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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1.  愛、アムール 《ネタバレ》 
奥さんの昔の教え子のピアノコンサートへと出向くところから始まる。というわけで前半はとくにクラシック音楽がよく耳に飛び込んでくることとなる。しかし悲しいかな常に音楽は無残にも途中でぶつりと打ち消される。出来の悪い監督がしかねない編集だ。しかしどうもハネケはわざとしているようである。そのことを強調しているシーンが奥さんが教え子のCDをすぐにストップさせるシーンだ。なるほど、過酷な現実の前ではしょせん娯楽にすぎない音楽ないしは芸術というものは必要ないのだ。芸術の敗北を描くための過酷な現実のあれこれだったのか。映画監督が芸術の敗北描いてどーすんの。と思ったら老夫婦のある意味真っ当であるといえる衝撃の結末を見て、いやこれは芸術の敗北ではなく、芸術を愛せない、芸術を必要としない、芸術が理解できない、そうなったらもう生きる価値がない、生かす意味がない、そんな辛辣な思想をもって「人とは」「芸術とは」に迫っているのかなと思いなおした。ハネケらしい厳しい視点だと思ったが実際のところは知らん。エンディングロールに音楽は流れない。
[映画館(字幕)] 7点(2013-03-14 15:54:03)(良:1票)
2.  クロエ(2009) 《ネタバレ》 
アトム・エゴヤンは「愛する者の死」と向き合う人々を描き続けてきた作家である。この作品はそのテーマからやや遠のくものの感動的なラストカットはやはりそこに行き着いているようにも思えます。また、日本未公開作品については未見のため断言できませんが、アメリカ資本が入った『秘密のかけら』以降は「虚実」もまた重要なテーマとしているのかもしれません。相変わらずこの監督の物語構成に必要不可欠な回想シーンと必要以上に鏡を使った演出が物語をミステリアスにしてゆきます。女二人が密会するカフェやバーのシーンは本当に美しく、窓外の光、室内の照明、さらに画面手前の二人がいるところの照明とそれぞれ異なる光を一度に見せてしまう奥行きのある画づらにはやられました。窓の外に見える雪がその後の運命のずっこけを起こさせるという構成にも唸らされます。物語がどっちに転ぶの?そっちかよ!という展開にどうでもしてみたい監督の毎度のこだわり(?)が若干曲者ですが、今作は大筋が至ってシンプルなこともあってその展開自体も大いに楽しめました。
[DVD(字幕)] 7点(2012-09-28 14:57:36)(良:3票)
3.  悪の華 《ネタバレ》 
やはりこの作品もまた決定的な画を最初に見せて、そこに行き着くまでの経緯を本編とする。そしてその前もって知らされた決定的なシーンが最後にやってきたときはやっぱり驚かされるのだ。シャブロルの他の作品同様にその決定的なシーンとそれまでの物語は一見繋がらないように見えて実に巧妙に繋がってゆく。そして『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』でも思ったがシャブロルはブルジョアの中に悪意の無い悪を描くのが実にうまい。ブルジョア階級のあっけらかんとした愛のカタチを嫌味なくさらりと見せる。そこには大袈裟な退廃の美なんてない。しかし隠された過去が明かされれば自ずと現代と過去の近親相姦はブルジョアの退廃つながりという構図を露呈させる。またその過去シーンだが、音声のみのフラッシュバックによって実に想像力を刺激されると同時に大いにサスペンスに寄与している。
[映画館(字幕)] 7点(2011-09-02 14:22:42)
4.  引き裂かれた女
リュディヴィーヌ・サニエが好き。どの映画でもかわいい。そしてエロい。初老のオヤジがこの小悪魔ちゃんに翻弄されるのかと思ったら初老のオヤジの前で小娘と化すサニエ嬢。中年男の夢。なんて素晴らしい。といってもエロい画はスクリーンに映されない。私の脳が勝手に補完して私を悶絶させるのだ。なんていやらしい。シャブロルの映画であることも忘れ、夢の世界にどっぷりとはまる。でもこれもシャブロルの罠だった。いつものシャブロル映画のあっけない終幕が待ち構えているのだ。またしてもやられた。またやられたい。その後のエピローグにはそんじょそこらの監督には真似の出来ない軽やかさがある。常連ブノワ・マジメルがボンボンを好演。
[映画館(字幕)] 7点(2011-09-01 15:43:09)
5.  石の微笑
またしてもやられた。最初に誘拐報道があるのにすっかりとそのことを忘れさせてしまうその手口に。わけのわからない不穏を纏いながら母子家庭ゆえの些細な諸問題が描かれる。そこにはファムファタルとしか言いようのない女を招いてしまうことになる男の性が描かれている。例えば冒頭、息子と母親の執拗なまでの切り返しで見せる会話よ!ただ親子の会話があるだけなのに、あきらかにその映し方は「異常」を演出している。映画はいずれ終幕へと向かう。物語全てがその終幕を演出している。いつものシャブロルの映画のように。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-31 14:49:05)
6.  沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇 《ネタバレ》 
例えば『主婦マリーがしたこと』のギロチンは物語の結末にあるのに確かビデオパッケージには「フランスでギロチンにかけられた最後の女」みたいな文句が書かれておりあらかじめそのことを知らせてしまっている。にも係わらずその唐突感に驚いたものだ。例えば『引き裂かれた女』にしても同様、実話を元にしていることから衝撃的な事実を隠すことなく、それでいて堂々とクライマックスに持って来ておきながらやはり驚かされた。この作品の邦題を見ても「惨劇」とあるのだから惨劇があることが当然予測されるだろうにいざその惨劇が来るとやっぱり驚かされるのだ。まずシャブロルの映画の特徴でもあると思うのだが、事件が起こってからその犯人を捜すサスペンスというのではなく、事件をクライマックスにそこに行くまでの経緯を描いている。驚くべきはそのクライマックスとなる事実を隠そうとしないところ。それでいてやっぱり驚いてしまうってのはどういうことなのだ。シャブロルはけして驚かそうとはしていない。途中で発覚する難読症という決定的な動機の根源を驚きでもって見せようとしないのだから。物語は「経緯」で埋もれている。が、その「経緯」は物語であってけして「説明」ではない。そこにシャブロルのサスペンスの面白さがあるのかもしれない。二度目三度目がさらに面白くなる映画だ。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-30 14:38:44)(良:1票)
7.  主婦マリーがしたこと 《ネタバレ》 
シャブロルの映画で初めて見たのがこれ。かなり前だ。正直、イマイチだと思った。去年シャブロルが亡くなったことで追悼の意もあるのか最近になってシャブロルの映画がたくさん上映されるようになったがこれがどいつもこいつも面白い。なので見直そうと思ったんだけど近所のレンタル店に置いてませんでした。残念。ナチス占領下のフランスで戦地から帰ってきた夫の無職状態、それでも子供二人を育てなければならない状況、堕胎が違法という女性困難の時代等を鑑みても主人公の行動は肯定すべきものとしては描かれていない。どちらかというと悪女として描かれていたはず。女性のための堕胎ではなく金のための堕胎。生活のための金ではなく歓楽のための金。だから「彼女に罰を」と思って見てたら死刑という結末に唖然となったのを覚えている。結局のところ、女が欲望のままに罪を繰り返す犯罪映画で、その根源に戦争があったという描き方なら良かったのだが、犯罪映画である以上に国家の犠牲者としての側面がクローズアップされすぎていて私にとっては面白くなりそうで面白くならないってことになってる。一般的には傑作ということのようです。
[ビデオ(字幕)] 5点(2011-08-29 14:45:06)(良:1票)
8.  ロルナの祈り
下層で生きる登場人物たちを、まさに言葉通り追いかけてきたダルデンヌ兄弟のカメラが今回は追いかけずに止まってる。最近流行の手ブレ映像は苦手だが、ダルデンヌの映画で揺れないとなんだか物足りなかったりして・・。いつも社会の底辺を生きる人たちを描いている一番の理由は、何がしかのメッセージを映像に乗せること、ではなくそこに彼らにとっての映画的なるものがあるからに過ぎない。今回の揺れない映像にそう感じた。彼らの揺れるカメラはいつも痛々しく、生々しく、緊張感に溢れている。そこに悲痛な叫びを感じることもある。しかしその叫びの内容よりも叫びを感じたようにさせることが重要なのだ。メッセージ性よりも映画の醍醐味を優先していたのだと改めて思った。今回は動かないことでどこか第三者的な冷めた視点に感じる。叫びを聞き取ろうとせずにただ見つめるカメラは我々そのものなんだと思う。そしてそれは映画の限界を表している。観客はただ見るだけで、画面に入っていって助けてやることなんか出来ないのだから。ラストでダルデンヌの映画で初めて音楽が鳴る。だってこれは映画なんだから、とでも言うように。ある意味、こっちのほうがきついかも。
[映画館(字幕)] 7点(2011-08-11 15:00:52)
9.  骨(1997)
今のところココでの平均点が高いとは言えないこの作品が、そしてこの作家が、多くのシネフィルたち、あるいは映画作家たちから絶大なる賞賛を浴びていることをまず書いておきながら、やっぱり私も6点どまり。以前に驚きと戸惑いと共に見た『ヴァンダの部屋』(これも6点なんだけど)と比べれば実にドラマチックで物語だけでもじゅうぶんに面白いはずなんだけども、悔しいかなどうしても退屈なのである。画面に映っていない世界、つまりフレーム外を意識させる音の演出にしても『ヴァンダの部屋』の映されているものよりも映されていないもののほうがメインのような音の演出を先に体験してしまった者からすればなんだか物足りない。にしてもその筋では大絶賛の人。それなりの理由があるはずなのだ。むりに同調するつもりはないけども、退屈さを凌ぐ何かがあるような気もする。その何かを期待してペドロ・コスタをまた見たい。
[映画館(字幕)] 6点(2011-07-26 16:30:34)
10.  ツーリスト
まさか「監視」から始まるからってこの監督の名前が挙がったってことはないだろうが、ハリウッド映画とはあまりにかけ離れた『善き人のためのソナタ』の監督がなぜ選ばれたのだろうか。結果としてはハリウッドの監督よりもいい味が出てるかもしれない。巻き込まれ型サスペンスであり、その巻き込まれる人ジョニー・デップの登場が列車の中ということもあってヒッチコック映画を彷彿させたりもするのだが、それを置いておいても豪華に着飾るヒロインといい、そのヒロインに心底惚れた男がいるなんて設定がどこか一昔前のハリウッド映画を彷彿させる。この一昔前ってのが外国人監督ゆえの味付けなのかなと。それにしてもあのアンジーのメイクはなんなのでしょう。これも「一昔前」の演出なのでしょうか。それとも今の流行?ひたすら怖かったんですけど。あれでアップは勘弁。
[映画館(字幕)] 6点(2011-06-01 15:36:35)(良:1票)
11.  ベティの小さな秘密
原作がそうなのか脚色の自由を与えられた脚本がそうなのか、それとも監督がそのように撮ったのかどうか知らないが、どう見たって『ミツバチのささやき』のパクリではないか。否、リスペクトの表れだとして、『ミツバチのささやき』を想起させちゃうというのはこの作品にとってはマイナスでしかない。少女の孤独、絶望、そして成長があまりにわかりやすくそれぞれの事象でもって描かれてしまうその安易さがやたらと際立ってしょうがない。とは言うものの森の緑と少女の赤いコートのコントラストが印象的で、おとぎ話的な印象を持たせることにも成功しているその色使いは素晴らしかった。ベティ役の女の子もかわいい。
[映画館(字幕)] 6点(2011-05-16 17:18:15)
12.  ブンミおじさんの森 《ネタバレ》 
なんの変哲もない森が夜になると全く違う森になる。ブンミおじさんはその「夜の森」を知っているから何が出てこようと驚かない。猿の精霊だろうが幽霊だろうが。その驚かないリアクションが妙に可笑しい。行方不明の息子が猿になってるんですぜ。まるでコントだ。見てるこっちはその着ぐるみ猿にどう対処すればいいのか。『トロピカル・マラディ』の夜の森に浮かび上がる虎とは大違いのほのぼのとした異世界の人たちが描き出される。我々ですら戸惑うこの世界、輪廻転生の考え方がないキリスト教圏での驚きはもっと凄いのかもしれない。驚きといえば最後の展開。日常という退屈な時間が映され続けたかと思ったら、いきなり非日常の出現。そのまま非日常は現代のタイの日常の中に溶け込んでゆく。異世界が世界の中にあるように、日常の中に神秘がある。感慨深く心地良く、それでいて驚きに満ちた映画であった。
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-26 14:47:00)(良:1票)
13.  アンチクライスト
最後に「タルコフスキーに捧ぐ」とあった。森が歪む映像なんかはソクーロフ(タルコフスキーが擁護した)を想起したんだけど、動物の使い方やオカルトチックな流れや何よりも森そのものから生まれるサスペンスなんていうのは確かにタルコフスキーの映画だ。しかし「神」が「悪魔」にとって変わっただけでタルコフスキー的なるものがトリアー的なるものへと変貌する。列車と催眠術は初期トリアーの定番アイテムだし、セラピーというアメリカ映画の定番を皮肉った展開にもトリアーの影を感じなくもない。ましてやアメリカ人俳優ウィレム・デフォーの災難ときたら・・。でもトリアーの映画の面白さは映画の可能性を提示しているところにあるのだと思っている私にとっては今回のはいまひとつな作品。今まで映画ではあまり見た記憶がない1シークェンス全てスーパースローモーションとか列車のシーンに見せたサブリミナルぎりぎりの映像とかも奇抜なれど新しくも面白くもない。それでも私にとっての十分な合格点に行き着いたのはラストシーンの壮大な画につきます。あれは凄い。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-18 15:55:26)(良:1票)
14.  ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン
ホウ・シャオシェンは『珈琲時光』のときに小津の真似をせずに自らの演出スタイルで東京を描いたように、今回もけしてラモリスの真似をせずに今のパリを描く。長回しで見せる現代の喧騒を静かに見守る赤い風船。いつもの彼の映画のように物語以上に物語の根底となる生活が描かれる。小さな苛立ちや不安が生々しく、それでいてそれらを支える優しさやその中を生きる力強さがしっかりと映し出されている。そしていつもの彼の映画のように電車はこの映画のために適格に動き、建物はこの映画のために完璧にそこに立ち、光はこの映画のために最適な量で差し込む。そうとしか思えないように作られている。風船もまたラモリスの風船がそうであったように抜群の表情を見せてくれる。 
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-15 16:17:02)
15.  コッポラの胡蝶の夢
映像がとにかく美しい。夜道が青い画調の中で光り輝くシーンの美しいこと。時代を感じさせるくすんだ色も素晴らしい。暗闇とソフト帽がノワールの香りを、幻想的なストーリーと静かな語り口が文学の香りを発散する。セピア色に映える女優の顔は美しさと儚さを演出する。色調にはかなりの拘りを感じる。どこからも詮索されない環境で作るとこんなのが出来ちゃうのかという驚きと納得。かといって自己満足にかたよりすぎずにちゃんと「見せる」映画に仕上げているのは娯楽の王道のトップを走ってきたコッポラゆえか。素晴らしいです。
[DVD(字幕)] 7点(2011-04-14 16:33:18)
16.  パトリス・ルコントのDOGORA
前知識なしで見始めた途端に失敗したと思ったのだが、見るのをやめようと思いながらもやめれずに結局最後まで見ちゃった映画。とくに新しいとも面白いとも思わないんだけど、惹きつけるものはある。音楽と映像のコラボレーションも面白いのだが、漲る生活力とでも言おうか、生命力という響きから伝わるものよりももっと生々しいものを映し出した映像そのものこそがこの映画の最大の魅力だと思う。ずいぶん前に見たものなんだけど、たくさんの家族を乗せて走るバイクとか水辺を歩くシーンとかけっこう鮮明に覚えている。視覚的にも魅力的な画がたくさんあって、なにげない日常が美しく映し出されると、世界には「美」がいくらでもあるんだなんて思ったりもした。「世界」とか「人間」とか「生きる」ってこととか全肯定したくなる映画。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-13 13:50:18)
17.  ゴダール・ソシアリスム
画面いっぱいの海。画面いっぱいの波。玉虫色の船内カジノ。風が奏でるノイズ。エロおやじのような少年。あいかわらずのぶつ切り音楽。あいかわらずのパレスチナとホロコーストとピアノの音。あいかわらずの映画の引用。そしてなんのこっちゃなお話。前作『アワーミュージック』で「別格」であることをまざまざと見せ付けたゴダールであったが、今回私の中のその「別格」というハードルが仇となったのか、どうにもこうにも面白くなかった。見ているあいだじゅう、あまりのつまらなさに3点とかつけちゃおうかとも思ったのだが、いちいちハッとさせられる美しい映像に、或いはオオッとうならされる見たことのある画面にまたしてもしてやられるのだ。船の濡れた床の美しさにはびびった。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-11 15:06:10)
18.  リスボン特急 《ネタバレ》 
フランス映画というのは世界で一番美しい響きを持つといわれるフランス語を多用することが多い。実際またフランス語は映画によく映えるのだ。しかしメルヴィルのノワールはいつも寡黙な男たちが淡々と自らの仕事をこなしてゆく様を映し出す。とくにこれと『仁義』は登場人物全員が寡黙ときた。冒頭の銀行強盗シーンから逃亡劇、後のリスボン特急での強盗と、もくもくと仕事をこなす男たちをひたすら映し続ける。リスボン特急での着替えをカットを割らずに延々と映しているのには半ば呆れたが、あそこを省いたり短縮しちゃうと緊張感を出すところが無くなるんですよね。アラン・ドロンは本当にただいるだけって感じなんだけど、この人は黙れば黙るほどに存在感が際立つ。一番好きなシーンはこれから襲う銀行が映されるまでの海と道と建物が映されたオープニングの静けさ。二番目に好きなのが何も語らずに車に乗り込み去ってゆくドロンが映されるエンディング。頑なに言葉を廃した映画であった。
[DVD(字幕)] 7点(2011-03-11 17:09:31)
19.  オーケストラ! 《ネタバレ》 
よくあるサクセスストーリーの様相をしているがその根底には旧ソ連時代の政治的抑圧による悲劇がある。この暗部を喜劇の中にさりげなく潜りこませた巧さを評価するべきか。個人的には過去の悲劇性がもっと強くてもいいかなと思う。まあでも、そこで物語が大層になってもつまらないのでやっぱりいい塩梅なのか。全体的に駆け足感があって強引に終結しているように感じるが、その流れそのものでロシア人気質を表現しちゃうあたりも巧い。不快感露わのメラニー・ロランをジプシーバイオリニストが演奏一発で羨望の眼差しに変えるシーンがいい。それは映画ではなく音楽の力なんだろうけど。現在小さな楽団に所属するうちのヨメさんもこのシーンとラストの演奏だけを何度も見てる。ここまでくると映画ではなく音楽を聴いてるわけなんだけど。私も素人ながらにやっぱりいいなあと思うわけで、母親譲りの独特の音の出し方であることをわからせる演出があるけれども、それがなくてもなんとなく独特だよなと思わせる音楽そのものにやっぱり感動するわけです。
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-23 16:48:17)
20.  アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 《ネタバレ》 
十字架は美しい。なぜなら十字架は「痛み」を通過しているから。本物の「美」とは「痛み」を通過したもの。らしい。芸術家は猟奇殺人犯となり作品に「痛み」を与え「美」を完成させる。その男に同化したジョシュ・ハートネットの役どころは「美」を知る者といったところか。地獄を見てきた末にマフィアのボスとなったイ・ビョンホンは癒しようのない「痛み」を抱えて生きている。木村拓哉は全ての「痛み」を受け入れる現代のキリスト。つまり「痛み」を抱え続ける者と「痛み」を受け入れる者の拮抗を、そこに「美」を見出す者というSM的な感受性を持った男が見て興奮する物語、なわけないが遠からずではないか。にしても十字架にはりつけはともかく、「ファザー!」とか「許す」とか“僕キリストです”てのが露骨すぎ。「美」といえばトラン・アン・ユン監督の十八番。監督が自らの武器であるところの映像の美しさについて、上っ面の「美」じゃないよと宣言しているかのよう。
[DVD(字幕)] 5点(2011-01-25 14:27:07)
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