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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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1.  勝負をつけろ 《ネタバレ》 
「ラ・スクムーン」(1972)は、こちらもベルモンド主演の同原作映画(リメイク版)。 しばしば比較される両作品であり、自分も先週リメイクを観たばかりなので、いろいろと比較しがちなレビューになってしまうのですが、個人的にはオリジナルの本作品の方が良いと思いました。(以下リメイク版のネタバレありますのでご注意を) 本作のベルモンドは当時28歳。やや細身かつ猫背気味の姿勢のせいか威圧感に欠ける印象で、15分で閉店しろと指示を出すシーンでもその場にいたどの客よりも若いために見劣りしてしまう感覚もありました。 ただ、若さによるハンデはそこまででそれ以降は及第点と言えると思いますし、なによりも本作が良いのは登場人物それぞれの心情を丹念に描いたところにあると考えます。 リメイク版は物の破壊やバイオレンスシーンがやたらと多く目立った上にそのそれぞれのシーンもイマイチ迫力に欠けていましたし、爆弾処理のシーンの緊迫感も本作の方が格段に上だったと思います。 本作での終盤では、妹が撃たれるシーンが(無駄な抗争シーン等が少ない分)ストーリー上で際立っており、映画全体で抑揚が感じられたのが好印象。 そのままFINへの流れも、あっさりとしていながらも納得感のある締め方でとても良かったと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2022-09-24 01:22:05)
2.  ラ・スクムーン 《ネタバレ》 
ロベルト(ベルモンド)とグザヴィエが元々親友だったという設定がイマイチ掴めず、獄中のプロットに進んでからようやく物語に入り込めたという印象。 獄中での再会シーンの描写や、その前の法廷のシーンでもウインクをするのみといったごくあっさりとした描き方だったのが非常に気になってしまいました。 そもそもこの映画、ストーリーの緩急が付けられておらず、銃撃戦が映画内のあらゆる場面で繰り広げられてしまっているためにどこが終盤の盛り上がり所なのか全く分からないままエンディングを迎えているように思えます。 ハリウッド映画のように分かりやすくしろと言うつもりはないですが、エンディングの唐突感は自分が観てきた映画の中でもトップクラスの部類に入るほどです。 殴り合いなどのシーンも、例えば刑務所内でグザヴィエが看守に囲まれるシーンや砲弾除去の手前で泥まみれになりながら取っ組み合うシーンなどもイマイチ迫力が伝わってこないですし、またクラウディア・カルディナーレとベルモンドは撮影外では実は仲悪かったんじゃないかと勘繰ってしまうほどの冷めたキスシーンだった事も残念に感じました。
[映画館(字幕)] 5点(2022-09-19 14:19:09)
3.  オー!
フランス映画は大好きなのにフランスの犯罪映画フィルムノワールはちょっと苦手意識がありまして、この映画もその例に漏れずそんな感じ。 ストーリーはまぁ分かるんですが、共感も感動もできないし更に言えば鮮やかな犯行トリックもないしということで、どうしても物語に入っていける要素が見出せないままだった気がします。 オープニングのタイトルのフォントも映画の雰囲気に反して妙にポップな印象だし、スタッフ・キャストのクレジットの出し方もセンスがイマイチ。 組織のボスが銃で腹を撃たれたシーンの描写とか目ヤニを取る仕草とか色々と鼻につく演出が気になってしまい低評価にしそうなところでしたが、ここはベルモンド主役作品という事でオマケして6点。
[映画館(字幕)] 6点(2022-09-09 01:54:40)
4.  女性上位時代 《ネタバレ》 
