Menu
 > レビュワー
 > もっつぁれら さんの口コミ一覧
もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  嵐ケ丘(1939) 《ネタバレ》 
物語が重いし、おまけに画面が暗い。いつの時代の話かはわかりませんが、身分や家柄が絶対という世の中で起こる雇い主の娘キャシーと使用人ヒースクリフの恋愛物語。 物心付く前は身分だの家柄だのという基準なんて当然気にするわけもなく、純粋に相手の人柄や外見のみが判断基準となるため、身分違いのままお互いが成長すれば当然周囲から反発を食うことになってしまったり同じ身分の異性に魅かれていったりという事が起こりそうですが、そういった部分の葛藤の気持ちだったり、またはお互いに乗り越えていく様をどのように描くのかというのが、古今東西いつの時代も変わらぬ“身分違いの恋愛モノ”における重要な部分になってくると思います。 自分がこの映画を好きなところは、幼少期と青年期の描き方が素晴らしく、それがストーリーのバックグラウンドにしっかりと根を張っているところです。 丘の上にある大きな岩を城に見立てて、王様とその僕(しもべ)のような台詞回しで愛を誓い合うシーンが非常に美しく、そのため、エドガーと結婚する際やパーティー会場のテラスのシーンなど、心が離れてゆくような描写があっても違和感なく最後まで観る事ができました。 また、パーティー会場にヒースクリフが入ってきてキャシーと出会う瞬間のキャシーの表情の絶妙、そして極めつけの最後、ベッドで寝ているキャシーの元にヒースクリフが現れた時、キャシーがゆっくりと目を開いていく表情は、他にどんな映画を探しても決してあのような印象深いショットはお目にかかれないと思います。 映画の終盤になって回想シーンが終わった後も、依然として暗い雰囲気でありながらもとてもロマンティックな雰囲気で締めくくられ、岩に向かって歩く二人の後姿で幕を閉じるラストシーンが凄く良かったです。
[映画館(字幕)] 9点(2011-04-21 23:28:59)(良:2票)
2.  秋のソナタ 《ネタバレ》 
鑑賞にこんなに体力を使ったのは初めて。 この作品に限らず、“夜中の会話”って、絶対に何かあるから怖い。 ベルイマンの映画はまだ片手で数えられるくらいしか観てませんが、この人はじわじわと少しずつ滲み出るように恐怖感を与えることに特異な才能を持っているに違いありません。 寝ている最中に顔を触られる悪夢に叫びを上げ、落ち着きを取り戻したところで「ママの事好き?」と尋ねる母親。それに対し「愛してるわ」と答える娘。 何気ない会話ですが、少し離れて座る娘が取ったこの距離感に、ただならぬ不穏な空気を感じました。その後の展開は観た人ならお分かりでしょうし、そこいらのホラー映画よりも100倍は怖いあのシーンを振り返るだけで背筋が凍る思いが呼び起される気がするのです。 ラスト、母親に向けて再度手紙を綴る娘に対し、別の男に寄り添い安堵の表情を浮かべる母親。二人の縮まらない距離。 娘が歩く墓地の後ろに広がる湖の黒さが印象的。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-20 23:34:46)
3.  アッシャー家の末裔 《ネタバレ》 
この映画、もう何から何まで凄い。 自分が観たサイレントの中でダントツの怖さです。 まず、アッシャー家の当主ロデリックと妻マデリンの妖しさは何とも言えない。特に、ロデリックの方は、映し方によっては至って普通の紳士のようにも見えるのだけど、独特のカメラワーク故のものなのか、ストーリー上の背景がそう見せるからなのかわからないですが、目つきがヤバかったり頬がこけていたりというような“いかにも”という風貌ではなく、内側から滲み出てくるような不穏な雰囲気があり、取り憑かれたような感じになりました。 