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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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21.  アバター(2009)
3Dに関しては確かにこれまでの3D映画とは桁違いの出来と言えよう。でも黒い3D用メガネはその黒さゆえに相当画面を暗くしてしまい部分的に見にくいところがあった。かといってメガネを外すと当然黒メガネを考慮した画面は眩しすぎるくらいに明るい。3D映像に関してはまだまだ改善の余地ありかと。とりあえず3Dは無視して評価しようと思うのだが、それでもやっぱり映像が凄い。地球とは違う風景をなんの違和感も感じさせずに実写として画面に映し出す。これは素直に凄いと思う。巨大な枝の上を進んでゆく画づらが遠巻きにとらえられる。CGだからどこからとらえた画だろうが撮れるんだけど、しっかりとこの画を選んでいるってのがいい。空中戦の大俯瞰だってそう。空から落ちてゆく体を大きな葉が受け止めてゆくアクションシーンもそう。いい画、いい繋ぎを見せている。もちろん3D用画面ゆえか陰影に乏しいってのが決定的にダメで、夜の森の怖さが全く表現できていなかったりするのは絶望的ですらあるんだけども、それでも見たこともない「凄さ」がこの映画にはあって、それは映画の凄さではないかもしれないけど「凄い」って思ったことには変わりなく、その感動はこの映画の欠点を補うには余りある感動だったんじゃないかと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-23 18:45:37)(良:2票)
22.  ザ・バンク -堕ちた巨像-
冒頭の雨のベルリンがいい。何かによって成された何がしかが実にシリアス且つ分りやすく描かれる。何かが巨悪であることもこの冒頭シーンだけでじゅうぶん伝わる。全てを監視していたはずの主人公には見えていなかったという所がスリリングでまたその後の展開に活きてくる。もうけして何も見落とさぬとでも言いたげなクライヴ・オーウェンのぎらついた瞳はターゲットをひたすら凝視する。ニューヨークでの尾行シーンに特に顕著なのだが最後のイスタンブールの尾行もまたいい。中身は大真面目に社会派なのだが映し出されるのはアクション。ここは好みの分かれるところだろうけど、個人的にはアクションの部分がきっちりと撮られていたことに大満足。美術館シーンはサービスアクションとでもいいましょうか。お祭りっす。でも単に派手なだけでなく、やっぱりきっちり撮っている。この銃撃戦の目玉である建物構造をきちんとおさえながらアップショットとの繋ぎをアクションを停滞させずに見せきっている。良かったです。面白かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-10 16:10:58)
23.  ティム・バートンのコープスブライド
パペットアニメーションを模したCGアニメーションだとばかり思ってました。それほどに完成されてるってことなんだけど、それってなんか損してるような。最近7歳の娘にどうぞと頂いたDVDで久しぶりに見てみると、この世界観ってもろに『スウィーニー・トッド』と同じだなと。時代もおそらくそう違わないだろうしイギリスっぽいし色が無いしミュージカルだし。でもどう見てもリアルじゃない極端な顔立ちをした登場人物たちのほうが本物の人間よりもはるかにこの世界に馴染んでいる。娘もけっこうこの作品を気に入っているようなのだが、女二人と男一人の三角関係というドロドロにしかなり得ない設定なのに三人の誰もが悪者にならないどころかむしろ三人ともを応援したくなるという話にしているところが功を奏しているのだろう。キャラクターデザインもいいし動きもいいのだが、最もいいのは照明。モノトーンの中で死んだ花嫁に当てられる逆光が素晴らしく、そのグロテスクな容姿にもかかわらず美しさを発散させている。ピアノの連奏シーンがお気に入りのうちのヨメさんはそこばかりを見て、さらに楽譜をネットで探し出し、今、娘と練習中である。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-23 16:55:16)