冒頭の夫の告別式、悲しみなど全くないというモノローグに退屈余ってヒールを脱ぎ捨ててしまうカトリーヌ・スパーク扮するミミ。 このシーンでこれは緩~く観られる映画なんだなと、最初から肩の力を抜いて観ることができました。 カトリーヌ・スパークは、冒頭の喪服姿から始まり、テニスウェアや部屋着やパーディードレスなど衣装だけでなく髪型も七変化かそれ以上のバリエーションで出てきてくれて、ストーリーは二の次でそれを楽しむという見方もありだと思います。 序盤、亡夫の所有していたマンションの一室に行ってみると、出てきたのは亡夫の変態プレイの映像の数々(まぁ、プレイ内容はともかくとして、それを第三者に撮らせていたというのが個人的にはメチャクチャ面白かった)。 それはさておき、部屋に入ったミミを捉えるカメラワークの秀逸さはどうだろう。 特に全面鏡張りの寝室での計算し尽くされたカメラの配置や動き、照明の的確さやカットを入れるタイミングなど、素晴らしく良い仕事をしていると感じられました。 劇中では色々とアブノーマルな性癖が出てくる中、性を「勉強」していったミミが目覚めたのが、おんぶと馬乗りという可愛らしさ。 最後はほのぼのとしたエンディングで良かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2021-06-25 00:54:03)
5.  禁じられた抱擁 《ネタバレ》 
映画後半のセシリアの「二人が友達になってくれればいいのに」でデジャヴが舞い降りてきた。 観終わって調べてみると、だいぶ前に観たことのある「倦怠(1998)」と同じ原作とのこと。 自分にとっても17年前に観た映画なので内容はほぼ覚えていないのですが、男女の微妙な恋愛感情を描いた作品という印象で、本作の中でも例えば、カトリーヌ・スパーク扮するセシリアが一旦アトリエを出てすぐに引き返して戻ってきてキスをするという捉えどころのない感情表現が序盤から出てくるところからも難解な映画という印象で見始めたと思います。 ストーリーとしては、男女の恋愛話だけでなくお互いの両親も出てきたりするなど奥行きのある物語のように感じられ、また、序盤に出てきた実家の新人家政婦との“触れ合い”の描写も非常に官能的で上手いと感じさせる一方、野原で口論になった挙句に押し倒し金を握らせた途端に抵抗を止めたりする唐突な感情表現も出てきたりと、やや雑な部分も見え隠れしていた印象です。 終盤で、セシリアがアトリエを後にしたところでfineの文字が出るのですが、この直前の会話がまた微妙すぎて解釈に悩むところ。 映画全体で終盤のクライマックスらしきシーンが出て来ずに終わりを迎えてしまうというのはヨーロッパの映画ではよくありますが、本作はその中でも特に締め方があっさりとしていて驚きました。 原題「La noia」は原作と同じ「倦怠」だそうですが、邦題は個人的にはややいじくり回しすぎたかなと。
[映画館(字幕)] 6点(2021-06-24 03:09:09)
6.  相続人(1973) 《ネタバレ》 
ベルモンド、つまり命を狙われる側の人物像は、背景とか新聞社のやりとりとかを出しながら上手く描かれていたと思いますが、命を狙う側のキャラクター設定が確立されておらず、全体的なストーリーに難があると感じました。 ストーリーの後半まで観てみると、恐らくナチスドイツの残党の思惑が絡んでいると思われますが、歴史の知識が浅いために深くは読み取れなかったところはあります。 単純に大企業をつぶすとかそういった漠然とした意図しか感じ取れず、この辺りに改善が欲しかったところです。 ただ、枝の部分は総じて良いシーンが多く、序盤の麻薬入りの鞄のトリックは斬新で、ここでこの映画に対する期待感が増した感じはありました。 会議のシーンで、親父のイニシャルHC(Hugo Cordell)が刻まれた椅子に座るのを躊躇する仕草で感情を表現したりするところや、肖像画が次々と落ちて狙われていることに気付くシーンも芸術的な感性を感じますし、何と言っても最後の空港のロビーに向かうベルモンドと新聞が印刷されていくモーションのクロスカッティングは緊迫感絶大で凄く引き込まれました。 最後の最後、エンドロールで複数アングルのリプレー映像は完全に蛇足。
