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61.  サウルの息子 《ネタバレ》 
皆さんの評価が低いのでびっくりした。主役のすぐ後ろにカメラマンが始終ついて回っていたはず、その不自然さを一切感じさせない一体感だった。サウルの向こう側で起こっている惨劇がぼやけたり、一部しか見えないのは、彼自身が全身全霊かけてそれを見ることを拒絶しているからだ。作業上、物理的に目こそ開けてはいるが、心の目が頑なに閉じている。それでも防ぎきれない惨劇の気配が、わずかなアングルを狙って画面の隅にするっと潜り込んでくる。この演出は、視聴者の怖いもの見たさの好奇心を刺激するのと同時に、サウルが五感の拷問を受けていることを示唆している。不完全な映像は、生死の悲鳴のようなメッセージに満ち溢れている。最小限の表現の巧みさに、本当に驚いた。    サウルが頑として放さない少年の遺体は、『キャスト・アウェイ』のウィルソン(バレーボール)のように思えた。川に入って遺体がサウルの手から流れていったとき、そのイメージは決定的になった。ぎりぎりの正気を保つために、彼には息子に見立てた少年の体が必要だったのだろう。   視聴中、気になったことが2点ある。1つは、筋の通らない奇妙な行動をとっているコマンドがサウルだけだということ。この状況下でラビにこだわり続ける彼の極端に狭い思考、言動は確かにおかしい。ただ、当人たちは気も狂わんばかりの腐臭を四六時中浴び、衣服も身体も臭気が染みついている上、いずれ我が身も殺される運命とわかっている。満足な休息もないままの過酷な肉体労働に、精神的拷問の連鎖・・・・・・視聴が進むにつれ、正常な理性を保っている他のコマンドたちの方が、かえって不自然のように思えてきた。  2つ目は、シャワー室へ先導されるユダヤ人たちが、なぜ無抵抗だったのかということ。現代では、衣類や壁に付着した煙草の副流煙ですら取りざたされている。ましてや大量殺戮後の死臭や吐瀉物、ガスの残り香などは、コマンドたちがどんなに洗い清めても落ちるものではない。なぜ誰一人、シャワー室行きを疑わなかったのか。惨事の予感はなかったのだろうか。子連れのユダヤ人もいただろうに、何の命乞いもなく渋々命令に従う彼らが、腑に落ちなかった。本を読めば多少事情がわかるだろうか。   とはいえ、サウルのように非人間的な任務を負わされ、殺害されていった人々が、歴史に埋もれることなく、映画によって光を当てられたことに大きな意義を感じた。同じ人間の一生とは到底思えない、ファシズムがもたらす狂気の恐ろしさを存分に味わわされた。
[DVD(字幕)] 8点(2018-04-24 23:55:07)(良:1票)
62.  わるいやつら 《ネタバレ》 
槙村(松坂)が初めて東京へ出たときは身がすくむほど怖かったと言ったのは、恐らく本当だろう。それがほどなくして男たちを手玉にとるまでにたくましくなったという点では、確かに群を抜いた魔性の女だ。しかも数ある悪女のうち彼女だけが、男を最後まで信用していない。なびくかと思えばはねのける、打算に満ちたカルメンだ。だから、下見沢がホセの如く彼女を刺殺するというラストに落ち着くのだろう。(冒頭で槙村が男に殴られるシーンがあったが、あれが彼女の本性を暴く最大の暗喩だったとは!)しかし、策謀は女性の方が数段上手なのに、あれよあれよという間に、数人もいっぺんに敵に回した戸谷は哀れという他はない。一旦男に愛想がつきた女の経済感覚は、決してみくびれないものだ。
[DVD(邦画)] 7点(2010-03-22 22:49:49)(良:1票)
63.  惑星ソラリス 《ネタバレ》 
死んだはずの妻が生き返って愛を確かめ合う・・・・・・そして、改めて妻は消えていく。この悲哀に満ちたストーリーに「雨月物語」のイメージがつきまとって離れなかった。そこへタルコフスキー監督関連のサイトを探してみたら、彼自身があげたベストテン映画作品の中に「雨月物語」が入っていたことに仰天! 彼の作品の中には、ほとんど必ずと言っていいほど叙情性あふれるしっとりした潤いが奥底に流れている。昔の邦画が大切にしてきた無駄な遊び、余韻を彼の作品群にも感じる。ソラリスの海の映像を眺めているだけで、ストレスを開放されるような、奇妙なアンニュイを感じた。難しい精神の理屈だけを問うのではなく、一篇の美しい詩として歌い上げているところに人気の高さがあると思う。
9点(2004-06-17 11:15:40)(良:1票)

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