Menu
 > レビュワー
 > ミスター・グレイ さんの口コミ一覧
ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

-------------------------



表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : イタリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
「夕陽のガンマン」に続きイーストウッドは今回もおいしい所を持っていかれてしまっています。役得だったのは“The Ugly”のイーライ・ウォラックでキャラクターの面白さはもちろんのこと、彼には最大の見せ場が用意されています。ここで言う見せ場とはウォラックが不戦敗に終わるラストの三すくみのガンファイトシーンではなく(この緊張感も半端ないが)、その前にウォラックがお目当ての墓を目指して疾走するシーンです。どんなに動体視力が良くても、あのスピードでは墓標を識別できるわけないなどというヤボは言いっこなし。あの走りはお宝にたどり着くには必須のダッシュなのだ!
[DVD(字幕)] 9点(2012-06-30 11:47:29)
2.  夕陽のギャングたち 《ネタバレ》 
正直なところ、見ている最中は“なんて長いんだ。回想シーンは全て省き引き延ばしもしないで早く進めて終わってくれ”などと思っていたのですが…、ラストの暗闇にコバーンが一人で動き出すと、いよいよ閉幕感が漂い出し、ロッド・スタイガーと目が合い互いに笑顔で合図を交わした瞬間、“ああ、早く終わってくれなんて思って御免なさい。ずっとずっと続けばいいのに”と思い直したのです。それは2人がアメリカに行けないと半ば承知していたことが確信に変わる瞬間であるからです。瀕死のコバーンは急にしおらしくなりスタイガーに謝る。それに無言で応えるスタイガー。騒がしい戦場にふいに訪れる2人だけの空間に泣けてしまうのです。
[DVD(字幕)] 8点(2012-06-01 18:33:06)
3.  山猫
最も豪華な、最も優美な、あるいは最も壮大な映画は何か?と問われれば、それは「山猫」であると答えるでしょう。 画面の隅から隅まで、いやおそらく映っていない外側の部分でさえも雅であろうと思えるほどで、その一部たりとも隙のない華やかな世界で落日してゆく貴族をバート・ランカスターが見事に体現しています。本来なら全く興味が湧かない貴族社会の舞踏会の様子が永遠と描かれているのに退屈せず、特に心理描写があるわけでもないのですが、涙をながすランカスターに訳もなく泣かされてしまうのですから、これはもう凄いとしか言い様がありません。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-13 18:43:30)
4.  郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942) 《ネタバレ》 
白黒とはいえ綺麗に撮ろうと顔に当てられた光が強過ぎて、今見るとかなり不自然に見えますし、ジーノとエスパニョールの絡みや、のど自慢の件などの前半部はやや退屈で冗長ではないかと思いますが…それを差し引いても完璧と言わざるを得ないほど1カット1カットが驚くほどバッチリ決まっており圧倒されてしまいます。 例えば、これから男女の過ちが100%起きますよと言わんばかりの雄弁な出会いシーンの素晴らしさ。あるいはダンサーとの束の間の恋愛が描かれる場面では、ドキドキしてしまう美しいキスシーンがあるのはもちろん、彼女の部屋から辺り一帯の町並みの設計、人物の出し入れまでが鮮やかで見事としか言い様がありません。 ヴィスコンティ監督は処女作から次元の違いを見せつけてくれます。
[DVD(字幕)] 9点(2011-05-31 18:51:41)(良:1票)
5.  エリックを探して 《ネタバレ》 
