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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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161.  愛のコリーダ
常に物議をかもし日本映画界を困惑させてきた大島監督にしてみればこの露骨なまでの性描写こそが意味のあるもの。つまり露骨な性描写は芸術価値を高めるものではなく、あくまで監督の反骨精神の表れなのだと思う。そういう監督がいてもいいと思う。そして海外での高評価もまたたんなる日本の慎ましやかなイメージと過激なエロスの融合からくる大胆さでしかないような気がする。私自身も作品の中身よりも作品そのものの衝撃が先行してしまい、では映画の評価は?と聞かれると特別に気を惹くようなところは少なく、むしろここまで露骨にしなくたって、、と思ってしまうのです。ただ、二人の情愛で埋め尽くされた映像の中にあって兵隊の行進という一見そぐわないシーンがそぐわないからこその異様さを放っていて、大島監督がこの映画の中で描きたかったものってたぶんここだけなんだろうなと思った。体制批判がトレードマークの監督ゆえに情愛に溺れる二人を肯定したシーンとなっています。あとは全部とは言わないがやっぱり閉鎖された日本映画界への威嚇なのだろうと思う。
[ビデオ(邦画)] 5点(2006-09-08 13:50:24)
162.  スズメバチ
見所を銃撃戦、というよりひたすら撃ち込まれる弾丸の嵐に絞った潔さがなかなかに良い。さらに倉庫内の、いわゆる味方のそれぞれのキャラを非常に判りやすく立てることにも成功している。倉庫内の灯りに乏しい暗闇の中でも誰が誰なのかはっきり判るくらいだからたいしたもんだ。しかしせっかくのキャラ立てもその人物の消し方があまりにあっさりとしているのは潔いというよりは肩透かし感のほうが強い。この銃撃戦が始まるまでのもったいぶったそれぞれの描写がもっと驚きに満ちた展開を期待させてしまい、怒涛の銃撃戦の後のごくありふれたクライマックスにも肩透かし。泥棒たち、警備員の意味ありげな冒頭のシーンは無いほうが楽しめた気がする。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2006-08-31 14:36:08)
163.  僕のスウィング
主人公の少年は都会では味わえない本来の人生の素晴らしさを短い夏休みに体感します。音楽を聴き、音楽を奏で、そして歌い、踊る。草花に触れ、昆虫に触れ、森を歩き、川を泳ぎ、仲間と語らい、異性を想う。老人の話に耳を傾け、大切な人の死に涙する。少年はその貴重な体験を体に染み込ませたから文字で記された日記を手放した。少女が日記を持ち帰らなかったのは文字が読めないからじゃない。今を生きることが大切だから過去の記録はいらない。死ねば持ち物すべてを焼くという風習もそういうことなんじゃないだろうか。本来の「生」の素晴らしさをジプシーの生き方の中に見出そうとした美しい映画。今は夏休み。映画を観ている場合ではない。子供を海へ山へ連れ出そう!
[DVD(字幕)] 7点(2006-08-08 14:25:23)(良:1票)
164.  歓楽通り
男が女に対して尽くしまくる無償の愛を幻想的に描く。たしかに現実的ではなく、感情移入など出来るはずもない設定ですが、映画は現実的でなければならないものではなく、むしろこの映画は非現実的で大げさな設定を用意することでその中から男女の淡い恋心を紡ぎだそうとする。もともと娼婦たちの思い出話として始まるこの物語は皆がかわいがった男の愛を究極に美化したものだと捉えることが出来る。だからどこか切なく、そして美しい。思い出話にしては本人たちにしか知るよしのないストーリーも大いに展開されますが、これも想像の産物と捉えれば幻想的な映像美とともに納得。娼館が廃止され路上で客引きをする娼婦たちの良き時代を懐かしむ美しい思い出話として。
[DVD(字幕)] 6点(2006-07-18 19:17:06)
165.  奇跡の丘
【DADA】さんが触れておられる導入部について付け加えさせてください。マリアの緊張した面持ちが映され、ヨセフの微笑んだ顔が映され、それを見たマリアの顔が安堵の表情で満たされる。処女懐胎の困惑からすべてを受け入れる二人の愛をいとも簡単に映像だけで見せています。聖書にあるイエスの生涯の物語を描いていてもワンシーンワンシーンに見られる素人役者たちの豊かな表情と詩的な映像はけして物語に支配されずに物語を形成してゆく。映画の世界に入って間もないパゾリーニの非凡さが伺えます。そして無神論者パゾリーニゆえでしょうか、説教をするイエスのまるでキング牧師のような芯の強さとカリスマ性を持った人物像が従来のイエスのイメージを大きく変えています。多くの人をひきつける者として説得力があるし、画的にもインパクトがあって良かった。後のパゾリーニの作品を見れば、この作品もまた彼の思想がどこかに反映されているのだろうと想像できるが、そういう見方をせずとも映画的魅力をじゅうぶん楽しめる作品だと思う。 あ、そうそう、サロメの美しさと残酷さの同居が、より美しさと残酷さを相乗効果で増幅させていて他のどの作品のサロメ像よりもすばらしい!と思いました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-06-22 15:41:34)
166.  モーターサイクル・ダイアリーズ
個人的にはもうちょっと淡々としたものを期待していました。旅すがらのエピソードをつなぐバイクと景色、こちらのほうこそをメインにしてほしかった。延々と美しい南米の景色をバックに走る、その美しい景色に目を移す主人公、それだけで南米に愛しみを覚える主人公を表現できるしできていた。鉱山の仕事を求めて人々が群がる様を見つめる主人公、それだけで主人公の心の内に芽生えた疑問を表現できるしできていた。旅の距離や時間が伝わりづらいのも、また字幕に頼らざるを得ないのもストーリーを重点的に描いたから。旅の中で何かが生まれ何かが変わるということをうまく見せてはいるけども、感動的なエピソードはなくてもそれは達成されているのだ。そんな感動話よりも、もっともっと疾走する二人の顔、笑っている顔、困っている顔、何かを考える顔をひたすら見たかった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-06-16 16:10:24)(良:1票)
167.  猟人日記(2003) 《ネタバレ》 
自由を満喫するでもなしにただただ自由を持て余しながら怠惰な生活を送る主人公が妙に今の一部の日本の若者にかぶるように感じた(というオヤジ発言に歳を感じる)。主人公が言うように作家として大傑作でも書き上げようものなら、その生き方は「ビートニク」なんてかっこいい呼ばれ方でもされるのだろうが(原作者はビートニク作家として有名)、主人公は異端者でもなく反逆者でもなく、たんなる身勝手な放浪人でしかない。それは自らの良心に動揺する後半の心理に見て取れる。終始薄暗い灰色の空が主人公の内なる孤独感とリンクしているようで印象に残る。時間軸を動かしながら見せてゆく作りに、女が海に落ちるシーンまで気づかなかったのは私の至らなさだろうか。もうちょっとわかりやすくしてくれたらサスペンスの面白さが出てきたと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-14 11:50:43)
168.  ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月 《ネタバレ》 
自らは成長せずにまんまと彼氏をゲットした前作の続編にして前作のパロディ。常に一作目の笑いにリンクした、主人公同様に成長の見られない構成は安易ではあるがわかりやすくて好感が持てた。今回は「ありのまま」を愛してくれる奇特な彼氏に対し、愛してくれるだけではなくそれを行動に示せという、女の子特有のわがままを成就させる。続編らしくちょっと度を越えた展開も見せながら都合の良い現代のシンデレラ・ストーリーをけして主人公の成長というありがちな展開に逃げずに見せきっている。レニーのおデブちゃんぶりも凄い!役のために太るといっても男と女じゃ覚悟が違う。1点上乗せするほどでもないけど前作よりも落ちるとも思わなかった。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-13 13:51:38)(良:1票)
169.  イグジステンズ 《ネタバレ》 
現実の世界と現実ではない世界を通して本質を模索するというテーマは、その現実ではない世界が妄想であるときもあれば、自分を偽って生きた世界であるときもあるが、クローネンバーグにとっては現時点での新作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』まで一貫しているテーマである。そして有機物と無機物の融合というのもクローネンバーグ映画の特色のひとつと言える。この作品はそういう意味ではわかりやすいくらいにクローネンバーグらしい作品ということになる。バーチャルリアリティを扱うほとんどの映画がその危険性を提示している中で、この作品は虚構の世界を作り出すゲームデザイナーと現実至上主義者の攻防の中で現実を見失った現実主義者を描いている。つまり虚構の世界を通して現実を見ることの大切さ、もっと突っ込んだ見方をすれば、同じように虚構の世界である「映画」から現実を見ること、そして描くことこそが重要なのだと言っているように感じた。しかしストーリーが陳腐なうえ、そのストーリーを何よりも重視して追っている小説的な作りに不満を感じる。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-07 16:10:33)(良:1票)
170.  スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする 《ネタバレ》 
オチ以外は結構気に入っている。愛する母が酒場の娼婦と重なり、少年は母の人格を二つに分けることでそのことを否定する。妄想は少年にとっての現実ではあってもけして本当の世界ではないという、主人公にとってのみ辻褄の合う世界をうまく見せている。とりわけ本物の娼婦の振る舞いと母の振る舞いに共通点を見出させる様は、主人公の混乱と共に観客をも混乱させる。少年が見るはずのないシーンがあるので比較的歪められた記憶であることがわかりやすい作りになっている。よってオチには驚きも無いし、主人公が記憶の歪みに気づくということ自体に主人公の性質上、不満が残る。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-06-06 14:40:32)
171.  パッション(1982年/ジャン=リュック・ゴダール監督)
詩の映像化をしてしまったパラジャーノフの『ざくろの色』に刺激を受けて作ったという本作は、絵画の映像化に挑む映像作家の試行錯誤が描かれる。レンブラントに代表される芸術絵画を俳優を使って再現してゆくが、劇中監督はそこに当てられる光に納得がいかない。これ以上ないというほどの美しい光にもかかわらず。実際のところ、極めて美しい。絵画の中に存在する光、つまりは現実には存在しない光を求め、プロデューサーの要求する「物語」を描こうとしない劇中監督はゴダールでありパラジャーノフである。この作品あたりからソニマージュ(音・音楽によって映像を際立たせる試みと理解してよいのだろうか)が取り入れられたと思うのだが、次作『カルメンという名の女』ほどのインパクトはないものの、非常に印象に残る「音」の使われ方がされている。批評家から始まり、さまざまな作品の引用をし「色」を印象的に使った初期監督時代から今回のソニマージュといい、ゴダールほど映画を探究している人は他にいない。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-19 16:45:38)
172.  ナイト・オン・ザ・プラネット
ジャームッシュの手にかかれば誰だって映画の主人公になれる。人が人に出会う、その前もその後もおそらく他人のままの二人の一回だけの出会い。その一回きりの出会いさえあれば映画ができる。世界中の中から5つの都市が選ばれ、それぞれの場所で、タクシー運転手と客のひとときを切り取る。5つの都市といっても登場する人たちのバックボーンはもっと複雑で、様々な人種が交錯する様はいかにもジャームッシュ映画。ジャームッシュは常に映画の中で様々な国の文化に触れ、文化と文化が自然に、あるいは不自然に溶け合う様を好んで取り入れている。そういう意味ではこの作品は最もジャームッシュらしいと言える。その一方でジャームッシュらしくない部分もある。それは一つ一つのエピソードがひとつのストーリーとして洗練されすぎている点。どのエピソードにもささやかな伏線がありささやかな起承転結がある。脚本が出来すぎなのだ。ここまで完成された5つのショートストーリーを見せられたら、いくらそれが「らしくない」といっても満足度のほうが大きいので個人的にはOKなんですが。彼の作品の中では、映像よりも脚本のうまさというか、話の構成のうまさというのが印象に残る作品。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-12 16:09:35)
173.  ブロークン・フラワーズ
お話の設定といい、ジェシカ・ラングといい、ヴェンダースの新作にあまりにも似ているのは偶然なのだろうか。おまけにラストでくるりと回るカメラって、もろヴェンダースだ。といっても作風はまるっきり違う。こちらはヴェンダースよりもはるかに勝っているコメディセンスを擁したジャームッシュ流、、と言いたいところだが、『コーヒー&シガレッツ』でのビル・マーレーが大いに笑わせてくれたようにこの映画の笑いの大半もまたビル・マーレーその人にあったりする。誰かと遭遇することで、あるいは共に行動することで内面に別の何かが生まれるという展開はまさにジャームッシュの展開でありながら↓のお二人さま同様に「らしさ」を感じないのは、主人公があまりに鮮やかに変貌をとげるからだろうか。それともあまりに変貌をとげるに必然の出来事をわかりやすく並べてしまったからだろうか。どちらにしてもこのことでジャームッシュの「らしさ」の根本である「インディーズ」は喪失し「メジャー」な要素を多分に含んだ作品となっているように思った。それでも楽しめたのはやっぱりセンスがいいのかなぁ。  (すぐさま追記)「らしくない」じゃなくて「物足りない」と書かれておりました。失礼。
[映画館(字幕)] 6点(2006-05-08 14:08:01)
174.  エル・スール
『ミツバチのささやき』同様にスペイン内戦の傷跡を背景とし、少女の成長を描く。窓から差し込む光が、庭のブランコが、道が、木が、家が時間の経過を、そして父と娘の関係の微妙な変化を語ってくれる。それは雄弁であっても常に慎ましく静かに語りかけてくる。情景は前作以上に美しく、そのうえで画面に映るすべてのものがさりげなく何かを語っている。映像で語るとはこういうことなのか!とあらためて驚かされる。さらに画面には映らないもの、「南」の情景までもが頭に浮かぶ。その情景はこの映画を観ている間に変貌してゆき、最後には郷愁すら感じさせてしまう。おとなしいくせしてすごいやつ(映画)なのだ。
[DVD(字幕)] 8点(2006-05-02 13:19:59)
175.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
トミー・リー・ジョーンズ初監督作『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』はまずなんといってもタイトルがかっこいい(笑)。でも画もかっこいいのだ。アメリカとメキシコの国境を馬に乗って越える3人の男(一人は死体)の画がとにかくかっこいい。観終わった後、『ガルシアの首』を思い出したが、パンフによると監督もこの映画を頭に置いていたらしい。『ガルシアの首』に限らず70年代のアメリカ映画における寡黙なヒーロー像がこの映画には存在する。テキサスの国境沿いの町での生活に空虚なものを感じていたのは越してきたばかりの若い夫婦だけではない。主人公もまた感じていたのだ。約束を守るための無茶な国境越えはきっかけにすぎない。なんでもいいから何かのために命をはる、そこに生きることの喜びを見出してゆく。友人の警官だってそうだ。だから「生きている」ピートを撃てなかった。生きながらに死んでいた男たちが町から離れていくごとに「生」を見出してゆく。そして映画は70年代の映画に回帰してゆく。前半の全くついていけない時間軸のずらし方は不満に残りますが、トミー・リー・ジョーンズの中にある映画の記憶を共有できたような気にさせてくれたこの作品、かなり好きかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2006-04-28 14:08:06)(良:1票)
176.  ストレイト・ストーリー
青々と茂った芝生に囲まれた家が映し出されるがそこに耳は落ちていない。しかしどう見ても耳が落ちていそうな雰囲気だ。リンチへの偏見がそう思わせるのかもしれないが、リンチだってぜったいそう思うようにもっていってますよ、これ。おばちゃんがカメラから消えしばらくすると「ドサッ」という音。ぜったいあのおばちゃん、殺されたんだと思うようにもっていってますよ。違うかなぁ。やっぱ偏見かなぁ。そういう類の緊迫感がところどころで襲ってくるんですよ、この映画。嵐の夜の稲光と窓の水滴がじいさんの顔に映される描写なんてホラーだし、橋を渡りきろうとする瞬間の映像のぶれなんかもSFホラーだし、最後の寝床は墓地だし。その「おちょくり」が好きなんだけど、もしこれがリンチの「おちょくり」じゃなく私のたんなる思い過ごしならせいぜい5点。でもたぶん、いや、どっちにしても個人的にはおちょくられた気になって楽しめたからいっか。鹿に囲まれて鹿を食うシーンはやりすぎ。笑ったけど。
[DVD(字幕)] 6点(2006-04-26 16:09:16)
177.  人生は琴の弦のように 《ネタバレ》 
琴を弾き続け千本の弦を切ったとき、琴に潜めた処方箋によって目が見えるようになる。決定的なネタバレになりますが、結果は目が見えるようになることはなく落胆します。しかし彼の人生が全く無駄なものだったのかといえばそうではない。その証拠に彼は弟子に千二百本の弦を切れば・・・と伝える。盲目の人間にとっての過酷な人生を生きてゆくための目的を与えている。ところが弟子はその生き方を拒否する。人に目的を与えてもらうのではなく、信じる道を自ら選択しようとする。これもまた人生。中国激動の時代を生きたチェン・カイコ-は当時の政策を映画の中でよく暗喩的に、あるいは物語の悲劇性をもって批判している。この作品も、あの理想を掲げただけに終わった時代のうねりはいったいなんだったのか?という批判。そして、その中を生きたことはけして無駄にはしたくないという想い。さらに個人の意思を持つことの大切さをこの映画は説いているように思う。静かなる大地と激しすぎる黄河の濁流もまた「人生」を象徴する。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-10 19:12:47)
178.  始皇帝暗殺 《ネタバレ》 
タイトルどうり、荊軻による秦王政暗殺未遂事件の映画化であるが、暗殺者と標的の間に女を一人入れることでドラマチックなストーリーにしている。標的は後の始皇帝であり、この人物がいなければ中国の統一は無かったと評されるほどの大人物であるにもかかわらず、その暴君ぶりや実績以上に男女の想いがメインに語られてゆく。壮大な歴史劇にはせずに「人」に焦点を当てた描き方は個人的には好きです。しかし全く立場の違う男二人と、その二人を出合わせる役目の女という三者が食い合いをしてしまっている。存在感がダントツのコン・リーが脚本上でもメインに描かれてこそ事件の主役たちが活きてくるのにって思った。それか女を削って史劇に撤するか。
[ビデオ(字幕)] 5点(2006-04-05 19:32:45)
179.  北ホテル
安ホテルに集う庶民の日常が情感たっぷりに描かれていても、核は恋愛ドラマというのがいかにも古き良きフランス映画という感じ。後年の『天井桟敷の人々』でも思ったが町並みのセットが非常にリアルで、またエキストラによる活気ある賑わいによってかもし出されるアメリカの恋愛映画にはないリアルな情景と、男女だけが映し出されるときの甘くせつない虚構の世界の交錯が独特のフランス映画臭(勝手な思い込みアリ)を放つ。悲しくも晴れやかなエンディングが印象的。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-30 17:18:17)
180.  豚小屋 《ネタバレ》 
古代と現代、2つの時代を同時進行させながら、それぞれの主人公の禁断の欲望を描いてゆく。しかし、交わらない2つのエピソードが獣に食われるという最期で交わる構成の中で、欲望の哀れみ以上に欲望を作り出す環境、そして欲望を持ってしまった者を排除するエゴこそが重くのしかかる。そのことでこの作品はとんでもない深みを持ち得た。とくに現代のエピソードは古代以上に複雑に荒んでいる。左右対称に描かれる構図の中で人間としてのバランスを欠いた、いびつな資本主義が横行する様は、進歩無き人類というよりも悪化の一途をたどる人類という感じがしました。2つの時代を描くことで人の愚かさの深遠と進行を描いている。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-03-16 14:20:43)
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