Menu
 > レビュワー
 > エスねこ さんの口コミ一覧。3ページ目
エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 644
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123456
投稿日付順123456
変更日付順123456
>> カレンダー表示
>> 通常表示
41.  バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 《ネタバレ》 
思いのほか、というか相当に考えさせられる映画だった。 なんで世間一般的に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が度外れに評価高いのか? オイラは「半ば神格化された《アメリカ黄金期の50年代》という古き良き時代を、無条件にバカにできるから」だという考えでいるんだけど、当のアメリカ人にしてみればアレは相当に苦い映画だった…という当然のコトに、『バブルへGO!!』を観ながらようやく気付く。BTTFは80年代、アメリカ第二の低迷期の作品だからね。あの映画を笑って観てる日本の観客は、ある意味で卑劣なのかも知れない。そこに気付かされたのは大きい。 舞台挨拶のニュースで阿部寛が「中身が何にもない映画ですから」と言っていた。役者としては確かにつまらないだろう。深みを一切要求されない人物像だから。これは役者の映画じゃなく、モノの映画だ。繁華街にある森永LOVE、ディスコで踊る女性の太い眉、壁面がガラス張りのマンション…とにかくモノ。過剰な小道具たちが、さして変わらない17年前を意識させ、異空間にしてしまう(特に広末の髪の染め具合は本当に絶妙!)。他方、財務省=大蔵省の中は変わってないが、それも意図的なものだろう。人間はどうあれ、役所は17年ごときでは変わらない。この、モノが語り綴っていくモノガタリは、薄味になったヤン・シュワンクマイエルのソレに通じている。 エンディングのバカらしさも一考に価する。ほとんど埋め立てられた東京湾はバブル期のアホな未来像そのままだし、誰かさんにとっては「あるべき現在」だ。ここで、主演が広末涼子ではなく阿部寛になっているのに改めて気付く。これは「官の映画」だったワケだ。製作がフジテレビと電通であるコトにも気付く。政府の太鼓持ちたちじゃねーか。案外、いやかなり、あのラストはマジだぞ。やりすぎて嫌味とかそういうんじゃなくて、大マジで大団円のつもりで作ってるぞ。「映画の観客はバカだからさー」という、救いようのない慢心があの絵に見えて来るような気がした(あ、でもマシン発明したのは三菱じゃなくて日立だぞ…考えすぎかもしれないネ~)。 そういう意味では、本作は映画の本質に極めて肉薄している。「みんなが観たい夢を観せる」という意味での「すっげー映画らしい映画」だ。でもいろいろ考える所があったのは事実なので、この点数で。もう一度劇場に足を運んで考えてみる価値はあるなあ。
[映画館(邦画)] 8点(2007-03-12 16:32:38)(良:2票)
42.  エクステ
まるで栗山千明と大地康雄のために作られたような映画。でもそこを栗山千明&大杉漣で撮っちゃうあたりの微妙な意外性というか、なんというか…まあいいや(笑)。とにかく去年予告を観て、あの信じられない光景に目を疑い、呆然としてしまったインパクト故にわざわざ公開初日、初回上映に行ってきました。DVDもらったっす。  なんかねー、スプラッタって以外は話もキャラクターも全然違うんですが『死霊のしたたり』を思い浮かべちゃうんですよ。なぜか。映像が、完全にイッちゃってるからでしょうね。予想外に濃くて重い「社会派でっせ~っ!」ってな感じの内容でしたが、そういうマンガ的な画造りなので、露悪趣味とは方向性がちょっと違う。悪くはありません。 