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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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101.  レディ・イン・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
今回はついにオチ無しの直球勝負の物語。私は寓話大好きですから楽しめましたよ。シャマラン監督の言うように〝寝る前に子どもに聞かせる物語〟の要素がふんだんに盛り込まれています。簡単な筋書き、妖精、異世界、魔物、善人、悪人、異種のコミュニティの連携、聞く者を飽きさせない適度な波乱、〝職人〟や〝証人〟らの説明皆無の出現などなど。おとぎ話ですから幼稚と言えばその通りですが、主人公の再生がしっかり描かれています。『アンブレイカブル』や『サイン』も人間の再生物語でしたしシャマラン監督はもう現代の寓話的再生作家ですな。えっ?せっかく〝どんでん返し〟を卒業したのに新たな重荷になちゃいますか? ところで童話の原則である〝悪〟が映画評論家で、彼が餌食となるのは監督の日頃の憂さ晴らしでしょうね。ちょっと子ども染みていますが皮肉が利いていて洒落ています。偉そうに御託を並べていると私も何チャラ(名前忘れた)に襲われるかもしれません。夜のトイレタイムは快適に過ごしたいのでこの辺で失礼します。
[映画館(字幕)] 7点(2006-10-06 18:24:07)(良:1票)
102.  アウトレイジ(2010) 《ネタバレ》 
まずタイトルが出るまでのオープニングがとても良いです(この冒頭部が最も好き)。〝全員悪人〟という宣伝文句に違わず悪人だらけで、カッターナイフから菜箸まで生々しく痛覚を刺激し目を覆いたくなるばかりに狂気で凶器が満ちており、もはや銃なんぞ映っても全く怖くならないほど暴力全開です。また各々別世界から集めたようなキャラクターもしっかり立っていて、髪を撫で付けず煙草プカプカでヘラヘラの椎名桔平の魅力は否定できないですし(警察署前の煙草ポイ捨てのやりとりが面白い)、加瀬亮の風貌といい英語ペラペラのインテリ具合といい漫画から飛び出してきたみたいなキャラクターももっと見せてくれと思わせます。それに頭パカパカ叩かれてもオトボケ顔の三浦友和(吠えない犬ほど噛む)、時代劇から出てきたような石橋漣司(彼の登場シーンは喜劇だが、この皮肉な笑いも残酷なものだ)、人が良さそうな北村総一朗と小日向文世(彼らこそ最も計算高い悪党だ)と一人一人が本当に良い味を出しています。しかも誰もが口を揃えて〝バカヤロー〟〝コノヤロー〟と言うので、これはコントでそのうちダンカンも登場するのではないかと思ってしまう一方で、とても冷め切ってもいる不思議な世界になっています。  ・・・ただ、いつもより説明台詞が多いのが気になります(おそらく無くたって問題無いのだが)。例えば何処かの国の大使は完全にコメディーパートを勤めていますが、あの笑いはTVでやるようなしゃべくりによるものです。
[映画館(邦画)] 8点(2010-07-07 18:16:31)(良:1票)
103.  大列車強盗(1973) 《ネタバレ》 
面白くなりそうな感じを維持しつつも面白くなることなく最後までいってしまっていて、登場人物たちも、その設定を活かすことなく終わってしまっています(と思ったら、やっぱり“大列車強盗”が始まる前に終わってる!)。 例えば、ジョン・ウェインへの反発が心酔へと変わっていく若者はウェインと殴り合いでもしてほしかったですし、修羅場を共にくぐり抜けたらしい旧知の仲の3人には連係プレーの一つや二つ用意してほしいものです。あるいは、アン=マーグレットの実は娼婦という設定もただのどんでん返しに過ぎず、映画には活かされていません。また、線路や列車、20騎の敵などの登場シーンも工夫が足りないと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-04-27 18:45:29)(良:1票)
104.  わが谷は緑なりき 《ネタバレ》 
子供のヒューの視点から一家を通してウェールズのある時代を描いた物語。炭坑夫が失業し、学校に通うようになった大きな時代の移り変わりを見せれば、拳闘家がいつしか視力を失っていたりと何気なく身近な時の流れも感じさせる。そして古き時代を思わせる封建的ながら力強く一家を支える父親と、算数の問題ですら「穴のあいたフロなんて」と根っから現実的で大きな母親夫婦のキャラクターが味わい深い。人一倍苦労し学校を首席で卒業したにもかかわらず時代に逆行し炭坑夫になりたいと言うヒューの台詞は、その父親を尊敬し背中を見て育ってきた証であり根本的な親子像を端的に示唆している。父や兄弟の死や失業、心を支えてくれた神父さんと姉の悲恋、辛い出来事の連続でもたくましく生きる姿に人間の活力を感じ力づけられる。そして初老となったヒューの心にも未だ強い生命力を思わせる緑の良き思い出として生き続けていることに感動する。人間の物語なのに決して感傷的に描いていないところが好感を持てますね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-27 17:36:16)(良:1票)
105.  ドラゴンへの道/最後のブルース・リー
ブルース・リーの肉体や動きはもはや芸術の域に達している。その凄さたるや彼の前では敵役のチャック・ノリスも鈍重に見えるくらいだ。駆け出しの頃とは言え、このアクションスターがこれほど弱々しく映っていることが果たしてあるだろうか!ブルース・リーはそれくらいズバ抜けている。
[ビデオ(字幕)] 8点(2008-03-07 18:14:28)(良:1票)
106.  Gメン 《ネタバレ》 
映画の中で〝Gメンの研修用フィルム〟として本作を鑑賞するかたちで始まるのは、いかにも映画を見る感じがして面白いです。内容に関しては裏切り行為なので本来ならもっとドロドロするはずなのですが、引退するマッケイ親分の完全無欠の気の抜けようとジェームズ・ギャグニーのコメディに通じる動きによりどこかさっぱりした作りになっています。特に良いと思いますのは個々の役者さんたちの顔で、裏世界とつながりのあったGマンのギャグニーの顔は一見ギャングっぽくありながらも、イタズラ小僧のように愛想があるので丁度その二重の感じが表われていますし、次第に打ち解けていく上司や殉職する同僚もまさに善玉の面持ちです。さらにクチナシを常に胸元にさすレゲットのニヒルな表情も素晴らしく、Gメンたちにしてもギャングたちにしても実にそれらしいです。そしてそれにもまして華を添える二人の女優さんがとっても綺麗なのです。殊にギャグニーがかつての恋人とお別れのキスをするシーンが感動的で、キスをし終わってギャグニーの顔が上がるとそこにはすでに事切れた彼女の表情が映るのですが、その顔がとても美しい。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-26 18:25:36)(良:1票)
107.  姿三四郎(1943)
あのように投げ飛ばされただけであんなにボロボロになるのか?とか、三四郎と村井の一進一退の攻防は社交ダンスが始まるのか?とか思ってしまったものの試合シーンは実に工夫を凝らしてありダイナミックに描かれています。これといって波瀾もなくオーソドックスな展開ですが、三四郎と檜垣との対比もはっきりしていて食事をしているところに檜垣が帰ってくる場面など完全な訣別を感じさせますし、最後の決闘シーンも素晴らしいです。ただ残念ながらカット版だったので少々物足りない感じもしましたが、主人公の成長過程はしっかり描かれていますし無駄なシーンが全くなく叙情的で簡潔で、そして何よりとてもパワフルです。
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-05-14 18:18:00)(良:1票)
108.  麦の穂をゆらす風
私は英国好きで映画も好んで観るのですが、正直なところアイルランドという国についてIRAで紙面を賑わせたことぐらいしか知りませんし、イギリスと呼ばれる地域がどのように成り立っているのかも不明です。そもそも日本ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドをひっくるめ便宜上〝イギリス〟という呼称を使っていますが、UKと呼ばれることからも分るように正式名はグレート・ブリテインおよび北アイルランド連合王国(辞書で確認してしまった;)であり、イギリスというのはイングランドから派生した言葉なのでイングランド以外の人々は気分を害すかもしれません。現在の状況ですらその程度の認識しかないのに歴史的背景はさらに複雑なはずです。まして本作は政治家でも軍人でもない市民目線からの描写なので社会全体の動向や彼らの行動の位置付けが把握しにくくアイルランド史を知らないと理解しづらいです。ですから両国の関係に造詣が深くないと本作を咀嚼したとは言えないと思いますし、また自国の人々がどう思ったのかが気になるところです。しかしその一方で、一般市民の兄弟が軸となった物語なので等身大であり感情移入などはし易いです。その結果、暴力から生まれる惨劇の数々に、どのようなバックグラウンドであろうと報復にしても武力行使は悲劇しか生まないのだという事と、醜い連鎖に終止符を打てぬ人間の愚かさ、哀しさが痛いほど伝わってきます。あらゆる場面が濃密であり、目を背けたくなる場面ですら瞬きするのも忘れそうです。
[映画館(字幕)] 8点(2006-11-24 18:19:50)(良:1票)
109.  RONIN
この映画の面白味というのは、ケースの奪い合いではなく、派手なカーチェイスでもなく、浪人がどうのこうのというわけでもありません。真のプロというものは、えらく地味なんだというところにあります。冒頭、わざわざデ・ニーロが裏口に拳銃を隠すところを見せる。しかも水の滴る音が響き地面が濡れている場所で隠す姿と、わざわざ裏口の鍵を開けるところまで丁寧に見せる(何も起きず拳銃は回収されるのに)。あるいはデ・ニーロは相手の腕試しのためにテストをするが、コーヒーカップを使った極めて地味なものだ。本当のプロとただのプロでは地味なところで大きく差が出てくると言わんばかりです。そうやって真に迫っていくと当然ながらアクションヒーロー的完璧さは失われるわけで、デ・ニーロは肝心な時に一度ばかりか二度までも撃たれます。通常のアクション映画の主人公ならば見事に締めてみせるのに、デ・ニーロは最後も決められない。にもかかわらず、多くを語らず去って行く男たちが格好良く見えてしまうということは、やはり映画が良く出来ているという証でしょう。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-01-15 16:36:17)(良:1票)
110.  ユージュアル・サスペクツ 《ネタバレ》 
お見事!まったくお見事としか言い様がありません。本当なら作り話というオチに怒り心頭のところですが、ここまで綺麗にうっちゃられると文句を垂れる気も失せてしまいます。サスペンスとして超一級の出来映え。個人的にこの手のジャンルではベストです。初めて観た時にはまだケヴィン・スペイシーが全然有名ではなく、「セブン」よりも先に観たのも良かったかもしれません。先入観ゼロの状態でしたからね。(唯一観ていたのが「摩天楼を夢見て」だったけどスペイシーだって知らなかったし、この時はまだパチーノとジャック・レモン相手にタジタジだった。)そして二回目以降は細部を楽しめます。コップの底を覗いているシーンに「おおっ」とか思います。それからガブリエル・バーンがダンディで渋くて凄くカッコイイです。私もあんな風に年をとりたい。…絶対無理ですけど;。彼にはもっと実力に見合った作品(どうも彼の出演作にはイマイチなものが多い気がします)に出て活躍して欲しいです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-04-21 18:36:53)(良:1票)
111.  カサブランカ 《ネタバレ》 
最初の方のボギーの酒場の見せ方など、あまり上手い具合にいっていない部分があると思っていたのですが、バーグマンの登場で一変します。彼女は個人的に趣味ではないですし、このキャラクターの心情は男の私には良く分からんのですが、そんな問題を差し引いても多額のお釣りがくるぐらい本作では魅力的に見えます。 例えばボギーと予期せぬ再会を果たし目がウルウルしてくるところとか、夜中に酒場に訪ねて来てドアを開けると光が彼女を照らし出すところとか、こういった綺麗に撮ろうという配慮がなされているからこそ二股状態の曖昧なキャラクターにもかかわらずバーグマンが完全無欠のヒロインになっているのだと思います。 そんな彼女を見送るボギーも格好良くて、キザったらしくて聞いているこっちまで赤面してしまうような台詞をサラリと言ってのけてしまうところがボギーならではでしょう。  それからピアノ弾きが歌う「As Time Goes By」は言わずもがなですが、国家を歌い合うシーンもパワフルです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-11 18:52:01)(良:1票)
112.  ピエロの赤い鼻
〝笑う〟というのはとても大切なことだと思うが、人を笑わせるというのは泣かせるよりも難しい。まして道化を演じる者はプライドもかなぐり捨ててある種のバカにならなければならないし、それでいてユーモアというようなある種の知性がないと観客を魅了することはできない。つまりピエロになるということは相当な勇気がいることである。本作は戦時下、しかも処刑待ちという絶望的な状況で対照的なそのピエロの必要性を明確に説いている。悲劇を喜劇に変えてしまう素敵なドイツ兵の登場にどうしたって拍手を送りたい気分になる展開は見事であり、寓話チックな珠玉の心温まる物語は素晴らしい。・・・しかし、もう完全に個人的な問題なのだが私はピエロを面白いとは思えない。だからゾゾがいくら頑張ってくれても笑えなかったのだ。つまるところ何が言いたいのかというとピエロに笑う人々が嘘臭く見えてしまうことにより作品との間に壁ができてしまったのがマイナス点である。何しろこれから処刑されるってのに神経のピリピリをピエロで抑えられるかって思うし、平穏な時は平穏な時で大の大人たちがピエロだけであんなに笑えるかって思ってしまう。もちろん当時のフランスでピエロがどれだけ笑いをとれたか知らないので、現代日本人でピエロに笑みがこぼれない者の感想ですけど。
[DVD(字幕)] 7点(2007-02-13 18:26:29)(良:1票)
113.  知らなすぎた男 《ネタバレ》 
こういう勘違いものというのは何時気がつくかが鍵となってくると思うのですが、銃をぶっ放して壁に穴あけても異変に気づかない。死体に遭遇しても気づかない。警察に追われても気づかない。弟出てきても気づかない。麻酔薬撃たれて銃で撃たれてもまだまだ気づかない。と思っていたらとうとう最後まで気づきませんでした…ある意味やられましたね。もしかしたらあれから実際に諜報員になった後も気づかないのかも。ということで気づかない以外は良くも悪くも予想通りの展開。一般人が多くいるホテルのあたりからはさすがに白々しくなってきますが、マヌケなコサックダンスで持ちなおします。かつあげ場面やボリスや警察とのやりとり等はなかなか笑えます。ただこれはビル・マーレーじゃなかったら成立しないような気がしますね。
[DVD(字幕)] 6点(2006-05-11 18:28:24)(良:1票)
114.  レスラー 《ネタバレ》 
現実感を求めミッキー・ロークを背後から捉え擬似ドキュメンタリーのようにしていますが、それでいてクローズアップやロングショットなど単純で少々面白味に欠けながらも情動的な場面も挿んでおり、物語にしても娘に嫌われ、彼女にフられ、残るプロレスで死に向かってゆくではダメ男に虫歯ができるほど甘過ぎるのかもしれませんが…、それでもファンの前では強靭なヒーローであり続けロッカールームで孤独にクタビレ果てた傷だらけの肉体をさらすロークに、寂しそうに公衆電話をかけるロークに(ケータイより断然イイ)、文字通り必死にラム・ジャムを決めようとするロークに、泣かずにはいられないのです。 そしてもう一人、過激にポールダンスを決めるマリサ・トメイも感動的です。
[DVD(字幕)] 9点(2011-06-10 18:40:22)(良:1票)
115.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
スターウォーズシリーズは全部観てきましたが、それ程興味を持っておりませんでした。しかし今作は映画館で観た事もあってか観入ってしまいましたね。パドメへの愛とジェダイ評議会の腐敗に対するアナキンの純粋過ぎるが故の苦悩。クワイ=ガン・ジンのような良き師になれず、弟のように思っていたアナキンと対決する事になってしまったオビ=ワンの悲しみ。何と言うか初めてスターウォーズに生身の人間が表われたという感じです。欲を言えば〝アナキンが宇宙征服まで考えるようになってしまった過程を詳しく描いて欲しかった〟や〝パドメ、母親になったのに死んじゃうの?〟とか〝ハンソロも出して欲しかった〟等々ありますが、これだけの大作です、要望を出せばきりが無いでしょう。個人的にはオビ=ワンの活躍シーンが多かったので満足です。  それと今作をもっと堪能したい方はアニメ「クローン大戦」をご覧になると良いですよ。笑っちゃうけど、エピソード2.5ぐらいに相当するので話が分かり易くなります。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-19 11:11:55)(良:1票)
116.  決斗!一対三 《ネタバレ》 
「決斗!一対三」などという邦題と僅か83分という短さから、ウォルシュのいつもながらの痛快娯楽活劇だろうと思っていたのですが、どんよりと雲がかかっているような印象で、「追跡」(1947)を想起させます(あれほど見事ではない)。この薄暗さは主人公を演じるロック・ハドソンがパッとしないのも一因ですが(老けメイクをした時の方が魅力的だ)、ムチを振り上げる厳格そうな髭親父も何とも不吉ですし、婚約者のジュリーが美しく見えないのも彼女が幸福なヒロインになれないのだと予感させるものです。しかしながら、酒場女のロジーがとびっきり美しく撮られて現われた瞬間、彼女こそが救いの女神であり真のヒロインで、この先どれだけ不運が続いたとしても決して悲劇だけでは終わらないのだと確信させてくれます。  決闘に関しては実際のところ一対三で行われませんが、砂埃と枯葉が舞う強風の中での対決は見所になっています。また、時の経つのを紙面を使って見せますが、西部時代ですから仕方がないとはいえ、輪転機ではなく活版印刷なので軽快さに欠けています。それでもロジーが突如としてあられもない格好で大胆に着替えていたりするのは時間の経過と共にサービスシーンとしても有効です。
[DVD(字幕)] 7点(2010-05-12 18:13:57)(良:1票)
117.  現金に手を出すな 《ネタバレ》 
マックスは足を引っ張ってきた弟分のリトンのために、引退に備えて貯めておいた金塊を全て使ってしまった。それなのに助けたリトンが死んでしまった時のマックスの哀しみ。これはまさに男の義理・人情の世界。マックスは店で電話を借りる時、酒を注文し電話の用件を済ませ、代金を払って酒には手をつけずに店をあとにする。粋ですね。大人の男の魅力です。もちろんここぞという時は容赦ない悪人ですけど、品格も備えています。あの生活感が格好良い。あんな風な振舞いが出来るように年をとりたいです。白黒映画なので所々、観難い場面もありましたが、酒の肴のラスク、うまそうでした。  《追記》↑ええ、確かにそうですね。何を隠そう私もバリバリ食ってやろうと思いラスク買って実践したのですが…安物だったせいかもしれませんがラスクとバターを一遍に食った味がしました;。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-21 14:18:43)(良:1票)
118.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
一見しっかり者に見えるジュリアンが、ロープを忘れる、車の鍵はかけたままと初歩的なミスをたくさん犯すのですから、完全犯罪とは言えずサスペンスとしてはそう面白くありません。私もあの若者に苛ついてしまった口ですし。でもこれは愛の物語ですね。やはり特筆すべきは、最後の写真が浮かび上がってくる場面でしょう。写真を見た時のカララ夫人の顔と、そこに写った夫人とジュリアンの仲睦まじく幸せそうな姿。ああいうのをお洒落と言うのでしょうね。(確かに誰が撮ったの?という疑問はありますが。) それから題名、気に入っています。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-02-01 18:24:07)(良:1票)
119.  南極日誌 《ネタバレ》 
真っ白な無の世界が広がり逃げ場の無い極限状態において、一人また一人と狂気に取り憑かれていく人間心理の攻めぎ合いが見事に描出されている。冒頭から隊長は異様な雰囲気を醸し出し既に異常をきたしているように見え不安感が募る。南極という得体の知れない場所が魔物が潜む効果を高め幻覚も加わり疑心暗鬼を増長させる。小道具の使い方なども巧みで不可思議さを保ちつつ隊員たちと共に観客も到達不能点までの道のりを体感させられる。それでもホラーとしての要素は確かに弱い。だがその分ソン・ガンホが狂気の演技で凄みを見せる。憎悪に呑み込まれ我が身を滅ぼしていく様は、まるでメルヴィルの『白鯨』の船長を想起させる。強過ぎる偏愛は表裏一体の憎悪へと変わってしまう。人間の狂気に改めて恐さを覚える。
[DVD(字幕)] 8点(2006-08-23 18:57:56)(良:1票)
120.  わんぱく戦争 《ネタバレ》 
本作は大人世界を皮肉っているところもあるのですが、政治も戦争も子どもがすれば何と清々しいのでしょう。このパワー、この瑞々しさ、この純粋さ!子どもが驚くほど生き生き描かれていて素晴らしいんですね。お涙頂戴で使われる子ども映画は嫌いですが、このように無邪気な子ども世界を捕えた作品にはいつの間にかすっかり弱くなってしまい、ついつい顔がほころんじゃいます。生徒用トイレで戦争告知を見つけ微笑む素敵な先生の気分です。元気いっぱいのやんちゃな戦争シーンの楽しさ、トラクターで秘密基地が壊されてしまうシーンなどは本当に悲しくなっちゃいますし、可笑しな名言も目白押し! いったい子どもの頃の純粋さやユーモアの切れは何時、何処に置いてきてしまったのだろう。童心に帰りノスタルジーに浸り、そして一抹の寂しさを覚えるのです。
[DVD(字幕)] 9点(2007-12-27 18:26:22)(良:1票)

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