序盤で、馬車に乗っている付き添いの人がアッシャー邸を指差すワンショットからインパクト絶大で、更に、ロングで捉えた館の恐怖感たるや、本作か「サイコ」かと言える程の様相です。 また、至るところに空や水辺や木々など、自然を撮ったショットがふんだんに使われており、雲の動き、水のざわめく感じ、枝の揺れ方などでただならぬ雰囲気を表現していたり、妻の棺桶を馬車に載せて墓まで運ぶシーンのカメラの揺らし方なんかも抜群で、どのショットを切り取っても凡百の映画とは一線を画す印象です。 妻の絵が完成に近づくにつれて本物の方から生気が失われていくというのもストレートで良い感じに恐怖感が出ているし、岩の間から白い布が見え隠れするのも冗談みたいに怖い。最後に館が燃えてしまうのも古典的なラストで良い。 レア物なので、機会があるかはわかりませんが、是非また観てみたいです。
[映画館(吹替)] 8点(2011-09-13 23:54:51)(良:2票)
4.  赤い風船 《ネタバレ》 
赤い風船・・・それはまるで、ちょっとしたペットのよう。 捨て犬や捨て猫のように、誰かが膨らまして街灯にくくりつけたのでしょう。捨てられた風船を見つけた少年はその風船を可愛がり、風船もまた少年のそばにいようとする。この両者の関係がほんわかと暖かくて、見ていてとてもピュアな気分になれます。 大人の目線でこの映画を観てしまうと、ついついあの風船をどうやって動かしているのかが気になってしまいますが、そんなことを詮索するのは野暮というもの。 グレーの建物をバックに大きな赤い風船。そのコントラストや、奇想天外摩訶不思議な動きをする風船と、純真な少年。それだけでもう十分、幸せ一杯な映画なのです。 最後の方で、いじめっ子が風船に悪さをし、風船は割れてしぼんでしまいます。すると、町中から風船の仲間たちがぞくぞくとやってきて、そのいたずらっ子に仕返しをするのかと思いきや、そこはフランス映画。日本のドラえもんの道具のようなことはいたしません(笑)。集まった風船たちは、少年を空の旅へと連れ去っていくのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2008-11-03 17:35:07)
5.  アイアン・ホース 《ネタバレ》 
オープニングの献文からして、早くもただならぬ大作の雰囲気が漂ってくる。この映画に携わっている人々の情熱が伝わってくるようです。 ストーリーは、アメリカの大陸横断鉄道の建設の話。国の発展のためにレールを敷こうとすると原住民インディアンに妨害されたり、利権関係で争いが生じたり、男女間の色恋話やコメディタッチのシーンあったりと、重厚なつくりの中にも観る側を楽しませる要素が組み込まれていて、硬くならずに観ることができると思います。 A.リンカーン大統領や鉄道建設に携わる人々の意気込みや使命感、ひたむきさ、フロンティアスピリットというものが感じとれた事がとても良かった。上手く言い表せないですが、一つの目標に向かって突き進んでいるところがとにかくカッコイイ。 また、自分が苦手な、アメリカ映画にありがちなアメリカ万歳の雰囲気がないのはプラスポイント。 牛や馬やバッファローの大群が押し寄せてくる迫力やインディアンとの壮絶なバトルなど、アメリカンなビッグなスケールの超大作といった印象で、久し振りにいいものを観させてもらったという気持ちです。
[映画館(字幕)] 8点(2008-05-14 01:55:21)(良:1票)
6.  甘い生活 《ネタバレ》 