郵便物の仕分け作業が遅くなった主人公の姿を皆が高い所から覗いている…。てっきりこの後、肩を叩かれて解雇通告されるのかと思いきや、そうはなりません。どうやら彼を救うことにしたらしく、いつものローチ作品とは違うようです。  昔、心の底から惚れた女性と復縁し、心酔しているヒーローと酒を酌み交わし、多くの友人に恵まれ、息子たちから尊敬され、悪党どもは叩きのめす…〝勇気を持って一歩踏み出せば大丈夫さ〟と男のロマン全開の甘美な物語なのですから厳しいローチ先生はどこへやら?という感じで、こうなるともうこれはファンタジーの世界で当然のようにカントナが登場してくるのですが、となればどうしても気になってしまうのがこのカントナの登場シーンです。  カントナは主人公の幻でオーディオプレーヤーのスイッチを魔法のように入れられることからも何でもアリの幽霊の如き存在で、他人には見えていないという面白い設定ですが、このカントナをどう見せたいのかがイマイチ良く分かりません(最初はわざと視線が交錯しないようにしているのかと思ったが、そうでもないようだ)。というのも彼は助言するだけの存在であり映画的な面白さがあまりうかがえず、上手く使っているとはいい難いからです。  “カントナ作戦”を決行する郵便配達人たちの過剰とも思えるパワフルな描写は凄いんですけどね。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-21 18:45:55)(良:1票)
6.  ウエスタン 《ネタバレ》 
ジャック・イーラムら三人組がロングコートをヒラヒラさせながら駅にヌッーと現れる最初の瞬間からもう面白さ最高潮でワクワクしてしまいます。やや尺が長い気もしますが(にもかかわらず物語は驚くほど単純だ!)、間の取り方は最高ですし、いずれのシーンも切るわけにはいかないほど素晴らしく、チャールズ・ブロンソンの顔のアップにしても刻まれたシワの一本一本が格好良く見えるほど決まっていますし、ヘンリー・フォンダの悪役ぶりは最高ですし、モートンがフォンダへの犯行を決意する場面などは感動的ですらあるとおもいます。 またこれは主人公の名前がハーモニカというだけあって音が重要であり無音状態の張り詰めた緊張感に到るまで耳をすませて見る映画です。  それにしても終盤にさしかかり男たちがそれぞれ去ってゆく様に、あんなに踊っていた胸がキュンとなってきてセンチメンタルな気分になってしまうのですから堪りません。
[DVD(字幕)] 10点(2010-10-26 18:06:50)
7.  ホテル・ルワンダ 《ネタバレ》 
実際に起きた悲惨な出来事を題材とし、いかにも〝これが現実です〟と訴えている場合、どこまで真実を語っているか検証したくなるところですが、これはドキュメンタリーではなく映画であり(おそらく映画というメディアを使い、娯楽に寄ることが世界中で大勢の人々に見てもらう最善の策なのだが)、ドン・チードルが否応無しに巻き込まれるサスペンスの要素が多分に強いため、ここではその問題は度外視します。  そしてサスペンスの面で言えば巧くいっているとは言い難いです。例えば、砦となるホテルの見せ方は外からも内からも不明瞭ですし、チードルは賄賂を武器に闘うわけですが、お金や物資や水が段々と底を尽きてゆく様を見せてくれないと切羽詰ってゆく感じが乏しくなります。また、赤十字の車が無惨に引っくり返っている光景を映し出しておきながら、そのあと車の主である女性が何事も無かったかのように普通にフレームインしてくるのもいかがなものでしょうか。 ・・・と、文句ばかり書いてしまいましたが、すっごく集中して見ました。しかし、それはおそらく〝映画〟の強さではなく現実に起きた題材の強さによるものです。そして私は結局、ホアキン・フェニックスが言ったように「世界は大変だね」と思うだけの普通の平和ボケ人間なのですが、それは棚に上げておいて、行動に移らないのは残念ながら映画の力が及ばないからだとも思ったり。
[DVD(字幕)] 6点(2010-10-06 18:41:41)
8.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
本作といい「ダ・ヴィンチ・コード」といい説明すべき事柄が多過ぎる為、こんな事を言っては元も子もないのですが、ダン・ブラウンの小説は映画化には不向きなのだと思います。…という原作の細部と比較するのはやめにしても、サスペンス映画として頂けません。謎解きのための彫刻を何の工夫もなしに義務的に映し出し、ほとんどの場面でけたたましいBGMによる緊張感の水増しをしています。それから私にはヴィットリアを演じた女優さんの魅力の無さはちょっと酷過ぎやしないかと思えてしまいますし(おそらく個人の趣味の問題を越えている)、監督の魅力的に見せようという配慮も欠けており、例えば貴重な文献を躊躇なしにビリっと破いてしまう快活さをもっと活かせなかったのかなと。 そんな中で良かったのはユアン・マクレガーですね。もはや危険な優男が当然になってしまったエドワード・ノートンよりも、純粋な少年ぽさを感じさせるマクレガーの方がより危うく面白いです。彼が初登場する時は、しっかり暗い影がさし、この聡明なカメルレンゴはただの善良な人物ではないことを暗示させています。
[映画館(字幕)] 5点(2009-05-27 18:24:36)(良:2票)
9.  荒野の1ドル銀貨 《ネタバレ》 
テンポ良くサクサク進んでいきますし、なかなか面白いところもありますし、銀貨や銃身の切られた拳銃などの道具の使い方も巧みで、これは意外に及第点はクリアしているなぁなどとエラそうに見ていましたら、最後にとっても素晴らしいシーンが待っていました。夜の暗闇でランタンを提げてずんずんマッコイに近づいていくゲイリー。マッコイはゲイリーを撃ちまくるですが、全くきかず寄って来たランタンの灯りで例の銃身の切られた拳銃だと明らかになり、さらに浮かび上がったゲイリーの顔が、その影で冒頭の頃のヒゲ面を思い出させマッコイにこの南軍兵は一体誰なのかを分からせるのです。これは面白いシーンですし、ゲイリーの弟の敵を討とうとする執念や、死んだはずである彼のまるで本物の亡霊のような姿に対するマッコイの恐怖がよくよく表れている場面だと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-23 18:12:14)
10.  コッポラの胡蝶の夢
一風変わった感じのする幻想的な世界が投影されており、その辺りはいかにも〝映画〟なのですが、コッポラ監督が一体何を言いたいのかいまいち良く分からなかったですし(夢幻世界の時点でもはやそこに明確なメッセージ性など存在しないのかもしれませんが)、また夢の世界では天地を逆転させていることなども面白い事とは思えません。例えば、ティム・ロスが夜道でナチス軍の研究医?に襲われるシーンなどはフィルム・ノワールを彷彿させるような雰囲気がある上に、青白い光が不気味ながらに美しく神秘的でなかなか良いのですが…そもそもお話自体が妙に哲学的で退屈であり、幻想譚の映像美が全体的にはいささか面白味に欠けているように思えます。ただ、最近のハリウッド映画などの作風とは明らかに一線を画しており何となく後に残る感じはします。特に印象的なのは、異世界のように鏡を使ったティム・ロスの分裂と彼の吸う限りなく短いタバコの煙が幻のような感じをさせるシーンと、ナチスの女との情事、それにやたら美しく見えたヴェロニカです。特に彼女の初登場の時、ティムにかけた声の鮮烈さは素晴らしく夢見心地のボンヤリ感から目覚めさせてくれます。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-17 18:18:37)(良:1票)
11.  この自由な世界で 《ネタバレ》 
社会の歪みの元凶は利潤追求にあるとでも言うように、他人を顧みない金儲け主義の人々の悪行が描き出されています。階級が低くなれば低くなるほど割りを食う残酷社会の中で主人公のアンジーもバイクにまたがりよく働きますが、彼女はケン・ローチ監督がたびたび描く労働者階級ではなく、成上がりであっても一段上で労働者たちを食い物にする搾取する側なのです。そんなアンジーも仕方なしと感じさせてはいますが彼女の表情というものはくすんで見え、それに対するようにポーランド人の移民青年は謝礼も受け取らず、物質的に貧しくも実に爽やかで自然体に見え生き生きと描かれているのです。というところからも本作は、視点が変わっただけでやっぱりどうして労働者たちの映画なのだと思います。無事丸く収まって運営しているように見える〝自由な世界〟ロンドンの裏には、寄るところの無い移民労働者の人々がたくさんいて、彼らは無視できない社会の大きな歯車の一つだという現実を強く訴えているのです。その証拠にラストショットは、再び労働者の斡旋を始めた主人公アンジーの表情で彼女の是非を問うのではなく、冒頭と同じく一移民労働者の不安と期待の入り混じった表情をとらえているのです。
