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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3872
性別 男性
年齢 53歳

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41.  アサインメント
これがまた予想外の面白さ。 どういうオハナシかを書こうとすると、それだけで前半のネタバレになっちゃうので書きづらい。ってのがすでにうれしいではないですか。最初、見てて「アレ?」と思わせ、ああそういうことかと気づいた時にはもう、やめられない。 一応、実際のテロリストを描いた作品、ってコトらしいけど、たぶん9割9分まで創作なんでしょう、きっと。深刻そうなテーマと見せて、ここぞというところではしっかり、エンタメ作品らしいアクションを展開してくれる、サスペンスを展開してくれる、まあ、この図々しいことといったら。 正直、このオナハシを最後どう締めくくるかについては、あまりいいアイデアが見つからなかったのかもしれません、ちょっと駆け足かつグダグダな感じもありますが。でもそれを差し引いても、充分楽しめました。 それにしてもⅮ・サザーランド。ホントこのヒト、とことん悪そうな顔してて、かえって愛嬌がありますねえ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-07-08 21:14:56)
42.  アパルーサの決闘
邦題に「の決闘」なんてつけるのは、内容にはあまりそぐわないのですが、でも確かにこの邦題なら、一見して西部劇だとわかる便利さ、というものはありますね。 エド・ハリスとヴィゴ・モーテンセン、この二人、何となく顔が似てると思ってたので、キャスティングとしてどうかと思ったのですが、本作ではちゃんと一方にヒゲを生やさせて、区別しやすいようになっております。 で、エド・ハリスが何やらクセのある保安官で、ヴィゴ・モーテンセンがその相棒、というワケですが、口下手な二人(特にエド・ハリス)の二人の間の独特の距離感、みたいなものが、映画の基調となっているんですね。それを言うなら、敵役であるジェレミー・アイアンズとの間にすらも、単なる敵味方ではない独特の距離感があって。 そんな中で、レネー・ゼルウィガーだけが、距離感を図りがたい変則的な存在となって、物語をかき回す。 ラスト、決闘そのものがクライマックスなのではなく、主人公2人の関係の微妙な変化にこそ、物語の頂点があり、だから、まあ、正直、地味なのですが(笑)、ユニークな作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-07-29 07:05:55)
43.  網走番外地 北海篇
冒頭、刑務所内のやたらと濃い人間関係が描かれる中、千葉チャンからおつかいをたのまれて仮出所する健さん。なんやかんやでトラック野郎をあいつとめることになり、なんやかんやでこのトラックに様々な人物たちが乗り込んでくる。脈絡なく登場人物たちが集まってきて、脈絡なくさまざまな事件が発生し、でも最後には何となく収まるべきところに収まった気がしてくる、摩訶不思議。自分がコレにどう納得できているのか、まだ自分でも説明できませんが(笑)。 とにかく、雑多な登場人物をトラックに乗り込ませ、雑多な事件が起こりつつ(トラックの暴走シーン!とか)なんとなくそれぞれにドラマがあって、何となく皆、この旅を通じて何らかの感情を動かされ、成長したような感じがあるのですが(そんな結構なもんでもないか)、主人公の健さんと敵役の安部徹は別。この二人は何にも変わりゃしない。なので、こういう二人は最後は対決するしかないですね。雪の中の対決! ここで登場する、意外な人物。意外というより、ほとんど意味不明なんですが、しかしこれもどういう訳だか、ここで登場するならこの人しかいないでしょ、これが正解でしょ、という気になってしまう。意味合いは全然違うけれど、注文の多い料理店の最後に思わぬ助っ人が現れる、あの意表をつかれつつも感じる納得感に通じるものが。 それにしても、娑婆は娑婆で、こうやってさまざまな人間模様がある訳で、刑務所内はいわばその縮図なんだろう、そうそう、オカマだって一生懸命生きてるんだ、と、しみじみ・・・。
