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プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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161.  カイロの紫のバラ 《ネタバレ》 
ウディ・アレンが「探偵学入門」へのオマージュを捧げた作品。 俺は「カメレオンマン」や「ハンナとその姉妹」ほど惹かれなかったが、日本ではこの作品が最も評価されているウディ・アレンの映画だそうだ。 そんなに良いですかねえ。「探偵学入門」の独創的な面白さには届いていないと思うのだけど。俺が単にキートンのアクション映画の方が退屈しなかったというだけなのかも知れないが。  逆にアメリカでは「アニー・ホール」とかあの辺が絶賛されているそうだ。俺には理解できない。「カメレオンマン」とかが好きな俺はそれが悔しくてしょうがない。ミア・ファローが好きだから余計に(「ハンナとその姉妹」もミア目当てで見たらハマッてしまったクチなんです)。  映画館のポスターを見つめる女性、夢見心地の彼女を空き缶の音が現実に引き戻す。現実はろくでもない夫との生活。職場でも失敗ばかり、映画だけが楽しみだ。  人々がにぎわう映画館お雰囲気が良い。 「カイロの紫のバラ」というトーキー映画。どうでもいいけど胸揺れすぎだろwwwジーン・ハーロウだってここまでデカくねえぞww  黒人のメイド、エジプトのカイロの遺跡?を探検、ホールで美しい歌声を響かせる女性。好きな映画は何度でも見に行ってしまうものだ。    益々現実の夫に失望、髪型がそっくりの同僚、辛いことがあっても映画が忘れさせてくれる。  そんなある日、映画の人物が突然話しかけてくる。映画から人間が飛び出し、次元の壁を通り抜ける!共演者たちと観客もおまえら普通に会話すんなよwww  「探偵学入門」ではキートンみずからスクリーンに飛び込んでしまう。夢が本物となって目の前に現れるファンタジックな展開。  映画の中のヒーローと楽しい一時を過ごす、廃墟で語り合う、影の表現、ホールでゆったりと踊る、レストランで食事、車に乗ってドライブ(未遂)、教会に行ったり、教会で殴り合ったり、キスまでしちゃって彼女も映画の中に連れて行ってしまうのだから歌姫も気絶。共演者「早く戻れ(憤慨)」 人物が戻ってくるまでソファでくつろいだり酒をのんだりと過ごす共演者たち。取材陣まで押し掛け観客も律儀に待ち続ける。その前にフィルムが焼けちまうぞ・・・w   本物の役者と映画の中でしか生きられないキャラクターの出会い。ミアは本物とも楽器を弾いたり歌ったりと夢の一時。だが同じ人間でも中身はまったく違う。彼女にとっては浮気してしまったようなものだろうか。同じ人間とした事なのに罪悪感が伴ってしまう。   夫からの卒業、そして夢との卒業。彼女が最後に見る映画はフレッド・アステア主演の「トップ・ハット」なのだから。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-14 13:20:43)(良:1票)
162.  イップ・マン 葉問 《ネタバレ》 
「序章」も好きだけど特に「葉門」が一番好きだ。前作を見なくても存分に楽しめるぜ。   異種格闘技! 武術vs現代格闘技!! 鉄も砕く拳vs鉄以上に鍛え上げられた肉体!!! 中国4000年vsアメリカ200年!!!! 200年といってもヨーロッパ、アジア、アフリカといった様々な国のハイブリットだ。コイツは手強いぜ。 特にボクシングは中国武術同様に「大地を蹴る」スポーツ。タフネスとスピードなら負けない。 悪態ついて挑発するのは最早常識、それが火に油を注ぐこともまた常識ですねハイ。  異国に蹂躙され続けてきた中国だが、太古から受け継がれてきた武術を犯す事は何人にも出来なかった。  戦争も終わり、平穏を得てもまだまだ貧乏との戦いは続く。 最初のこの何処かほのぼのとした感じが好きだ。 道場や工場時代の同志が真っ先に駆けつけそうだけど、そんな甘くは無いか。  拳を通じて弟子や仲間が増えていく感じが良い。 脳撃たれようとも魂までは死なず。“蘇る”シーンには不覚にも涙が。  道場同士の争い再び、 包丁の峰打ち、 不安定なテーブルの上での激しい舞闘、 髪もフサフサ&リア充で幸せ者のカム、 そして動けるデブことサモハン・キンポーが老練な武術家として命を燃やすシーンには震える!  意地の張り合い、誇りを汚す奴は死んでも許さねえ。 蹴るな=ハンデですねハイ。 何度殴られダウンさせられようとも立ち上がる葉問。仲間のため、新しい命と共に待つ家族のために。鋼の肉体を打ち破る鉄の意思、鋼の精神。 「これはホン師匠の分!」とばかりに憤怒と哀しみ混じる撃拳、撃拳、撃拳連打!!  話の解るアメリカ軍は全アメリカ人の誇りです。  ラストにブルース・リー少年を出す憎い演出が良い。  欲を言えばキン・フーの映画みたいに女性武術家が大暴れするシーンも見たかったけど(「序章」で工場の女性従業員が戦ってはいたが)、それ以外は大満足です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 17:59:28)(良:1票)