ストーリーは何てことはない、ゴシップ記者マルチェロの、行く先々で起きる出来事を羅列し繋ぎ合わせただけのストーリーのように思えます。 が、しかし、その一つ一つが全て失意の残る終わり方だったり、絶望感漂う終わり方で締めたところがなかなか興味深い。 トレビの泉で水しぶきと戯れていたら突然噴水が止まりそこにあった幻想的な雰囲気が消えて一瞬にして現実に連れ戻されてしまったり、奇跡が起こるとされる聖地に行っても奇跡が起こるどころか大雨に見舞われたり、互いを認め合う親友が一家心中をしてしまったり、元気だった親父にふと暗い背中を見せられたりと、何かと人生うまくいっていない様子。 極めつけはラスト。惰性や習慣で騒いでいたかのような、さほど大したことのないパーティーのように感じましたが、終わって外に出てみるとそこにあるのはやっぱり虚しさばかり・・・。しかも浜に上がった巨大な魚は、大海での威厳や存在感は一体どこへやらと言わんばかりの無残な姿でマルチェロの前に現れる。 どのエピソードもみんな暗い。一旦持ち上げといて不意に足元をすくわれるような、そんな暗い結末ばかりが映画を形成していくのだけど、こういう流れのストーリーは実は結構好き。 時折出てくるローマの街並みも、街灯が車のガラスやボンネットに反射することで画面全体がキラキラと輝いていて、モノクロの映像美を存分に堪能できるし、ニーノ・ロータの音楽も最初から最後まで(特にラストの乱痴気騒ぎで流れるヘンな曲「パトリシア」)完璧。 後で気がついたことですが、オープニングでヘリに乗ったマルチェロの声が相手に届かないというシーンが出てくるのに対し、エンディングでは逆に、相手からの声がマルチェロに届かないというシーンが描かれている。これは一体?!? 映画全体では一貫したストーリーはないように思えたけども、主人公マルチェロには最初と最後で変化が生じているということなのだろうか・・・と思ったら、どちらも自分から去ってしまってますね、ハイ。
[映画館(字幕)] 8点(2008-01-20 00:27:19)(良:1票)
7.  アントワーヌとコレット 《ネタバレ》 
自分に置き換えてみると、これはかなりイタ~イお話。コレットが両親に「前にも話したでしょ」と言ってたのに、その両親はそれにお構いなくアントワーヌを食事に招いてたというのも相当イタい。 短編とは聞いていたが、ここまで短いとは正直思わなかったのだけど、この尺の短さがかえって良かったのだと思う。コレットの家に突然男が現れたことによって突然事態が急変し、一気にエンディングへと向かうのだけど、もし、観る前から上映時間が分かっていたとしたら、(そろそろ何かあるだろうなと予測してしまい、)突然の急展開にもさほど驚かないだろうと思う。約30分の上映とは、そういう意味で正にベストな長さ。 ラストの写真の数々もまた、短編らしい凄くセンス溢れる締め方で、切ないけど妙に満足してしまった。 また、「大人は判ってくれない」のポスターが劇中に出てきたのも、トリュフォーのユーモアが感じられて面白い。
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-12-02 13:52:02)
8.  悪魔のような女(1955) 《ネタバレ》 
ヒッチコックに影響されたのか、はたまたこの映画がヒッチコックに影響を与えたのか、どちらかわからないくらい雰囲気が似ていますよね。 殺人を終えて自首しようか迷っているクリスティーナに対してそれを思い留まらせようと説得するニコールですが(これは「ロープ('48)」に似ている)、実際に毒を盛ったのも水に沈めたのも像を重石として実際に使ったのもみんなニコールなんだから、「自首してしまえば刑は軽くなるぞ~」と、いつの間にかクリスティーナに感情移入してしまい、最後のどんでん返しではクリスティーナ同様に完全にノックアウトされました。このように、騙される側の人物に感情移入させることによって観客にウラを読ませない筋書きと監督の手腕に脱帽です。 名シーンの宝庫ともいうべき本作ですが、ドアが閉まった瞬間にミッシェルのグレーの背広が老刑事の目の前に出てきて「こんな感じ?」と言うシーンが特に好きなんですけど、何かゾッとしますよね。 それと、プールの水を干した時、下からのアングルでクリスティーナが卒倒するところを映したシーンなんて芸術的じゃないでしょうか。 ニコールはあれだけ巧妙にクリスティーナをだまし、徐々に心理的に迫り、最後には心臓発作を起こすくらいまで追い込んだのですから、まさに“悪魔のような女”でしょう。 ラストで、少年が言ったセリフにいまいちピンとこないのですが、トータルで見ると映画全体でモノクロ画面のとても良い雰囲気が味わえたのと、数々の映像のテクニックに大いに魅了され、ラストのインパクトもしっかり衝撃を受けたので、久々に満足のいく映画に出会えたと思いました。