ただ、あれだけの事件に発展しながら、エンディングでパトカーの影すら見せないのはどうかと思います。ちょっと現実感を喪失してるんですよね。あの終わり方は明示的に自分の内面へ逃げたんじゃないかと思います。「ここまで楽しませたんだから、オレの好きなように終わりを締めさせてよ」みたいな声が画面から聞こえて来る。悪いとは言わないけど、どうせやるなら『ポゼッション』のラストくらいまでやっとけよ監督。あまりに逃げすぎで被写体が何なのかよくわからんぜよ(…は言い過ぎ)。  あと、卑怯なまでに子役を巧く使いやがったな(笑)。エクステ襲撃場面での佐藤未来の演技は、完全に栗山千明を食ってます。他にも優子が夢中で語る《美容師になろうと思ったきっかけ》を聞きながら「あー語りスイッチ入れちゃったよ、いつまで話してんだこの姉ちゃん」っていう表情は、「子役」から「女優」になりかけてる感じ。非常に硬質な感じで役が創り上げられてました。 オイラが期待してスクリーンへ足を運び、ここのレビュアーの過半も期待しているであろう大杉漣については、この後のレビューで数多く語られると思うので特にはいいかな。ホント凄いっすよ、演技バカというかバカ演技というか…いろんな意味でえらい人です。  ●追記:ケ6さん援護 thx!(^^; ネットでの評を見てると、美容室で飼ってる猫の描写への言及が多いですね。 「人間は毛をなくした動物である」の原則、つまり山崎=回帰願望という線もアリかな。
[映画館(邦画)] 8点(2007-02-17 20:42:15)(良:1票)
43.  長い散歩
全編曇り空の傑作。これは凄い。 工場から際限なく吐き出される煙、曇り空、位牌と墓、壊れた人々、黒頭巾、たわけた精神論を語る官僚、エイズと貧困の終末論、そして天使とパンツと鳥…。 その、それぞれの記号が意味するモノは観客にとってかなりわかり易い。読み解いて行くと、世界全部を覆ってしまう想定外の巨大なパズルが現れる。 そのパズルはどう完成されるのか? そこにはどんな画が描かれているのか? …いや、そもそも完成されるのか? いやはやまったく、本当に「人生は長い散歩」だよ。
[映画館(邦画)] 8点(2007-02-11 17:08:40)
44.  バックダンサーズ! 《ネタバレ》 
一日経って、全面書き直し。前のはブログに移しました。 もうテレビを持たない生活が10年になるんで気付かなかったけど、これテレビドラマ1シリーズの内容の2時間圧縮版だな。逆にそこが評価できる点か。  この話は、キャストが先にある。脚本はそれぞれのキャストを想定して書かれているし、ロケ地が限られてる事から言って、かなりの早撮りだと思う。監督・脚本はテレビドラマの出身(しかも本作が映画1作目)だし、身内を引き連れての企画だったのは想像に難くない。 だが、それだけの映画じゃない。最大の特徴は、それほど本格的には踊れない4人の女優をメインにしつつもラストまで引っ張るために、キャバクラステージみたいな舞台や、ドサ回りや、途中の解散などで「外し」のシチュエーションを延々連発する点。ダンスを見せる部分は確かにあるが、決して話の主軸にはならない。いきなり10年をすっ飛ばす全体構成も、客の期待を裏切るための仕掛けだと思う。「逆に見せない事が素晴らしい」と思えてくるようなシチュエーション作りに腐心しているせいで、とてつもなくアイロニカルな、別の言葉でいえば「バカな映画」になっている。 だからこそ快感が得られたんだと思うし、これはTV見ない歴十数年のオイラみたいなヒネクレ者でなきゃ面白いと思わないかもしれない。描かれるのはダンスそのものではなく、プロデュースやステージ設営からイベントまでの流れの「ステージの再生浄化」。ちょっとTV向きの企画ではないだろう。監督の、それなりのメッセージがそこにあるんだろうが…評価する人は限られるだろうなあ。  オイラ的結論。これは見応えのある「バカみたい映画」です。どこまでも観客を裏切り続けるという意味で。