[DVD(邦画)] 8点(2018-05-06 13:51:30)
44.  赤垣源蔵
忠臣蔵モノの一本。主君の仇討ちに立ち上がることもなく、長屋で呑んだくれている赤垣源蔵、その彼を取り巻く人々が描かれます。 討ち入りの場面も終盤に少しだけ描かれますが、作中の大半、主人公はグータラ状態。その代わりと言っては何ですが、映画中盤に、仲間の浪士を助けて源蔵が立ち上がり、海岸を舞台に目の覚めるようなチャンバラを繰り広げる場面があります。 無論、ただ呑んだくれている訳ではなく、討ち入りの日まで身を潜めるためのものですが、そんな事を理解してくれるのは忠臣蔵ファンくらいのもんで、周りの人間にとってはあずかり知らぬこと。自分を慕ってくれる女性はヨソへ嫁いでしまい、兄家族にも疎んじられる。しかし源蔵は言いたい事もグッとこらえ、ただ耐える。耐えてナンボの忠臣蔵、だから耐えねばならぬ。 討ち入り前夜、一目逢っておきたかった兄を訪れるも不在、という「徳利の別れ」のエピソードが本作の中軸となりますが、弟に逢いそびれた兄の、弟への想いが切々と語られる場面が、見せ場になっていて、愁嘆場を演じることなく、あくまで節度ある演技と演出でこれだけの情感を出している。口うるさい忠臣蔵ファンでもご満足いただけますことでしょう。ラストシーンは、『モロッコ』の影響を受けているような、いないような。 それにしてもこういうお話に触れていると、要するに人間、自分が他人に理解されないことを嘆いているようでは、ダメなのね。だって、そんな「他人からの理解」など元々、あり得ないのだから。「理解」ではなく、「情」が、自分と他者との接点、なんですね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-10-27 12:48:09)
45.  アルゴ
バカ映画は人を救うか?という人類永遠の命題を描いた作品。と言いたかったけど、ちょっと違うか。この救出作戦のためにデッチ上げられた架空のバカ映画、その架空の製作過程をもっと、微に入り細にわたって描いてくれたらもう、さぞかし感動的なバカ映画になったのではないかと(その場合、あくまでバカ映画、ということになりますが)。  その点、本作はもうちょっと硬派な作りで、しかしクライマックスに向けては「ホントにあった話」とは思えぬ脚色でしっかりハメを外し、大いに盛り上げてくれます。正直、「実話ではココまで盛り上がらないので、ココとココにフィクションを盛ってみよう」という感じの、「盛り上げ要素無理矢理挿入感」とでもいうものが、若干、感じられちゃうのですが。しかし、それでもなお、ハラハラさせてくれるのは、さすが。 ベン・アフレックが、抑えた表情、抑えた演技で、それが主人公の不安なり覚悟なりを感じさせていく。このあたりも、うまいですね。 ラストで、モデルになった実在の人物らしき写真が登場し、どうやら本作の俳優をかなりの程度まで似せているらしいことがわかります。別に、似せたからどうちゅうっことも無いのでしょうが、おかげで、時代感覚みたいなダサい感じがよく出ており、雰囲気作りに貢献しておりました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-16 23:43:38)(良:1票)
46.  アウトレイジ ビヨンド
前作に比べると、良くも悪くも「まとまった」印象。前作の物語が、どこへ転がっていくのか、どこまで転がっていくのかわからない動的な面白さを持っていたのに比べると、本作は、何人かの人物の転落の姿にフォーカスした物語で、バイオレンスではあっても静的なものが感じられます。なので、物語の意外性、という意味では、前作よりも大人しいかな、と思いきや。ラストに至って、それはこの結末の意外性を際立たせるための布石であったか、と思わされます。なるほどそうきたか、と。前作では主人公・大友が、のっぴきならない立場の中で彼自身も事態をかき回す存在の一人であったのに比べると、今回の彼は、事態から離れようとし見守ろうとする立場なんだけれども、事態の方が自ら崩壊を起こしながら彼を追いかけてくる。その原動力となるのが、中野英雄のスゴミであったり、加瀬亮のキレっぷりであったりするのでしょうけれど、それを上回るのが何といっても小日向文世のメフィストフェレスっぷり、ですわな。何考えているかわからない人が、一番コワい人、という訳で。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-05 14:55:18)