[映画館(字幕)] 5点(2021-05-21 00:34:33)
7.  リオの男 《ネタバレ》 
ん~、自分は「カトマンズ」はアクション・コメディ共に良かったですが、こちらはややアクションに傾倒しすぎてコメディの方にもうひと頑張りあればという印象。 期待した分だけ落差があったために若干低めの点数です。 大好きなベルモンドのアクションは相変わらず格好良く、乱闘シーンや飛行機から飛び降りるシーンなど後のハリウッド作品などにも影響を与えたというのも納得の冒険活劇です。 フランソワーズ・ドルレアック扮するアニエスがさらわれて空港まで追いかけるわけですが、運良く見つけることができた上にパスポートの提示もなしに国際線でリオまで飛べてしまうという謎の展開はもちろんご愛嬌。このコミカルなドタバタ劇にツッコむなんぞ野暮というもの。 ホテルの部屋からアニエスを救い出して監視していた男を部屋の外から扉をロックして閉じ込めてしまうのももちろんご愛嬌ですし、建設途中の建物を上へ上へと登りながら物を落として追手にぶつけるのも、よくあそこまで都合よく転がりやすいものが並べられてるなと、アクション活劇は楽しく見ることができました。 主演二人は、ベルモンドはストライドの大きい走る姿は見ていて格好良いし、一方のドルレアックもサンバのリズムの軽快なステップも見どころの一つだと思います。 余談ですが、当時のリオデジャネイロの開発途中の街並みが見れたのはある意味貴重ではなかろうかと。自分は行った事ないですけどね(笑)
[映画館(字幕)] 6点(2021-05-14 23:24:50)
8.  終着駅 《ネタバレ》 
話が冗長で散漫。観ていてイライラさせられます。 別れを題材に、それに特化した映画と割り切って観れば観れなくもないですが、彼らがそれまでにどんな恋愛をしてきたのかも知らされないままでの2時間弱は、やはりキツいのひと言。 演出も大味で、音の緩急(奥のテーブル席に着いた途端に完全に無音になるところなど)もかなり雑だし、線路を横切るモンゴメリー・クリフトと電車のニアミスのシーンの大音量の音楽や、その時のクリフト・ジェニファー・電車・周囲の人々のカット割りも何かイマイチな気がしました。 この時代の映画って、公共の場で何かあるとすぐに大勢が駆け寄ってきて一斉に注目するシーンがよく出てきますが、当時は本当にあのようにすぐに人だかりができたのでしょうか? それよりも何よりも、鉄道会社の車両管理がちゃんとしていなくて逮捕するとかの流れになって閉口させられるし(鍵くらい掛けとけっつうの!)、更に上役の判断待ちとかの話になった時点で、自分の中では即終了。 一応、惰性で最後まで観ましたが、エンディングも横移動するカメラが柱と交わった所でThe Endを出してしまうというセンスのなさ。 ていうか、別れのシーンだけでこれだけ最初から最後まで引っ張ってしまうと、落とし所に苦労するのも当然でしょう。
[映画館(字幕)] 4点(2016-07-06 21:32:23)
9.  ドイツ零年 《ネタバレ》 
映画全体を通して過度な演出や脚色がなく真実味を帯びた場面の連続に、監督の意欲やこの映画の持つ力強さのようなものを感じました。 やはり一番印象に残ったのは、少年が病院に見舞いに行ったときに毒をこっそり持ち出すシーン以降の全て。 少年が毒を盛り父親に飲ませるシーンでは、少年の表情に緊張感や不安げな気持ちを一切出さず淡々と無表情で行為に及んでおり、またその前のコップに毒を盛る場面でも彼の手元にズームインしたりということはせず、カメラワークにおいても必要以上に見る側の視点を誘導することをしていなかった所にもリアリティが生まれ、真に迫ったより良い描写になったと言えると思います。 前半では、幼いながらも自分が家族を養っていかなければならないという責任感が見てとれただけあって、亡くなった父親が運ばれるシーンと同時に廃墟で独り遊びをしているシーンでは子供らしい一面が感じられて良かったと思ったのも束の間、最後のシーンではまさかという衝撃で、ここはショックを受けました。 