[映画館(字幕)] 8点(2006-07-02 01:23:30)
9.  愛人関係
ストーリー・演出ともに良かった。この監督(ジョルジュ・ロートネル)が無名のままでいた(いる?)のが本当に惜しい。ミレイユ・ダルクが実に味のあるいい雰囲気を出していたと思う。まさに掘り出し物を探し当てた気分。前にBSでやってたのを偶然見たのがきっかけでそれ以来気になっていた映画だったけど、やっぱりNHKでやる映画はハズレが少ない。最後はやや尻切れトンボだったところは自分の好みの終わり方ではないが、あのラストシーンでは、生まれてきた子供が難病を患っていて殺してしまう人がいたり、いろいろな事情で自殺をしたり心中したりする人、安楽死の問題が議論されている現代社会にも何か通じるところがあるような気がして色々と考えさせられてしまった。最後のペギイのあの笑顔がとても印象的で、やっと本当に心から笑ってくれたんだなあって思う。マルクに感情移入すると、彼女を憂う気持ちや慕う気持ち、自分の無力さに対する歯痒さが相まってとても切なくなってくる。フィリップ・サルドの音楽もすごく綺麗だった。
8点(2004-08-23 15:28:43)
10.  アデルの恋の物語 《ネタバレ》 
この映画を見終わって、日本には“馬鹿息子”って言葉があるけど“馬鹿娘”って言わないよなぁとか、しょーもない事を考えてしまった。 さて、この原作や映画は当時のフランスではどういった評価だったのだろう。 美しい一つの愛の物語として受け止められたのか、狂気の女として恐れられたのか、あるいは揶揄されたのか、気になるところです。 映画でいえば、ヒロイン役のイザベル・アジャーニの演技が素晴らしく、下宿先の女主人からピンソン中尉が来たことを聞いて慌ただしく身なりを整えるところからの流れが特に良く、夜の墓場に出て自身の気持ちを訴えるシーンなど、彼女の鬼気迫る演技には魅了され尽くしてしまいました。 また、何度も舞台となった銀行、下宿、本屋などの内装の美術面でも目を見張るものがあり、上記のシーンなども含めた照明やカメラなどのスタッフワークも充実しているのが伺えます。 主人公アデルは、我が道を行くといえば聞こえは良いが、やる事なす事すべてが常軌を逸した激情的女性。 男装して夜会に潜入し、親をも欺き、催眠術をたくらみ、ピンソンの相手の親から金を巻き上げ、男を振り向かせようとする。 終盤にかけては、一張羅のドレスもズタズタになるほどに他のすべてを捨てて愛を突き通さんとするアデル。 その行きつく果て、最終形態は、好きなはずの相手の顔も認識できなくなり暗号で日記を書くまでになってしまうという。なんと恐ろしいラブストーリーだろうかと戦慄するほどです。 ところで、文豪の父ビクトルとは親子関係はどうだったのか。 本屋の男からのプレゼントとしてレ・ミゼラブルを贈られた時の反応を見るに、決して良好ではないように感じられます。 主人公アデルが凄いのは勿論、国葬にもなったユゴーの馬鹿娘をネタにした原作者フランセス・V・ギールという男の度胸もなかなか凄いと思いましたが、あくまでも美しい抒情詩として著された作品であり、そう捉えるべきでしょう。 でないと、国葬に参列した200万人を敵に回すことになりかねませんので。
[映画館(字幕)] 7点(2022-10-07 02:15:14)
11.  アマゾンの男 《ネタバレ》 
「リオの男」「カトマンズの男」でおなじみのフィリップ・ド・ブロカとベルモンドの名コンビが再び観られるということで観てきましたが、オープニングからして上記2作のようなアクションコメディーの雰囲気が・・・ない。 ストーリーはまるでかぐや姫のようなファンタジー映画。 特異な体質をもった少女は落ちてきたその地の者と交流を深め、やがて満月の夜に星に帰るという。 撮影当時のベルモンドは60を過ぎていたということで、アクションはさすがに往年の彼ほどのものは見られず、市街に入ってからのカーアクションや汽車でのシーンなどは全体的なファンタジーの雰囲気を邪魔しない節度ある演出と言えるでしょう。 アクションコメディーもファンタジーも、ストーリーが理にかなっていない所があったとしても許せてしまうという点においては根は同じなんだと考えると、ブロカの映画哲学は一貫していて気持ちがいいですね。
[映画館(字幕)] 7点(2021-06-11 11:06:55)
12.  赤い子馬 《ネタバレ》 
ロバート・ミッチャムは、自分の中ではLOVE&HATEのイメージだったので、この映画を観てガラッとイメージが変わりました。 また、子役のボー・ブリッジスは初めてですが、学校の友達にいじめられたりしているときも気丈に振る舞う姿を上手に演じていましたし、おじいちゃん子な可愛い一面を見せたりして、こちらも名演だったと思います。 そのロバートとボーの、親子とも見分けがつかないくらいの二人の関係が、馬を通して心を通じ合わせ、また紆余曲折を経ながらもとても丁寧に描かれていて好感が持てました。 一方で、夫婦役の二人は、夫が抱えている問題(兄の手伝いをするために土地を離れる云々)の掘り下げが弱かったり、また登場人物の中で夫が一番存在感が薄いような感じもして、やや手を抜いていた感が見え隠れしている気がします。 主に、人間関係がメインのストーリーでしたが、馬が出てくる事もあり、もう少し多く大自然の雄大さを描いたシーンが出てきてもいいのではと思いました。
[映画館(吹替)] 7点(2012-01-13 00:44:25)
13.  嵐の孤児 《ネタバレ》 
グリフィスの映画はどの作品を観てもそうなのですが、カメラワークが良い意味で普通すぎていつもコメントするのに困る。 あまり斬新な撮り方をせずに、見る側である自分が、ここが見たいというところにスッとカメラが向いたりする親切さやカットバックのタイミングやテンポの絶妙さなどによって、作り手の思惑通りに素直に感情が伝わってきたりハラハラドキドキしてしまったりと、ごく自然にそういった感情が出てしまうものだから、その当たり前のことを違和感なくサラッとやってのけるテクニックをどうしても無意識のうちにスルーしてしまいがちになってしまいます。 例えばラストシーン。リリアン扮するアンリエットが今まさに処刑されようとしている時、アンリエットが処刑台にセットされるカットと放免状を手にしたダントンの馬群とがクロスカッティングで進行するのですが、ここの場面でハラハラドキドキ感を味わう事が出来るのは、まぁ普通として、実はそれよりもだいぶ前からクロスカッティングが始まっていたことに、家に帰ってレビューを書く時点になってから気がつきました。 また、ルイーズの歌声にアンリエットが耳を澄ませるシーンも、いよいよ再会か!などと思い、気が付いたら普通に胸の鼓動が高まってしまったりするシーンも、互いのカットを上手くクロスさせていて、やはりこのシーンもこの映画を語る上では外せない名シーンでしょう。 生き別れが物語の中に出てくる映画は、自分にとってはかなりの確率で感動を覚えてしまい、このサイトのジャンル区分の一つに付け加えて欲しいくらいなのですが、この映画でもやはりすれ違いでやきもきさせられた上での再会だったので、最後は余計に感動してしまいました。まぁ、いわゆる常套手段ではありますが、この場面でもまた難なくグリフィスにやられたという感じでした。
[映画館(字幕)] 7点(2011-09-19 15:34:43)(良:1票)
14.  アニキ・ボボ 《ネタバレ》 