24.  スラムドッグ$ミリオネア
ダニー・ボイルはデビュー作『シャロウ・グレイブ』から一貫してスタイリッシュな映像の中に風刺を色濃く潜ませてきた。その風刺の矛先はいつも人間のエゴである。娯楽と割り切ったような『28日後...』ですらそこは変わらない。エゴへの風刺がそのまま娯楽へと転化されるストーリーだといいのだが、むりやりにエゴへの風刺を入れた『28日後...』には不満が残る。もっと単純に行こうよと。小難しい風刺劇なんていらんよと。そしてこの作品だが、見るまでもなく物語の背景には「貧困」があり、当然そこには人間のエゴが浮き彫りにされているはずである。そう。ムリヤリ入れる必要がないのだ。そのことで実に活き活きとした作品に仕上がった。ダニー・ボイルのスタイリッシュな映像が少年時代の波乱に富んだ人生をリズミカルに見せてゆくことに貢献する。重くなりそうなシーンの連続もスリリングな逃亡と同化することで重さを軽減する。疾走する列車の屋根に立つ少年をとらえた画がそのバックに映される広大な空とともにものすごく印象に残っている。現代のシーンだけで構成される後半からクライマックスにかけてがやや停滞ぎみだが、最後のダンスで盛り返す。インド映画に欠かせないダンスで締めるのは、世界一映画が多く作られ世界一映画が多く楽しまれるインド映画界に対する敬意の印なんだと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2009-07-14 11:28:37)
25.  レンブラントの夜警
富と名声を得た巨匠レンブラントが突然破産へと追いやられる。なぜ?その原因は世界三大名画の一つ「夜警」にある。というグリーナウェイの仮説。「最後の晩餐 」に秘められたダ・ヴィンチ・コードならぬ「夜警」に秘められたレンブラント・コード。こういうの好き。グリーナウェイの映画は苦手な人もけっこう多いと思うが私もその一人で、生と死を独特のエログロで表現したその見た目がどうも受け付けがたかったのだが、これは大丈夫。体が警戒態勢を布いていたってのもあるんだろうけど。あと、グリーナウェイの映画ってシンメトリーな構図も相まってどこか絵画的な印象を受けるが、本作は描かれるものがものだけにその絵画的なるものがことさらに印象深かった。レンブラントといえば映画の世界では「レンブラント照明」というのがあって、有名なところだと『ゴッドファーザー』のビトー(マーロン・ブランド)の真っ黒な背景に浮かぶ顔、そして目を影で隠してしまうあの照明。これがこの作品でもふんだんに使われていて単に舞台劇っぽいだけに終わらないレンブラントの絵画との融合的空間を作り出しているように感じた。ただの伝記でもなく創作されたミステリー伝記ってだけでもなく、ゴダールの『パッション』の作中の監督じゃないけど、映画と絵画の間にあると勝手に思い込んでるものを取っ払ってしまったようなものを目指してるんじゃないだろうか。
[映画館(字幕)] 7点(2009-04-08 15:27:03)(良:1票)
26.  その土曜日、7時58分
シドニー・ルメットの最高傑作と言ってしまおう。時間を遡ってある時点から別の視点でリスタートする。別の視点で見せることで謎めいた物語を徐々に露にしてゆくというのはよくあるが、これはこれからの展開以上にそれぞれの過去までも露にしてしまう。何故そんなことになってしまうのかだけじゃなく、何故そんなことをするのかが解かってくる。しかも説明なしに。最後には全ての人物の行動や成り行きを何もかも納得させてしまう。完璧なシナリオにまず脱帽。イーサン・ホークのダメ弟が少しイライラさせてくれるのだがこのイライラが頂点に達するまえに時間が逆回転するもんだから、あまり不快感を覚えることもない。むしろこのダメ弟のダメ弟ぶりが、また顔だけが男前ぶりまでもがこの坂道を転がるように落ちてゆく物語に説得力を与えていることが判明したときは脱帽したうえに頭を深々と下げざるを得ない状態となること必至。全くもって天晴れ。そしてこの洗練された語り口。老人の作る映画じゃない。
[映画館(字幕)] 7点(2009-02-03 14:47:32)
27.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 
クローネンバーグの他の作品のレビューでも書いたが彼の作品の主人公はいつも二つの世界を生きる。そこから本当の自分を見出してゆく。ガラッと作風を変えてきた前作の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でも自らを偽り、過去と決別した人生を作り出していた。今回は病院勤務の女がひょんなことから暗黒の世界とこちら側を行き来する物語なのかと最初思って観ていたのだが、どうやら違っていた。体に墨を入れ、素っ裸の男が自分を殺しに来た男たちを返り討ちにする。その壮絶な格闘の末に気付く。偽っていたはずの二つ目の世界にこそに自分の真の姿を見出さずにはおれない刹那!クローネンバーグのテーマはここでも全くぶれなかった。そのうえで『ヒストリー・オブ・バイオレンス』がアメリカの西部劇のプロットを借りていたのに対し、この『イースタン・プロミス』は日本の仁侠映画のプロットを借りている。面白くないわけがない。次は何を持ってくるのか。だいたいこういうのは3つ続くことが多い。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-25 11:02:45)(良:1票)
28.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
この作品を面白くないと言われる方のレビューを読んでなるほどなるほどと思えるところもあるんだけど、やっぱり擁護したい。子供が地球上にいないということがどんなに絶望的なことか。数十年で人類が滅びるということがどういうことか。学校も公園も子供の笑う声も無い世界がどんなものか。映画は映画なりにそのことを描こうとしている。でもあまりにも突飛で、その反面現実的すぎて想像しにくいだけなのだと思う。もっともっと想像力を駆使してこの作品の世界に浸ってほしい。どうして命懸けで赤子を守ろうとするのか。それは赤子が貴重だから?たしかにこの世界での赤子の命は貴重という次元を超えている。しかし人は簡単には何かのために自らの死を覚悟しない。主人公は自分の子供をインフルエンザで亡くしている。その事を主人公の父は、信念を持って生きていたが運命に負けたと評する。主人公は自分の子供のためにできなかったことを必死でしようとしているだけなのだ。信念が運命に打ち勝つように。別れた妻も同じだったに違いない。ヒューマンプロジェクトは全世界でイギリスだけがかろうじて政府組織が存在するという危ない世界で、しかもその政府が政府を維持するためにしか機能していない状態だからこそ、国家ではなく人類のことを考える組織が存在する可能性はある。以上、設定やストーリー自体への擁護をしてみました。圧巻と言われる長回しは冒頭の爆破シーンが一番良かった。車が襲われるシーンや銃撃戦のシーンは、おそらくカットを割ったほうが良かったかもしれないが、こういうお遊びと言ったら失礼だろうが、出演者、スタッフらが力を合わせて行っただろう撮影風景を想像すると楽しくなってくる。絶賛は出来なくても応援はしたいと思わせたのはこの長回しのせいだと思う。ラストは暗転後に子供たちの笑い声が響き、エンディング曲が全て終わったあと、もう一度子供たちの笑い声を入れて締める。全編が暗い世界観で占められた世界を少し明るくしてくれた。そしてなにより、なんの説明もないトゥモロー号が紛れもなく希望の光だったのだと教えてくれた。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-23 16:07:59)
29.  まぼろしの市街戦 《ネタバレ》 
精神病院の患者たちは楽しそうだし、ドイツ軍とイギリス軍は打ち合いであっという間に全滅しちゃうしで、かなり大袈裟に前者を支持する姿勢は喜劇だからもちろんいいわけで、実際面白かったのですが、喜劇のわりにメッセージがしつこいというか重々しいというか、、。もうちっとカラッとした感じにしてくれたほうが良かったんですが。例えばルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』はその反ナチス性が良かったわけではなく、間といいテンポといい絶妙で単純に楽しくって面白いから好きなんだけど、この『まぼろしの市街戦』は面白さはじゅうぶんあるのになーんかマジメっつうか、、。いや、良かったですよ。だから7点なんです。私にとっては高い評価のつもりなんですが、今のところ8点が最低点なもんでちょっと言い訳がましいレビューになってしまいました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-11-20 15:56:18)