47.  アウトレイジ(2010)
「悪人」をこれでもかと登場させ(と言っても、悪人かどうかはともかくとしてとりあえずコワイ人、ってのもいれば、怖そうじゃないけどとりあえず悪人、って人もいるけど)、その各人をこれだけ豊かに描き分けるってのは、やっぱりスゴいと思いますし、実際、登場人物それぞれが活き活きと存在感を示しているのが作品のオモシロさに直結しています。善人は一種類しかいないけど悪人は無数に存在する、ってなところでしょうか。ただ、登場人物が見事にバラエティに富んではいるのですが、基本的に活躍するのは「オッサン」が多くって、若いチンピラは彼らの引き立て役になっちゃってる感があります。もう少し若者にも存在感を与えて、世代間の対比なども入れられたら、とも思わないでもないのですが、とりあえず本作は「オッサン」の映画、昨今の企業でもよく見られるダメ組織の中の、「オッサン」たちの人間模様。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-07-14 21:27:57)
48.  アナと雪の女王 《ネタバレ》 
ウチの子供とカミさんは映画館で観ているので、ワタシャ当面観ることなかろう、と思ってたのですが、諸般の事情によりレンタル借りることになり。子供たちは繰り返し観ては一緒に唄っており、やっぱり魅力的な作品なんですな(カミさんは「あ、このシーンも憶えてない。私、かなり寝ててんなあ」。そういう人もいるようです)。しかしどうやら、その魅力というのは、ストーリーにあるんじゃなくって、ストーリーそっちのけで展開する、歌、そして見事なCG描写、の方にあるんですね。つまり、いかにもミュージカルらしいミュージカルが、近年においてこれほどヒットしたということ、まさに画期的。いやいや、二人がそれぞれの思いを同時に吐露する「二重唱」に至っては、もはやオペラですよ、これは。ホント言ったら、ハンスの裏切りなんてキャラをを不明確にするだけでおよそ余計だと思うし、クリストフなんて登場させずにその役目はオラフに統合しちゃえばいいと思うし、ついでに雪ダルマは最後溶けちゃえばいいと思ってるんですけれども、あ、あまり目くじら立てないでもいいかな、と。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-12-13 16:16:30)(良:1票)
49.  アイアン・フィスト
RZAが贈る、オレ様仕様のカンフー映画。任侠映画っぽい設定ながら、「ワケがわからんけどとにかく強いヤツが次々やってくる」という『カンフーハッスル』的な荒唐無稽さが楽しいですな。両手を失った主人公が義手で戦う、と聞けば、手塚治虫の『鉄の旋律』を思い出したりもしますが、ああいう屈折したところはなくって実にストレート、ムキムキ金剛との戦いを迎える場面なんて、カンフーどころか、ほとんど『ロッキー』のノリ。画面分割なんぞも駆使して、なんでもアリの雑然ゴチャゴチャ作品、ケチをつけようと思えばそりゃ完成度の必ずしも高くないところもあるかもしれないけれど、作品を一本の「思い入れ」が貫いていて、映画を作る楽しさが、観る楽しさとして伝わってきます。ただそれでも一点、苦言を呈させてもらうと、「子供の頃以来、カンフー映画にハマった」というんだったら、この映画も子供たちに見せられるように、あの噴水みたいな流血シーンをもう少し控えめにしていただけたらな~と思うんですけれども。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-12-13 10:55:38)
50.  網走番外地 望郷篇 《ネタバレ》 