子供が主役を演じる映画というのは、絶対といって言いほど人間としての成長が描かれなければいけないのだけど、その成長の契機として、心に痛みを負ったり人を傷つけたり、または盗みをするなどといったシーンが必ず出てくる。 また、子供というのはやはり単純で、子供の考えている大抵の事は我々大人も過去に身をもって考え体験してきたという事もあって、思考パターンやその先々で起こる出来事が予想出来てしまう事が多い。 つまり、映画で子供を描くとなると、誰が作っても同じようなストーリー展開になってしまうことが多く、逆に言えば、シナリオを作る以前の基本的なテクニック、そして作り手の人柄というのが子供映画において最も重要なファクターとなると思う。 この映画はオリヴェイラ監督のデビュー作だそうですが、この頃はやはり変なブラックジョークもなく何かのメタファーが込められているわけでもなく、映画の中の子供たちのように凄くピュアなオリヴェイラを見ることが出来ました。 映画全体がほんわかと優しさに包まれたような雰囲気で、見ていると何だかとても暖かい気持ちになってきます。ショーウインドウの中のお人形を3人で首を微妙に傾けながら見つめる姿なんか本当にいい。オリヴェイラの子供好きなところが画面から感じられますし、それだけでなく大人に対しても優しさをもって描いているのが実に心地良いです。 特に自分が好きなのは最後のシーンなのですが、お人形を店のおじさんからもらって彼女に渡した後、二人で仲良く手を繋いで階段を登っていくのが、子供たちの未来を暗示しているかのような気さえします。“子供が階段を登る”これだけで、もう十分幸せな映像なのに、それを見守るような目線で二人を捉えるカメラとくれば、我々大人が幸せにならないわけがありません。しかも、二人でお人形を挟んで一緒に歩くというのが、また何とも微笑ましく、ひょっとしたら将来結婚するんじゃないかとまで思わせるくらいの超絶的なハッピーエンドで、とても大満足なのでした。
[映画館(字幕)] 7点(2010-10-06 22:19:55)(良:1票)
15.  赤い砂漠 《ネタバレ》 
アントニオーニの映画は5本ほど観ているのですが、ワケがわからなくてレビューのしようがない映画の方がほとんど。で、今回もその例に漏れず、やはりストーリーはまるでわからない・・・・・のですが、この謎めいた雰囲気、サスペンス感は大好き。 冒頭で、何処からともなく現れた1人の女性とその子供。身なりはしっかりしているのに、慌てた様子で道端の男から食べかけのパンを譲ってもらう。子供に食べさせるものがなく彷徨って歩いていたのかと思いきや、子供はそのパンをいらないと言う。さらに見ていくと、女は店を出したいと言うが、何を売るかもまだ決まっていなく、しかもその店の前の通りは人影はほとんど皆無(こんな所で商売が出来るのか?)。 過去に起きた交通事故で精神異常になってしまった女の奇怪な行動が映画全体を覆い尽くす非常に奇妙な映画で、彼女は何故こんな行動をするのか、といった謎めいた空気が常に漂っており、この女の存在そのものがまさにサスペンス。 ラストの黄色い煙が暗示するのは、危険なもの、害のあるものと判っていて自ら近寄らないもの。人間の世界に例えると、それは一体なんだろうか・・・? 皆さんのレビューにも書かれている通り、テクニカラーによる見事な色調が最高に格好良い。特に、夜の波止場の仄かな街灯の光に照らし出されるモニカ・ヴィッティの表情、港を出る時の霧の加減、映画前半の夜の寝室とラストのベッドシーンでの光の当て方に違いをもたせていて、後者の方が妖艶な雰囲気を漂わせているところなんかは非常に興味深い。また、色使いだけでなく、星の声を聞くためというアンテナが幾重にも繋がっているシーンの幾何学的な美しさなども目に留まります。 子供に話を聞かせてあげるシーンも、物語と画面の両方でちょっとしたアクセントになっていて、すごく良かった。 こういう映画って、自分ひとりで部屋で何もしてない時にBGM代わりに流すのに最適だと思います。モニカ・ヴィッティも最高に綺麗ですしね。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-13 02:04:03)
16.  あの胸にもういちど 《ネタバレ》 
アラン・ドロン目当てで観てみたのですが、本作の原題にある通り、この映画の華はあくまでもマリアンヌ・フェイスフル。 空想を繰り広げている時のあの表情といったらもうっ!嬉しい事、悲しい事、不安な事・・・どんなことを想像していても、みんなとてもいい顔。 たまに出てくるサイケデリックな画像処理も、レベッカが高速で飛ばしてる時の合成映像も、何となく想像できてしまう結末も、みんな古臭くて失笑モノ。おまけに、全編を通じてただレベッカが過去を回想するだけの淡々としたストーリー。しかし、しかーし、面白い! 英語を喋るドロンにちょっと違和感を感じたけど、まぁかろうじて合格点。スキーの宿で、ドロンがレベッカに向かって笑いかけていたのも、本屋にいる時のクールな印象からはかけ離れいてかなり違和感があるのだけど、これも気にしない気にしない(笑)。 とにかく、主演のマリアンヌ・フェイスフルの醸し出すオーラを始めとする、全体の雰囲気が実にイイ。 こういう映画、大好き。 
[映画館(字幕)] 7点(2008-01-13 01:57:27)(良:1票)
17.  あこがれ (1958) 《ネタバレ》 
あこがれて、その対象を傷つける・・・。なんて大人気ないんだろうって思っても、大人じゃないから仕方ないのだけど。けど、相手が傷ついたことが判って初めて大人になっていくわけで、苦い思い出かもしれないけれどとても貴重な経験。 ナレーションが大人の声であることから、この映画は恐らくはトリュフォー自身の懐古なんだろうなと思う。 うまくコメントできそうにないけど、自分が小学校低学年の時に募金活動をしていた時の、中学生くらいの“お姉さん”の胸元に赤い羽根を刺すときのあのドキドキ感が舞い戻って来るような、そんなどこか懐かしい映画。(感想になっとらんがな!)
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-12-02 22:23:35)
18.  愛の昼下がり 《ネタバレ》 
エリック・ロメールの「六つの教訓物語」シリーズ第6作にして、いよいよ最終作。 この邦題「愛の昼下がり」は原題「L'amour l'apres-midi」の直訳だと思われるのだが、(原題・邦題共に)これがまた、何と素晴らしいタイトルであろうか。これ以上に相応しいタイトルは思いつかないと思えるくらいの見事なタイトルだと思う。 今回のストーリーは、やや存在意義の不明なシークエンスがいくつかあると思うのだが、例えば、冒頭で服を買うシーンだとか、田舎の生活に不満を感じていて都会の空気が好きだ、というくだりなどはあまり本題に直結しないような気がする。店員に勧められて買ったシャツが伏線になるのかも、と期待して観てたのだが、特にそのような結びつきは見つからなかったように思う。 この映画の主題となる、家庭を持った男が独身女性に魅かれていくというストーリーは結構ありがちなんだけど、この主人公は家庭に不満もなく、他の女性になびく理由がないというのと、クロエという女が会社に押しかけてきたり、主人公を誘惑したり、子供が欲しいだのと言ったりする、自己中心的な神経に腹が立った。 最後に奥さんのところに駆けつけたとき、夫の浮気に密かに胸を痛めていたのか、抱きしめられて涙がぽろぽろ出て震えるシーンにはグッときた。 本作はシリーズのラストを飾る作品だけに、いつも以上にエスプリの効いたエンディングを期待していたのだが、そんな小洒落たオチもなくあっさりしたエンディングだったので少々物足りなさを感じた。夫婦が愛を確かめ合ってハッピーエンドというのは確かに悪くないんだけど、このシリーズでそれをやられるのは、ちょっと不満。単体の映画として見れば7点だけど、シリーズものであることを考慮して評価すれば、6点。