30.  ブラックブック
娯楽映画にある軽薄さを隠すことなく、むしろその軽薄さこそが映画に必要なものとでも考えているかのようなヴァーホーヴェンの映画観が吉と出た。隠され装飾され歪められた史実から真実を暴くという大真面目な題材であるにもかかわらず、この手の題材に不可欠だと思っていた「深さ」が無い。隠れ家が爆撃された際の異常な早さの警察および消防車両の到着に代表される物語優先のご都合主義が全編で貫かれる。下手すりゃしらけてしまいかねない。それでもしらけないのはご都合主義の目的がはっきりしているから。重要なのは「戦争」ではなく戦争下で繰り広げられる恋愛サスペンスである。ナチスとレジスタンスの攻防ではなくその攻防に巻き込まれた女の性と情の攻防である。ハリウッド時代とさしてやってることは変わらない。ただ商業至上主義ゆえに見せてきた刺激物に対し、この作品はひたすら物語の面白さを見せようとする。この映画は単純である。6点くらいかなと思いつつ、その単純さの魅力に7点。
[映画館(字幕)] 7点(2007-07-27 13:46:23)(良:1票)
31.  エヴァの匂い
ただ発される匂いだけで男を虜にし惑わせ腑抜けにする。としか説明しようがない。というのもこの魔性の女の性格が最悪だから。横柄だし高飛車だしわがままだし可愛くないし年くってるし。だから翻弄される男がよけいに哀れでしょうがない。どこに惚れるのか不明なのだが、この作品はあえてそこに触れない。女の素性をくどくど説明しないし、実はこんな可愛いところがあるのだとも言わないし、男の情愛にほだされて心変わりするなんてこともない。その堂々とした悪女ぶりが、嘘や虚栄心や後悔で塗り固められた男には魅力的なのだろう。モノクロで映される寒空の屋外風景が、そして流れるジャズが大人の、しかもかなりおしゃれな雰囲気を出している。室内の画はひたすら美しい。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-09 10:39:52)
32.  肉片の恋 《ネタバレ》 
生まれて初めて肉片に感情移入してしまった。あっという間に終わる短い作品ですが、監督のほかの作品同様にかなりの手間と時間を費やしているのは間違いなく、だからこそこの肉片には心が宿っている。「CGの映像は死んでいる」というシュヴァンクマイエルの言葉を実証するように。肉片は肉片らしく動き、肉片らしく踊り、肉片らしく抱擁する。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-04-05 13:36:49)(良:1票)
33.  アリス(1988)
シュヴァンクマイエルの作るコマ撮りアニメーションにはいつも不気味さとコミカルさが共存する。でもこの「不気味」な部分、「グロテスク」な部分こそが実は子供の視点としてリアルなものであって、「コミカル」な部分というのはシュヴァンクマイエルの中の大人の視点によって作品に作品らしさを吹き込んでいるだけにすぎないような気がする。そういう意味ではやっぱりこれは大人のための作品である。さらに「不気味」「グロテスク」を消し去ったディズニーの『不思議の国のアリス』も「子供に見せたい大人」のための作品であって、大人が不気味と感じるものを子供も不気味に感じるという妄想かもしれない概念によって作られているのだと思う。今度、機会があったらこの『アリス』を子供に見せてみようか。意外と「不気味」「グロテスク」と感じずに普通に楽しむかもしれない。気持ち悪いと言って触れない虫やナメクジを子供のときは平気で触って遊んでいたように。ちょっと勇気がいりますが。
[DVD(字幕)] 7点(2007-04-04 11:59:27)
34.  バロン
非現実的描写の数々に「もういいよ~」となりそうだが、それでもいつのまにかこの荒唐無稽な世界に引きずり込まれてしまう。けして途中から物語が面白くなったとは思わない。おそらく、その一見馬鹿げた描写、いかにも作り物なセットがいかに妥協なく作り上げられたものかということがガンガン伝わってくるからだと思う。作り物ぽくてもいい加減なものは一切無い。細部まで観なきゃ!と思わせる力がある。『バンデットQ』も同じことが言えるが、個人的にはモンティ・パイソン風味が薄れた『バロン』のほうが好み。このバロンなる人物、国を助けるために気球で旅立ったはずが、「もう大丈夫だ」「お父さんは無事だ」とかいい加減なこと言って自分の好きなことしか結局してないというよく考えんでもサイテーな性格なのだが、そこがいい。だから歯抜けのサラ・ポーリーの健気さもより際立つ。ユマ・サーマンのヴィーナスは完璧!!息を飲むとはまさにあの瞬間のこと。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-02-23 16:58:17)
35.  オーメン(1976)
子供の頃はテレビで放映するたびに見ていた。学校では頭にマジックで666と書いて「うわぁ~、ダミアンや~!」とはしゃいでたことを覚えている。当時は二日遅く生んでくれた母にひっそりと感謝したもんだ。要するに私の中では一世を風靡した映画である。怖いのは苦手なのだが、おそらくこの映画は面白いのだ。今風に言うとこわおもろい?いや、ちょっと違うか。 首がひっくりかえるとか、死人が蘇って襲ってくるとか、怖くて見られないようなシーンがないから全部見ちゃうのだ。映し出されるのは自殺だとか事故であってその一つ一つは悲惨な日常のひとコマでしかないもの。それらを関連付けるストーリー展開と、目のアップだとか山犬がじっとこちらを伺う姿だとかという悪を彷彿させる画のモンタージュによって、シーンの怖さではなく見終えた後に初めて「あ~怖かった」となる怖さを持っているのです。だから怖い映画なのに何度でも見ることができるのだ。あ~怖かった。
[DVD(字幕)] 7点(2006-11-17 13:54:00)(笑:1票) (良:1票)
36.  恋するシャンソン
いいねぇ、役者が歌うんじゃなくて既存のシャンソン、ポップソングを流して役者は口パクってのはミュージカル映画の吹き替えを逆手に取った、なかなかに面白いアイディア。男性の歌声を女性が口パクしてたり、おっさんが可愛らしい歌声の口パクしてたり、なんでもありなんですが、そのアンバランスさがおかしいし、またなぜだか妙に合ってる。30分もすればこのおかしさがやみつきになって「早く歌かかってくれ~!」と待ちわびてしまう。個人的にはストーリー自体も気に入ってます。これってストーリーにあわせて歌を探したんだろうか、それとも使いたい歌にあわせてストーリーを作ったんだろうか?ま、どっちにしてもこれはいいです。
[DVD(字幕)] 7点(2006-09-29 16:36:51)(良:1票)
37.  ナイト・オン・ザ・プラネット
ジャームッシュの手にかかれば誰だって映画の主人公になれる。人が人に出会う、その前もその後もおそらく他人のままの二人の一回だけの出会い。その一回きりの出会いさえあれば映画ができる。世界中の中から5つの都市が選ばれ、それぞれの場所で、タクシー運転手と客のひとときを切り取る。5つの都市といっても登場する人たちのバックボーンはもっと複雑で、様々な人種が交錯する様はいかにもジャームッシュ映画。ジャームッシュは常に映画の中で様々な国の文化に触れ、文化と文化が自然に、あるいは不自然に溶け合う様を好んで取り入れている。そういう意味ではこの作品は最もジャームッシュらしいと言える。その一方でジャームッシュらしくない部分もある。それは一つ一つのエピソードがひとつのストーリーとして洗練されすぎている点。どのエピソードにもささやかな伏線がありささやかな起承転結がある。脚本が出来すぎなのだ。ここまで完成された5つのショートストーリーを見せられたら、いくらそれが「らしくない」といっても満足度のほうが大きいので個人的にはOKなんですが。彼の作品の中では、映像よりも脚本のうまさというか、話の構成のうまさというのが印象に残る作品。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-12 16:09:35)