[映画館(字幕)] 7点(2008-08-25 18:21:59)
12.  居酒屋(1956) 《ネタバレ》 
洗濯場での喧嘩や誕生パーティのバカ騒ぎのシーンに凄いパワーを宿しています(あの示し合わせた感じの無いちょっとしたバラバラ感が妙にリアル)。そこには品格とは無縁な生々しい野卑な人間が存在し喜怒哀楽がつめこまれているのですが、その辛辣な人間の、男と女の描写こそ人間の本質というもので博物館で芸術的な絵画を〝向こうにもっとイヤらしいヤツがあるぞ〟と走り回る、まるで中坊のような大人たちがとっても生き生きしています。だからこそ最後に呆然としているジェルヴェーズ(この女優さんが雰囲気抜群!)の姿は活力を失い死人同然のようで悲劇性が高まっています。さらに世代交代でラストに男子を引き連れて走る娘のナナの姿が、新しい人生の始まりと同時に繰り返される悲劇を連想させ感慨深いものとなっています。  ・・・余談ですが、確かゾラはこの娘のナナを主人公にした小説も書いていてそれも波乱万丈の人生だったような…生きるってことは大変です。
[ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-25 18:11:06)(良:2票)
13.  火事だよ!カワイ子ちゃん 《ネタバレ》 
基本的にはお役人を皮肉ったドダバタ笑いの連続で、お約束的なものが多くおそらく現代人にとってはラストのオチなど簡単に読めてしまうのでしょうが、その運びはなかなか絶妙です。水着を着た女の子が入ってくるタイミングの良さ、当然起こるだろうなと思っていた火事騒動も見事で、忘れた頃に室内パーティ会場から外の寒々しい雪景色で家がボンボン燃えているシーンに切り替わるあたりは本当に巧いと思います。それに金魚のフンの如く連なって歩くセクハラ親父消防士たちはそれぞれユニークですし、暗闇でクジの賞品を返せというくだりの辛辣さもなかなかです。
[DVD(字幕)] 8点(2007-12-14 18:16:26)
14.  無防備都市 《ネタバレ》 
いくつかのとりわけ素晴らしいシーンを別にすれば、映画としては格別驚くべき作品ではないとも思うが、政治的メッセージを込めた意味合いや、撮影当時の状況を考慮すると忘れられない作品だと思う。ロッセリーニ監督はこの後「戦火のかなた」と「ドイツ零年」を続けて発表しネオレアリズモの旗手となったが、本作は他の二作とは少しばかり趣が違う。例えば人物であるが、基本的にどこか傍観したような姿勢であるのに本作の神父さんは様々なシーンで性格が描写され感情的でもあり近距離だ。それに老人のベッドに武器を隠そうとするシーンなどはとても面白くなっている。だが逆に物語としては他二作よりは比較的ドラマティックではない。これは同じくネオリアリズモの担い手であるデ・シーカ監督(「自転車泥棒」や「靴みがき」)にも言えることだが、リアリズムと言いながらも物語展開は極めて劇的なのだ。もちろんこれらは皆あくまで映画であるし、過酷な社会状況を映し出したことやクローズアップを多用しない等の撮影方法、一瞬で失われる命、主人公たちに大団円が用意されていないという意味などでは現実的で娯楽映画とは一線を画すわけであるが。そんな中でも本作は、出来事自体も図ったのではない偶然の産物に思えドキュメンタリー形式に最も近くありのままの姿が映し出されているのだと感じられる。ただ、ラスト近くの拷問の場面、地獄のような責め苦を課す部屋の隣室に試練を受ける神父を挟み、その扉向こうは享楽に耽る娯楽室、さらに誘惑してくる容赦ない将校と同性愛の匂いがする不気味な女のキャラクターは狙ったように悪魔的だと思う。  それからこれは三部作通して言えることだが、決して同情を誘うような安易な存在ではない子どもの描写や使い方が突出している。途中のサッカーシーンやラストの射殺を見守る姿などすっかり心を動かされてしまう。  だが、私の最もお気に入りのシーンは神父さんが裸の女の彫刻と男の彫刻が向き合って置いてあるのを反らす何でもない場面で、喜劇的行動を出し抜けに挿んだロッセリーニのユーモアが何とも可笑しい。 
[DVD(字幕)] 8点(2007-11-05 18:15:51)(良:1票)
15.  素直な悪女 《ネタバレ》 
本作ではたびたび対象を画面の中央に捕えておらず、まるで固定カメラで傍観するような心持ちにさせられ〝何だよ~もう少しで見えるのに…〟というような窃視的感覚が生まれるのですが、これはチラリズムというものですね。BBの裸もバッーンと映すのではなく想像力をかきたてるように見せるあたりが巧妙で、まだ表情にあどけなさが残るにもかかわらずあの魅惑的な肢体が画面を支配しており眩しい限りです。そのBBがラストで踊りまくるシーンが圧巻なのですが、これは夫が彼女を平手打ちするシーンに対しているように思えます。と言うのも、この平手打ちは兄貴との喧嘩等のどの暴力シーンよりも痛々しく感情的に見え互いの愛の激しさの表われであり、これで彼女が家に戻ったのだと得心がいくのです。・・・それにしても生来の魔性の女を我が妻に演じさせ裸体をスクリーンに映し出したロジェ・ヴァディム監督は…やっぱり変態の気があるのでしょうね。
[DVD(字幕)] 7点(2007-10-23 18:10:11)
16.  オー! 《ネタバレ》 
〝ルパン実写版・犯罪は割に合わない現実編〟というような内容。裏社会の小物が殺人は犯さないと豪語する義賊気取りで成り上がり墜ちていくまでを短時間ながら要所をおえて描いています。ヒロインの突き放したような悲劇的な呆気ない最期などけっこう暗い所もあるのですが、映画は軽快なサウンドに乗せてどこまでも娯楽で進み男のロマンが息衝いている感じです。ジャン=ポール・ベルモンド演じる主人公はお洒落さんで少々すかしていますが伊達男っぷりはやっぱりカッコ良いですし、「冒険者たち」に続きロベール・アンリコ監督はジョアンナ・シムカスをとても美しく撮っています。個人的にはベルモンドが断った女と階段で擦れ違うシーンがお気に入りで、ベルモンドのシムカスに対する想いと下から望めるミニスカートの可愛らしい娘への欲情で悶々とするオーの気持ちがよく表われています。
[DVD(字幕)] 8点(2007-10-17 18:18:56)
17.  題名のない子守唄 《ネタバレ》 
トルナトーレ監督、六年ぶりの新作なのですが今までの心温まる寓話的作風とは無縁のとにかく辛い辛い現実的な裏社会の映画。これまでの囚われが夢であるとしたら今回は悪夢。このブランクの間にトルナトーレは一体?と思うほど題材も異なれば撮り方も若干今風になっています。何と言いますか物語やメッセージを伝えようとするあまり繊細さの欠けたような作りになった印象です。記憶をたどるように回想シーンを挿入するフラッシュバックは少々乱暴で、どうしてわざわざサスペンスタッチにするのか疑問に思いますし、たびたび使われる覗きという行為や階段という装置は好ましいのですが、どちらも昇華し切れているとは思えません。さらに主人公イレーナ視点で進みますが、過不足無く等身大の女を描写しようとしたためか悪の部分も大きく、イレーナ目線では物語に付き合い難い作りになっています。 ・・・それでも心情のような冷めた画面や残酷な描写による暴力の普遍的支配力、過酷な状況下にある悲劇性、強烈過ぎる愛は徹底していますしモリコーネの音楽は言語並の力を有しているので、子どものいる女性の視点から観たらもっと違う印象になるのかもしれません。例えば、自由の喪失を意味するように縛り上げられた自身の体験をなぞらえテアを縛り何度も押し倒す場面など鬼気迫るもので、愛があるとはいえ男親は娘に対してこんなこと絶対出来ないと思います。 ・・・それからもう一つ、ラストになってロマンチスト・トルナトーレが顔を覗かせます。イレーナとテアの再会シーンは両者満足げな表情で幕を閉じます。しかし現実としては、いくら濃い時間を過ごしても幼い頃の短期間、まして刑務所の壁に隔たれればいつしか疎遠になるというのが世の常でしょう?私はてっきりあの後ベッドで夢見るイレーナの姿が映るのかと思いましたよ。彼女に救いを用意したあたりが夢追い人トルナトーレらしいですね。 ・・・で、結局のところトルナトーレならば〝もっともっと〟ということでちょっと辛目に6点で。 
[映画館(字幕)] 6点(2007-09-28 18:27:47)
18.  ドイツ零年 《ネタバレ》 
戦時中ではなく戦後の瓦礫と化した街を映し出し、修復不可能と思わせるような戦争の深い傷痕を生々しく訴えています。厳しい状況でついつい喧嘩口調になる家族の苦しみ、なんの罪も無い子どもたちが被害者となっていく様子に胸が痛みますが、前半部に関しては特に印象深いシーンは無いです。しかしラスト近く、少年が家を飛び出したあたりからは圧巻。それまであまり描かれなかった子どもらしいあどけない一面を見せながら、さまよい歩く少年の姿はとても寂しく物悲しい。その果てに死体となった少年が無造作に横たわる姿は実に衝撃的です。・・・と、もう一つ気になるのは少年と教師のシーン。語られはしませんが、あの教師の子どもに触れる手つきは性的な匂いを感じさせとても気味が悪いのです。その上その場面では〝閣下〟なる胡散臭い人物も登場し何とも言えない異様さを覚えます。
[DVD(字幕)] 8点(2007-09-10 18:22:19)
19.  戦火のかなた 《ネタバレ》 
全六話の短編からなる作品であり、基本的にはアメリカ人兵士とイタリア人の市民や反ファシストを描いた反戦もので、物語自体はそれぞれドラマティックなのですが…かなり冷めた撮り方をしています。例を挙げると一話目、写真を見せようと火を点けたとたんに狙撃される米兵士と、殊勝にも復讐を試みるイタリア女。こんなにも心に響く状況なのに感傷に浸らせようとしないのです。それこそ例えば「駅馬車」で撃たれた賭博師の手から銃がポトリと印象深く落ちるように、アメリカ兵の手から写真を抜け落ちさせたりしていませんし、女も崖から落ちるシーンなど一切見せず、既に事切れてただの屍として横たわる姿を写し出すだけなのです。それは、あるいは二話目での何気なく子供へと落とされた靴を捕らえないのと同じであり、または三話目でぞんざいに捨てられる女の住所を書いた紙を追わないのとも同じであると思います。その本来なら注目すべきものを敢えて無視した一見、乱暴にも見える撮り方、冷めた演出が逆に無惨さや虚無を感じさせます。・・・ちなみに個人的には後半三話より前半三話の方が好みです。
[DVD(字幕)] 8点(2007-08-13 18:14:41)(良:1票)
20.  殺人カメラ 《ネタバレ》 
内容は簡単で極めて教訓的な喜劇であり、作中に出る説明文だけでオチまで読めてしまうくらいなのですが、神が世界を創造するかのように村のジオラマ作りから始まり、一つの世界が構築されていくシーンからして寓話的でユニーク。主人公はまさに迷走中で、常に走り続ける姿には味があります。死ぬ際のポーズの滑稽さは幼稚にして品がありますし、〝悪魔の世界も実力主義〟と嘆くヨボヨボじいさん悪魔などは同情したくなるくらいで、独特の皮肉とユーモアが笑えます。 ただ一つ残念なのは、一回だけ巻き添えに写してしまうところがあるものの、せっかくの〝カメラ〟という道具が単なる殺しの道具でしかなく、カメラという特性を十分には生かし切れていないように思えるところです。例えば、〝善人に集合写真を頼まれる〟だとか〝自分が写されそうになる〟とか…自己嫌悪に陥るくらいつまらぬ考えしか浮かばないのですが、そんなことです。これでは別にカメラでなくとも良かったのではないかと思ってしまうのです。 まぁでも、写真は魂を抜くという迷信もありますから。煙の出所は知りませんが、イタリアにもその手の迷信があるのかもしれませんね。
[DVD(字幕)] 7点(2007-07-17 18:22:37)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS