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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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81.  アタラント号 《ネタバレ》 
ロマンチックな船の新居も狭い船内での長旅とその新居のはずの船に猫と共に大きな顔をした先人がいることにちょっと苛立つ新妻の気持ちがよくわかる。憧れのパリを徘徊したいというのもよくわかる。そんな新妻をパリに解き放ちたくない若い夫の気持ちもよくわかる。よくわかるようにウキウキし、イライラし、といった二人の感情の起伏の元が丁寧に描かれている。妻をパリにおいてゆく夫の怒りもよーくわかる。私も新婚旅行で喧嘩してラスベガスをまわるバスにふて寝している妻を置いてけぼりにしたことがあったりする(その節はごめんなさい)。それでも映画はけして暗くはならず、深刻ぶらずにいる。ベタなハッピーエンドに向かうことを確信しながら緩やかな川の流れのような映画の世界に身を任せる。身を任せられる映画というのは傑作なのだと思う。乱闘シーンですらどこか陽気な雰囲気が漂う。まるでジョン・フォードの映画のように。若い二人の純粋すぎるキャラクターだけなら映画は停滞してゆくのだろうが、アナーキーな老水夫が笑いを伴いながら抜群のテンポを作っている。ベタなお話に素直に感動できるのも、この老水夫が時々ベタさをぶっ壊しているからかもしれない。至福の映画です。
[映画館(字幕)] 8点(2009-01-19 16:25:49)
82.  パリの灯は遠く
この時代この場所においてのユダヤ人は人間として扱われなかった。そのことを冒頭のユダヤ人を判断するための下劣な身体測定シーンで強調する。そして人間扱いされないこと以上に怖いのが、そのことが普通のことであるという社会の風潮である。それがユダヤ人をこき下ろす舞台ショーでの観客の笑いをもって強烈に表現されている。そんな世界で差別され虐待され殺されてゆく立場に突然立たされる恐怖が描かれる。主人公は同姓同名のユダヤ人の登場によってその恐怖を味わうことになる。と同時に同姓同名のユダヤ人に興味を抱き、自己の存在理由への疑問も相まって変身願望にも似た執着を見せてゆく。そのときのアラン・ドロンの異常な表情が印象的。話が進むにしたがって主人公がユダヤ人に同化してゆくのだが、そうなってしかるべき状況や伏線が溢れかえっている。登場人物から部屋の装飾、光の明暗に至るまで伏線としての細やかな配慮がされている。話は暗いし進まないしわかりにくいかもしれないけど、何度か見てこの細やかな演出に驚愕してほしい作品。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-15 14:02:57)(良:2票)
83.  天使の入江 《ネタバレ》 
私はオープニングシーンにヤラレタ派。女が映されたかと思ったらあっという間に猛スピードでカメラが引いゆく。そこにミシェル・ルグランの感動的なピアノが乗っかる。確実に脳内に何か出ました。ただ、この音楽がこの後何度も何度も出てくるのにはちょっと辟易。音楽が大袈裟すぎて画が負けてる。 ルーレットは運が占める割合が大きいとはいえディーラーがどの位置で玉を離すかとかどこを狙っているかを読んでいくゲームなわけだが、この作品はそんなルーレットの魅力を見せようなどとはこれっぽっちも思ってない。もちろんそれが正解。病的なギャンブル狂の女がいるということを見せればそれでいいのだ。女と主人公の青年とはギャンブルに対する概念が違う。女にとってギャンブルはお金じゃない。「生」そのもの。ギャンブルをしているときだけ生きているのだ。だからそこから逃れることは出来るわけがない。その象徴がオープニングシーンなのだろう。それでもラスト、女は新たに生まれ変わるのだ。すでに聞き飽きた感動的な音楽と共に。もったいない。音楽は最初と最後だけでよかったのに。
[映画館(字幕)] 6点(2008-12-04 14:59:28)
84.  黄金の七人
子供の頃によくテレビで見ました。で、去年(だったか?)レンタル屋に並んでるのを発見して久しぶりに見たのですが、『黄金の七人』というタイトルが私の中でどうやら一人歩きしていたらしく、もっと「七人」がかっこよく活躍するイメージになっちゃってたのでちょいと拍子抜け。でも無駄のない分り易い展開と貫かれる軽いタッチは老若男女に受け入れられる娯楽作なのだとあらためて思わされた。いかにも60年代のシャバダバ系音楽(これはなんというジャンルなんだろう?)とファッションが作品に色を染める。このお洒落さとヒロインの過剰にならない(ファッションは過剰だけど)お色気とコメディがうまくかみ合っている。