健さん演じる主人公・橘真一が、長崎に帰ってきた。そこでは、安井組が幅を利かせ、旭組を圧迫しているが、安井組組長は、かつて橘がヒットマンとして襲撃しケガをさせた、因縁の相手。で、旭組を取りまとめることになった橘と、いやがらせを繰り返す安井組との対決、と相成る訳ですが。旭組の元に舞い込んだ、港での荷降ろしのビッグプロジェクト、この仕事をやり遂げるためには何とか人手を集めたいが、安井組の脅迫のため、なかなか人が集まらない。荷降ろしの日は近づいてくる、さてどうするか。→→→ここでまさかの展開、何と、邦衛さんを先頭に、網走仲間のポンコツ軍団アバシリーズ(仮称)が、健さんのために一肌脱ごうと、ここに集結。え~~~、そういう「トホホだけどちょっとエエ話」系の作品だったのか、これは。トホホホホ。な~んか、「大草原の小さな家」あたりで登場しそうなほのぼのとしたエピソードですよねえ、これでポンコツ軍団でさえ無ければ。しかしここで登場する、お祭りを背景にした臨場感たっぷりのシーンが見事で、ヤケに盛り上がったり。で、無事、荷降ろしの仕事をやり遂げるも、安井組の怒りも頂点に達し、その怒りたるや、任侠モノへと映画の路線をさらに変更させてしまう。もう何でもあり。だけど、冒頭から引っ張ってきたハーフの少女(途中まで少年だと思ってたぞ)との関係をここで絡めたり、クライマックスの殴り込みも、斬りまくりの大殺戮ではなく、ライバルの殺し屋(変です)との関係に絞って行ったり、映画は意外な纏まりを見せて、やっぱりコレ、なかなかよく出来た作品だったりしちゃうのでした。 なお、あの変な殺し屋の末裔が、カウリスマキの『コントラクト・キラー』なのではないかと。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-09 23:14:15)
51.  悪名(1961) 《ネタバレ》 
シリーズ第1作、朝吉が“悪名”をとどろかす前のオハナシ。まだまだ駆け出しのチンピラで、ブラブラしては女性に手を出す、まさに若気の至り。女性に手が早いという点を除くと、喧嘩がやたら強いとか酒が飲めないとか、何だか「じゃりン子チエ」のテツみたいですが、そういう目で見ると、“シルクハットの親分”って、ちょっと地獄組のボスを連想させますな。いや似てる訳じゃないんですけれど、この妖怪的なキャラが、「じゃりン子チエ」の世界と繋がっていて、その白眉が、2000人の部下を引き連れているという女親分イト。演じるは浪花千栄子さんですから、『宮本武蔵』のオババ並みにコワイ。という訳で、狭い世界に生きてきた朝吉青年の成長譚であり冒険譚、モートルの貞という舎弟ができ、誘拐された遊女の救出のため妖怪キャラが闊歩する因島へと乗り込む。そして、(後の作品ならクライマックスで相手を殴るのは朝吉の役目なのだけれど)因島の女親分にタコ殴りにされるという痛い洗礼を受ける。というのは要するにアレですな、“ナントカ族の成人式”でバンジージャンプしたりするのと同じ、一種の通過儀礼ですな。そういうホロ苦い、お話。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-01-21 23:58:44)
52.  アウト・フォー・ジャスティス
セガールが例によって例のごとくセガールアクションを披露する一方で、監督はジョン・フリン。どこか70年代テイストを感じさせつつ、どこかインディーテイストを感じさせたりもします。セガール演じる主人公、いわゆる“ハミ出し刑事”なんでしょうけれど、ハミ出しなんていうレベルじゃなく、完全に軸足が外に出ちゃってます。刑事らしからぬ格好に(どうしてあんなイデタチなんだろうか?)、刑事らしからぬ乱暴極まる言動の数々。チンピラ育ちが、就職先を間違えて警察官になっちゃった、てな感じで、正義感などまるで感じさせず、ひたすら私怨から、容赦なく大暴れ。乱暴なのは彼自身だけじゃなくって、そもそも映画のノリ自体が乱暴、ストーリーなんてあって無きがごとし。ややもすると単なるパフォーマンスに終わりかねないセガールのアクションを、意味を削ぎ落しひたすら行動を描写することで、ダイナミックなものに仕上げた、これはさすがだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-18 23:44:09)
53.  アウトロー(2012)
少々(かなり?)老けてきたトム・クルーズの顔、特に、目立つ鼻を見ていると、何となくダスティン・ホフマンに似てきてしまった気がして、そろそろトム・クルーズと若手を組ませて『レインマン2』が製作されちゃうのではないかと。ちなみに『ハスラー』続編が25年後だったから、今年あたりが狙い目かな、と。まーそんな事はどうでもいいのですが、でもついそういうヨタ話をしたくなったのは……本作『アウトロー』を観て、何となく80年代の映画を思い出したから。80年代のアクション映画。少々ユルんだ物からかなりユルんだ物まで(キャノン・フィルム全盛期だしなあ)、それなりに緩みつつも、キメるところはキメてみせる。荒唐無稽さを恐れず、適当なタイミングで適度なアクションを入れるサービス精神。本作のカーチェイスもまさにそれ、必然性よりも、“そろそろカーチェイスも観たいよね”という要望を優先しており、特にあのクルマの側面同士をぶつけ合う基本に忠実なチェイスは、感涙モノなのです。ラストの殴り込みも基本に忠実で、それがかえって新鮮。なぜそこにロバート・デュヴァルが居るのかと言えば、やはりトム・クルーズへの説教が似合うのは彼しかいないだろう、という、これもサービス精神か。ところで肝心の、トム・クルーズ演じる主人公。かつてミステリにおける探偵と言えば、真相を完全に掴むまでは多くを語らない(その結果しばしば連続殺人を招いてしまう)タイプが典型で、またそのアンチテーゼとして、やたら饒舌な探偵像なんてのも生まれたりするのだけど、本作の主人公はと言えば、元軍人でシブく気難しいのかと思えば、結構適当にペラペラしゃべり、それがあまりに適当っぽいのできっと我々に対するミスディレクションなんだろうと思ったら、ちゃっかりと真相を言い当てていたりする。ネタ的には、マルティン・ベックシリーズの某作品みたいな無差別殺人モノなんだけど、探偵像にも謎とき過程のスリルにもちょっと魅力に欠いていて、まあそこがまた、80年代っぽさ、と言えるかも知れませんが。という訳で、単品として見れば楽しめましたが、“新シリーズ誕生!”などとブチ上げられると、ちょっと心配にもなるのでした。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-11-17 08:48:37)
54.  赤い影法師
木暮実千代姉のワキ毛が目に眩しい忍者映画。服部半蔵やら柳生十兵衛やら、時代劇超お馴染みキャラ続々登場の中で、「影」として生きる名もなき忍者母子の生き様が描かれます(しかしその母子に「名もなき行きずりの男」呼ばわりされてしまう服部半蔵。直後に写る近衛十四郎の珍妙な表情が余りにもナイスで笑っちゃう)。将軍家光の前で行われる剣術の御前試合、これが仰々しく開始される割には、柳生宗矩ら審判役が妙なところで「勝負あり」と試合を早々に止めてしまい、素人目にはわかりにくい達人の世界と言えばそうかも知れないけれど、やや茶番じみた試合。その勝者には将軍よいご褒美の剣が与えられるのだけど、剣を持ちかえる勝者が帰宅途中に何者かに襲われ、剣を折られて切っ先を盗まれる、という怪事件が起こる。犯人は例の「影」の母子。その狙いは? そして母子と、彼らを取り巻く者たち――母子と因縁深き服部半蔵、あるいは「影」との再勝負を望み彼らの跡を追う柳生十兵衛――との運命はいかに? ってなオハナシな訳ですが。「影」として生まれ、類まれな剣の腕を持ちながら表世界では光を浴びることもない忍者の青年が、表世界の剣士たちに戦いを挑んでいくあたり、ワクワクさせるものがありますし、大友柳太朗演じる柳生十兵衛のいかにも浮世離れした感じもいい味出してます(「これが火遁の術かあ」などとひたすら大声で独り言をつぶやく、変なヒト)。「影」の暗い運命を描きつつも、暗さよりは痛快さがまさった娯楽作品となっているのは、やはり筋立ての上手さでしょうか。そしてキャストの豪華さも。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-04-11 23:28:52)
55.  アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 
言わずと知れた脱獄映画の決定版。とは言ってもこれ、妙な作品でもあって、基本的に監獄の「外の世界」ってのが無いんですよね。ひたすら「中の世界」で脱獄に取り組む姿が、少ないセリフでもって描かれる。「外の世界」ってのが無いから、主人公はどこからともなく現れ、どこへともなく消え去ってしまって、終わり。脱獄の目的は、脱獄そのものにあり。ほとんど無目的とも言える冷えた情熱が、静かに着々と描かれていく。その姿に、そして時に残酷なまでの冷徹な視線に、シビれちゃうんですけれども。ただ、もう少し感情を交えて描いてもよろしかったのでは、という気もしないでもないですが(「静寂」の持つ不気味さの描写、とか)。あと、爪切り盗んだりスプーン盗んだり、ギリギリの綱渡りのような脱獄手段についての綿密な描写がある一方で、後半は何でもかんでも簡単に手に入れちゃう大味な描写になってしまうのも、ちょっと残念。というか、実際に命がけで脱獄算段を練る脱獄者と、その脱獄手段を空想してみる映画製作者との、想像力の差なのかも知れませんが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-18 20:57:06)(良:1票)
56.  アマルフィ 女神の報酬 《ネタバレ》 
まさか、織田裕二主演のフジテレビ映画でこんな感動するとは思わなんだ。いや実際私も、大抵の方と同じ感想、「うわー往年の名レスラー同士のプロレスみたいな“夢の(笑)”キャスティングやなー」とか、「織田裕二の喋り方、だんだん山本高広に似てきたな」とか、「佐藤浩市が出てくると、“どーせアナタが犯人なんでしょ”とツッコミたくなるね、冗談だけど」(←冗談で済まなかった)とか、思いつつ見てたんですけどね。結局、感動しちゃいました。クライマックスの、織田裕二と佐藤浩市が対峙する場面がとにかくシビレちゃったんですが、黒田が、少女の母から犯人に向けた「死なないで」というメッセージを伝えるシーン。この場面って、ベタな映画だったら、“伝言”じゃなくって、黒田と一緒に駆け付けた少女の母が直接、叫んじゃったりするのでは。映画冒頭、まるで不仲の夫婦のように無言でエレベーターに乗り込む二人、意思が通いあわないにも関わらず行動を共にしなければならない二人が、一連の事件を通じ、ついに気持ちを通い合わせた途端、離れ離れになり別行動となる。その最後に、交わし合う視線。結ばれた信頼によってこそ、これまでの迷いはすべてふっきれて、二人は決然と行動する、そしてその一方、信頼すべきパートナーを失ったことで復讐に走り犯罪に手を染めた犯人が、最後に見せる迷い。クライマックスの緊迫感の中、妙に寒がってみせる現地警部のいい味など、脇役陣も忘れがたい面々で、何かと嬉しい驚きのある映画でした。
[地上波(邦画)] 8点(2012-03-04 17:55:35)(良:1票)
57.  悪魔の沼
よくもまあこれだけバッチいセットを作ったもんだと。そしてよくもまあ、こんなキタナいモーテルに、みんなアタリマエのような顔して泊まれるもんです。普通の作品なら、キタナイ=リアリティ、なんですけれど、この映画ではもはや、あまりのキタナさが、超現実的な世界観へと昇華されているという・・・。内容もおよそまとまりといったものは無く、メチャクチャだし。変態男がワニを飼っている、という、ただそれだけ。あとは成り行きまかせ。しかしその物語のカオスが、やがて同時進行する醜悪さと恐怖へつながっていき(床下の少女、階上に監禁された母親。終始落ち着かず考えの読めない変態に対し、妙に毅然とした意志を感じさせるワニ)、最後には妙に納得させられてしまうのが、この映画の不思議なところ。音楽がこれまたデタラメで、とても良いです。
[DVD(字幕)] 8点(2011-08-17 08:15:00)(笑:2票)
58.  アーマード 武装地帯
現金輸送車の大金を、あろうことか輸送を受け持つ警備員たちが奪う、という現金強奪作戦。しかし、現場に目撃者がいたことから、思わぬ展開になる。なぜ計画が頓挫するかと言えば、仲間が“6人”しかいないからですね。「七人の~」「~の七人」でお馴染みの“7人”に、一人足りない。これがケチのつき始め。6人の中のひとりである主人公タイは、従軍経験があり、凄惨な体験もしてきたらしいが、詳しくは語られない。ドッキリにひっかかってビビりまくったり、絶対に血を流さない条件でこの計画に参加したりするあたりの、ひとの良さ(そんな彼でも道を踏み外してしまう。金が無いことの不幸。