少年の先生が、役に立たない者はいなくなった方が良いという内容の言葉を少年に言っていた事も、少年が行為に及んだ後に先生に告白する場面で初めて思い出されるくらいのごく普通の自然な会話の中での台詞だったので、これも物語の演出が少なかったことの裏返しとも取れると思います。 映画を観ていて、ストーリーの中の何気ないアクションや画面の中で起こっている微妙な表現や描写方法など、解説を見ずともその場で感知できるような感性を身につけていきたいと思わせる映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2014-04-06 19:00:44)
10.  遥かなる青い海 《ネタバレ》 
ストーリーの冒頭にタナイ少年が治療を受けるシーンがあり、最後に核実験の犠牲になるというストーリー構成となっていますが、自分の解釈としては彼はそこで亡くなったのではなく、かろうじて生き延びて保護された(最初のシーンに戻る)、と捉えました。 ですので、ストーリー構成をあのように時間軸を逆にする必要は感じられず、基地を脱出して再び自由な海へ旅立って行く、という終わり方で問題なかったように感じられました。 主人公のタナイ少年はポリネシアの言葉しか知らず、出会った人々と言葉を交わすことなく交流していましたが、これが必然的に映像のみで表現することにつながり、まるでサイレント映画のような作品に仕上がっていたことが良かったと思いました。 心情表現も、少年の言葉で「喉が渇いた」とか「痛い」とかを言うことはせず、皮膚に水分が行き渡っていない状態を映像で見せるにとどめたり、うめき声を上げる程度に抑えていましたし、恐怖心を体を丸めることで体現していたり、島でいろいろと助けてもらい感謝の意を表す際もポリネシアの言葉を使う事すらなかったところを見ると、徹底した言葉の排除を窺い知ることができると思います。 勿論、魚を獲って「獲ったど~!」とか言われたら白けること間違いなしですし(笑)、女に向かって「愛している」などとのたまおうものなら失笑どころか怒りすら沸き起こってくるかもわかりません。 また、この映画の大部分を占める海のシーンがとても良く撮られており、タナイ少年が銛を持って海の中を泳ぐシーンや鮫を後ろから至近距離で捉えるカメラも良い仕事をしており、海の上のショットにおいても、鮫と格闘するシーンなどは、両者が同一画面に収められたショットはほとんど見られなかったにもかかわらず格闘時のスリルや切迫感などがしっかりと表現されていて、カット割りなどの編集作業でも良さを感じることができると思います。 同時に、言葉で表現する場面がない分、少年の心情を抉り出そうとするクローズアップが多く見られたのも、教科書通りの正しい用い方で、これまた良い仕事をしているように感じました。 音楽についても、エンニオ・モリコーネの名前がオープニングでクレジットされているので、意識して耳を傾けてしまいそうになりますが、物語や映像よりも前に出ることはせず、程良い塩梅で心に沁み入る感じです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-03-29 11:48:48)
11.  カジノ・ド・パリ 《ネタバレ》 
映画のレビューは映画の中身のみで完結させるべきだと考えてきたこともあって、映画の外側、要は時代背景や映画史をレビューに書くのは自分の中では反則なのですが、やはり同年代に作られた「フレンチ・カンカン」と似ているという事もあり、どうしても比較対象として意識してしまいます。 「フレンチ~」の方は、一応ミュージカルにジャンル分けされてはいるもののストーリーの一部に歌の一部が部分的に出てくる程度で、むしろダンスの方がインパクトが強い印象なのですが、本作の方はよりミュージカル色が色濃く出ており、ストーリーの単純明快さも手伝って気楽かつストレートに楽しめる作品だと思います。 劇中に出てくるミュージカル音楽はどれも総じて出来が良く、個人的には秘書を演じていたジルベール・ベコーの歌がどれも好きです。 また、メイン3人のキャスティングが完璧で、特にヒロインのカテリーナ・ヴァランテの陽気で溌剌とした姿が実に良く、会話のシーンでの自然な笑みを浮かべた表情などを見ると、彼女の出演した作品が非常に少ないのが残念に思えてしまいます。 ヴィットリオ・デ・シーカも上記二人に比べると脇役に追いやられてしまいそうですが、彼もまた適役と呼ぶに相応しい存在感を感じさせ、シンプルな内容の作品の中において安定感をもたらしてくれているような感じです。 ハリウッド製のミュージカル映画で見られるような、ここが見せ場だと言わんばかりに大勢で大合唱をしたりといったシーンがなかったのも自分の好みの要因で、それでいてとても晴れやかで楽しさに溢れた雰囲気は随所で感じられ、フランス映画がますます好きになってしまう、そんな一本でした。
[映画館(字幕)] 7点(2014-03-28 23:31:18)
12.  特別な一日 《ネタバレ》 
最初と最後に流れるキャスト&スタッフのクレジット画面なんですが、あの文字のフォントは何であんなにコミカルなんだろう? 映画の顔ともいえるクレジット画面って、大抵はストーリーに合わせたものであることが多く、自分の場合なんかですと、そういったオープニングクレジットを見て、シリアスな雰囲気だなぁとか、コメディっぽいなぁとか想像して物語に入るわけなのですが、ストーリーを鑑みて後から振り返ってみるとあのフォントにはどうにも違和感ばかりが出てきてしまいます。 映画全体を通して見てみると、良い部分と悪い部分とが入り混じっている印象で、序盤でヒッチコックの「裏窓」のような舞台で物語が始まり、カメラが建物の中へ「サイコ」のように入っていく長回しショットなんかはとても面白く見れたと思います。 最後にもまた同様に窓の外からカメラが入っていき、アントニエッタが寝室に行く時に一瞬電灯を見る動作をカメラで捉えることで、彼女の気持ちが依然としてガブリエレに向いている様を描いたような微妙なテクニックなど、いろいろと画面作りに対する繊細さを感じ取れた気がします。 他にも、シーツを畳む時に二人が近づいた瞬間や部屋の中で抱き合うタイミングであえて喧騒を大きく聞かせ、事が済んで画面が切り替わるとパッと音が消えて時間の経過を暗示させたりといった音の使い方をしているところは自分の中では好きなシーンのひとつです(その時にシャツの逆の襟が出ているのも、わざとらしいけど面白い)。 その一方、向かい合って卵料理を食べ終えた後に隣の部屋に移動すると、三人の娘と思われる絵と一人の女性の絵が飾ってある所で会話が展開されており、画面右手前にアントニエッタ、左奥にガブリエレ、そしてガブリエレのすぐ右隣に女性の絵という構図が出てきたのですが、このように普通に家族がいる事を暗示させるショットが出てきたにもかかわらず、ストーリーの中ではそういったことが語られずに終わりを迎えてしまっているところからすると、伏線の回収不足か又は映像に意味を持たせることへの無頓着さも感じられてしまいます。 女性の気持ちを考えると、愛のあるセックスの後に国家のためのセックスなんて、本当に死ぬほどイヤだろうなぁと思いますが、照明をリズミカルに順々に消してベッドに入るアントニエッタの淡々とした姿には女性の強さが感じられました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-02-20 22:44:20)
13.  靴みがき 《ネタバレ》 
「靴みがき」といっても冒頭だけで、映画の大半が留置所内での描写に終始してしまっているので、タイトルで損をしてしまっているように思えます。 その留置所内での出来事も、心理描写が卓越しているわけでもなく、目を見張るようなサスペンスが展開するわけでもないですし、また脱獄シーンにおいても緊迫感やスリルが増すような描き方には見えなかったためか、ストーリーの面白さで考えると特に惹かれるものは感じられませんでした。 同じネオレアリズモと言われる映画でも、もう少しストーリーに面白さが感じられる映画も存在している事を考えると、どうしても物足りなさは出てきてしまうと思います。 この時代の世の中では、弱者である子供がどうしても犯罪に走らざるを得ないような社会だったのかもしれませんが、少しリアリズムに徹し過ぎるような調子で進んでいたところがあったので、どこかしらでドラマティックな演出をするとか、特徴的なカメラワークを組み込んでみるとか、感情移入できるような人物を配するとか・・・していれば、より楽しめたのではと思いました。