163.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 
「小説家を見つけたら」と共にガス・ヴァン・サントで一番好きな映画だ。 舞台は1970年代、大学の講義のシーンからはじまる。 数学の難問を朝飯前のように解いてしまうがウィル少年。オマケに「f●ck!」を連呼する命知らずの馬鹿でもあるバリバリのインテリ不良。 出会う人間にはデッドボール(暴言)ばかり投げているが、本当は打ち解ける事を恐れていた。親も含めて大人なんざクソッたれ、頼れるのは子供の頃からつるんできた不良グループだけ。 能力はあるが己の能力に少し酔っているというか、とにかく過去のトラウマを引きずり自分の殻から抜け出せずにいた。“超絶クソすばらしい完璧主義者”である彼は。 完璧だと思い込む人間ほど、その均衡が崩れようとする際は動揺するものだ。 物事を知りすぎて逆に自分の目で直接見る事を恐れていた。傷つける・傷つけられる事を誰よりも恐れ、面接すら“替え玉”。 一体過去にどれほどの苦痛を味わってきたのだろうか。 彼の才能に目を付けた教師たちは彼を更正させるべく“司法取引”で勉学を薦める。 しかしウィル少年の心の傷は予想以上に深く、彼を更正させようとする教師も心の傷を開いていく。 教師たちは知識ではなく経験や“癖”によって本だけでは得られない“本当に大切な何か”を語っていく。 「答えは自分で探すんだ」 「ああ言えばこう言う。なのに簡単な質問には答えられない。つまり“答え”を知らないんだ」 ウィルも痛いところを突かれてダンマリ。先生の“女房自慢”を何処か羨ましそうに聞くウィル。 ウィルは知り合った女性に性行為をせがんで“現実逃避”。それは同時に初めて芽生えた対抗意識でもあった。 ウィルは先生のような“良い大人”にもっと早く出会いたかっただろう。ウィルの心も次第に変化していく。 旅立ちの時…とにかく自分の殻を“ブッ壊したくて”しかたない。 不良グループの兄貴のセリフはトドメの一撃。 「他の奴が持っていないもんを無駄にするなんて俺は許せねえっ!」 ウィルは“宝くじ”を既に持っている。しかも努力しだいでどんな夢でも叶えられる大切な宝物を。 いや、不良たちが手に持っていたのはバットだったが、心の中には最高に“グッド”な何かを持っている奴らだった。 ウィルはようやく先生たちに本音を打ち明けられたのかも知れない。 最高のオンボロ車、最高の手紙、そして最高の“サノバビッチ”。良い映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-16 18:28:23)(良:1票)
164.  拾った女
反プロパガンダ映画の傑作フィルム・ノワール。 冒頭から一気に引き込まれる見事なファースト・シーン。 短いショットの積み重ねで我々を退屈させてくれない。ストーリーもスリからタレコミ、共産主義のスパイと複雑に絡み合う。 セルマ・リッターに女優賞を贈らなかったハリウッドの何たる見る目の無さよ!
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:12:17)(良:1票)
165.  スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 《ネタバレ》 
一体何回「クローンウォーズ」の外伝やる気だよ!?  どんだけアナキン好きなのスタッフ!? どんだけジェダイ騎士好きなんだよファンは・・・オマケにTVシリーズも2期以上やるとか・・・正気かよ!?  いいぞ、もっとやれ。  「キャラ映画」の側面もあるスターウォーズは、こういうキャラの掘り下げは極めて重要(オリジナルキャラの多さと雑なストーリー展開はバカヤローだが)。  映画に負けず劣らずのアクションは見もの。 2Dカートゥーンの絵が苦手という人も、実写の質感に近づいたCGアニメーションなら大丈夫だろう(新三部作なんかCGのオンパレードだし)。  つうか手書きよりCGの方が映像がソフトってどういう事だよ・・・。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-09 21:54:24)(笑:1票)
166.  フェリーニのアマルコルド 《ネタバレ》 
