101. 硫黄島からの手紙
しかし、イーストウッドも凄い映画を作りましたね・・・・・・。非常に戦争というものを、情緒性を排除しドライに描いていて、何というか感想を書くのが難しい作品です。正直言って感動したり、泣ける作品ではありません。ただ、深く考えさせられるし心に鉛のようにズシンとのしかかかる作品です。 少々残虐なシーンもありますが、是非お勧めしたい作品です。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-10 23:10:06)(良:1票) |
102. フローズン・リバー
《ネタバレ》 女性版「グラン・トリノ」という印象を受けました。格差問題、人種問題、不法移民問題等々アメリカ社会の影の部分を鋭く描いています。作品全体を貫く緊張感に惹き込まれました。 凍結した川の荒涼とした風景が、まさに登場人物たちの状況を表しているかのようで非常に印象的でした。 [映画館(字幕)] 8点(2009-12-02 16:12:32)(良:1票) |
103. 約束(1972)
《ネタバレ》 冬の日本海側、どこか陰のある過去を背負った男女・・・極めて日本映画的な設定を、まるでフランス映画のような洒落た雰囲気で撮っていて非常に新鮮さを感じました。 気品を感じさせながらもどこか陰のある岸恵子と野生的で子供っぽさの残るショーケンの組合せが非常に絶妙ですね。ストーリーもシンプルながらも奥深さを感じさせるものでした。 [ビデオ(邦画)] 8点(2008-10-03 21:59:52)(良:1票) |
104. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
《ネタバレ》 クエンティン・タランティーノの映画、そしてそれに関わる人たちへの愛情の深さがわかる作品でした。 観る前は、あの「シャロンテート事件」をどう描くのか興味深く、そして事件が事件だけに恐ろしさも感じていたのですが、観終わった後は、タランティーノ監督の、ハリウッドという夢の世界の陰で不遇な状況に陥り、そのまま消えてしまった人たちへの鎮魂歌的な作品であると感じ、「映画って素晴らしいな」と思いました。 [DVD(吹替)] 7点(2021-05-22 22:54:42)(良:1票) |
105. 人間蒸発
《ネタバレ》 非常に衝撃的な作品でしたね。途中までは、普通に失踪した男を追っていたのが段々脇道に逸れていき、最後はとてもカオスな状況で終わってしまう展開にはまさに「口あんぐり」でした。 これは、ドキュメンタリーという手法についてのドキュメンタリー映画ですね、しかもアンチテーゼを幾分か含んだ・・・。今村監督自身が「何が真実かなんて誰にもわからない」というようなことを言っていますが、ドキュメンタリー自体も実はフィクションに過ぎないということをこの作品は示そうとしているように感じました。この作品でも失踪者の婚約者とその姉の水掛け論一つも決着させることもできないまま終わってしまいます(しかし、本当にくどかった・・・)。結局、真実なんてものは神の領域であり、ドキュメンタリーごときが映し出せるものではないということなんでしょうかね。 [映画館(邦画)] 8点(2007-12-02 23:10:50)(良:1票) |
106. ヤング@ハート
《ネタバレ》 物珍しい「見せ物」ではなく、しっかりとしたエンターテイメントとして成立しているところが素晴らしいですね。人生の終着点が近づいている状況の中で、それに抗うかのように歌い続ける彼らの姿はまさにロックですね。「やはり、ロックの洗礼を受けたからには、死ぬまでロックしていかねばならんな」と自分に言い聞かせたい心境になりました。 [地上波(字幕)] 7点(2010-03-30 01:28:59)(良:1票) |
107. (秘)色情めす市場
《ネタバレ》 日本映画史上に残る大傑作と言っても過言ではないですね。 高度成長から取り残されたかのような昭和の釜ヶ崎の姿がまず強烈に印象に残りました。取り扱っているテーマやストーリーは非常に醜悪で猥雑でありながら、様々な技法(特にペドロ・コスタもこの作品を参考にしたのではないかと思わせるような光の使い方)や小物を使い娯楽性と芸術性(非常に詩的)を両立させて、素晴らしい作品に仕上げてしまう田中登監督は凄いなと思いましたね。パートカラーの通天閣のシーンや希望を感じさせるラストも良かったです。 一番印象に残ったエピソードは、やはり使い込みで会社を首になった男の爆発ですかね。あれは当時の世相なのか、弱いものを食い物にする国家権力に対するテロリズムを暗喩しているようで興味深かったです。 こんな素晴らしい映画が「ポルノ」というくくりがあるために、映画マニア以外の目に触れることなく埋もれてしまうのは本当に勿体無いですね・・・・。 [インターネット(字幕)] 9点(2012-06-02 23:49:23)(良:1票) |
108. キャバレー(1972)
《ネタバレ》 ライザ・ミネリの歌・演技・存在感に圧倒されました。また、ジョエル・グレイの妖しいというか怪しいMCが、退廃感をかもし出していて非常に素晴らしかったです。 また、ナチスの台頭が上手く描かれていて非常に興味深かったです。(最初は、酒場でカンパを募って、店主に叩きだされたりするような存在だったんですね・・・・・) [ビデオ(字幕)] 9点(2006-09-08 14:36:12)(良:1票) |
109. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 『トレインスポッティング』から10数年経った今、ダニー・ボイルが再び「Choose Your Future! Choose Life!」と私たちに呼びかけています。糞溜めのような人生とオサラバしたければ、自分で人生を選べ、未来を選べ。ただし結果は神のみぞ知る・・・・。こんなメッセージが聞こえてきそうな、閉塞した現代社会に向けたファンタジーでした。 舞台はインドですが、描かれているのは「人生」そのものですので予備知識がそれほど無くても十分楽しめる映画です。ダニー・ボイル作品特有のエッジの効いた映像や疾走感を思う存分味わえました。 それと、これから観られる方は「オスカー云々」といった余計な先入観は捨てた方が楽しめると思います。 [映画館(字幕)] 8点(2009-04-23 08:59:53)(良:1票) |
110. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 いろいろな意味で凄い映画でした。感動モノなのかと思って見始めたのですが、前半部分のユダヤ人にたいする余りに酷い差別の状況や後半部分の主人公の生に対する執着心の凄さ、ワルシャワという一つの都市が廃墟になる様等々圧倒され続けました。見終わった後は、もう感動とかそんなものではなく放心状態になるほどでした・・・・・。(マスコミは上映時に感動の作品みたいに言ってたけど、そんな甘い作品じゃないですよ、これは。)主人公を助けたドイツ軍将校(他にもユダヤ人の命を救ったそうです。)が最後に捕虜となり、主人公の知人に助けを求めるシーンは、いわばホロコーストを国の命令のもと実行せざるを得なかったドイツ軍兵士もまた戦争の犠牲者であったんたんだなと思い非常に考えさせられました。 [ビデオ(字幕)] 9点(2006-04-16 22:29:27)(良:1票) |
111. セレブリティ
《ネタバレ》 他のレビュアーさんも書いてますが、何というか、ウディ・アレン版「甘い生活」という印象でした。ケネス・ブラナーがまるでウディ・アレンのような身振り・手振り・口ぶりでしたが、正直あのキャラクターはウディ・アレンだからこそ受け入れられるものなんだなと痛感しました。 しかし、ジャケットだけ見ているとディカプリオが非常に重要な役のように見えるんですが、実際はそうではありませんのでご注意を! [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-04-06 17:19:04)(良:1票) |
112. グリーンブック
《ネタバレ》 様々な違い・価値観を受け入れることの難しさはいつの時代も、どこの国でも変わらない。 ただ、そこを「そういうものだ」と放置するのでなく、変えていこうとする気持ちが大切なのだということを教えてくれる作品。 [DVD(吹替)] 8点(2019-12-31 12:00:44)(良:1票) |
113. サマータイムマシン・ブルース
《ネタバレ》 昔、ドラえもん等でタイムマシーンの存在を知って、一度は乗ってみたいと思ってたんですけど、結構タイムトラベルもいろいろ難しい問題があるんですね。 クーラーのリモコン一つ動かすだけで、すべての存在が消滅してしまうとは・・・・・。もしかしたら技術的にはタイムマシーンは作れるところまで来ていても、その問題があるからお蔵入りしているのかもしれませんね。 しかし、この作品はテンポが凄く良いですね。SF研メンバーの掛け合いなんかは、お笑い芸人のコントを見ているかのようでした。それが、テーマの面白さと相まってとても楽しい作品になっていると思いました。 [DVD(邦画)] 8点(2006-05-06 01:58:38)(良:1票) |
114. そして、私たちは愛に帰る
《ネタバレ》 ストーリー・演出・構図・音楽等々全てに於いて緻密で隙が無く、ファティ・アキンの才能の凄さに圧倒されてしまいました。何というか、神話の現代版を見ているような感じでしたね。日本から遠く離れた国の物語でありながら根底にあるテーマは非常に普遍的なものであり、いろいろ考えさせられるものがありました。また、トルコとドイツ、そしてEUの微妙な関係も織り込まれていて非常に興味深かったです。 ファティ・アキンという優れた才能をリアルタイム(まあだいぶ日本公開は遅れてますけど)で感じられる幸せを感じましたね。しかし、邦題は「エッジ・オブ・ヘブン」でよかったんじゃないですかね? [映画館(字幕)] 9点(2009-01-05 21:02:14)(良:1票) |