[映画館(字幕)] 5点(2014-01-26 02:53:10)
14.  ストロンボリ/神の土地 《ネタバレ》 
いきなり結末についての考察になってしまいますが、バーグマン扮するカリンは夫のもとに戻るのでしょうか?「神様!神よ、私に力を!」と叫ぶところで終わってしまい、ここから戻るくらいならここで死んだ方がマシ、という意志の固さを自分は感じました。 映画の序盤に話を戻すと、カリンは「自由を求めてアルゼンチンに行きたい」と言い、また「私は文明社会の女」とも。 夫を捨て、噴煙を上げる火山を命懸けで乗り越えてまで女が手に入れたかったもの・・・自由とは一体なんだろうと、映画を観終わって考えた。 イタリア本土やアルゼンチンに行けば文明的な生活ができ、自由が得られると考えていたようですが、文明的な生活をすることが自由なのか? カリンは自分の中に新たな命を宿し、夫からの愛を受けているにもかかわらず、色目を使って本土へ逃れようとしていましたが、夫の愛や子供の命よりもそれは大事なものなのか?疑問を抱かずにはいられません。 また、島民の閉鎖的な気質も理解が難しい。よそ者だろうとお互いに助け合う精神が見えないのは何故なんだろう?あれほど自然災害が頻発する場所だと、大抵は協力し合う気持ちが自然と出てくるような気がするのですが。この住民の環境も映画用に作られたような気がしてならず、ヒロインの心情も含めて疑問点の多い物語のように思えます。 これを踏まえると、この映画の言いたかったことは一体なんだったのだろう??いくら考えても自分には分かりません。 一方で島での生活についてですが、こちらはかなりリアルに捉えている印象。 やはりマグロ漁のシーンは必見で、大勢で歌に合わせて網を引き、大量のマグロが水面に上がるシーンは圧巻。銛で巨体を船に引き上げ、幾重にも重なるマグロの姿。複数のカメラで捉えたこの一連のシーンは、自然からの恵みを享受し喜びに溢れる一場面と言えるでしょう。また、噴煙や土砂が村全体を覆い島民が逃げ惑うシーンも嘘偽りのない本物の噴火現場を撮ったと思われ、これほどの災害を生で撮影に挑んだ監督やスタッフ達の情熱には頭が下がる思いでありますし、最後の噴火口付近でバーグマンが火山灰を吸い込み咳込む姿を見ても並大抵でない苦労が伝わってきて、劇中でのカリン役の島を出るのだという強い意志とがオーバーラップし、自分がそれまで感じていた疑問など吹き飛んでしまうほどの圧倒されるような気持ちになりました。
[映画館(字幕)] 6点(2013-12-23 15:05:34)
15.  山猫 《ネタバレ》 
タイトルの「山猫」とはシチリア一帯を統治するファブリッツィオ家の紋章。劇中においても「獅子と山猫は去り、ハイエナと羊が生き残る」という台詞が出てきたこともあり、没落の象徴をタイトルに持ってきたことがよりタイトルに深みを感じさせているように思えます。 既に語り尽くされていますが、やはり後半の舞踏会の豪華絢爛さは素晴らしく、この映画の主題を踏まえて言うならば、最後の輝きを解き放つが如くの一大シークェンスでしょう。 貴族社会が時代の流れと共に地に落ちゆく様とバート・ランカスター演じるファブリッツィオ自身の老いとをシンクロさせることによる相乗効果で、主題となるストーリーがより引き立つような感じが出ていて面白く、しかも映画の終盤に進むにつれて、それが徐々に色濃くなりながら語られているところが凄く印象に残りました。(特に、小部屋にまで入り込んで来た数珠繋ぎでダンスをする若者の輪の中に躊躇いもなく溶け込んでいったタンクレディらと、動きの激しいダンスのそばを独りで歩く公爵の後ろ姿との対比!) 