「アマルコルド」とは北部イタリアのリミニ地方の古い言葉で“エム・エルコルド”(私は覚えている)。 この映画は、1930年代を舞台にフェリーニが忘れられない1年を語り、春夏秋冬で彩られ2時間をあっと言う間に駆け抜けるコメディだ。 桜の花びらが舞い、春一番が吹く港町。 夜になれば、からくたの山に冬の女神の人形を掲げて火を放ち、寒い冬が明け暖かい春の訪れを祝う祭りを開く。 ブラスバンドの演奏を、拳銃や爆竹の“音色”で盛り上げる狂騒振り。劇中で幾度と無くバイクが猛スピードで路地を走りぬけ、盛大に燃やされる古い家財道具の山、盲目のオルガン弾きや狂女の、群衆が奏でるアンサンブル! 祭りは終わっても、街には人々の歓喜や悲鳴がこだまし続ける。 食卓での大喧嘩。息子がお手玉をしだせば、爺さんは屁をブッ放しオトンはキレだしテーブルクロス引きを失敗、オカンもブギレまくりの大騒動。お父さんの血管がいつ切れてブッ倒れるかと心配になる。頭にコブ?みたいな変な塊もあったし(お父さんの“マグマだまり”かな)。 それにしても、フェリーニのこの時期の映画はふくよかな女性が多いこと。あれだけふくよかな女性を下品かつ妙なエレガンスすら感じさせて撮れるのは凄い。 子供がその豊満なバストにむしゃぶり付くシーン。まったくエロくないのが凄い。それよりも、馬車の上でたたずむ赤いドレスマダムのの方がずっと色っポイとはどういうワケだ。服を一枚一枚脱ぎ、後はベットで愉しんで下さいってか。エロイッす。 ムッソリーニの出来そこない見たいな軍隊どもの行進。彼らはヴァイオリンの演奏に銃弾の雨を下から浴びせ、鐘楼を打ち落としその響きで演奏を締めくくる。 宮殿におけるアラブ風のベールに包まれた腰の締まった妖艶な美女たちのダンス。もっと長く見たかったなー。 夏には蝉の代わりに狂男が半日叫び続け、船に揺られて盛大に遭難。 霧の中でのダンスシーンは凄いぜ。霧がたち込め手探りで前へ進み、男たちは踊る女性の相手がいない寂しさを友達と手を繋いで埋めるのであった。 秋は車やバイクが猛スピードで走り去るようにあっと言う間に過ぎる。 冬は雪合戦でみんな真っ白、雪と共に広場に舞い降りる孔雀が美しい。 葬式でちょっぴりしんみり、その次は結婚式で新しい命が生まれる事を願いながら映画は幕を閉じていく。再び桜の舞い散る港を映しそれぞれの“春”を祝福するのである。
[DVD(字幕)] 10点(2014-11-30 10:44:00)(良:1票)
167.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 《ネタバレ》 
押井の「パトレイバー2」は大嫌いだが「攻殻機動隊」は別腹大好き。 士郎正宗のエロいイラストじゃなくなった事だけは残念だが、無機質なオーバーテクノロジーの集合体みたいな動きには圧倒される。 人間が「義体」に体を入れ替えていく様子が怖かった。人間何処まで機械化されてしまうのか。 トグサには人間でいて欲しい。 巨大なタチコマみたいな戦車との戦いが凄い。少佐がメスゴリ(ry 少佐もそうだがバトーも無茶しすぎて毎度ジャムッてます。押井流「ジャムおじさん」? 「素子、新しい体(義体)よ!」(嘘)  つうかラストの素子が原作じゃマイケル・ジャクソンもどきだったのがコッチじゃゴスロリ少女ときたもんだ。何でコッチの方が可愛いいんだよっ! いや、市街地の戦闘直後にバトーが素子に「ファサアッ・・・」ってやるシーンのバイザー素子も可愛いと思うんだ(´・ω・`)  戦う女はどうしてこうカッコ良いのだろうか。  所長は人間なのか機械なのかヤクザなのか一番謎だ。  まったく、「ネットは広大だわ(ネットの海は広大だわ)」。
[DVD(邦画)] 9点(2014-03-13 18:12:34)(良:1票)
168.  大いなる西部 《ネタバレ》 
ドナルド・ハミルトンの小説を原作とする人間ドラマに富んだ西部劇。 ジェローム・モロスのテーマ曲に合わせて広大な大地を駆け抜ける馬車の疾走感。 後の「ベン・ハー」で見せた躍動感が、この映画には詰まっている。 チャールトン・ヘストンとグレゴリー・ペックの共演、バール・アイヴスの演技が光る。  「ビッグマディ」の水源地を巡って対立するテリル家とヘネシー家。 ヘンリー・ハサウェイ「丘の一本松」を彷彿とさせる構造だ。個人的には「丘の一本松」の方が凄い作品だと思うし、ワイラーにしても「友情ある説得」や「砂漠の生霊」の方が好きだ。  しかし本作最大の見所はやはり「水の乏しい西部においていかに水が貴重であるか」というテーマだ。 ジョセフ・H・ルイスの「テキサスの死闘」が石油を巡る対立を描いたように、本作は水を中心に対立を深めていく。人間を撃つよりも、貴重な水を保存する貯水タンクに穴を開けられる方が大打撃だ。一滴の水が村人数百人の命を左右する重み。 セシル・B・デミルの「大平原」は、その水圧で列車を破壊する「爆弾」代わりに使われてしまう。  東部出身のジム・マッケイは博愛主義の塊という感じでイライラする。俺は善良一本筋のペックが嫌いだ(大根だし(ry)。 「白昼の決闘」みたいに無理に悪ぶってみせるペックや、「ローマの休日」のように徐々に本音を打ち明けるペックの方が演技者としても深みがあるし大好きだ。「レッド・ムーン」の老将ガンマンや「アラバマ物語」の父親役も素晴らしいが、ジョン・ フランケンハイマーの「I Walk the Line」みたいなペックは滅多に見られない。  が、本作の諦めない根性や覚悟のある男気は認めざる負えない。  二人のヒロインの存在と演技もグッド。 キャロル・ベイカーの髪を結んだ時の色っぽさ、 ジーン・シモンズの服を着ていても解る腰元のエロさとふくよかな胸ゲフンッゲフッ  恋人の居ない間に人妻に接吻するような男かと思ったヘストンも、いざ戦いとなれば恩人のために共に死を覚悟する戦士としての表情を見せてくれる。危険と解って岩場に歩み寄る男たちの何と頼もしき事。ロングショットで撮られたヘストンとペックの殴り合い、ラストの決闘も中々。  アクションとして見るにはやや不足だが、西部劇の人間ドラマと馬車のスピード感を堪能できる1作。