彼の従軍経験も、おそらく貧困と関係があるのだろうけれど、映画ではあえて触れられない)。流血沙汰となってしまったことで、彼は仲間と対峙し、この計画の阻止を図る。現金輸送の装甲車の中に立てこもる彼、そう、まさにこの映画は、ついつい嬉しくなってしまう“立て篭もり”の映画。それも、“立て篭もり”の内部から描く通常のパターンではなく、“立て篭もり”を破ろうとする外部から描く、一種の人間狩り、でもあります。装甲車のドアを破ろうとする手立てが逐一描写されていく、その克明さ(観てる側も正直、主人公タイではなく残り5人に肩入れしてしまいがち)。一方でタイの、どう行動をとるべきかの苦悩が描かれもする訳ですが、単にもっともらしく「今、悩んでます」という表情を描くだけではないのが、この映画の密度の高さ。彼の苦悩の表情と、その背景における何らかの「動き」は常にセットになっていて、映画の推進力が損なわれることはありません。この密度の高さがあってこそ、90分に満たない尺に収められる訳で。派手でもなく、長くもない映画ですが、意外な充実感のある作品です。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-07-05 22:46:20)
59.  悪魔の墓場
邦題が『悪魔の墓場』なんていうベタなタイトルで、ちょっと「恐怖の味噌汁」とか「悪の十字架」とかに通じるものがありますが(悪魔の人形。あ、クマの人形。ってのもありましたね)。だいたい、悪魔の“墓場”ってんだから、すでに悪魔が退治された後のような。それはともかく、ロメロのあの名作(タイトル略。笑)をパクッて、青い顔のゾンビに人間を襲わせて食べさせてみました、ってな趣向の作品ですが。ロメロ作品の、ただただゾンビが人間を襲うという身も蓋もない感じ(だからこそ画期的なんだけれど)と比べれば、本作はそこにオカルト色を加えていて(ゾンビが変な儀式してたりするし)、いかにも「恐怖映画らしい映画」というか、まあ折衷的な作品になっております。要するに日和ってるんじゃないか、と言われそうですが、そういう中途半端なところがまた面白かったりするわけです(ロメロならこういうのは作らない、作れない)。しかもそこに「害虫駆除の超音波が、死人の蘇る原因なのだ」みたいな無意味な合理性を持ち込んでみようとする、思い切りの悪さ。つまり、オカルト映画とパニック映画を両方やってみました、という訳ですね。スバラシイ。主演の男優のヒゲ面がまた、私にとってはいかにも“これぞ70年代映画のヒーロー”ってな感じで(ごく一部の映画のような気がするけど)、ものすごーくカッチョよい。不自然なほど警察と対立するのも良いし、とりあえず「立て篭もり」をやってみせてくれるのもサービス満点。ただ終わりの方は、何もそこまでロメロ作品(タイトル略)を踏襲せんでもいいでしょうに、とは思いますけど・・・。亜流作品だ、こういうのこそ映画の墓場みたいな作品だ、という批判も当然あるでしょうが(まあ当然ですよね)、わたしゃ結構好きです。
[DVD(字幕)] 8点(2010-04-04 07:51:14)
60.  悪魔のいけにえ
この映画を観てわかること、それは、チェーンソーってのはヒトを襲うのにあんまり適してないなーっちゅうことでして。何しろ、“チェーンソー”が逃した獲物を、何と“ホウキ”が仕留め、捕えてしまうという、トホホな展開。凶器として、箒にも劣るチェーンソーって、一体・・・。映画冒頭の、謎の墓アバキにあった死体と、無機質なカメラのフラッシュ。まったく主体を欠いたカメラ。この後もカメラは、短いショットを積み重ねながら、淡々と、灼熱の南部を行く若者一行の異常な体験をとらえていくのだけど…最後の「獲物」となった女性が巻き込まれる恐怖の儀式、その場面においては、カメラまでもが豹変し、客観性をかなぐり捨て、まるで儀式に参加するように、女性をいたぶり続ける。いやあ、女優生命終わりでしょう、これで(たぶん始まったばかりでしょうけど。笑)。残酷描写そのものよりも、アングラ性の方が、より強い恐怖を引き起こす、という良い例が、この映画。
[DVD(字幕)] 8点(2008-10-13 17:19:57)(笑:1票) (良:2票)
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