一方のタンクレディは、時流に順応する才を持つまさに次世代の担い手として相応しい男として描かれ、アラン・ドロンは他の出演作での貧しい中で苦労しながら生きる役よりも本作のような気品のある役でこそ彼の本領が発揮されると思いました。 またアンジェリカの方はと言えば、美しいとしか彼女を称賛する言葉が出てこないというのと(“美しい”以外には何もないというストーリー設定だから、当然と言えば当然ですが)、彼女が登場するシーンの時にはBGMが優雅な曲調に変わっていたのが誇張が過ぎる感じがして気になってしまいました。 やはり何と言っても、豪華絢爛さばかりが注目されがちな部分はありますが、広大な丘陵を一面に見渡すショットや、埃まみれの家で若者二人が密かに愛し合うシーンなど、オープニングクレジットから芸術的な場面が目白押しで、ヴィスコンティらしくどのシーンにも妥協を感じさせない力強さを感じました。
[映画館(字幕)] 7点(2013-02-03 02:45:41)(良:1票)
16.  白夜(1971) 《ネタバレ》 
全体を通してみるとなかなか自分好みの映画なのですが、序盤を振り返ると妙な違和感を感じます。 ヒッチハイクをしているシーンでカメラがパッと引いてみると他にも大勢の人が路上に立っていて笑ってしまうようなショットが入っていたり、花畑の中を鼻歌を歌いながら歩く主人公を見る人たちを捉えるカメラも主人公の男を滑稽に描いている感が出ているので、中盤以降では感じられなかったものの、映画を見終わってからの結論としては、女に振り回されたりして「男ってやっぱり馬鹿な生き物」という映画だったのかもしれません。 また、ロケーション撮影が多くそれだけで心地よさが感じられ、雨で濡れた道の光の反射具合や窓ガラスに映り込む街灯の光など、自然で微細な光が画面を慎ましく彩っていて現実的なイメージが感じられる一方、BGMは楽曲と一緒にミュージシャンたちも同時にス~ッとタイミング良く入り込んできたりしていたりと、逆にこちらは非現実的で御伽噺っぽさが出ていたので、不思議な演出をする映画だなぁと思いました。 最後は、下宿人が出てくるのはわかって見ていましたが、雑踏の中に紛れて現れるという過度に劇的な登場の仕方ではなかったのがかえって良かったですし、二人に対してのキスの仕方に差をつけるところなんか、いかにもフランス映画らしさが出ていて面白いですね。 街を行き交う女の尻を追っかけたりと本業が疎かになり、同じような所を描いていた主人公でしたが、ラストで色が塗られていない所に筆を入れる姿で幕を閉じていたのは、馬鹿な生き物ではあるけども、人生の再出発を感じさせる終わり方で感動的ですらあります。
[映画館(字幕)] 7点(2012-11-18 15:12:19)(良:1票)
17.  こうのとり、たちずさんで 《ネタバレ》 
国境によって人間の運命が変えられてしまうという事は、島国日本に住む我々にとっては夢物語のようで、にわかに信じ難い出来事のように思えますが、映画の中で起きていることは紛れもなく実際に現実に起きている事なのでしょう。 男女が一つになるという生命の本質に関わることが、国同士の諍いの具現である国境によって妨げられてしまう。こんな事があっていいわけがなく、他にどんな不幸がこの世にあるのだろうかと考えてしまいます。 川を挟んだ結婚式は平和の来訪の諦観の念、新郎新婦が再び出会う事を絶望視してのものなのでしょうか? 互いに連絡を取れずにいるにもかかわらず、一年の同じ日にしかも時間まで合わせて川岸で再会するなんて、渡り鳥が海を渡るとか、魚が生まれた川に戻るとかのような、何か神秘的な印象さえ感じます。 このレビューを書いているのが7月8日。前日が七夕だったということもあり、織姫と彦星の物語を連想せずにはいられませんが、バルカン諸国で現実に起きているこの物語はロマンティックのロの字もないほどに厳しく切ないものでした。
[映画館(字幕)] 6点(2012-07-08 19:09:39)
18.  殿方ご免遊ばせ 《ネタバレ》 
もう、タイトルからして駄作臭がプンプンとしていたのですが、この映画コメディーとして見ればなかなか面白い(と言うか、原題も素っ気無さすぎて、こちらもかなり微妙)。劇中でブリジットとかミシェル・ルグランという名前が出てきたり、終盤で見せる全くリアリティのないくしゃみなど色々と遊び心が感じられる作品で、中でも面白いのが、冒頭で乱暴な運転で警察に職務質問されるシーンでの一幕。「好きな人を追いかけているの。」に対し「追われれば逃げる。男とはそういうものだ。」と、違反を追及されるどころか愛の指南を受けるところなんかはいかにもフランスらしくて好き。 他にも、首相が撃ち落した鴨が二人の頭上に落ちてきたり、パーティー会場のウエイターの曲芸、殿下が人違いされて乱闘騒ぎになったシーンでのBBのアクションなど、コメディーとしての出来が良いので、BBを見るためだけの映画と位置づけるにはちょっと勿体無い気がします。 と言いつつも、この映画のBBのベストショットは背中のペンを取ってもらうシーンかな? 6点→7点に変更。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-30 13:42:55)
19.  青春群像 《ネタバレ》 
自身、フェリーニ作品は過去6本観ているのですが、後の「崖」「甘い生活」への布石を見ることが出来たような気がします。(なので、これより先はその2作のネタバレあり!) ストーリーなんて、まさに「甘い~」のはしり。だらけた日常や途中で知り合った純粋な少年の存在など“まんま”と言っていいくらい。ただ一つ異なるのが、天使像を運ぶのを手伝わされたりして一番目立たなかった男が最後に旅立つシーンで終わる事。ここは「甘い~」とは違い、将来への希望を感じることができたような気がします。 また、最後の方で、ファウストが家に戻り子供を抱いた妻のもとに近づいていこうとした瞬間に父親のフルショットにパッと切り替わったそのワンカットで、父親の凄まじい怒りを感じたのですが、ここで自分は「崖」のラストがふと頭に浮かびました。 ところで、原題「I Vitelloni」は、フェリーニの生まれ故郷の俗語で「のらくら」の意だそうですが、Googleの自動翻訳にかけてみると、何故かゴッドファーザーと出ます(笑)。
[映画館(字幕)] 6点(2012-06-09 19:51:06)
20.  素敵な歌と舟はゆく 《ネタバレ》 
ここまで面白さが感じられない群像劇は初めてかも。 それぞれの登場人物に関するエピソードにおいて興味を引かれる事が皆無で、またそれらの接点に関しても決してそこから話を広げていこうという意思も感じられないため、ただひたすら退屈で冗長な印象しか受けなかったです。 まず、登場人物の行動に不可解な点が存在していたと思うのですが、カフェの女店員が森の中に連れ込まれて襲われた後、その男が元カノにビンタされて大爆笑していたにもかかわらずデートの誘いを受けてしまう所とか、仕事でミスをした黒人の男が食事に手を付けなかったりした所など、他にも行動の動機が理解し辛い所がいくつか出てきていたのは、敢えてストーリーを構築するのを避けながら作ったからなのかもしれませんが、あまり面白いとは言えないと思います。 ただ、それぞれのストーリーに共通しているのが、仕事でミスをした黒人、皿洗いがテキトーでクビになったり盗みを働いて捕まった青年、屋敷の主人とイチャついてクビにされた使用人など、生きる上で何かと躓いている人たちばかりでしたが、彼らを皆救済しようという意思はないのか、ワイングラスを傾けながら楽しそうに歌を唄う二人だけがハッピーエンドを迎えてしまっているため、彼らの乗ったヨットのロングショットを見ても最後まで救われない人たちの事が気がかりで上手に締めくくっているとも思えず、結局最後まで良い所が見当たらない映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2012-02-05 00:06:25)
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