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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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21.  高慢と偏見とゾンビ 《ネタバレ》 
 私はよく「もしも小津作品にゾンビが出たら」とか夢想したりするんですが、コレはそういうノリを本当に形にしちゃった小説を更に映画にしちゃったような作品で。   ジェーン・オースティン作品と言えば19世紀の貴族階級の人々が惚れたハレたする、キラキラした恋愛模様を描いたオトメな世界、そこにゾンビを置いたらどんな面白さになっちゃうんだろう、って感じですが、どうもハンパに妥協しちゃった映画という感じで、もうひと捻り足らない状態のように思いました。  ジェーン・オースティンの映画化作品としては『いつか晴れた日に』『Emma』『プライドと偏見』がありますが、それらにあったオトメな色合い、イギリスの陽光、緑、田園風景、空、人々の優美さ、そういう成分が足らないんですよね。代わりにB級映画の安いノリがジワジワと侵蝕しちゃっているような風味で、それはガッカリだなぁ、と。一方でゾンビものとしてはごくごく控えめな描写で。あの美しい風景の中に恐ろしくおぞましいゾンビが置かれたとしたら、そのコントラストはどれだけ異様でステキな事でしょう、と期待したんですけどねぇ。  ヒロイン姉妹が中国で修業した武術の達人であるという設定も、あまり面白い画にできていない感じ。そこはジェーン・オースティン風味とハッキリ区切った武侠映画ノリで見せて欲しかったのですが、作っている人々にあーんまりそういう部分での拘りが無いらしく、ジェーン・オースティン、ゾンビ、中国武術、ついでに日本の剣術がコントラストを描く事なく雑多に置かれている状態でした。ジェーン・オースティン好きでホラー好きでアクション好きな人材なんていうのを求めるっていうのは贅沢なハナシなんでしょうかねぇ。   役者は良かったと思います。リリー・ジェームズとサム・ライリーの整った顔立ちはジェーン・オースティンワールドに相応しく、でも、だからこそそれを活かしきれていない脚本や演出が残念でした。  それでもジェーン・オースティン世界がどういうモノなのかを知っていればこそ楽しめるノリは随所にありはしましたが。パロディ映画としての域から出ておらず、そのもう一段上を目指す視点が欠けていたんじゃないか、そんな気がしてなりませんでした。
[映画館(字幕)] 6点(2016-09-30 20:24:26)
22.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
 主役二人の演技は良くて、でもレッドメインは『博士と彼女のセオリー』同様、自慢の芸をどうよとばかりに見せられてる感じかな。アリシア・ヴィキャンデルは最初は美人な奥さんなのに最後には男前なヒロインになっておりました。  かなり使っているであろう筈だけど殆どCG臭のしない20世紀初頭のヨーロッパの風景も味わい深い世界でした。   さて、私は幸か不幸かアイナー&リリーの心理は理解できる側の人間なので(あ、別にカミングアウトしてる訳じゃなくてアッチの方はあくまでノーマルなのですが)、中盤までは楽しめました。自分の中にあるその存在を意識する、その存在が大きくなってゆく、その葛藤の描写が重ねられて。   でも、後半で性転換手術の話になると内的な発展性が無くなって単純に二極の話になっていってしまうので(男と女と、っていう)ちょっと白けてしまった感じで。ラストにわざわざ字幕で念押しまでちゃってくれちゃって、これは性同一性障害の話ですよ、ジェンダーの話ですよ、っていう明確化されたモノへと結論付けられてしまって、いやそこはもう少し優しく繊細に丁寧にそして曖昧に描いておいてくださいよ、って。ソレをワリと通俗的に単純化されちゃったなぁ、という感じ。   結局はソレを外側の(ある種の好奇や憐みの)視点から描いた映画なんだなぁ、って。ここら辺が限界なのかなぁ。
[映画館(字幕)] 6点(2016-04-11 23:14:27)
23.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
