
10点(2004-05-23 19:09:20)(良:1票)
12.  ゴキブリたちの黄昏 《ネタバレ》 
「邦画で一番好きな作品は?」と聞かれて、迷わずこれを挙げ続けて15年。「驚愕のラスト」といううたい文句がありますが、この映画は本当に驚愕でした。なんたって、中盤までは群像モノの描き方なのに、主人公と人間キャラを除いて全員死にます。玉砕(顔に向かって飛んでいくゴキブリ!)もあれば虐殺(踏まれます)もあり、オトリになって死んでいく者あり、毒ガスあり(キンチョールだけど)圧殺あり(ハードカバーだけど)射殺あり(モデルガンだけど)ブービートラップあり(ゴキブリホイホイだけど)…それが全部、普通の家の中で展開してしまうのが恐ろしかった。ベルイマンの『第七の封印』の終わりを思い出せば近いかもしれないですが、画面の動きの激しさにアニメと演劇風映画の差が歴然と出ています。ラストのただ1枚のイラストが、全ての救いとなっています。一緒に見ていた友人たちはこの絵で「キャー」とか言ってましたが…何だかなあ。オイラはサイトウさん的に生きるよ。
10点(2004-02-22 15:16:39)
13.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
ああ。秒5から随分経ったもんな。天を焼きながら砕け散るように新海誠愛を語らせてもらうよ、オイラは(苦笑 (詳細はブログにて)
[映画館(邦画)] 9点(2016-10-06 23:54:25)
14.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
酔ってるんで後日書き直すつもり(結局、他の方々同様クソ長くなったんで、別記事にしました)。 極めてメタ度が高い映画で、観客をあざ笑うかのような字幕多用・映画人の理想をぶち壊す説明セリフ85%の展開も心地良い。 個人的には『スターシップ・トゥルーパーズ』と並ぶ多値構成の奇作。 ラスト、そびえ立つゴジラを睨む人々はいない。そう。現実にもいないんだから…。 「真摯なバカ映画」の称号をお贈りします。  最後に、島本組の同世代ゆえに。 庵野先輩やめろおォォ! わあああぁ~~~! …別に俺の下に行ったことはないけど…。
[映画館(邦画)] 9点(2016-08-10 01:45:03)(良:1票)
15.  くもとちゅうりっぷ
レビュー書くのにすでに二日かかってるという、久々の傑作。  (詳細はブログにて)
[映画館(邦画)] 9点(2015-06-17 22:55:58)
16.  大日本人 《ネタバレ》 
『日本以外全部沈没』以来、久々に沁み入るバカ映画に出会ったよ。  (詳細はブログにて)
[DVD(邦画)] 9点(2008-05-17 14:51:42)
17.  ハワイ・マレー沖海戦 《ネタバレ》 
牧歌調のオープニングは「思ったよりいいでわないの」と引き込まれたんだが。 予備兵の訓練シーンも主人公の頑張りにそれなりのリアリティが付されて、悪くない。 飛行隊に入って訓練を受けているところも、空 (詳細はブログにて)
[ビデオ(邦画)] 9点(2008-02-13 23:35:14)(良:1票)
18.  ゲゲゲの鬼太郎(2007)
蛇口故障。自分でも呆れるほど泣いて、終わりの方では嗚咽も漏らしちゃって…子供がいっぱい観に来てた中で、猛烈に恥ずかしかったというか。  予告で「泣くかもなあ」という予感はあった。 ちゃんとした鬼太郎の物語としてこなれてはいるんだが、今回の鬼太郎は、舞台がちょっと違うのだ。作中で明示はされないしロケ地は全国あちこちに散らばっているんだが、間違いなく東京の霊山・高尾の話。 森・霊園・土地開発・団地・列車の車庫・天狗と狐と烏・トンネル・そしてあの土地独特の霊気に満ちた空気(要するに湿度が高くて霧が出やすいだけなんだが)、そんな高尾周辺のアイテムで覆い尽くされていた。冒頭の森の、あの空気を観ただけで泣くやつは泣くだろう。オイラは1カット目で既に涙が出ていた。 あの特殊な空間と土地の精神を、よくここまで統合して映画に放り込めたモンだと思う。あそこに住んでない人は、映画を観てから一度訪ねてみて頂きたい。本作の空気からすると、桜の咲く頃から梅雨明けの時期までがいいだろう。多分、風景は全く似てないのに、空気だけが激似で驚くと思う。あと、ゲゲゲの森は黒部湖のあたりと見た。ちょっと東京からは離れた感じだ。  小雪はもう少し頑張れないものか。田中麗奈は芸達者に囲まれ、緊張しまくりなのが見えて、逆に楽しい。中村獅童はヤケクソな腹の据わり方がムチャおかしい(ま、いつも通りなんだが)。「獅童さん、大テング役をオネガイしますよ! これができるのは日本中で獅童さんしかいませんよ!」と言われた瞬間の顔を見てみたくなった(笑)。妖狐たちのマトリックスぶりは、CG使ってないんで本家より燃えたかも。西田敏行・谷啓は完璧な出オチですね。 できれば高尾在住の楳図かずお先生にもカメオで御登場頂きたかったが…水木しげる作品に出てもらうのは厳しいだろうからなあ…惜しい!