[DVD(字幕)] 8点(2014-04-09 21:36:13)(良:1票)
169.  天使にラブ・ソングを・・・ 《ネタバレ》 
暗く沈んだ世の中を、歌のパワーで明るくしていくミュージカル映画。 エネリギッシュに声を上げて歌うヒロイン、そんな様子を見ている内に、こっちも元気とやる気が湧いてくる。 ストーリーも歌に負けず劣らずリズミカルでテンポが良く、小気味良い心地さがある。 老若男女の複雑な悩みや葛藤、デリケートな問題と向き合い、それを歌にして発散していく。 ヒロインが一番複雑な事情持ちだが、そんな事は意も返さずに今日もヒロインは歌い続けていく。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-11 06:21:24)(良:1票)
170.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
ジョナサン・デミによる傑作サイコ・サスペンス。 劇中のアンソニー・ホプキンスの狂気は「サイコ」のアンソニー・パーキンスを彷彿とさせる狂い振り。涼しい顔して何人も血まみれにしていく様子には戦慄する。「ハンニバル」は脳味噌ハンバーグというイカれポンチ振り(褒め言葉)。 その狂気の連続に襲われるこの作品は、最初女性が走ってくるシーンから始まる。整備された森林、女が人気の無い道を走ってくるという場面だけでもワクワクさせられる。汗ばみ息も荒ぎはじめる彼女にこれから何が起こるのか、あるいわ何も起こらないのか。そんな緊張が冒頭から生まれているのだ。 彼女が何者なにか判明するのは、クロフォード主任からの“任務”をスターリング実習生が知らされるシーンだ。 髪を結んでいる時は可愛い、下ろしている時はカッコ良い。見た目はキマッているが内心はまだ訓練を積む新人。 部屋に張られた夥しい“被害者”には慣れっこだが、厳重に管理された独房には身がすくみそう。一人だけ鉄格子でなくガラスの壁という時点で、ハンニバルがどれだけ危ない野郎なのか物語る。 ハンニバルとの会話は妙な緊張が持続し飽きない。スターリングは気丈に振舞うが、本当は囚人からの汚い“送りもの”に叫び声をあげてしまうほど。ハンニバルは彼女を冷静に分析する。内に秘めた狂気を時折覗かせて。 客人に対し“無礼”を働いた囚人仲間を言葉責めだけで追い詰めてしまうのはまさにそんな場面。 ハンニバルとスターリングの取引、乳首にピアスをする人間の気持ちは中々理解できないいやしたくない、スターリングを絵に描くほど“お気に召した”ハンニバルの殺戮ショー、現代アートのように処刑される“標本”。この映画はアチコチに“蝶”のイメージが出てくる。 ハンニバルが何処まで彼女を気に入ったかは知らないが、少なくとも鉄面皮のようで一番彼女を心配していたクロフォード主任は一番の勝ち組。 たった一人で果敢に乗り込むスターリングの覚悟。それを察知した犯人が自ら出向いて来るか待ち伏せるのか解らない緊張、閉鎖的空間のいつ何処から現れてもおかしくない恐怖。それを煽りたてる不協和音。一瞬の銃撃による決着! 教訓:撃鉄は得物を射程に捉える前に落とすべし。 ハンニバルは蝶のように飛び去り、蜂の様に今日も殺人を続けるのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-18 07:42:25)(良:1票)
171.  燃えよドラゴン 《ネタバレ》 
イップ・マンに師事し、キン・フーといった武侠映画にも親しんだブルース・リーの武術を活かすため、極限までシンプルにまとめられたアクション映画。  一見すれば荒唐無稽で無茶苦茶な世界観を、ブルース・リーの足運びの静けさ、気を一気に放出する動の空気が包み込む。 映像で魅せる映画にはもってこいのアクションの連続。 そこに貫かれるのは、道を外した者への「復讐」。 彼らにとって武術は「殺し合いの手段」である以前に「己を高める道」の武道。 アクション・スターとしてその武を極限まで高めたブルース・リーは後者であろう。 他人を守るための武術。己を制してこその武術。 その道を逸れ、人を殺すためだけの道具として武を使う者には破滅が待っている・・・そんな所も込みで楽しめる映画。  サモ・ハン・キンポーとのスパーリング(後の総合格闘技)、訓練、船の上での騒動、要塞での大会、潜入捜査、殺し合い、大乱闘!  クライマックスの「上海から来た女」を思い出す鏡の中での死闘!
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:41:33)(良:1票)
172.  はなればなれに 《ネタバレ》 
ゴダール嫌いにオススメする楽しい映画。 「女は女である」ほど強烈じゃないけど、反面毒気がないというか、とにかく楽しいことだけやりましょうという無邪気なコメディ。  ゴダールは典型的な「付いて来れる奴だけ付いて来な」ってタイプだから、時折の突拍子な行動を好きになれるかなれないかだな。  この映画もその系統の筈なんだが、ゴダールの映画で一番気楽に楽しめる「思いつきの寄せ集め」だ。 そもそも英語の授業なのにずっとフランス語というのが。 いきなり踊りだすわ、 ルーヴル美術館爆走するわ、 強盗するわで変てこりん。 ああ、コイツ何も考えてねえ(笑)  でも何でだろうねえ・・・嫌いじゃないというか、愛らしいと言うか、無垢というか、不思議と頭を撫でたくなる映画だ。 まるで何をしたいか解らず周りをうろうろする仔犬のように・・・いやアンナ・カリーナがひたすら可愛ゆ・・・ゴホン 愛らしいというのもあるんですがね。 楽しいひと時を味わえた。
[DVD(字幕)] 9点(2014-02-24 02:16:56)(良:1票)
173.  プロジェクトA 《ネタバレ》 
死神を殴り飛ばせる男ことジャッキー・チェンの代表作。 時計台から落ちて生きている事が奇跡すぎる。 中国パネェー。 中国拳法の厳しい修行で鍛え上げられた肉体だからこそ出来るパフォーマンス。 役者魂ここに在り。 内容は「気にしてはいけない」が、 敵味方入り乱れた殴り合い、 体を張ったぶつかり合い、 ハロルド・ロイドやバスター・キートンといった往年のサイレント映画を連想させるシーンの数々、 自転車での路地裏チェイスなど、アクション映画好きは絶対に押さえておきたい面白いシーンばかり。 ジャッキー、サモハン・キンポー、ユン・ピョウの共演も中々見られない。 特にサモハンはキン・フーの傑作群や後に「イップマン」をはじめとする数多くのカンフー映画の武術指導を担う事になる男だ。 この映画はカンフーというより単に体を張る事を強要する馬鹿(ry ジャッキーの命懸けのスタントが凄すぎて笑えねえよ。肝が冷えるわ。バスター・キートンも首の骨を折った事に気付かず演技を続けた(「探偵学入門」)が、3回も時計塔から落ちようなんて発想よく思いつくよこの人は。馬鹿だ。どんだけ役者馬鹿なんだ。どんだけ死神に嫌われてんだアンタは。(大絶賛) これからも長生きしてくれよっ! ※ジャッキーは特殊な訓練を受けております。絶対にマネしないで下さい。    これを「アクション映画」か「ギャグ映画」として見るかは視聴者に任せます。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-15 16:22:55)(良:1票)
174.  北国の帝王 《ネタバレ》 
「アクションは必ずしも殴る蹴るや銃を撃つ必要は無い」という事を証明するシンプル・イズ・ベストな傑作。 無賃乗車を繰り返すホーボーと、それを阻止し列車を守ろうとする鉄道員の戦いを描いたアクション映画。 冒頭からニワトリの奪い合いで始まり、経験豊富という感じの男がいそいそと列車に乗り込み、ソレを見たマーヴィンのニワトリを奪おうとしていた青年が彼を追って列車に乗り込む。 その青年の気配に気付いたか、車掌のような男は彼らが乗り込んだ車両に鍵をかけ閉じ込めてしまう。 列車が動き出し、中の2人は会話をはじめる。車掌の仲間達が待ち受ける駅に近づけば近づくほど青年は焦り、もう一人は狂ったフリをして意外な行動にでる。 冒頭から対象は呼吸をするように動き続け、緊張感を持続させる事で駅に着くまでのスリルを極限まで高めている。 その後のマーヴィンとボーグナインのどちらが勝つかと賭けるところの斬新なカット、それを巡る男達の狂気の場面。イスごと叩き付ける場面が示すように、ボーグナインは客の安全を守るというよりはその思いが暴走し本来列車を補助する道具を凶器に変えて襲い掛かる。 まあ、ホーボーたちの無賃乗車がいきすぎれば鉄道会社が倒産しかねないからね。手をこまねいてもダメだし、彼のようにやりすぎてもマーヴィンのような“大者”を惹き込んでしまうのだが。 一方で、ホーボー仲間として協力する筈のマーヴィンとキャラダインも知らず知らずの内に互いの脚を引っ張り、やがて決別の時が訪れる。キャラダインに「薄情野郎」と言われてあたりを見回し「俺?」と返すシーンは爆笑。 仲間というより「あくまで利害の一致で協力していたに過ぎない」というドライな人物像は初期から貫かれてきた。本当に友情を結んだ例もあるけど、基本的には利害の不一致が起きれば争いになるのがお約束みたいなもん。 この映画は水も象徴的に出てくんだよねー。 マーヴィンが水で体を清めたり、霧や雨の中を走る列車の雰囲気、給水タンクに刻まれた文字、ホーボーを焼く蒸気。 視界が悪い中ホーボーたちの罵りと対向車とのギリギリのすれ違い、何度も列車に挑むマーヴィン。 急ブレーキの怖さを実感する場面は戦慄を覚えた。ラストの一騎打ちも熱い傑作!