38.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
ハート・オブ・ゴールド三部作の最終作ということで、主人公はやっぱり無償の愛を提供することになんのためらいも持たない女である。愛という言葉が正しいかどうかは別にして、純粋な心の持ち主ではある。息子に対する自らの犠牲もいとわない愛が死の恐怖に打ち勝つためにミュージカルという虚構の世界が存在する。ミュージカルシーンの鮮やかな色彩に驚いた。ラース・フォン・トリアーは、これまでの作品でも色彩の異なるシーンを挿入してきたのでミュージカルシーンの色彩の変化は予想の範ちゅうであったのだが、それでも驚いた。これは色彩の変化だけではなく、ミュージカルシーンそのものが非常に完成度が高かったからに他ならない。ドグマ95を立ち上げて以降その約束事にもある手持ちカメラを使用してきているので、手振れも予想の範ちゅうである。しかし手振れ具合が展開を追うごとに少なくなってゆくのは予想外。共産主義国から超資本主義国に移住してきた主人公はミュージカル映画でしか知らないアメリカを体現してゆく。同時に視力がどんどんと無くなってゆく。彼女の中でのアメリカの理想と現実の格差が手振れによって表現されていたのかもしれない。そしてその格差は彼女から現実を遠ざけ妄想へと導いてゆく。視力の低下がそれを加速させる。彼女の妄想は彼女の現実となり、存在しない理想のアメリカを堪能しながら逝く。ミュージカルの概念の崩壊といい、撮影手法といい、斬新さが目につきがちだが、トリアーにとっては奇をてらったわけではなく計算されたものの結果だと思う。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-14 21:48:23)
39.  人生は琴の弦のように 《ネタバレ》 
琴を弾き続け千本の弦を切ったとき、琴に潜めた処方箋によって目が見えるようになる。決定的なネタバレになりますが、結果は目が見えるようになることはなく落胆します。しかし彼の人生が全く無駄なものだったのかといえばそうではない。その証拠に彼は弟子に千二百本の弦を切れば・・・と伝える。盲目の人間にとっての過酷な人生を生きてゆくための目的を与えている。ところが弟子はその生き方を拒否する。人に目的を与えてもらうのではなく、信じる道を自ら選択しようとする。これもまた人生。中国激動の時代を生きたチェン・カイコ-は当時の政策を映画の中でよく暗喩的に、あるいは物語の悲劇性をもって批判している。この作品も、あの理想を掲げただけに終わった時代のうねりはいったいなんだったのか?という批判。そして、その中を生きたことはけして無駄にはしたくないという想い。さらに個人の意思を持つことの大切さをこの映画は説いているように思う。静かなる大地と激しすぎる黄河の濁流もまた「人生」を象徴する。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-10 19:12:47)
40.  ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
演奏の合間に挟まれるメンバーの素顔を映し出すカメラが動く動く。その動きは極めて滑らかなんだけど動きすぎ。でも、カメラがある建物の中に入って階段を上りピアノの位置まで寄っていくシーンの流麗な動きにはちょっと感動した。音楽ドキュメンタリーということで「ライブ映像とその舞台裏」が慌しく映し出されたものを想像していましたが、この作品は慌しいどころか非常にのどかな雰囲気で被われている。メンバーたちは皆楽しそう。過酷な時代を語る顔にも悲壮感は無い。どうやったらあんなにも心に響く音楽を奏でられるのだろう。どう生きればあんなにも元気な90歳になれるのだろう。あの年で「英語を勉強したい」には正直たまげた。私はあの老人たち以上に老人のような気がする。その元気の源がキューバにある、と映像が教えてくれる。私は音楽よりもキューバの風景に感動した。キューバに行きたい!! でもメンバーたちはニューヨークに感動してるんだな、これが。
[映画館(字幕)] 7点(2006-01-27 15:40:18)
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