[DVD(字幕)] 6点(2008-11-06 11:47:30)
85.  恐怖の報酬(1953)
ずっとずっと前にリメイク版のレビューに書いたのだが、私にとっての『恐怖の報酬』は何度もテレビで観たリメイク版の方です。それでもオリジナルを初めて観たときは唸りました。同じようにハラハラドキドキはするんだけど、恐怖の質が違う。緊張の度合いが違う。何人かの方が書いておられるように前半のくだりが後に効いてきます。いくら報酬が破天荒な額であっても死んだら元も子もないわけだが、そうせざるを得ない状況の説明、いわゆる物語の辻褄合わせがされているわけだが、ただの辻褄合わせだったら要らない。ここで描かれる主要人物の人となりが、ニトロ運搬の過程でそれぞれの行動に納得、また意表をつかせながら濃厚なドラマを形成し、同時にサスペンスを盛り上げることにも一役買い、尋常ならざる緊張感も持続させる。いろんなことが次から次に起こる展開はサービス精神が旺盛にすぎるような気もするが、詰め込み感は然程ない。月並みな言い方になるが、やっぱり本家本元は違うねえ。
[ビデオ(字幕)] 7点(2008-10-07 14:41:38)
86.  セントラル・ステーション
ラジオを盗んだだけで射殺される国。ストリートチルドレンと人身売買。ブラジルの抱える社会問題がさらけ出される。この作品のいいところはこれらの諸問題を前面に出さずに、また語らずに、それでもしっかりと見せるところにある。都会から田舎へと移動するロードムービーはさらにブラジルの様々な顔を見せてゆく。代筆という仕事はブラジルの教育問題をもさらけ出しているが、同時に様々な顔を見せるブラジル中を繋ぐ重要な役割をこの女性が握っていることをわからせてゆく。そして田舎での代筆で、無条件に神に感謝する言葉、愛する人を想う言葉に「信じる」ことの素晴らしさを発見する。代筆、都会と田舎、子供、旅、それらは物語を感動的に盛り上げる一方でブラジルの現状というものを映し出す重要な駒ともなっている。いろいろな意味でよく出来た話。惜しむらくはユーモア。このおばさんと子供がなかなか魅力的なデコボココンビなのだが、このコンビならもっと楽しいシーンがあっても良かったように思う。
[ビデオ(字幕)] 6点(2008-09-30 12:57:46)
87.  カルメンという名の女
ひとつの画を記憶に残させるためにゴダールは様々な工夫を凝らす。この作品では音楽を使う。ベートーベンの弦楽四重奏で彩られる映像。突然音が消え、波の映像や列車の交錯する映像を挟んでからまたベートーベンに戻る。なんの変哲もないこれらの映像が脳裏にこびりつく。これが所謂ソニマージュの効果であろう。男が疎外感を味わうシーンでずっとベートーベンだった音楽がいきなりトム・ウェイツに!こんなにも感動的な違和感はそうざらには無い。そもそも他の誰でもなくトム・ウェイツという発想がとんでもなく素敵だ。「説明は明日する」と言って全然説明しない女。ゴダールのひきずり続ける女性観が現れているようでもあり、ゴダールの映画そのもののようでもある。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-09-22 13:57:09)
88.  禁じられた遊び(1952)
子供の頃に観たときはなんのこっちゃでしたが、大人になって観てみるとなるほど奥が深い。学校へ通う少年は文字が読めるけど、家の大人たちは読めない。この状況が子供の頃は理解できなかった。少年はただ文字を並べて祈りの言葉を口から吐く。その露骨なまでの投げやりな口調からは当然信仰心など見えてこない。でも大人たちの疑心に溢れた行いこそが信仰から遠く離れたものとして描かれてもいる。だから大人たちは戦争をしでかすのだ。ただここが大袈裟でコミカルにすら見えてしまうのだが、コミカルな方へはけして行かずシリアスのまま進行するのでちょっと戸惑ってしまう。音楽はひたすら悲しいし。男の子がぶたれるときの女の子の泣き顔は演技なのだろうか。5歳やそこらであんな顔はできんぞ。ラストもやるせない。この作品が名作となった功績は彼女の演技が大きいと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2008-09-16 17:52:56)(良:1票)
89.  バイオハザードIII
お話自体はよく出来てると思うし面白いとも思うんだけど、もっとなんとかならんかったのか。まず主人公以外のキャラがけっこうおいしそうな役を持って登場するんだけど、全然薄い。薄いままに消えてゆく。アリス以外の名前なんて無いに等しい。前作で見せた「廃墟と化した街」ってのはすごく絵になるなあと思ってたんだけど、砂漠と化したラスベガスってのは確かにラスベガスは砂漠の上に造った街だったと再認識するだけで全然絵にならん。ルクソールのスフィンクスやパリスのエッフェル塔がポツンとあるだけでラスベガスってのもなんだかショボイ。お揃いの衣装を着た凶暴ゾンビ軍団(どうやって着せた?)は笑ったけど、そこで見せる怒涛のアクションが全然盛り上がらん。なんというか、、もっと弾けてほしい。
[DVD(字幕)] 3点(2008-09-03 12:13:34)
90.  バイオハザードII アポカリプス
前作のレビューでも書いたように全くのゲーム音痴なのだが、ジル・バレンタインってのも他のレビューを読むかぎりゲームのキャラらしく、しかも似てるの?まあ似てる似てないは置いといて、いかにもゲームの中に出てきそうなキレイな顔だなあと思った。で、意味無くセクシーコスチュームにしているところがグー(これもどうやらゲームと同じなんですね)。真っ赤なドレスに対抗するような真っ青な衣装がダブルヒロインの猛活躍を予感させるのだが、「魅力的な脇役」以上の存在にはならずガッカリ。ゲームでの役回りはどうなのか知らないけど、もんっのすごく勿体無いです。前作の建物内での抗争がいかにもRPG風だったが、今回も町中のカメラを使ってパソコン上に町全体を映し出し、主人公たちにあるミッションを課すことでRPGの面白さを最大限に発揮させている。でもホラーじゃなくてアクションなんだけど、全く怖くないというのはどうなんでしょ。
[DVD(字幕)] 5点(2008-09-02 13:38:28)(良:1票)
91.  バイオハザード(2001) 《ネタバレ》 
ゲームは全く知りません(あらゆるゲームに無知です)。だからなのかどうかは知らないけど、思った以上に楽しめた。地下の研究施設を図解で見せて登場人物たちのいる場所を示すくだりは「ゲーム」へのオマージュでしょうか(特に無くたって支障は無いように思ったので)。ホラーよりもアクションに重きを置き、ひたすらかっこよくゾンビどもを殺しまくる。ミラの赤いドレスが最初、ものすごく浮いてたんだけど、ドレスに不似合いなバトルが繰り広げられるごとに赤いドレスが様になってゆく。ウイルスによって死んだ後に細胞が活性化されるとか取って付けたようなこと言ってたけど、だったらその活性化された肉を食い合えよ!とか一瞬思ったけどあくまで一瞬で、怒涛の展開が要らぬ説明によるこじ付けを取っ払う。ゾンビよりも怖い研究施設の防御システムがより楽しませてくれるが、怪物は蛇足。でも続編に繋げるためにも必要なものだったんですね。
[DVD(字幕)] 5点(2008-09-01 14:29:49)(良:1票)
92.  カストラート
見応え感がっちりな作品。こういうたいそうな映画は苦手なのだが、苦手な中にあって楽しめた部類。カストラートについてのあれこれには多くを語らず、兄弟の愛と葛藤のドラマを軸として見せてゆく。時代背景や音楽の歴史、(実在の)登場人物の背景、そしてカストラートの歴史など興味のつきない題材にもかかわらず、欲張らずに見せ所をしっかり絞った脚本の勝利。さらに衣装やセットも抜かりない。主人公は史上最高のカストラートと言われているカルロ・ブロスキ。今現在、カストラート自体が存在しないのでその美声の凄さは映画以上なのだろうが、その再現にボーイソプラノや数少ない男性ソプラノを使わずに、男性カウンターテナーと女性ソプラノの合成というまさにこの世に存在しない声で表現したのは納得と同時に感心。兄弟二人で一人の女を抱く、つまり3Pという特異な性生活が中盤にいかにも「プレイ」的な描写で登場するが、その行為が終盤に「プレイ」ではなく「愛の行為」として登場するくだりはなかなかの感動がある。5年以上前に観たっきりなので今観たらまた変わるかもしれないけど点数はまずまずの6点ということで。
[ビデオ(字幕)] 6点(2008-08-27 15:47:22)
93.  スイミング・プール 《ネタバレ》 
ラストカットで答えだしてるようなもんだから、解釈であれこれ語り合うほど自由度は無いように思ってたんですが・・。愛人に邪険にされた中年女の妄想の中での復讐といったところでしょ(?)。で、もちろんシャーロット・ランプリング=リュディヴィーヌ・サニエ。主人公が別荘に着くまで、そして着いてから部屋に落ち着くまでの異様な長さと特別必要とも思えないシーンの数々が伏線めいていて、序盤から映画への好奇心を煽りまくる。それら伏線めいたシーンの数々の中にはたしかに伏線だったものもあれば、伏線なのかもしれないけど私には解からなかったものも多々あって、でもたぶん全ての意味無さそうなシーンが全てなんらかの意味を持ってそうな雰囲気だけは充満していて、その雰囲気だけでこの映画はじゅうぶん見応えのあるものになっている。それでも意味ありげなシーンの放置状態が長引きながらも新たな意味ありげなシーンが次から次へと投げ込まれてゆくことで徐々に観続けることが面倒くさくなってくるというデメリットも。それでもサニエの若々しく眩しい裸体が画面から目をそらすことを許さない。
[DVD(字幕)] 6点(2008-08-07 12:16:50)
94.  O侯爵夫人 《ネタバレ》 
ロメールのコスプレ劇はコスプレ劇なのに歴史大作でも文芸作品でもなく、いかにもロメールな、優しい語り口の小品といった感じの映画でした。この「小品」が侮れない。お?!と思わせるオープニングから物語に引き込み、なんてことのないお話の中にどこにでもある些細な喜びや悲しみを観る者にしっかり提示し、けして退屈させず、そうこうしながら物語を堪能させる。怒り心頭の父親が大泣きするところは笑った。いつもきりりとしたお父さんが「むああああ」って、お父さん泣きすぎ(笑)。でもちょっとジーンとしたりもして。号泣するお父さんの横で小芝居を続けてるお母さんがまた笑っちゃう。でもこれもやっぱりジーンときた。ああ、ジーンとしながら笑っちゃう、幸福感が充満したようなこの感じがたまらん。エンディングも好き。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-01 17:10:23)
95.  ヴェラ・ドレイク 《ネタバレ》 
男が作った社会の中でどうしても犠牲になってしまう女たち。その時代の社会がどうであれ、社会と程よく付き合っていこうとする人間ほどヴェラを凶弾する。取調べに当たった二人の警官の態度の違いがそうであり、息子と娘の態度の違いがそうであり、旦那の弟とその妻の態度の違いがそうである。最も分かりやすいのが裁判官の言い渡す重い判決。ヴェラが寸分違わない善行の人であることは時代背景をよーく理解しないと納得してもらえないところかもしれないがマイク・リーはその時代性をさりげなく語っている。ここはドラマ成立のために手を抜けないところなのだが、ドラマの成立に反比例して映画は退屈になってゆく。全体的に暗い色調は伝統的なイギリス映画臭と同時に暗雲とした結末を予感させるのだが、退屈に感じているうえに暗いとなったら、もうお手上げ。ただ、イメルダ・スタウントンの涙にはやられた。まるで自分の母親が泣かされてるような感覚を覚えた。
[DVD(字幕)] 5点(2008-07-31 14:52:59)
96.  花咲ける騎士道(1952)
もっともっとナンセンスなものを想像してはいたんだけど、コメディとしての筋がしっかりしているのでじゅうぶん楽しめました。主人公に死刑を宣告したルイ15世に刑の失効を嘆願する女。それは出来ぬと却下されてしまうコメディらしからぬ展開から二転三転するシナリオの巧さが目を見張る。とくに後半のテンポの良さは素晴らしい。大筋でも冒頭の占いがたんなる騒動の切欠に終わらず、ラストシーンにうまく繋げている。王をひっぱたいてしまい、それを聞いたポンパドール夫人が喜ぶってのも楽しい。駅馬車シーンは他のシーンから浮くくらい見応えあり。その前の修道院でのチャンバラもなかなかのもの。大団円はお決まりとは言え、えらい強引です。が、かえってこの作品の痛快さを際立たせているようにも思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2008-07-10 18:30:17)
97.  王は踊る
宮廷の者たちが挙って王の寵愛を受けようと必死になるのは寵愛そのものよりも恩恵を受けたいという下心があるからこそだと思うが、この作品の主人公である音楽家は純粋に王(ルイ14世)を愛し王に愛されようとする。そしてそこまで想われるに相応しい威厳と才能に恵まれた人物としてルイ14世が眩しく描かれる。芸術との深い関わりと愛はジェラール・コルビオ監督の前作『カストラート』にも通じており、時代物のスケールの大きさと重厚感はこの監督の得意とするところ。ただ、実在の人物を描くときにありがちなのだがどうしても余分に思えるエピソードが入ってしまう。この作品の場合、描かれる年月が長いゆえに余計に入りやすい。さらにかいつまんでいるので人物造形に深みのない主要人物がちらほら。ルイと母との政権争い、芸術と娯楽と宗教の対立、モリエールへの裏切り、細かなエピソードに絡む女たち。本筋以外の描く対象が多すぎる。
[ビデオ(字幕)] 5点(2008-07-09 14:10:12)
98.  宮廷料理人ヴァテール
ルイ14世時代のフランスを舞台としているのに英語劇なのは別に珍しいことでもないのだが、ならば何故にジェラール・ドパルデューなのだろう。なんかもったいない。実在の人ヴァテールが実際にあったとされるルイ14世をもてなす3日間の大宴会を取り仕切る様を描く。その催しはラスベガスのショーも霞むほどの豪華さ。創造力豊かなヴァテールがひたすら走り回ってこの催しに全力をかける。その中で王妃の女官との恋愛と、この時代特有の男女間の節操の無さが描かれてゆくのだが、おそらく創作であろうこの恋愛劇が中途半端。しかもこの美しき女官がヴァテールのために超絶パワーで嵐を止めてしまうところはいったい何だったんだ?全く違うお話へと流れてゆくのかとちょっと期待したりもしたんだが、ただたんにそこだけが浮いている。エンディングも唐突で盛り上がらず。時代考証に振り回された感あり。
[ビデオ(字幕)] 4点(2008-07-08 14:54:47)
99.  マリー・アントワネット(2006)
ソフィア・コッポラが女性をキュートに撮ることのできる監督であることは『ヴァージン・スーサイズ 』と『スパイダーマン』シリーズのキルスティン・ダンストを見比べればよくわかると思うが、この『マリー・アントワネット』がとどめをさしてます。ただ、『ヴァージン・スーサイズ 』がそうだったようにいかにも写真家さんらしい画の中でのキュートさであり、キルスティンの困った顔も可愛い笑顔もあきれた顔もそのカットごとのキレイさとかキュートさとかは巧く撮れているのにそこからの拡がりがないというか、ただキュートなだけ、ただ可愛いだけという感じ。もちろんその、「ただ可愛いだけ」を撮るのには彼女の写真家として培われたであろう例えば顔に当てる光の角度とか強さとか色とか、あるいは化粧とかカメラの場所とか一瞬の表情を導く信頼関係の作り方とかそれを見逃さない臭覚だとかという技術と感性の賜物であってやっぱりこれも才能なのだとは思う。その才能と映画がうまく結びつけば面白いものが出来るんじゃないだろうかとデビュー作『ヴァージン・スーサイズ 』は思わせてくれたのだが、まだ映画ではなくキレイな画で終わっている。しかも、お菓子を美味しく見せるまさに写真のような画の挿入を見るに、デビュー作よりも写真の世界に近づいてるような気が・・。でもキュートな女の子が好きだからもう少し様子を見よう。
[DVD(字幕)] 5点(2008-07-07 17:58:23)
100.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
「1」も面白かったし「2」はさらに楽しめたので「3」への期待はそこそこに膨らんでいたのですが、大枠では期待は裏切られませんでした。とくにボーンは常に姿を現さず(見せず)に、しかし全てを見ているという、世界各国の背景を活かしながらのロングショットがこの「3」でも健在で(駅のシーン)見ている間にも期待値はどんどん上がってゆく。シリーズ通して多用される「何かを見る目を一瞬映しすぐあとに見られるターゲットなり次の行動なりを映すという短いカットの応酬もキマリまくり。ただ、カーアクションや格闘シーンの短いカットの応酬と揺れる画像もまた「2」よりも数段パワーアップしており、これはちょっとやり過ぎに感じた。ぶっちゃけ怒涛のアクションシーンなのに見てる途中から飽きてきた始末。それでもそんなマイナスを吹っ飛ばしてくれたのがエンディングのかっこよさ。海に浮かぶ体の影。テレビで伝えられる行方不明。それを聞いて笑顔になる女の顔。そして浮かぶ影が・・。もうわかってるんです。どうなるかは。わかりきったシーンをじっと待ってるこちらをじゅうぶんにじらせてそのシーンに持っていくその長すぎず短すぎない完璧な間の使い方が最高。拍手しそうになりました。
[映画館(字幕)] 6点(2008-07-03 13:04:34)
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