115. やさしい嘘
《ネタバレ》 おばあちゃんの存在感のある演技に惹きこまれました。日本ではあまり知られていないグルジアという国の風景や生活の様子(水道や電気の供給がままならなかったりするようなところまで・・・)が映し出されているのも興味深かったです。 また、ある家族のエピソードが中心ではありますが、その折々にグローバル化の進む欧州において、移民を送り出す側の実情が描かれていて、いろいろと考えさせられました。 [DVD(吹替)] 7点(2009-08-23 00:13:07)(良:1票) |
116. クローバーフィールド/HAKAISHA
《ネタバレ》 怪獣が市街地で暴れたり、怪獣と人類、または怪獣同士が闘ったりする場面を第三者的視点で描いている作品は数多くありますが、この作品はまるで自分が怪獣襲撃の場に居合わせているかのようなこれまでにないリアルでスリリングな感覚を味あわせてくれます。 非常に斬新で面白い怪獣映画だと思います。映画館で体験したかったですね・・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-28 12:11:03)(良:1票) |
117. ベロニカは死ぬことにした(2005)
《ネタバレ》 昔角川映画のキャッチコピーに『読んでから観るか、観てから読むか』 というのがありましたが、この映画は読んでから観ない方が良い作品ですね。はっきり言って、題名を変えてくれといいたくなりました。原作の冷徹なほど淡々としていながらも不思議と暖かい病院の風景や登場人物たちの心理の描き方が、映画では妙にファンタジーな感じになっているのに違和感を感じましたね。特に、インシュリンショックの場面がベタな催眠術になっていたのにはあきれてしまいました。監督は原作を理解しているんですかね?。それともベストセラーのタイトルと設定だけ借りて自分の世界を表現したいだけなんですかね? 客寄せ以外に全く意味を見出せない韓流スターの起用も、腹立たしいばかりです。(別に韓国人俳優や韓国映画が嫌いなわけではありません、好きな映画も役者もいますし・・・。ただ、いわゆる「韓流」に便乗しているのがミエミエなのがとても不快でした。) 真木よう子の熱演は良かったんですが、残念な作品になってしまいましたね。(点数は全て彼女の演技に対してのものです。) [DVD(邦画)] 3点(2007-11-15 18:51:56)(良:1票) |
118. ザ・ハリケーン(1999)
《ネタバレ》 冤罪事件そのものよりも、それを出世の手段にしてしまう人間の存在や根底に潜んでいる人種差別の姿に恐ろしさを感じてしまいましたね。そんな絶望的な状況の中でも鋼のような精神力で無罪を勝ち取った主人公の姿には感銘を受けましたし、そういった理不尽な状況を見過ごさずに彼を支援し続けた人たちの存在があったことは「まだまだ世の中捨てたものじゃない」という希望を持たせてもらいました。 ただ、たまたま主人公は救われましたけど、ひっそりと抹殺されかけている多くの「ハリケーン」達がまだまだこの世の中には多く存在しているのかと思うとぞっとします・・・・・。 [地上波(吹替)] 8点(2008-12-20 20:09:08)(良:1票) |
119. 冷たい熱帯魚
《ネタバレ》 表現は非常にグロテスクですが、内容は非常に骨太で見応えのある作品です。特にでんでんが、軽妙な明るさの陰にどす黒い闇を抱える男を見事に演じています。コワモテの男よりもこういうオッサンの方が本当に怖いですからね。 そして、前代未聞の異常な事件をモチーフにしてはいますが、この作品で描かれているのは家族関係の問題、そしてでんでん演じる村田が決して突然変異で殺人鬼となったわけではなく、誰しもがそうなる可能性を持っているということですね。 現に、最初に人体の解体シーンを見たときの感じ方と、2回目、3回目のシーンを見たときの感じ方は全く違っているはずですから・・・・・。 しかし、元ネタの事件は酷い話ですね。背筋がゾッとしました。 [DVD(邦画)] 8点(2011-12-11 23:25:27)(良:1票) |
120. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
《ネタバレ》 TVシリーズ放映から約20年になるんですね・・・・ 昔は、シンジ達の目線でエヴァを見ていたものですが、今回この作品を観ていると、現場を知らない本社の無謀な指示や厳しい上司の無茶振り命令の下で、まだ中学生でモチベーションも低く思うように働かないシンジ達を何とか動かそうとしているミサトさんの中間管理職としての苦労が非常に目に付きました。 まあ、この作品の内容自体はTVシリーズのダイジェストなので、評価はこんな感じです。 [地上波(邦画)] 6点(2014-08-16 07:52:42)(良:1票) |