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とらやさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2102
性別 男性
自己紹介 善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、
悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、
笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。

2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。
この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。
管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。
これからもよろしくお願いいたします。
2018.11.19

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21.  シラノ・ド・ベルジュラック(1990) 《ネタバレ》 
剣の達人にして詩人。まさに文武両道の誇り高き男シラノ。冒頭の決闘の中で装飾品も身に付けない田舎者と馬鹿にされたシラノの「私の飾りは心の中にある。私は心の手入れを怠らないのさ」という台詞がシラノをよく表しています。  そんな男にも容姿というコンプレックスがあり、愛する女への思いの丈を詩にしてもそれを告白する事ができない。もう一人容姿端麗な男クリスチャン。そんな男にも無学というコンプレックスがあり、愛する女に告白する事ができない。同じ女を愛した2人の男の心の機微を見事に描いた人間ドラマです。  クリスチャンの外見を借り、思いの丈を綴り続けるシラノのこの女への純情を演じるドパルデューが極上の素晴らしい演技をみせる。思いの丈を言葉にする滑らかなフランス語の響きが実に美しい。字幕でどれ程本作の台詞の美しさが理解できているのかという疑問も残りますが、本作の日本語字幕もまた素晴らしいと思いました。多様な表現方法を持つ日本語の美しさも再認識。  最後に手紙の主の正体を悟る女。以降ラストまでのドパルデューの演技は圧巻。なかなか味わえない哀しき余韻が残るシラノの人生のハッピーエンドでした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-08-06 22:06:50)(良:2票)
22.  トト・ザ・ヒーロー 《ネタバレ》 
冒頭のトマ老人の「私の人生は何も無かった」という語り。そう思い込んで生きてきた男の生涯の重苦しい回想でありながらもユーモアのある語り口、陽気な人生讃歌”ブン”の使い方も素晴らしい。  終盤まで自分の人生は何も無かったと思い込んでいたトマ老人がトラックをヒッチハイクする。ドライバーが口笛を吹いていた曲は”ブン”。一台のトラックが追い越していく。そこに大好きだった父と姉がピアノとトランペットで”ブン”を演奏する様子が鮮やかに蘇る。その時のトマ老人の表情と「ずっと君の事が羨ましかった」という思いもよらない告白のシーンが印象に残る。また、青年時代に出会ったある女性との再会を用意したあたりに本作の優しさが感じられます。  不幸な思い込みに心を支配されて生きてきた彼が人生の最終盤でようやく己の人生と正対した。ラストで彼は憧れていたシボレーに乗り飛行機で空を飛ぶ。ずっと彼の笑い声が聞こえている。その姿は見えないけれど、彼の笑顔が目に浮かんでくるようでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-05-10 19:07:08)
23.  フェリーニのアマルコルド
とても楽しい映画でした。イタリアの小さな港町の早春から始まる1年の様々なエピソードと町の人間模様が主人公の少年の目を通してノスタルジックに描かれるのですが、この雰囲気がたまらない作品です。僕の記憶の中にも少年時代のお祭りの楽しい記憶が確かに残っていますが、冒頭の春の訪れを告げる綿毛がふわふわと漂う町の風景に続くお祭りから映画は始まって、港にやって来た幻想的な豪華客船も大雪に見舞われた町も賑やかな人間模様も全編を通して描かれる小さな港町の風景はずっとお祭りのようです。タイトルからも分かりますが、フェリーニの記憶の中にある少年時代を映像化したフェリーニの自伝的作品なのでしょうが、どこかファンタジーの香りもします。特に一面雪景色の町に孔雀が舞い降りるシーンの美しさは忘れられないものとなりました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-28 19:45:09)
24.  愛と宿命の泉 PART II/泉のマノン
第1部と比べると第2部は激しく、そして様々な事実が明らかになります。この2作を通じて作品のタイトルには3人の名前が登場する。ジャンとマノンの第1部でも描かれた父と娘。そしてもう一人、第1部からずっと気になっていたフロレット。ジャンとマノン、そしてフロレット。更に隣人と泉と。第1部で張られた伏線が第2部に効いていて、悲しき結末と過去が明らかになります。フロレット家と隣人の3代にわたる2つの家族の物語は決して後味のいい話ではなかった。しかし長丁場を全く長く感じさせることのない、登場人物が絞られているので分かりやすくて非常によく構成が練られていて、見応えのある映画でした。主要キャストそれぞれの素晴らしい演技、中でもダニエル・オートゥイユの好演と、第2部に登場したエマニュエル・べアールの美しさが強烈に印象に残っています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-03-03 21:17:21)(良:2票)
25.  禁じられた遊び(1952) 《ネタバレ》 
何度観ても上手く感想が言葉にならない、様々な思いが胸をつく映画です。世界中で戦死した兵士や巻き添えになった市民の十字架や墓が世界中でどれほど作られた事か。空襲で両親を亡くした少女ポーレットとミシェルが死んだ犬たちのために十字架を集めて墓地を作るという子供たちの「禁じられた遊び」を通して悲しくも痛烈なメッセージが込められた反戦映画の傑作です。上手く演じようとか素晴らしく見せようといった打算が一切感じられないブリジット・フォッセーの姿と、そこに重なるナルシソ・イエペスのギターがより一層悲しさを感じさせますが、ポーレットがミシェルと出会って以降は終始ルネ・クレマンという人の優しさが感じられる作品でもあります。
[DVD(字幕)] 9点(2010-02-28 17:08:38)(良:1票)
26.  ロシュフォールの恋人たち
ジャック・ドゥミ監督、音楽のミシェル・ルグラン、カトリーヌ・ドヌーブによる「シェルブールの雨傘」に続くフレンチ・ミュージカルの傑作です。原色を大胆に配した「シェルブール」と比較すると淡いパステルカラーを基調にした全てのシーンの完璧に計算されつくした画の美しさに目を奪われ、踊りだしたくなるようなルグランの音楽にうっとりと聞き入ってしまいます。雨や雪が降っていたシェルブールの街とは違ってロシュフォールの街の晴れわたった青い空と街並の美しさも印象に残ります。ジャック・ドゥミのこだわりが細部に至るまで感じられ、音楽の素晴らしさと夢の共演を果たしたフランソワーズ&カトリーヌ姉妹の美しさに目を奪われている間にあっという間に2時間の時が経過していく映画です。ジーン・ケリーやジョージ・チャキリスも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれており、フランスとアメリカ、華麗なミュージカル共演も見事に決まっています。先月スカパー某チャンネルでやってくれたジャック・ドゥミ特集に感謝!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-02-06 21:40:03)
27.  ル・バル 《ネタバレ》 
映画はパリのとあるダンスホールから一歩も出ない。更にこの映画には台詞が一切無い。ダンスと音楽に衣装、俳優の仕草や表情だけで戦前から80年代までの流行、世相、パリに生きる人々の喜びや悲しみを見事に表現した作品です。  ダンスと音楽の間にさりげなく見せる笑いドコロ、ホロリとさせられるシーンを挿入するその見せ方、各時代が移り変わる際の見せ方も見事です。1つの狭いダンスホールの中のみで展開されているのが嘘のような壮大さすら感じさせる。  物語は戦前から始まりナチスの時代の暗い影が忍び寄り戦争の時代、そして終戦。ホールは歓喜の舞に包まれる。そこに戦場から傷ついて帰還した兵士が妻と再会し喜びのダンスを舞うシーンが感動的。戦後もフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースに扮した二人が登場しての華やかなミュージカルにロックンロールにビートルズにディスコブームと本作が作られた80年代に至る。  監督・脚本のエットーレ・スコラは過ぎ去った時代とその時代を生きた人々の記憶を作品ごとに様々な語り口で我々に見せてくれる。そんな中でも本作はパリのダンスホールが見つめてきた記憶を台詞を排した語り口で、世相や流行だけでなく人々の感情までもが生き生きと伝わってくる見事な映画です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2010-01-16 20:20:20)(良:1票)
28.  天井桟敷の人々 《ネタバレ》 
様々な所で映画史上最高傑作と評価される作品ですが、今まで見る機会が無かったこの作品をこの度映画館で鑑賞する機会に恵まれた。これ程3時間があっという間に過ぎるという感覚を久々に味わうことのできる映画でした。やはりその評価に違わぬ素晴らしい映画でした。ジャン=ルイ・バロー演じるバチストの入魂のパントマイムを自宅の小さなTVではなく映画館で鑑賞できたことは本当に幸せでした。また、本作を紹介する本や資料に必ずと言っていいほど出てくるバチスト、ガランス、フレデリックの3人が舞台にいる絵を見た時にはこのシーンだったのか・・・と感慨深いものがありました。ナチス占領下のフランスで作られたという伝説の名画。冒頭であらぬ容疑で逮捕されかけるところをバチストのパントマイムに助けられて解放されたガランスの「私は自由が大好きなの」という台詞に代表されるように、さりげない形での意思表示が当時としては精一杯のナチスへの反抗だったのでしょう。そんなさりげなく見せる意思表示やラストシーンのカーニバルに至るまで活気にあふれる街と天井桟敷の人々の生き生きとした描写などの中に祖国フランスとそこに暮らす人々と自由を讃える思いが確かに伝わってきます。
[映画館(字幕)] 9点(2009-09-16 01:11:34)(良:3票)
29.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
同じ男として人間としてこうも違うものか・・・という気すら起こさせない程のアラン・ドロンの美しさ。観る度にもうこんな人は出てこないのではないかと思わされます。上流階級への憧れが殺意に変わる、その動機となる出来事が短い間に丁寧に積み重ねらていく。その後も常に緊張感を持続しながら、あの悲しくも驚きのラストまで決して急がず、ドタバタもせず、作品の雰囲気や魅力の全てをゆったりと楽しみ、堪能できるとても丁寧に作られたサスペンスです。そして今更言うまでもなく作品と見事に調和するニーノ・ロータの控え目ながらも甘く切ない音楽もいつまでも心に残る。そんなアラン・ドロンの魅力とニーノ・ロータの旋律に青い海、真夏の太陽の日差しをいっぱいに受けた映像は50年の時が経過した今に見ても全てが美しい。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-13 15:35:55)
30.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 《ネタバレ》 
何度も観た劇場版。その度に何度観ても感動した。そしてずっと気になっていた完全版を初めて観ました。劇場版と比較すると確かに3時間は長いです。しかしトトはエレナへの思いや故郷への思いを断ち切って成功を収めますが、故郷に帰ってきた彼が成功と引き換えにした青春時代の思い出を振り返りながら彼の胸に去来するものをじっくりと丁寧に見せてくれます。知らないままの方が良かったかな?と思えることもあったのですが、少年時代から現在までを見せるトトの人生の壮大なドラマとなっている完全版を観た事によって、あの名ラストシーンがより感慨深いものになり、ニュー・シネマ・パラダイスに新たな感動をもたらせてくれました。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-21 13:18:58)
31.  エル・スール 《ネタバレ》 
驚くほど美しくて静かな映画。音楽もほとんど使われず、自然光を巧みに利用した静かで美しい映像はまるで美しい絵画を見ているようでもある。この作品は多くを語らない。でも、その映像には言葉では伝えられないエリセ監督の思いが確かに宿っているように思え、観ている僕はこの美しい世界にすっかり魅了されてしまった。過去に大きな忘れ物をしてきた様でもあり、南を去り、苦悩を抱え北の地で生きてきた様でもある父。子供の頃から分からなかった父の抱えている物を知りたい娘。父は最後に娘に何かを語ろうとしたのだろうか。果たして南にどんな答が待っていて、娘は南の地で何を見つけるのだろうか。ラストは娘の幸せを願わずにいられなかった。エル・スールというタイトルでありながら作品は南には辿り着かない。かつて南に何があったのかも描かれず、観ている僕は作品が辿り着かなかった南への想像をめぐらせる。でも、鑑賞後はこれで良かったんだと思えた。でも、いつの日か娘の南への旅の終着点をエリセ監督に見せて欲しいなとも思うのです。
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-04 22:27:23)
32.  グッドモーニング・バビロン! 《ネタバレ》 
イタリアからアメリカにやってきて、言葉の壁や数々の苦難をいつも二人の力で乗り越えてきた兄弟の物語です。親子愛、兄弟愛、映画への愛に溢れた素晴らしい作品だと思います。ハリウッド草創期の描写がとても楽しく、兄弟が作った象の美しさ、人工の光ではなく、スタジオに降り注ぐ陽の光の美しさに感動しました。また、オメロ・アントヌッティ演じる父とグリフィスが対面するシーンも良かったです。ラストはちょっと無理やり感がありますが、それでもやはり、兄弟がカメラに向かって子供達に最後の姿を納め合う姿には感動しました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-12-25 23:55:53)
33.  さよなら子供たち 《ネタバレ》 
ルイ・マル監督の少年時代の実体験を映画化したものです。ルイ・マル監督にとって、とても辛い仕事だった事でしょう。美しくもどこか寒々しさを感じさせる色調の映像が印象に残ります。今まで幾つもの映画を見てきましたが、この作品のラストシーンは最も強烈に印象に残るラストシーンの一つであり、忘れること事ができません。神父とユダヤ人の子供が一列になって連行されていく。それを見送る子供たちが誰からともなく「さよなら神父様」と口々に声を掛ける。それに神父が振り返り、たった一言「さよなら子供たち」と返す。それに続くジュリアンの何ともやるせない、物悲しい表情。非常に重く、忘れ難いラストシーンです。見送る者と見送られる者。この両者の間に人種や信じる神が違う以外に同じ人間として何の違いがあるというのか・・・。神というものが存在するならば何故こんな蛮行を見逃されるのか・・・。映画が終わり、劇場を後にしてからもいつまでもこんな結論の出ない思いが頭の中をぐるぐると回っていた事を思い出します。公開当時劇場で見てから20年が経った。観ようと思えば再び観るチャンスはあるのですが、いまだにもう一度観ることが出来ずにいる作品です。
[映画館(字幕)] 9点(2008-12-08 23:46:23)(良:2票)
34.  記憶の扉 《ネタバレ》 
これは見事な映画でした。登場人物はドパルデュー演じる容疑者とロマン・ポランスキー演じる警察署長のほとんど2人のみ。しかも映画の大部分は警察署の取調室で机を挟んで対峙する2人の会話で成立している傑作サスペンスです。この2人のやり取りが物凄い迫力です。雷が鳴る嵐の夜に薄暗い取調室という設定がそれに拍車をかける。かなり最後の方まで謎は解けませんが、最後には大どんでん返しが待っています。夜が明けて全てが明らかになった後、警察署を立ち去り、旅立つドパルデューとポランスキーのやり取りは穏やかなものに変わり、実に深い味わいがあった。そしてそこには静かな感動があります。ドパルデューのこの映画の一番最後の台詞「ありがとう、署長。お見事でした。こんな難しい仕事を・・・。」が深く印象に残る。トルナトーレ監督と言えば誰もが思い浮かべるあの傑作と比べるとレビュー数も少なく極めて地味な作品ですが、この作品も決して負けてはいない!
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-30 20:20:30)
35.  ストレイト・ストーリー 《ネタバレ》 
高速交通網が発達し、西部劇の時代と比較するとあの広いアメリカも随分狭くなってしまった。 しかし、久々にアメリカの広さを感じると共に、ここまでスピード感の無い映画も久々だと感じた。(あの坂道以外) それも現代人が忙しすぎるだけで、本来の時の流れを感じたような気もします。 ほとんど何も起こりませんが、時速8キロの旅で出会う人達とアルヴィン老人との絡みの1つ1つが実にいい。 家出娘に家族とは何かを語る。口数の多い映画ではないですが、 木の枝の束ひとつで翌朝、家出娘は家に帰っていったことを見る者に伝えてくれる。 自転車で旅する若者の一行には、老いるとはどういうことなのかを語る。 鹿を跳ね飛ばした事故と、その後の鹿に囲まれる、ちょっとした笑いドコロがいい。 本作で唯一スピード感を感じた坂道とトラクターの故障と、彼を助けた中年男との交流や、 ビールでも飲みに行こうと誘ってくれた近所との老人との交流もいい。 喧嘩ばかりしている双子の修理工に兄弟とは何かを語るあの表情がたまらなくいい。 兄ライルと寒いミネソタの農場で育ったと語る焚火を囲む地元の神父との語らい。 雄弁な映画ではないですが、兄との生い立ち、若い頃の戦争体験と除隊後の酒に溺れた日々。 やがて結婚し子沢山に恵まれたが子育てに苦労した日々。年を取るとはどういうことなのかを語る今。 アメリカで生まれ、年老いていく名も無き男の一生を人々との交流を通し浮かび上がらせていく素朴な語り口が素晴らしい。 主演リチャード・ファーンズワースは本作のすぐ後にこの世を去ったそうですが、 最後にこんな素晴らしい演技を見せてくれたことに心からありがとうと言いたい。 そして出番は多くなかったけど、シシー・スペイセクは素晴らしい女優さんだと改めて感じさせてくれた作品でもありました。
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-20 01:29:08)(良:2票)
36.  最高の花婿
敬虔なカトリック教徒にして、保守的なフランスの夫婦。4人の娘にも恵まれた。 しかし、上から3人の娘の結婚相手がアラブ人とユダヤ人と中国人。 そして末っ子の結婚相手は・・・という家庭内騒動を描くコメディ。 人種や宗教といった難しいテーマを扱いながら作品には常に無邪気な空気がありつつも、 常に1つ間違えばどうなるか分からないという微妙な空気も漂わせる。 その匙加減が絶品。この家族の騒動を通して、 長年この世界が抱える問題を軽妙な空気にのせて見せる、実にフランスらしいコメディです。 4人の美人姉妹に、アラブ人とユダヤ人と中国人の婿に、この家族に加わることになる末っ子の結婚相手に、 何より末っ子の結婚相手の父と、四姉妹の父、2人の親父さんのキャラが最高!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-08-17 16:13:43)
37.  シンプル・プラン
雪深い森の中でたまたま見つけた墜落した飛行機。その中には440万ドルが残されていた・・・。 安月給だが真面目に働き、妻と、妻のお腹の中にはもうすぐ産まれくる子どももいる主人公の男。 冒頭はこの夫婦が一番まともに思える。あとは一緒にカネを見つけてしまった失業中の兄と、兄の友人。 ヤバいカネかもしれないが黙ってれば、うまくやりさえすれば目の前のカネは自分たちのもの。 あぶく銭を前に、普段は見えない人間の持つもう1つの顔を表面化させ、 あぶく銭を前に人間が豹変していく様を地味に、ひたすら地味に見せていく。 見る者に、ここに自分がいたらどうするだろう・・・?と考えさせる、登場人物を絞り地味ながらも設定が見事。 登場人物の冒頭の印象とは裏腹に、このシンプルプランに次第に精神的に耐えられなくなって壊れていく兄が印象的。 演じるビリー・ボブ・ソーントンがこの役に素晴らしくはまっています。 サム・ライミにはこういうスケールの映画ももっと撮ってもらいたいなと思いますね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-22 18:11:42)
38.  ムッシュとマドモアゼル
昨日、フランスが世界に誇る、そして僕も大好きだったアクションスター、ベルモンドがこの世を去った。 本作は底抜けに明るくて陽気なベルモンドを思う存分堪能できる作品です。 このタイミングで見た本作。可笑しくていっぱい笑わせてもらいました。 ですが、やっぱりこのタイミングで見ると、何とも言えない感傷的な気持ちにもなりましたね。 自らスタントもこなしたベルモンドがスタントマン役と、 アクションがからっきしダメな大スターの2役を実に楽しそうに演じている。 軽やかに塀を飛び越えたり、道路を行きかう車とのちょっとしたアクション。 本作の中ではなんて事の無いシーンですが、軽やかにこなしていくそれらの1つ1つがいいんです。 2人のベルモンドが顔を揃える階段アクションの撮影シーンも最高でした。 60年代から70年代のハリウッドのセックスシンボル、ラクエル・ウェルチとのラブコメでもありますが、 パワフルなコメディエンヌぶりで、見事にベルモンドと渡り合っています。 華があって、何をやってもカッコいい人だったなあ・・・。ベルモンド。 安らかにお眠りください。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-07 16:16:38)(良:1票)
39.  家族を想うとき
反骨の巨匠、ケン・ローチの最新作。 もう80歳をゆうに超えている。映画監督からの引退を宣言したこともあった。 60年代からの長いキャリアの中で一貫して描き続けてきた労働者階級の人々の暮らしとそこのある社会の歪みや理不尽。 雇い主からは都合のいい時だけ「個人事業主」を持ち出され、働くほどに搾取されていくイギリスの宅配ドライバーの厳しい現実。 引退などしていられない。黙っていられるか!本作もそんなケン・ローチの衰えることの無い反骨心が垣間見える作品です。 中盤に一度は崩壊しかけた家族ですが、反抗期の息子が本気で父を心配し、仕事に行かせまいとする。 現実の厳しさの一方で、それでも再び絆を取り戻そうとする家族の姿に庶民の強さを感じさせる。 ケン・ローチらしさが感じられるラストでした。
[DVD(字幕)] 8点(2021-06-16 21:01:47)
40.  スターリンの葬送狂騒曲
スターリンの死後巻き起こったフルシチョフとベリヤの権力抗争とソビエトの権力中枢の混乱を茶化して見せるブラックコメディ。 スターリンの死の直前。コンサートとその録音を巡る冒頭からよく出来ています。 その恐怖政治がいかに市民生活の隅々にまで踏み込んでいたかがよく分かります。 当然、その話自体にコメディ的要素は無いのですが、当時の権力中枢にいた人物を演じる主要キャストの演技が素晴らしく、 全編を通して浮足立ったような軽さと、こういう政治ドラマに必須の重みや凄味を全員が見事に両立させてみせる。 終盤、ベリヤが失脚し処刑されるくだりでは、それまでの軽い空気は一変していきますが、 失脚から処刑までを一気に見せる、非常に嫌な空気が漂うその時間帯もまた見応えがある。 本作はロシアでは上映禁止になったという。 製作サイドの意図がどこにあったのかは分かりませんが、それも織り込み済みだったのでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-11-03 20:12:44)
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