[映画館(邦画)] 8点(2006-10-05 15:23:36)(良:1票)
45.  天使のたまご(1985)
なんか寝れんのでレビュー。 ビデオ出た時に借りて観ました。ゴシックな太陽のデザインにすっかりヤラレた。DVDも出てすぐに買った。 他に観た押井作品は評価しないけど、これは評価できる(職人度は低いが…そこは問題じゃない)。 押井作品を評する時、よく(原作の)再構築という言葉が使われる(ゴダール張りに脱構築とも)。けど、実際は再定義という言葉の方が似合っていると思う。彼は自分の視点で世界を定義し直す。そういう行為にはある種の暴力が伴うんだけど、本作はいろいろ商業的な制約を完全に取っ払って製作したせいで、限度ないまでに暴力的になっている。被害者はもちろん観客だ。 創作には多かれ少なかれそういう面がある。木の葉の一枚までクリエイターの手になるアニメーションの場合は、特にそうなりがちだ(ぶっちゃけノルシュテインなんて一種のノスタルジー暴力だよ)。その上映リスクを承知でこういう絵を作る態度は、観ていてすがすがしくもなる。  彼の原作つきの作品の場合、ここまでの世界再定義は望めない。 少なくともこんな太陽は…。
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-08-21 04:38:37)
46.  カクレンボ
Gyao の放映で観たので映像の明るさとかイマイチなんですが…これは凄かった! 子供の世界には、大人に伝わらずに独自進化していく文化があります。遊び歌とか、近年では『北斗の拳遊び』なんかの進化もそうなんだけど、大人が介在しない、言葉に置き換え難い、それでいて太古からの歴史を思い出させる遊びが息づいている。 本作はそういう世界に焦点を当てたおかげで、シナリオが説明過多に陥るのを免れている。また、圧倒的な異形の描写が、現実を見失わせるのに十分な効果を発揮。ラストまで息をつかせぬ傑作になっています。 アニメは80年代から「動」を描くジャンルに切り替わった(ここでの宮崎駿の功績を否定する気はないっす)。実はアニメというのはセリフが少なければ少ないほどいい分野。 だから、本作は現段階の日本アニメの『最高』にして『最上』のアニメだ、と評しておきます。  ネタ的には『バトルロワイヤル』とか『リアル鬼ごっこ』を想像させるので万人向きじゃないかもしれません。ここが減点ポイントかな。でも、アニメとしての価値はかなり高いと思っています。観るべし。
[インターネット(字幕)] 8点(2006-08-09 22:01:20)(良:1票)
47.  力道山
なんか信じられないモノを見ちゃいましたよぉ。プロレスシーン、どう見てもダブルじゃない。ソル・ギョング本人の顔が歪み、マットに叩きつけられ、流血してボロボロになっていく。かと思えば迫真の空手チョップ反撃(マジ怖いよこれ)。足技も投げ技もかかるかかる。絶対プロのレスラーがダブルで撮ってると思ってたオイラは「いやぁ最近のCG技術は凄いよなあ、あんな激しい動きでも顔を書き換えちゃうんだ~」などと見当違いの感心をして映画館を後にしたのでした…いま公式サイトを見て愕然としましたね。ソル・ギョング本人がリングで演技してたって~? こりゃ『レイジング・ブル』以上の恐ろしい映画ですよ。本家も真っ青のデ・ニーロ・アプローチですよ。ヘルツォークも裸足で逃げ出すリアリズムですよ。こんな凄い役者が韓国にいたんだ。いま『フィツカラルド』を見た時と同じ驚愕に打ちのめされています。『イーオン・フラックス』でシャリーズ・セロンの肢体に鼻の下を伸ばす予定だったのを変更して正解でした。本作をレビューした方々に感謝します。 ●2008/1/1 8点に変更。
[映画館(字幕)] 8点(2006-03-12 21:07:13)
48.  地獄甲子園
つけちゃるよ8点(笑)。投げやりの帝王・石井輝男節全壊ッ! これ以上何を望む? もちろん原作は好きだが、それ以前にオイラは(スーパージャイアンツの)石井信者なのだ。外道への逆襲以降が弱いのは否定できないから2点引くけどね。
8点(2004-08-13 17:29:30)
49.  ブラックマジック M-66〈OVA〉
初めて士郎正宗という存在に出会った時は、非商業版のブラックマジック本が出た頃で、同人誌上では『黄金円柱祭』の連載が佳境に入っていました。本は買ったけど、いつも彼の話を読むのにすごい時間を食うオイラは、この映像化までにブラックマジックも黄金円柱祭も読み切れなかった…けど、結果としては正解だったかもしれません。OVA『ブラックマジック』は原作の機械的な消化を目的にしたワケじゃなくて、士郎ワールドのエッセンスの動画化にあったからです。とにかく動画。ロボットのこんなに凄い動きは初めて見たっすよ(今でもこれに匹敵する動きのロボットは映画/アニメ共々見たことないな)。自重と、それがもたらす移動時の慣性・ダメージを計算に入れて攻めてくるロボは、他のアニメみたいに人間には見えません。インテリジェントな「機械」そのまま。何かのテーマを追った作品ではなく、描写に関するコンセプト提示型の作品ですが、この点数をつけさせるインパクトは充分にあります。必然的にその後のオイラは、アクションシーンの動きを厳しく見るようになりました。『ターミネーター2』の評価も『マトリックス』の評価も超低いです(『アニマトリックス』も低いぞ)。「人間を描くべし」と言われる映画・アニメの世界で、士郎正宗は人間でないものを描破しようとしたんですね。しょーもない評論家や文化人たちとは別の世界に住んでいる彼の、アグレッシヴな第一作だったと思います。
8点(2004-03-20 20:40:05)(良:1票)
50.  他人の顔 《ネタバレ》 
オープニングの映像だけでも映画史に残る大冒険。長科白を独白する仲代達也にレントゲン線を当てて、ひたすら回り込みで透視映像を撮り続ける…あまりにも無謀な、リテイク不可能なフィルム! なんとなくレアだぞ! そしてラストシーンで通りを埋め尽くす、顔のない群集。シュールでリアルで、怖すぎます。それ以外は手堅い感じかな。もちろん原作の味が薄められていないのもポイントです。オリジナルのマッドサイエンティストっぽい化学的ウンチクは影を潜めてますが。
8点(2004-02-17 20:04:14)
51.  ファースト・スクワッド 《ネタバレ》 
いやはや、奇作すぎて言葉がないです。 美術面ではロシアの好む色使い(ユーリ・ノルシュテインみたいなや (詳細はブログにて)
[インターネット(字幕)] 7点(2016-05-15 22:29:50)
52.  秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~
映画版1〜4を一気に観て、本作が地味だけど濃いな、という事でレビュー。 コンピュータ&ネット世界のビジュアライズって、未だに映画界が上手にやれていない部分です。が、このバカアニメはそこを逆手に取ってサラッとやっちまった。トロン:レガシーの3倍くらい(比較元がマニアックな上にへたくそだから絶対値では低いですが)素晴らしい造形だったと思うっす。 しっかしシリーズ通して毎度毎度、カスペルスキーネタの豊富なことよ…flashが巨大なセキュリティブラックホールと化しつつある今、蛙男商会とカスペルスキーはブレッド&バターみたいな蜜月関係にあるのかも知れませんな。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-03-27 13:02:29)
53.  忠次旅日記
大河内傳次郎、まさかの28歳。28歳であの貫禄。 …ていうか、この人は活劇もやれるけど人情話も得意なオールマイティーだったんだなあ、って再認識しました。 『丹下左膳 百萬両の壺』でああいう演技に振ったのは、監督の意向もあるにせよ、役者としての素質がモノを言ったんだなあ、と理解。 杖ついて半身が動かない状態でヨロヨロと山道を行く忠治の姿なんかもう、剣劇以上に心に残る名場面でした。 『御用編』の後半ではほぼ寝たままの演技で、表情だけで人生語っちゃうしもう。 こういう、西部劇とは一線を画す作品が作れちゃうのも時代劇の懐のあるとこだね、って思ったなあ。  同じプログラムでもっと前の作品『長恨』もかかりました。 忠治旅日記が滅びの静なら、こっちは滅びの動。1巻まるまる大立ち回りオンリーの捕り物で終始するってのが凄まじくかっこよかったです。 これ、(消失した忠治本編もそうですが)本作と鏡合わせになって見事な作品だったなあという感想でした。
[映画館(邦画)] 7点(2015-06-15 12:32:30)
54.  こっぴどい猫
一応モト冬樹が主軸ですが、インディペンデントな雰囲気プンプンの恋愛コメディ。もう観てから半月以上経つんだけど、なかなか書く気にならなくて放置してました。 でも、今でもフィルムが全国巡回中のようです。 (詳細はブログにて)
[映画館(邦画)] 7点(2012-10-14 21:54:39)
55.  フラガール 《ネタバレ》 
【訂正懺悔編】 一日経って、3点から7点にUPしました。理由は末尾に。  薄いいいぃぃぃ〜〜〜ッ! 感想はもう、これに尽きる!  (詳細はブログにて)
[地上波(邦画)] 7点(2007-10-08 19:25:28)(良:1票)
56.  夜明け前(1953) 《ネタバレ》 
戦中・戦後的な枠組では「神道=右翼」なワケですけど、神道が誕生した幕末時代には「自由主義思想」だったんすな。国学派がセッセと古文書なんかを紐解いちゃって古代へ、古代へと遡って行った結果、国学末期の平田 (詳細はブログにて)
[映画館(邦画)] 7点(2007-06-09 23:23:37)
57.  頭山
初めてのブログ連係レビューなんだからと『話の話』や『道成寺』をレビューしてみようと思ったんだけど、一言も書けない。格が高すぎました(笑)。ちょっと敷居を下げてこのあたりで…以下はネタバレ含みで。ここが (詳細はブログにて)
[DVD(邦画)] 7点(2007-06-07 23:43:49)
58.  神童 《ネタバレ》 
原作知らない、って以前にもう、何がなんだかわからない意味不明世界に翻弄され、気がつけば終わっていた。心の中で評価がどう変化していったかというと、3点→0点→マイナス5点→0点→5点。とにかく、音楽映画としてはまるで「なってない」。本作をドイツとオーストリアへ持っていけば、間違いなく嘲笑・黙殺・非難・悪魔祓いの憂き目に会うだろう。予言する。 カメラが演奏中のピアノをナメる。白と黒の鍵盤の上を踊る指が画面の下側に、そして中央にはフタの裏側に刻印された「YAMAHA」の文字が映り込むよう、何度も、何度も…その時点で「もうダメだ」と思ったんだが、それを遥かに下回る知能の低さなのだ。凄いのだ。仮にもヤマハの名が出る以上はキープしているであろう音楽的な演出がゼロで、ピアノのBGMであるべきトコロが弦で、縦糸はあっても横糸は無く、頑張っても四重奏がせいぜいで、従ってテクスチュアなんぞあろうはずもなく、テーマが力強く現れる事もなく、最後の演奏会にもつれ込み、そこで、そこで椅子の高さのエピソードが出てきてやっと気がつくという始末。 彼女はグレン・グールドだったのだ。当然というかオイラはミカラ・ペトリやアンネ・ゾフィー・ムターを想像していた。だがそうでもあり、やっぱりそうじゃなかった。グールドだったのだ。 だったらそこはバッハでなければならない、と当然のようにオイラの中の音楽が囁く。だがそうではない。ここはモーツアルトが正しい。これは音楽の話ではなく、ピアニストの話ではなく、夭折したグールドの物語なんだ。音楽を切り取って外側から描いた、例えばそう、「エッシャーの絵」がそこにあるんだろう。 これは日本の演奏界の袋小路を描いているかもしれないし、単にノーセンスでヤマハを糞まみれにして葬る映画かもしれない。そんな事は、どうでもいい。音楽になっていない映像の中に、確かに音楽を聞いた。監督の意図なんてどうでもいい。屑の塊が音楽になっている。それを聴いた。幻聴と言うなら言え。  それにしても、ホント村治佳織に似てるわ…。
[映画館(邦画)] 7点(2007-05-14 20:31:46)
59.  京鹿子娘二人道成寺(2006)
ここの登録ルールに反するとは知りながら、敢えて登録申請させてもらいました。  実はこの作品は、本当にただ歌舞伎の舞台をビデオ撮影しただけなのです。そして、それこそが本作を端倪すべからざる理由でもあるのですな。ハイビジョン撮影のメリットを生かし、一切の照明なしで、固定したマルチカメラ数台で客席から舞台を撮影。カメラはレフ版やらスポットやらで甘やかされる事なく観客と同じ環境下で映像を記録し、舞台と同じサイズの巨大スクリーンへ投影できる画質を確保できる時代になったのを実感します。 特に、本作はいわゆる『娘道成寺』ですから、女形が着替えに着替え、着物の色・傘の色が乱舞する。この色が滲まず美しく出ていたのは、驚嘆。なんかスポーツ中継でファインプレーを目撃した瞬間みたいな、手に汗握るモノがあります。これはHDビデオの最先端技術のお披露目映画でもあるワケです。 冒頭、本作のそういう役割を自認したシーンがありまして、安珍の鐘を横に4人の僧侶が横並びでかけ合う場面を、アングルは固定、4人の爪先から頭頂までを余さずカメラに収めながら、かけ合う様をじっくりと見せる。歌舞伎座の観客の目の前にオペラグラスを置いたような、そんなアングルです。これで表情の微細な変化、僧侶のカツラの継目までがハッキリ見えてしまうんだから凄いですよ。 実は上映中2度ほど、あまりの臨場感で、本当に歌舞伎座に来たと錯覚して拍手しかけました。  それだけのパワーを持ったカメラで、画面いっぱい精細に詳細に微細に映し出される玉三郎・菊之介の顔のクローズアップ…猛烈に萌えねえ(泣)。 松竹の旦那、歌舞伎の客が見る以上のモノを映しちゃーいけやせんぜ!
[映画館(邦画)] 7点(2007-04-06 10:04:02)
60.  こま撮りえいが こまねこ
罪多きアルバトロス配給作品にも、たまに本気の映画があったりするのは御承知の通り。『こまねこ』はそういう真顔モードのアルバトロス配給作品なのだが…何というかね、「これ、アホヲドリ配給だから」って脳裏に擦り込まれちゃって、必死にバカ映画なワライドコロを探す虚しい自分がおりました。  こまちゃんという子猫を主人公にした、全部で5話の短篇集です。が、全体的にノンビリ感が漂っていて短篇といえども詰め込んだような感じはありません。技術的にもチェコ水準。トルンカの霊が憑いてそうなくらい、人形が活きてます。まあライティングとかジオラマとかまでトータルに見ると、チト厳しいモノがありますけどね…。 でもね、子ども向け人形アニメに徹して、ここまで王道を進んでくれた作品は近年なかなか見ません。 映像作品の多くが技術の無駄使いに走る中、本作は「手作り」「アナログ」「愛情」という記号をふんだんに散りばめ、時代に流されずにふん張っている頑固な職人映画でもあるのですナ。CG&合成に頼っている部分ももちろんあるんですが、場面的には極小だし、非常に品のいい使われ方をしていました。 この年末年始に、ハリウッドで汚れちゃった自分の感性を洗濯するのにいい機会かもしれませんですよん。もちろん「アホヲドリ配給」というのは忘れた上でネ!
[映画館(邦画)] 7点(2006-11-29 00:00:56)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS