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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2259
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  アンブレイカブル 《ネタバレ》 
最初の一口だけでなく最後までずっと美味しい料理があります。料理人がきちんと仕事をしている一皿。喩えるなら基本に忠実な和食のような。本作はそんな映画でした。最初から最後までずっと面白かったです。洋画に和食の喩えは流石に頓珍漢ではありますけども。 脚本重視派の私ですが、本作についてはカメラワークの巧みさに唸らされました。はっとさせられる印象的なシーンや構図には意図が込められており見終えてテーマが補強される仕掛け。奇を衒った目眩ましの演出とは根本的に違うのです。いやー旨い、いや上手い。もともと職人気質の監督だと思っていましたが、本作を観て改めてその想いを強くしました。シャマラン監督というと「どんでん返し」のイメージが強く本作も例外ではありませんが、それ以上に丁寧な映画作りに関心した次第です。いやはや本当に面白い。そして大好きです。 「アメコミヒーローもの」ジャンルに対する「シン・ゴジラ」的アプローチと解釈したくなりますが、庵野監督のようなアクの強さもなければお馴染みの演出技法もありません。でもシャマラン監督作品と一目で分かるのは何故でしょう。ブルース・ウィリスが最高に渋く格好良く撮られているから?よく分かりませんが映像に「浪漫と品格」があるのは確かかと。子どもがバーベルの重りを増やしていくシーンや、新聞記事を差し出し小さく頷く場面など、父子の繋がりの強さや深さが感じられる箇所が特にお気に入りです。 個人的にはシャマラン監督の最高傑作で間違いなし。代表作『シックスセンス』は未見という注釈付きですが(どういう了見だ?)。それではこれから続編『ミスターガラス』を観てみようと思います。真の主人公、自分探しの途中「哀れな天才」のその後が大変気になります。(以下追記)『ミスターガラス』を見終えてから続編が『スプリット』と知る痛恨のミステイク!皆さん、お気をつけくださいませ!!
[インターネット(吹替)] 9点(2024-03-10 09:59:28)
2.  I am Sam アイ・アム・サム 《ネタバレ》 
親子の情愛という普遍的なテーマを描くには、ダコタ・ファニングちゃんはあまりにも“可愛過ぎ”ました。付け加えるなら演技面も“上手過ぎた”と感じます。子役がスペシャル仕様だと、物語が絵空事に思えてしまうのです。何故なら、あれくらい可愛ければ、我が子でなくても大人はメロメロになってしまうと思うから。日本の子役で喩えるなら、安達祐実だとやっぱり可愛すぎ。その点、庶民感がある芦田愛菜や本田望結はちょうどイイ感じ。ただし、2人とも演技はもっと下手でいいです。子役のキャスティングの難しさを痛感した一作でした。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2016-07-15 23:52:19)
3.  アダプテーション 《ネタバレ》 
物書ならば、おそらく誰でも一度は考え付くであろうアイデア。でもほとんどの作家が実際に作品化しないのは、作品にしても面白くないから。寝てみる夢を他人に語ってもつまらないのと同じように、この面白さは当事者でないと理解できない範疇のもの。それに、どうしても独り善がりな表現になりがちです。そういう意味では、本作は作者の体験(脚本家の苦悩)を客観的な娯楽性を担保しながら具現化出来ていたと思われます。及第点以上。夢と現が混在しているのに、それを観客に意識させないのは高等テクニックと言えましょう。もっともその大部分をニコラスの頭髪が担っている気がしないでもありませんが。「志村、うしろ~」と同じノリで、「ケイジ、あたま~」と何度口にしたことか。ニコラス・ケイジの鳥の巣ヘアーに敬意を込めて+1点進呈。自虐的過ぎて、イマイチ笑うに笑えないのがもどかしいところ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-01-04 17:58:53)
4.  アジアの純真 《ネタバレ》 
ご存じPUFFYの大ヒット曲と同タイトルを有する映画。さて、一体アジアの“何が”純真だというのでしょうか。そう、それは“子供”です。トイレと言わずおしっこと言う少女。「世界を変える」なんて恥ずかしい台詞を臆面もなく吐く少年。本作の主人公は紛れもなく“子供”でありました。純真。それは汚れなく清らかであること。裏を返せば何も知らないということ。壁を作り内に籠る、あるいは情動を理性で抑える術を知らない。確かに俗世に染まっていません。しかし其処に成長もありません。少年と少女の身に降りかかった大きな痛みは、おそらくそれまでの人生で最大級のものでしょう。そこで立ち向かうか、逃げ出すかで、その者の人生の価値が決まるのだと思います。本作の主人公の選択は残念ながら後者でした。生き抜くための武器(=知恵)を持たざる者は、逃げる事しかできません。純真は美しい。ですが人は純真であり続けてはいけないのだと思います。多様な見方、価値観を知らぬ者にとっての世界はきっとモノクローム。子供に美しい色、そして汚い色を教えなかった親の罪は重いと考えます。大切な人を2度も失った少年。絶望した者にとっての唯一の希望は、世界の終焉です。色の無い薔薇ほど虚しいものはありません……。ファンタジーに傾倒していく終盤戦。東京タワー、球体の爆弾。明らかにメタファーが盛り込まれています。ここにきて、曖昧模糊とした結末を用意した監督の意図は測りかねますが、本作が有する猛毒を中和する効果は確かにありました。実に狡猾。大人のテクニックです。ただし“子供の愚かさ”を描いた本作の結末としては、いささか利口過ぎた気がしないでもありません。
[DVD(邦画)] 6点(2013-05-06 20:57:15)
5.  アリス・クリードの失踪 《ネタバレ》 
物語開始約5分間、台詞無し。上映時間101分のうち、登場人物はたった3人のみ。このコダワリは凄いと思いました。印象に残ります。明らかに不自然ですから。この違和感は、所謂“つり橋効果”と同様に、緊張感にすり替わるという効用をもたらした反面、リアリティを削ぐという反作用もあったように思います。一長一短といったところ。作品のキャッチコピーは「嘘が散らばっている」。内田けんじの映画のようなテクニカルな脚本を期待しましたが、主に人間関係における嘘と裏切りを焦点としたヒューマンドラマの様相に。悪くはありませんが、クライムサスペンスとしては、やや物足りないと感じてしまいます。
[DVD(字幕)] 6点(2012-07-07 21:51:27)(良:1票)
6.  悪夢のエレベーター 《ネタバレ》 
当初、観客はエレベーターに乗り合わせた第三者でした。誰かに感情移入した状態ではなく、いわば5人目の乗客。一歩引いた立場ゆえ、状況を客観視する余裕がありました。そう、マンションのエレベーターに閉じ込められたくらいで生きるの死ぬの嘘くさい。最初のサプライズは不発でした。そういう意味では、視点が主役に固定される“ネタバレその後”が本作のメインと言えます。マンション管理人への致命的な誤解、そして事件の黒幕について、知れば知るほど、事態が悪化するほどに、観客は主人公と共に恐怖の渦に巻き込まれていく仕組みです。でも自分はコチラも大丈夫でした。冷静でいられた。それは主人公に共感できなかったから。所長は“いい人”過ぎました。例えば、助手が言うように愛人の自殺など放っておけばいい話。でも彼にはそれが出来なかった。ラスト走り出したのも、これから黒幕が引き起こすであろう次の悲劇を防ぐため。我が身の保身よりも、人命を優先して考えられる男です。繰り返しますが、主人公はいい人だった。しかるに彼は、管理人を2度にわたり殺しました。混乱したから。勘違いしたから。そういう言い訳は確かに出来ます。でも人間って、そうじゃないだろうと思う。切羽詰ったときに出るのが本質です。1度目は過失だとしても、2度目のスパナは覚悟の一撃。今更管理人が目撃者じゃなかったら、どうだと言うのでしょう。事件隠蔽を図るなら、どのみち奴の口は塞ぐ必要がある。主人公の中途半端な善人ぶりに、というより人物造詣のリアリティの無さに、自分は感情移入できませんでした。
[DVD(邦画)] 5点(2010-08-02 20:44:57)
7.  あんにょん由美香 《ネタバレ》 
序盤のインタビュー、中野貴雄監督の言葉が耳に残りました。『林由美香は2度死ぬ』。これは『007は二度死ぬ』を引用したもの。One life for yourself and one for your dreams.誰からも忘れ去られたとき、人はもう一度死ぬ。氏の解釈が合っているかどうかは別にしても、妙に納得しました。女優だからこそ2度死ぬ。いや2度死ねる。フィルムに自己の存在証明を焼き付けられる者のみに許された名誉の死。でも見方を変えれば、思い出してもらう度に生き返るとも言えます。林由美香は野郎どもの心の中で永遠に逝き続け、生き続け、イキ続ける。なんかスゴい。それにしても面白いのは、これだけ多くの関係者のコメントにもかかわらず、彼女の人となりがほとんど掴めないこと。単純に監督の力量不足?それとも、それが林由美香という女優の魅力?自分には分かりません。でも本作製作のきっかけが、監督が彼女に言われた一言「松江くん、まだまだだね」だとすれば、前者の理由のほうが“微笑ましい”。自分は林由美香というピンク女優に思い入れはありません。でも観終えて彼女との距離が近づいたような、少しだけ好きになったような気がします。林由美香への愛と情に包まれた優しいドキュメンタリーでした。
[DVD(邦画)] 7点(2010-07-27 18:54:52)
8.  アドレナリン:ハイ・ボルテージ 《ネタバレ》 
前作の課題「アドレナリンを出し続けろ!」より、本作の「充電し続けろ!」の方が判り易くて良かったです。終始一貫、あの手この手で人体充電法を披露してくれました。物語の方は前作を遥かに凌ぐバカっぷりで、ハッキリ言って無茶苦茶です。弾けた演出は、良く言えば「悪ふざけ」悪く言っても「悪ふざけ」という感じ。製作サイドが楽しんでいるのは分かりますが、ノリがキツ過ぎて受け入れられない人は多いだろうなと。少なくともタキシード&イブニングドレスの紳士淑女の評価は糞味噌でしょう。本作一番の驚きは、あっちのヤーさんは、落とし前をつけるのに小指ではなくびーちくを落とすのだということ。知らんかった。てか、知らんでも良かった。
[DVD(字幕)] 7点(2010-07-24 19:45:53)(笑:1票) (良:1票)
9.  アマルフィ 女神の報酬 《ネタバレ》 
織田がポリスに銃を向け、天海を逃がした件には疑問が残るものの、それ以外の脚本はそんなに悪くないと感じました。織田主演の映画の中では、上々の部類に入るかと。でもイマイチ物語に入り込めないのは何故か。“渋い”というよりは“辛気臭い”、“優雅”というよりは“カッコつけ”という作品の全体像。これは織田の演技が醸し出している雰囲気だという気がする。『県庁の星』でも感じた事ですが、彼の演技は観ていて楽しくない。当たり役の青島刑事、『振り返れば奴がいる』の司馬はホントにイキイキしているのに、どうしてなのか。キャラの色がハッキリしていない役には向いていないのかな?本作の場合は、輪をかけて天海が上手くありません。脇役は豪華なのに仕事を与えてもらっておらず勿体ない。キャスティングが上手くいっていないような気がします。配役が変われば、随分と印象の変わる映画ではないかと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-03 21:28:02)(良:2票)
10.  アイアンマン 《ネタバレ》 
“遠足は遠足の準備のためにある”は、確かさくらももこ(ちびまる子ちゃん)の名言だけど、本作を観るとまさしくコレが当てはまります。“実戦は準備を楽しむためにある”。アイアンマンの製作過程が楽しくて楽しくて、仕方なかった。1号機は、悪条件下での製作というシチュエーションに燃えたし、2号機以降は丁寧な試作実験の繰り返しに痺れた。製作過程をつぶさに観ることで、スタークのアイアンマンではなく、僕のアイアンマンになっていく。ラストの決戦。上空で凍結した敵をコツンとやる快感!!こちとら、そんな欠点は克服済みなんだよ、と。アイアンマンスーツがボロボロになっていくのもタマラナイ。マジンガーZでもガンダムでも、最終回では壊滅状態。少年の心を酔わせた、あのヒロイズムが蘇ってくる。もう、アイアンマン、カッコ良すぎ。大好きだ!この際、物語の薄っぺらさなんて気にしません。フィギアも買います。遊ばせて。
[地上波(吹替)] 8点(2010-04-25 19:09:41)(良:2票)
11.  アン・ハサウェイ/裸の天使 《ネタバレ》 
主人公ら高校生たちが「退屈だ」「スリルが欲しい」と嘆くのは、実生活にリアリティが無いからです。生きている実感が無い。それはすなわち彼らが“責任と恐怖”を知らない事を意味します。大人はいつも感じている。生きる糧を得ることの厳しさを。属するコミュニティに対する役割を。行為の結果を想像しながら動くのが大人。其処にはいつも責任と恐怖が付きまといます。ですから、遊び半分で危険な地区に足を踏み込んだりしない。覚悟もなしに銃を持ち出したりしない。図体は一人前でも、彼らはまだ子供だということが分ります。黒人文化の“まねっこ”が好きなのも、幼いパーソナリティの表れ。ケツも自分でふけません。もっとも、かく言う自分も彼らを笑う資格はありません。自分だって、あれくらいの頃はガキでした。不平不満や文句だけは一人前。何の権利であんな大口を叩けたのか今となっては謎ですが、実際自分は愚かでした。今も理想とする大人像には程遠い体たらくぶり(苦笑)。ただ希望があるとすれば、人は反省できる生き物だということ。無様な自分を肥やしにできます。幸いなことに主人公は、自分のバカさ加減に気付けたようです。痛みと引換えに少し大人に近づけた。ただ、これも生きていればこそ。クラスメイトの兄ちゃんたちは、もう反省する事さえ適いません。“自分と他人の命を大切にする”。最も大切なルールを教えてこなかった親は罪深いと感じました。最後にまとめの一句。「ハサウェイの パイオツ肴に ふける夜」ほら、こういうところがダメでしょ自分。
[DVD(字幕)] 5点(2010-04-13 21:10:21)(良:1票)
12.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
“アバターはイチローである”。自分は本作をそう結論付けました。『アバター』は言わずもがな最新3D映像が最大のウリ。その圧倒的な画力によって観客は異郷の惑星パンドラを体感します。世界の美しさに息を飲み、スピード感溢れる極上のアクションに酔い痴れます。本当に素晴らしい。ただ、脚本は普通だと感じました。良くも悪くもない。ナヴィたちは人間に比べて遥かに優れた能力と豊かな文明を有しています。主人公じゃなくても生まれ変わりたい。ミイラ取りが特上ミイラになっただけの話です。命を賭した主人公にその資格はありますが、冷静になれば結構身勝手ではないかと。ナヴィ=アメリカ先住民族と見立てられる設定ですが、ナヴィ=クジラと見ることも可能です。だとすれば主人公は、某エセ環境保護団体と変わらない。同種族間の侵略行為と異種族間の闘争では意味合いが全く違います。意思疎通が可能な人間とナヴィの関係は、丁度その中間くらいと捉えるのが正しい気がします。主人公の微妙なスタンスを把握しておかないと、人間が一方的に悪いと感じてしまう脚本なので注意が必要だと感じました。心情的にはナヴィを応援したいですが、主人公には最後まで人として生きて欲しかった。ただし、鑑賞中はそこまで思考が回らない。映像の感動に引っ張られて、物語も非の打ち所が無いように感じてしまう。ここで冒頭の結論に戻ります。イチローは国民的ヒーロー。それは彼がプロ野球選手として活躍したからで、人間性は関係ありません。本来は。でも現実にはそんな区別はなく、人間イチローが丸ごと素晴らしいと評価される。もちろん評価は総合点ですから、得意分野で点数が稼ぐのは構わない。本作の評価もそれと同じと考えます。世界興行収益の記録を塗り替え、観客を劇場に呼び戻した本作の功績は絶大です。この人気を一過性の流行に終わらせるか、映画復興の呼び水と出来るかは、後発の映画に懸かっている。ただし視覚効果のインパクトは必ず薄れます。爆発力があるほど、飽きられるのも早い。3D特需の今こそ、求められるのは良質な脚本だと思います。
[映画館(吹替)] 8点(2010-01-31 19:25:51)
13.  秋深き 《ネタバレ》 
「オッパイを失うくらいなら死んでもいい」ではなく、「どうせ死ぬならオッパイを残しておきたい」が一代の気持ちだと受け取りました。彼女は自分の死期を悟っていた気がする。手術でボロボロになって寺ちゃんを悲しませるより、治癒の希望を夫に抱かせたまま死にたいということ。ブラを焼き捨てたのは生還出来ない事を知っていたから。自らの選択のケジメでもある。胸が痛みます。自分は当初、「オッパイを切らないで頑張ってみたい」という一代の言葉を、寺ちゃんは鵜呑みにしたのだと考えていました。その結果、狂って暴走したのだと。だから腹が立った。少しでも長く彼女の傍に居てやれ。一刻も早く手術を受けるように説得しろ。殴って目を覚まさせてやりたかった。でもラストの寺ちゃんの顔を見て、それが勘違いだった事に気づきました。あれは悔いのない人間の顔。彼はちゃんと一代の想いを受け止めていた。何もかも承知で彼女の我侭を許したのだと感じます。それがどんなに辛い決断だったことか。励ましの言葉をかけるのは容易い。でも「無理しないでいいよ」は愛していなかったら言えません。彼は間接的に“このまま死にたい”という一代の願いを叶えたのだと思います。勿論、ガソリンを飲んでも助からないことや、壷がインチキだってことは百も承知。でも、奇跡を願わずにはいられない。それが人の心。後追い自殺だけは許せませんが、彼の精一杯の足掻きを自分は批難できません。終末医療については様々な考え方があると思います。自分自身、当事者になってみないと判らない。でも最期は自分で決めたいと思う。秋深き。冬支度の頃。少しでも穏やかな冬が我が身に訪れんことを、心から願います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-01-19 20:25:16)(良:2票)
14.  OUT(2002) 《ネタバレ》 
小説の中の人間に、匂いやかたちはありません。声色も分からない。読み手が頭の中で、作者の世界を“再構築”する訳です。言わば映画もひとつの解釈例。自分の原作解釈とは随分違いますが、監督の“理解”は面白いと思いました。遺体をバラバラにする主婦たちの会話。「まずは頭を落としましょう」「魚じゃあるまいし」。水着に着替えるかどうかで、じゃれあう2人。ニュースの中の出来事が、いざ目の前で起きている現実に心が追いつきません。泣きもせず、気も触れず、罪悪感で押し潰されもしない。いつものように笑っている自分に驚きます。追い詰められた4人がカラオケボックスで集うシーンが秀逸。『人生いろいろ』の歌詞が彼女らの生き様にオーバーラップします。挿入される解体場面。えも言われぬ不快感が胸を過ぎります。忘れていた古傷が疼くような。ああ、こうやって今までも不具合に目を瞑り、自分を騙してきたのだと気づかされます。何も今回が特別なことじゃない。法という枠組み、倫理観の縛り、自分が知っている自分を、飛び越える「OUT」。境界を踏み越えるのはかくも容易い。終盤の流れは映画オリジナル。これがまたいい。雅子と邦子を乗せたトラックが、大平原の一本道をひた走ります。脇道が無いのは、選択肢が無いあかし。彼女らの行く末の暗示です。先は霞んで見えません。これを恐怖と感じるか、希望と捉えるか。邦子はともかく、雅子の瞳には後者の輝きがありました。しがらみを捨て去った開放感と、人生の半分を無駄にした虚しさが入り混じった眼差しでした。最後にキャスティングについて。間寛平は普段のイメージが少し邪魔をしました。香川は滅法上手い。室井、倍賞、西田は100点。原田美枝子は200点。彼女の描いた雅子の魅力的なこと!素っ気無い口ぶりがたまらないです。あの雅子なら、家庭の崩壊も、一連の事件の成り行きも、妙にしっくりきます。イケてる女は、倒れてもまた、立ち上がる。
[DVD(邦画)] 8点(2009-06-05 18:44:57)(良:2票)
15.  哀憑歌 ~CHI-MANAKO~ 《ネタバレ》 
愛らしい動物の代表「ウサギ」を、オカルトホラーの題材に選んだ着想は悪くないと思います。真っ白な体毛は『呪怨』の伽椰子を、赤い瞳は『SIREN』の島民を、始終ヒクヒクとしている鼻は『奥様は魔女』を連想させます(こりゃホラーじゃなかった)。ウサギのディテールは、よく見りゃコワイのです。また、芸能界ウサギ顔ランキングがあるなら、上位に食い込むであろう田畑智子をキャスティングしたセンスも間違っていません。ただ、どうせなら市川実和子や中嶋朋子といった一流のウサギ顔も登場させて欲しかったところです。上手く作れば結構なホラーになった可能性はあります。でも残念ながら、ウサギはやっぱりウサギでした。草食小動物の可愛らしさは消せていませんでした。肝心の田畑もウサギ人間に成り切れていません。『A.I.』のオスメント君の“まばたき無し”を見習って、鶴太郎の小森のおばちゃまよろしく始終モゴモゴしないと。オチも弱く、怖くも悲しくも驚きも無い、味気のない仕上がりの作品でありました。ちなみに印象的に使われる小道具「化粧品」は、ウサギを使った動物実験が問題になっているとのこと。プロパガンダ映画の要素もあるようですが、その効果は如何ほどか。
[DVD(邦画)] 3点(2009-05-09 19:51:05)
16.  アメリ 《ネタバレ》 
アン・シャーリーが善なる空想家なら、アメリは厄介な妄想娘といったところでしょうか。ただ妄想するだけなら害はありませんが、悪戯癖には困ったものです。やり過ぎのお仕置きや、他者の人生に介入するような真似は褒められた話ではありません。ですが、これも人生の“スパイス”と考えれば少しは許せるというもの。旅するドワーフに感化された父親は引きこもりから抜け出たようですし、“ほとんど病気”の2人はめでたく(?)結ばれました。美味しい料理にも、楽しい人生にも、スパイスは欠かせません。気になる彼に仕掛けた恋のトラップなんて微笑ましいです。でも、スパイスが過ぎたら料理は台無しになってしまいます。それに香辛料だけではお腹は満たされません。ずっと自分の人生と向き合う事を避けてきたアメリは、ルノワールの絵の中の「水を飲む娘」と同じと言えます。心ここに在らずだから、真ん中にいるのに存在感が薄いのです。本気でぶつからなかったら、自分の人生を手に入れられません。やがては絵描きのおじいさんのように、他人の絵を模写する事で大切な時間を使い切ってしまいます。やはり絵描きは、”自分の絵”を描かなかったらウソだと思います。おじいさんは、アメリにそうなって欲しくないと願ったのではないでしょうか。勇気の一歩はいつでも踏み出せます。でもそのタイミングは無限ではありません。疾走するバイクの如く、時はあっという間に過ぎていくのです。2人乗りが出来たアメリは幸せを掴んだ様子。もちろん一人乗りだって気持ちが良ければそれで構いません。大切なのは、納得できる人生を歩むこと。やらない後悔より、やって後悔。失敗だって人生のスパイスに違いありません。本作で描かれている様々な人生のかたちは、観客に優しくその事を問い掛けている気がします。
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-01 00:00:01)
17.  アリーナロマンス 《ネタバレ》 
主人公のアイドルオタク。彼がアイドルのSTK(ストーカーの略だそうです)に堕ちたのは何故でしょう。校長(掟ポルシェ)にプライベートを詮索するのは良くないと注意されていたのに。ネットオークション詐欺を働いた理由は?そもそも自分だって詐欺の被害。辛い思いを知っているはず。それに何故詐欺をしてまでお金が必要だったのかも説明がない。美少女同級生の心情も謎です。オリキ(熱心なアイドルの追っかけのこと)を外れて、“やらかし”(ファンの仁義から外れる行為)をしたのは何故?アーティスト志望からアイドルに転進した理由は?主人公の事が好きなの?それとも追っかけをしている芸能人の方が好きなの?登場人物達が何を考えているのかよく分かりません。意図的に描いていないのか、描けていないのかも分からない。これはマズイ。感情移入が叶いません。2人のロマンスも彼女の芸能界入りで悲恋に変わるのかと思いきや、そうでも無さそうだし。う~んんんん。サッパリ分からない。ちなみに、オタクネタを扱うなら、オタ芸くらいは見たかったかな。
[DVD(邦画)] 3点(2008-12-25 22:56:42)
18.  愛の流刑地 《ネタバレ》 
「先生が私を作り変えてしまった」と冬香が言った時点で、普通の男なら地雷を踏んだ事に気付く。トヨエツもいい大人なんだし、「ヤバイ」と思ったでしょう。でも正常な判断力は働きませんでした。よほど体の相性が良かったのか、それを愛とよぶのか、自分は知りません。ただハッキリしているのは、冬香は恐ろしい女だということ。彼女の望みが垣間見えた時は身震いしました。トヨエツの新作は、言わば2人の子供です。トヨエツは完成した時点でかなり満足している。でも冬香は違いました。種を植えて満足の男と、育てることに意義を見出す女の違いか。わが子を世に出すために自らの命と父親の将来を捧げます。まるで自爆テロ。どんな大義名分もいい訳でしかありません。大人が自己責任で不幸になるのは構いませんが、罪の無い子供が巻き込まれるのはいたたまれない。本作では意図的に冬香の実の子供に言及していないように感じますが、それはズルいと感じました。それでも野次馬根性で飽きることなく観られたので点数は甘めです。ちなみにハセキョウは相変わらずハセキョウでしたが、いつもよりは少し良かった気がします。それは自分が無類のノースリーブフェチであることと無関係です。
[DVD(邦画)] 6点(2008-09-09 22:06:23)(良:1票)
19.  アイ・アム・レジェンド 《ネタバレ》 
最愛の家族の死を目の当たりにし、人類滅亡の過程をつぶさに見てきた主人公。彼が心底絶望していたであろうことは想像に難くありません。世界を救うための研究も、生存者への呼びかけも、日課のひとつ。大した意味など無かった気がします。彼をかろうじて支えていたのが、愛犬サムの存在でした。唯一残された家族。そして命の温もり。パートーナーを失い、彼は壊れた。遂に自殺行為に及びます。感染者を一人や二人殺したって何の意味もありません。そもそも感染者に罪がないのは彼もよく知っている。でもどうにもならない。彼の心は擦り切れてしまった。だから生存者の登場にも戸惑うばかり。「とっておきのベーコンだったのに」なんて、全く観点がずれています。一度切ったスイッチはそう簡単には戻らない。真の絶望は奇跡をも拒絶する。主人公の最期の決断について。彼は何故死を選んだのでしょう。彼は淡い希望を目前にして、怖気づいたのではないか。このまま希望を託しつつ楽になりたい。再度の絶望に耐えられないと感じたのだと思います。その気持ちは理解できます。でも決して希望を捨てなかった女性の強さに、より共感します。伝説という冠は彼女にこそ相応しい。
[DVD(字幕)] 6点(2008-09-06 22:16:37)(良:1票)
20.  アフタースクール 《ネタバレ》 
「なんか理科室の匂いがするな」。大泉が佐々木の車に乗り込んだときの台詞です。この言葉が本作の構造を言い表しています。アフタースクール=放課後。学校をとうに卒業したはずなのに、今なおどっぷり“学校漬け”の大人たち。そんな図式が見えてきます。理科室の匂いとは、みなさんご存知のとおり酢酸臭です。佐々木が根城にするアダルトショップにもご存知…じゃないかもしれませんが、独特のニオイがある。何となく似ている。どちらも実験資材が揃っていますしね(笑)。大人の視聴覚室に、大人のクラブ活動。それに生徒会長選挙ですか。よくよく日本人は学校が好きなよう。というより、学校も一般社会も変わらないということなのかもしれません。世間の荒波に揉まれて人は変わる。広い世界を知る。でも井の中の蛙が公園の池を見て、全てを分かった気になっているだけかもしれない。大人になるとは、どういうこと?私達は一体何を知っている?内田けんじ監督のシニカルな視線がイタ気持ち良いです。でも決して嫌らしくないのは、監督が人間を根本的に信用しているからじゃないかと思いました。本作も今までの作品同様、監督の人柄が窺える映画でした。決してトリッキーな脚本だけがウリの作品ではありません。でも、やっぱり上手い。緻密な脚本には相変わらず唸らされますが、キャスティングセンスがまた抜群です。特に田畑智子。あの顔じゃなきゃ、この役は務まらなかった。子供の頃から変わってないと思うもの。反芻すればするほど、味わいが増す作品だと思います。あえて欠点を探すなら、上手すぎてインパクトに欠けることでしょうか。「器用貧乏」と呼ばれないための魅力的な画作りを要望します。 贅沢ですみません。
[映画館(邦画)] 8点(2008-05-26 21:26:19)(良:2票)
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