[映画館(字幕)] 7点(2006-12-28 01:39:53)
19.  或る夜の出来事 《ネタバレ》 
この映画は話の展開がとにかく面白いです。現代の感覚で見ると“お約束”ギャグ満載なストーリーなんですが、ギャグのオチがわかっていても十分楽しめます。若干ではありますが、ややご都合主義なストーリー展開も“お約束”としてつっこまずに見れば良く出来たシナリオだと言えるでしょう。 この映画は、なんといってもエリーですよ。最初はイヤな女に見えていたのが、ストーリーが進むにつれ段々とチャーミングに見えてくるから不思議。ヒッチハイクの時、「私は寝てるから、つかまったら教えてね」なんて言って寝てしまうシーンとか、その直後に車を捕まえて後部座席で楽しそうに話をしている表情なんか凄くカワイイじゃないですか。 クラーク・ゲイブルとのコンビもまた絶妙で、彼がモーテルで服を脱ぐシーンやヒッチハイクのやり方を雄弁に語るシーンなどは脚本の良さはもちろんですが、やっぱり彼の演技力がとても光っていたと思います。 ところで、「ブランコ乗り」の歌をみんなで唄うシーンですが、どうやってあのシーンを撮影したのかがちょっとわかりません。カメラの位置ですが、まず運転手の前に1台、前方からバス全体を見渡すカメラが1台、エリーをサイドから映すカメラが1台、後部座席の楽器を奏でる人たちを映すカメラが1台あり、一つのシーンをその4台のカメラで同時に撮っているだろうと思われますが、エリーのサイドのカメラは被写体から1メートルくらい離れているように見え、エリーの脇には壁がないにもかかわらず、前方からバス全体を俯瞰するカメラに切り替わるとエリーの横にはちゃんと壁があるわけなんですが、このシーンはどうやって撮影したのでしょうか???歌も口パクで唄っているようには見えないので後から音楽だけ付加したようには見えず、かつ、音楽もモンタージュで途切れることなく流れているのでどう見てもワンテイクを複数のカメラで撮影しているに違いないと思うのですが・・・。 それにしても、芸能人でもないただの民間人の一挙一動が新聞のトップを飾るなんて、いい時代ですよね。
7点(2004-11-07 12:53:15)
20.  穴(1960) 《ネタバレ》 
「大脱走」、「アルカトラズ~」と見てきましたが、ウワサ通り(笑)やっぱりこれが一番面白い。この2作品は看守の甘さなどが原因でやや不満もあったが、本作においては不満のつけ入る隙が全くといって言いほど存在しない。 他の脱走ものと決定的に違うのは、囚人たちの真剣さが見ている側にもひしひしと伝わってくるところであり、ストイックなまでにひたすら穴を掘り続けることによって映画全体に並々ならぬ緊張感が生まれているところだ。床に穴を掘るところを見ると文字通り“力作”だなぁと感じてしまう(終盤の下水道の壁に穴をあけるシーンにカットが入ってしまっているのが非常に惜しい。2時間半の映画になってもいいからあのシーンはぜひ長回しで撮って欲しかった)。 また、小物の使い方も極めて秀逸であり、柱を影にして看守の目を逃れたところは、あれが映画の演出でなく本当にあれで難を逃れたのだとしたら驚愕ものである。 そして、最後にロランが放った「情けない奴だ」のセリフ。これは極めつけのセリフだ。 ガスパールは裏切ったのか?ということを後から考えているようではダメである。 これは無知な自分に向けられているようであり、非常に痛かった。※
7点(2004-09-19 20:00:27)
010.18%
120.37%
230.55%
391.66%
4295.35%
58515.68%
614426.57%
716630.63%
87313.47%
9234.24%
1071.29%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS