101. 華麗なる女銀行家
階級社会かつ男性社会である当時のフランス金融界を、一介のユダヤ人帽子店の娘、エンマ・エケールがのし上がって行く。見応えあるドラマでした。多様な人間模様の中で彼女の気位の高さに終始圧倒されます。バニステールの最後の手段は彼女への敗北宣言にも見えました。演じる、お目当てトランティニャンの観る者を凍りつかせる酷薄さを堪能出来満足です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-23 23:12:20) |
102. 怪談(1964)
色彩が言葉に表し難い素晴らしさであり、容赦ない厳しさと幻想が混ざり合った光景が、触感にまで迫ってきます。そして、登場するそれぞれが抱く無念の計り知れない深さも胸に押し寄せてきました。スタッフが作り上げた極上の舞台で豪華役者陣が入魂の演技を見せる。相乗効果が傑作を生み出しており、映画という文化の良さを実感させられる作品です。肩透かしを受けた四話目が割愛されていれば満点でした。 [映画館(邦画)] 8点(2009-09-16 17:49:36) |
103. カジノ
ニッキーとジンジャーのこれ以上内無い程の浅はかさでもって巻き起こすしょうもない騒動に味わいは皆無で、監督特有の暴力描写も薄汚さしか感じられず辟易。デ・ニーロは二人に翻弄されるばかりで何時もの凄みはなくガッカリ。観れば分かるのに、いちいちナレーションをつけてくれる「ご配慮」は失笑モノ。俳優が熱演するほどに薄ら寒さが募り、冗長さにもウンザリ。監督のお粗末さを痛感した作品です。 [DVD(字幕)] 3点(2009-09-13 00:11:42) |
104. 海外特派員
ヴァン・メアを巡る特派員とスパイ組織の闘い。展開はテンポ良く、それぞれの舞台でのスリリングな攻防が丁寧に描かれていて飽きることなく鑑賞出来ました。キャロルは作品に品と彩を添えており絶妙なキャストでした。マイナス点は2つ。1つは国家間の利害が全く描かれていない事。もう1つはラストシーン、蛇足に思えました。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-25 22:41:41) |
105. 怪物團
《ネタバレ》 オープニングの演出に見世物小屋の観客となったかのような気分にさせられます。数多くの正真正銘の畸形の方々の第一印象は正直息を飲むものがあります。しかし、決して怪物ではありません。この世に生を受けて懸命に生きているのです。真の怪物はクレオとヘラクレス。二人の笑い声は常にグロテスクでラストのクレオの成れの果ての姿はその醜い心が剥き出しになった正視に堪えない恐ろしさでした。私の中ではホラー映画ではなくサスペンス映画であり、まさに「空前絶後」という形容がピタリと当てはまる作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2009-07-16 00:47:31) |
106. 間諜最後の日
《ネタバレ》 無辜の者を何の確認もとらず手にかける間抜けな2人と奥行きの無い女に辟易。ひねりのない展開、ご都合主義な結末。極めつけのラストのツーショット。たいへん不快です。「アホか、何を幸せぶってるのん。二人とも爆撃受けて粉々になってしまえ」ば良いのです。巨匠でもこんな駄作がある事に驚きです。 [DVD(字幕)] 2点(2009-06-02 11:54:17) |
107. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 深刻ぶらず心地よさだけを求める事を信条とする表面上の穏かさとは裏腹の激しい心情を持つ夫婦の朝も昼も夜も離れずに暮らす10年の歳月。客は「今は魅力でも何時か消える、魅力を感じなくなったら他のを探すだけ・・・」と語ります。苦楽を共にする、表裏一体の愛憎。これらの心地よくない部分を受け入れる事を拒否した女房の幕引き。残された亭主の佇まい。浮世離れしたお伽噺にほろ酔い加減の心地よさとほろ苦さを噛み締める作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-05-18 14:49:04) |
108. 華麗なる恋の舞台で
ジェレミー・アイアンズ目当てに鑑賞しました。私のふしだらな期待が空振りに終わった事を差し引いても、観て良かったと言える作品でした。舐めるな! ジュリアの煮えたぎる闘争心と自尊心が上品且つコミカルに描かれており後味が爽やかです。また、彼女は度々「私は友達が少ないの」と嘆きますが、チャールズ卿と付き人?の女性という魅力溢れる人物を見るにつけ、友達は少数精鋭で良いのだと励まされます。 [DVD(字幕)] 7点(2008-02-03 22:26:29) |
109. カリートの道
危険だと分かりきった道を一瞬のためらいも見せず進んでいったカリート。何よりも義理を重んずるのがヤクザ社会、義理を通した報いを受けるのもヤクザ社会、夢の世界までの最後の一歩を踏めなかったのは自明の理なのでしょう。ホームでの一瞬の笑顔は結末がわかっているだけに切なさが際立つ、私のパチーノ名場面集の一つです。ホームを運ばれていく際の台詞は、パチーノの眼が語っていましたので個人的には不要でした。ドアチェーン越しに「かかってこい」とばかりに挑発したゲイル、特筆もののゲス振りを見せてくれたクラインフェルド、この二人もカリートと共に忘れじのキャラクターです。私の忘れじの作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2007-01-22 23:44:24)(良:1票) |
110. 仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督)
そもそもこの作品、アイアンズが出演しているので観ました。頭はクール、ハートは熱いアラミスを優雅に演じる姿には満足しました。そして、初めて観たガブリエル・バーンは衝撃でした。眼差しがたまらなく、もうメロメロです。突撃シーンや最期のシーンは胸をかきむしるような、のたうちまわるような(初めてビデオで観た時、部屋で転がっていました。)たまらない気持ちになります。いい歳して何ですが、時々観ては喜んでいます。何時か劇場で観てみたいです。 8点(2004-09-01 00:30:15) |
111. カミーユ・クローデル
カミーユが実在していたとは知りませんでした。全て実話?ロダンが盗作した事も?だとしたらひどい話ですね。ロダンへの想いを断ち切れず壊れてゆく姿は痛々しいです。ひどい目にあったけど、いい事もあったのだからと前向きにはなかなか考えられないものなのでしょうか。道ならぬ恋は、何時終わりになっても本望、別れ際はきれいにという覚悟を持たずにするものではないと思います。カミーユもきれいに別れる事が出来れば、新たな恋にめぐり合う事も可能なはずです。素晴らしい作品を世に出す事も出来たはずです。 6点(2004-08-21 23:44:54) |
112. 外人部隊(1933)
《ネタバレ》 外人部隊とは過去を帳消しにする権利を買う所、自分の命で支払うのも覚悟する所。フローランスとイルマに求め続けたものが幻だったと悟った時、初めてニコラの言葉が理解でき自ら外人部隊へ戻って行ったピエール。何事にも動じない胆の座った、それでいて全てを包み込むような優しさに溢れるブランシェが、笑って出発するピエールを送り出すラストは息子を失う悲しみというより、愛する者を失う悲しみに見えた。行進曲がピエールの姿を思い浮かばせ何時までも耳に残った。 10点(2004-02-22 09:36:14)(良:1票) |
113. 狩人の夜
サスペンスの傑作。大人になってこんなに怖い思いをしながら見た映画は初めてです。ロバート・ミッチャム演じる偽伝道師は、心底恐ろしかったです。 とても印象に残った美しい映像も良かったです。 10点(2003-11-25 23:50:45) |