[映画館(邦画)] 9点(2007-05-09 16:10:43)(良:1票)
19.  ジャンピング
内容については触れない。一言でも発しようモノなら観た時に大きく興を殺ぐ結果になるだろう。  評価について。 アヌシー審査員の「100 年間の映画 100 選」リストでは、本作は 58 番目で日本作品としては2位だ(1位は言わずと知れた喜八郎の『道成寺』、100 番中 45 番)。つまり、この百年に世界中で製作された短編アートアニメ作品の中で、58 番目と位置付けられている。当然、非商業分野での手塚アニメの、一番の業績となる。 個人的にはもっと上位に食い込んでもいいと思っているが、手塚治虫のカトゥーンなタッチが相当な違和感を醸しているのは否定しようがない。日本はともかく、アヌシー的に見ればこれじゃランクを上げ辛いだろう。自分の業績を確立した後でも、かたくなにフライシャー/ディズニーの追従者でいようとする手塚の頑迷さは、愛しさまで生まれるほど。  製作時期が問題だ。 本作は 84 年。第二次SFブームのまっただ中で、彼一人が沈没していた時期。本格SFを狙った『プライム・ローズ』は物語が手塚史上最悪のクラッシュを起こし、『ドン・ドラキュラ』の放映は伝説的な4回打ち切り。SF界での手塚治虫は、過去のブランドとして葬り去られようとしていた。 そのドン底(金もなかった)の時期に、本作の企画を立ち上げて、金にもならないアニメの作画をガリガリ 4000 枚もやってたというのが、「やはり神だな」と思わせる。同時代のサンライズ+『ガンダム』や、すぐ後のマッドハウス+『アキラ』の狂乱ぶりを考えれば、この時代にアートアニメへ目を向けていたアニメ界の巨匠(笑)がいた事自体が、信じ難い。  狙いについて。 言葉を持たない、文字も登場しない、まあ他にもいろいろあるが、本作は「世界の子供に見てもらう」事しか考えていない。この選択は、世界のアニメ市場でゼロから実績を積み直す覚悟だったような感触がある。この人の創作欲はどこまで罪深いんだと恐れ入る。 この試み自体の評価は置くとして、本作から始まった手塚の 80 年代作品群は、広島アニメ映画祭を発信の場とした。この映画祭が現在のアートアニメ層の母体になっているのは言うまでもない。同祭の看板、そしてアヌシー常連の、ノルシュテインやグリモー(あとラルー)などに並んで手塚治虫が存在している。58 番目として存在している。 手塚は結局、この作品を生むために生きたんじゃないかと思う。  
[DVD(邦画)] 9点(2007-05-07 00:49:02)(良:1票)
20.  蟹工船(1953) 《ネタバレ》 
原作未読。  これですねー、札幌の蠍座のプログラムで『父親たちの星条旗』の直前に観たんですよー。 もうね、『星条旗』の方では米兵視点で完全に「行け行け! 日本海兵殺ってまえ~!」状態ですわ。完全に洗脳されていた(笑…えるか?)。 それくらい、明治以降の日本式資本主義が明快に《画》になっている作品。銃を構えた海兵に労働者を包囲させ、「扇動者は誰だ! 出て来い卑怯者!」ってそれ、アンタが卑怯やん。 評価点は、《船》という閉じた生態系がまずしっかり描かれている事。 その存在目的とエコシステムが、物語の進行に連れて次第に明らかになる事。 やがて準前線的なヤバイ場所まで連れてかれる事を、労働者だけじゃなく観客までも知らずにいる事。 さらには(北海道人なら承知ですが)海で死んだ奴らがカニの餌になり、一段高いレベルのエコシステムまでが象徴的に暗示されている事。  音楽について。 冒頭、スタッフロールの背後で乗船する人々。ここで流れる音楽の厚さに圧倒されます。 誰かと思ったら音楽監修・伊福部明! これ怪獣映画じゃん!(笑) おそらく、船内世界を実社会へ投射させるという物語のメカニズムを生んだ草分け、『白鯨』を意識して、資本主義を巨大な怪獣に見立てるというプリプロダクション時の思考があったんじゃないかと思います。そう。これは、怪獣映画として壮絶に成功しています。 巨獣と群集の明快で絶対的(時として逆転もしますが)な関係が赤裸々に語られる本作は、凡百の怪獣映画より遥かに凄い。  スタジオでのお芝居もありますが、汚れきったきたねー衣装を揃え、字幕が欲しくなるほどちゃんとした函館弁を喋らせ、本物の蟹工船にキャスト全員を乗せて、本当に蟹を引き上げさせて、本当に大シケの中で(って下手すりゃカメラマン死ぬよアレ)、本当にスタントを荒波に放り込んで…このリアリズム。ヘルツォークがお坊ちゃまに見えてくるほど、体を張って撮った野蛮さ、無茶苦茶さで、脳天を撃ち抜くような迫力でした。
[映画館(邦画)] 9点(2007-04-18 20:49:27)
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