 車の窓越しのルーニー・マーラの表情から始まるこの映画、全編象徴的に世界を隔てるものが登場します。窓、車、家、部屋、扉、そしてカメラのファインダー。その内側の繊細で壊れ易い女達の世界と、外側から無神経に境界を踏み荒らし侵害する男という性と。   我がケイト・ブランシェット姐さま、瞳の演技だけで堂々の存在感。だけど視線の演技はルーニー・マーラも負けておりません。二人の揺らぐ視線がその儚げな愛を切なく綴ってゆきます。   ラスト、窓の奥の世界から飛び出したルーニーは男達に囲まれた世界で何も通さず真っ直ぐケイトを見つめます。真っ直ぐ見つめ返すケイト。そこにあるのは全てのフィルターを取り払った真実の愛なのかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2016-04-08 20:05:56)
24.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
 よく言われる『ザ!鉄腕!DASH!!』よりも『いきなり!黄金伝説。』に近くない?とか思いましたが(ほら、あの番組は独りで生活するものが多いから)、それはともかく。   リドリー・スコット監督の抑えの利かない即物的表現はこういうポジティブな映画にこそ似合ってるんじゃない?と思いました。やっぱり死に向かう状況よりは生への執着を見せている状況の方を画として見たいですからねぇ。あくまで前向きに、ユーモアを交えて絶望的状況を乗り切ってゆくマット・デイモンの姿は大変にカッコイイのでした。   一方の地球側と彼を置いてきちゃった宇宙船側はあまり面白いところはなくて。宇宙船内の描写なんかは今から20年前くらいの映像技術程度じゃない?みたいなぎこちなさで。無重力空間での表現は『ゼログラビティ』まで行ってるのだから、ねぇ。   クライマックスの『ウォーリー』『ゼログラビティ』なんかでお馴染みのアレは(むしろ『アイアンマン』かな?)実際にはあさっての方向にすっ飛んで行っちゃうだろうなぁ、って思いましたが、そういうところも含めてあんまり細かいところは気にすんなって感じの映画で、程よい娯楽大作っぷりでございました。
[映画館(字幕)] 7点(2016-04-07 22:47:58)
25.  エベレスト 3D 《ネタバレ》 
 IMAX3Dでドーン!と立体感溢れる峰々が、って、どうして大ロングの景色に立体感付けちゃうとミニチュアにしか見えないってのが判らないかなぁ。遠くの景色ってのは左右の視差なんて殆ど生じないわさ。   映画自体は「撮るの大変でしたね」って状態は伝わってくるのですが、地理が明確じゃないの。一体それはどの部分なの?っていうのがまるで判らない、っていうかそもそも判るように描かれてないんです。  その上、みんな似たような風貌になっちゃうので「誰が誰やら」って事になって、エベレストのあちこちに大変な事になってる人が散りばめてあります、って状況ばかりがあって、物語としての流れは諦めちゃってる感じ。実際に何があったのかはネットで調べないとちゃんと見えてこないっていう。  災難に遭った人達に寄りそう事で「臨場感こそが大切、状況の把握なんて出来ないからこその恐怖なんです」とでも言いたいのかな? でも特定の人とポイントの間でシーンがポンポンと飛ぶのでエベレスト全体が大して広くも高くもない、ごくごく限定された空間に映ってしまって、それは大きな間違いなんじゃないかなぁ。  そこにある筈の大自然に対する畏怖とか人間の非力さとか、そういうのは案外伝わってこない、だけどそここそがこの映画では大切なんじゃない?   いや、最大の問題点は見終わって結局人は何故山に登るのか?って事に対してなんの答えも見いだせなかったところですか。利己的な人達が他人を巻き込んで自滅しました、っていう状況ばかりが見えてきて。それじゃ実際に亡くなった人達が浮かばれないわ。   それでも難波康子さんのエピソードはやはり日本人として胸に迫ってきました。でも、最終キャンプ地からわずか300メートルのところで亡くなったっていうのは映画じゃ判らないんですよね・・・。
[映画館(字幕)] 5点(2016-04-07 20:55:26)(良:1票)
26.  キングスマン 《ネタバレ》 