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-14 16:39:47)(良:1票)
175.  ビフォア・サンセット 《ネタバレ》 
若者から大人へ。  前作とは何が違うか、どうか最後まで見て欲しい「サンライズ」の続編。  前は電車という街へ向かう道中、今作はいきなり街の中から、街角、路上、人々で賑わう街、書店、インタビュー、思い出す思い出は前作、キャメラの質感も前作の雰囲気を思わせる。  喋る喋る喋る、喋っている最中も動き出したくてウズウズ、ふと横を向いた瞬間に。  やはり歩いて歩いて歩く、時折悪態をつきながら再会を分かち合う、親しい友人か愛する異性か、子供から大人になった二人だけの秘密があの頃に戻してくれる。 「もっとあるよ(あと1時間くらい)」  二人にとって。会話の内容なんてどうでもいいのかも知れない。ただ互いを見つめ合いながら一緒に歩ければそれで。 過去は一緒にいるための話題として語られ消費される。街にこだまする音も。言葉は映画を彩る、二人の道中を飾る音楽のようになっていく。そう思うと音楽は鳴りっぱなしだな。  だがまさか10分もくっちゃべってる場面を延々と、前作とお~んなじように同じ俳優によって見せられるとは思わなんだ(褒め言葉)!誰にも話しかけねえ!前作のオッサン!!来てくれー!!!助けてくれー!!!!  年齢を重ねた二人、、二人にとっては至福、見守る人によっては苦痛を感じたり退屈に思う人も多かっただろうね。何故俺は退屈に感じなかったのだろうか。  指先が現す銃、カフェでも身振り手振りと舌は止まらない、食事。 「裸見ないと」 上着を脱ぎ、髪を下し、煙草をたしなみ、落ち葉、路地。おっと、ここまで頑張った観客に言いたい。どうかカフェで切らないで欲しい。  路地から歩道橋の上へ、公園を通り、短い橋を渡り、木漏れ日、ラフな格好は男を誘っているからなのか、上着は脱いだまま、性の話は女を求めているからなのか。  会話は前作とのギャップに戸惑う瞬間も。 突然椅子へ彼女を誘う、階段を下りたりすべり下りたり、川沿い。 黙ると死ぬのか!?船すら止まってやがる!!動け!動けってんだよこの野郎!!!動き出してくれてほっと一息。  船が動き続けることで髪と薄布もなびき続ける、船上でも男は姿勢を変え続け女も座る、橋はトンネルとなって影を落とし日も少しずつ傾く。 「細かいところに目がいっちゃうの」 そうなんだ、気をまぎらわそうとしてあらゆる仕草を見ざる負えない。車に乗っても喋り足りない。 運転手「うるせえなコイツら」  哀しそうな顔で触ろうとしてやめる手、路地を曲がる瞬間に雰囲気が明るく、抱擁、路地裏、猫、住人の紹介、自宅へ御招待、一曲、上着を脱いでくつろぐ、ギターを抱えて歌う、写真。 CDの音楽が流れ、二人は黙り…なんて思っていた瞬間が俺にもありました。  身振りでコンサートの様子を伝え、その後は二人だけが知っている。沈むであろう姿も映されて。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 07:38:04)(良:1票)
176.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
この作品にはあらゆる“一瞬”が積み重ねられていく。 TVに映る同時多発テロの様子、戦争で腕を失った少女、義足の青年、棺に刻まれた気休めの勲章。 その一瞬だけ映る筈だったものが、戦友たちにとって一生消えない傷として刻まれていく。隣で体を失った仲間が楽しげに喋っている痛々しさ。五体満足でいる自分が申し訳なく思ってしまう辛さ。 それに幾度も響くドリルの音。日常では工具のドリルが、戦場では風穴を開けて人を殺す武器に使われる。ドリルの音を聞く度にそれを思い出さなきゃならない。 そういった拭いきれない傷跡が幾重にも心に刻まれ、戦場から帰った後もクリスの心を蝕む。 狩りや射的、訓練とは違う。疑わしきは女子供だろうが殺らなきゃ殺られるのだから。 でもそれ以上にゾッとしたものがある。 いつ死ぬか解らないのに、肝心のアメリカは兵士を何度も日常と戦場を行き来させる遠征という名のピクニック気分。兵士にしてもいつ敵に出くわすか解らない戦場で家族に電話をかけるような腑抜けっぷり。アメリカの怠慢がここに描かれ...ってそれをクリスあんたがやんのかよっ! 気持ちは解るよ。でもまさか二度も嫁に電話かけるとは思わねえよ。しかも二度目は戦闘中にだぜ?爆音や悲鳴を生で聞かされる嫁の気持ちにもなってみろよこの野郎。 軍服の前と後ろにドクロのマーク付けた男がそんな事してんだもん。こりゃ敵もクリスの事を悪魔呼ばわりしたくもなるわ。 夕飯振舞ってくれた人たちが床下にとんでもないものを隠していたり、 黒頭巾の狙撃手との撃ち合い(携帯を使って無言で黒頭巾の男に情報を入れる黒服の女性もイカす)、 死んだ男から子供が武器を拝借して撃とうとするのを見て「頼むからやめてくれっ!」と言ってクリスが吐きそうになるシーンよりも戦慄したよ。 それでも狙撃者同士の戦いはやっぱ燃えますよ。見えざる敵をどちらが先に見つけるか、ソイツを“見つけた”瞬間の緊張と高揚!大将首ぶん奪っても終わらない壮絶な銃撃戦、砂埃で視界が利かない中での死闘。 クリスは戦場から帰っても、消えない心の傷が元でいつ犯罪を起こしてしまうか、その矛先を家族に向けてしまうのではないのかという恐怖にも苛まれる。 そんなクリスが子供たちと西部劇ごっこという命を奪う真似事で遊んでいる姿は微笑ましくもあるし、とても悲しい姿に見えた。クリスは死ぬまで銃を片手に過ごしていたのだろうか。
[映画館(字幕)] 9点(2015-02-26 14:17:15)(良:1票)
177.  SUPER8/スーパーエイト(2011) 《ネタバレ》 
J・J・エイブラムスは「スタートレック」シリーズが今のところ最高の映画だと思うけど、この映画も大好きだ。 葬式の場面から始まるファースト・シーン。 母親らしき人、駆けつける男、それを怒りながら止める男。ここから既に伏線が張られていた。人が死んだ話をしながら平気で食事をする子供たち。 俺も今は抵抗が無くなってきているが、子供でその領域はどんだけ修羅場くぐったんすか君たち。流石アメリカ、銃社会だけあるわ(物凄く不謹慎な発言)。 数年後、成長した子供達は映画祭に出てホラー映画を撮るという。 監督を目指すチャールズは面白い奴だ。 「クオリティ」とかおめえは何処のオーソン・ウェルズだよ。体系まで後期型のウェルズだ(初期のウェルズはスマート)。 見た目は重量、しかし映画造りへの情熱と行動力は最高にスマートな少年だぜ。 70年代のポピュラーミュージックが彩りを添える(特に「マイ・シャローナ」と「おしゃれフリーク」は最高!)映画を見終えた後のあの心地良さはなんなのだろうか。 文字通り主演女優のアリスが可愛い&カッコイイ。 序盤は映画の撮影をめぐる冒険ドラマ、列車の事故が起きる辺りからSF映画に。 大惨事にも関わらず、妙にリアリティが無いのはCGによる演出のせいか。 惨事後の散らばった列車の破片が実物だっただけに、余計にCGが目立ってしまっている。 それ以外は特に不満な点は無い。 フィルムを見ただけで感情移入してしまう少年の強さ(流石警官の息子)、“先生”が傷だらけでベッドに横たわり蝿が飛んでいる妙な生々しさ、回り続けるビデオカメラが捉えたもの、謎のキューブ(ルービックキューブは1980年代に発売)、次々に起こる怪奇現象、電気が消える中影響を受けないウォークマン?、医療行為による“殺人”、「出てけ!」→マジで出て行く→本当に出て行くとは思わず慌てて娘を追う→「俺が悪かった!」→事故る→うめいている間に娘誘拐。言っちゃ悪いけどこれ何てギャグ? ラストであえて手を離す“過去との決別”シーンも良い。久々に楽しめる映画だった。 女性の会話も面白い。 「アメリカはお先真っ暗よ!」→「真っ暗は黒人」→「人種差別!」 バロス。 エンディングのチャールズによるゾンビ映画も必見。 流石に事故の音がセルフってのはどうなのよ(狙ってやったかヤケクry)。 しかし本当に怖いもの知らずだなコイツら。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:22:11)(良:1票)
178.  サーカス(1928) 《ネタバレ》 
サーカス映画の傑作と言うとフェデリコ・フェリーニの「道化師」や「道」、 ボリス・バルネットの「レスラーと道化師」、 マックス・オフュルスの「歴史は女で作られる」、 トッド・ブラウニングの「知られぬ人」「フリークス」、 アルベール・ラモリスの「フィフィ大空をゆく」、 エドワード・バゼルの「マルクス兄弟-珍サーカス-」、 ジョージ・マーシャルの「あきれたサーカス」、 D・W・グャィスの「曲馬団のサリー」、 ジョージ・パルの「ラオ博士の7つの顔」、とあるが、個人的な最高傑作はチャップリンの「サーカス」を挙げたい。 爆走が起こす破壊の連鎖で笑わせてくれるのはキートンやローレル&ハーディだけにあらず。 恐らくチャップリン映画で最も走ったりアクションに挑んだ作品が「サーカス」じゃなかろうか。 警察に追われるのはいつも通りだけど、今回の大目玉はクライマックスの綱渡り! クライマックスまで次々とハプニングを巻き起こす破壊力。撮影裏でもフィルムが現像ミスで4週間分も使えなくなるわ、二人目の妻リタ・グレイとの騒動でヘトヘトになるわ、「どうしてこんな事になってしまったんだ」という、そんな追い詰められたチャップリンの精神が反映されているかのようなシーンである。 これ吹き替え無しだぜ?しかも例の猿軍団は「キートンのカメラマン」にも出演していた連中だ。 キートンの「カメラマン」では強い意思を持って主人公を助け、チャップリンの「サーカス」では無意識に主人公を殺しにかかる。 ライオンの檻に入ってしまう場面はキートンの「恋愛三代記」への回答だろうか。 「君が着ぐるみなら、私は本物のライオンだ」的な。流石に首を折って撮影を続行(キートンの「探偵学入門」)はマネできなかったか。 アレをマネ出来る(する大馬鹿)野郎はジャッキー・チェン(「プロジェクトA」)だけでええわ!異能生存体かおのれらは。 キートンやハロルド・ロイドは体を張って笑いを生み、チャップリンは如何なる苦労も顔に出さずニッコリ笑って見せる。 喜劇王と呼ばれた男達に共通する事は“自分で動かなければ何も始まらない”という事だ。  特典映像で携帯?に話しかける女性は何者なのだろうか。謎だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-15 17:13:25)(良:1票)
179.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 《ネタバレ》 
ストーリーはクレしんらしい単純さ。 戦国時代が舞台というと「雲黒斎の野望」を思い出す。あの映画も戦闘描写が凝ってて面白かったぜ。 本作も「クレしん」らしからぬリアリティ、「クレしん」らしい散々笑ってアホみたいに泣かされる。  タイムスリップした先が戦国時代で、そこに居合わせた武将と姫を野原一家が助けるというシンプルなもの。 だが今回のクレしんは馬鹿馬鹿しいドタバタや「陳腐」を「爆笑」に変える破壊力は控えめ。 論点になって来るのが、クレしんの単純な娯楽性に「戦国時代の「リアリズム」をねじ込んだ点。  確かに合戦の様子はリアル。 当時の合戦のルールを娯楽映画の「お約束」として利用する方法は素晴らしい。  とまあ、合戦に関するリアリティは良いが、肝心の姫様側はリアルとは言えない。  何故なら姫君がそのまま後を継げばそれで良いのだから。 実際の戦国武将は、後継に男がいなければ女でも城主になれた。 巴御前や甲斐姫といった女武将がまかり通っていたなら、女城主が認められないわけがない。 鶴姫という実例もあるし。 本多忠勝の姪だか妹も城を任されていたっけな。 あと秀吉の嫁の茶々とか淀殿とか。 あの上杉謙信だって「実は女だったじゃないか」と疑惑が向けられるほどだ。  まあ余りにリアルにしすぎたらそれこそ「つまらない」。 「七人の侍」のようにリアリティとありえない描写をマッチングさせた「娯楽活劇」とするか、 「乱」みたいな城下町すら無い「悲劇」を描くか。 その点で言えば本作は「親子に見てもらいたい」からこそリアリティをねじ込んだ。  でも、それよりも大きな論点はラストの「唐突な最期」だろう。 戦場のリアリティにこだわった結果、いつものクレしんには無い哀しみが訪れた。 いままでの「クレしん」からは予想も出来ない事さ。 俺だってガキの頃は又兵衛があんな事になって泣いたよ。 ちくしょうちくしょうって悲しくなった。 死ぬ間際に大切な刀をしんのすけにあずけてさ・・・。  戦国武将のクセに女に弱かったりさ、人間臭い又兵衛。 静かな静かな幕引きはちょっと切ない。  クソ・・・もう100回見ても又兵衛のシーンで泣く自信があるぞコンチクショウ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:20:13)(良:1票)
180.  アラバマ物語 《ネタバレ》 
グレゴリー・ペックの演技がとにかく最高。 ジョン・フランケンハイマーの「I Walk the Line」やラオール・ウォルシュの「艦長ホレーショ」「世界を彼の腕」に並ぶベスト・アクト。  個人的には「拳銃王」や「廃墟の群盗」「無頼の群」「白昼の決闘」のようなアウトロー役も好きだが、ペックはやっぱり冷たいようで本当は根が厚い正義漢が一番。 「ローマの休日」みたいな王女のスキャンダルを書いてやろうと思っていたら、何時の間にかその人柄に惚れて助けたくなってしまった・・・そんな感じこそ俺にとってのペックなんだ。  「大いなる西部」のようないかにも正義感の塊というペックは好かない。   この「アラバマ物語」は、ホームドラマとしても、一つの法廷劇としても見れるこの映画。 前半は弁護士の父親と家族の団欒、父親が扱う事件を巡ってのトラブルなどなど、実にアメリカらしい社会背景が詰まっている。 そして子供たちの小さな冒険譚。 内容はてんこ盛りだが、ストーリー自体は淡々と事を運んでいく。  裁判のシーンは少し長め。 事件の真相を探っていく内に、差別や貧困といった問題も絡んでくる。  最後まで戦い抜いた父親だが、待ち受ける顛末は残酷なものだ。  ただ、ラストでちょっとした奇跡が待っている。  心の暖かい人間ドラマです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-08 19:07:22)(良:1票)

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