 コリン・ファースの退場の仕方、あんなんで良かったと思います? あれ、納得できます?   どうにも面白いと言ってしまえないひっかかりどころが結構あって。  マイケル・ケインは頭部爆発の原因が判明して以降も普通に傷晒していて結果的にどんだけ大穴よ?ってくらいの墓穴掘るし。  サミュエル・L・ジャクソンの思想と計画のオリジナリティの無さ(それは作品全体を貫くモノのオリジナリティの無さに直結します)、その軽薄な描かれ方には悪意を感じるし。  アクションシーンは例によってコマ切れで見づらく。   でも、それらよりも個人的にはせっかくのスタイリッシュなスパイアクション映画がグロテスクな映像とグロテスクな精神で汚されている感じがとても嫌で。  教会のシーンと『威風堂々』のシーンには嫌悪感しか湧きません。アレを笑って見られる神経が私の中にはありません。  007や『それゆけスマート』『おしゃれマル秘探偵』(あるいはそのリメイクの『アベンジャーズ』・・・マーベルのでなくレイフ・ファインズとユマ・サーマンのアレ)などのオマージュのようでありながら、それらが築いた伝統をも汚してしまっているような感覚を受けてしまって。   キングスマンの基本設定は良いのにそれをわざわざバカ映画にしてしまった感じでガッカリでした。
[映画館(字幕)] 4点(2015-09-16 22:23:38)(良:1票)
27.  マジック・イン・ムーンライト 《ネタバレ》 
 毎度の懐古主義的ウディ・アレン作品ですが、あの時代の南仏なんて、それは確かに魅力的なわけで。あの風景、あの陽光の中に置かれて輝くエマ・ストーンの美しさ、もうそれだけで勝ったも同然、みたいな作品で。   だけど今回はさすがにちょっとひっかかってしまいました。  当然のように今回もまた主人公はウディ・アレンを色濃く反映した存在です。厭世的で毒舌で皮肉屋でエセインテリ(ここでは上流階級)嫌い。手品師と映画監督というのも同じような存在。いかにして人を上手く騙すか。だけど、ウディとは似ても似つかないコリン・ファースを以ってしても「そんな男に最終的に惚れるか?」と。  身勝手で嫌なヤツなワケですよ。友達なんていなくて、一切人を立てる事をせず、攻撃的な言葉で周囲の人間を不愉快にさせて得意気になる性格の悪さ。でも金持ちのボンボンなんかよりこっちの方がよっぽど魅力的だろ?とばかりにぐいぐいと押し付けてくる状態で、最後はハッピーエンド。  コレ、結局はウディが若返って見た目だけカッコ良くなって演じるラブストーリーなワケですよね。   「エマ・ストーン、スゲーいいよね! 彼女をモノにしちゃうボクを実現しちゃうもんね!」  そんなホンネがダダ漏れな映画。いつまで経ってもウディは若くてキレイなお嬢さんが大好きなのね、って半ば呆れ気味で映画を見終えたのでした。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-27 21:44:05)
28.  イントゥ・ザ・ウッズ 《ネタバレ》 
 どこかに「楽しい」「面白い」「素敵な」「明るい」要素を入れておいてくれないと。全編鬱々とした状態で(シンデレラの逃走の繰り返しがシニカルな笑いになってはいますが)、教訓めいた暗い話、画面も彩度低めで暗く、これがディズニーのファンタジー?と残念な気持ち。   まず、主旋律を奏でるのがパン屋の夫婦で、シンデレラ、ジャック、赤ずきんはサブ、ラプンツェルに至っては脇キャラみたいなもので、基本は森の中をひたすらウロウロするだけの物語。  多くのエピソードが「皆様もうご存知でしょうから」とばかりに省略されてゆきますが(舞踏会や天空の巨人の国や)、それは元となった舞台という表現の性質からくるのであって、映画にそのまま持ってくる必要はないんじゃないかと。ほぼ森から離れない世界は単調で、しかも位置関係も明確にはならないために登場人物全員がただ右往左往しているだけに見えます。  しかも各キャラクターが最初からそれぞれにエゴを持った人間として描かれ、魅力的な面を全く見せる事がないために誰にも心が動かず、そんな人々が混乱し続ける話はひたすら苦痛。  弱い人間、悪い人間であっても魅力的な面が描かれるのがディズニー作品であると思うのですが、ここにはそれがないのですよね。   ミュージカルナンバーは聴かせる曲もありますが、一方で物語の流れからはみ出している曲も多く、映画を間延びさせる要因になっている感じで。   子供が見て楽しい映画ではなくて、でも大人が見ても楽しいのかどうかは疑問で。それぞれのエゴが生むそれぞれの悲劇とその反省は空々しく、最後に再構築される「家族」の姿には驚くほどに感動が無いのでした。
[映画館(字幕)] 4点(2015-03-15 22:32:28)(良:1票)
29.  エクソダス:神と王 《ネタバレ》 
 ドラマ的には微妙な感じで。兄弟のように育ってきた二人の対比、その愛憎があーんまり見えてきません。二人ともただ状況に流されてゆくだけのように見えて、ある意味、哀れな存在のようにも思えます。  まあ、それもあんまり感情移入できないレベルなんで、むしろ「馬が~仔山羊が~」ってとこに感情移入しちゃってましたが。   それにエピソードもブツ切れの飛び飛びで、ヘブライ人の子だ!~追放~放浪~結婚~9年後、って怒涛の展開に「早っ!」みたいな。後半になるともう神の力を免罪符に更に展開が強引になっちゃいますしね。   でも、ヘンな意味で面白かったです。中盤に訪れる天罰シーンで70年代のB級パニック映画群を思い出しちゃって。『スウォーム』とか『世界崩壊の序曲』とか『世界が燃えつきる日』だの『吸血の群れ』だの『巨大生物の島』(SFが付かない方)だののノリを思い出して、リドリー・スコットは現代に甦ったアーウィン・アレンか?みたいな。  でもやっぱりどうせなら「海が割れるのよ~道ができるのよ~」って映像が見たかったかな。ヘタに「津波です」って事にしちゃってるので物理的にそれってどうよ?って画になっちゃって。   映画が進むにつれ、チャンベルがどんどんヘストン似になっていったのは御愛嬌?   でも、どんなに真面目に生きてようが信仰心が厚かろうが、所属する国のトップがダメだと思いっきりとばっちり喰らいますってのはしっかり現代に繋がりますね。恐い恐い。
[映画館(字幕)] 6点(2015-02-11 22:16:02)(良:1票)
30.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
 「戦場では狂気こそが正常であり、常識的な人間はただの役立たず」という事を描いて、そこから逆説的に戦争を通して人間性のあり方を問うてくる映画でした。   無数の死が目の前に転がっている世界で、なお人は理性を保ち、人を信頼したり愛したりし得るのか、絶望の中に希望を見い出せるのか、と。狂気に駆られつつ、根底には信仰に根差した人間性を秘め、その矛盾を内包したまま戦場で生きる人々。  狂気の中の良識を垣間見せるベテランと徐々に狂気に染まってゆく新人との対比が効いています。   でも、そのキャラクターの在り様、ブラッド・ピットの中にトム・ハンクスの姿を、ローガン・ラーマンの中にチャーリー・シーンの姿を見てしまった感じで、この映画が今日の戦場映画の基準となった『プラトーン』『プライベート・ライアン』のその先に行った感じはしなかったのですね。そこはもう1つ、何か踏み込むものが欲しかったのですが。   激しい戦闘シーン、シネスコフレームを活かした構図など、画的な見どころも多い映画ですが、一方で肝心な戦車内の閉塞感はそんなに出ている感じがしなかったのは、車内の位置関係の描写不足やカメラポジションのあまりの自在っぷりに難があったからでしょうか。   そんな中で血と瓦礫の中で美しい憧憬の対象となっていた、戦車と対比された存在である馬が印象的でした。戦車は男の象徴で馬は女の象徴かな。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-02 22:12:43)(良:1票)
31.  インターステラー 《ネタバレ》 
 相変わらずなげーよ、ノーラン。   相対性理論とか遠心力による疑似重力とかブラックホールとかワームホールとかシリンダー型コロニーとかの最低限の知識はあるという事を前提とした作り。細かい説明無し。なのに、そういうのを知っている人間に新たな何かを与えてくれる感じがしないんですよねぇ。  色々な過去作リンクが次々と浮かんでゆくけれど、それらの寄せ集め以上のものは果たして何があったかなぁ?って。そういう意味では『アバター』と似たような感覚。既視感たっぷり。   映画見てる最中に「これは『エイリアン2』のカットされたエピソードと『コンタクト』と『トップをねらえ!』な話か?」って思いましたが、結局その通りで。  で、他にも『宇宙戦艦ヤマト』『2001年宇宙の旅』『アビス』『ゼロ・グラビティ』等々の色々な既存のものを思い出し、そしてそこから更に新たなるモノは、となると、んー・・・。   それら全部削ぎ落として考えてゆくと「愛の物語」っていう事になるのですが、中盤のアン・ハサウェイのご高説に「お前、何言ってんのよ?」って思ってしまいましてねぇ。で、そのセリフを発展させる形で物語をねじ伏せていくんじゃない?と思っているとやっぱりそうで、あー・・・って。  マット・デイモンもそこに行きつくための極端なネガとして配されているのだなあ、と考えればその雑で無茶な存在っぷりも納得できるってモンで。   タイムスリップものにつきまとう起源の喪失というパラドックスが物語の大前提に存在している時点でこれはある種のおとぎ話なのでしょうね。「重力」をモチーフに不可逆である時間を次元的に超越する愛の物語。   ダラダラと長いエピローグ部分で色々と説明し過ぎちゃっていて、なんとも不粋な印象になっていたのが残念、と言いたいところですが、残念と思えるほどには元からノーランに何かを期待している人間ではないのでした、すいません。
[映画館(字幕)] 6点(2014-11-23 00:29:10)
32.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
 タイムトラベルものとしては、とっても初歩的なところで破綻しちゃってます。飛ぶ「場所」が決まっているのならば、飛んだ時点で瞬間移動してしまう訳で、周囲の常識的な生活はあっという間に崩壊しますね。   でもこれ、SFではないですし。   これはタイムトラベルの能力を持っていない人々に向けて人生について語る映画。   やり直しが利かない一発勝負の人生、というのは人生丸々を取り上げた時の大局的な見方。若い時は失敗しても何度でもやり直すチャンスがあります。それだけの時間があって、自由があって。歳を重ねて自分の生活が、そして周囲の物事が固まってくると、安易にやり直す事はできなくなってきます。地位や立場や責任が生じ、良き事も悪しき事も受け入れなければならない、選択の余地は少なくなってきます。  最後に振り返って後悔の少ない、これで良かったと思える人生を送るにはどうしたらいいのでしょう?  これは、そんな事を語りかけてくる映画です。   主人公とヒロインの微笑ましいエピソードの数々もいいのですが、イギリス映画らしく家族や友人との繋がりを大切に描いていて、そこから人生の物語が紡がれてゆきます。その繋がりが優しく温かく。   タイムトラベルができない人にとって、この映画のタイムトラベルは「回想」「反省」「選択」「決断」に置き換える事ができます。タイムトラベルができてもできなくても、実は大きな差はないのです。
[映画館(字幕)] 8点(2014-11-05 22:32:35)(良:1票)
33.  FRANK -フランク-(2014) 《ネタバレ》 
 鳥カゴの中の楽園を蹂躙する凡庸という名の悪魔。   才能ある人々の、だけれどもあまりに繊細で脆く壊れやすい世界を、才能の無い凡人が通俗的常識の下に無神経に破壊してしまうというお話し。  凡庸はそれのみで罪である訳ではありませんが、凡庸ゆえに他者との境界線を見る事が出来ずに楽園に足を踏み入れ、侵蝕し、破壊してしまう。それはずっと繰り返されてきた悲劇。   自らを被り物の中に閉じ込めたフランク。ファスベンダーの限定された状況下での絶妙な演技の賜物か、被り物自体の放つ強烈な個性か何か判りませんが、その存在感は圧倒的。フランクと周囲の人々が作り出す空気が愛おしく、それゆえに後半は胸に痛く。   通俗装置の象徴としてtwitterが登場し、そのtwitterにこの映画の感想をつぶやくという皮肉な構造が、私に対して凡人としての自覚と自戒と、そしてシニカルな笑いを促すのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-10-27 22:34:44)(良:1票)
34.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》 
 予告編や冒頭のシークエンスから何やらニオイがジョディ・フォスターの飛行機映画やデンゼル・ワシントンの飛行機映画を思い出しちゃってイヤな予感がしたのですが、中身はちゃんとリーアム兄さんのゴツゴツした映画で良かった(笑)   犯人は誰だ?ってミステリー部分は最後まで見ると「ん?」って首を傾げちゃう感じもありますが、クライマックスに至るまでのヒリヒリとしたサスペンスは上々。  主人公が真犯人扱いされてゆく展開も物語の足を引っ張ってテンポや気持ち良さを殺してしまうレベルまではいかずに良かった良かった。このゴニョゴニョした部分が大きくなればなるほど、イライラと気持ちよろしくないストレスが溜まる事になっちゃいますからねぇ。  乗客や乗員のリアクションも不快になる前にむしろ気持ちいい方向に持っていってくれますし。   画面内にメール文字を出すのは『子猫をお願い』や『電車男』を思い出して「ハリウッドは今更それやってるか(笑)」と思いましたけど、映画をテンポ良く運ぶには良いテですしね。   往年のエアポートシリーズを思わせる航空パニック映画の匂いも漂わせて堂々としていて、デカくて強いけど不器用なリーアム兄さんの正統な系譜に刻まれる娯楽作品でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-15 22:12:46)
35.  トランセンデンス(2014) 《ネタバレ》 
 古いわぁ。前世紀の遺物みたいな映画。   単純にコンピュータやネットは悪です!って言ってる訳ではないけれど、センス的にはそういうテクノロジーの脅威を扱った昔の映画から進化無し。「ネットなんか要は使う人の心次第なんですよー、愛なんですよー」って、いやもうこういう題材で十分語られてきたでしょ? これ、そこから少しはなんか進歩した? 既成の色んな映画の事を思い出しまくりなんですけど。   『さよならジュピター』を思わせる陳腐なテロリスト集団、アレの物語上の扱いが曖昧で、二人を追う仲間の意識も曖昧で、っていうかそもそも二人も曖昧で、まー脚本的には少しはぐらかしておきたかったんだろうなぁ、ってモノが見え隠れしていて、そのつまらん匙加減が映画そのものをつまらないものにしている感じで。   要は『フランケンシュタインの花嫁』やりたいだけなのね。今、この時代とか科学の進歩とかってもの自体に対して脚本は責任回避してて。SFである事から逃げてます。ファンタジーだから許してね、みたいな。だけどファンタジーってジャンルを免罪符にしちゃいけません。   AI、量子コンピュータ、ネット、ナノマシーンや細胞医療といった題材を扱いながら88年前のフリッツ・ラングの『メトロポリス』よりも退化してるんじゃないか、ってくらいの時代の負い方で、ワリと低めなところではぐらかされてしまうのがガッカリな感じでした。
[映画館(字幕)] 3点(2014-07-14 21:54:58)
36.  マレフィセント 《ネタバレ》 
 予告では『眠れる森の美女』の映像を使って売り込んでましたが、むしろあの映画の事は一切忘れた方がいいような内容で。まるで別物になっております。  っていうか、今年大ヒットした、一大ブームを巻き起こしたディズニーのアレと物語ほぼ一緒。あー、実写組とアニメ組とで内容カブっちゃったねー、みたいな。   マレフィセントの人間臭さ(妖精ですが)に焦点を当てた映画、ゆえに彼女の魅力はよく出ていると思います。そして、その分、物語は起伏に乏しく、カサがあまり無い感じで。中盤はひたすらオーロラ姫を陰から見守るマレフィセントのいじらしさ(ツンデレっぷり)が描かれるので「あら、マレ様ったら素直じゃないんだからぁ」ってトコロを楽しめる人ならば吉、でもそればっかりで物語はさして転がらないので物足りない人もいるんじゃないでしょうかねぇ。   最終的に最近のディズニー作品『魔法にかけられて』『プリンセスと魔法のキス』そして前記の例のアレと同じく定番の展開をワザと外す事で女性の自立を謳い上げているあたり、逆にちょっとパターン化されている感じもあります。   でも、ディズニーのこういう幻想的な感じ、伝統に裏打ちされた美しさ、そこに抗い難い魅力があるのは確かで、そこにアンジーが見事にハマっていて私にとってはもうそれだけでご馳走のような映画。『アリス・イン・ワンダーランド』や『オズ はじまりの戦い』よりも毒気が薄い分、嫌な臭味も感じませんし。   問題は、これまでなんとなく自社の過去作を揶揄してきた最近のディズニー、今回は具体的な作品をモロに否定に近い形で描いた事。天国のウォルトに怒られちゃわないかな?
[映画館(字幕)] 7点(2014-07-12 14:52:55)(良:1票)
37.  ホビット/竜に奪われた王国 《ネタバレ》 
 すいません、完全に飽きました。『指輪』時代からもうずーっと同じ事を繰り返してるみたいな感じで。やたら勿体つけた描写~ドーンとアクション!ってパターンが延々と続いてるようで、シリーズを重ねれば重ねるほど単調なイメージになってゆくっていう。   御一行様が「全米川下り選手権に出場する」ウハウハザブーンな展開は、そのフレーズを思い出してウケましたが、それは映画の面白さとは全然別で。  ドラゴンが「親指を立てながら溶鉱炉に沈んで・・・」な展開もウケましたが、それも勿論・・・つーかキングギドラみたいだな。  いや、川下りのところのピタゴラ風展開は画的にも面白かったと思いますけど。   前作の事を思い出すのにひと苦労(実はあんまり思い出せなかったんですが)、でもどうせそこから展開する新たな物語もこれまでと似たようなもので、いやもうタメるなタメるな、ちゃちゃっと先に進もうよ、って感じで。  『指輪』より過去の話ですからどうせメインは死なないって判ってるわけですし。   で、これからやっと面白くなるんでしょ?これから活躍するんでしょ?って思ったら終わっちゃうし。ええ~、そこで終わらせるかぁ?って。結局延々と捕まったり逃げたりを繰り返すだけの話。  アクションの見せ場はレゴラスとエルフ姐さん頼り。そことてワンパターンですが。   見ていて、何か新しい展開とか映像とかにワクワクする、っていうのが無くなっちゃった。心は動かずひたすら頭で映画という名の時間を消化するばかり。  指輪はめた時の病的なエフェクトとか、もう見てて苦痛なんですよね。あーまたコレかぁ、って。   完全に固まったままの世界観の中でお馴染みの面々が更なる冒険を繰り広げます、ってところに喜びを見いだせるのならばいいのですが、私はここから刺激を受ける事がすっかり無くなってしまいました。
[映画館(字幕)] 5点(2014-03-13 21:11:32)(良:2票)
38.  それでも夜は明ける 《ネタバレ》 
 意外にも感動とか無しで。   「なんかいじめられる人にも原因があるのです、みたいな事を描いてないか?いや、そう思わせてしまうくらいに迫害が酷かったって事か」とか「どうしてそこまであからさまな悪人になれたのかな、あそこまで悪人だとなんか実感薄いわ」とか「アメリカ人ひでー、でも日本人は別だって訳じゃないよね」とか「アメリカ人はこの惨たらしい歴史を抱えながら今という現実を一体どう生きてるんだろう?やっぱり無かった事にしたいかな?」とか「ネットで酷い差別発言をしているような人間がこの映画をもっともらしく語っちゃったりするんだろうか?そういう人は自己のダブルスタンダードっぷりをいかに消化できるんだろうか?」とか、見ている間に考えた事はいっぱい。だけど感じた事は特になくて。  「考えるんじゃない、感じろ」とリー師匠はおっしゃっておられましたが、真逆ですね。   作品の空気としては『シンドラーのリスト』とか『プラトーン』とかを連想させるんですが、ああいう「見ろ!感じろ!」ってゴリゴリとオシてくる感じはあまり無くて。ゆえにドラマチックな感動の涙!とかいうのもなくて、見終わってワリと肩透かしな感じがしたのが正直なところで。   アカデミー作品賞は「アメリカ映画はこうやって陰惨であまりに愚かな歴史からちゃんと目を逸らさずに向き合う事ができる健全さを持っているんですよ」ってアピールするため?とかちょっと意地悪く勘繰っちゃったりして。  でも、日本でこういうの作ったら大騒ぎする人達がいっぱいいるよね、むしろ今の時代、絶対この国じゃ作るの無理だよね、って考えたらアメリカ映画はまだマシなのかなぁ。
[映画館(字幕)] 6点(2014-03-07 20:29:31)
39.  ハード・ラッシュ 《ネタバレ》 
 これ、ポスターやチラシの絵柄が70年代のB級アクション映画みたいな安っぽい感じで興味を持ったのですが、中身も微妙な感じでその点ではブレがなかったかな。  いや、キャッチフレーズの「全員、コイツにだまされる」っていうのは嘘なんですけど。実際はわりとその時その時の成り行き任せ。   冒頭、夜の港を捉えた空撮が渋いクライムサスペンスを予感させますが、中身は義弟がバカやらかしたので裏稼業に戻らなくちゃならなくなった男のドタバタ話。しかもその義弟が途中で更なるバカをやらかしたりするのでメチャクチャです。  元々タイムリミットが設定されている映画なのですが、その中で更に生じるタイムリミット話なんか、脇道に逸れまくっていってツッコミどころ満載。どう考えてもオチに繋げるための脇道。   愛する人を助けなくちゃ!ってサスペンスとしては致命的なのが、遠く離れてる、しかも身動き取れない船の上って状況。どうにもなりませんから、なるようにしかならないと見てる方も諦めなくちゃなりません。   ラストでやっとイヤなヤツ込みで騙してスッキリと片付けてくれますが、それまで見ていてストレスのたまる映画ではありました。   でも、マーク・ウォールバーグはこういう役柄にピッタリとハマる人ではあります。かつて渋谷東急や東急レックスにかかっていたA級とB級の間をブラブラしているような映画によく似合って。よく動けて、男前過ぎず、嫌味が無くて。  いっその事「いつも6点、マーク・ウォールバーグ・ブランド」みたいなジャンルが確立されていって欲しいわ。完全なA級ともB級とも違う、この微妙さ加減に味わいがあるのね。
[映画館(字幕)] 6点(2014-02-28 23:24:08)(良:1票)
40.  ジャッジ・ドレッド(2012) 《ネタバレ》 
 「画面から低予算っぷりが滲んでいるけれど、閉鎖空間を舞台に全編をワンアイディアで通した意外と拾い物なSFアクション」という感じだと思うんですよね、普通に見ると。   でもコレ、3Dで見ると映画の価値がかなり大きく変わってくると思います。  これまで映画館で106本の3D映画を見てきましたが、3Dの視覚効果を直接アート表現に反映させた映画は『マダガスカル3』とこの映画だけ。アート作品な『夜のとばりの物語』ですら、3D技術自体はアートではなかったですからねぇ。   麻薬によってスローモーション化する世界、そこに割り込んでくるバイオレンス。その暴力のスローモーション空間が3Dによって立体的に構築され、飛び散る血と肉が、破壊が、ゆっくりと空間を満たしてゆきます。   更に鉛色の、血の匂いが立ち込める世界の中で異彩を放つように存在するルーキー。少年のようにも見えるヒロインの、その美しさが退廃した世界の中での希望のように金色に輝いていて。   退廃的な世界の中の暴力と美のアート、これを立体として空間的に見せた3D版は2Dで見るのとは別物と言っていいと思います。2D版はB級SFアクション映画としての印象が強くなるような感じ。   残念ながら日本では3D版ブルーレイが発売されず、3Dは輸入盤で見るしかないという事態に陥っており(その輸入盤もなんかあまり画質がよくない気がして)、映画館で3Dで見られた事は貴重な体験でした。   映画は、できれば旬を逃さないのがいちばん。
[映画館(字幕)] 9点(2014-02-28 22:28:06)(良:2票)
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